説明

粘土系材料の圧縮成形装置、粘土系材料の圧縮成形方法

【課題】工程を簡略化し、作業時間の短縮を図ることができるとともに、粘土系材料を成形してなるブロックに欠けや割れが生じることのない粘土系材料の圧縮成形装置および粘土系材料の圧縮成形方法を提供する。
【解決手段】本発明の粘土系材料の圧縮成形装置10は、粘土系材料を投入するために用いられ、粘土系材料の圧縮方向に対して垂直方向に複数の枠部材15に分割可能な型枠11と、型枠11の外周に設けられた反力枠12と、反力枠12と型枠11との間に介在し、枠部材15のそれぞれの外側面15aに当着させた、枠部材15と同数の油圧ジャッキ13とを備え、油圧ジャッキ13は、前記の圧縮方向に対して垂直方向かつ型枠11の中心軸側に枠部材15を加圧し、また、前記の圧縮方向に対して垂直方向かつ型枠11の中心軸とは反対の方向にブロック20から枠部材15を脱型することを特徴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘土系材料の圧縮成形装置および粘土系材料の圧縮成形方法に関し、さらに詳しくは、ベントナイトなどの粘土系材料からなり、放射性廃棄物処分用緩衝材として用いられるブロックを形成する粘土系材料の圧縮成形装置および粘土系材料の圧縮成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射性廃棄物の処分では、放射性廃棄物の周囲に低透水場を形成することなどを目的として、放射性廃棄物と処分孔壁または処分坑道壁との間に、放射性廃棄物処分用緩衝材を設置する。放射性廃棄物処分用緩衝材の設置方法の1つとして、ベントナイト成形体のブロックを配置する方法がある。
【0003】
従来、上記の緩衝材の製造方法としては、可撓性の成形用容器内に原料を充填し、原料が充填された成形用容器を冷間静水圧プレスによって加圧成形することによって放射性廃棄物処分用緩衝材を形成する方法において、成形用容器の継ぎ目の間隙にブチルゴムを装着し、この継ぎ目をその外側からブチルゴムを粘着材とする第一粘着テープによって封止し、第一粘着テープを含む成形用容器の外側面にゴム系粘着材を有する第二粘着テープを貼付する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、圧縮成形装置の型枠内に、合成ゴムや天然ゴムからなる伸縮性膜材を配置し、この型枠内に粘土系難透水性材料を投入し、型枠の内側側面と、粘土ブロックの側面との間に伸縮性膜材が挟まれた状態で存在するように、圧縮成形装置で粘土系難透水性材料を圧縮成形する粘土系難透水性材料の圧縮成形方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−313074号公報
【特許文献2】特開2006−327092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている製造方法では、圧縮成形を行う前に、成形用容器の継ぎ目の間隙にブチルゴムを装着するとともに、この継ぎ目に粘着テープを貼付する工程があり、一方、特許文献2に記載されている製造方法では、圧縮成形装置の型枠内に、合成ゴムや天然ゴムからなる伸縮性膜材を配置する工程があるため、緩衝材ブロックの圧縮成形と、緩衝材ブロックからの型枠の脱型との間に余分な工程が存在し、ブロックの製造時間が長くなり、ひいては製造コストが増加するという問題があった。
【0006】
これらの製造方法では、型枠の取り外し方法については特に検討されておらず、型枠を脱型する際にブロックが欠けたり、割れたりするおそれがあった。
特許文献1に記載されている製造方法では、型枠を脱型する際に、型枠の継ぎ目に装着したブチルゴムがブロックや粘着テープを取り除く必要があり、脱型に時間が掛かるという問題があった。また、型枠を脱型した後に圧縮成形体の表面を切削加工して所定の形状に補正する必要があり、加工に時間がかかるという問題もある。
特許文献2に記載されている製造方法では、型枠を脱型した後、ブロックから伸縮性膜材を剥離する必要があり、その作業に時間が掛かるばかりでなく、伸縮性膜材の剥離時にブロックに欠けや割れが生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、工程を簡略化し、作業時間の短縮を図ることができるとともに、粘土系材料を成形してなるブロックに欠けや割れが生じることのない粘土系材料の圧縮成形装置および粘土系材料の圧縮成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粘土系材料を圧縮成形することにより、前記粘土系材料からなるブロックを形成するための粘土系材料の圧縮成形装置であって、前記粘土系材料を投入するために用いられ、前記粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向に複数の枠部材に分割可能な型枠と、前記型枠の外周に設けられた反力枠と、該反力枠と前記型枠との間に介在し、前記枠部材のそれぞれの外側面に当着させた、前記枠部材と同数の油圧ジャッキとを備え、前記油圧ジャッキは、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸側に前記枠部材を加圧し、また、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸とは反対の方向に前記ブロックから前記枠部材を脱型する粘土系材料の圧縮成形装置を提供する。
