説明

粉粒物抜出装置

【課題】高さ寸法を更に小さくできる粉粒物抜出装置を提供すること。
【解決手段】ロータリーバルブ3と、ロータリーバルブ3の排出口32を横切って設けられ、排出口32から排出される粉粒物を空気輸送する、空気輸送管4と、を備えており、蛇腹管2によって、コンテナに連結される。蛇腹管2は、一端21がロータリーバルブの投入口31に連結されており、他端22がコンテナの取出口101に連結される。蛇腹管2の一端21と連結するための、ロータリーバルブ3の投入口31のフランジ311が、水平に対して傾斜して設けられており、空気輸送管4が、ロータリーバルブ3の真下から、横にずれた位置に、設けられており、空気輸送管4が、扁平形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒物の輸送用コンテナの取出口に連結されて、コンテナ内の粉粒物を抜き出す、粉粒物抜出装置に、関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に示されるように、粉粒物を収容した輸送用コンテナ100は、トラック200で運ばれると、傾斜状態に設定されて、地上に設置されている粉粒物抜出装置10に連結される。そして、コンテナ100内の粉粒物は、粉粒物抜出装置10によって抜き出されて、他の場所へ空気輸送される。
【0003】
従来の粉粒物抜出装置10Bは、図6に示されるように、ロータリーバルブ3と、空気輸送管4と、を備えており、接続管の一例である蛇腹管2によって、コンテナ100に連結されるようになっている。蛇腹管2は、一端21がロータリーバルブ3の投入口31に連結されており、他端22がコンテナ100の取出口101に連結される。空気輸送管4は、ロータリーバルブ3の排出口32の一部を形成するとともに、水平方向に横切って設けられている。排出口32から排出される粉粒物は、他端から流入される空気によって、空気輸送され、したがって、抜き出される。なお、粉粒物抜出装置10Bでは、地上からコンテナ100の取出口101までの高さ寸法Hが、実際には、1200mmであった。
【0004】
一方、V字形の回転ブレードを有するロータリーバルブが、知られている。
【特許文献1】特開平10−59549号公報
【特許文献2】実開平6−14153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンテナは、収容する粉粒物の種類に応じて種々の形態のものが存在しており、また、トラックも、運搬するコンテナの形態に応じて種々の形態のものが存在している。そのため、現実的には、上記高さ寸法Hとして更に小さいものが要望されるようになっている。
【0006】
しかしながら、この種の抜出装置では、粉粒物が例えば粒度2〜4mm程度の合成樹脂ペレットである場合に要求される「時間当たりの抜出能力」が、一般的には15トン/時〜20トン/時であり、非常に大きい。そのため、装置自体が必然的に大型となり、それ故、上記高さ寸法Hを更に小さくすることは事実上困難であった。
【0007】
本発明は、上記高さ寸法Hを更に小さくできる粉粒物抜出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粉粒物の輸送用コンテナの取出口に接続管により連結されて、コンテナ内の粉粒物を抜き出す、粉粒物抜出装置において、ロータリーバルブと、ロータリーバルブの排出口を横切って設けられ、排出口から排出される粉粒物を空気輸送する、空気輸送管と、を備えており、上記接続管と接続するための、ロータリーバルブの投入口のフランジが、水平に対して傾斜して設けられており、ロータリーバルブの回転ブレードが、回転方向後方に向かって開くV字形を有している、ことを特徴としている。
【0009】
本発明は、更に、次の構成(A)を採用するのが好ましい。
(A)空気輸送管が、ロータリーバルブの真下から、横にずれた位置に、設けられ、扁平形状を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロータリーバルブの投入口のフランジが、コンテナの取出口のフランジと平行になるので、接続管に要する長さ寸法を従来装置に比して短くでき、しかも、上記投入口からコンテナの取出口までの高さ寸法を従来装置に比して小さくできる。更に、ロータリーバルブの回転ブレードが、回転方向後方に向かって開くV字形を有しているので、ロータリーバルブにおける粉粒物の咬み込みを防止できるとともに、上記投入口への粉粒物の投入効率すなわち空気輸送管による粉粒物の輸送効率が低下するのを防止できる。
