説明

粒体計量器

【課題】粒体の計量を行なうために格子状の固定ゲートとそれにほぼ整合する可動ゲートからなる計量装置が合理的な粒体計量方法として知られているが、この方法ではゲート開口時に固定ゲートの部分が粒体の通過路を妨げるため、計量能率を下げていた。さらに、従来の方法では固定側と可動側の格子の間に粒体の噛み込みを防ぐ空隙を要し、粒体の取扱い品種により、一義的に固定した装置寸法を必要とした。
【解決手段】風袋への投入あるいは排出を、ゲート部分に扉状の回転翼を複数個設けて粒体の計量を行なう。また、回動翼が閉路するときの空隙を制御する事により、取扱う粒体の様々な粒度に対応せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米、小豆および大豆などの粒体の多量計量に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒体計量器の風袋への投入部における動作において、従来の格子様ゲートでは、ゲートを閉めるとき固定格子と可動格子がなす開口部が狭くなった状態で、粒体を噛み込み破砕するという不具合が生じる。これを避けるため、固定格子と可動格子を直接に摺動させないで、粒体が入り込める程度の空隙を設けている。この空隙は取り扱う粒体の粒度によって広く、また、狭く設定されなければならない。 この設定はゲートの開度とは別の動きなので駆動機構を別に必要とする。
【0003】
また、従来の格子状構造では固定格子に対し、可動格子が重なり動くことによりゲートの開閉を行っていたが、この構造では、全開状態でも両格子が同位相で重なっているため開口面積は格子の存在によって、50%を超えることは出来ない。
【0004】
しかし本発明にあっては、回動する回転翼が互いに通路を閉めるような位置関係になったとき、回転翼のエッジが少ない空隙で向かい合うときには粒体は噛込まれるが、その手前で回動を停止させれば噛込みは生じない。この手前で停止させる位置を粒体の粒度によって制御すれば、粒度が異なる粒体に対してそれなりに停止位置を決めればよいので、駆動機構は回動用のものだけで目的を達成できる。このため、本発明に依れば設計が簡単になり製造部品が少なく、コストを下げることが出来る。
【0005】
また、本発明の回動翼を用いた場合には、最大開口時には、回動翼の厚味だけが流路を妨げるだけなので、開口率は飛躍的に上昇する。このため、風袋への投入、排出が速やかに行われるため計測性能を大きく向上させることが可能になる。
【0006】
このほか、格子様ゲートでは往復運動であるため可動格子の摺り合わせに製造上の注意を必要とするが、本発明の回動格子では軸受部分にはベアリングや同心円上の部品を採用することで、高精度を保つ調整作業を省くことが可能になる。
【0007】
投入口ゲート部分で回転翼が閉る時、風袋に堆積した粒体を掻き揚げるように回動するのでホッパー部分と風袋内の堆積した粒体の間に粒体の空隙が出来るので、ホッパーからの圧力が荷重として風袋に掛ることを防止できる。
【特許文献1】特許 第3616793号 粉粒体の重量を計測する方法
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、従来例において、ホッパー1に貯留している粒体(たとえば米)は複数の供給口を有する格子状の固定ゲート2と、それにほぼ整合を有する格子状の可動ゲート3からなる投入口を経由して可動ゲート3が固定ゲート2に対して通過口6が開口すると風袋4に供給される。風袋4はロードセル8によって質量が計測され、図1Aに示したごとく、排出口の可動ゲートが開口したとき、風袋4の中身は排出される。
排出部分の固定ゲートに相当する部分の三角形状は固定ゲートに粒体が堆積することを防ぐためのものである。
【0009】
このような計量器では投入ゲートが最大開口しても図1Bに示すごとく、開口部は6に示した部分だけで固定ゲート2の部分を粒体が通過することは出来ない。 また、排出部分にあっても三角形状の部分は粒体が通過できないのでゲート構造部分の約半分は粒体の通過を妨げている。
【0010】
また、別の問題として供給ゲートでは粒体が通過中に供給を停止させようとしたとき、可動ゲート3の動きで通過口が狭くなって通過口を閉じようとするときに、固定ゲート2と可動ゲート3の間に粒体が挟まって破砕されるという問題が生じる。このため、固定ゲート2と可動ゲート3の間には図1に示すように空隙9を設けなければならない。この空隙の寸法は、取扱う粒体の大きさに関係するので、従来法法によれば、取扱う粒体によって計量器を一義的に対応させなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、格子状の投入ゲートあるいは排出ゲートに変えて扉状の複数の回動翼で構成するゲートを用いる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果は、格子状ゲートを採用した従来の技術に比して、粒体が通過する開口比率が大きいので投入時間と排出時間を節約できるので、大容量の粒体を短時間に処理できるという利点がある。
【0013】
このほか、取り扱う粒体の種類が変更されたときに格子状ゲートでは粒体の種類に対して投入ゲートの空隙を一義的に整合させる必要があったが、本発明では回動翼の停止角度をソフトウエアで設定するだけで何らのハードウエアの変更を要しない。
【実施例1】
【0014】
本発明の一実施例を説明すると、図2において回転の中心13を有する回転翼12を並べ回転翼12を回動させるゲートにより図2Bに示すように投入口を開けるように構成する。風袋14は上部の中心付近に設けたロードセル18で吊られている。
