説明

精子機能性を改善する方法

精子の機能性および/または受精能を改善する方法であって、例えば、精子の表面へPEGを加えることによって、雌性生殖路中の精子の運動性を増強することおよび寿命を延長することによる方法を提供する。このような方法は、人工授精で用いられて、授精に必要な精子の数を減少させるまたは受胎率を改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、精子の機能性を増強する方法に関する。より詳しくは、本出願は、家畜人工授精(AI)において、具体的には、フローサイトメトリー精液性別判定での適用のために必要な精子の数を減少させる方法に関する。それら方法は、最適以下の受精能を有する若干のヒト男性個体において精子の受精能を増加させるのに用いることもできる。
【背景技術】
【0002】
雄性および雌性の精子を識別し且つ選択する能力は、家畜産業において大いに価値があり、この場合、経済協力開発機構(Organization for Economic Cooperation and Development)(OECD)国々では1年につき20億米国ドルを超える確立されたAI市場が存在する。これは、酪農産業において特に真実であり、主なOECD市場における80%を超える酪農業者が、人工授精によって雌牛を妊娠させている。性別判定済み精液は、農業者の生産性および収入を増加させる機会を与える。例えば、性別判定済み精液の利用可能性は、雌仔牛と比較して、雄乳用仔牛の最小収益を減少させるおよび/または排除する場合に有意の影響力を有する。
【0003】
現在、精液性別判定のための唯一の商業的技法は、フローサイトメトリーを用いて、DNA含有量に基づいて精子を選別する。Y染色体を支持するウシ精子は、X染色体を支持する精子よりも約4%少ないDNAを有する。この差は、蛍光DNA結合染料(例えば、Hoechst 33342)およびフローサイトメトリーとの組み合わせで、X染色体支持精子の90%より大きい精製を可能にする(Johnson et al., 1989)。しかしながら、ウシ精子を選別する能力は、現在、8000s−1の速度に限られていて、それは、各々のストローまたは用量が、2x10個の精子を含有する場合、14ストロー/時に変換される(Sharpe and Evans, 2009)。結果として、性別判定済み精液ストローは、概して、性別未判定ストローより10倍少ない精子を包含する。更に、選別方法はそれ自体、精子の受精能に負の作用を有する。ストロー当たりの精子数の減少は、選別方法ゆえの精子受精能の減少と一緒に、性別判定済み精子について、性別未判定精子と比較して14%の有意の受胎率減少を引き起こす(Frijters et al., 2009)。性別判定済み精液は、更に、性別判定済み精液ストロー中に用いられる最適以下の精子数さえも選別する高い費用ゆえに、性別未判定精子を越えた有意の高価格を有する。精液性別判定技法への有益な追加部分は、精子の受精能を増強する方法であると考えられるので、性別判定済み精液に現在用いられている約2x10個/ストローよりかなり少ない用量の精子が、普通の性別未判定ストローと同じ受胎率に達すると考えられる。
【0004】
このような方法は、更に、標準的なAI方法においてウシの場合よりもはるかに高い用量の精子、すなわち、約2500x10個/ストローの精子が用いられるブタAIに適用されると考えられる。最近の研究は、深子宮内授精を行う一層高度な技法が、この必要条件を5000〜7000万へ低下させることができるということを示唆している(Vazquez et al., 2005; Vazquez et al., 2008)。しかしながら、この減少した用量は、フローサイトメトリーで選別した精子の現在の商業的容量をなお越えている。
【0005】
雌性生殖路中の精子行程
精子は、卵母細胞中にあるハプロイド雌性ゲノムへハプロイド雄性ゲノムを送達する極めて特殊化した細胞である。これは見かけ上単純な任務にもかかわらず、この目的を達成する経路は、極めて複雑である。異常に多数の精子、例えば、約10億/雌牛の卵母細胞の精子が、自然交配で注入される。注入された精子は、雌性生殖路(FRT)のいろいろな領域において何時間〜何日間もの一定の可変期間を費やす。精子が、射精から卵母細胞の受精へと遭遇する環境も、かなり異なる。これら環境は、雄による射精時に精子に加えられる複雑な分子配合物から、いろいろな雌性分泌物および雌性上皮のいろいろな細胞表面にわたる(Drobnis and Overstreet, 1992)。
【0006】
精子が、FRT中にいったん入ると、能動的精子移動および雌性筋収縮の組み合わせが、精子を卵母細胞へと推進する。FRTを介する行程中に、精子は、特殊化した領域、最も注目すべきは、子宮頸管および卵管中に保持されうる(Drobnis and Overstreet, 1992)。この保持は、おそらくは、少なくとも若干の精子が、排卵が起こるのと同時に卵管中に存在するであろう確率を増加させる。しかしながら、このような保持は、雌によって精子に対して加えられる負の淘汰として働くこともありうる。卵管中の精子行程の最終相は、(雌によって制御される)卵管峡部領域からの精子の放出および卵母細胞の受精のための卵管膨大部への移行を包含する。この時点で、ほぼ単位数の精子が存在する(Drobnis and Overstreet, 1992)。受精はそれ自体、卵丘および引き続きの透明帯への侵入を包含する複雑な現象でもある(Katz et al., 1989)。この複雑な行程は、哺乳動物種間で大まかに似ているが、いろいろな側面が異なる。
【0007】
精子は、更に、FRT中に存在中に、受精能獲得として知られる成熟変化を受ける。射精された時に、精子は、卵母細胞を受精させることはできない。しかしながら、FRTを介する通過中に、精子は、受精する能力を獲得する。FRTを介する通過中の精子への変化には、膜性状、酵素活性および運動性の変更が含まれる(Salicioni et al., 2007)。最終的に、これら変化は、アクロソーム反応および卵への侵入を誘発する刺激に精子が応答することを可能にする。受精能獲得中に起こる重要な変化の一つは、精子の表面性状の変更である。特殊化したタンパク質−炭水化物コーティング(Schroter et al., 1999)は、表面膜を安定にし、受精能獲得を調節し(Topfer-Petersen et al., 1998)、FRTを介する輸送を容易にし(Tollner et al., 2008b)、そして卵管での付着を可能にする(Tollner et al., 2008a)。異なった種において、本質的には同じ機能が、表面コーティングによって行われるが、しかしながら、具体的な分子成分は異なる(Calvete and Sanz, 2007; Tollner et al., 2008a; Topfer-Petersen et al., 1998)。
【0008】
雌性生殖路中の精子の減少
自然ウシ交配の場合、約10億の精子は、10,000よりはるかに少ない精子が卵管へ、そして10未満までの精子が卵母細胞へ注入される(Mitchell et al., 1985)。このような大きい損失が存在する理由は、十分に理解されていない。交尾(coitis)後、80%を超える精子は、膣分泌物によって失われる(Mitchell et al., 1985)。残りの精子は、子宮頸管から卵管へ濃度勾配を形成する(Hawk, 1983; Hunter, 2003; Mitchell et al., 1985)。ウシの場合、約10,000の精子が、授精後6〜8時間に卵管に達する(Mitchell et al., 1985)。授精後12〜24時間には、精子は、バックフラッシングによって失われているか、貪食作用によって除去されているかまたは卵管に達している(Hawk, 1983)。ブタの場合、多形核好中球(PMN)による精子の貪食作用について強力な証拠が存在し、授精直後に子宮内腔中で起こるPMNの大量浸潤を伴う(Matthijs et al., 2003)。最近になって、雌牛の授精後の子宮内腔にPMNが浸潤する類似の証拠が公表された(Alghamdi et al., 2009)。
【0009】
雌性生殖路を介する通過中に精子がどのように損傷するか
実験的証拠は、運動性精子も、損傷した(非運動性および/または死滅した)精子も、分泌物によって失われるということを示唆している(Lightfoot and Restall, 1971; Oren-Benaroya et al., 2007)。対照的に、in vitroでの証拠は、生きている精子が、好中球によって選択的に貪食されるということを示している(Woelders and Matthijs, 2001)。いくつかの現象は、FRTからの精子損傷の原因となっているが、機構および有意性は、十分に理解されていない。このような現象には、次のことが含まれる。
【0010】
・雌性上皮、具体的には、子宮頸管などの粘液負荷表面の精子を捕捉するおよび/または精子表面を損傷する接着性。これは、生化学的および物理的双方の剪断作用によって起こる(Katz et al., 1989; Mullins and Saacke, 1989)。
【0011】
・精子の表面、または鞭毛活動度、受精能獲得およびアクロソーム状態などの機能性を調節するおよび/または損傷する雌性分泌物。このような分泌物には、抗体、補体成分、エネルギーおよび浸透ホメオスタシスに影響を与える分子種、特に受精能獲得のためのシグナリング分子、そして更に、異化物質が含まれる。
【0012】
・精子は、更に、主にミトコンドリア機能の副生成物としての反応性酸素種(ROS)の発生によってそれら自体を損傷させる(de Lamirande and Gagnon, 1995; Koppers et al., 2008; Vernet et al., 2001)。ROSは、精子運動性および脂質過酸化の損失を引き起こす。後者損傷は、柔軟性および流動性などの膜性状の変更をもたらし、しかも膜保全性の欠如および/または低下したクロマチン質をもたらすこともありうる(Storey, 1997)。精子は、それらの膜組成およびそれらの限られた抗酸化防御ゆえに、ROSで誘発される損傷に特に敏感である。具体的には、表面膜中の多不飽和脂肪酸(PUFA)の高比率が、この膜を酸化に極めて感受性にする(Jones et al., 1979)。精子細胞の性質は、限られた細胞質液と一緒に、細胞内抗酸化剤の利用可能性を抑制もする(Koppers et al., 2008 およびその参考文献)。ヒト精子の場合、少なくとも、ROS生産と抗酸化保護との間に、外部損傷剤の不存在下において精子の寿命を決定する強力な関係が存在する(Alvarez and Storey, 1985; Storey, 1997, 2008)。
【0013】
要約すると、FRTは、精子に敵対していて、具体的には、運動性の非損傷精子を選択するが、大多数の精子を除去することもする。FRT中において、精子は、広範囲の生理学的環境で処置され、特に細胞表面で成熟し、そして正当な時間および場所でシグナルに適切に応答する必要がある。したがって、精子の単純な任務および比較的単純な構成にもかかわらず、成功した精子は、未損傷のままである(主に、表面現象)、貪食されていない、運動性のままである(ミトコンドリア機能、解糖酵素および鞭毛成分)、およびシグナルに適切に応答可能である(表面現象であるが、シグナル伝達およびエフェクター経路も包含する)という特徴を有する。したがって、未損傷の、運動性の、貪食されていない且つ機能的に適格なままである精子の能力を増強する精子への処置は、授精に必要な精子の数を減少させうると考えられる。
