説明

粒状食品含有食品の製造方法及びその製造装置

【課題】
粒状食品を1つの粒入り食品中にばらつきを少なくして含有させることが可能な、粒状食品含有食品の製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】
粒状食品供給装置60のホッパー61内に投入された粒状食品を、計量凹部64に充填させた状態で、回転ドラム63を回転させることにより、不要な粒状食品をカバー65で擦り落とすと共に、所定量分だけの粒状食品をノズル67から落下させて、シュート69を介して、モールド20内に供給する。その一方、ベース食品生地供給装置70からも、ベース食品生地を所定量ずつ供給することにより、1つモールド20内にベース食品生地と粒状食品とを充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラムネ菓子等の粒状食品をアイスミックス等のベース食品生地に、ばらつきを少なくして含有させることができる、粒状食品含有食品の製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、清涼感を出すためにラムネ菓子等の粒状食品を、アイスミックス等のベース食品生地に含有させたアイスキャンディー等の粒状食品含有食品が製造され、人気を博している。
【0003】
上記アイスキャンディーは、例えば、図8に示す製造装置によって製造される。この製造装置1は、矢印Aで示すように上流から下流へ動作する、アイスキャンディー成形のためのモールド20と、このモールドにアイスミックス等のミックス原料を供給する充填装置2とを有している。
【0004】
ミックス原料は、シラップ液及び氷と、ラムネ菓子等の粒状食品とが、混ぜ合わされて形成される。すなわち、シラップ液及び氷がサージングタンク3に投入され、攪拌されることにより流動状のベース食品生地が形成される。これをポンプP1により貯蔵タンク4に送り込み、固形状の粒状食品Rを貯蔵タンク4に投入してベース食品生地に混練させることにより、ミックス原料が形成される。このミックス原料は、ポンプP2を介して充填装置2に投入され、この充填装置2によりモールド20内に充填される。
【0005】
また、粒状食品をベース食品生地に含有させる装置として、下記特許文献1には、ベース食品生地が流動しているパイプの上方に配置された投入ホッパーと、この投入ホッパーの側方に連設されたフィード用ホッパーと、このフィード用ホッパー内に配設されて、粒状食品を前記投入ホッパーに送り出すことが可能なスクリューフィーダとが設けられた装置が開示されている。そして、粒状食品をフィード用ホッパーに投入し、スクリューフィーダにより投入ホッパーに送り込み、投入ホッパーを介してパイプ上方から粒状食品を、パイプ内を流動するベース食品生地に落しこむようにして供給している。
【特許文献1】特開2002−369675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8に示す製造装置による製造方法においては、シラップ液及び氷からなるベース食品生地と、粒状食品との双方が、混ぜ合わされてミックス原料が形成されている。しかしながら、流動状態とされたベース食品生地に、固形物たる粒状食品を、ばらつきなく均一に含有させることは難しい。そして、このようなミックス原料をモールドに充填してアイスキャンディーを形成した場合、粒状食品が全く含有されていなかったり、或いは、ある部分に集中的に含有されていたりして、安定した品質を得られないという問題が生じていた。
【0007】
また、上記特許文献1の装置においては、スクリューフィーダに形成された螺旋状の羽根を通して、順々に粒状食品を送り込むようにしているので、螺旋状の羽根の間に、粒状食品が詰まってしまうことがある。こうなると投入ホッパーに粒状食品をスムーズに送り込めなくなり、粒状食品の割れ等の問題も生じる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、粒状食品をモールド内にスムーズに供給できると共に、粒状食品を1つの粒状食品含有食品中にばらつきを少なくして含有させることが可能な、粒状食品含有食品の製造方法及びその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の粒状食品含有食品の製造方法は、ベース食品生地に粒状食品を添加して、モールドに充填して成形する粒状食品含有食品の製造方法において、ホッパーと、このホッパーの下方に配置された回転ドラムとを有し、回転ドラムの周面に粒状食品を受ける計量凹部が形成され、回転ドラムの外周の少なくとも一部をカバーで覆われ、前記ホッパー内に貯留された粒状食品を前記計量凹部に充填させ、前記回転ドラムを回転させることにより、前記計量凹部に充填された粒状食品を前記カバーで覆われていない部分から落下させるように構成された粒状食品供給装置と、ベース食品生地を所定量ずつ供給するベース食品生地供給装置と、前記粒状食品供給装置及び前記ベース食品生地供給装置の各供給口の下方に配置されるモールドとを用い、前記ベース食品生地供給装置から、所定量のベース食品生地を前記モールドに供給すると共に、前記ホッパーに粒状食品を供給し、この粒状食品を前記回転ドラムの計量凹部に充填させ、前記回転ドラムを回転させることにより、前記計量凹部に充填された粒状食品を前記モールドに供給して、ベース食品生地と粒状食品とを前記モールドに充填することを特徴とする。
【0010】
本発明の粒状食品含有食品の製造方法によれば、粒状食品を回転ドラムの計量凹部に充填させ、回転ドラムを回転させることにより、1つの計量凹部に入った粒状食品をモールドに供給するようにしたので、粒状食品のブリッジや割れ等を防止して、スムーズかつ安定してモールド内に供給することができる。また、ベース食品生地供給装置から所定量のベース食品生地をモールドに供給すると共に、粒状食品供給装置により粒状食品を確実にモールドに供給して、1つのモールドにベース食品生地と粒状食品とを充填して成形するようにしたので、1つの粒状食品含有食品中に入る粒状食品の数のばらつきを少なくすることができる。
【0011】