【0009】
前記油圧ジャッキの全てが連動して、前記枠部材の全てを均等に加圧し、また、前記ブロックから前記枠部材の全てを均等に脱型することが好ましい。
【0010】
本発明は、型枠内に粘土系材料を投入する材料投入工程と、前記型枠内に投入した粘土系材料を圧縮成形することにより、前記粘土系材料からなるブロックを形成する圧縮工程と、前記ブロックから前記型枠を脱型する脱型工程とを有する粘土系材料の圧縮成形方法であって、前記型枠として、前記粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向に複数の枠部材に分割可能なものを用い、前記型枠の外周に反力枠を設け、該反力枠と前記型枠との間に、前記枠部材と同数の油圧ジャッキを介在させ、それぞれの油圧ジャッキを前記枠部材のそれぞれの外側面に当着させて、前記圧縮工程において、前記油圧ジャッキにより、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸側に前記枠部材を加圧し、前記脱型工程において、前記油圧ジャッキにより、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸とは反対の方向に前記ブロックから前記枠部材を脱型する粘土系材料の圧縮成形方法を提供する。
【0011】
前記油圧ジャッキの全てを連動させて、前記圧縮工程において前記枠部材の全てを均等に加圧し、前記脱型工程において前記ブロックから前記枠部材の全てを均等に脱型することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粘土系材料の圧縮成形装置によれば、粘土系材料を圧縮成形することにより、前記粘土系材料からなるブロックを形成するための粘土系材料の圧縮成形装置であって、前記粘土系材料を投入するために用いられ、前記粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向に複数の枠部材に分割可能な型枠と、前記型枠の外周に設けられた反力枠と、該反力枠と前記型枠との間に介在し、前記枠部材のそれぞれの外側面に当着させた、前記枠部材と同数の油圧ジャッキとを備え、前記油圧ジャッキは、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸側に前記枠部材を加圧し、また、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸とは反対の方向に前記ブロックから前記枠部材を脱型するので、粘土系材料からなるブロックの成形工程を簡略化し、作業時間の短縮を図ることができるとともに、そのブロックに欠けや割れが生じることを防止できる。
【0013】
本発明の粘土系材料の圧縮成形方法によれば、型枠内に粘土系材料を投入する材料投入工程と、前記型枠内に投入した粘土系材料を圧縮成形することにより、前記粘土系材料からなるブロックを形成する圧縮工程と、前記ブロックから前記型枠を脱型する脱型工程とを有する粘土系材料の圧縮成形方法であって、前記型枠として、前記粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向に複数の枠部材に分割可能なものを用い、前記型枠の外周に反力枠を設け、該反力枠と前記型枠との間に、前記枠部材と同数の油圧ジャッキを介在させ、それぞれの油圧ジャッキを前記枠部材のそれぞれの外側面に当着させて、前記圧縮工程において、前記油圧ジャッキにより、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸側に前記枠部材を加圧し、前記脱型工程において、前記油圧ジャッキにより、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸とは反対の方向に前記ブロックから前記枠部材を脱型するので、粘土系材料からなるブロックの成形工程を簡略化し、作業時間の短縮を図ることができるとともに、そのブロックに欠けや割れが生じることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の粘土系材料の圧縮成形装置および粘土系材料の圧縮成形方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明の粘土系材料の圧縮成形装置の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