【0011】
上記構成(A)によれば、空気輸送管がロータリーバルブの真下から横にずれた位置に設けられているので、ロータリーバルブのリークエアをシールするのに必要な回転ブレードの枚数(通常3枚)を確保することができるとともに、地上から空気輸送管の中心点までの高さ寸法を従来装置に比して小さくできる。更に、空気輸送管が扁平形状を有しているので、空気輸送管の下端位置、及び、その空気輸送管の両端部に接続するフランジの下端位置も、高くなる。これにより、地上からロータリーバルブまでの高さ(隙間)寸法を従来装置に比して小さくできる。したがって、上記構成(A)によれば、粉粒物抜出装置における地上からコンテナの取出口までの高さ寸法を従来装置に比して更に小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の粉粒物抜出装置10Aの正面図である。図2は、同じく断面図である。粉粒物抜出装置10Aは、ロータリーバルブ3と、空気輸送管4と、を備えており、架台51と共に、車輪52によって地上を移動可能である。抜出装置10Aは、接続管の一例である蛇腹管2によって、コンテナに連結される。蛇腹管2は、一端21がロータリーバルブ3の投入口31に連結されており、他端22がコンテナの取出口101に連結される。空気輸送管4は、ロータリーバルブ3の排出口32を横切って設けられ、排出口32から排出される粉粒物を空気輸送する。
【0013】
本発明では、蛇腹管2の一端21と連結するための、ロータリーバルブ3の投入口31のフランジ311が、水平に対して傾斜して設けられている。その傾斜の角度αは、30〜50度、特に約35度が好ましい。何故なら、約35度は、コンテナが傾斜される一般的な角度であるからである。したがって、本発明では、蛇腹管2は、傾斜されたコンテナの取出口101と略同じ傾斜角度で、ロータリーバルブ3の投入口31から斜め上方に延びている。これにより、蛇腹管2に要する長さ寸法Lは、図6の場合に比して、短くてよい。したがって、投入口31から取出口101までの高さ寸法H1は、図6の場合の高さ寸法H1より小さくなっている。
【0014】
したがって、本発明の粉粒物抜出装置10Aによれば、高さ寸法H1を、図6の場合の高さ寸法H1より、小さくできるので、高さ寸法Hを図6の場合の高さ寸法Hより小さくできる。
【0015】
また、本発明では、空気輸送管4が、ロータリーバルブ3の真下から、横にずれた位置に、設けられている。すなわち、空気輸送管4の中心点41は、ロータリーバルブ3の中心線30から横にずれた位置に存在しており、空気輸送管4の中心線40は、中心線30に対して傾斜している。これにより、ロータリーバルブ3の、例えば全部で10枚ある回転ブレードの内、リークエアを防止するのに必要な3枚が、確保され、また、地上から空気輸送管4の中心点41までの高さ寸法H2は、図6の場合の高さ寸法H2より小さい。
【0016】
したがって、本発明の粉粒物抜出装置10Aによれば、高さ寸法H2を、図6の場合の高さ寸法H2より、小さくできるので、高さ寸法Hを図6の場合の高さ寸法Hより更に小さくできる。
【0017】
更に、空気輸送管4は、扁平形状を有している。これにより、地上から空気輸送管4の下端42までの高さ寸法H3は、図6の場合の高さ寸法H3より小さい。また、H3の寸法を保つことにより、図4に示すように、空気輸送管4の両端部に接続するフランジと地上との隙間寸法を最小値にできる。
【0018】
したがって、本発明の粉粒物抜出装置10Aによれば、地上からロータリーバルブ3までの高さ寸法H4を、図6の場合の高さ寸法H4より、小さくできるので、この点からも、高さ寸法Hを図6の場合の高さ寸法Hより小さくできる。
【0019】
その結果、本発明の粉粒物抜出装置10Aによれば、具体的には、700mmの高さ寸法Hを実現できる。
【0020】