本発明の粒状食品含有食品の製造方法においては、前記粒状食品供給装置から投下される粒状食品をシュートで受けて前記モールドに供給することが好ましい。これによれば、粒状食品をシュートで受けて、その粒状食品がシュート上を転がりながら少しずつモールドに供給されるので、同時に供給されるベース食品生地中に比較的均一に混合させることができる。
【0012】
本発明の粒状食品含有食品の製造方法においては、前記モールドに前記ベース食品生地を供給し、モールドの内周に接触したベース食品生地を部分的に固化し、未固化のベース食品生地を吸引して、モールドの内周に沿って所定厚さでシェルを形成し、前記モールドのシェル内に粒状食品を所定量供給した後、前記粒状食品供給装置及び前記ベース食品生地供給装置により、モールドのシェル内にベース食品生地と粒状食品とを充填することが好ましい。
【0013】
これによれば、所定厚さでシェルを形成した後、粒状食品を供給し、更にベース食品生地と粒状食品とを充填したので、モールドの下方(食べるときには上方となる)に粒状食品が必ず供給され、その結果、成形された食品を食するときに、最初の一口目から粒状食品を味わうことが可能となる。また、シェルを最初に形成したので、粒状食品を露出させず、見栄えがよい粒状食品含有食品を得ることができる。
【0014】
本発明の粒状食品含有食品の製造方法においては、前記粒状食品が、ラムネ菓子、ナッツ類、ドライフルーツ類、野菜チップ類から選ばれた少なくとも1種であり、前記ベース食品生地が、みぞれ、シャーベット、クリームから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。これによれば、上記粒状食品は、割れ易く、ブリッジを起こし易いものであり、また、上記ベース食品生地は、粒状食品を均一に含有させにくいものであるが、本発明の適用対象としてより好適に利用することができる。なお、ベース食品生地がみぞれの場合、シェルを形成するまでのベース食品生地としては、シラップ液が好ましい。
【0015】
本発明の粒状食品含有食品の製造装置は、ベース食品生地に粒状食品を添加して、モールドに充填して成形する粒状食品含有食品の製造装置において、ホッパーと、このホッパーの下方に配置された回転ドラムとを有し、回転ドラムの周面に粒状食品を受ける計量凹部が形成され、回転ドラムの外周の少なくとも一部をカバーで覆われ、前記ホッパー内に貯留された粒状食品を前記計量凹部に充填させ、前記回転ドラムを回転させることにより、前記計量凹部に充填された粒状食品を前記カバーで覆われていない部分から落下させるように構成された粒状食品供給装置と、ベース食品生地を所定量ずつ供給するベース食品生地供給装置と、前記粒状食品供給装置及び前記ベース食品生地供給装置の各供給口の下方に配置されるモールドとを備え、前記ベース食品生地供給装置から、所定量のベース食品生地を前記モールドに供給すると共に、前記ホッパーに粒状食品を供給し、この粒状食品を前記回転ドラムの計量凹部に充填させ、前記回転ドラムを回転させることにより、前記計量凹部に充填された粒状食品を前記モールドに供給して、ベース食品生地と粒状食品とを前記モールドに充填するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の粒状食品含有食品の製造装置によれば、前述したように、粒状食品のブリッジや割れ等を防止して、スムーズかつ安定してモールド内に供給でき、1つの粒状食品含有食品中に入る粒状食品の数のばらつきを少なくして、安定した品質の粒状食品含有食品を製造することができる。
【0017】
本発明の粒状食品含有食品の製造装置においては、前記粒状食品供給装置から投下される粒状食品を受けて前記モールドに供給するシュートが設けられていることが好ましい。これによれば、粒状食品がシュート上を転がりながら少しずつモールドに供給されるので、ベース食品生地中に粒状食品が比較的均一に混合された粒状食品含有食品を得ることができる。
【0018】
本発明の粒状食品含有食品の製造装置においては、前記ベース食品生地供給装置の供給口に前記モールドが配置されたとき、前記シュートの先端部の前方であって、前記モールドの開口部を挟んで反対側には、前記粒状食品を受けて前記モールドの開口部に案内するガイド板が配置されていることが好ましい。これによれば、粒状食品が、シュート上を勢い良く転がり落ちてきても、ガイド板によって受け止めて、モールド内に確実に投下することができるので、粒状食品の供給速度を向上させることが可能となる。
【0019】
本発明の粒状食品含有食品の製造装置においては、前記粒状食品供給装置のホッパー内に、上部に堆積された粒状食品の質量が前記回転ドラムに直接負荷されるのを軽減するための邪魔板が設けられていることが好ましい。これによれば、前記粒状食品供給装置のホッパー内に貯留された粒状食品の質量が上下に堆積した状態で回転ドラムに直接負荷されるのを軽減して、粒状食品が割れたり、回転ドラムとカバーとの隙間に噛み込んだりすることを防止できる。
【0020】
本発明の粒状食品含有食品の製造装置においては、前記粒状食品供給装置の回転ドラムに形成された計量凹部が、開口部に向けて内径が広がる形状をなし、該開口部の最小径の1/2よりも浅い深さであることが好ましい。これによれば、計量凹部に充填された粒状食品が、該計量凹部内でブリッジを起こして落下しにくくなったり、カバーに当接したときに計量凹部から出にくくなって割れたりすることを防止できる。
【0021】
本発明の粒状食品含有食品の製造装置においては、搬送ライン上において、前記粒状食品供給装置の上流側には、ホッパーと、このホッパーの下方に配置されて、前記粒状食品を所定量収容可能な投下孔を有する投下プレートと、この投下プレートの下方に配置されて、前記粒状食品を前記モールドに供給する吐出孔を有するノズルプレートと、前記投下プレート及び前記ノズルプレートの間に挟持されて、前記投下プレートに面する側から前記ノズルプレートに面する側に向かって次第に拡径する形状をなしたテーパ孔を有すると共に、スライド可能とされたスライドプレートとを有し、前記投下プレートの投下孔と前記ノズルプレートの吐出孔とが、前記スライドプレートのスライドによって、前記テーパ孔に交互に連通するように構成されている、初期供給装置が配設されており、前記粒状食品供給装置から前記モールドに粒状食品を供給される前に、前記モールド内に前記粒状食品供給装置からの供給量よりも少量の粒状食品が供給されるように構成されていることが好ましい。