【0014】
精子機能を増強する方法としてのペグ化
ポリエチレングリコール(PEG)は、500〜20,000ダルトンの典型的な分子量で、一般式H(OCHCHOHを有する。それは、非免疫原性であり、水溶液中に可溶性である。そのポリマーは、無毒性であり、概して、活性タンパク質または細胞を傷つけることはない。
【0015】
タンパク質のペグ化は、可溶性および血管長命を改善し且つ異種タンパク質の免疫原性を低下させると同時に、普通のタンパク質機能を保持することが分かった(Abuchowski et al., 1977a; Abuchowski et al., 1977b; Jackson et al., 1987; Senior et al., 1991; Zalipsky et al., 1994)。ペグ化は、更に、細胞に直接的に用いられて、最初は、赤血球の輸血のために(Chen and Scott, 2001; Scott et al., 1997)、そして引き続き、膵臓β島細胞などの他の組織のために免疫偽装を与えた(Chen and Scott, 2001; Teramura and Iwata, 2009)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Johnson, L.A., Flook, J.P., and Hawk, H.W. (1989). Sex preselection in rabbits: live births from X and Y sperm separated by DNA and cell sorting. Biol Reprod 41, 199-203
【非特許文献2】Sharpe, J.C., and Evans, K.M. (2009). Advances in flow cytometry for sperm sexing. Theriogenology 71, 4-10
【非特許文献3】Frijters, A.C., Mullaart, E., Roelofs, R.M., van Hoorne, R.P., Moreno, J.F., Moreno, O., and Merton, J.S. (2009). What affects fertility of sexed bull semen more, low sperm dosage or the sorting process? Theriogenology 71, 64-67
【非特許文献4】Vazquez, J.M., Martinez, E.A., Roca, J., Gil, M.A., Parrilla, I., Cuello, C, Carvajal, G., Lucas, X., and Vazquez, J.L. (2005). Improving the efficiency of sperm technologies in pigs: the value of deep intrauterine insemination. Theriogenology 63, 536-547
【非特許文献5】Vazquez, J.M., Roca, J., Gil, M.A., Cuello, C, Parrilla, I., Vazquez, J.L., and Martinez, E.A. (2008). New developments in low-dose insemination technology. Theriogenology 70, 1216-1224
【非特許文献6】Drobnis, E.Z., and Overstreet, J.W. (1992). Natural history of mammalian spermatozoa in the female reproductive tract. Oxf Rev Reprod Biol 14, 1-45
【非特許文献7】Katz, D.F., Drobnis, E.Z., and Overstreet, J.W. (1989). Factors regulating mammalian sperm migration through the female reproductive tract and oocyte vestments. Gamete Res 22, 443-469
【非特許文献8】Salicioni, A.M., Piatt, M.D., Wertheimer, E.V., Arcelay, E., Allaire, A., Sosnik, J., and Visconti, P.E. (2007). Signalling pathways involved in sperm capacitation. Soc Reprod Fertil Suppl 65, 245-259
【非特許文献9】Schroter, S., Osterhoff, C, McArdle, W., and Ivell, R. (1999). The glycocalyx of the sperm surface. Hum Reprod Update 5, 302-313
【非特許文献10】Topfer-Petersen, E., Romero, A., Varela, P.F., Ekhlasi-Hundrieser, M., Dostalova, Z., Sanz, L., and Calvete, J.J. (1998). Spermadhesins: a new protein family. Facts, hypotheses and perspectives. Andrologia 30, 217-224
【非特許文献11】Tollner, T.L., Yudin, A.I., Treece, C.A., Overstreet, J.W., and Cherr, G.N. (2008b). Macaque sperm coating protein DEFB126 facilitates sperm penetration of cervical mucus. Hum Reprod 23, 2523-2534
【非特許文献12】Tollner, T.L., Yudin, A.I., Tarantal, A.F., Treece, C.A., Overstreet, J.W., and Cherr, G.N. (2008a). Beta-defensin 126 on the surface of macaque sperm mediates attachment of sperm to oviductal epithelia. Biol Reprod 78, 400-412
【非特許文献13】Calvete, J.J., and Sanz, L. (2007). Insights into structure-function correlations of ungulate seminal plasma proteins. Soc Reprod Fertil Suppl 65, 201-215
【非特許文献14】Mitchell, J.R., Senger, P.L., and Rosenberger, J.L. (1985). Distribution and retention of spermatozoa with acrosomal and nuclear abnormalities in the cow genital tract. J Anim Sci 61, 956-967
【非特許文献15】Hawk, H.W. (1983). Sperm survival and transport in the female reproductive tract. J Dairy Sci 66, 2645-2660
【非特許文献16】Hunter, R.H. (2003). Advances in deep uterine insemination: a fruitful way forward to exploit new sperm technologies in cattle. Anim Reprod Sci 79, 157-170
【非特許文献17】Matthijs, A., Engel, B., and Woelders, H. (2003). Neutrophil recruitment and phagocytosis of boar spermatozoa after artificial insemination of sows, and the effects of inseminate volume, sperm dose and specific additives in the extender. Reproduction 125, 357-367
【非特許文献18】Alghamdi, A.S., Lovaas, B.J., Bird, S.L., Lamb, G.C., Rendahl, A.K., Taube, P.C., and Foster, D.N. (2009). Species-specific interaction of seminal plasma on sperm-neutrophil binding. Anim Reprod Sci 114, 331-344
【非特許文献19】Lightfoot, R.J., and Restall, B.J. (1971). Effects of site of insemination, sperm motility and genital tract contractions on transport of spermatozoa in the ewe. J Reprod Fertil 26, 1-13
【非特許文献20】Oren-Benaroya, R., Kipnis, J., and Eisenbach, M. (2007). Phagocytosis of human post-capacitated spermatozoa by macrophages. Hum Reprod 22, 2947-2955
【非特許文献21】Woelders, H., and Matthijs, A. (2001). Phagocytosis of boar spermatozoa in vitro and in vivo. Reprod Suppl 58, 113-127
【非特許文献22】Mullins, K.J., and Saacke, R.G. (1989). Study of the functional anatomy of bovine cervical mucosa with special reference to mucus secretion and sperm transport. Anat Rec 225, 106-117
【非特許文献23】de Lamirande, E., and Gagnon, C. (1995). Impact of reactive oxygen species on spermatozoa: a balancing act between beneficial and detrimental effects. Hum Reprod 10 Suppl 1, 15-21
