説明

籾殻散布装置

【課題】コンテナー部内の籾殻同士のブリッジ現象を未然に防止することができると共に、散布口の開放操作を軽快に行うことができる新たな籾殻散布技術を提供する。
【解決手段】走行車両に連結可能な骨格体10とコンテナー部5とを有し、該骨格体10に前後2個の散布口21を開口し、各散布口21,21に開閉蓋4,4を、それらの基端40,40が、夫々各散布口21,21の前縁22,22に軸着されると共に、各基端40,40とは反対がわの各回動端41,41が夫々、各散布口21,21後縁23,23に夫々当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の各開閉蓋4,4天面姿勢を、夫々水平姿勢とはせず、基端40,40から回動端41,41に向けて僅かな下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けた上、各開閉蓋4,4の適所に連動機構6および開閉操作機構7を組み込んでなる籾殻散布装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粒状物や粉状物等を輸送し必要範囲に散布可能とする散布技術に関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであって、トラクタやその他の農業用機械等の走行車両に連結あるいは搭載可能な散布装置を製造する分野は勿論のこと、その製造に必要とする設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
稲作の収穫後に発生する籾殻は、適正な処理を行わずに放置すると風に飛ばされたり、雨水に流されてしまう等して周辺環境に悪影響を与えてしまうことから、潰したり砕いたりするか、そのまま焼却、あるいは蒸し焼きにして燻炭にする等の前処理を施した後、圃場に漉き込んで堆肥として利用するといった処理を行うのが一般的であったが、潰したり砕いたりする作業は、機械の導入や作業者の割り当て等の労力と経費とが嵩むという問題があり、また、焼却や蒸し焼きの際に発生する煙や埃等は、田園地帯に近接する住宅や工場、道路を利用する歩行者や車両等に多大な迷惑をかけてしまう等といった問題があり、最近ではそれらの処理を避ける傾向にある。
【0003】
(従来の技術)
こうした状況の中、近年、脱穀後の籾殻をそのまま圃場に散布し、土壌内に漉き込んで地中に還元してしまうことにより、籾殻の性状とその特異な殻構造とによって土壌の改善に繋がると共に、堆肥その他の有機肥料による施肥効果を高めることができる等の事実が次第に明らかになってきたことから、籾摺機から排出された籾殻を、如何にして均質且つ効率的に圃場に散布するかという技術に関心が寄せられるようになり、こうした事情に着目した本願出願人は、既に特許文献1(1)に開示された、「籾殻散布装置」発明を開発、実用化することに成功している。
【0004】
この既に開発済みとなっている籾殻散布装置は、図9の散布作業中の籾殻散布装置の側面図、および、図10の断面化した従来型籾殻散布装置の側面図に示すように、トラクタなどの走行車両8の搭載機構80に連結可能な骨格体10に支持されたコンテナー部5を有し、その下部に前後送出壁24,27を形成し、一方の送出壁24下方に散布口21を開口したホッパー部2を形成した上、同散布口21に平行する上位箇所に阻害部材29を横架すると共に、散布口21に開閉シャッター43を組み込んでなるものとしてあるが、該コンテナー部5内に堆積状に収容した大量の籾殻9は、図10中の白抜き大矢印Bに示すように、その総重量がホッパー部2に向けて集中する状態で積載されたものとなっており、籾殻9散布を開始するときには、この荷重方向(白抜き大矢印B)に抗して、同図10中の白抜き小矢印Cに示すように、開閉シャッター43をスライド開放するよう牽引操作しなければならず、牽引操作に大きな操作力を要する上、開閉シャッター43がスライド開放するときに発生する摩擦力により、同開閉シャッター43周辺の籾殻9同士や芒あるいは混入した稲藁の小枝等が、互いに噛み合い状に締まり、開閉シャッター43が開放された後も、その噛合状態が保たれて散布不可能な状態に陥り易いという欠点があった。
【0005】
こうした開閉シャッター43による障碍を解決可能なものとして、例えば、特許文献1(2)に見られるような、貨物車両の荷台に載置可能な平面矩形状基台の後端に、後面支柱および後面横枠を固定した後面部を立設すると共に、前記基台上に該後面部下部を支点として起倒可能な底板を配し、前面支柱および前面横枠と両側面横枠とが前記底板の起倒に追随可能なものとし、同底板上には、前記後面支柱、後面横枠、前面支柱、前面横枠および両側面横枠に吊下した収穫袋を載置した上、該基台と底板の間にエア袋を介在してなり、該エア袋に貨物車両エンジンからの排気ガスなどを送り込んで膨張させ、該底板を、その前端がわが上昇するよう傾斜させて収穫袋内の収穫物などを、強制的に排出可能としたものや、特許文献1(3)のように、籾殻を収納可能な直方体形状の収容フレームの底部に、前後2つの籾播き口を開口し、各籾播き口には、それら籾播き口の各前端を支点に、下向きに開放可能とした開閉板を設け、収容フレーム内に堆積状に収納した籾殻の総重量が加わる前後の開閉板を、同籾殻の総重量の加わる方向に向けて開放、操作可能として開閉板の開閉操作力を軽減可能とするようにしたものなどが散見される。
