説明

粒状物質の携帯容器

【課題】粒状物質を受け入れるための受け入れ口と受け入れ機構とを別途に設ける必要がなく、また、より多数の粒状物質を計量して取り出すことができる。
【解決手段】本体容器2と、一端側が外部に突出する状態と本体容器2内に没入する状態とにわたって摺動可能なスライド部材4と、本体容器2およびスライド部材4により構成される容器内に多数個の粒状物質1を貯留可能とする粒状物質貯留部と、スライド部材4の一端側の上面に所定数の粒状物質1を収容する収容部4cとを備え、本体容器2を傾けて粒状物質1を収容部4cに収容可能とし、スライド部材4を所定量だけスライドさせて収容部4cに収容された粒状物質1を外部に取り出し可能とし、さらにスライド部材4を外部に引き出して粒状物質1を外部から粒状物質貯留部に受け入れ可能なように構成した。
【選択図】図10

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブレット状に形成された医薬、栄養補助食品、その他の食品などの粒状物質を収容して携帯するために用いられる粒状物質の携帯容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タブレット状に形成された医薬、栄養補助食品、その他の食品など粒状物質を収容して携帯するために用いられる粒状物質の携帯容器として、例えば、特許文献1には、粒状物質を収容する本体容器と、この本体容器に設けられた入出口と、一端側が入出口から外部に突出する状態と本体容器内に没入する状態とにわたって摺動可能なスライド部材とを備え、このスライド部材をスライドさせて入出口から粒状物質の収容部を外部に露出させることによって収容部に収容された粒状物質を外部に取り出し可能とした錠剤ケースの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−165775
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の粒状物質の携帯容器では、本体容器の内部に充填された粒状物質を取り出し口から取り出す構成のみに着眼しており、開示された取り出し口とスライド部材との構成は、本体容器に粒状物質を再充填することが容易でなかった。そのため上述の粒状物質の携帯容器では、取り出し口以外に別途受け入れ口と受け入れ機構とを設ける必要があった。
【0005】
また、偏平な本体容器を立てた状態でスライド部材の収容部に錠剤を収容する構成になっているので、粒状物質の収容部の数に限りがあり、せいぜい2〜3個引き出せる程度であった。
【0006】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、本体容器の内部に粒状物質を受け入れるための受け入れ口と受け入れ機構とを別途に設ける必要がなく、また、より多数の粒状物質を計量して取り出すことができる粒状物質の携帯容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、粒状物質を収容して携帯するために用いられる粒状物質の携帯容器であって、本体容器と、この本体容器に対して一端側が外部に突出する状態と本体容器内に没入する状態とにわたって摺動可能なスライド部材と、これら本体容器およびスライド部材により構成される容器内に多数個の粒状物質を貯留可能とする粒状物質貯留部と、上記スライド部材の上記一端側の上面に、所定数の粒状物質を収容する収容部と、前記スライド部材の前記本体容器に対する位置決めを行うスライド部材位置決め手段とを備え、前記スライド部材をスライドさせることにより、前記スライド部材を前記本体容器内部に収納させた収納姿勢と、前記スライド部材を所定量だけスライドさせて入出口から収容部を外部に露出させた取り出し姿勢と、前記取り出し姿勢からさらに前記スライド部材を外部に引き出した受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることが可能であって、前記収納姿勢では本体容器を傾けて本体容器内部にある粒状物質を上記収容部に収容可能とし、前記取り出し姿勢では収容部に収容された粒状物質を外部に取り出し可能とし、前記受け入れ姿勢では上記粒状物質貯留部に通じる開口が外部に露出して粒状物質を外部から粒状物質貯留部に受け入れ可能とし、かつ、前記スライド部材位置決め手段は前記本体容器側に設けられた複数のスライド部材係止突起と、スライド部材に設けられた係止板とを備え、前記複数のスライド部材係止突起に対する前記係止板の係止位置を変更することで、前記スライド部材の収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢の各姿勢において前記位置決めを行うように構成され、更に、前記収容部は前記所定数の粒状物質を1個ずつ各別に保持する凹部を前記所定数と同じ数で有し、これらの凹部が二次元的であって前記スライド部材をスライドさせる方向に沿うように配列されていることを特徴とする粒状物質の携帯容器である。