【非特許文献24】Koppers, A. J., De Iuliis, G.N., Finnie, J.M., McLaughlin, E.A., and Aitken, R.J. (2008). Significance of mitochondrial reactive oxygen species in the generation of oxidative stress in spermatozoa. J Clin Endocrinol Metab 93, 3199-3207
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【非特許文献26】Storey, B.T. (1997). Biochemistry of the induction and prevention of lipoperoxidative damage in human spermatozoa. Mol Hum Reprod 3, 203-213
【非特許文献27】Jones, R., Mann, T., and Sherins, R. (1979). Peroxidative breakdown of phospholipids in human spermatozoa, spermicidal properties of fatty acid peroxides, and protective action of seminal plasma. Fertil Steril 31, 531-537
【非特許文献28】Alvarez, J.G., and Storey, B.T. (1985). Spontaneous lipid peroxidation in rabbit and mouse epididymal spermatozoa: dependence of rate on temperature and oxygen concentration. Biol Reprod 32, 342-351
【非特許文献29】Storey, B.T. (2008). Mammalian sperm metabolism: oxygen and sugar, friend and foe. Int J Dev Biol 52, 427-437
【非特許文献30】Abuchowski, A., McCoy, J R., Palczuk, N.C., van Es, T., and Davis, F.F. (1977a). Effect of covalent attachment of polyethylene glycol on immunogenicity and circulating life of bovine liver catalase. J Biol Chem 252, 3582-3586
【非特許文献31】Abuchowski, A., van Es, T., Palczuk, N.C., and Davis, F.F. (1977b). Alteration of immunological properties of bovine serum albumin by covalent attachment of polyethylene glycol. J Biol Chem 252, 3578-3581
【非特許文献32】Jackson, C.J., Charlton, J.L., Kuzminski, K., Lang, G.M., and Sehon, A.H. (1987). Synthesis, isolation, and characterization of conjugates of ovalbumin with monomethoxypolyethylene glycol using cyanuric chloride as the coupling agent. Anal Biochem 165, 114-127
【非特許文献33】Senior, J., Delgado, C, Fisher, D., Tilcock, C, and Gregoriadis, G. (1991). Influence of surface hydrophilicity of liposomes on their interaction with plasma protein and clearance from the circulation: studies with poly(ethylene glycol)-coated vesicles. Biochim Biophys Acta 1062, 77-82
【非特許文献34】Zalipsky, S., Brandeis, E., Newman, M.S., and Woodle, M.C. (1994). Long circulating, cationic liposomes containing amino-PEG-phosphatidylethanolamine. FEBS Lett 353, 71-74
【非特許文献35】Chen, A.M., and Scott, M.D. (2001). Current and future applications of immunological attenuation via pegylation of cells and tissue. BioDrugs 15, 833-847
【非特許文献36】Scott, M.D., Murad, K.L., Koumpouras, F., Talbot, M., and Eaton, J.W. (1997). Chemical camouflage of antigenic determinants: stealth erythrocytes. Proc Natl Acad Sci U S A 94, 7566-7571
【非特許文献37】Teramura, Y., and Iwata, H. (2009). Surface modification of islets with PEG-lipid for improvement of graft survival in intraportal transplantation. Transplantation 88, 624-630
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
赤血球および膵臓β島細胞双方について、それぞれの細胞機能は、ペグ化にもかかわらず保存された。FRT内の精子の主な損失は、貪食作用によるので、依然として機能を保存しながら、保護のために精子をペグ化することは可能でありうる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本開示は、精子の機能性および/または受精能を改善する方法および組成物であって、例えば、FRT中の精子の運動性を増強すること、好中球による貪食作用に対して精子を保護すること、およびFRT中の精子の寿命を延長することによる方法および組成物を提供する。精子のペグ化は、体外受精率を、そして更には、胚盤胞の質を改善する場合に価値を有することもできる。開示された方法および組成物は、人工授精に用いられて、例えば、授精に必要な精子の数を減少させ且つ受胎率を改善することができる。
【0019】
一つの側面において、開示された方法は、精子を、ペグ化結合剤であって、精子に結合することができる結合剤を含む有効量の組成物と接触させることによって、精子の表面にモノメトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)などのポリエチレングリコール(PEG)を加えることを含む。特定の態様において、結合剤は、精漿タンパク質である。ウシ精子で用いるための組成物の場合、例えば、有効に用いることができる精漿タンパク質には、PDC−109、BSP−A3、BSP−30kDa、aSFP、Z13およびクラステリンが含まれるが、これに制限されるわけではない。開示された組成物中で有効に用いることができる他の結合剤には、精漿タンパク質に特異的に結合する単クローン性抗体などの抗体またはその抗原結合フラグメントが含まれる。追加の精子結合剤には、精子表面上の炭水化物を認識するレクチン分子、精子抗原への抗体、そして更に、ウシ精子を延長するのに用いられる且つウシ精子に結合するタンパク質を有する卵黄が含まれる。
【0020】
他の態様において、mPEGなどのPEGは、精子を、精子表面に直接的に共役する反応性基を有するPEG分子を含む有効量の組成物と接触させることによって精子表面に加える。例えば、アミン反応性基を有するPEGは、精子表面タンパク質に共有結合することができる。
【0021】
他の態様において、mPEGなどのPEGは、精子を、ペグ化膜固定剤(membrane anchoring agent)を含む有効量の組成物と接触させることによって精子表面に加える。特定の態様において、膜固定剤は、コレステロール、ジアシルグリセロ脂質、ジアルキルグリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴシンで由来ジアシル脂質およびジアルキル脂質、セラミド、ホスファチデート、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールまたはホスファチジルグリセロールなどの脂質であるが、これに制限されるわけではない。
【0022】
別の側面において、精子の機能性および/または受精能を改善する方法であって、精子を、脂質−PEG−官能性残基複合体と接触させることを含み、ここにおいて、官能性残基が、精子の機能性および/または受精能を改善する場合に有効である方法を提供する。
【0023】
もう一つの側面において、本開示は、AIまたは体外受精に用いるための調製品を製造する方法であって、哺乳動物から精子を入手し、場合により、その精子を分離して、X染色体支持精子およびY染色体支持精子とし、そして精子を、本明細書中に開示の有効量の組成物および/またはコンストラクトと接触させることを含む方法を提供する。X染色体支持精子をY染色体支持精子から分離する方法は、当業者に知られていて、それには、例えば、フローサイトメトリーが含まれる。このような方法には、米国特許第5,135,759号明細書、米国特許第5,985,216号明細書、米国特許第6,149,867号明細書、および米国特許第6,263,745号明細書に記載の方法が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0024】
また別の側面において、AIまたは体外受精に用いるための調製品であって、生きている精子および本明細書中に開示の組成物および/またはコンストラクトを含む調製品を提供する。特定の態様において、精子は、X染色体を支持する。
【0025】