【特許文献1】(1)特開2005−312408号公報 (2)特開平9−47144号公報 (3)特許第3607665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、上記特許文献1に代表されるような従前までに提案のある、粒状物や粉状物などを堆積状に収容し、底部がわから排出または散布可能とするような各種散布装置類は、構造の複雑化や耐久強度の低下、価格の高騰など種々の問題を生じる虞があったり、収容フレーム内に堆積状に収納した籾殻が、開閉板上で互いに噛合状となるブリッジ現象を惹起し易く、開閉板が開いた後に散布が停止してしまうという欠陥があり、別途開閉板の開放操作に連動する籾殻掻き部材を設けるなど掻き出し用の専用部品を追加しなければならず、部品点数の増加や、それに伴う開閉板の開放操作抵抗の増加などを招き、開閉操作性の低下などが懸念され等々、実用上のトラブルが絶えないにも拘らず、装置提供者がわにおいて、こうした現場における機構上の細かい配慮を欠いてきた恨みを否定できなかった。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、コンテナー部内に堆積状に収納した籾殻同士の噛合に起因する排出停止のトラブルを未然に防止することができると共に、散布口の開放操作を軽快に行うことができる新たな籾殻散布技術を開発することはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の籾殻散布装置を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の籾殻散布装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、前記コンテナー部の周壁下方に連続する散布口を開口し、該散布口には、同散布口を開閉自在に閉鎖可能な開閉蓋を、その基端が、同散布口の前後縁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る散布口前後縁の何れか一方に対峙するがわの、同散布口前後縁の何れか他方に当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けた上、該開閉蓋の適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込み、閉鎖姿勢とした前記開閉蓋天面上に収納されている籾殻に、同開閉蓋開放前段階より、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢してなるものとした構成を要旨とする籾殻散布装置である。
【0009】
この基本的な構成からなる籾殻散布装置を、より具体的なものとして示すと、トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、前記コンテナー部の前壁下方および後壁下方に夫々連続し、左右一文字状に開口する散布口に向けてその開口面積を次第に縮小するよう傾斜させた前後送出壁と、前記コンテナー部の左右壁下方に連続し、前後送出壁左右を隠蔽する垂直壁とによって漏斗状のホッパー部を形成し、該ホッパー部散布口には、同散布口を開閉自在に閉鎖可能な左右一文字形状の開閉蓋を、その基端が、前送出壁または後送出壁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る前送出壁または後送出壁の何れか一方に対峙するがわの散布口縁に当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう設定した上、該開閉蓋の適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込んでなるものとした構成からなる籾殻散布装置となる。
【0010】
また、これを換言すると、トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、前記コンテナー部の周壁下方に連続する前後2個以上の散布口を開口し、各散布口には、夫々の散布口を開閉自在に閉鎖可能な開閉蓋を、それらの基端が夫々、各散布口の前後縁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、各基端とは反対がわの各回動端が夫々、各々の水平軸支機構の在る各散布口前後縁の何れか一方に対峙するがわの、各散布口前後縁の何れか他方に夫々当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の各開閉蓋天面姿勢を夫々、水平姿勢とはせず、それらの基端から各々の回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けた上、各開閉蓋の適所に互いの開閉姿勢を一致するよう連繋可能な連動機構、および、該連動機構かまたは各開閉蓋の少なくとも何れか一箇所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込み、閉鎖姿勢とした各開閉蓋天面上に収納されている籾殻に、各開閉蓋開放前段階より、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢するようにした籾殻散布装置となる。
【0011】
そして、この発明の籾殻散布装置には、トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、平面矩形状とした2個以上の上端開口部を前後に配して形成し、各上端開口部から夫々の直下に対応する左右一文字状に開口した各散布口に向かうに従って各々の開口面積を縮小するよう傾斜させた前後送出壁と、それら前後送出壁左右を隠蔽する垂直壁とによって漏斗状のホッパー部を形成し、各ホッパー部の中、該骨格体の前端配置となるものの前送出壁を前記コンテナー部の前壁下方に連続し、同骨格体の後端配置となるものの後送出壁を前記コンテナー部の後壁下方に連続し、左右垂直壁を前記コンテナー部の左右壁下方に連続するものとした上、各ホッパー部散布口には、各散布口を開閉自在に閉鎖可能な左右一文字形状の開閉蓋を、その基端が、前送出壁または後送出壁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る前送出壁または後送出壁の何れか一方に対峙するがわの散布口縁に当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう設定した上、各開閉蓋の適所に互いの開閉姿勢を一致するよう連繋可能な連動機構、および、該連動機構の適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込んでなるものとした籾殻散布装置が包含されている。