説明

粒状物

【課題】耳腔、鼻腔、口腔などに局所投与可能で、投与部位に長時間に亘り保持される製剤を提供する。
【解決手段】乾式造粒法により得た、ゲル形成性物質および低融点物質を含む造粒物に関する。薬物、ゲル形成性物質および低融点物質を乾式造粒して得た造粒物に水などを添加、またはゲル形成性物質および低融点物質を乾式造粒して得た造粒物に薬物溶液または薬物分散液を添加すると、粘着性を有するゲルを容易に形成する。このゲルは、局所投与を望む耳腔、鼻腔、口腔などの適用部位に、薬物を長時間に亘り留めることができる。また、水や熱に不安定な薬物を容易にゲル化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な粒状物およびゲル製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、局所投与用の製剤として、軟膏剤、ゲル製剤、クリーム剤、液剤等が知られている。局所投与は、患部における薬物濃度を高濃度に維持することができ、優れた治療効果が期待できる上、さらに全身投与時に懸念される副作用を回避することができるという利点がある。実際、耳鼻科領域では、耳腔内、鼻腔内に抗菌剤や抗生物質等を局所投与することにより、中耳炎や副鼻腔炎等に効果を示し、副作用がないことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、抗菌剤や抗生物質等の液剤を投与した場合、薬液が投与部位から流れ出てしまい、持続的な効果を期待することができなくなるという懸念がある。また、鼻腔や副鼻腔内では、繊毛運動等の異物排出運動があり、製剤が投与部位から排出されてしまうという懸念がある。
したがって、鼻腔や副鼻腔内への投与後、投与部位から排出され難く、投与部位に長時間に亘り保持される製剤が望まれている。
【0003】
【非特許文献1】耳鼻と臨床、1990年、第36巻、補冊3号、p.523−536
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な粒状物および耳腔、鼻腔、口腔などに局所投与可能で、投与部位に長時間に亘り保持される製剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、薬物、ゲル形成性物質および低融点物質を乾式造粒して得た造粒物に水などを添加、またはゲル形成性物質および低融点物質を乾式造粒して得た造粒物に薬物溶液または薬物分散液を添加すると、粘着性を有するゲルを容易に形成し、薬物を適用部位に長時間に亘り留めることができることを新たに見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は耳腔、鼻腔、口腔などに局所投与可能な製剤に関するものであり、以下の発明に関する。
(1)乾式造粒法により得た、ゲル形成性物質および低融点物質を含む造粒物。
(2)乾式造粒法が溶融造粒法である上記(1)記載の粒状物。
(3)ゲル形成性物質が、セルロース誘導体、ポリビニル系高分子化合物、多糖類から選ばれる1種または2種以上の組み合せである上記(1)または(2)記載の粒状物。
(4)ゲル形成性物質が、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、アクリル酸エステルと酢酸ビニルとの共重合体、ポリエチレンオキサイド、キサンタンガム、カラギーナン、グァーガム、アラビアゴム、ペクチン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の組み合せである上記(1)または(2)記載の粒状物。
(5)低融点物質の融点が30〜100℃である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の粒状物。
(6)低融点物質が、疎水性低融点物質である上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の粒状物。
(7)低融点物質が、親水性低融点物質である上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の粒状物。
(8)低融点物質が、炭化水素類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、高級アルコール類、多価アルコール類およびロウ類からなる群より選ばれる1種または2種以上の組み合せである上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の粒状物。
(9)低融点物質が、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、硬化油、木ロウ、カカオ脂、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アセチルグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノ脂肪酸グリセリン、トリ脂肪酸グリセリン、セタノール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、カルナウバロウ、ミツロウ、サラシミツロウからなる群より選ばれる1種または2種以上の組み合せである上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の粒状物。
(10)低融点物質およびゲル形成性物質の重量比が、1:1〜1:15である上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の粒状物。
(11)さらに流動化剤を含む上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の粒状物。