【0022】
これによれば、投下プレートの投下孔に粒状食品が貯留された状態で、スライドプレートをスライドさせると、投下孔がスライドプレートのテーパ孔に連通して、テーパ孔に粒状食品が落とし込まれ、スライドプレートを初期位置にスライドさせると、テーパ孔がノズルプレートの吐出孔に連通して、吐出孔に粒状食品が落し込まれて、この吐出孔からモールドに粒状食品が供給されるようになる。このように、スライドプレートの往復動作によって、テーパ孔が投下孔及び吐出孔に交互に連通するようになるので、粒状食品を、所定量ずつモールドに供給することができる。また、ノズルプレートのテーパ孔は、投下プレート側からノズルプレート側に向かって拡径し、粒状食品の落し込み方向に沿って広がっているので、テーパ孔内における粒状食品のブリッジや割れ等を効果的に防止することができる。
【0023】
そして、粒状食品供給装置の上流側に、上記初期供給装置を配置することにより、モールドの下方(食べるときには上方となる)に粒状食品を充填して、最初の一口目から粒状食品を味わうことを可能にすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、粒状食品を回転ドラムの計量凹部に充填させ、回転ドラムを回転させることにより、1つの計量凹部に入った粒状食品をモールドに供給するようにしたので、粒状食品のブリッジや割れ等を防止して、スムーズかつ安定してモールド内に供給することができる。
【0025】
また、ベース食品生地供給装置から所定量のベース食品生地をモールドに供給すると共に、粒状食品供給装置により所定量の粒状食品を確実にモールドに供給して、1つのモールドにベース食品生地と粒状食品とを充填して成形するようにしたので、1つの粒状食品含有食品中に入る粒状食品の数のばらつきを少なくして、安定した品質の粒状食品含有食品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明においては、ベース食品生地に粒状食品を添加して、粒状食品含有食品を製造するようにしているが、ここでいう粒状食品とは、例えば、ラムネ菓子、キャンディー、チョコレート、クランチ等の固形菓子類、又は、アーモンド、ピーナッツ、マカダミアナッツ、カシューナッツ、くるみ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、クロカント等のナッツ類、ブドウ、リンゴ、バナナ等のドライフルーツ類、更には、カボチャ、サツマイモ、紫イモ、人参等の野菜チップ類が挙げられる。
【0027】
一方、ベース食品生地としては、例えば、氷とシラップ液からなるみぞれ、シャーベット、アイスクリーム等のアイス生地が挙げられる。なお、本発明のアイス生地の代わりに、ビターチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート等のチョコレート生地等を使用することもできる。
【0028】
本発明の実施形態においては、図7に示すようなラムネ菓子入りアイスキャンディー等の粒状食品含有食品(以下、「粒入り食品」という)を製造するものである。すなわち、粒状食品Rとしてラムネ菓子を選択し、これをみぞれ状のアイス生地であるベース食品生地Bに添加して、上記食品を製造するようにしている。なお、この態様に限定されるものではなく、例えば、粒状食品Rとして、アーモンド、ピーナッツ、マカダミアナッツ、カシューナッツ、くるみ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、クロカント等のナッツ類を用い、ベース食品生地Bとして、アイス生地の代わりに、ビターチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート等のチョコレート生地を適用して、ナッツ入りチョコレート菓子等を製造してもよい。
【0029】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0030】
図1には、本発明の粒状食品含有食品の製造装置10(以下、「製造装置10」という)が示されている。
【0031】
この製造装置10は、粒入り食品を成形するためのモールド20を有しており、このモールド20が図示しない搬送手段により、矢印Aで示すように、搬送ラインの上流から下流に向かって移動するようになっている。
【0032】
この実施形態の場合、モールド20は、上方が開口し下方が有底の円筒状をなし、図3に示すように、帯状のプレート21に複数個配設されて、プレート21と直交する方向に移動し、複数の本食品を一度に成形可能となっている。すなわち、帯状のプレート21には搬送ラインに沿って、所定間隔で配列されている。また、このモールド20は、氷点下以下の温度に設定された冷媒が充填された槽(図示せず)に浸漬されていて、この槽内を移動するようになっている。これによりモールド20は、所定温度に保冷された状態で、上流から下流へと移動する。
【0033】
図1に示すように、モールド20の搬送径路の上流には、粒入り食品の外層部分となるシェルを形成するための、シェル充填装置30と、吸引装置40とが配設されている。
【0034】
シェル充填装置30は、上方が開口したホッパー31と、このホッパー31の下方に連設されたケース32と、このケース32の側方に配設されたエアシリンダ33と、ケース32の下方から延出したノズル34とを有している。このノズル34は、1つの帯状プレート21に支持されたモールド20と同じ数だけ設けられている。ホッパー31には、シラップ液及び氷が混練されてなるベース食品生地Bが、図示しない供給手段により供給されて、ケース32内に貯留されるようになっている。また、エアシリンダ33は、左右方向に往復動作して、ケース32内に設けられた図示しないシャッターを開閉可能とされている。
【0035】
そして、ノズル34の下方にモールド20が移動してきたときに、エアシリンダ33が動作し、ケース32内のシャッターを開かせ、ケース32内に貯留されたベース食品生地Bを、所定量ずつモールド20内に供給するようにしている。