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、この発明の籾殻散布装置によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、骨格体にコンテナー部の周壁下方に連続するよう散布口を開口し、該散布口の前後縁の何れか一方に対して水平軸支機構を介して開閉蓋の基端を軸着し、散布口閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、その基端から回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けてなり、前記コンテナー部内に収容された籾殻の荷重方向である下向きに開閉蓋を低抵抗且つ軽快に開放できるものとして、開閉操作機構の操作入力を大幅に軽減できるものとなる上、閉鎖姿勢とした前記開閉蓋天面上に収納されている籾殻に、同開閉蓋開放前段階より、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢してなるものであり、同開閉蓋開放と同時に、速やかに籾殻の放出速度を加速して、従来型にあった堆積状に収納された籾殻同士が噛合状となって排出停止してしまうトラブルを確実に防止可能とし、開閉蓋開放直後から安定且つ円滑な籾殻放出を実現化することができるという秀れた特徴が得られるものである。
【0013】
加えて、コンテナー部の周壁下方と骨格体の散布口との間に、ホッパー部を形成したものは、散布口および開閉蓋の小型化を可能にし、該開閉蓋天面に加わる籾殻の荷重を大幅に軽減して開閉操作機構の開閉操作力を各段に軽微なものにすることができると共に、開閉操作機構の小型、軽量化を可能として籾殻散布装置全体の軽量化が果たせるものとなり、また、骨格体の前後に左右一文字状に開口する2個以上の散布口を開口してなるものは、散布口を1個だけ有するものに比較し、より一段と散布口および開閉蓋ならびに開閉操作機構の小型化が可能となり、一層軽微な操作力にて開閉操作可能とすることができ、各開閉蓋の開放直後から極めて均質且つ効率的な籾殻の散布を実現化でき、さらに、各散布口毎にホッパー部を形成したものは、散布口および開閉蓋ならびに開閉操作機構について、より一層の小型化と操作力の軽減化とを実現化することができるという効果を奏するものとなる。
【0014】
そして、複数個の開閉蓋の開閉姿勢を一致するよう連繋可能とする連動機構を有した籾殻散布装置であって、各開閉蓋天面適所からコンテナー部内部に達するよう立ち上げた槓杆の各上端間に、対応箇所を枢着してリンク機構となすよう攪拌棒を横架、連結した上、各開閉蓋、各槓杆および攪拌棒の中の少なくとも何れ1個の適所に開閉操作機構を連結してなるものは、各開閉蓋の開閉操作に伴い各槓杆および攪拌棒が、前後方向に揺動して、前記コンテナー部内に堆積状に収容された籾殻を攪拌状として、籾殻同士が噛合状となったりして排出停止状にしてしまうといったトラブルを、より確実に解消可能なものとする利点がある。
【0015】
さらに、水平軸支機構直上の骨格体の左右巾に渡る範囲に、その上がわ配置となるコンテナー部の周壁下方か、またはホッパー部送出壁かの何れか一方に連続する下り勾配を有した廂状の隠蔽鍔を有してなるものは、水平軸支機構直上に収容された籾殻が、同水平軸支機構上に停滞して全量放出後にも残存してまうという現象を確実に防止する上、前記コンテナー部の周壁下方か、またはホッパー部送出壁かの何れか一方に沿って流下する籾殻の流出を淀みなく継続し続けることとなり、より円滑で確実な全量散布を実現化し得るものとなる。
【0016】
開閉蓋閉鎖状態の同開閉蓋天面姿勢を、その基端から回動端に向けて15度ないし25度、望ましくは18度の下り勾配とするよう設定してなるものは、同下り勾配を15度未満に設定したものより、開閉蓋天面上の籾殻に加わる流下方向の付勢力を各段に高めることができ、また、25度を超える角度に設定したものより、閉鎖中の開閉蓋回動端に加わる、直上に収納された籾殻の集中的荷重を軽減して、開閉蓋閉鎖中の不用意な籾殻の漏出などを確実に防止できるものとなり、その中でも最適な18度に設定したものでは、開閉蓋を開放した直後から最も淀みなく迅速且つ効率的な籾殻の放出、散布を実現可能となり、しかも僅かに開放しただけで円滑に散布することができ、従来構造では殆ど不可能であった極薄撒きを実現可能として、籾殻量や圃場の広さなどの各種条件に応じて薄撒きから厚撒きまでムラ無く均質に散布できるものとなるという、これまでのものには期待することができなかった実益が得られるものとなる。
【0017】
そして、開閉操作機構に、開閉蓋の姿勢角度を全閉、全開およびその他の適切な複数の開度姿勢に、段階的にか、または無段階的にかの何れか一方で仮固定可能な開度調節部を設けてなるものは、閉鎖姿勢を下り勾配に設定してなる開閉蓋と相俟って、開閉蓋の開閉直後から薄く開放させた場合や略全開に開放した場合、あるいは、中間の任意の開度に開放した場合などの何れの場合にあっても、淀みなく円滑で均質な籾殻散布を実現化することができる上、散布途中でも簡便に散布放出量の調節を行うことができ、従来型のものに比較して遥かに効率的且つ均質な籾殻散布を行うことができるという大きな効果を奏することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
骨格体は、コンテナー部を外側から支持、補強して所定量の籾殻等の粒状物や粉状物を収容可能としてコンテナー部の軽量化を可能とすると共に、トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能とし、該コンテナー部の下方となる適所に散布口を形成可能とする機能を果たし、籾殻散布装置の全体形状を安定的に保持して、充分な強度をもって支持可能なものとしなければならず、適宜分解もしくは折り畳み可能な構造を採用し、保管や運搬の際には小型化して取り扱うことを可能にするものとなって利便性や経済性に有利になることから、構成部材は勿論のこと、各部の組み合せ構造等についても、そのための十分な配慮をすべきである。
【0019】
コンテナー部は、外側の複数適所を骨格体に保持されて、圃場に効率的に散布できる程度の量の籾殻等の粒状物や粉状物を収容可能とし、その周壁下方を骨格体に接続してその散布口を通じて籾殻等の粒状物や粉状物を散布可能とする機能を果たすものであり、秋から冬にかけた収穫後の田圃や畑等の比較的軟弱な土地を走行するトラクタやトレーラあるいはトラック等の走行車両に連結あるいは積載可能とするよう、できるだけ軽量な素材からなるものとすべきであり、しかも収納や運搬の際には小型化できるようなものを採用するのが望ましく、籾殻等の粒状物や粉状物の積載に耐える十分な強度を有する筒型あるいは袋型のシート材、あるいは薄板材を折畳み可能に組み合わせた箱型容器等とすると極めて好都合のものとなる。