(12)流動化剤が、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム造粒物からなる群より選ばれる上記(11)記載の粒状物。
(13)さらに薬物を含有する上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の粒状物。
(14)上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の粒状物、および、薬物溶液または薬物分散液を含むキット製品。
(15)上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の粒状物、薬物、および、水または水溶液を含むキット製品。
(16)上記(13)記載の粒状物、および水または水溶液を含むキット製品。
(17)ゲル形成性物質、低融点物質、薬物および水を含むゲル製剤。
(18)上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の粒状物に、薬物溶液または薬物分散液を添加して、ゲル製剤を製造する方法。
(19)上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の粒状物に、薬物溶液または薬物分散液を添加して得られるゲル製剤。
(20)上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の粒状物に、薬物、および、水または水溶液を添加して、ゲル製剤を製造する方法。
(21)上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の粒状物に、薬物、および、水または水溶液を添加して得られるゲル製剤。
(22)上記(13)記載の粒状物に水または水溶液を添加して、ゲル製剤を製造する方法。
(23)上記(13)記載の粒状物に水または水溶液を添加して得られるゲル製剤。
(24)局所投与用である上記(1)〜(13)のいずれか1つに記載の粒状物、上記(14)〜(16)のいずれか1つに記載のキット製品および上記(17)、(19)、(21)、(23)のいずれか1つに記載のゲル製剤。
【発明の効果】
【0007】
後記実施例から明らかなように、本発明の粒状物に水などを添加すると、粘着性を有するゲルを容易に形成し、ゲル製剤となる。このゲル製剤は、従来の製剤(例えば、液剤など)では達成できなかった耳腔、鼻腔、口腔などの局所に、薬物を長時間に亘り留めることができ、効果的な薬物治療ができる。
また、本発明のゲル製剤は、水や熱に不安的な薬物にも適用することができ、適用する薬物を選ぶことがなく、優れたものである。すなわち、水に不安定な薬物を適用する場合、薬物を含む粒状物を乾式造粒法により得れば、薬物は水と接触することは一切ない。ゲル製剤の調製は、投与直前に水等を添加することにより行えばよいので、水による薬物への影響を排除することができる。また、熱に不安定な薬物を適用する場合、薬物を含まない粒状物を製し、熱に不安定な薬物の溶液または分散液を添加するか、粒状物に薬物を混合し、水等を添加してゲル製剤の調製を行えばよいので、熱による薬物への影響を排除することができる。
さらに、本発明のゲル製剤は、人体にとって有害な有機溶媒を使用しないので、安全なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明にかかるゲル形成性物質としては、水、水溶液等の液体と混合するとゲル化する物質であればすべてを含み、特に限定されるべきものではない。中でも、本発明においては、親水性のゲル形成性物質が好ましく、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、アクリル酸エステルと酢酸ビニルとの共重合体等のポリビニル系高分子化合物、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム等のヒサルロン酸の塩、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のコンドロイチン硫酸の塩等の多糖類、ポリエチレンオキサイド、キサンタンガム、カラギーナン、グァーガム、アラビアゴム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0009】
本発明にかかる低融点物質としては、その融点が30〜100℃、好ましくは50〜80℃であればいずれでもよい。低融点物質としては、親水性低融点物質でも、疎水性低融点物質のいずれでもよく、例えば、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン等の炭化水素類;硬化油(硬化ヒマシ油、硬化大豆油、硬化ナタネ油、硬化綿実油など)、木ロウ、カカオ脂等の油脂類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸類;アセチルグリセリン脂肪酸エステル(アセチル化グリセリンモノステアレートなど)、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノステアレートなど)、モノ脂肪酸グリセリン(モノステアリン酸グリセリンなど)、トリ脂肪酸グリセリン(トリステアリン酸グリセリンなど)等の脂肪酸エステル類;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;カルナウバロウ、ミツロウ、サラシミツロウ等のロウ類などの疎水性低融点物質やポリエチレングリコール(マクロゴール4000、マクロゴール6000など)等の多価アルコール類などの親水性低融点物質、またはこれらの混合物を挙げることができる。また、2種以上の物質を混合することにより見かけの凝固点降下を起こし、融点が30〜100℃、好ましくは50〜80℃となったものも使用することができる。さらに、イブプロフェンやトリメタジオンなどの低融点を有する薬物の場合は、低融点物質を用いることなく、それ自体の融点を利用してもよい。