精子の凍結保存方法も、本開示によって提供する。このような方法は、(a)精子を、凍結保護剤および本明細書中に開示の有効量の組成物および/またはコンストラクトと接触させ;そして(b)精子および組成物/コンストラクトを約4℃〜約−196℃の温度で貯蔵することを含み、ここにおいて、有効量の組成物は、組成物/コンストラクト不含で貯蔵される精子に相対して、精子の機能性および/または受精能を増加させるのに十分である。このような方法において有効に用いることができる凍結保護剤の例には、PEG、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド、ラフィノース、ラクトース、トレハロース、メリビオース、メレチトース、マンノトリオース、スタキオース、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、スクロース、マルチトール、ラクチトールおよびグリセロールが含まれるが、これに制限されるわけではない。関連した側面において、凍結保存された精子および本明細書中に開示の組成物および/またはコンストラクトを含む調製品を提供する。精子を凍結保存する方法は、当該技術分野において周知であり、それには、例えば、米国特許第7,208,265号明細書、および米国特許出願公開第2007/0092860号明細書に開示の方法が含まれる。
【0026】
本明細書中に開示の方法、組成物およびコンストラクトは、雌牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ヒト、ラクダ、ウマ、シカ、アルパカ、イヌ、ネコ、ウサギおよび齧歯類動物が含まれ、これに制限されるわけではない、哺乳動物のAIに用いるための精子の調製に特に好都合である。このような方法で用いられる精液は、新鮮射精液であってよいか、または以前に凍結された後、融解されていてもよい。
【0027】
本発明のこれらおよび追加の特徴およびそれらを入手する方法は、以下のより詳細な説明の論及によって明らかになるであろうし、そして本発明は、最もよく理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上に概説されたように、本開示は、精子の機能性および/または受精能を改善する方法を、このような方法で用いるための組成物およびコンストラクトと一緒に提供する。特定の態様において、本明細書中に開示の方法および組成物は、FRT中の精子の運動性を増強する、貪食作用から精子を保護する、および/またはFRT中の精子の寿命を延長する。精子の機能性および/または受精能を増加させる組成物またはコンストラクトの能力は、精子を、その組成物またはコンストラクトと接触させ;被処置精子の受精能獲得およびアクロソーム状態および凍結保存から回復する能力を示す、運動性、好中球攻撃への耐性、膜保全性および/または精子表面マーカーの存在などのパラメーターを測定し;そしてそれら結果を、未処置精子について得られたものと比較することによって決定することができる。修飾された精子の機能性は、子宮頸管外植片または合成類似物とのそれらの相互作用および/またはそれらの受精能獲得能力、アクロソーム反応能力および体外受精能力を調べることによって決定することもできる。上記のパラメーターを測定する技法は、当該技術分野において周知であり、それには、下記のものが含まれる。特定の態様において、開示された方法は、mPEGなどのPEGを、選別済みかまたは未選別の精子の表面に加えることを含む。
【0029】
精子の受精能および/または機能性における精子表面タンパク質の役割
射精後、精子は、精巣、精巣上体および副生殖腺からの分泌物から構成される精漿中に入っている(Calvete and Sanz, 2007; Maxwell et al., 2007)。精漿は、アミノ酸、脂質、脂肪酸、オスモライト(osmolytes)、膜小胞、ペプチドおよびタンパク質から構成される複雑な混合物である(Calvete and Sanz, 2007; Maxwell et al., 2007)。精液からのタンパク質は、雄牛の受精能に関連していることが分かったが(Killian et al., 1993)、高受精能と低受精能の雄牛間でのこれらタンパク質のレベルの比較は、これらタンパク質の4種類が、二つの群の雄牛間の約50%の変動を説明しうるということを示している(Moura et al., 2006)。これらタンパク質のいくつか、および精子精巣上体通過中に加えられるその他は、精子の特定の領域に結合するし且つ異なったリガンド結合能力を有することが分かった。このような精子表面タンパク質は、精子生存能力(Centurion et al., 2003)、運動性(Garcia et al., 2006)、子宮免疫活性(Calvete and Sanz, 2007; Einspanier et al., 1991)、子宮頸管粘液の侵入(Tollner et al., 2008b)、受精能獲得状態(Manjunath and Therien, 2002; Therien et al., 1997; Tollner et al., 2009)、および卵管(Ekhlasi-Hundrieser et al., 2005; Tollner et al., 2008a; Yamaguchi et al., 2009)および透明帯双方の結合(Dostalova et al., 1995)を調節する活性、および免疫保護を与える(Yudin et al., 2005)活性を有することが分かった。集合的に、これら研究は、精子の表面が、精子受精能の調節に重要な役割を有するということを強く示唆している。
【0030】
有蹄類(すなわち、ブタ、雄牛、雄羊および種馬)の場合、射精液からの成分、特に、副生殖腺からのタンパク質は、精子表面に結合し且つ受精能獲得を阻害する(受精能獲得抑制として知られる;(Maxwell et al., 2007))。これら受精能獲得抑制因子のいくつかは、主要な精漿タンパク質に由来し、スペルマドヘシン(spermadhesin)およびフィブロネクチンII型(FN2)コリン結合タンパク質ファミリーに属する(Calvete and Sanz, 2007)。しかしながら、大部分の精液タンパク質の正確な役割は未知であり、精漿のタンパク質組成にも、同じタンパク質ファミリーからのタンパク質の見掛け機能にも、種間で有意差が存在する(Calvete and Sanz, 2007; Manjunath et al., 2007)。これら差にもかかわらず、FRT中の精子の受精能獲得時の表面に結合したタンパク質および脂質の損失などの膜再造形事象は、哺乳動物種を越えて本質的に保存される(Calvete and Sanz, 2007; Tollner et al., 2009)。精子の表面は、それが、いくつかの雌性生殖分泌物からの損傷部位であり、そして更に、上皮および免疫学的攻撃からの保持または損傷の部位であるから、精子受精能の重要な特徴である。したがって、表面特性を増強して、表面の保持または損傷を減少させることは、精子受精能を増加させるかもしれない。しかしながら、精子表面は、更に、FRTからの可溶性シグナルおよびFRTへの特異的組織結合双方と精子の相互作用の部位である。このような特異的相互作用に関与する可溶性シグナルの例には、グリコサミノグリカン(GAG)および高密度リポタンパク質(HDL)分子が含まれ、それらは双方とも、雌牛の受精能獲得を引き起こすことに関与している(Lane et al., 1999; Therien et al., 2005; Therien et al., 1995; Therien et al., 1998)。精子−組織相互作用の例には、子宮卵管接合部と精子の相互作用(Yamaguchi et al., 2009)および卵管上皮への結合(Gwathmey et al., 2006)が含まれる。したがって、全体的には、精子表面増強について、精子に保護を加えるが、特異的シグナリングおよび結合が生じることを可能にするバランスを見出す必要がある。この目的を達成する一つの魅力的な手段は、精子を被覆する且つ受精能獲得時に失われる受精能獲得抑制因子に保護剤を加えることである。
【0031】
本発明者は、mPEGが、このような保護剤として働くことができると考えている。薬物(Greenwald et al., 2003)または治療的タンパク質(Roberts et al., 2002)へのmPEGの共有結合連結(ペグ化として知られる)は、宿主免疫系から分子を隠し、そしてこれら物質の流体力学的サイズを増加させる。したがって、ペグ化は、腎クリアランスを減少させ且つタンパク質分解への耐性を増加させることによって、親分子の循環時間を長くする(Harris and Chess, 2003)。ペグ化は、更に、細胞を免疫偽装するために、具体的には、輸血、特殊化した細胞移植に用いられてきたが、この場合、ペグ化は、拒絶反応の発現を有意に減少させることができる(Chen and Scott, 2001)。ペグ化および移植の研究は、同遺伝子系ラット膵島についても行われて、ペグ化が、in vivo 細胞のシグナリングおよび機能を損なわないということを示した(Chen and Scott, 2001)。
【0032】
ウシ精漿の主要タンパク質画分(50〜70%)は、集合的にBSPタンパク質と称されるリン脂質結合タンパク質のファミリーによって代表される(Manjunath et al., 2007)。BSPタンパク質標示は、FN2ドメインの存在を特徴とする(Manjunath et al., 2007)。具体的には、BSPは各々、独特のN末端ドメインの後、短いリンカーポリペプチド鎖で隔てられている縦列した二つのFN2ドメインから構成されている(Constantine et al., 1992; Wah et al., 2002)。それらBSP FN2ドメインは、コリンリン脂質結合部位(Calvete et al., 1996; Desnoyers and Manjunath, 1992)を、そして他の表面上に、ヘパリン(Calvete et al., 1996; Chandonnet et al., 1990)およびHDL(Therien et al., 1997)の結合部位を含有することが分かった。ウシ精漿の場合、三つのFN2ファミリーメンバーが、次の濃度で存在する(Nauc and Manjunath, 2000):BSP−A1/A2(PDC−109としても知られる、15〜20mg/mlで存在)、BSP−A3(2〜4mg/mlで存在)、およびBSP−30kDa(4〜6mg/mlで存在)。射精時に、BSPは、精子膜に結合し、そして受精能獲得中に行われるGAG/HDLで媒介される表面修飾に決定的な役割を果たす(Therien et al., 1998; Therien et al., 1997)。BSPタンパク質は、受精能獲得中に精子の表面から失われる(Therien et al., 2001)。
【0033】
ウシ精液の場合、主要スペルマドヘシンタンパク質は、精漿中に2〜7mg/mlで存在する114残基の非グリコシル化タンパク質である酸性精液タンパク質(aSFP)である(Dostalova et al., 1994; Wempe et al., 1992)。このタンパク質は、精子の表面にゆるく結合し、そして体外受精能獲得中に定量的に放出される(Dostalova et al., 1994)。そのタンパク質は、酸化保護に役割を有することがありうるし、そして更に、リンパ球および子宮内膜プロゲステロン分泌を刺激することがありうる(Einspanier et al., 1991)。Z13として知られるもう一つのスペルマドヘシンも、精漿中に存在する。このタンパク質も、非グリコシル化であるが、二量体として、約0.5mg/mlの濃度で存在する(Tedeschi et al., 2000)。
【0034】
