説明

簡易椅子付搬送車

【課題】介助者が楽に小休止できる簡易椅子付搬送車を提供する。
【解決手段】介助者が小休止するための簡易椅子5を、搬送車6に収納可能に設け、簡易椅子は、座部27と、座部を支持する回動アーム25とからなり、回動アームは、搬送車に軸支され、回動アームと搬送車とにわたって設けられる固定具28により選択する所定角度に固定され、この固定により座部は所定高さに固定される簡易椅子付搬送車である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護を必要とする人(以下入浴者という)が入浴する時に使用される簡易椅子付搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術には、浴槽、エプロン、腰掛、軸受等からなる腰掛付浴槽が開示されている。
【0003】
従来の技術に係る腰掛付浴槽には、浴槽の縁に腰掛が軸着される。腰掛を、入浴者が移乗台として用いることができ、不用の時は折り畳むことができ邪魔にならないという効果がある。
しかし、腰掛の高さが浴槽上縁面と略同一のものしかできず、腰掛を取り付け軸部より高く、又は低くできない。腰掛の高さを変更できないという課題があった。
【特許文献1】実登2595389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、介助者の要求に合わせて腰掛の高さを変更することができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、介助者が楽に小休止できる簡易椅子付搬送車を提供することである。
【0006】
即ち本発明は、介助者が小休止するための簡易椅子(5)を、搬送車(6)に収納可能に設けた簡易椅子付搬送車である。
又、簡易椅子(5)は、座部(27)と、座部(27)を支持する回動アーム(25)とからなり、該回動アーム(25)は、搬送車(6)に軸支され、回動アーム(25)と搬送車(6)とにわたって設けられる固定具(28)により選択する所定角度に固定され、この固定により前記座部(27)は所定高さに固定される。
更に、搬送車(6)の上フレーム(12)の側部に横軸(30)が設けられ、回動アーム(25)は、前記横軸(30)で軸支され、搬送車(6)の側面に添って昇降回動する。
更に又、搬送車(6)に平板(32)が取り付けられ、固定具(28)は、前記平板(32)に開けられる複数個の受穴(33)と、回動アーム(25)に設けられるロックピン(34)と、ロックピン(34)を受穴(33)に向けて進出付勢するバネ(35)とから構成され前記固定具(28)は、ロックピン(34)を前記受穴(33)に嵌入することによって、回動アーム(25)を搬送車(6)に固定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、介助者が小休止するための簡易椅子5を、搬送車6に収納可能に設けたものであるから、常時は収納位置にある簡易椅子5を、適時に取り出しこれに腰掛けて小休止でき、又、腰掛けて介助作業をすることもでき、介助に係る疲労を軽減でき、好都合である。
又、簡易椅子5を収納位置に収納すれば、移乗介助に支障は無く、好都合である。
【0008】
本発明は、簡易椅子5は、座部27と、座部27を支持する回動アーム25とからなり、該回動アーム25は、搬送車6に軸支され、回動アーム25と搬送車6とにわたって設けられる固定具28により選択する所定角度に固定され、この固定により前記座部27は所定高さに固定されるから、座部27を介助者に合った高さを選択して固定でき、介助者は容易に腰掛けることが出来、好都合である。
【0009】
本発明に係る搬送車6の上フレーム12の側部に横軸30が設けられ、回動アーム25は、前記横軸30で軸支され、搬送車6の側面に添って昇降回動するから、座部27が側部より外へ突出せず、省スペース化でき、突出物にぶつかるといった事が起きず安全を図れ、好都合である。
【0010】
本発明に係る搬送車6に平板32が取り付けられ、固定具28は、前記平板32に開けられる複数個の受穴33と、回動アーム25に設けられるロックピン34と、ロックピン34を受穴33に向けて進出付勢するバネ35とから構成され、前記固定具28は、ロックピン34を前記受穴33に嵌入することによって、回動アーム25を搬送車6に固定するので、回動アーム25を確実に選択した所定角度に固定でき、又、この固定はバネ35の作用により自動的に行なえ操作が容易であり、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
介助者が楽に小休止する目的を、簡易椅子5を搬送車6に収納可能に設けて、実現した。
【実施例1】
【0012】
図1乃至5に本発明に係る簡易椅子付搬送車1の実施例1を示している。