この実施形態の粘土系材料の圧縮成形装置(以下、「圧縮成形装置」と略すこともある。)10は、円筒形状の型枠11と、型枠11の外周に設けられた反力枠12と、反力枠12と型枠11との間に介在し、型枠11に当着させた3つの油圧ジャッキ13(13A、13B、13C)と、型枠11の一端11aに当接し、この一端11aを塞ぐ底板14とから概略構成されている。
【0016】
型枠11は、粘土系材料を投入するために用いられる型枠であり、粘土系材料を圧縮する方向(図1(b)の矢印方向)に対して垂直方向に、すなわち、円筒形の型枠11を底板14の一方の面14aに立設した状態でその長手方向に対して垂直方向に、3つの枠部材15(15A、15B、15C)に分割可能となっている。
3つの枠部材15A、15B、15Cは、型枠11をその長手方向に沿って均等に分割してなるものであり、その長手方向と垂直な断面形状は、円弧状をなしている。
そして、枠部材15Aの一方の端面15bと枠部材15Bの他方の端面15cが接触し、枠部材15Bの一方の端面15bと枠部材15Cの他方の端面15cが接触し、かつ、枠部材15Cの一方の端面15bと枠部材15Aの他方の端面15cが接触することにより、3つの枠部材15A、15B、15Cからなる型枠11が形成されている。
【0017】
反力枠12は、平面視した場合、外形が正方形状をなしている。
また、反力枠12は、型枠11の長手方向の中央部の外周に、型枠11とは所定の間隔を置いて設けられている。
【0018】
油圧ジャッキ13(13A、13B、13C)は、型枠11と反力枠12との間に介在し、型枠11を構成する3つ枠部材15A、15B、15Cのそれぞれの外側面15aに当着されている。
これにより、3つの油圧ジャッキ13A、13B、13Cはそれぞれ、粘土系材料を圧縮する方向(図1(b)の矢印方向)に対して垂直方向、かつ、型枠11の中心軸側に枠部材15A、15B、15Cをそれぞれ加圧できるようになっている。また、3つの油圧ジャッキ13A、13B、13Cはそれぞれ、粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向、かつ、型枠11の中心軸とは反対の方向に、粘土系材料を圧縮成形してなるブロック20から枠部材15A、15B、15Cをそれぞれ脱型し、枠部材11を3つの枠部材15A、15B、15Cに分割できるようになっている。
【0019】
ここで、型枠11の中心軸とは、型枠11の中心を、型枠11の長手方向に貫く軸のことである。
【0020】
また、圧縮成形装置10は、油圧ジャッキ13の動作を制御する制御部(図示略)を備えており、この制御部により、油圧ジャッキ13A、13B、13Cの全てが連動して、油圧ジャッキ13A、13B、13Cにより、枠部材15A、15B、15Cの全てを均等に加圧し、また、ブロック20から枠部材15A、15B、15Cの全てを均等に脱型するようになっている。
【0021】
ここで、油圧ジャッキ13A、13B、13Cの全てが連動して、枠部材15A、15B、15Cの全てを均等に加圧するとは、油圧ジャッキ13A、13B、13Cのそれぞれによる、枠部材15A、15B、15Cのそれぞれに対する加圧が同時に行われるとともに、この加圧が同一の力で行われることを示している。
また、油圧ジャッキ13A、13B、13Cの全てが連動して、ブロック20から枠部材15A、15B、15Cの全てを均等に脱型するとは、油圧ジャッキ13A、13B、13Cのそれぞれによる、ブロック20から枠部材15A、15B、15Cのそれぞれの脱型が同時に行われるとともに、この脱型に要する力を同一にすることを示している。
【0022】
型枠11、すなわち、枠部材15の材質は、型枠11を用いた粘土系材料の圧縮成形時に破壊されないものであれば特に限定されないが、金属材料が好ましい。
【0023】
反力枠12の材質は、油圧ジャッキ13を支持することができるとともに、油圧ジャッキ13による枠部材15の加圧、および、ブロック20からの枠部材15の脱型という操作によって変形したり、破壊されないものであれば特に限定されないが、金属材料が好ましい。
【0024】
油圧ジャッキ13としては、枠部材15を加圧する力を微調整可能であるとともに、各種制御装置を用いて、その操作を電気的に制御することができるものであれば特に限定されないが、例えば、インバーター制御の油圧ユニット、さらにはジャッキに送り出す作動油の流量を制御する電子制御バルブを使用した油圧ジャッキなどが用いられる。
【0025】
底板14の材質は、型枠11を用いた粘土系材料の圧縮成形時に変形したり、破壊されないものであれば特に限定されないが、金属材料が好ましい。
【0026】