精子の表面に結合するそれらタンパク質は、種間で極めて変動しうると考えられる。更に、精子への転移部位も、変動しうる。例えば、マウスおよびサルの場合、βデフェンシンは、受精能獲得抑制因子の役割を有すると考えられる(Tollner et al., 2009; Yudin et al., 2008)。更に、マウスの場合、これらタンパク質は、射精後に加えられることはないが、精巣上体を介するそれらの通過中に精子を被覆する(Yudin et al., 2008)。ヒトの場合、ウシBSP様遺伝子が存在するが、しかしながら、精液中のタンパク質としてのそれらの発現は、極めて少ない成分としてである(Lefebvre et al., 2007)。精子表面と会合している且つ受精能獲得によって放出されうるタンパク質の別のファミリーは、16の不変システイン残基を特徴とするタンパク質ファミリーであるCRISPである(Topfer-Petersen et al., 2005)。ヒトの場合、エッピン(SPINLW1としても知られる;Kunitz およびWAPドメイン1を含むセリンペプチダーゼ阻害剤様)およびCD52分子は、受精能獲得抑制因子として働くかもしれない(Focarelli et al., 1999; Focarelli et al., 1998; Focarelli et al., 1995)。多数の種の精子表面上に存在すると考えられる一つのタンパク質は、クラステリンである(表1を参照されたい)。
【0035】
精子表面へのポリエチレングリコールの付加
一つの側面において、本明細書中に開示の方法は、保護を与えるが、同時に、精子が、FRTを介する上昇において認められる分子配列および細胞相互作用を維持することを可能にし、それによって、精子の機能性および/または受精能を増加させる技法を用いて、精子に保護剤PEGを加えることを包含する。特定の態様において、このような方法は、mPEGなどのPEG、および精子の細胞表面に直接的にかまたは間接的に結合する結合剤を含めた組成物を用いる。
【0036】
広範囲の分子量を有するPEGは、開示された方法において有効に用いることができる。例えば、特定の態様において、PEGは、約200〜約40,000ダルトンの範囲内の分子量を有する。本明細書中に開示の方法、組成物およびコンストラクトでの使用が考えられるPEGには、mPEG、モノアルキル置換PEG、タンパク質への共役を可能にする1つ以上のアミン反応性基を有するPEG、ならびに直鎖および分枝状鎖PEGが含まれるが、これらに制限されるわけではない。開示された方法、組成物およびコンストラクトにおいて有効に用いることができるコレステロール−PEG誘導体は、商業的に入手可能であり、それには、NOF Corporation(White Plains, NY)から入手可能なものが含まれる。
【0037】
一つの態様において、結合剤は、精子に結合し且つ受精能獲得時に失われることが知られているタンパク質である。ウシの場合、これらには、例えば、PDC−109(NCBI Accession NP_001001145.1;SEQ ID NO:1)、BSP−A3(NCBI Accession NP_777265.1;SEQ ID NO:2)、BSP−30kDa(NCBI Accession NP_777267;SEQ ID NO:3)、aSFP(NCBI Accession NP_777041.1;SEQ ID NO:4)およびZ13(NCBI Accession P82292;SEQ ID NO:5)が含まれる。精子と会合するおよびペグ化に用いることができる追加の可能性のある精漿タンパク質を、下の表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
別の態様において、結合剤は、それ自体、精子に結合し且つ受精能獲得時に失われることが知られている精液タンパク質に結合する分子である。このような分子の例には、レクチン;および精漿タンパク質に結合する抗体およびそれらの抗原結合フラグメント;およびビテロゲニンおよびアポリポタンパク質Bを含めたニワトリ卵黄タンパク質などの、精子に結合することが知られているタンパク質が含まれる。ウシの場合、例えば、このような抗体には、PDC−109、BSP−A3、BSP−30kDa、aSFPおよび/またはZ13に特異的に結合するものが含まれる(例えば、Manjunath and Sairam, 1987; Nauc and Manjunath, 2000 を参照されたい)。ウシまたはブタ精子へ有意の結合性を示すレクチンには、下の表2に挙げられるものが含まれる。
【0040】
【表2】

【0041】
本明細書中に開示の結合剤は、(Kodera et al., 1998; Roberts et al., 2002)に記載のものなどの、当業者に周知の技法を用いてペグ化されている。次に、そのペグ化結合剤を、AI前に(性別判定済みかまたは性別未判定の)精子に加える。
【0042】
他の態様において、PEGは、膜固定剤を用いて精子に取り付けられている。本明細書中で用いられる「膜固定剤」という用語は、細胞膜を含めた脂質二層中へ自発的に且つ安定して取り込むことが知られている分子を意味する。このような分子の例には、本明細書中にその開示が援用される米国特許出願公開2007/0197466号明細書に記載の合成分子が含まれるが、これに制限されるわけではない。特定の態様において、膜固定剤は、脂質である。開示された方法において有効に用いることができる脂質には、グリセロリン脂質を含めたジアシル−およびジアルキルグリセロ脂質、および、セラミドを含めた、スフィンゴシンで由来ジアシル−およびジアルキル脂質が含まれるが、これに制限されるわけではない。特定の態様において、脂質は、コレステロール、ジアシルグリセロ脂質、ホスファチデート、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールおよびホスファチジルグリセロールから成る群より選択される。脂質は、1つ以上のcis−脱飽和脂肪酸から誘導されてもよい。
【0043】
脂質は、直接的にか、または、−CO(CHCO−、−CO(CHCOまたは−CO(CHCO−などのリンカーによって、PEGに連結することができる。開示された方法において有効に用いることができるPEGリン脂質複合体には、Avanti Polar Lipids, Inc.(Alabaster, AL)より入手可能なものが含まれる。ペグ化膜固定剤は、AI前に精子に加える。
【0044】
他の態様において、PEGは、下の実施例7に記載のように、アミン反応性基によって直接的に精子表面タンパク質に取り付けられている。
ポリペプチドおよびタンパク質
開示された方法、組成物およびコンストラクトに用いられるタンパク質および/またはポリペプチドは、Mamjunath and Sairam (1987) に記載のものなどの、当業者に周知の技法を用いて、精子から単離することができる。或いは、このようなタンパク質および/またはポリペプチドは、タンパク質をエンコードしているポリヌクレオチドを発現ベクター中に挿入し、そして適当な宿主中で抗原を発現させることによって、組換えで製造することができる。当業者に知られているいろいろな発現ベクターはいずれも、用いることができる。発現は、組換えポリペプチドをエンコードしているDNA分子を含有する発現ベクターで形質転換またはトランスフェクションされたいずれか適当な宿主細胞において達成することができる。適する宿主細胞には、原核生物、酵母および高等真核細胞が含まれる。好ましくは、用いられる宿主細胞は、大腸菌(E. Coli)、ミコバクテリア、昆虫、酵母、またはCOSまたはCHOなどの哺乳動物細胞系である。
【0045】
本明細書中に開示の複合体および組成物は、1つ以上のアミノ酸欠失、付加および/または置換によって修飾された変異ポリペプチド配列を包含する。変異配列は、好ましくは、本明細書中に開示の特異的ポリペプチド配列に、少なくとも75%、より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%、なおより好ましくは、少なくとも95%、そして最も好ましくは、少なくとも98%の同一性を示す。同一性百分率は、下記のように比較される二つの配列を整列させ、整列した部分の同一残基の数を決定し、その数を、本発明の(クエリー(queried))配列中の全残基数で割り、そしてその結果に100を掛けることによって決定する。挙げられた配列同一性レベルを示すことに加えて、変異配列は、好ましくは、本明細書中に開示の特異的配列の機能性に実質的に似ている機能性を示す。好ましくは、変異ポリペプチド配列は、下記のもののような、精子受精能検定において特異的に識別されたポリペプチド配列が有する精子受精能増強活性を少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%、なおより好ましくは、少なくとも95%、そして最も好ましくは、100%有する。このような変異型は、概して、本明細書中に開示のポリペプチド配列の一つを修飾し、そして修飾されたポリペプチドまたは融合ポリペプチドの性状を、例えば、本明細書中に記載の代表的な手順を用いて評価することによって識別することができる。
【0046】
特定の態様において、変異配列は、保存的置換、欠失または修飾だけが、特異的に識別された配列とは異なる。本明細書中で用いられる「保存的置換」は、ペプチド化学における当業者が、ポリペプチドの二次構造および水治療性(hydropathic nature)が実質的に未変化であろうと考えるように、あるアミノ酸が、類似の性状を有する別のアミノ酸の代わりに置き換えられているものである。概して、次の群のアミノ酸は、保存的変化を示す:(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、his。変異型は、更に、または或いは、ポリペプチドの抗原性、二次構造および水治療性に最小限の影響を有するアミノ酸の欠失または付加を含めた他の修飾を含有してよい。例えば、ポリペプチドは、タンパク質の転移を同時翻訳でまたは翻訳後に支配するタンパク質のN末端にあるシグナル(またはリーダー)配列に共役することができる。そのポリペプチドは、更に、ポリペプチド(例えば、ポリ−His)の合成、精製または識別の容易さのために、または複合体中のポリペプチドの結合性を増強するために、リンカーまたは他の配列に共役することができる。
【0047】
ポリペプチド配列は、整列していてよく、そして特定領域中の同一アミノ酸の百分率は、BLASTPアルゴリズムなどの、公的に入手可能であるコンピューターアルゴリズムを用いて、別のポリペプチドに対して決定することができる。BLASTXおよびFASTXアルゴリズムは、全ての読み枠中の翻訳されたヌクレオチドクエリー配列をポリペプチド配列に対して比較する。アルゴリズムのBLASTファミリーの使用は、NCBIのウェブサイトおよび Altschul et al の公報に記載されている。BLASTN、BLASTP、FASTAまたは類似のアルゴリズムによって得られたクエリー配列による1つ以上のデータベース配列への「ヒット(hits)」は、配列の類似部分を整列させ且つ識別する。ヒットは、類似性の度合い、および配列の重なりの長さの順序で配列している。データベース配列へのヒットは、概して、クエリー配列の配列長さの部分のみにわたる重なりを示す。
【0048】