実施例1の簡易椅子付搬送車1は、搬送車6に簡易椅子5を設けて構成される。
実施例1の搬送車6に担架2を載せ、該担架2に入浴者を乗せ、床面3を走行し入浴者を運ぶ。
【0013】
搬送車6を浴槽4に接合し、接合が完了した後、担架2を搬送車6の短手方向(=幅方向)に摺動し、浴槽4の架台7へ移乗し、浴槽4を上昇させ入浴を行なう。
実施例1は、簡易椅子5を搬送車6の短手方向の一側(具体的には右側)に設けたものである。
【0014】
搬送車6は、下フレーム8と、下フレーム8に立設される内・外支柱9・10と、下フレーム8に載設される中水受台11と、内・外支柱9・10に支持される上フレーム12と、上フレーム12に載設される前・後水受台13・14と、上フレーム12に延設される前・後ハンドル15・16と、下フレーム8の下面に設けられる四個の車輪17と、車輪17にブレーキを掛ける前・後ペダル18・19と、上フレーム12の側部に軸支される簡易椅子5とから構成される。
【0015】
上フレーム12には担架2を載せる前・後レール20・21が載設される。
前・後レール20・21の幅方向の中央部位のそれぞれには、穴22が開設された穴片23が水平面状に取着される。
【0016】
下フレーム8の前後方向(=搬送車6の長手方向)の略中央であって搬送車6の短手方向の縁部は、浴槽4と接合する接合部24である。
【0017】
介助者が小休止するための簡易椅子5を、搬送車6に収納可能に設ける。
簡易椅子5は、回動アーム25と、回動アーム25の基部に形成される軸部26と、回動アーム25の先部に取着される座部27と、回動アーム25の延設途中に構成される固定具28とからなる。
【0018】
回動アーム25は、く字形状に曲がったアーム部29と、回動アーム25の基部に形成される軸部26とからなる。
搬送車6の上フレーム12の右側部に外に向かって横軸30が突設される。該横軸30に回動アーム25の軸部26が軸支される。
回動アーム25は、搬送車6の右側面に沿って昇降回動する。
【0019】
座部27を水平方向軸芯回りに回動可能に回動アーム25に支持される。
座部27には、回動アーム25を回動させ、座部27を上限に位置させた時、該座部27の上面を水平位置にして固定する座部面固定具31が設けられる。
【0020】
回動アーム25に取り付けられる固定具28は、座部27を選択した高さに固定するものである。
固定具28は、搬送車6側に取り付けられる平板32に開けた受穴33(=上受穴33a及び下受穴33b)と、回動アーム25の筐体50にスライド可能に取り付けられ前記受穴33に嵌入するロックピン34と、ロックピン34を受穴33に向かって進出付勢するバネ35とから構成される。
ロックピン34の先部は受穴33に進入し、ロックピン34の基側にはロックピン34を進退操作するロックピンツマミ36が設けられる。
【0021】
担架2は、担架基フレーム37と、下体乗部38と、上体乗部39と、枕40と、握り手41と、ハンドル42と、担架基フレーム37の下面には、複数のローラー43を取り付けたローラーフレーム44とからなる。
ローラーフレーム44の、搬送車6の短手方向中央部には、中央阻止具45が設けられる。(図4参照)
【0022】
図3中、47は前・後ペダル18・19を連結するリンク、49はガイドローラ、図4中、46はシャワー掛止具、48は搬送車6を浴槽4に掛止し又は解除する接合止具である。
【0023】
本発明を使用する際は、搬送車6上に準備された担架2に入浴者を乗せる。
搬送車6を走行させ、入浴者を運ぶ。
搬送車6を浴槽4に接合する。接合止具48を掛けて接合が完了した後、中央阻止具45を手動で解除し、担架2を搬送車6の短手方向に摺動する。
【0024】
担架2の手動解除具(図示省略)を引き中央阻止具45を解除しておいて、担架2の短手方向(=幅方向)の側部を押し、担架2を搬送車6から浴槽4の架台7へ移乗させる。担架2が架台7の延設方向中央に来ると自動的に架台中央阻止具(図示省略)により掛止される。
【0025】
次に、湯を満たした浴槽4を昇降機構(図示省略)で上昇させ、担架2及び入浴者を湯に浸け、入浴を行なう。
【0026】
適宜な時間が経過すると、浴槽4を下降させ、担架2及び入浴者を湯から出し、退浴する。
担架2の前記手動解除具を引き前記架台中央阻止具を解除したまま、担架2を、浴槽4の架台7から浴槽4に接合された搬送車6へ移乗する。
担架2が、搬送車6の短手方向中央に来ると自動的に中央阻止具45により掛止される。
【0027】
搬送車6の接合止具48を解除し、搬送車6を浴槽4から離間し、入浴者を移動し、所定位置に戻し入浴作業を終わる。
【0028】
介助者が、入浴者を浴槽4に入れた後に入浴者を介助する時、又は、湯中の入浴者を看視する時、又は、小休止する時、搬送車6に収納している簡易椅子5を取り出し、腰掛ける。