【0020】
散布口は、コンテナー部内に収容された籾殻等の粒状物や粉状物を骨格体の適所より、均質に放出、散布可能とする機能を果たし、必ず骨格体の底部に1個か、または2個以上かの何れかの数を適宜形成し、1箇所毎に開閉蓋を設けて開閉自在なものとしなければならず、前記コンテナー部の周壁下方に連続するか、あるいは、骨格体に形成したホッパー部の下方に連続するかの何れか一方のものとしなければならず、前後2個以上を設けたものとする場合には、籾殻等の粒状物や粉状物を均質に散布できるよう左右一文字状に開口したものとするのが望ましい。
【0021】
開閉蓋は、開閉操作機構を通じた入力にて散布口を開閉操作可能とすると共に、コンテナー部内に堆積状に収容されて同開閉蓋天面上に収納されている籾殻等の粒状物や粉状物に、同開閉蓋開放前段階より、予め流れ下る力を付勢可能とする機能を有しており、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けたものとし、さらに、適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込んでなるものとしなければならず、より具体的には、該開閉蓋を、その基端が、同散布口の前後縁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る散布口前後縁の何れか一方に対峙するがわの、同散布口前後縁の何れか他方に当接して閉鎖可能とするよう装着したものとすべきであり、さらに具体的には、後述する実施例に示すように、該開閉蓋の基端が、前送出壁または後送出壁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る前送出壁または後送出壁の何れか一方に対峙するがわの散布口縁に当接して閉鎖可能とするよう装着したものとすることができる。
【0022】
水平軸支機構は、骨格体散布口の前後縁付近の何れか一方適所に開閉蓋の基端を軸着し、該開閉蓋の回動端を水平軸心回りに回動自在として散布口の開閉操作を可能とするものであり、充分な耐久強度を有するものとしなければならず、必要に応じて散布口より、開閉蓋を取り外し可能とするような組み込み構造を有するものとするのが望ましく、開閉蓋の左右全幅に渡り設けたものとするしたり、または、開閉蓋の左右全幅間の均衡する複数箇所夫々に点在するよう設けたものとしたりすることができ、必要に応じて、後述する実施例に示すように、該水平軸支機構の直上であって骨格体の左右巾に渡る範囲に、その上がわ配置となるコンテナー部の周壁下方か、または、ホッパー部送出壁かの何れか一方に連続する下り勾配を有した廂状の隠蔽鍔を設けてなるものとすることができる。
【0023】
ホッパー部は、コンテナー部内に収容された籾殻等の粒状物や粉状物を、コンテナー部下の左右幅に渡り、一文字状に開口する散布口を通じて自然落下させ、籾殻等の粒状物あるいは粉状物等を略均質に放出、散布可能とする機能を果たすものであり、コンテナー部の周壁下方に連続し、下方に形成された散布口に向けて、次第にその開口面積を縮小する前後送出壁と、これら前後送出壁の左右側端を隠蔽状に閉鎖する垂直壁とから形成され、散布口には骨格体外側の適所から操作可能な開閉蓋を設けたものとしなければならず、後述する実施例に示すように、平面矩形状とした2個以上の上端開口部を前後に配して形成し、各上端開口部から夫々の直下に対応する左右一文字状に開口した各散布口に向かうに従って各々の開口面積を縮小するよう傾斜させた前後送出壁と、それら前後送出壁左右を隠蔽する垂直壁とによって漏斗状に形成してなるものとすることができる。
【0024】
開閉操作機構は、開閉蓋の開閉および開度を骨格体外側適所から操作可能とするものであり、散布口から籾殻等の粒状物や粉状物が漏出しないよう、開閉蓋で密閉状に閉鎖可能とし、且つ、骨格体外部から簡便に開閉操作可能なものとしなければならず、ワイヤーやリンク機構などからなるものとするのが望ましく、モーターなどの駆動源を有して自動的に開閉操作可能なものとすることができる外、後述する実施例に示すように、作業者が直接操作、入力して作動させる機構からなるものとすることができ、さらに、開閉蓋の姿勢角度を全閉、全開およびその他の適切な複数の開度姿勢に、段階的にか、または無段階的にかの何れか一方で仮固定可能な開度調節部を設けてなるものとすることができる。
【0025】
開度調節部は、開閉操作機構による開閉蓋の開閉具合を調節自在に仮固定可能とする機能を果たし、開閉蓋を少なくとも全閉姿勢と全開姿勢との夫々に仮固定可能とするものとしなければならず、全閉姿勢と全開姿勢との間の複数箇所に段階的か、または無段階的かの何れかで仮固定可能なものとすべきであり、操作性を考慮すると開閉操作機構の操作入力部分か、その近傍に設けたものとするのが望ましく、ボルト・ナットを用いた弛緩、緊締可能な仮固定構造を有するものや、後述する実施例に示すように、操作レバーの操作角度を段階的に仮固定可能としたものとすることが可能である。
【0026】
連動機構は、複数の開閉蓋を有した籾殻散布装置の場合に、各開閉蓋の開閉姿勢を互いに一致するよう連繋可能とするものであって、1個の開閉操作機構にて複数の開閉蓋を同時に、統合的に一括操作可能とするものであり、各開閉蓋の適所同士を、骨格体適所に軸着されたプーリー、ベルト車またはスプロケットに巻掛けたワイヤー、ベルトまたはチェーンなどで連結したものや、複数の歯車の組み合わせからなる歯車機構などからなるものとすることができ、後述する実施例に示すように、各開閉蓋天面適所からコンテナー部内部に達するよう立ち上げた槓杆の各上端間に、対応箇所を枢着してリンク機構となすよう攪拌棒を横架、連結した上、各開閉蓋、各槓杆および攪拌棒の中の少なくとも何れ1個の適所に開閉操作機構を連結してなるものとすることができる。
【0027】