【0008】
本発明によれば、スライド部材の一端側の上面に、粒状物質を収容する収容部とを備えているので、多数の粒状物質を本体容器の外部に取り出し可能とすることができる。また、スライド部材を所定量だけスライドさせて入出口から収容部を外部に露出させた取り出し姿勢では、収容部に収容された粒状物質を外部に取り出し可能とし、取り出し姿勢からさらにスライド部材を外部に引き出した受け入れ姿勢では、上記粒状物質貯留部に通じる開口が外部に露出して粒状物質を外部から粒状物質貯留部に受け入れ可能なように構成したので、本体容器の内部に粒状物質を受け入れるための受け入れ口と受け入れ機構とを別途に設ける必要がない。更に、収容部の凹部が粒状物質を一個ずつ保持するので、スライド部材を一回操作する毎に凹部の一定の数量だけ粒状物質を取り出すことができる結果、使用者はその都度粒状物質を数える煩わしさから解放される。更にまた、上記本体容器とスライド部材との間に、スライド部材の本体容器に対する位置決めを行うスライド部材位置決め手段を備えているので、常に各姿勢の状態に本体容器とスライド部材とを保持する必要が無く、操作性の良い粒状物質の携帯容器とすることができる。更にまた、本体容器側に設けられた複数のスライド部材係止突起と、スライド部材に設けられた係止板とを係合させるという簡単な構成でスライド部材の本体容器に対する位置決めを行うことができる。
【0009】
また、本発明においては、上記スライド部材は、スライド部材の底部から収容部の凹部に粒状物質を案内するための勾配形状を有するスライド部材側スロープを形成するように構成してもよい。
【0010】
この好ましい態様によれば、勾配形状を有するスライド部材側スロープにより、スライド部材の底部から収納姿勢にあるスライド部材の収容部に粒状物質を案内するので、スライド部材の底部に粒状物質が滞留することを防止することができる結果、最後の一個まで支障なく取り出すことができる。
【0011】
また、上記スライド部材側スロープは、スライド部材の底部に立設される複数のスライド部材側リブの頂部の集合から上記勾配形状を形成していることが好ましい。
【0012】
この好ましい態様によれば、スライド部材の底部に立設される複数のスライド部材側リブの頂部の集合からスライド部材側スロープの勾配形状が形成されるので、スリットが多数設けられた構造になる結果、スライド部材全体を軽量化するとともに、前後の重量バランスのよい粒状物質の携帯容器とすることができる。
【0013】
そして、上記本体容器は、スライド部材を摺動可能に保持するレール部を有し、上記スライド部材は、このレール部に対して摺動可能に嵌合する溝部を有し、上記レール部に沿ってスライド部材をスライドさせることにより、スライド部材を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることが好ましい。
【0014】
この好ましい態様によれば、本体容器のレール部に沿ってスライド部材をスライドさせるという簡単な構成により、スライド部材を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることができる。
【0015】
また、上記本体容器は、頂部に窪み形状からなる押さえ部を有し、この押さえ部を外部から押さえた状態でスライド部材をスライドさせることにより、スライド部材を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることが好ましい。
【0016】
この好ましい態様によれば、押さえ部を外部から押さえた状態でスライド部材をスライドさせるので、より容易にスライド部材を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、粒状物質を受け入れるための受け入れ口と受け入れ機構とを別途に設ける必要がなく、また、より多数の粒状物質を計量して取り出すことができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の基本構成における粒状物質の携帯容器の構成を示す斜視図である。