本明細書中に記載のポリペプチドは全て、当該技術分野においてそれら用語が一般的に用いられるように、単離し且つ精製されている。好ましくは、それらポリペプチドは、少なくとも約80%純粋、より好ましくは、少なくとも約90%純粋、そして最も好ましくは、少なくとも約99%純粋である。このような精製を達成するのに適するいろいろな技法は、当業者に周知である。これらには、例えば、硫酸アンモニウム、PEG、抗体等での、または熱変性による沈降後、遠心分離;イオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシルアパタイトおよびアフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー工程;等電点電気泳動;ゲル電気泳動;ならびにこれらおよび他の技法の組み合わせが含まれる。
【0049】
抗体
精漿タンパク質を特異的に結合する抗体は、当業者に知られているいろいろな技法のいずれかによって製造することができる(例えば、Harlow and Lane, 1988を参照されたい)。概して、抗体は、組換え抗体の生産を考えるために、単クローン性抗体の生成を含めた細胞培養技法によって、または適する細菌または哺乳動物細胞宿主中への抗体遺伝子のトランスフェクションによって生じることができる。
【0050】
単クローン性抗体は、Kohler and Milstein の技法(Kohler and Milstein, 1976)、およびその改良法などのハイブリドーマ方法を用いて製造することができる。これら方法は、所望の特異性を有する抗体を生産可能な不死細胞系の製造を包含する。単クローン性抗体は、更に、米国特許第4,816,567号明細書に記載のものなどの組換えDNA方法によって製造することができる。単クローン性抗体をエンコードしているDNA分子は、慣用的な手順を用いて単離し且つ配列決定することができる。組換え抗体、抗体フラグメント、およびそれらの融合およびポリマーは、原核細胞(例えば、細菌)または真核細胞(例えば、酵母、昆虫または哺乳動物細胞)中でin vitro発現させ、そして更に、必要なように、周知の方法を用いて精製することができる。
【0051】
抗体は、更に、in silico設計され、且つ合成で生成されるポリヌクレオチドでエンコードされたアミノ酸配列に基づく組換え抗体ライブラリーに由来してよい。in silico生成された配列を設計し且つ入手する方法は、当該技術分野において知られている(Knappik et al., 2000; Krebs et al., 2001; 米国特許第6,300,064号明細書)。機能性Fabフラグメントを生じるのに有用なヒト組み合わせライブラリーの構成方法は、Rauchenbergerら(Rauchenberger et al., 2003)によって記載されている。
【0052】
抗体の抗原結合フラグメントを生じるための抗体の消化は、当該技術分野において周知の技法を用いて行うことができる。例えば、タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を選択的に切断して、いくつかのフラグメントを生じるが、それらの二つ(「F(ab)」フラグメント)は各々、無傷の抗原結合部位を包含する共有結合ヘテロ二量体を成す。酵素ペプシンは、IgG分子を切断可能であり、「F(ab’)」フラグメントを含めたいくつかのフラグメントを与えるが、それらは、双方の抗原部位を成す。「Fv」フラグメントは、IgM、IgGまたはIgA免疫グロブリン分子の選択的タンパク質分解切断によって生じることができるが、より一般的には、当該技術分野において知られている組換え技法を用いて誘導される。Fvフラグメントは、天然抗体分子の抗原認識能力および結合能力のほとんどを保持する抗原結合部位を含めた非共有結合V::Vヘテロ二量体を包含する(Ehrlich et al., 1980; Hochman et al., 1976; Inbar et al., 1972)。
【0053】
広範囲の発現系が、当該技術分野において、Fab、一本鎖可変フラグメント(scFv)、VおよびVを含めた抗体フラグメントの生産に利用可能である。例えば、原核および真核双方の起原の発現系が、抗体フラグメントおよび抗体融合タンパク質の大規模生産に用いることができる。特に好都合であるのは、培地中への多量の抗体フラグメントの分泌を可能にする発現系である。抗体フラグメントおよび抗体融合タンパク質の大規模生産用の真核生物発現系は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物、トランスジェニック動物および下等真核生物に基づくものが記載されている。例えば、抗体フラグメントの費用効果的大規模生産は、酵母発酵系で達成することができる。これら微生物の大規模発酵は、当該技術分野において周知であり、現在、いくつかの組換えタンパク質の大量生産に用いられている。酵母および糸状菌は、遺伝的修飾に利用可能であり、目的のタンパク質は、培地中に分泌させることができる。更に、いくつかの生成物は、それらが、発熱物質、毒素またはウイルス含有物を持っていないという点で、GRAS(Generally Regarded as Safe)資格に従う。
【0054】
カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ピキア・メタノリカ(Pichia mathanolica)およびピキア・パストリス(Pichia pastoris)などのメチロトローフのおよび他の酵母は、異種タンパク質の生産用の周知の系である。ミリグラム〜グラム量の高レベルのタンパク質を得ることができるし、しかも工業的用途の発酵への拡大が可能である。
【0055】
P.パストリス(P.pastoris)系は、いくつかの工業規模生産プロセスに用いられる。例えば、scFvフラグメント、ならびに組換え抗体およびそれらのフラグメントの発現のための Pichia の使用が記載されている(Andrade et al., 2000; Pennell and Eldin, 1998; Ridder et al., 1995)。振とうフラスコ培養物の場合、250mg/L〜1g/Lを超えるレベルのscFvを得ることができる(Eldin et al., 1997; Freyre et al., 2000)。
【0056】
scFvのための類似の発現系は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Shizosaccharomyces pombe)、ヤローウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)およびクルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)について記載されている(Davis et al., 1991; Horwitz et al., 1988; Swennen et al., 2002)。トリコデルマ属(Trichoderma)およびアスペルギルス属(Aspergillus)などの糸状菌は、多量のタンパク質を分泌する能力を有する。この性状は、scFvおよびVHHs(重鎖抗体の可変ドメイン)の発現に利用することができる(Durand and Clanet, 1988; Gouka et al., 1997; Keranen and Penttila, 1995; Nevalainen et al., 1994; Nyyssonen et al., 1993; Punt et al., 2002; Radzio and Kuck, 1997; Verdoes et al., 1995; Ward et al., 1990)および Nyyssonen et al., 国際公開第92/01797号)。
【0057】
方法
開示された方法の特定の態様において、精子は、人工膣で集め、そして直ちに、単一密度層で精製する(PercollTMPLUS,GE Healthcare,下のプロトコルを参照されたい)。次に、精子を、有効量の本明細書中に開示の1つ以上の組成物および/またはコンストラクトを含む適切な基剤中で短時間インキュベート後、即時使用または凍結を可能にする適切な増量剤を加える。或いは、組成物および/またはコンストラクトを、射精液に直接的に加える。僅かな希釈、短いインキュベーション(15〜30分)、および増量剤添加の後、得られた混合物を、冷却するかまたは、将来の使用のための凍結する。別の方法の場合、組成物および/またはコンストラクトは、増量した精液に加えることができる。他の態様において、精子は、フローサイトメトリーで性別判定し、そして有効量の1つ以上の開示の組成物および/またはコンストラクトを含有する基剤中で集める。或いは、十分な選別済み精子をいったん集めたら、組成物および/またはコンストラクトを加え、適切な基剤中で短時間インキュベートし、次いで増量剤を加えた後、即時使用かまたは凍結を行う。
【0058】
本明細書中で用いられる、本明細書中で開示の組成物および/またはコンストラクトの「有効量」という用語は、未処置精子と比較して少なくとも5〜50%精子運動性を増強する、貪食作用から精子を保護する、および/またはFRT中の精子の寿命を延長する十分な量を意味する。
【0059】
当業者は、開示された方法で用いるために、本明細書中に開示の組成物およびコンストラクトは、水または生理食塩水などの1つ以上の生理学的に許容しうる担体または希釈剤を含めた組成物中に存在できることを理解するであろう。このような組成物は、保存剤、安定化剤、緩衝剤等などの他の成分を付加的に含有してよい。本組成物に用いるのに適する担体、希釈剤および他の成分は、当業者に周知であり、それには、AI用の調製品に現在用いられているものが含まれる。
【0060】
本明細書中に挙げられた米国特許、米国特許出願公開公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、非特許文献、表、配列、ウェブページ等は全て、本明細書中にそのまま援用される。次の実施例は、本開示を詳しく説明するものであるが、制限するものではない。
【実施例】
【0061】
実施例1
精漿タンパク質の精製
増量剤不含のウシ射精液を、多数の雄牛から集め、プールし、そして1,500gの低速度で15分間遠心分離して、精子細胞を除去した。その上澄みを、15,000gで15分間再度遠心分離し、そして透明な上澄み(精漿(Seminal Plasma);SP)を保持し且つSPタンパク質の単離に用いた。
【0062】
PDC−109
PDC−109は、イオン交換クロマトグラフィーによって次のように精製した。SPを、1M NaCl、25mM Tris−HCl pH6.4中に透析し、そして1M NaCl、25mM Tris−HCl pH6.4で予め平衡させた20mL−HiPrep DEAE FF16/10カラム上に装填した。そのカラムを、1M NaCl、25mM Tris−HCl pH6.4で洗浄し、そしてタンパク質を、1M NaCl、25mMTris−HCl pH6.4、10mMホスホコリンで、一段階で溶離した。この操作は、1mLのSPにつき約13mg収量の精製PDC−109を、95%より大きい純度で生じた。
【0063】
BSP−30kDa