槓杆は、各開閉蓋天面適所と攪拌棒の適所とを連繋可能として連動機構の一部を形成可能とするものであり、各開閉蓋天面適所からコンテナー部内部に達するよう充分な強度をもって立ち上げ、各上端間に、対応箇所を枢着してリンク機構となすよう攪拌棒が横架、連結されたものとしなければならず、開閉蓋の左右幅の中央か、または左右幅間の均衡する複数箇所かの何れか一方の天面から立ち上げたものとすべきであり、後述する実施例に示すように、各槓杆の中の1個の適所に開閉操作機構を連結したものとすることができる。
【0028】
攪拌棒は、各開閉蓋天面適所からコンテナー部内部に達するよう立ち上げた各槓杆の各上端同士をリンク機構となすよう連結して、開閉操作機構からの入力を各開閉蓋に伝達可能とすると共に、揺動するときにコンテナー部内部に堆積状に収容された籾殻等の粒状物や粉状物を攪拌状とする機能を果たすものであり、各槓杆同士を強固に連結し、開閉操作機構からの入力を確実に各開閉蓋に伝達可能とする強度を有するものとしなければならず、攪拌機能を高めるよう、クランク形状や螺旋状の棒体からなるものとしたり、中途部にフランジ状の攪拌鍔を設けたものとすることが可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0029】
図1の断面化した籾殻散布装置の側面図、図2の開閉蓋を開放した籾殻散布装置の側面図、図3の拡大した開閉蓋の側面図、および、図4の開閉操作機構の斜視図に示す事例は、走行車両に連結可能な骨格体10とコンテナー部5とを有し、該骨格体10に前後2個の散布口21を開口し、各散布口21,21に開閉蓋4,4を、それらの基端40,40が夫々、各散布口21,21の前縁22,22に軸着されると共に、各基端40,40とは反対がわの各回動端41,41が夫々、各散布口21,21後縁23,23に夫々当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の各開閉蓋4,4天面姿勢を夫々、水平姿勢とはせず、基端40,40から回動端41,41に向けて僅かな下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けた上、各開閉蓋4,4の適所に連動機構6および開閉操作機構7を組み込んでなるものとした、この発明の籾殻散布装置における代表的な一実施例を示すものである。
【0030】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の籾殻散布装置1は、その殆どの部品にアルミニウム合金板、ステンレス鋼板または亜鉛鍍金鋼板、およびアルミニウム合金パイプ、ステンレス鋼管または亜鉛鍍金鋼管などを使用してなるものであり、それらの部品を組み合わせて所定上下厚みを確保した矩形台枠状に形成し、その前端左右中央より、鉛直上方に向けて延伸したトラクタ連結機構への連結部12を一体に設けたベースフレーム11と、矩形檻状に組み合わせて分解、折り畳み可能とするよう、当該ベースフレーム11の上部に、着脱自在に連結してなる上枠フレーム13とを有する骨格体10を設け、該骨格体10の上枠フレーム13には、籾殻収納用の目の細かな筒型ネット袋製のコンテナー部5の要所々々を吊下状に繋着したものとする。
【0031】
図1ないし図3中に示すように、当該骨格体10ベースフレーム11には、同ベースフレーム11の平面矩形状面積を前後に2分割したものとするよう前後合計2個のホッパー部2,2を有しており、夫々のホッパー部2,2は、平面矩形状の上端開口部20,20を前後に配して形成し、各上端開口部20,20から夫々の直下に対応して該ベースフレーム11の左右間全幅に相当する左右一文字状に開口した各散布口21,21に向かうに従って各々の開口面積を縮小するよう傾斜させた前送出壁24,24、後送出壁27,27と、それら前後送出壁24,24,27,27の各左右端を上下に渡って隠蔽する垂直壁28,28とによって漏斗状に形成されたものとし、各前送出壁24,24が、夫々対峙する後送出壁27,27より、その下り勾配傾斜壁部25,25の下方がわの長さを短く設定し、同傾斜壁部25,25の下端より鉛直状の垂下壁部26,26を連続形成したものとしてある。
【0032】
図2中に示すように、前記骨格体10ベースフレーム11の前方配置となるホッパー部2の前送出壁24上端は、前記コンテナー部5の前壁下方51に連続し、同骨格体10ベースフレーム11の後方配置となるホッパー部2の後送出壁27上端は、コンテナー部5の後壁下方52に連続し、左右各垂直壁28,28上端は、コンテナー部の左右壁下方53,53に連続すして、相互間の継ぎ目部分に隙間を生じないよう、該ベースフレーム11の上端外周縁上に、コンテナー部5の周壁下方50周縁を重ね、さらに、上枠フレーム13の下端外周縁を重ね合わせて、コンテナー部5周壁下方50周縁を金属製フレーム11,13のフランジ状枠部分で上下から挟み込むようにした上、複数個の図示しないボルト・ナットにて強固且つ着脱可能に連結したものとする。
【0033】
図3および図4中に示すように、前後ホッパー部2,2の各散布口21,21に設けた開閉蓋4,4は、夫々の散布口21,21を開閉自在に閉鎖可能な寸法、形状の左右一文字形状とし、その下面に左右間全幅の中央を含む均衡する複数箇所夫々に、前後端間に延びる補強リブ42,42,……を一体化形成すると共に、各補強リブ42,42,……の後端には、水平孔を穿設した軸着用フランジ部30,30,……が一体形成されたものであり、前後ホッパー部2,2の各前送出壁24,24夫々の傾斜壁部25,25よりも下方にある各垂下壁部26,26の上端より僅かに下がわとなる位置であって、各開閉蓋4,4左右幅間に点在する各軸着用フランジ部30,30,……に対峙する箇所夫々には、水平孔を穿孔した軸受け用フランジ部31,31,……を固着し、各軸着用フランジ部30,30,……と軸受け用フランジ部31,31,……とを、互いの水平孔同士が同心状に配するよう重ね合わせた上、夫々に連結軸32,32,……を貫通し、座金およびRピンなどで脱抜不能、且つ分解自在に連結し、水平軸支機構3,3,……を形成したものとする。
【0034】