【図2】粒状物質の携帯容器の内部の構成を示す斜視図である。
【図3】粒状物質の携帯容器の本体容器の頂部の構成を示す斜視図である。
【図4】粒状物質の携帯容器の操作部の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の基本構成における粒状物質の携帯容器の収納姿勢を示す断面図である。
【図6】本発明の基本構成における粒状物質の携帯容器の取り出し姿勢を示す断面図である。
【図7】本発明の基本構成における粒状物質の携帯容器の受け入れ姿勢を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20の構成を示す構造図であり、(a)は、平面図を、(b)は、側面図を、(c)は、端面図をそれぞれ示している。
【図10】本発明の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20の作用を示す断面図であり、(a)は、取り出し姿勢を示す断面図である。また、(b)は、受け入れ姿勢を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について詳述する。図1は本発明の基本構成における粒状物質の携帯容器10の構成を示す斜視図であり、図2は粒状物質の携帯容器10の内部の構成を示す斜視図である。また、図3は粒状物質の携帯容器10の本体容器2の頂部の構成を示す斜視図である。そして、図4は粒状物質の携帯容器10の操作部7bの構成を示す斜視図であり、図5は本発明の基本構成における粒状物質の携帯容器10の収納姿勢を示す断面図である。
【0020】
図1を参照して、図示の本発明の基本構成の粒状物質の携帯容器10は、粒状物質1を収容して携帯するために用いられるものであって、粒状物質1を収容する本体容器2と、この本体容器2に設けられた入出口3と、本体容器2に対して摺動可能なスライド部材4とを備えている。また、これら本体容器2およびスライド部材4により構成される容器内に多数個の粒状物質1を貯留可能とする粒状物質貯留部9(図2)と、スライド部材4の一端側の上面に、所定数の粒状物質を収容する収容部4cとを備えている。
【0021】
上記粒状物質1としては、タブレット状に形成された医薬、栄養補助食品、その他の食品などについて適用可能であり、本実施形態では、漢方薬のダラニスケの丸薬が対象となっている。
【0022】
上記本体容器2は、水平断面が楕円形の偏平な合成樹脂製の容器であり、上記粒状物質1を所定の数量だけ充填可能な容量を有している。このように、上記粒状物質貯留部9(図2)は、本発明の基本構成では、本体容器2の内部に形成されている。
【0023】
上記入出口3は、上記粒状物質1を上記本体容器2から取り出すために本体容器2の一端に設けられた概ね矩形の開孔であり、粒状物質1を後述する受け入れ部4dから上記本体容器2に充填するための充填孔をも兼ねている。
【0024】
上記スライド部材4は、所定数の粒状物質1を保持しながら、本体容器2に対して一端側が外部に突出する状態と本体容器2内に没入する状態とにわたって摺動可能に構成された概ね板状の合成樹脂製の部材であり、一方の端部4aの上面4bに上記収容部4cを有している。そして、この収容部4cは、粒状物質1を一個ずつ保持する凹部4eを所定数だけ二次元的に配列している。
【0025】
また、このスライド部材4には、収容部4cの本体容器2側に設けられ上方と本体容器2側とを開放して粒状物質1を上方から本体容器2内部に受け入れ可能な受け入れ部4dを有している。
【0026】
そして、図示の本発明の基本構成の粒状物質の携帯容器10は、スライド部材4を本体容器2内部に収納させた収納姿勢により、本体容器2を傾けて本体容器2内部にある粒状物質1を上記収容部4cに収容し、スライド部材4をスライドさせて入出口3から収容部4cを外部に露出させた取り出し姿勢により、収容部4cに収容された粒状物質1を外部に取り出すことが可能となっている。また、取り出し姿勢からさらにスライド部材4を外部に引き出して受け入れ部4dを外部に露出させた受け入れ姿勢により、粒状物質1を外部から本体容器2の内部に受け入れることが可能に構成されている。
【0027】
次に、図2を参照して、上記スライド部材4の上記一方の端部4aと反対側の他方の端部4fは、受け入れ部4dの底部4gから本体容器2の底部2aに斜めに下る勾配形状の縁部4hを有し、スライド部材4を受け入れ姿勢から収納姿勢に収納する際は、勾配形状の縁部4hにより、粒状物質1を上方に排除しながらスライド部材4を収納するように構成されている。
【0028】