BSP−30kDaは、ゲル濾過クロマトグラフィー後、イオン交換クロマトグラフィーを用いて、二段階で精製した。具体的には、SPを、平衡緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.4、150mM NaCl)中で1:2に希釈し、そして320mL−HiPrep 26/60 Sepharcyl S−200ゲル濾過カラム上に装填した。タンパク質を、50mM Tris−HCl pH7.4、150mM NaCl中で無勾配溶離した。SDS−PAGEを利用して、BSP−30kDaタンパク質を含有する画分を決定した。BSP−30kDaタンパク質を含有する溶離済み画分を、1M NaCl、25mM Tris−HCl pH6.4中に透析し、そしてPDC−109について記載のように精製した。この操作は、1mLのSPにつき約6mg収量の精製BSP−30kDaを、95%より大きい純度で生じた。
【0064】
BSP−A3
BSP−A3は、BSP−30kDaについて上に記載のように、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて精製した。SDS−PAGEを利用して、BSP−A3タンパク質を含有する画分を決定した。この操作は、1mLのSPにつき約6mg収量の精製BSP−A3を、95%より大きい純度で生じた。
【0065】
aSFP
aSFPは、二段階で、すなわち、ゲル濾過クロマトグラフィー後、イオン交換クロマトグラフィーで精製した。ゲル濾過クロマトグラフィーは、BSP−30kDaタンパク質の単離について記載のように行った。aSFPを含有する画分を決定するSDS−PAGE分析を行った後、選択された画分を、陰イオン交換クロマトグラフィーによって更に精製した。aSFPを含有する溶離済み画分を、結合緩衝液(6mM Tris−HCl pH7.4)中に透析し、そして20mL−HiPrep DEAE FF16/10カラム上に装填した。aSFPを、直線勾配の6mM Tris−HCl pH7.4、1M NaClを用いて溶離した。この操作は、1mLのSPにつき約1.5mg収量の精製aSFPを、95%より大きい純度で生じた。
【0066】
実施例2
精漿タンパク質への抗体の生成
10〜16週令のFlemish Giant ウサギ(2.5〜3kg)を、精製SPタンパク質への抗体の生成に利用した。精製後、SPタンパク質は、約1mg/mLの濃度に凍結乾燥後、PBS中に透析した。ウサギには、200ugのタンパク質を、初回免疫感作用に1mlのフロイント完全アジュバントと混合したもの、および引き続きの免疫感作用にフロイント不完全アジュバントと混合したもので、2週毎に全8週間注射した。最後の免疫感作後1週間に、ウサギを安楽死させ、心臓穿刺によって採血した。それぞれのタンパク質への血清抗体力価を、ELISAを用いて評価し、そして終末点希釈によって測定したところ、全被験動物が、PDC−109、BSP−30kDa、BSP−A3およびaSFPそれぞれの精漿タンパク質に15,000より大きい力価を生じた。
【0067】
実施例3
ペグ化精漿タンパク質の調製および試験
(a)精漿タンパク質のペグ化
NHS−dPEG−ビオチンを、HO中に再懸濁させた。200マイクログラムずつのPDC−109、BSP−A3、BSP−30kDaおよびaSFPを、1:5、1:20、1:40および1:60のモル比でNHS−dPEG−ビオチンと混合し、室温で30分間インキュベートした。その反応を、1M Tris−HCl pH7.4の25mM最終濃度での添加によって止めた。ペグ化タンパク質を、PBSに対して透析して、過剰のPEGを除去した。ペグ化は、SDS−PAGEにより、Coomasie Blue染色で評価した。反応したタンパク質のSDS−PAGEは、NHS−dPEG−ビオチン対精液タンパク質のモル比増加が、分子量増加を引き起こしたことを示し、ペグ化を強く示唆した。標識ストレプトアビジンでのウェスタンブロットは、この結論を支持した。
【0068】
(b)精子へのペグ化精液タンパク質結合を示す蛍光顕微鏡法
液状増量済み精液からのウシ精子細胞を、パーコール(percoll)精製し、そして0.1%PEG(MW600,Serva)の添加を伴って、非受精能獲得用基剤(NCM;下の表3を参照されたい)中で洗浄した。それら細胞を、ペグ化/ビオチニル化SPタンパク質と一緒に、NCM中において37℃で30分間インキュベートし、1回遠心分離して、上澄みを除去した。細胞ペレットを、ストレプトアビジン−アレクサフルオル(alexa fluor)488およびLIVE/DEAD定着性遠赤染料(fixable far red dye)を含有するNCM中に再懸濁させ、37℃で1時間インキュベートした。細胞を、NCM中で1回洗浄し、NCM中に再懸濁させて、10個/mlに近い最終細胞濃度とした。DAPIを、それら細胞に加え、10個細胞を、Superfrost プラススライド上に置いた。それら精子細胞を、Leica DC500カメラ、蛍光ebq100ランプおよび交換可能フィルターセットを装備したLeica DMRE顕微鏡で調べた。ビオチニル化PDC−109またはaSFPと一緒にインキュベートした細胞は、精子頭部のアクロソームキャップ部分に強い蛍光シグナルを示した。
【0069】
【表3】

【0070】
(c)精子へのペグ化精液タンパク質結合を示すフローサイトメトリー
精子細胞は、増量剤を含有する新鮮射精液の60%PercollTMPLUS勾配を介する遠心分離後、NCM中の1回洗浄によって調製した。次に、精子細胞を、各1μg/mLのペグ化SPタンパク質と一緒に28℃で30分間インキュベートした。ペグ化SPタンパク質とのインキュベーション後、細胞を1回洗浄し、ストレプトアビジン−alexa fluor 488を細胞に加え、そしてそれらを、37℃で更に30分間インキュベートした。次に、フローサイトメトリー分析を行った。PDC−109およびBSP−A3は双方とも、ストレプトアビジン−alexa fluor 488単独でインキュベートされた対照細胞と比較した場合にヒストグラムの右シフトで示されるように、精子細胞への結合を示した。
【0071】
実施例4
精子成熟モデル
このモデルの場合、下に詳述するように、ウシ精子を、NCM中において非受精能獲得条件下で一晩インキュベートする(FRT中の行程の大部分についての精子経験をそれら状態に模擬し、約90%の細胞生存率を開始する)。一晩インキュベーション後、精子を、受精能獲得用基剤(CM;表4)中で希釈して、高効率での受精能獲得、および少ない生存率損失(75〜85%の範囲内の細胞生存率)を引き起こす。典型的な実験において、ウシ精子が、カフェイン、db−cAMPおよびIBMX(3−イソブチル−1−メチルキサンチン)で受精能を獲得する場合、95%を越える生存可能細胞が、WGA−フルオレセイン/Annexin Vまたはメロシアニン(merocyanine)540結合によって評価されるように、受精能を獲得する(表5を参照されたい;WGA染色は、受精能獲得時の染色において約10倍シフトで最も感受性である)。細胞が体外で受精能獲得する場合、それらは、アクロソーム反応する能力も獲得する(表5)。カフェイン、db−cAMP、およびIBMXの組み合わせは、受精能獲得の有効な誘発物質であるが、より in vivo様の受精能獲得誘発が要求される場合、ヘパリンを用いる。ペグ化精子を、それらが成熟する能力について、具体的には、ヘパリン誘発方法を用いて、未ペグ化精子と比較する。
【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
【表7】

【0076】
(a)1日目−PercollTMPLUSを用いたウシ精子精製
90% PercollTMPLUS溶液は、10xNCMをPercollTMPLUSに加えることによって作る。次に、60%単一層勾配を、1xNCMでの希釈によって作る。標準的な方法において、4mlの60%PercollTMPLUS/NCMを、15mlファルコン管中に加えた後、液状増量剤(標準的なトリス−卵黄、約1:4の卵黄−シトレート−グリセロール増量)中の1.5mlの射精液を、静かに上部に装填し、そして室温において700xgで20分間遠心分離する。ペレットを除去し、8mlのNCM中において700xgで5分間の遠心分離によって1回洗浄する。次に、上澄みを除去し、そしてペレットを、1mlのNCM中に再懸濁させる。受精能獲得処置管を、5x10個細胞/mlの精子濃度で設定する。
【0077】
(b)1日目−フローサイトメトリー分析
試料は、フローサイトメトリー分析用に次のように調製する。下の表6に示される成分を、200μlの最終容量中に5x10個のPercollTMPLUSで精製済みのウシ精子と一緒に、室温で10分間インキュベートし、同時に、ヨウ化プロピジウム(propidium iodide)(PI)を、フローサイトメトリーによって分析する直前に加える。
【0078】
【表8】

【0079】
(c)1日目−ウシ精子試料の一晩インキュベーション
PercollTMPLUSで精製済みのウシ精子を、5x10個/mLの細胞濃度で、28℃水浴中においてNCM中で一晩インキュベートする。次に、その精子を、倒立明視野顕微鏡下でおよび/またはQualiSpermを用いて目視評価後、受精能獲得を誘発する。
【0080】
(d)2日目−非受精能獲得用基剤から受精能獲得用基剤への細胞の遷移
一晩インキュベーション後、細胞を、CM(表4)中に希釈する。具体的には、1mlの一晩インキュベートした精子を、1mlのCM基剤で1:1に希釈する。受精能獲得のための活性剤、具体的には、カフェインおよびdb−cAMPを、1mMの最終濃度で加え(インキュベーション開始後約16時間)、そしてIBMXを、100mMの最終濃度で加える。或いは、ウシ精子受精能獲得は、ヘパリンまたはメチルβシクロデキストリン(コレステロール受容体)を用いて誘発する。次に、試料を37℃で1時間インキュベートする。
【0081】
(e)2日目−受精能獲得済み精子のフローサイトメトリー分析
次に、1日目と同様に、ウシ精子試料を、蛍光標識したSBTI、PNAおよびWGAと一緒に10分間インキュベートし、そしてPIを、フロー分析の直前に加える。
【0082】
実施例5
in vitro精子試験
一連の実験をin vitroで行って、実施例4の精子成熟モデルにおいて精子機能性のいろいろな尺度を改善する精子ペグ化の能力を決定する。精子を、次の特性の変化について、ペグ化の有無で比較する:運動性;膜保全性;ミトコンドリア膜ポテンシャル;膜流動性;クロマチン保全性;脂質過酸化;受精能獲得;アクロソーム反応;精子表面(または修飾された精子表面タンパク質)への抗体、ヘパリンおよびレクチンの結合性;RFT中で移動する精子の能力;貪食作用への精子の耐性;および体外受精する精子の能力(詳細については、表5を参照されたい)。
【0083】
実施例6
精子へのコレステロール−PEG−フルオレセインの結合
ウシ精子およびヒトJurkat細胞に結合するコレステロール−PEG−フルオレセインの能力を、フローサイトメトリーによって次のように評価した。
【0084】