この圧縮成形装置10によれば、3つの油圧ジャッキ13A、13B、13Cはそれぞれ、粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向、かつ、型枠11の中心軸側に枠部材15A、15B、15Cをそれぞれ加圧できるようになっており、また、3つの油圧ジャッキ13A、13B、13Cはそれぞれ、粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向、かつ、型枠11の中心軸とは反対の方向に、粘土系材料を圧縮成形してなるブロック20から枠部材15A、15B、15Cをそれぞれ脱型できるようになっているので、粘土系材料からなるブロック20の成形工程を簡略化し、作業時間の短縮を図ることができるとともに、そのブロック20に欠けや割れが生じることを防止できる。
【0027】
次に、圧縮成形装置10を用いた粘土系材料の圧縮成形方法を説明する。
まず、底板14の一方の面14a上にて、油圧ジャッキ13A、13B、13Cにより、型枠11の中心軸側に枠部材15A、15B、15Cを加圧して、枠部材15A、15B、15Cを合わせて、図1に示すような円筒形の型枠11を組み立てる。
この時、油圧ジャッキ13A、13B、13Cによって枠部材15A、15B、15Cを加圧する力を、枠部材15A、15B、15C同士の合わせ目に隙間が生じない程度でれば十分とする。
【0028】
また、型枠11が粘土系材料に接着するのを防止するために、型枠11の内面には、潤滑剤を塗布してもよい。
【0029】
次いで、型枠11内に粘土系材料を投入する(材料投入工程)。
【0030】
粘土系材料としては、ベントナイト単体、あるいは、ベントナイトと砂や砂利などを混練したものが用いられる。
【0031】
次いで、圧縮装置(図示略)により、型枠11内に投入した粘土系材料を、型枠11の長手方向(図1(b)の矢印方向)に圧縮して、粘土系材料からなるブロック20を形成する(圧縮工程)。
この時、型枠11内の粘土系材料は、その上面(最表面)の全面が、圧縮装置の圧縮面に均等に接触した状態で圧縮される。
また、圧縮装置によって粘土系材料を圧縮する力を、10MPa〜100MPaとすることが好ましい。この圧縮する力は、粘土系材料の配合や含水比などにより適宜決定することができる。
【0032】
また、この圧縮工程において、油圧ジャッキ13A、13B、13Cにより、圧縮装置による型枠11内に投入した粘土系材料の圧縮方向に対して垂直方向、かつ、型枠11の中心軸側に、枠部材15A、15B、15Cを加圧する力を増加する。
この時、油圧ジャッキ13A、13B、13Cによって枠部材15A、15B、15Cを加圧する力は、型枠11を組み立てた時の力よりもさらに大きくする必要がある。その力の大きさは限定されないが、圧縮装置により粘土系材料を圧縮した際に、型枠11から粘土系材料が漏れ出さない程度にする必要がある。すなわち、圧縮工程において、油圧ジャッキ13A、13B、13Cによって枠部材15A、15B、15Cを加圧する力は、圧縮装置により粘土系材料を圧縮する力に応じて、適宜調整される。
【0033】
さらに、圧縮工程において、上記の制御部(図示略)による制御によって、油圧ジャッキ13A、13B、13Cの全てを連動させて、油圧ジャッキ13A、13B、13Cにより、枠部材15A、15B、15Cの全てを均等に加圧する。
ここで、油圧ジャッキ13A、13B、13Cの全てを連動させて、油圧ジャッキ13A、13B、13Cにより、枠部材15A、15B、15Cの全てを均等に加圧するとは、油圧ジャッキ13A、13B、13Cのそれぞれによる、枠部材15A、15B、15Cのそれぞれに対する加圧を同時に行うとともに、この加圧を同一の力で行うことを示している。
【0034】
次いで、図2に示すように、圧縮成形され、粘土系材料からなるブロック20から、型枠11を脱型する(脱型工程)。
この脱型工程において、油圧ジャッキ13A、13B、13Cにより、圧縮装置による型枠11内に投入した粘土系材料の圧縮方向に対して垂直方向、かつ、型枠11の中心軸とは反対の方向に、ブロック20から型枠11を脱型し、円柱状のブロック20を得る。
【0035】
また、脱型工程において、上記の制御部(図示略)による制御によって、油圧ジャッキ13A、13B、13Cの全てを連動させて、油圧ジャッキ13A、13B、13Cにより、ブロック20から枠部材15A、15B、15Cの全てを均等に脱型する。
ここで、油圧ジャッキ13A、13B、13Cの全てを連動させて、油圧ジャッキ13A、13B、13Cにより、ブロック20から枠部材15A、15B、15Cの全てを均等に脱型するとは、油圧ジャッキ13A、13B、13Cのそれぞれによる、ブロック20から枠部材15A、15B、15Cのそれぞれの脱型を同時に行うとともに、この脱型を同一の力で行うことを示している。
【0036】