そして本体容器2は、図示の収納姿勢においてスライド部材4の収容部4cと受け入れ部4dとの両側方に、本体容器2の底部2aから収容部4cの凹部に粒状物質1を案内するための勾配形状を有するスロープ5を形成している。
【0029】
上記スロープ5は、本体容器2の底部2aに立設される複数のリブ5aの頂部の集合から上記勾配形状を形成している。
【0030】
また、本体容器2は、スライド部材4を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させるために、頂部に直線状のスライド孔6(図3)を有し、スライド部材4は、上記スライド孔6を貫通して外部に露出する操作部材7(図5)に連結され、この操作部材7を外部から操作してスライド孔6に沿ってスライドさせることにより、スライド部材4を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させる構成になっている。
【0031】
また、図2〜図5を参照して(主に図5)、上記操作部材7は、本体容器2内部に設けられ、上記受け入れ部4dの底部4gに立設される楕円柱状の操作棒7aと、本体容器2外部に設けられ、操作棒7aの上端に連結される概略楕円板形状の合成樹脂製の操作部7bとを嵌め合わせることにより形成されており、上記操作部7bは、操作棒7aに嵌め合わせるための支柱7cを備えるとともに表面に多数の凹凸からなる滑り止め手段7dが設けられている。
【0032】
また、常に各姿勢の状態にスライド部材4と操作部材7とを保持する必要が無く、操作性の良い粒状物質の携帯容器10とすることができるようにするために、操作部7bの裏面に設けられた係止突起8a(図4)と、本体容器2のスライド孔6の近傍に設けられた係止溝8b(図3)とからなる位置決め手段8が設けられている。そして、係止突起8aと係止溝8bとを互いに着脱自在に係合させることにより、スライド部材4の収納姿勢と、取り出し姿勢との各姿勢において操作部材7およびスライド部材4の本体容器2に対する位置決めを行うように構成されている。なお、本基本構成では、受け入れ姿勢に対する係止溝8bは省略されているが、係止突起8aがスライド孔6の端部6aに当接することによりスライド部材4の本体容器2に対する位置決めが行われる。
【0033】
次に図5〜7を参照して、本発明の基本構成における粒状物質の携帯容器10の作用について説明する。
【0034】
図5は本発明の基本構成における粒状物質の携帯容器10の収納姿勢を示す断面図である。この収納姿勢は、スライド部材4を本体容器2内部に収納させた状態であり、この姿勢により、粒状物質の携帯容器10は、本体容器2を傾けて本体容器2内部にある粒状物質1を収容部4cに収容することが可能となる。
【0035】
この時、本体容器2において収納姿勢にあるスライド部材4の収容部4cの両側方に、粒状物質1を案内するための勾配形状を有するスロープ5が、収容部4cの両側方に形成されているので、本体容器2の底部2aから収容部4cの凹部に粒状物質1が案内されるようになっている。
【0036】
そして、粒状物質1を外部に取り出す際には、表面に滑り止め手段7dを設けた操作部7bを外部から操作してスライド孔6に沿ってスライドさせ、操作部7bの裏面に設けられた係止突起8a(図4)と、本体容器2のスライド孔6の近傍に設けられた係止溝8b(図3)とを係合させる位置決め手段8により、操作部材7およびスライド部材4の本体容器2に対する位置決めを行ってスライド部材4を次の取り出し姿勢に姿勢変更する。
【0037】
図6は、この取り出し姿勢を示す断面図である。この取り出し姿勢は、スライド部材4をスライドさせて入出口3から収容部4cを外部に露出させた状態であり、この姿勢により、粒状物質の携帯容器10は、収容部4cに収容された粒状物質1を外部に取り出し可能となる。
【0038】
この時、スライド部材4の収容部4cには粒状物質1を一個ずつ保持する凹部4eが所定数配列されているので、スライド部材4を一回操作する毎に凹部4eの一定の数量だけ粒状物質1を取り出すことができる。
【0039】
そして、粒状物質1を内部に充填する際には、操作部7bを外部から操作してスライド孔6に沿ってさらにスライドさせ、操作部7bの裏面に設けられた係止突起8a(図4)と、本体容器2のスライド孔6の近傍に設けられた係止溝8b(図3)とを係合させる位置決め手段8により、操作部材7およびスライド部材4の本体容器2に対する位置決めを行って、スライド部材4を次の受け入れ姿勢に姿勢変更させる。
【0040】