【0015】
この実施例では図2のように一個のロードセルが用いられているが、図1のように2個のロードセルを用いても良いことは勿論である。回転翼12はホッパーからの加重に耐えて変形させないために湾曲面にしてある。またこの回転翼の構造は第五図に示すように飛行機の翼のような構造を採ってもよいことは勿論である。
【0016】
一方、排出機構部分にはロードセルがないので、回転翼を並べている。回転の中心13は回転翼に取付けたシャフトであるとは限らない。
【0017】
排出口で回転翼17が図2Aのようになると、風袋の中身は排出される。このような構成において従来方式のように粒体の通路を妨げるのは回転翼12あるいは17自体と、ロードセルであるが、ロードセルは図1のように、風袋の横に取りつければ、粒体の通路を妨げることはない。このため、粒体の投入および排出が速やかに行われ、時間あたりの処理能力が向上する。
【0018】
また、投入部分において粒体が破砕する問題は、回転翼の回転角度を制御することによって、通過口が閉路する寸前の空隙を取扱う粒体の大きさに合わせて制御することで、様々な大きさの粒度の粒体に対応させることが可能になる。
【0019】
回転翼の回転の中心を回転翼の湾曲の中心とほぼ一致させ第3図のようにすると、ゲートの開閉にあたって回転翼は粒体と摩擦しながら回動するので、回転翼を駆動するためのトルクは少ない。しかし、この構造では通過口の開口面積を大きく取りにくいとか、その他の問題がある。また、回転翼に接して回転翼のほぼ中心に回転の中心を配置すると、ホッパーからの圧力は回転翼にかかり、回転するとき下方に向く部分は問題がないが上方に向く部分は粒体を押上げて回動するので、粒体の圧力のため多大なトルクを必要とする。このトルクすなわち回転のモーメントは回転の中心からの長さに関係するので、押上げる部分は回転の中心から長くない方が有利である。
【0020】
また、第3図の効果を勘案すると、回転翼面からは少し離れ、左右非対称に構成すると駆動トルクを軽減できる。このような構成で回転翼がゲートとして回動する様子を第4図に示した。
【0021】
第5図は回転翼を袋状の構造にして回転軸に回転の中心を持たせ、回転軸を回転翼の幅に対して中心からずらせて非対称構造にした実施例である。
【0022】
このような構造において、粒体はホッパー1から排出ゲートが閉じられた風袋内にゲート機構を通って投入され、ロードセル18やロードセル68によって計量される。計量された粒体は、排出ゲート17や排出ゲート67が開口して排出される。
【0023】
本発明は以上のごとくであるから、従来方式に比べて対象の粒体が米、小豆あるいは大豆というように、粒体の粒度が変更になっても、回転翼の動きを制御するソフトウエアで設定変更することにより、対応が可能になるほか、格子状のゲートに比べて同じゲート機構の面積の開口利用率が高く、投入、排出の時間を節約できるため、計量の能率を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の粒体計量器の原理を示す。図1Aは投入口、排出口ともゲートが閉じられている状態を示し、図1Bは投入ゲートが開口している状態を示している。
【図2】本発明に係るゲートの構造を示す図であり図2は図1A及びBに対応してゲートの状態を示している。
【図3】回転翼の回転の中心を回転翼の湾曲の概略の中心と合わせた図である。
【図4】回転翼の回転の中心をずらせた構造において回転翼を回転させた様子を示す図である。
【図5】回転翼に袋状の構造を与えた実施例で回転翼を回転させた様子を示す図である。
【図6】回動翼の形状を袋状に構成した場合の実施例の図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ホッパー
2 格子状の固定ゲート
3 格子状の可動ゲート
4 風袋
5 排出側固定ゲートとその上の粒体堆積を防ぐ三角屋根
6 格子状ゲートの開口時の開口部
7 格子状ゲートの排出側可動ゲート
8 ロードセル
11 実施例のホッパー
12 実施例の回動翼
13 回動翼の回転中心
14 実施例の風袋
15 実施例の排出側回動翼の回転中心
16 実施例の回動翼開口時の粒体通過口
17 実施例の排出側回動翼
61 別の実施例におけるホッパー
62 回動翼
63 回動翼の回転中心
64 風袋
65 排出側回動翼の回転中心
66 粒体通過口
67 排出側回動翼


【特許請求の範囲】
【請求項1】
風袋への投入、あるいは排出を制御する目的で、ゲート部分に扉状の回転翼を複数個設けた粒体の計量器の手段。
【請求項2】
請求項1において回動翼が閉路するときの空隙を制御する事により、取扱う粒体の様々な粒度に対応せしめる粒体計量装置の手段。
【請求項3】
回転翼ゲートの回転の中心を回転翼の中心からずらせた粒体計量器。
【請求項4】
回転翼ゲートを湾曲させ、荷重による耐歪み力を強化したゲート用回転翼。
【請求項5】
回転翼ゲートに粒体が堆積することを防ぐ目的で段差をなくした回転翼の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−22761(P2007−22761A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207843(P2005−207843)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000105501)ココリサーチ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】