この実施形態の粘土系材料の圧縮成形方法によれば、粘土系材料からなるブロック20を形成する圧縮工程において、油圧ジャッキ13A、13B、13Cにより、圧縮装置による型枠11内に投入した粘土系材料の圧縮方向に対して垂直方向、かつ、型枠11の中心軸側に、枠部材15A、15B、15Cを加圧し、また、粘土系材料からなるブロック20から型枠11を脱型する脱型工程において、油圧ジャッキ13A、13B、13Cにより、圧縮装置による型枠11内に投入した粘土系材料の圧縮方向に対して垂直方向、かつ、型枠11の中心軸とは反対の方向に、ブロック20から型枠11を脱型するので、粘土系材料からなるブロック20の成形工程を簡略化し、作業時間の短縮を図ることができるとともに、そのブロック20に欠けや割れが生じることを防止できる。
【0037】
なお、この実施形態では、円筒形状の型枠11を3つの枠部材15A、15B、15Cに分割する場合を例示したが、本発明の粘土系材料の圧縮成形装置および粘土系材料の圧縮成形方法はこれに限定されない。本発明の粘土系材料の圧縮成形装置および粘土系材料の圧縮成形方法にあっては、円筒形の型枠を2つ、あるいは、4つ以上に分割可能としてもよい。
【0038】
(2)第二の実施形態
図3は、本発明の粘土系材料の圧縮成形装置の第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
この実施形態の粘土系材料の圧縮成形装置(以下、「圧縮成形装置」と略すこともある。)30は、その長手方向と垂直な断面形状が正方形状である筒形状の型枠31と、型枠31の外周に設けられた反力枠32と、反力枠32と型枠31との間に介在し、型枠31に当着させた4つの油圧ジャッキ33(33A、33B、33C、33D)と、型枠31の一端31aに当接し、この一端31aを塞ぐ底板34とから概略構成されている。
【0039】
型枠31は、粘土系材料を圧縮する方向(図3(b)の矢印方向)に対して垂直方向に、すなわち、筒形の型枠31を底板34の一方の面34aに立設した状態でその長手方向に対して垂直方向に、4つの枠部材35(35A、35B、35C、35D)に分割可能となっている。
4つの枠部材35A、35B、35C、35Dは、型枠31をその長手方向に沿って均等に分割してなるものであり、その長手方向と垂直な断面形状は長方形状をなし、その外形が平板状をなしている。
そして、枠部材35Aの一方の端面35bが枠部材35Bの内側面35cに当接し、枠部材35Bの一方の端面35bが枠部材35Cの内側面35cに当接し、枠部材35Cの一方の端面35bが枠部材35Dの内側面35cに当接し、かつ、枠部材35Dの一方の端面35bが枠部材35Aの内側面35cに当接することにより、4つの枠部材35A、35B、35C、35Dからなる型枠31が形成されている。
【0040】
反力枠32は、平面視した場合、外形が正方形状をなしている。
また、反力枠32は、型枠31の長手方向の中央部の外周に、型枠31とは所定の間隔を置いて設けられている。
【0041】
油圧ジャッキ33(33A、33B、33C、33D)は、型枠31と反力枠32との間に介在し、型枠31を構成する4つ枠部材35A、35B、35C、35Dのそれぞれの外側面35aに当着されている。
これにより、4つの油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dはそれぞれ、粘土系材料を圧縮する方向(図3(b)の矢印方向)に対して垂直方向、かつ、型枠31の中心軸側に枠部材35A、35B、35C、35Dをそれぞれ加圧できるようになっている。
また、4つの油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dはそれぞれ、粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向、かつ、型枠31の中心軸とは反対の方向に、粘土系材料を圧縮成形してなるブロック40から枠部材35A、35B、35C、35Dをそれぞれ脱型し、枠部材31を4つの枠部材35A、35B、35C、35Dに分割できるようになっている。
【0042】
言い換えれば、4つの油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dはそれぞれ、枠部材35A、35B、35C、35Dをそれぞれ、対向する反力枠32の一辺に対して平行な状態を保ちながら、型枠31の中心軸側に加圧できるようになっている。
また、4つの油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dはそれぞれ、枠部材35A、35B、35C、35Dをそれぞれ、対向する反力枠32の一辺に対して平行な状態を保ちながら、ブロック40から脱型し、枠部材31を4つの枠部材35A、35B、35C、35Dに分割できるようになっている。
【0043】
ここで、型枠31の中心軸とは、型枠31の中心を、型枠31の長手方向に貫く軸のことである。
【0044】
また、圧縮成形装置30は、油圧ジャッキ33の動作を制御する制御部(図示略)を備えており、この制御部により、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dの全てが連動して、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dにより、枠部材35A、35B、35C、35Dの全てを均等に加圧し、また、ブロック40から枠部材35A、35B、35C、35Dの全てを均等に脱型するようになっている。