図7は、この受け入れ姿勢を示す断面図である。この受け入れ姿勢は、取り出し姿勢からさらにスライド部材4を外部に引き出して受け入れ部4dを外部に露出させた状態であり、この姿勢により、受け入れ部4dを介して粒状物質1を上方から本体容器2内部に受け入れ可能となる。
【0041】
そして、上記取り出し姿勢や上記受け入れ姿勢から再び収納姿勢に戻る際には、操作部7bを外部から操作してスライド孔6に沿ってスライドさせることにより、スライド部材4を図1の収納姿勢に姿勢変更させる。この時、受け入れ部4dの底部4gから本体容器2の底部2aに斜めに下る勾配形状の縁部4hにより、粒状物質1を上方に排除しながらスライド部材4が収納され、本体容器2の底部2aに滞留している粒状物質1をスライド部材4の他方の端部4fで圧縮したり噛み込んだりすることを回避する。
【0042】
このように、本発明の基本構成おける粒状物質の携帯容器10によれば、収納姿勢と取り出し姿勢とにおいて、スライド部材4が、一方の端部4aの上面4bに粒状物質1を収容する上方開口有底の複数の収容部4cを二次元的に配列しているので、より多数の粒状物質1を収容部4cに収容可能かつ本体容器2の外部に取り出し可能とすることができる。
【0043】
また、受け入れ姿勢において、受け入れ部4dを介して粒状物質1を上方から本体容器2内部に受け入れ可能な構成になっているので、本体容器2の内部に粒状物質1を受け入れるための受け入れ口と受け入れ機構とを別途に設ける必要がない。
【0044】
次に、収納姿勢にあるスライド部材4の収容部4cの凹部に本体容器2の底部2aから粒状物質1を案内するための勾配形状を有するスロープ5が、本体容器2において収容部4cの両側方に形成されているので、収納姿勢においてスライド部材4の収容部4cの両側方に粒状物質1が滞留することを防止することができる結果、最後の一個まで支障なく取り出すことができる。
【0045】
また、本体容器2の底部2aに立設される複数のリブ5aの頂部の集合からスロープ5の勾配形状を形成しているので、スリットが多数設けられた構造になる結果、本体容器2全体を軽量化するとともに、前後の重量バランスのよい粒状物質の携帯容器10とすることができる。
【0046】
また、スライド部材4の他方の端部4fが、受け入れ部4dの底部4gから本体容器2の底部2aに斜めに下る勾配形状の縁部4hを有しており、勾配形状の縁部4hにより、粒状物質1を上方に排除しながらスライド部材4を収納するので、本体容器2の底部2aに滞留している粒状物質1をスライド部材4の他方の端部4fで圧縮したり、スライド部材4のスライドする溝と他方の端部4fとの間に噛み込んだりすることを回避してスムースにスライド部材4を操作することができる。
【0047】
また、スライド部材4の収容部4cに粒状物質1を一個ずつ保持する凹部4eが所定数配列されているので、スライド部材4を一回操作する毎に凹部4eの一定の数量だけ粒状物質1を取り出すことができる結果、使用者はその都度粒状物質1を数える煩わしさから解放される。
【0048】
さらに、本体容器2の頂部に設けられた直線状のスライド孔6を貫通して外部に露出する操作部材7にスライド部材4が連結されており、この操作部材7を外部から操作してスライド孔6に沿ってスライドさせるという簡単な構成により、スライド部材4を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることができる。
【0049】
また、収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢の各姿勢において操作部材7およびスライド部材4の本体容器2に対する位置決めを行う位置決め手段8が、本体容器2と操作部材7との間に設けられているので、常に各姿勢の状態にスライド部材4と操作部材7とを保持する必要が無く、操作性の良い粒状物質の携帯容器10とすることができる。
【0050】
そして、操作部7bの裏面に設けられた係止突起8aと、本体容器2のスライド孔6の近傍に設けられた係止溝8bとを係合させるという簡単な構成で操作部材7およびスライド部材4の本体容器2に対する位置決めをすることができる。
【0051】
次に、図〜図11を参照して、本発明の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20について詳述する。図は本発明の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20の構成を示す斜視図である。また、図は粒状物質の携帯容器20の構成を示す構造図であり、(a)は、平面図を、(b)は、側面図を、(c)は、端面図をそれぞれ示している。また、図10は粒状物質の携帯容器20の構成を示す断面図である。なお以下の説明では、本発明の基本構成の粒状物質の携帯容器10と同様の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