【0036】
シェル充填装置30の下流側には、吸引装置40が配設されている。この吸引装置40は、モールド20の上方に配設された吸引ノズル41と、この吸引ノズル41の上方に連設されて上下に昇降動作するエアシリンダ42と、吸引ノズル41の上端に連結されたチューブT1を介して配設されたポンプP3とを有している。更に、ポンプP3にはチューブT2が連結され、このチューブT2の先端が、前記シェル充填装置30のホッパー31の開口に臨んでいる。
【0037】
そして、モールド20の移動に同期して、エアシリンダ42により吸引ノズル41が下降し、シラップ液の未だ固化していない部分に挿入される。なお、モールド20の内周に接触した外層部分は、吸引装置40に移動するまでの間に、冷媒により冷却固化されている。吸引ノズル41がモールド20内に挿入されると、ポンプP3が作動して、チューブT1を介して未固化のシラップ液が吸い込まれて、固化した外層部分だけが残されて、所定厚さのシェルが形成される。ポンプP3内に吸い込まれたシラップ液は、更に、チューブT2を介して、前記シェル充填装置30のホッパー31に返送されるようになっている。なお、上述のように、シェルを形成する際には、上記シラップ液のみが、本発明におけるベース食品生地をなしている。すなわち、本実施形態の場合、シェルを形成する際に用いるベース食品生地(シラップ液のみ)と、シェルを形成した後、その内部に充填されるベース食品生地(シラップ液と氷)とは異なっている。
【0038】
上記吸引装置40の下流には、初期供給装置50が配設されている。この初期供給装置50は、粒入り食品の上部にラムネ菓子等の粒状食品Rを含有させるための装置である。図2を併せて参照すると、この初期供給装置50は、上方が開口したホッパー51と、このホッパー51の下方の開口を閉塞する投下プレート52と、この投下プレート52の下面に当接すると共に、左右方向に往復動作可能とされたスライドプレート53と、スライドプレート53の下面に当接したノズルプレート54とを有している。
【0039】
投下プレート52には、粒状食品Rを通過可能な内径で、投下孔52aが所定間隔をあけて、複数個設けられている。そのため、図示しない供給手段によりホッパー51に供給された粒状食品Rが、投下孔52aを通して落下するようになっている。
【0040】
ノズルプレート54には、投下孔52aと同じ数で、同じ間隔をあけて、吐出孔54aが設けられている。但し、この吐出孔54aは、前記投下孔52aとは、孔一つ分だけずれた位置に設けられている(図2(a)、(b)参照)。また、ノズルプレート54の下方には、吐出孔54aと整合する位置でノズル55が設けられている。
【0041】
スライドプレート53には、図示しないエアシリンダのロッド等が固着されていて、左右にスライド可能とされると共に、投下孔52aと同じ数で、かつ、ほぼ同じ間隔をあけてテーパ孔53aが設けられている。なお、このテーパ孔53aは、投下プレート52に面する側が縮径していて、ノズルプレート54に面する側に向かって次第に拡径して、テーパ形状をなしている。そして、このスライドプレート53は、各テーパ孔53aが吐出孔54aに整合する位置(図2(b)参照)と、各テーパ孔53aが投下孔52aに整合する位置(図2(a)参照)との間でスライドするようになっており、テーパ孔53aが投下孔52a及び吐出孔54aに交互に連通するようになっている。
【0042】
そして、図2(a)に示すように、テーパ孔53aが投下孔52aに整合した状態で、粒状食品Rが投下孔52aを通してテーパ孔53aに充填される。この状態で、図示しないエアシリンダによりスライドプレート53が左方向にスライドすると、図2(b)に示すように、テーパ孔53が吐出孔54aに連通して、テーパ孔53aに充填された粒状食品Rがノズル55に落し込まれて、その下方のモールド20内に供給されるようになっている。
【0043】
上記初期供給装置50の下流には、粒状食品供給装置60が配設されている。
【0044】
この粒状食品供給装置60は、図3及び図4に示すように、上方が開口したホッパー61と、このホッパー61の下方に配設された回転ドラム63とを有している。
【0045】
この回転ドラム63外周の上方の一部が、ホッパー61下方の開口周縁に摺接して、ホッパー61の下方開口が閉塞されている。これにより、ホッパー61の上方開口から、図示しない供給手段により供給された粒状食品Rを、ホッパー61の下方に貯留可能となっている。
【0046】
また、ホッパー61の内周には、その幅方向に沿って所定長さで、上下2つの邪魔板62a,62bからなる邪魔板62が突設されている。上方に配置された邪魔板62aは、ホッパー61の上流側内壁から水平方向に所定長さで突設している。下方に配置された邪魔板62bは、ホッパー61の下流側内壁から突設し、やや斜め下方に伸びて、その端部が下方に折曲した形状をなしている。これらの邪魔板62a,62bの上面で、上下に堆積された粒状食品Rの荷重を受けるようになっている。
【0047】
回転ドラム63には、その周方向一箇所に軸方向に沿って、所定深さの計量凹部64が、所定間隔をあけて複数個設けられている。この計量凹部64は、モールド20と同じ数だけ設けられている。そして、ホッパー61の下方に貯留された粒状食品Rが、計量凹部64に充填されるようになっている。
【0048】
この回転ドラム63の両端部中央からは、回転軸63aが突設されていて、図示しない支持アームに回転可能に軸支されている。また、回転ドラム63の一方の端部には、回転軸63aを介して回転ドラム63を回転させる、図示しない回転装置が連結されている。この回転装置には、エアーによって回転運動をする構造をなしたエアシリンダが内蔵されている。このエアシリンダには、2つのエアー注入管が配設されていて、これによりエアシリンダ内の回転ロータを、反時計方向に半回転させると共に、時計方向にも半回転させることが可能となっている。そして、このような回転装置により、回転ドラム63が、反時計方向及び時計方向に、交互に半回転ずつ回転動作することができるようになっている。これにより、回転ドラム63に形成された、前述の計量凹部64を、周方向の上端位置から下端位置にまで往復回転させることが可能となる。なお、この実施形態においては、回転ドラムを交互に反対方向に半回転させるようにしているが、同一方向に回転させてもよい。