【0045】
ここで、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dの全てが連動して、枠部材35A、35B、35C、35Dの全てを均等に加圧するとは、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dのそれぞれによる、枠部材35A、35B、35C、35Dのそれぞれに対する加圧が同時に行われるとともに、この加圧が同一の力で行われることを示している。
また、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dの全てが連動して、ブロック40から枠部材35A、35B、35C、35Dの全てを均等に脱型するとは、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dのそれぞれによる、ブロック40から枠部材35A、35B、35C、35Dのそれぞれの脱型が同時に行われるとともに、この脱型に要する力を同一にすることを示している。
【0046】
型枠31の材質、反力枠32の材質、油圧ジャッキ33、底板34の材質としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0047】
この圧縮成形装置30によれば、4つの油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dはそれぞれ、粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向、かつ、型枠31の中心軸側に枠部材35A、35B、35C、35Dをそれぞれ加圧できるようになっており、また、4つの油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dはそれぞれ、粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向、かつ、型枠31の中心軸とは反対の方向に、粘土系材料を圧縮成形してなるブロック40から枠部材35A、35B、35C、35Dをそれぞれ脱型できるようになっているので、粘土系材料からなるブロック40の成形工程を簡略化し、作業時間の短縮を図ることができるとともに、そのブロック40に欠けや割れが生じることを防止できる。
【0048】
次に、圧縮成形装置30を用いた粘土系材料の圧縮成形方法を説明する。
まず、底板34の一方の面34a上にて、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dのそれぞれにより、枠部材35A、35B、35C、35Dをそれぞれ、対向する反力枠32の一辺に対して平行な状態を保ちながら、型枠31の中心軸側に加圧して、枠部材35A、35B、35C、35Dを合わせて、図3に示すような筒形の型枠31を組み立てる。
この時、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dによって枠部材35A、35B、35C、35Dを加圧する力を、枠部材35A、35B、35C、35D同士の合わせ目に隙間が生じない程度とする。
【0049】
また、型枠31が粘土系材料に接着するのを防止するために、型枠31の内面には、潤滑剤を塗布してもよい。
【0050】
次いで、型枠31内に粘土系材料を投入する(材料投入工程)。
【0051】
次いで、圧縮装置(図示略)により、型枠31内に投入した粘土系材料を、型枠31の長手方向(図3(b)の矢印方向)に圧縮して、粘土系材料からなるブロック40を形成する(圧縮工程)。
【0052】
また、この圧縮工程において、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dにより、圧縮装置による型枠31内に投入した粘土系材料の圧縮方向に対して垂直方向、かつ、型枠31の中心軸側に、枠部材35A、35B、35C、35Dを加圧する力を増加する。
この時、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dによって枠部材35A、35B、35C、35Dを加圧する力は、型枠31を組み立てた時の力よりもさらに大きくする必要がある。その力の大きさは、限定されないが、圧縮装置により粘土系材料を圧縮した際に、型枠31から粘土系材料が漏れ出さない程度にする必要がある。すなわち、圧縮工程において、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dによって枠部材35A、35B、35C、35Dを加圧する力は、圧縮装置により粘土系材料を圧縮する力に応じて、適宜調整される。
【0053】