【0052】
これらの図を参照して、図示の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20は、本体容器22と、本体容器22に対して摺動可能なスライド部材24とを備えている。また、本体容器22およびスライド部材24により構成される容器内に形成され多数個の粒状物質1を貯留可能とする粒状物質貯留部29と、スライド部材24の一端側の上面に、所定数の粒状物質1を収容する収容部24cとを備えている。
【0053】
また、上記本体容器22とスライド部材24との間には、スライド部材24の収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢の各姿勢においてスライド部材24の本体容器22に対する位置決めを行うスライド部材位置決め手段28が設けられている。
【0054】
上記本体容器22は、下方が開放された箱状の合成樹脂製の容器であり、頂部に窪み形状からなる押さえ部22aと、両側面に、スライド部材24を摺動可能に保持するレール部22bとを有している。
【0055】
上記スライド部材24は、所定数の粒状物質1を保持しながら、本体容器22に対して一端側が外部に突出する状態と本体容器22内に没入する状態とにわたって摺動可能に構成された合成樹脂製のトレー形状の部材であり、一端側の下面に滑り止めとしての溝列部24a(図)と、両側面下方に本体容器22のレール部22bに対して摺動可能に嵌合する溝部24b(図(c))とを有している。そして、本体容器22の押さえ部22aやスライド部材24の溝列部24aなどを外部から操作してスライド部材24をレール部22bと溝部24bとの嵌合に沿ってスライドさせることにより、スライド部材24を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢を変更させることができるように構成されている。
【0056】
また、スライド部材24には、スライド部材24の底部から収容部の凹部24eに粒状物質1を案内するための勾配形状を有するスライド部材側スロープ25が形成され、このスライド部材側スロープ25は、スライド部材24の底部に立設される複数のスライド部材側リブ25aの頂部の集合からこの勾配形状を形成している。
【0057】
上記粒状物質貯留部29は、実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20においては、第一の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器10と異なり、携帯容器20が水平の状態で主にスライド部材24側に保持されるように形成されている。
【0058】
上記スライド部材位置決め手段28は、本体容器22側に設けられた複数のスライド部材係止突起28a、28b、28cと、スライド部材24に設けられた係止板28dとを係合させることにより、スライド部材24の本体容器22に対する位置決めを行うように構成されている。
【0059】
次に図10と図11とを参照して、本発明の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20の作用について説明する。
【0060】
10を参照して、図示の姿勢は、粒状物質の携帯容器20の収納姿勢を示しており、本体容器22側に設けられたスライド部材係止突起28aと、スライド部材24に設けられた係止板28dとが係合して、スライド部材24の本体容器22に対する位置決めが行われることにより、スライド部材24が、本体容器22に収納されている。
【0061】
そして、この収納姿勢の状態で収容部24cが下になるように本体容器22を傾けると、スライド部材側スロープ25の勾配形状により、粒状物質貯留部29にある粒状物質1がスライド部材24の底部から収容部24cの凹部24eに案内される。
【0062】
次に、図11(a)は、本発明の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20において、取り出し姿勢を示す断面図である。
【0063】