【0010】
本発明の粒状物は、ゲル形成性物質と低融点物質を用い、乾式造粒法により得られるものである。一般に、ゲル形成性物質を含む非造粒粉体は、流動性が悪く、製剤の製造適性に難点があり、また、非造粒粉体に水等を添加すると、粉体の表面等の一部のみが瞬時に水和/ゲル化するのみで、粉体の大部分はゲル化せず粉体のままとなってしまい、好ましくない。製造適性やゲル化の点で粒状物とするのが好ましい。本発明の粒状物の製造法である乾式造粒法としては、低融点物質を溶融して得た溶融液に、ゲル形成性物質(および薬物)を溶解または分散した後、冷却・固化して塊状物やシート状物質に成型し、次いでこのものを破砕機で粒状に成型・調粒する方法(乾式顆粒圧縮法)や低融点物質、ゲル形成性物質(および薬物)を、低融点物質以上の温度で流動混合下、ゲル形成性物質(および薬物)を低融点物質に付着させる方法(溶融造粒法)などを挙げることができる。なお、粒状物の粒子径を制御するためには、乾式顆粒圧縮法においては、破砕する際に、所望の粒子径になるよう破砕すればよく、溶融造粒法においては、低融点物質の粒子径や量、低融点物質に付着させる物質の粒子径や量を制御すればよい。溶融造粒法における粒子径の制御は、低融点物質および低融点物質に付着させる物質の粒子径や量に依存するため、所望の粒状物の粒子径に応じて、適宜検討すればよいが、例えば、低融点物質の粒子径としては、レーザー回析式粒子径測定法により測定した場合の50%体積累積粒子径が20〜1000μmであるものが好ましく、100〜500μmであるものがさらに好ましいが、特にこれに限定されるべきものではない。低融点物質に付着させる物質の粒子径としては、レーザー回析式粒子径測定法により測定した場合の50%体積累積粒子径が10〜500μmであるものが好ましく、30〜300μmであるものがさらに好ましいが、特にこれに限定されるべきものではない。
【0011】
本発明の粒状物における低融点物質およびゲル形成性物質の組成比(重量比)は、所望の粒状物の粒子径に応じて、適宜検討すればよいが、例えば、1:1〜1:15とするのが好ましく、1:2〜1:10とするのがさらに好ましく、1:5〜1:8とするのが特に好ましい。本発明においては、粒状物を製する方法として溶融造粒法が好ましい。
【0012】
本発明にかかる薬物は、特に限定されるべきものではないが、例えば、患部等への局所投与に適した抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス薬、抗炎症薬、白斑治療薬、角化症治療薬、局所麻酔薬、抗癌剤、褥瘡・皮膚潰瘍治療剤や作用発現の点で経口投与が望ましくない遺伝子、ペプチド、タンパク質等を挙げることができる。
【0013】
本発明の粒状物は、経口的および非経口的に投与することができ、また局所的に投与することができる。投与に際しては、本発明の粒状物中に薬物を含む場合は、容器に入れた本発明の粒状物に水または水溶液を添加して、ゲル製剤を製して投与すればよく、また、本発明の粒状物中に薬物を含まない場合は、容器に入れた本発明の粒状物に薬物溶液または薬物分散液を添加して、ゲル製剤を製して投与すればよい。水や溶液の添加量は、ゲル製剤における所望の粘度等に応じて、適宜検討すればよい。熱に不安定な薬物を本発明のゲル製剤に適用する場合は、薬物を含まない本発明の粒状物に薬物溶液または薬物分散液を添加する方法や本発明の粒状物に薬物を混合し、次いで水等を添加する方法を適用すればよく、また、水に不安定な薬物を本発明のゲル製剤に適用する場合は、薬物を含む本発明の粒状物に水または水溶液を添加する方法を適用すればよい。本発明においては、水や熱に不安的な薬物のゲル製剤を容易に用時調製することができる。水に不安定な薬物をゲル製剤に適用する場合には、用時調製するのが望ましい。
【0014】
容器は、チューブ、バイアル、アンプル、シリンジなどを挙げることができ、その材質としては、ガラス、プラスチック、金属などを挙げることができるが、特に限定されるべきものではない。投与の簡便性等から、本発明においては、容器としてシリンジが好ましい。すなわち、シリンジ中に本発明の粒状物を充填し、使用時に水等を注入することで、速やかにシリンジ内でゲル製剤が調製され、調製されたゲル製剤を所望の箇所に、所望によりチューブ等を介して投与することにより、容易に局所投与することができる。
【0015】
また、本発明の粒状物は、本発明の薬物を含む粒状物と水または水溶液とを組み合わせたキット製品、また、本発明の薬物を含まない粒状物と薬物溶液または薬物分散液とを組み合わせたキット製品、本発明の薬物を含まない粒状物、薬物と水または水溶液とを組み合わせたキット製品として提供することもできる。ここで、水溶液としては、注射用水、生理食塩液、各種緩衝液等を挙げることができる。また、薬物溶液、薬物分散液における溶媒、分散媒も水や前記水溶液と同様のものを挙げることができるが、これらのみに限定されるべきものではない。
【0016】
本発明の粒状物には、さらに適当な製剤添加物を加えることができる。製剤添加物は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜加えればよい。製剤添加物としては、例えば、賦形剤、滑沢剤、流動化剤等を挙げることができる。
【0017】
賦形剤としては、結晶セルロース、粉末セルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、二酸化ケイ素、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、乳酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、乳糖、白糖、マンニトール、エリスリトール、トレハロース、ブドウ糖、果糖等を挙げることができる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、硬化油、フマル酸ステアリルナトリウム等を挙げることができる。
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム造粒物等を挙げることができる。これら製剤添加物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
本発明の粒状物は、粒子径を比較的大きくしたもの(200〜1000μm、好ましくは、300〜1000μm)を用いることにより、水などを本発明の粒状物に添加した際、速やかにゲル化させることができる。具体的には、乾式造粒法にて製した粒状物を篩い分けした際に、粒子径が106μm以下の画分の割合が、全粒状物の20%以下になるように調粒したものが好ましく、粒子径が150μm以下の画分の割合が、全粒状物の20%以下になるように調粒したものがさらに好ましく、粒子径が250μm以下の画分の割合が、全粒状物の20%以下になるように調粒したものがより好ましい。
【0019】
本発明の粒状物、ゲル製剤の患者への投与量は、患者の性別、年齢、症状、薬物の種類、薬物の投与量、投与方法、投与回数、投与時期等により適宜検討を行い、適当な投与量を決めればよい。
【0020】
以下に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらにのみ限定されるべきものではない。
【実施例】
【0021】
実施例1
流動層造粒機(マルチプレックス MP−01型;株式会社パウレック製)にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H;日本曹達株式会社製)237.5g、マクロゴール6000(平均粒子径:127μm)32.5gおよびタルク5gを入れ、吸気温度を85℃に設定して、加熱流動させながら造粒した後冷却し、16号、30号、42号、60号、100号、140号および200号のふるいを用いて篩下し、各粒度ごとの造粒物を得た。
【0022】
実施例2
流動層造粒機(マルチプレックス MP−01型;株式会社パウレック製)にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L;日本曹達株式会社製)237.5g、マクロゴール6000(平均粒子径:127μm)32.5gおよびタルク5gを入れ、吸気温度を85℃に設定して、加熱流動させながら造粒した後冷却し、16号、30号、42号、60号、100号、140号および200号のふるいを用いて篩下し、各粒度ごとの造粒物を得た。
【0023】
実施例3
流動層造粒機(マルチプレックス MP−01型;株式会社パウレック製)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC−SR;信越化学工業株式会社製)237.5g、マクロゴール6000(平均粒子径:127μm)32.5gおよびタルク5gを入れ、吸気温度を85℃に設定して、加熱流動させながら造粒した後冷却し、16号、30号、42号、60号、100号、140号および200号のふるいを用いて篩下し、各粒度ごとの造粒物を得た。
【0024】
実施例4
流動層造粒機(マルチプレックス MP−01型;株式会社パウレック製)にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H;日本曹達株式会社製)237.5g、ステアリン酸32.5gおよびタルク5gを入れ、吸気温度を90℃に設定して、加熱流動させながら造粒した後冷却し、16号、30号、42号、60号、100号、140号および200号のふるいを用いて篩下し、各粒度ごとの造粒物を得た。
【0025】
実施例5
流動層造粒機(マルチプレックス MP−01型;株式会社パウレック製)にヒドロキシプロピルセルロースHPC−H;日本曹達株式会社製)237.5g、ステアリルアルコール32.5gおよびタルク5gを入れ、吸気温度を81℃に設定して、加熱流動させながら造粒した後冷却し、16号、30号、42号、60号、100号、140号および200号のふるいを用いて篩下し、各粒度ごとの造粒物を得た。
【0026】
実施例6
流動層造粒機(マルチプレックス MP−01型;株式会社パウレック製)にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H;日本曹達株式会社製)237.5g、モノステアリン酸グリセロール32.5gおよびタルク5gを入れ、吸気温度を95℃に設定して、加熱流動させながら造粒した後冷却し、16号、30号、42号、60号、100号、140号および200号のふるいを用いて篩下し、各粒度ごとの造粒物を得た。
【0027】
実施例7
流動層造粒機(マルチプレックス MP−01型;株式会社パウレック製)にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H;日本曹達株式会社製)237.5g、マクロゴール6000(平均粒子径:235μm)32.5gおよびタルク5gを入れ、吸気温度を85℃に設定して、加熱流動させながら造粒した後冷却し、16号、30号、42号、60号、100号、140号および200号のふるいを用いて篩下し、各粒度ごとの造粒物を得た。
【0028】
実施例8
流動層造粒機(マルチプレックス MP−01型;株式会社パウレック製)にレボフロキサシン2.8g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H;日本曹達株式会社製)234.7g、マクロゴール6000(平均粒子径:237μm)32.5gおよびタルク5gを入れ、吸気温度を85℃に設定して、加熱流動させながら造粒した後冷却し、16号、30号、42号、60号、100号、140号および200号のふるいを用いて篩下し、造粒物を得た。
【0029】
試験例1