図3中に示すように、各水平軸支機構3,3,……の直上となる前後ホッパー部2,2の各前送出壁24,24傾斜壁部25,25直下の各垂下壁部26,26の上端には、各前送出壁24,24と同じ下り勾配をもって連続する姿勢とした廂状の隠蔽鍔33,33,……を設けたものとしてあり、各開閉蓋4,4の基端40,40とは反対がわの回動端41,41は、同開閉蓋4,4が閉鎖姿勢のときに、各散布口21,21の各開閉蓋4,4基端40,40が軸着されたがわの前縁22,22とは反対がわの後縁23,23に、下方から上向きに当接するようになっており、閉鎖姿勢とした各開閉蓋4,4の下り勾配角度Aを18度に設定したものとする。
【0035】
図1ないし図4に示すように、各開閉蓋4,4天面の前後中央、左右全幅の中央となる箇所より、ホッパー部2,2を超えてコンテナー部5内部に達するよう槓杆60,60を上向きに立ち上げ、前後配置とした槓杆60,60の各上端間に攪拌棒61の前後の対応する端部を、水平軸にてリンク機構となすよう横架、連結した上、前方配置とした開閉蓋4の槓杆60には、開閉操作機構7を連結したものとしてある。
【0036】
図1、図2および図4中に示すように、該開閉操作機構7は、骨格体10の前記ベースフレーム11前端左右中央より、鉛直上方に延伸されている連結部12の上端に梃型操作レバー70の支点部分を、同梃型操作レバー70の樹脂製グリップの装着された力点がわを直立姿勢ないし前倒姿勢に傾動操作可能とするよう軸着し、該梃型操作レバー70の作用点部分に、垂下ロッド73の上端を連結し、同垂下ロッド73の下端を、前記連結部12の下部付近に軸着したL型クランク74の一端に連結し、該L型クランク74の他端と、前方配置となる開閉蓋4天面より立ち上げた槓杆60の上下中途適所とを横架ロッド75で連結し、図1中に示すように、当該梃型操作レバー70が前倒姿勢に操作されると、各開閉蓋4,4が全閉姿勢となり、図2中に示すように、梃型操作レバー70が鉛直姿勢に操作されると、各開閉蓋4,4が全開姿勢となるよう操作可能なものとしてある。
【0037】
さらに、図1、図2および図4中に示すように、前記連結部12の上端には、開度調節部76が立設してあり、該開度調節部76は、梃型操作レバー70の支点部分より力点がわとなる中途適所に隣接、対峙する高さ位置に、水平板か、または水平軸心回りに形成された上向き凸面円弧状の円筒板かの何れか一方とし、該梃型操作レバー70の力点がわ中途適所に隣接対峙する板縁に沿って、同梃型操作レバー70の前倒位置、鉛直位置、および、該前倒位置ないし鉛直位置間の複数適所の夫々に係止溝78,78,……を刻設した溝板77を有すると共に、当該梃型操作レバー70の支点部分より力点がわであって、前倒姿勢ないし鉛直姿勢に渡って該溝板77係止溝78,78,……に対峙する中途適所の周壁より一体状の係合片79を突出、形成した上、当該梃型操作レバー70の力点がわであって該係合片79よりも支点部分寄りとなる中途部分に、テレスコープ型の伸縮部71とその伸縮長さ状態を仮固定可能な仮止め螺子(または図4中に示す仮止めピン)72を設けたものであり、該仮止め螺子72を緩めて伸縮部71を伸張方向にスライド操作して、係止溝78から係合片79を離脱可能とし、また、該伸縮部71を短縮方向にスライドして、係止溝78に係合片79を係合可能とし、再び、該仮止め螺子72を締め付けて伸縮部71を伸縮状態に仮固定可能なものとし、さらにまた、上記操作にて該係合片79を何れか任意に選択した係止溝78に係合して、該梃型操作レバー70を所望の姿勢に仮固定し、係止溝78から係合片79を離脱すると梃型操作レバー70が姿勢変更、操作自在となるよう形成したものである。
【0038】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の籾殻散布装置1は、図1ないし図3、図5の籾殻を収容した籾殻散布装置の側面図、図6の散布口付近を拡大した側面図、図7の籾殻を散布する籾殻散布装置の側面図、および、図8の籾殻を散布する散布口付近を拡大した側面図に示すように利用可能であり、その骨格体10連結部12を図視しないトラクタなどの走行車両の搭載機構に連結して搭載し、図5および図6中に示すように、各開閉蓋4を閉鎖姿勢として、コンテナー部5および前後ホッパー部2,2内に籾殻9を堆積状に収納すると、同図5および図6中の白抜き大矢印Bに示すように、コンテナー部5内に収容された籾殻9の総荷重が、前後の各ホッパー部2,2内に加わり、夫々の開閉蓋4,4天面に集中するものとなるが、図3中に示すように、それら開閉蓋4,4天面は夫々、18度の下り勾配角度Aに閉鎖しており、図5および図6中の白抜き小矢印Dに示すように、閉鎖姿勢の各開閉蓋4,4天面上に収納されている籾殻9に、同開閉蓋4,4開放前段階より、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢可能なものとなる。
【0039】
圃場に進入したトラクタなどの走行車両を、籾殻9散布目標の範囲に移動させた後、図4および図5に示すように、前倒姿勢に仮固定されている開閉操作機構7梃型操作レバー70の仮止め螺子72を緩め、延伸操作状の引き抜き方向に伸縮部71をスライドさせて、開度調節部76溝板77の係止溝78より係合片79を離脱した後、図7および図8中の実線矢印に示すように、梃型操作レバー70を鉛直姿勢まで引き起こすと、同梃型操作レバー70の作用点がわより、垂下ロッド73、L型クランク74、横架ロッド75を経由して、連動機構6の各槓杆60,60、攪拌棒61が連動し、前後の開閉蓋4,4を全開姿勢に開放するものとなり、同開閉蓋4,4が全閉姿勢にあるときから、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢されていた籾殻9が、互いに噛合状とならずに、散布口21,21から円滑且つ速やかに流出するものとなる。
【0040】
加えて、図5ないし図8中に示すように、前後の各開閉蓋4,4を開閉操作すると同時に、当該連動機構6の前後各槓杆60,60が、前後ホッパー部2,2内の籾殻9を、また、攪拌棒61がコンテナー部5内の前後ホッパー部2,2に臨む籾殻9を夫々、自動的に攪拌するものとなり、堆積状に収容された籾殻9同士の噛合を、より確実に防止するものとなる。
【0041】
また、図8中に示すように、各水平軸支機構3,3,……の直上に設けた隠蔽鍔33,33は夫々、前後開閉蓋4,4の各水平軸支機構3,3,……を廂状に包囲すると共に、各ホッパー部2,2前送出壁24,24傾斜壁部25,25の傾斜壁面を、各開閉蓋4,4天面に連続するものとして、各傾斜壁部25,25下端と各開閉蓋4,4基端40,40との隙間から籾殻9が漏出してしまったり、各水平軸支機構3,3,……に籾殻9が詰まったりして作動不良を起こしてしまうのを確実に阻止するものとなる。