PercollTMPLUSで精製済みのウシ精子(5x10個細胞)を、0.1mg/mlのBSAを含有するNCM中で希釈し、そして1μg/mlか、または10μg/mlのコレステロール−PEG2000−フルオレセインまたはコレステロール−PEG5000−フルオレセインと一緒に37℃で30分間インキュベートした。同様に、ヒトJurkat細胞(5x10個)を、PBS中で希釈し、そして1μg/mlかまたは10μg/mlのコレステロール−PEG2000−フルオレセインまたはコレステロール−PEG5000−フルオレセインと一緒に37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、試料を、NCM/BSAまたはPBSで洗浄し、そして細胞を、室温において3900rpmで7分間の遠心分離および上澄みの除去によって回収した。その細胞ペレットを、ウシ精子については、0.1mg/mlのBSAを含有する190μlのNCM中に、そしてJurkat細胞については、190μlのPBS中に再懸濁させた。次に、細胞を、フローサイトメトリーによって分析した。
【0085】
表7は、ウシ精子へのコレステロール−PEG−フルオレセインの結合についての研究結果を示す。
【0086】
【表9】

【0087】
表8は、ヒトJurkat細胞へのコレステロール−PEG−フルオレセインの結合についての研究結果を示す。
【0088】
【表10】

【0089】
実施例7
反応性アミン基による精子細胞へのPEGの結合
精子細胞に結合するN−ヒドロキシルスクシンイミド(NHS)−PEGの能力を、次のように調べた。
【0090】
0.1mg/mlのBSAを含有するNCM中の200μlの5x10個/mlの精子細胞を、100μg/mlの光保護されたNHS−10K−PEGまたはNHS−20K−PEGと一緒に37℃で30分間インキュベートした。1mlのNCM中の60%PercollTMPLUSを、2mL管中に入れ、そして各200μlの精子−PEG試料を、PercollTM勾配の上部に加層後、スイングバケットローター中において700xgで20分間遠心分離した。精子ペレットを取り出し、新しい管に入れた。NCM−BSAを、そのペレットに加えて、全容量を400μlとした。次に、40μlの細胞を、v底96ウェルプレートに移し、B47抗メトキシ−PEGウサギ単クローン性抗体(Epitomics)で染色し、洗浄し、Alexa 488抗ウサギ抗体で染色し、洗浄し、そして細胞を、フローサイトメトリーによって分析した。それら結果を、下の表9に示す。
【0091】
【表11】

【0092】
実施例8
in vivo現場人工授精試験
妊娠を達成することは、雄・雌双方の受精能に、そして更には、他の因子(動物の管理、出産経歴、年齢、環境、授精手順等など)に依存するので、したがって、通常は、試験に多数の動物を必要とする(Amann and Hammerstedt, 2002)。少なくともウシについては、多数の精子/射精液、そして更には、慎重な研究設計が、多くの変動源を制御することができるということである。ウシの場合、AI試験は、授精に必要な精子数を、単独で(Den Dass et al., 1998)かまたは、フローサイトメトリー選別(Bodmer et al., 2005)、増量剤組成または他の修飾(Amann et al., 1999)などの他の変数と一緒に調べるために行われてきた。基本設計は、数頭の雄牛および多数の雌牛を用いた精子用量反応である(Den Dass et al., 1998)。或いは、異なった雄からの精子の混合物での異種精子授精後、胎芽回収および遺伝子型決定を行うことは、修飾された精子の受精能を速やかに決定するのに用いることができるし、それをフローサイトメトリー選別するまたは表面修飾することができる(Dziuk, 1996; Flint et al., 2003)。
【0093】
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
精子の機能性および/または受精能を改善する方法であって、精子を、ペグ化結合剤であって、精子に結合することができる結合剤を含む有効量の組成物と接触させることを含む、前記方法。
【請求項2】
結合剤が、精漿タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
精漿タンパク質が、PDC−109、BSP−A3、BSP−30kDa、aSFP、およびZ13から成る群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
結合剤が、精漿タンパク質に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
精漿タンパク質が、PDC−109、BSP−A3、BSP−30kDa、aSFP、およびZ13から成る群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
精子の機能性および/または受精能を改善する方法であって、精子を、ペグ化膜固定剤を含む有効量の組成物と接触させることを含む、前記方法。
【請求項7】
膜固定剤が、脂質である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
脂質が、コレステロール、ジアシルグリセロ脂質、ジアルキルグリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴシン由来ジアシル脂質およびジアルキル脂質、セラミド、ホスファチデート、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、およびホスファチジルグリセロールから成る群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
人工授精、または体外受精に用いるための組成物を製造する方法であって、
(a)哺乳動物から精子を入手すること;そして
(b)精子を、ペグ化結合剤であって、精子に特異的に結合することができる結合剤を含む有効量の組成物と接触させること
を含む、前記方法。
【請求項10】
精子を選別して、X染色体支持精子を、Y染色体支持精子から分離することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
哺乳動物が、ヒト、ウシ、ブタ、またはウマである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
結合剤が、精漿タンパク質である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
精漿タンパク質が、PDC−109、BSP−A3、BSP−30kDa、aSFP、およびZ13から成る群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
結合剤が、精漿タンパク質に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合フラグメントである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
精漿タンパク質が、PDC−109、BSP−A3、BSP−30kDa、aSFP、およびZ13から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
人工授精または体外受精に用いるための組成物を製造する方法であって、
(a)哺乳動物から精子を入手すること;そして
(b)精子を、ペグ化膜固定剤を含む有効量の組成物と接触させること
を含む、前記方法。
【請求項17】
膜固定剤が、脂質である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
脂質が、コレステロール、ジアシルグリセロ脂質、ジアルキルグリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴシン由来ジアシル脂質およびジアルキル脂質、セラミド、ホスファチデート、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、およびホスファチジルグリセロールから成る群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
生きている精子、およびペグ化結合剤を含み、該結合剤は精子に特異的に結合することができる、調製品。
【請求項20】
結合剤が、精漿タンパク質である、請求項19に記載の調製品。
【請求項21】
精漿タンパク質が、PDC−109、BSP−A3、BSP−30kDa、aSFP、およびZ13から成る群より選択される、請求項20に記載の調製品。
【請求項22】
結合剤が、精漿タンパク質に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合フラグメントである、請求項19に記載の調製品。
【請求項23】
精漿タンパク質が、PDC−109、BSP−A3、BSP−30kDa、aSFP、およびZ1から成る群より選択される、請求項22に記載の調製品。
【請求項24】
生きている精子、およびペグ化膜固定剤を含む、調製品。
【請求項25】
膜固定剤が、脂質である、請求項24に記載の調製品。
【請求項26】
脂質が、コレステロール、ジアシルグリセロ脂質、ジアルキルグリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴシン由来ジアシル脂質およびジアルキル脂質、セラミド、ホスファチデート、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールおよびホスファチジルグリセロールから成る群より選択される、請求項25に記載の調製品。
【請求項27】
精子が、X染色体支持精子である、請求項19〜26のいずれか1項に記載の調製品。
【請求項28】
精子を凍結保存する方法であって、
(a)精子を、凍結保護剤、およびペグ化結合剤であって、精子に結合することができる結合剤を含む組成物と接触させること;そして
(b)精子を約4℃〜約−196℃の温度で貯蔵すること
を含む、前記方法。
【請求項29】
精子を凍結保存する方法であって、
(a)精子を、凍結保護剤、およびペグ化膜固定剤を含む組成物と接触させること;そして
(b)精子を約4℃〜約−196℃の温度で貯蔵すること
を含む、前記方法。
【請求項30】
凍結保護剤が、ポリエチレングリコール;DMSO;エチレングリコール;プロピレングリコール;ポリビニルピロリドン;グリセロールおよびポリエチレンオキシド;ラフィノース;ラクトース;トレハロース;メリビオース;メレチトース;マンノトリオース;スタキオース;デキストラン;ヒドロキシエチルデンプン;スクロース;マルチトール;ラクチトール;およびグリセロールから成る群より選択される、請求項28または請求項29に記載の方法。

【公表番号】特表2013−519372(P2013−519372A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552831(P2012−552831)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/NZ2011/000019
【国際公開番号】WO2011/099872
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512209759)アンドロゲニックス・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】