実施例1〜8で得た篩い分け前の粒状物および30号〜200号の篩で篩い分けした各画分それぞれ100mgを1mLのシリンジ(注射針付)に充填し、針先から生理食塩液を吸引し、ゲル化製剤を得た。実施例1〜8で得た粒状物の粒度分布およびゲル化度を下表に示した。なお、ゲル化度については、生理食塩液を吸引した際に、ゲル化した部分の内容物全体に対する割合をシリンジの目盛りを読み取ることにより評価した。
【0030】


【産業上の利用可能性】
【0031】
前記実施例から明らかなように、本発明の粒状物に水などを添加すると、容易にゲルを形成し、ゲル製剤を調製することができる、本発明のゲル製剤は、薬物を適用部位に長時間に亘り留めることができ、局所投与製剤として優れているものである。
また、本発明者の粒状物は、用時調製用の局所投与製剤(ゲル製剤)の原料として有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の粒状物を用い、ゲル製剤を調製する方法および使用方法の概略を示した一例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式造粒法により得た、ゲル形成性物質および低融点物質を含む造粒物。
【請求項2】
乾式造粒法が溶融造粒法である請求項1記載の粒状物。
【請求項3】
ゲル形成性物質が、セルロース誘導体、ポリビニル系高分子化合物、多糖類から選ばれる1種または2種以上の組み合せである請求項1または2に記載の粒状物。
【請求項4】
ゲル形成性物質が、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、アクリル酸エステルと酢酸ビニルとの共重合体、ポリエチレンオキサイド、キサンタンガム、カラギーナン、グァーガム、アラビアゴム、ペクチン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の組み合せである請求項1または2に記載の粒状物。
【請求項5】
低融点物質の融点が、30〜100℃である請求項1〜4のいずれか1項記載の粒状物。
【請求項6】
低融点物質が、疎水性低融点物質である請求項1〜5のいずれか1項記載の粒状物。
【請求項7】
低融点物質が、親水性低融点物質である請求項1〜5のいずれか1項記載の粒状物。
【請求項8】
低融点物質が、炭化水素類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、高級アルコール類、多価アルコール類およびロウ類からなる群より選ばれる1種または2種以上の組み合せである請求項1〜5のいずれか1項記載の粒状物。
【請求項9】
低融点物質が、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、硬化油、木ロウ、カカオ脂、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アセチルグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノ脂肪酸グリセリン、トリ脂肪酸グリセリン、セタノール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、カルナウバロウ、ミツロウ、サラシミツロウからなる群より選ばれる1種または2種以上の組み合せである請求項1〜5のいずれか1項記載の粒状物。
【請求項10】
低融点物質およびゲル形成性物質の重量比が、1:1〜1:15である請求項1〜9のいずれか1項記載の粒状物。
【請求項11】
さらに流動化剤を含む請求項1〜10のいずれか1項記載の粒状物。
【請求項12】
流動化剤が、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム造粒物からなる群より選ばれる請求項11記載の粒状物。
【請求項13】
さらに薬物を含有する請求項1〜12のいずれか1項記載の粒状物。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項記載の粒状物、および、薬物溶液または薬物分散液を含むキット製品。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか1項記載の粒状物、薬物、および、水または水溶液を含むキット製品。
【請求項16】
請求項13記載の粒状物、および水または水溶液を含むキット製品。
【請求項17】
ゲル形成性物質、低融点物質、薬物および水を含むゲル製剤。
【請求項18】
請求項1〜12のいずれか1項記載の粒状物に、薬物溶液または薬物分散液を添加して、ゲル製剤を製造する方法。
【請求項19】
請求項1〜12のいずれか1項記載の粒状物に、薬物溶液または薬物分散液を添加して得られるゲル製剤。
【請求項20】
請求項1〜12のいずれか1項記載の粒状物に、薬物、および、水または水溶液を添加して、ゲル製剤を製造する方法。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれか1項記載の粒状物に、薬物、および、水または水溶液を添加して得られるゲル製剤。
【請求項22】
請求項13記載の粒状物に水または水溶液を添加して、ゲル製剤を製造する方法。
【請求項23】
請求項13記載の粒状物に水または水溶液を添加して得られるゲル製剤。
【請求項24】
局所投与用である請求項1〜13のいずれか1項記載の粒状物、請求項14〜16のいずれか1項記載のキット製品および請求項17、19、21、23のいずれか1項記載のゲル製剤。

【図1】
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【公開番号】特開2006−176461(P2006−176461A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373008(P2004−373008)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】