一方、ロータリーバルブ3は、回転軸35と、回転軸35から放射状に延びた多数枚の回転ブレード36と、をケーシング37内に、有している。そして、本発明では、回転ブレード36が、平面図である図3に示されるように、回転方向(矢印F方向)後方に向かって開くV字形を有している。これにより、ペレットの投入口31で発生する咬み込みを低減できる。なお、投入口31には、邪魔板は設けられていない。
【0021】
粉粒物抜出装置10Aにおいては、コンテナ100内の粉粒物が、取出口101から蛇腹管2を経て、ロータリーバルブ3の投入口31に投入され、回転ブレード36の回転に伴って所定量ずつ排出口32から排出され、空気輸送管4によって、他の場所へ空気輸送される。
【0022】
従来の粉粒物抜出装置10Bでは、図7に示すように、回転ブレードの先端がケーシングの縁との間に粉粒物を咬み込むのを防止するために、投入口31の回転方向前方側に、同じく後方側に向かって、先端の尖った邪魔板39が、設けられている。しかしながら、図2に示すように、本発明の粉粒物抜出装置10Aにおいては、投入口31が回転方向前方側に傾斜しているので、邪魔板を設けると、粉粒物が投入口31へ投入されにくくなる。それ故、粉粒物抜出装置10Aでは、投入口31に邪魔板は設けられていない。その代わりに、粉粒物抜出装置10Aでは、上述したV字形の回転ブレード36を用いていることにより、回転ブレード36の先端361がケーシング37の縁371との間に粉粒物を咬み込むのを防止している。
【0023】
したがって、本発明の粉粒物抜出装置10Aによれば、高さ寸法Hを図6の場合の高さ寸法Hより小さくできるだけではなく、装置本来の機能も維持できる。すなわち、粉粒物抜出装置10Aによれば、ロータリーバルブ3における粉粒物の咬み込みを防止できるとともに、投入口31への粉粒物の投入効率すなわち空気輸送管4による粉粒物の輸送効率が低下するのを防止できる。
【0024】
なお、蛇腹管2は接続管の一例であり、接続管としては、他の可撓性の管や非可撓性の管を使用してもよい。また、本発明の粉粒物抜出装置は、可能ならば、接続管を介することなく、直接に、コンテナの取出口に連結してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の粉粒物抜出装置は、高さ寸法をより小さくできるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の粉粒物抜出装置の正面図である。
【図2】本発明の粉粒物抜出装置の断面図である。
【図3】ロータリーバルブの平面図である。
【図4】空気輸送管の両端部に接続するフランジの地上からの高さを示す図である。
【図5】コンテナと粉粒物抜出装置との関係を示す側面略図である。
【図6】従来の粉粒物抜出装置の正面図である。
【図7】従来の粉粒物抜出装置の回転ブレードの平面図である。
【符号の説明】
【0027】
2 蛇腹管 21 一端 22 他端 3 ロータリーバルブ 31 投入口 311 フランジ 32 排出口 36 回転ブレード 4 空気輸送管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒物の輸送用コンテナの取出口に接続管により連結されて、コンテナ内の粉粒物を抜き出す、粉粒物抜出装置において、
ロータリーバルブと、
ロータリーバルブの排出口を横切って設けられ、排出口から排出される粉粒物を空気輸送する、空気輸送管と、を備えており、
上記接続管と接続するための、ロータリーバルブの投入口のフランジが、水平に対して傾斜して設けられており、
ロータリーバルブの回転ブレードが、回転方向後方に向かって開くV字形を有している、
ことを特徴とする粉粒物抜出装置。
【請求項2】
空気輸送管が、ロータリーバルブの真下から、横にずれた位置に、設けられ、扁平形状を有している、請求項1記載の粉粒物抜出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−105803(P2010−105803A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281610(P2008−281610)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000004732)株式会社日本アルミ (64)