介助者は簡易椅子5に腰掛けて、入浴者を介助し、又は、入浴者を看視し、又は、小休止する。
簡易椅子5を使用しない時は、搬送車6の収納位置へ収納する。
【0029】
簡易椅子5を取り出し使用位置へ設定する時は、介助者は、固定具28を操作し、簡易椅子5を引き上げ所望の所定位置で固定する。
その際、先ず、ロックピンツマミ36を掴んで外方へ引き動かし、ロックピン34の先部を筐体50内に退入させておいて、座部27を引き上げ、回動アーム25を軸部26を中心に上昇回動させる。回動アーム25は搬送車6に添って垂直方向に昇降回動する。
【0030】
座部27を低位置に設定する場合は、ロックピン34が下受穴33bの近くに来た時、ロックピンツマミ36を放す。ロックピン34が下受穴33bに合致すると、バネ35の力でロックピン34の先部が下受穴33bに嵌入する。
この嵌入により回動アーム25は回動不自在となり、座部27が低位置に固定される。
【0031】
座部27を高位置に設定する場合は、ロックピン34を上受穴33aに合致させて、該ロックピン34の先部を上受穴33aに嵌入させる。この嵌入により座部27が高位置に固定される。
座部面固定具31で、座部27の上面を水平位置にして、座部27を回動アーム25に固定する。
介助者は座部27に腰掛け、小休止する。
【0032】
簡易椅子5を収納位置へ戻す時は、介助者は、ロックピンツマミ36を掴んで外方へ引き動かし、ロックピン34の先部を筐体50内に退入させ、回動アーム25の固定を解除状態にして、座部27を降ろし、回動アーム25を軸を中心に下降回動させる。
【0033】
回動アーム25は搬送車6に添って垂直面方向に回動する。ロックピン34が平板32より下方に至れば、ロックピンツマミ36を放す。簡易椅子5は垂下状態の収納位置に至る。
座部面固定具31は、適宜緩め固定作用を解除する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
介助者が小休止するための簡易椅子5を、搬送車6に収納可能に設け、簡易椅子5の座部27を回動アーム25で支持し、回動アーム25を搬送車6に軸支したものであり、回動アーム25は固定具28により選択する所定角度に固定され座部27を所定高さに固定するものとし、介助者が楽に小休止できる簡易椅子付搬送車1に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例1の右側面の部分図である。
【図2】本発明の実施例1の正面の部分図である。
【図3】本発明の実施例1の右側面図である。
【図4】本発明の実施例1の正面図である。
【図5】本発明の実施例1の平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 簡易椅子付搬送車
5 簡易椅子
6 搬送車
12 上レール
25 回動アーム
27 座部
28 固定具
30 横軸
32 平板
33 受穴
34 ロックピン
35 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
介助者が小休止するための簡易椅子(5)を、搬送車(6)に収納可能に設けた簡易椅子付搬送車。
【請求項2】
簡易椅子(5)は、座部(27)と、座部(27)を支持する回動アーム(25)とからなり、
該回動アーム(25)は、搬送車(6)に軸支され、回動アーム(25)と搬送車(6)とにわたって設けられる固定具(28)により選択する所定角度に固定され、この固定により前記座部(27)は所定高さに固定されることを特徴とする請求項1記載の簡易椅子付搬送車。
【請求項3】
搬送車(6)の上フレーム(12)の側部に横軸(30)が設けられ、
回動アーム(25)は、前記横軸(30)で軸支され、搬送車(6)の側面に添って昇降回動することを特徴とする請求項2記載の簡易椅子付搬送車。
【請求項4】
搬送車(6)に平板(32)が取り付けられ、固定具(28)は、前記平板(32)に開けられる複数個の受穴(33)と、回動アーム(25)に設けられるロックピン(34)と、ロックピン(34)を受穴(33)に向けて進出付勢するバネ(35)とから構成され
前記固定具(28)は、ロックピン(34)を前記受穴(33)に嵌入することによって、回動アーム(25)を搬送車(6)に固定することを特徴とする請求項2記載の簡易椅子付搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−313055(P2007−313055A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146244(P2006−146244)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】