【0042】
このようにして開放した各開閉蓋4,4を適切な開度姿勢に仮固定する場合には、図5ないし図8に示すように、梃型操作レバー70を前倒姿勢ないし鉛直姿勢の間で前後方向に操作して、各開閉蓋4,4を適切な開度姿勢として籾殻9流出が所望の散布状となるよう調節し、梃型操作レバー70の係合片79が該当する位置の係止溝78に嵌合するよう、伸縮部71を短縮操作した上、仮止め螺子72を締め付けて該選択した係止溝78と係合片79とを係合状態に仮固定することが可能であり、各開閉蓋4,4を所望の開度に仮固定して一定の散布状態を維持したまま、圃場の目標散布範囲内にトラクタなどの搭載、走行車両を満遍なく走行させるようにして、籾殻9を均質に散布することが可能となる。
【0043】
また、使用後の籾殻散布装置1は、トラクタなどの走行車両の搭載機構から、離脱してから、骨格体10をベースフレーム11と上枠フレーム13とに分解すると共に、コンテナー部5を取り外し、必要に応じてベースフレーム11から連結部12を取り外すなどして各部品毎に分割し、可能なものは適宜折り畳むなどして小型化して収納、保管することが可能である。
【0044】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の籾殻散布装置1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1ないし図8中に示すように、開閉操作機構7の梃型操作レバー70と連動機構6の前方配置の開閉蓋4より立ち上げた槓杆60とを、垂下ロッド73、L型クランク74および横架ロッド75など、何れも剛性に秀れた硬質部品同士で連結されたものとしてあり、各開閉蓋4,4の開閉操作をより確実に行えるものとし、例えば籾殻9の放出途中であっても、各開閉蓋4,4の開度を簡単且つ確実に変更、調節することができるという利点が得られるものとなる。
【0045】
加えて、図4中に示すように、各水平軸支機構3,3,……は、各開閉蓋4,4の左右幅間の複数箇所に点在し、夫々に連結軸32,32,……を設けたものとし、連結軸32を短尺化して耐久強度を高めると共に、水平軸支機構3,3,……の重量を削減して骨格体10の総重量を軽量化したものとすることができるという効果を発揮し、取扱い作業性が一段と改善されることとなる。
【0046】
(結 び)
叙述の如く、この発明の籾殻散布装置は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの籾殻散布技術に比較して、籾殻同士の噛合による排出停止を一段と確実に防止できるものとなり、製造、組み立ても用意で、耐久強度にも秀れ、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、籾殻などの粒状物や粉状物を一層均質且つ円滑に散布可能にすることから、これまで効率的で均質な散布が困難な上に、深刻な人手不足や高齢化などの問題を抱える農家において、毎年大量に発生してその処理や効率化に苦慮してきた籾殻を、非常に簡便、確実に自然界に戻すようにして有効活用可能と成し、有機肥料として圃場土壌養分の富化に役立てて化学肥料の使用量を削減ないしは極力無くし、また酸欠状態になりがちな土質構造の改善にも寄与するものとし、廃棄物としての処理を全く無用のものにでき、経費の削減と優良米の生産とを達成可能にするものであり、圃場の籾殻散布に多大の関心を寄せる稲作農家は勿論のこと、農機具業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくことが予想される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図面は、この発明の籾殻散布装置の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】断面化した籾殻散布装置を示す側面図である。
【図2】開閉蓋を開放した籾殻散布装置を示す側面図である。
【図3】閉鎖姿勢にある開閉蓋を拡大して示す側面図である。
【図4】開閉操作機構および連動機構を示す斜視図である。
【図5】籾殻を収容した籾殻散布装置を示す側面図である。
【図6】散布口付近を拡大して示す側面図である。
【図7】籾殻散布中の籾殻散布装置を示す側面図である。
【図8】籾殻散布中の散布口付近を拡大して示す側面図である。
【図9】散布作業中の籾殻散布装置を示す側面図である。
【図10】従来型の籾殻散布装置を断面化して示す側面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 籾殻散布装置
10 同 骨格体
11 同 ベースフレーム
12 同 連結部
13 同 上枠フレーム
2 ホッパー部
20 同 上端開口部
21 同 散布口
22 同 前縁
23 同 後縁
24 同 前送出壁
25 同 傾斜壁部
26 同 垂下壁部
27 同 後送出壁
28 同 垂直壁
29 同 阻害部材
3 水平軸支機構
30 同 軸着用フランジ部
31 同 軸受け用フランジ部
32 同 連結軸
33 同 隠蔽鍔
4 開閉蓋
40 同 基端
41 同 回動端
42 同 補強リブ
43 同 開閉シャッター
5 コンテナー部
50 同 周壁下方
51 同 前壁下方
52 同後壁下方
53 同 左右壁下方
6 連動機構
60 同 槓杆
61 同 攪拌棒
7 開閉操作機構
70 同 梃型操作レバー
71 同 伸縮部
72 同 仮止め螺子(または仮止めピン)
73 同 垂下ロッド
74 同 L型クランク
75 同 横架ロッド
76 同 開度調節部
77 同 溝板
78 同 係止溝
79 同 係合片
8 トラクタその他の走行車両
80 同 搭載機構
9 籾殻
A 開閉蓋天面の下り勾配角度
B 籾殻の荷重方向(白抜き大矢印)
C 開放スライド方向(白抜き小矢印)