【0049】
ホッパー61の幅方向の下端から、円弧形状をなしたカバー65が、回転ドラム63の外周に沿って延設されている。この実施形態においては、図3に示すように下流側に設けられていて、回転ドラム63の周方向下端までを覆うようにして、回転ドラム63に摺接されている。また、カバー65の下端部からは、前記計量凹部64に整合する位置、個数で、ノズル67が下方に延設されている。
【0050】
前記カバー65は、回転ドラム63の往復回転時に、計量凹部64に充填されたもの以外の余分な粒状食品Rを擦り取って、予め定めた所定量分だけの粒状食品Rをノズル67に落し込むようになっている。
【0051】
また、上記回転ドラム63に形成される計量凹部64は、開口部に向けて内径が広がる形状をなし、該開口部の最小径の1/2よりも浅い深さであることが好ましい。例えば、この実施形態においては、図6(a),(b)に示すように、ほぼ球面状の凹部をなしていて、開口部の直径D1に対して、その1/2よりも短い深さD2で形成されている。同図(c)は深さがD1の1/2となっている例であるが、これよりも浅い深さとすることが望ましい。また、計量凹部64の形状は、上記のような球面状に限らず、同図(d)に示すように、卵形の半分よりも小さくした形状であってもよい。この場合も、深さD4は、開口部の短径D3の1/2よりも、浅い形状とすることが好ましい。その他、凹部の形状としては、底面が円形の平面で内周が球面や円錐面をなす形状でもよい。
【0052】
各ノズル67の下方には、それぞれシュート69が配設されている。このシュート69は、図3に示すように、断面U字状をなして伸びており、上端が前記ノズル67の下方に配置されていて、その先端が斜め下方に向けられて、後述するベース食品生地供給装置70のノズル74の下方に近接する位置に配置されている。このシュート69は、ノズル67から投下された粒状食品Rを受けて、後述するノズル74の下方に移動してきた、モールド20に粒状食品Rを転がしながら落し込むようになっている。また、シュート69の上方には、射出口を下流側の斜め下方に向けた状態で、エアブロー69a(図1参照)が配設されている。このエアブロー69aにより、シュート69の上端部に投下されてきた粒状食品Rに、エアーを吹き付けて、シュート69上を転がり落ちやすくしている。
【0053】
粒状食品供給装置60の下流には、ベース食品生地供給装置70が配設されている。このベース食品生地供給装置70は、前述したシェル充填装置30と基本的には、同じ構造をなしている。すなわち、上方が開口したホッパー71と、ホッパー71の下方に連設されたケース72と、ケース72の側方に配設され、ケース72内のシャッター(図示せず)を開閉可能となるように左右に往復動作するエアシリンダ73と、ケース72の下方から延出したノズル74とを有している。また、ノズル74の下方には、それよりもやや小径のゴムノズル75(図3,4参照)が装着されていて、モールド20へのベース食品生地Bの供給の確実性を高めている。なお、ノズル74及びゴムノズル75は、1つのノズルプレート21に支持されたモールド20と同じ数だけ設けられている。
【0054】
ホッパー71には、シラップ液及び氷が混練されてなるベース食品生地Bが供給される。すなわち、シラップ液及び氷は、サージングタンク77(図1参照)に投入されて、攪拌手段78により混練されてみぞれ状のベース食品生地が形成される。そして、ポンプP4により図示しないチューブ等を通して、ホッパー71に供給されて、ケース72内にベース食品生地Bが貯留されるようになっている。そして、モールド20がノズル74の下方に移動してきたら、エアシリンダ73を動作させて、ケース72内のシャッターを開き、ケース72内に貯留されたベース食品生地Bを、所定量ずつモールド20内に供給するようになっている。なお、この供給動作は、前述した粒状食品供給装置60による粒状食品Rの供給と、ほぼ同じタイミングで行われて、一つのモールド20内にベース食品生地Bと粒状食品Rとがほぼ同時期に充填されるようになる。
【0055】
また、各ゴムノズル75の下方外周には、図示しない支持手段により支持されたガイド板76(図3,4参照)が配設されている。このガイド板76は、断面円弧形状をなして所定高さで立設しており、ゴムノズルの75の前方(下流側)を囲むようになっている。
【0056】
再び図1を参照すると、ベース食品生地供給装置70の下流には、スティック挿入装置80が配設されている。このスティック挿入装置80は、スティックSを着脱可能とするチャック81と、このチャック81の上方に連設されて、上下に昇降動作するエアシリンダ82とを有している。そして、チャック81にスティックSが装着された状態で、モールド20がチャック81の下方に移動してきたら、エアシリンダ82によりチャック81を下降させて、完全に固化していないベース食品生地BにスティックSを挿入するようになっている。
【0057】
スティック挿入装置80の下流には、仕上装置90が配設されている。これは、ベース食品生地BにスティックSが挿入されると、スティックSの体積分だけ、ベース食品生地が盛り上がって、上端部が歪な形状となるため、これを防止するために用いられるものである。
【0058】
この仕上装置90は、前述のシェル充填装置30及びベース食品生地供給装置70と基本的に、同じ構造をなし、ホッパー91と、ケース92と、ケース92内のシャッター(図示せず)を開閉可能するエアシリンダ93と、ノズル94とを有している。また、ホッパー91には、シラップ液及び氷が混練されてなるベース食品生地Bが、図示しない供給手段により供給されて、ケース92内に貯留されるようになっている。そして、モールド20がノズル94の下方に移動してきたときに、エアシリンダ93を動作させて、ケース92内のシャッターを開いて、ベース食品生地を、モールド20に充填されて固化しつつあるベース食品生地の上端面に供給するようになっている。
【0059】
仕上装置90の下流には、食品取出し装置100が配設されている。この食品取出し装置100は、仕上装置90で上端部が滑らかにされて、最終的な製品形状となった粒入り食品を、モールド20内から取出すための装置である。すなわち、この食品取出し装置100は、搬送手段101と、この搬送手段101によって移動する保持台105及び把持ツメ104と、搬送手段101が所定位置に移動してきたら、保持台105及び把持ツメ104を下方に押圧するためのエアシリンダ102と、エアシリンダ102とほぼ整合する位置で、モールド20の下方に配設された温水シャワー103とを有している。
【0060】
そして、モールド20から粒入り食品を取出しやすくするために、温水シャワー103の上方に移動してきたモールド20に、温水シャワー103から熱水が射出されて、粒入り食品外層のシェルが若干溶かされるようになっている。また、このときにエアシリンダ102により搬送手段101、保持台105及び把持ツメ104を下降させて、保持台105と把持ツメ104との間に、スティックSの上端を挟み込んで、その状態でエアシリンダ102により、保持台105及び把持ツメ104を上昇させることにより、モールド20から粒入り食品が取出されるようになっている。
【0061】
食品取出し装置100の下流には、反転装置110が配設されている。この反転装置110は、上部開口が下流方向に向けてやや斜めに傾けられて配設された収容ケース111と、この収容ケース111に連設されたエアシリンダ112と、収容ケース111を水平方向にまで回転させる図示しない回転手段とを有している。
【0062】
そして、収容ケース111の開口に、粒入り食品が移動してきたら、エアシリンダ112により収容ケース111を斜め上方に繰り出して、収容ケース111内に本食品を収容し、搬送手段101から粒入り食品を解放させ、図示しない回転手段により収容ケース111を回転させて、収容バケット113に載置して、図示しない包装ラインに搬送するようになっている。
【0063】
次に、このような構成による粒状食品含有食品の製造装置10を用いた、本発明による粒状食品含有食品の製造方法について説明する。
【0064】
まず、シェル充填装置30のノズル34の下方にモールド20が移動すると、ベース食品生地がモールド20内に供給され、供給されたベース食品生地は、下流に移動していく間にモールド20に接触した部分から徐々に冷却固化していく。そして、モールド20が吸引装置40の吸引ノズル41の下方に移動すると、吸引ノズル41により未固化のベース食品生地が吸引されて、所定厚さのシェルが形成される。なお、吸引装置40により吸引されたベース食品生地は、シェル充填装置30に返送されて、循環して用いられるので、シェル形成により減少した分だけのベース食品生地をシェル充填装置30に供給するようになっている。
【0065】
その後、初期供給装置50のノズル55の下方に、モールド20が移動すると、粒状食品Rが供給される。このように、所定厚さでシェルを形成した後、粒状食品Rを供給するようにしたので、モールド20の下方に粒状食品Rが供給されて、最終的に食品の上方に粒状食品を含有させることができる。したがって、粒入り食品を食したときに、早い段階、例えば最初の一口目から粒状食品Rを味わうことができ、消費者に満足感を与えることが可能となると共に、シェルが最初に形成されているので、粒状食品Rが露出せず、見栄えを良くすることができる。
【0066】
初期供給装置50による粒状食品Rの供給は、次のようにしてなされる。すなわち、図2(a)に示すように、スライドプレート53が右方向にスライドすると、投下孔52aがスライドプレート53のテーパ孔53aに連通して、テーパ孔53aに粒状食品Rが落とし込まれる。この状態で、同図(b)に示すように、スライドプレート53が左方向にスライドすると、テーパ孔53aがノズルプレート54の吐出孔54aに連通して、吐出孔54aに粒状食品Rが落し込まれて、吐出孔54aを通ってモールド20に粒状食品Rが供給される。
【0067】
このように、スライドプレート53の左右方向の往復動作によって、テーパ孔53aが投下孔52a孔及び吐出孔54aに交互に連通するようになるので、粒状食品Rを、所定量ずつモールド20に供給することができる。また、スライドプレート53のテーパ孔53aは、投下プレート52側からノズルプレート54側に向かって拡径し、粒状食品Rの落し込み方向に沿って広がっているので、テーパ孔53a内で、粒状食品Rが詰まってブリッジしたり、粒状食品Rが割れたりすることを、効果的に防止することができる。なお、初期供給措置50による粒状食品Rの供給量は、後述する粒状食品供給装置60による供給量よりも少ないことが好ましい。
【0068】
そして、初期供給措置50により粒状食品Rが供給されたモールド20が、図1に示すように、ベース食品生地供給装置70のノズル74の下方に移動してくると、エアシリンダ73の動作によりケース72内のシャッターが開かれて、ケース72内に貯留されたベース食品生地Bが所定量ずつ、ノズル74を通して、シェルが形成されたモールド20内に供給される。
【0069】
このベース食品生地Bの供給とほぼ同じタイミングで、粒状食品供給装置60から粒状食品Rがモールド20内に供給される。すなわち、図5(a)に示すように、ホッパー61の下方に貯留された粒状食品Rが、計量凹部64に充填された状態で、図示しない回転装置により回転ドラム63が反時計方向に回転すると、図5(b)に示すように、カバー65により粒状食品Rが擦り落とされて、計量凹部64に収容された粒状食品Rのみが搬送される。そして、計量凹部64とノズル67の上方開口が整合すると、図5(c)に示すように、粒状食品Rがその自重により落下し、ノズル67を通って、シュート69上を転がり落ちながら、モールド20内に供給される。このとき、エアブロー69a(図1参照)により、シュート69上を転がり落ちやすくしている。
【0070】
このように、粒状食品Rを回転ドラム63の計量凹部64に充填させ、回転ドラム63を回転させることにより、1つの計量凹部64に入った粒状食品Rをモールド20に供給するようにしたので、粒状食品Rのブリッジや割れ等を防止して、スムーズかつ安定してモールド20内に所定量ずつ供給することができる。なお、回転ドラム63は、粒状食品Rを落し込み後、図5(d)に示すように、時計方向に回転して初期位置に戻るようになっていて、繰り返して粒状食品Rを供給することが可能となっている。
【0071】
このように、1つのモールド20内に、ベース食品生地Bと粒状食品Rとを所定量ずつ充填して粒入り食品を成形するようにしたので、1つの粒入り食品中に入る粒状食品Rの数のばらつきを少なくすることができる。
【0072】
また、この実施形態においては、図3〜5に示すように、粒状食品供給装置60のホッパー61内に、邪魔板62a,62bが設けられている。これによれば、粒状食品供給装置60のホッパー61内に貯留された粒状食品Rの質量が上下に堆積した状態となって、回転ドラム63に直接負荷されるのを軽減することできるので、粒状食品Rが割れたり、回転ドラム63とカバー65との隙間に噛み込んだりすることを防止可能となる。
【0073】
更に、この実施形態においては、図6(a),(b)に示すように、計量凹部64が、高さD2で形成されていて、半周に至らない円弧をなしている。これによれば、粒状食品Rが計量凹部64内でブリッジを起こして落下しにくくなったり、カバー65に当接したときに計量凹部64から出にくくなって割れたりすることを防止することができる。
【0074】
また、この実施形態においては、図3及び図4に示すように、粒状食品供給装置60のノズル67の下方に、シュート69が設けられていて、これによってノズル67から投下される粒状食品Rをシュート69で受けて、シュート69上を転がりながら少しずつモールド20に供給されるようにしたので、同時に供給されるベース食品生地B中に、粒状食品Rをより均一に混合させることができる。
【0075】
また、この実施形態においては、図3及び図4に示すように、シュート69の前方であって、モールド20の開口部を挟んでその前方に、ガイド板76が配置されている。これによれば、粒状食品Rが、シュート69上を勢い良く転がり落ちてきても、ガイド板76によって受け止められて、モールド20内に確実に投下することができるので、粒状食品Rの供給速度を向上させることが可能となる。
【0076】
そして、ベース食品生地B及び粒状食品Rが充填されたモールド20が、スティック挿入装置80のチャック81の下方に移動すると、ベース食品生地BにスティックSが挿入される。更に、仕上装置90のノズル94の下方にモールド20が移動すると、モールド20上方にベース食品生地Bが充填されて、粒入り食品の上端部が滑らかに仕上げられて、見栄えがよい粒入り食品を得ることができる。
【0077】
その後、モールド20内のベース食品生地Bは、下流に移動する間に完全に冷却固化されて最終的な製品形状となるが、このままではモールド20から取り出しにくいので、温水シャワー103により、粒入り食品の外層のシェルが若干溶かされて、食品取出し装置100によりモールド20から取り出される。
【0078】
モールド20から取り出された粒状食品含有食品は、反転装置110により反時計方向に約90度回転させられて、収容バケット113に載置され、図示しない包装ラインに搬送される。
【0079】
こうして、図7に示すようなラムネ菓子入りアイスキャンディー等の粒入り食品が製造される。
【0080】
この粒入り食品は、ベース食品生地B中に、粒状食品Rが均一に分散して所定量ずつ含有され、棒状に成形されて、スティックSが挿入された形状をなしている。したがって、粒状食品Rを最初の一口目から味わうことができ、粒状食品Rの含有量のばらつきがない製品が得られる。
【実施例】
【0081】
本発明の粒状食品含有食品の製造装置を用いて、粒入り食品を製造した。
【0082】
粒状食品Rとしては、平均粒径6mm、平均厚さ6mmのラムネ菓子を用いて、ベース食品生地Bとして、みぞれ状のアイス生地を用いた。粒入り食品の大きさは、直径28mm、長さ95mmの円柱となるようにした。
【0083】
また、図6(a),(b)に示す計量凹部64には、粒状食品Rが5〜6粒充填されるように、その高さD2を約10mmとして、図6(c)に示す計量凹部の半径D1よりも約2mm小さく形成した。
【0084】
また、初期供給装置50においては、粒状食品Rを1〜3粒供給できるように、テーパ孔の内径を設定した。
【0085】
そして、前述した製造方法により、ラムネ菓子入りアイスキャンディーである、粒入り食品を製造した。このとき製造された粒入り食品を、無作為に120本抽出して、1つの粒入り食品中に、粒状食品Rが何粒含有されているかを測定した。その結果を下記表1に示す。
【0086】
【表1】

【0087】
この結果から、1本の粒入り食品中には、平均して約9粒の粒状食品Rが含有されていることが分かった。このように本発明によれば、粒状食品Rを1つの粒入り食品中に、ばらつきを少なくして含有可能なことが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、ラムネ菓子入りアイスキャンディーや、ナッツ入りチョコレート菓子等の粒状食品含有食品の製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の粒状食品含有食品の製造装置の説明図である。
【図2】初期供給装置を示しており、(a)はスライドプレートがスライドしたときの説明図、(b)はスライドプレートが初期位置に戻ったときの説明図である。
【図3】同粒状食品含有食品の製造装置の要部斜視図である。
【図4】図3の断面図である。
【図5】回転ドラムの作動状態を示す説明図である。
【図6】同回転ドラムを示しており、(a)はその断面図、(b)は実施形態における計量凹部の説明図、(c)は(b)を説明するための他の計量凹部の説明図、(d)は計量凹部の他の形状を示す説明図である。
【図7】本発明によって得られた、粒状食品含有食品の断面斜視図である。
【図8】従来の粒状食品含有食品の製造装置の説明図である。
【符号の説明】
【0090】
10 製造装置
20 モールド
21 プレート
30 シェル充填装置
40 吸引装置
50 初期供給装置
52 投下プレート
52a 投下孔
53 スライドプレート
53a テーパ孔
54 ノズルプレート
54a 吐出孔
60 粒状食品供給装置
61 ホッパー
62 邪魔板
63 回転ドラム
64 計量凹部
65 カバー
69 シュート
70 ベース食品生地供給装置
76 ガイド板
80 スティック挿入装置
90 仕上装置
100 食品取出し装置
110 反転装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース食品生地に粒状食品を添加して、モールドに充填して成形する粒状食品含有食品の製造方法において、
ホッパーと、このホッパーの下方に配置された回転ドラムとを有し、回転ドラムの周面に粒状食品を受ける計量凹部が形成され、回転ドラムの外周の少なくとも一部をカバーで覆われ、前記ホッパー内に貯留された粒状食品を前記計量凹部に充填させ、前記回転ドラムを回転させることにより、前記計量凹部に充填された粒状食品を前記カバーで覆われていない部分から落下させるように構成された粒状食品供給装置と、
ベース食品生地を所定量ずつ供給するベース食品生地供給装置と、
前記粒状食品供給装置及び前記ベース食品生地供給装置の各供給口の下方に配置されるモールドとを用い、
前記ベース食品生地供給装置から、所定量のベース食品生地を前記モールドに供給すると共に、
前記ホッパーに粒状食品を供給し、この粒状食品を前記回転ドラムの計量凹部に充填させ、前記回転ドラムを回転させることにより、前記計量凹部に充填された粒状食品を前記モールドに供給して、ベース食品生地と粒状食品とを前記モールドに充填することを特徴とする粒状食品含有食品の製造方法。
【請求項2】
前記粒状食品供給装置から投下される粒状食品をシュートで受けて前記モールドに供給する請求項1記載の粒状食品含有食品の製造方法。
【請求項3】
前記モールドに前記ベース食品生地を供給し、モールドの内周に接触したベース食品生地を部分的に固化し、未固化のベース食品生地を吸引して、モールドの内周に沿って所定厚さでシェルを形成し、
前記モールドのシェル内に粒状食品を所定量供給した後、
前記粒状食品供給装置及び前記ベース食品生地供給装置により、モールドのシェル内にベース食品生地と粒状食品とを充填することを特徴とする請求項1又は2記載の粒状食品含有食品の製造方法。
【請求項4】
前記粒状食品が、ラムネ菓子、ナッツ類、ドライフルーツ類、野菜チップ類から選ばれた少なくとも1種であり、前記ベース食品生地が、みぞれ、シャーベット、クリームから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1つに記載の粒状食品含有食品の製造方法。
【請求項5】
ベース食品生地に粒状食品を添加して、モールドに充填して成形する粒状食品含有食品の製造装置において、
ホッパーと、このホッパーの下方に配置された回転ドラムとを有し、回転ドラムの周面に粒状食品を受ける計量凹部が形成され、回転ドラムの外周の少なくとも一部をカバーで覆われ、前記ホッパー内に貯留された粒状食品を前記計量凹部に充填させ、前記回転ドラムを回転させることにより、前記計量凹部に充填された粒状食品を前記カバーで覆われていない部分から落下させるように構成された粒状食品供給装置と、
ベース食品生地を所定量ずつ供給するベース食品生地供給装置と、
前記粒状食品供給装置及び前記ベース食品生地供給装置の各供給口の下方に配置されるモールドとを備え、
前記ベース食品生地供給装置から、所定量のベース食品生地を前記モールドに供給すると共に、
前記ホッパーに粒状食品を供給し、この粒状食品を前記回転ドラムの計量凹部に充填させ、前記回転ドラムを回転させることにより、前記計量凹部に充填された粒状食品を前記モールドに供給して、ベース食品生地と粒状食品とを前記モールドに充填するように構成されていることを特徴とする粒状食品含有食品の製造装置。
【請求項6】
前記粒状食品供給装置から投下される粒状食品を受けて前記モールドに供給するシュートが設けられている請求項5記載の粒状食品含有食品の製造装置。
【請求項7】
前記ベース食品生地供給装置の供給口に前記モールドが配置されたとき、前記シュートの先端部の前方であって、前記モールドの開口部を挟んで反対側には、前記粒状食品を受けて前記モールドの開口部に案内するガイド板が配置されている請求項6記載の粒状食品含有食品の製造装置。
【請求項8】
前記粒状食品供給装置のホッパー内に、上部に堆積された粒状食品の質量が前記回転ドラムに直接負荷されるのを軽減するための邪魔板が設けられている請求項5〜7のいずれか1つに記載の粒状食品含有食品の製造装置。
【請求項9】
前記粒状食品供給装置の回転ドラムに形成された計量凹部が、開口部に向けて内径が広がる形状をなし、該開口部の最小径の1/2よりも浅い深さである請求項6〜8のいずれか1つに記載の粒状食品含有食品の製造装置。
【請求項10】
搬送ライン上において、前記粒状食品供給装置の上流側には、
ホッパーと、
このホッパーの下方に配置されて、前記粒状食品を通過可能な投下孔を有する投下プレートと、
この投下プレートの下方に配置されて、前記粒状食品を前記モールドに供給する吐出孔を有するノズルプレートと、
前記投下プレート及び前記ノズルプレートの間に挟持されて、前記投下プレートに面する側から前記ノズルプレートに面する側に向かって次第に拡径する形状をなしたテーパ孔を有すると共に、スライド可能とされたスライドプレートとを有し、
前記投下プレートの投下孔と前記ノズルプレートの吐出孔とが、前記スライドプレートのスライドによって、前記テーパ孔に交互に連通するように構成されている、初期供給装置が配設されており、
前記粒状食品供給装置から前記モールドに粒状食品を供給される前に、前記モールド内に前記粒状食品供給装置からの供給量よりも少量の粒状食品が供給されるように構成されている請求項5〜9のいずれか1つに記載の粒状食品含有食品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−5802(P2008−5802A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181683(P2006−181683)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】