11(a)を参照して、粒状物質1を外部に取り出す際には、スライド部材24をレール部22bと溝部24bとの嵌合に沿ってスライドさせ、本体容器22の裏面に設けられたスライド部材係止突起28bと、スライド部材24の係止板28dとを係合させることにより、スライド部材24を図11(a)の取り出し姿勢に姿勢変更する。
【0064】
そして、この姿勢により、粒状物質1の携帯容器20は、収容部24cに収容された粒状物質1を外部に取り出すことが可能となる。
【0065】
また、図11(b)は、本発明の実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20において、受け入れ姿勢を示す断面図である。
【0066】
この姿勢においては、スライド部材24が取り出し姿勢からさらに外部に引き出されて、受け入れ部24dが外部に露出され、本体容器22側に設けられたスライド部材係止突起28cと、スライド部材24に設けられた係止板28dとが係合して、スライド部材24の本体容器22に対する位置決めが行われている。この受け入れ姿勢により、受け入れ部24dを介して粒状物質1を上方から本体容器22内部に受け入れ可能となる。
【0067】
このように、実施の形態に係る粒状物質の携帯容器20によれば、本体容器22のレール部22bに沿ってスライド部材24をスライドさせるという簡単な構成により、スライド部材24を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることができる。
【0068】
また、押さえ部22aを外部から押さえた状態でスライド部材24をスライドさせるので、より容易にスライド部材24を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることができる。
【0069】
そして、上記本体容器22とスライド部材24との間に、スライド部材24の本体容器22に対する位置決めを行うスライド部材位置決め手段28を備えているので、常に各姿勢の状態に本体容器22とスライド部材24とを保持する必要が無く、操作性の良い粒状物質1の携帯容器とすることができる。
【0070】
また、本体容器22側に設けられた複数のスライド部材係止突起28a、28b、28cと、スライド部材24に設けられた係止板28dとを係合させるという簡単な構成で操作部材およびスライド部材24の本体容器22に対する位置決めを行うことができる。
【0071】
そして、勾配形状を有するスライド部材側スロープ25により、スライド部材24の底部から収納姿勢にあるスライド部材24の収容部24cに粒状物質1を案内するので、スライド部材24の底部に粒状物質1が滞留することを防止することができる結果、最後の一個まで支障なく取り出すことができる。
【0072】
また、スライド部材24の底部に立設される複数のスライド部材側リブ25aの頂部の集合からスライド部材側スロープ25の勾配形状が形成されるので、スリットが多数設けられた構造になる結果、スライド部材24全体を軽量化するとともに、前後の重量バランスのよい粒状物質1の携帯容器とすることができる。
【0073】
また、収容部の凹部24eが粒状物質1を一個ずつ保持するので、スライド部材24を一回操作する毎に凹部24eの一定の数量だけ粒状物質1を取り出すことができる結果、使用者はその都度粒状物質1を数える煩わしさから解放される。
【0074】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
【0075】
例えば、粒状物質1としては、漢方薬のダラニスケの丸薬に限定されず、また、タブレット状に形成された医薬、栄養補助食品に必ずしも限定されない。粒状の物質であれば、その他の食品など種々の物質の適用が可能である。
【0076】
また、本体容器22も、必ずしも図示の形状の合成樹脂製の容器に限定されない。所定の個数の粒状物質1を充填可能な容量を有していれば形状、材質ともに種々の設計変更が可能である。
【0077】
上記入出口3も、概ね矩形の開孔に限らず、曲線部分を有するなど種々の設計変更が可能である。
【0078】
また、スライド部材側スロープ25も、必ずしも図示の形状のように複数のスライド部材側リブ25aの頂部の集合から勾配形状を形成することに限定されない。粒状物質1が滞留することを防止するように、粒状物質1を案内するための勾配形状を有する形状であれば、例えば、一つのスロープ面を有する構造であってもよいなど、種々の設計変更が可能である。
【0079】
た、スライド部材位置決め手段28も、必ずしも図示の形状に限定されず、スライド部材24の本体容器22に対する位置決めを行うことができる構造であれば、種々の設計変更が可能である。