さらに、圧縮工程において、上記の制御部(図示略)による制御によって、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dの全てを連動させて、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dにより、枠部材35A、35B、35C、35Dの全てを均等に加圧する。
ここで、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dの全てを連動させて、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dにより、枠部材35A、35B、35C、35Dの全てを均等に加圧するとは、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dのそれぞれによる、枠部材35A、35B、35C、35Dのそれぞれに対する加圧を同時に行うとともに、この加圧を同一の力で行うことを示している。
【0054】
次いで、図4に示すように、圧縮成形され、粘土系材料からなるブロック40から、型枠31を脱型する(脱型工程)。
この脱型工程において、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dにより、圧縮装置による型枠31内に投入した粘土系材料の圧縮方向に対して垂直方向、かつ、型枠31の中心軸とは反対の方向に、ブロック40から型枠31を脱型し、四角柱状のブロック40を得る。
【0055】
また、脱型工程において、上記の制御部(図示略)による制御によって、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dの全てを連動させて、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dにより、ブロック40から枠部材35A、35B、35C、35Dの全てを均等に脱型する。
ここで、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dの全てを連動させて、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dにより、ブロック40から枠部材35A、35B、35C、35Dの全てを均等に脱型するとは、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dのそれぞれによる、ブロック40から枠部材35A、35B、35C、35Dのそれぞれの脱型を同時に行うとともに、この脱型を同一の力で行うことを示している。
【0056】
この実施形態の粘土系材料の圧縮成形方法によれば、粘土系材料からなるブロック40を形成する圧縮工程において、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dにより、圧縮装置による型枠31内に投入した粘土系材料の圧縮方向に対して垂直方向、かつ、型枠31の中心軸側に、枠部材35A、35B、35C、35Dを加圧し、また、粘土系材料からなるブロック40から型枠31を脱型する脱型工程において、油圧ジャッキ33A、33B、33C、33Dにより、圧縮装置による型枠31内に投入した粘土系材料の圧縮方向に対して垂直方向、かつ、型枠31の中心軸とは反対の方向に、ブロック40から型枠31を脱型するので、粘土系材料からなるブロック40の成形工程を簡略化し、作業時間の短縮を図ることができるとともに、そのブロック40に欠けや割れが生じることを防止できる。
【0057】
なお、この実施形態では、長手方向と垂直な断面形状が正方形状である筒形状の型枠31を例示したが、本発明の粘土系材料の圧縮成形装置および粘土系材料の圧縮成形方法はこれに限定されない。本発明の粘土系材料の圧縮成形装置および粘土系材料の圧縮成形方法にあっては、筒形状の型枠の長手方向と垂直な断面形状が長方形状であってもよい。
【0058】
次に、図5を参照して、上述のようにして圧縮成形された粘土系材料からなるブロックの実用例を示す。
図5は、放射性廃棄物処分用緩衝材として用いられる粘土系材料からなるブロックを用いた余裕深度処分施設であるトンネル型処分施設の一例を示す概略断面図である。
このトンネル型処分施設50は、保管場所として、岩盤51を掘削した表面(内面)に、コンクリートを吹き付けた支保工52および二次覆工53を施工したトンネル54が備えられている。
【0059】
トンネル54の内部には、廃棄体55と、廃棄体55をその周囲から保持するコンクリートピット56と、廃棄体55とコンクリートピット56との間の隙間を埋める充填材57と、コンクリートピット56の周囲を覆う低拡散層58と、低拡散層58の周囲を覆う低透水層59と、低透水層59と二次覆工53との間を埋める埋戻し材(埋戻し土)60とが埋設されている。
また、低透水層59が、粘土系材料からなるブロックを配列して形成されている。