D 開閉蓋天面上の籾殻付勢方向(白抜き小矢印)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、前記コンテナー部の周壁下方に連続する散布口を開口し、該散布口には、同散布口を開閉自在に閉鎖可能な開閉蓋を、その基端が、同散布口の前後縁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る散布口前後縁の何れか一方に対峙するがわの、同散布口前後縁の何れか他方に当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けた上、該開閉蓋の適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込み、閉鎖姿勢とした前記開閉蓋天面上に収納されている籾殻に、同開閉蓋開放前段階より、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢してなるものとしたことを特徴とする籾殻散布装置。
【請求項2】
トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、前記コンテナー部の前壁下方および後壁下方に夫々連続し、左右一文字状に開口する散布口に向けてその開口面積を次第に縮小するよう傾斜させた前後送出壁と、前記コンテナー部の左右壁下方に連続し、前後送出壁左右を隠蔽する垂直壁とによって漏斗状のホッパー部を形成し、該ホッパー部散布口には、同散布口を開閉自在に閉鎖可能な左右一文字形状の開閉蓋を、その基端が、前送出壁または後送出壁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る前送出壁または後送出壁の何れか一方に対峙するがわの散布口縁に当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう設定した上、該開閉蓋の適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込んでなるものとしたことを特徴とする籾殻散布装置。
【請求項3】
トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、前記コンテナー部の周壁下方に連続する前後2個以上の散布口を開口し、各散布口には、夫々の散布口を開閉自在に閉鎖可能な開閉蓋を、それらの基端が夫々、各散布口の前後縁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、各基端とは反対がわの各回動端が夫々、各々の水平軸支機構の在る各散布口前後縁の何れか一方に対峙するがわの、各散布口前後縁の何れか他方に夫々当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の各開閉蓋天面姿勢を夫々、水平姿勢とはせず、それらの基端から各々の回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けた上、各開閉蓋の適所に互いの開閉姿勢を一致するよう連繋可能な連動機構、および、該連動機構かまたは各開閉蓋の少なくとも何れか一箇所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込み、閉鎖姿勢とした各開閉蓋天面上に収納されている籾殻に、各開閉蓋開放前段階より、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢してなるものとしたことを特徴とする籾殻散布装置。
【請求項4】
トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、平面矩形状とした2個以上の上端開口部を前後に配して形成し、各上端開口部から夫々の直下に対応する左右一文字状に開口した各散布口に向かうに従って各々の開口面積を縮小するよう傾斜させた前後送出壁と、それら前後送出壁左右を隠蔽する垂直壁とによって漏斗状のホッパー部を形成し、各ホッパー部の中、該骨格体の前端配置となるものの前送出壁を前記コンテナー部の前壁下方に連続し、同骨格体の後端配置となるものの後送出壁を前記コンテナー部の後壁下方に連続し、左右垂直壁を前記コンテナー部の左右壁下方に連続するものとした上、各ホッパー部散布口には、各散布口を開閉自在に閉鎖可能な左右一文字形状の開閉蓋を、その基端が、前送出壁または後送出壁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る前送出壁または後送出壁の何れか一方に対峙するがわの散布口縁に当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう設定した上、各開閉蓋の適所に互いの開閉姿勢を一致するよう連繋可能な連動機構、および、該連動機構の適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込んでなるものとしたことを特徴とする籾殻散布装置。
【請求項5】
連動機構は、各開閉蓋天面適所からコンテナー部内部に達するよう立ち上げた槓杆の各上端間に、対応箇所を枢着してリンク機構となすよう攪拌棒を横架、連結した上、各開閉蓋、各槓杆および攪拌棒の中の少なくとも何れ1個の適所に開閉操作機構を連結してなるものとした、請求項3または4何れか一方記載の籾殻散布装置。
【請求項6】
水平軸支機構が、その直上であって骨格体の左右巾に渡る範囲に、その上がわ配置となるコンテナー部の周壁下方か、または、ホッパー部送出壁かの何れか一方に連続する下り勾配を有した廂状の隠蔽鍔を設けてなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の籾殻散布装置。
【請求項7】
開閉蓋閉鎖状態の同開閉蓋天面姿勢を、その基端から回動端に向けて15度ないし25度、望ましくは18度の下り勾配とするよう設定してなるものとした、請求項1ないし6何れか一項記載の籾殻散布装置。
【請求項8】
開閉操作機構は、開閉蓋の姿勢角度を全閉、全開およびその他の適切な複数の開度姿勢に、段階的にか、または無段階的にかの何れか一方で仮固定可能な開度調節部を設けてなるものとした、請求項1ないし7何れか一項記載の籾殻散布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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