【0080】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0081】
1 粒状物質
22 本体容器
3 入出口
24 スライド部材
24c 収容部
24d 受け入れ部
24e 凹部
20 粒状物質の携帯容器
25 スライド部材側スロープ
25a スライド部材側リブ
22a 押さえ部
22b レール部
24b 溝部
28 スライド部材位置決め手段
28a、28b、28c スライド部材係止突起
28d 係止板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物質を収容して携帯するために用いられる粒状物質の携帯容器であって、
本体容器と、この本体容器に対して一端側が外部に突出する状態と本体容器内に没入する状態とにわたって摺動可能なスライド部材と、これら本体容器およびスライド部材により構成される容器内に多数個の粒状物質を貯留可能とする粒状物質貯留部と、上記スライド部材の上記一端側の上面に、所定数の粒状物質を収容する収容部と、前記スライド部材の前記本体容器に対する位置決めを行うスライド部材位置決め手段とを備え、
前記スライド部材をスライドさせることにより、前記スライド部材を前記本体容器内部に収納させた収納姿勢と、前記スライド部材を所定量だけスライドさせて入出口から収容部を外部に露出させた取り出し姿勢と、前記取り出し姿勢からさらに前記スライド部材を外部に引き出した受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることが可能であって、
前記収納姿勢では本体容器を傾けて本体容器内部にある粒状物質を上記収容部に収容可能とし、前記取り出し姿勢では収容部に収容された粒状物質を外部に取り出し可能とし、前記受け入れ姿勢では上記粒状物質貯留部に通じる開口が外部に露出して粒状物質を外部から粒状物質貯留部に受け入れ可能とし、かつ、前記スライド部材位置決め手段は前記本体容器側に設けられた複数のスライド部材係止突起と、スライド部材に設けられた係止板とを備え、前記複数のスライド部材係止突起に対する前記係止板の係止位置を変更することで、前記スライド部材の収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢の各姿勢において前記位置決めを行うように構成され、
更に、前記収容部は前記所定数の粒状物質を1個ずつ各別に保持する凹部を前記所定数と同じ数で有し、これらの凹部が二次元的であって前記スライド部材をスライドさせる方向に沿うように配列されていることを特徴とする粒状物質の携帯容器。
【請求項2】
上記スライド部材は、スライド部材の底部から収容部の凹部に粒状物質を案内するための勾配形状を有するスライド部材側スロープを形成したことを特徴とする請求項1に記載の粒状物質の携帯容器。
【請求項3】
上記スライド部材側スロープは、スライド部材の底部に立設される複数のスライド部材側リブの頂部の集合から上記勾配形状を形成したことを特徴とする請求項2に記載の粒状物質の携帯容器。
【請求項4】
上記本体容器は、スライド部材を摺動可能に保持するレール部を有し、
上記スライド部材は、このレール部に対して摺動可能に嵌合する溝部を有し、
上記レール部に沿ってスライド部材をスライドさせることにより、スライド部材を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の粒状物質の携帯容器。
【請求項5】
上記本体容器は、頂部に窪み形状からなる押さえ部を有し、
この押さえ部を外部から押さえた状態でスライド部材をスライドさせることにより、スライド部材を収納姿勢と、取り出し姿勢と、受け入れ姿勢との間で姿勢変更させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の粒状物質の携帯容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−105746(P2010−105746A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32252(P2010−32252)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【分割の表示】特願2003−432854(P2003−432854)の分割
【原出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【出願人】(000107114)シンコハンガー株式会社 (6)