また、トンネル54の下部の埋戻し材60には、排水管などからなる排水設備61が設けられている。
【0060】
廃棄体55は、例えば、原子炉の炉内構造物や制御棒などの放射化金属および放射化樹脂を切断し、減容し、セメントあるいはガラスで固化したものである。また、廃棄体55は、複数段に積み重ねられたものが、互いに所定の間隔を置いて複数列配置されている。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の粘土系材料の圧縮成形装置および粘土系材料の圧縮成形方法は、放射性廃棄物の地層処分施設であるトンネル型処分施設に用いられる低透水層を形成する粘土系材料からなるブロックの成形だけでなく、この粘土系材料からなるブロックにより放射性廃棄物を直接包囲(被覆)する場合にも好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の粘土系材料の圧縮成形装置の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】本発明の粘土系材料の圧縮成形装置の第一の実施形態の使用方法を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図3】本発明の粘土系材料の圧縮成形装置の第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】本発明の粘土系材料の圧縮成形装置の第二の実施形態の使用方法を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図5】放射性廃棄物処分用緩衝材として用いられる粘土系材料からなるブロックを用いた余裕深度処分施設であるトンネル型処分施設の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0063】
10・・・粘土系材料の圧縮成形装置(圧縮成形装置)、11・・・型枠、12・・・反力枠、13・・・油圧ジャッキ、14・・・底板、15・・・枠部材、20・・・ブロック、30・・・粘土系材料の圧縮成形装置(圧縮成形装置)、31・・・型枠、32・・・反力枠、33・・・油圧ジャッキ、34・・・底板、35・・・枠部材、40・・・ブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘土系材料を圧縮成形することにより、前記粘土系材料からなるブロックを形成するための粘土系材料の圧縮成形装置であって、
前記粘土系材料を投入するために用いられ、前記粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向に複数の枠部材に分割可能な型枠と、前記型枠の外周に設けられた反力枠と、該反力枠と前記型枠との間に介在し、前記枠部材のそれぞれの外側面に当着させた、前記枠部材と同数の油圧ジャッキとを備え、
前記油圧ジャッキは、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸側に前記枠部材を加圧し、また、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸とは反対の方向に前記ブロックから前記枠部材を脱型することを特徴する粘土系材料の圧縮成形装置。
【請求項2】
前記油圧ジャッキの全てが連動して、前記枠部材の全てを均等に加圧し、また、前記ブロックから前記枠部材の全てを均等に脱型することを特徴とする請求項1に記載の粘土系材料の圧縮成形装置。
【請求項3】
型枠内に粘土系材料を投入する材料投入工程と、前記型枠内に投入した粘土系材料を圧縮成形することにより、前記粘土系材料からなるブロックを形成する圧縮工程と、前記ブロックから前記型枠を脱型する脱型工程とを有する粘土系材料の圧縮成形方法であって、
前記型枠として、前記粘土系材料を圧縮する方向に対して垂直方向に複数の枠部材に分割可能なものを用い、
前記型枠の外周に反力枠を設け、該反力枠と前記型枠との間に、前記枠部材と同数の油圧ジャッキを介在させ、それぞれの油圧ジャッキを前記枠部材のそれぞれの外側面に当着させて、
前記圧縮工程において、前記油圧ジャッキにより、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸側に前記枠部材を加圧し、
前記脱型工程において、前記油圧ジャッキにより、前記圧縮方向に対して垂直方向かつ前記型枠の中心軸とは反対の方向に前記ブロックから前記枠部材を脱型することを特徴とする粘土系材料の圧縮成形方法。
【請求項4】
前記油圧ジャッキの全てを連動させて、前記圧縮工程において前記枠部材の全てを均等に加圧し、前記脱型工程において前記ブロックから前記枠部材の全てを均等に脱型することを特徴とする請求項3に記載の粘土系材料の圧縮成形方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate