紙幣処理装置
【課題】紙幣束の長手方向における結束位置を変更できるようにする。
【解決手段】紙幣結束機構10を、スライドレール63に固定された支持部材としてのレールブラケット62に固定し、該スライドレールが紙幣処理装置にとりつけられたガイドレール等を摺動することにより、移送機構により移送された紙幣束に対してその紙幣束の長手方向に移動可能とする。
【解決手段】紙幣結束機構10を、スライドレール63に固定された支持部材としてのレールブラケット62に固定し、該スライドレールが紙幣処理装置にとりつけられたガイドレール等を摺動することにより、移送機構により移送された紙幣束に対してその紙幣束の長手方向に移動可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣を計数し、計数した紙幣を所定の枚数毎に結束帯を巻いて結束する紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣処理装置は、紙幣を投入する投入部と、投入部から搬送された紙幣の金種、正損等の各種の鑑別を行う鑑別部と、鑑別部の鑑別結果に基づいて紙幣を金種、正損からなる種別毎に集積する複数の一時集積部と、一時集積部に集積された所定の結束枚数の紙幣をテープで結束して放出する紙幣結束機構部と、一時集積部に集積された所定の結束枚数の紙幣を紙幣結束機構部へ移送する移送部と、鑑別部で鑑別された紙幣の種別毎の計数結果の表示等を行う表示画面とタッチパネルを有する操作表示部とを備えて構成され、ひとつの一時集積部に集積された紙幣が所定の結束枚数(例えば、100枚)になったとき、その一時集積部の紙幣を束のまま一時集積部から移送部により紙幣結束機構部へ移送し、紙幣結束機構部では移送された所定の結束枚数の紙幣を移送された状態のままで結束して放出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−197509号公報(段落「0007」〜段落「0029」、図1、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
海外向けの紙幣処理装置では、その仕向け地(例えば、中国、韓国、台湾等)では、それぞれの国毎や、金種別、正券または損券別等の紙幣の種類毎に、紙幣を結束するときの結束位置、つまり紙幣の長手方向のひとつの端面から紙幣を結束する紙帯等の結束帯までの距離が異なっており、仕向け地毎や紙幣の種類毎に、紙幣の長手方向における結束位置を変更することが必要になる。また、仕向け地が同じであっても、銀行等の店舗によって希望する結束位置が異なることもある。
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、紙幣を複数の一時集積部に金種、正損からなる種別毎に集積し、ひとつの一時集積部に集積された紙幣が所定の結束枚数(例えば、100枚)になったとき、その一時集積部の紙幣を束のまま一時集積部から移送部により紙幣結束機構部へ移送し、紙幣結束機構部では移送された所定の結束枚数の紙幣束を移送された状態のままで結束しているため、紙幣束の長手方向における結束位置は一箇所に決まっており、銀行等の店舗の要求に応じて結束帯の結束位置を変更することができないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、紙幣束の長手方向における結束位置を変更できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、移送機構により移送された所定枚数の紙幣束の長手方向と直交する短手方向に結束帯を巻回して前記紙幣束を結束する紙幣結束機構を有する紙幣処理装置において、前記紙幣結束機構を、前記移送機構により移送された紙幣束に対して前記紙幣束の長手方向に移動可能に支持する支持部材を備え、前記紙幣束の長手方向における結束帯の結束位置を変更可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、紙幣束の長手方向における結束位置を変更することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示す概略側面図
【図2】第1の実施例における紙幣処理装置の上部の構成を示す概略側面図
【図3】第1の実施例における紙幣処理装置の外観斜視図
【図4】第1の実施例における操作部の拡大平面図
【図5】第1の実施例における集積機構の側面図
【図6】第1の実施例における一時集積部の斜視図
【図7】第1の実施例における移送機構の斜視図
【図8】第1の実施例における紙幣結束機構の側面図
【図9】第1の実施例における紙幣処理装置の制御構成を示すブロック図
【図10】第1の実施例における紙幣処理装置に搭載された紙幣結束機構の斜視図
【図11】第1の実施例における紙幣結束機構の搭載位置を決定する機構の説明図
【図12】第1の実施例における紙幣結束機構の搭載位置を示す説明図
【図13】第1の実施例における紙幣束の結束位置を示す説明図
【図14】第2の実施例における紙幣結束機構移動手段の構成を示す側面説明図
【図15】第2の実施例における紙幣結束機構移動手段の構成を示す平面説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明による紙幣処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示す概略側面図、図2は第1の実施例における紙幣処理装置の上部の構成を示す概略側面図、図3は第1の実施例における紙幣処理装置の外観斜視図、図4第1の実施例における操作部の拡大平面図である。
図1〜図4において、1は紙幣の投入部で、装置正面の上部に設けられている。2は紙幣の真偽や、金種、正損、表裏等の紙幣の種類の鑑別、及び計数を行うと共に、搬送異常の検出を行う鑑別部で、装置内に設けられている。3は紙幣の搬送路で、この搬送路3については後で説明する。4は紙幣の表裏反転を行う表裏反転部で、装置内の鑑別部2の後段に位置するように設けられている。
【0011】
5は結束対象外の金種の紙幣を集積するオープンポケットで、装置の上面に設けられており、このオープンポケット5に集積された紙幣はオペレータが直接アクセスできるものとなっている。本実施例では、オープンポケット5は一つであるが、二つ以上あっても良い。
【0012】
6は集積機構で、本実施例において、この集積機構6には縦1列に4つの一時集積部6a〜6dが並べて装置内に設けられており、各一時集積部6a〜6dにそれぞれ予め定められた枚数、例えば本実施例では100枚の紙幣が集積できるようになっている。なお、本実施例では、各一時集積部6a〜6dには、鑑別部2で鑑別された金種や紙幣の種類毎の紙幣を集積するものとし、また各一時集積部は、4つに限られることなく、3つ以下または5つ以上であってもよい。
【0013】
7は前記投入部1の一側に設けられた操作部で、この操作部7には紙幣の計数を指示する計数開始ボタン7a、装置の障害復旧時に装置を再稼働させるためのリセットボタン7b、計数及び結束処理の完了を指示する完了ボタン7cが設けられている。
8は鑑別部2で金種不明と鑑別されたり、あるいは搬送異常が検知されたりしたリジェクト紙幣を集積するリジェクトポケットで、前記投入部1の上方に設けられており、このリジェクトポケット8に集積された紙幣にオペレータが直接アクセスできるものとなっている。9は移送機構、10は紙幣結束機構で、両者とも装置内に設けられており、この両者については後で説明する。
【0014】
11は紙幣束の放出口、12は装置正面に設けられた扉で、この扉12を開けることでオペレータは集積機構にアクセスできるものとなっている。13は装置上面においてオープンポケット5の後方に位置するように設けられた操作表示部で、ディスプレイとその表面に配置したタッチパネルによって構成されており、オペレータはこの操作表示部13を操作してモードの指定や、一時集積部6a〜6dに集積する紙幣の金種や紙幣の種類、集積順序等の設定を行うものとなっている。
【0015】
また、この操作表示部13には鑑別部2で鑑別された紙幣の金種や正損及び計数結果等の表示も行われる。ここで搬送路3について説明する。装置内の上部において搬送路3は図2に示したように3a〜3eから成り、搬送路3aは投入部1から鑑別部2を経て分岐点Aにいたるように設けられ、搬送路3bは分岐点Aからリジェクトポケット8にいたるように設けられている。
【0016】
また、搬送路3cは分岐点Aから表裏反転部4を経て分岐点Bにいたるように設けられており、そして搬送路3dは分岐点Bから図1に示したように装置の下部に伸びて集積機構6の一時集積部6a〜6dに沿うように設けられ、更に搬送路3eは分岐点Bからオープンポケット5にいたるように設けられている。尚、分岐点A、Bのそれぞれの近傍には紙幣の搬送方向を切替える図示しない切替えブレードが設けられ、後述する制御部により動作制御されるものとなっている。
【0017】
図5は第1の実施例における集積機構の側面図である。
集積機構6には、前記のように4つの一時集積部6a〜6dが上下方向に並べて配置されており、これらの一時集積部6a〜6dは同一の構造を有しているので、以下に一時集積部6aを例に取って説明する。搬送路3dにより搬送されてきた紙幣は、一時集積部6aの振り分けゲート27により集積板21に向かって取り込まれ、これにより一時集積部6aに侵入した紙幣は叩き車20により後部が叩かれて集積板21の上に集積されるものとなっている。
また、以降侵入してくる紙幣に関しては、同様の動作で集積板21上に集積した紙幣の上に集積される。
【0018】
図6は第1の実施例における一時集積部の斜視図である。一時集積部6aに進入した紙幣は、前記叩き車20により叩かれるだけでなく、一時集積部6aの一側に設けられた長手整位機構22により長手方向の位置が揃えられ、更に一時集積部6aの前端側に設けられた短手整位機構23により短手方向の位置が揃えられる。
【0019】
ここで、長手整位機構22は正逆両方向への回転が可能なモータ22aと、このモータに連結部材22bを介して連結された棒あるいは板状等の整位部材22cを備え、進入してくる紙幣を検知する図示しない進入センサの検知信号にタイミングをとってモータ22aにより整位部材22cを回動させることにより、紙幣を反対側に設置された基準面25に押しつけることで整位するものとなっている。
【0020】
また、短手整位機構23は、図示しないトーションスプリング等の付勢手段によって付勢された棒状部材により構成され、集積された紙幣を進入口側に付勢することにより整位するものとなっている。集積板21上に紙幣が集積して行き、その集積高さが図示しない高さセンサにより基準値を越えたことが検知されると、集積板21は自動的に下降して一時集積部6aの空間を広げ、この動作により皺や折り目等に起因する紙幣の状態によって集積高さが違っても安定して集積が行えるようになっている。
【0021】
集積板21の上方には押さえ板24が対向するように設けられ、この押さえ板24は集積板21上への紙幣の集積中は一時集積部6aの上端に待機しており、順次取り込まれる紙幣の進入の邪魔にならないようになっている。一時集積部6aの集積板21上に予め定められた枚数の紙幣、例えば100枚の紙幣が集積されると、ゲート振り分け機構27が紙幣を取り込まない姿勢に動作させ、101枚目以降の紙幣は一時集積部6b〜6dのいずれかへ集積するように制御される。
【0022】
紙幣の進入が停止した一時集積部6aでは集積板21を上昇させ、押さえ板24を下降させることにより紙幣を挟持する。この動作により皺等の紙幣の状態によって集積高さの異なる紙幣の厚みを一定にし、移動機構9への受渡しを容易にするようになっている。集積板21と押さえ板24により挟持された紙幣は、後述する移動機構9のハンド部が短手整位機構23側から一時集積部6aに進入して引き抜かれるようになっている。
尚、一時集積部6b〜6dも一時集積部6aと同様の構造になっているので、一時集積部6aと同様に紙幣を整位、集積、挟持することが可能である。
【0023】
図7は第1の実施例における移送機構の斜視図である。この移送機構9は、紙幣クランプ部30、クランプ部移動手段31、上下動手段32を備えている。
紙幣クランプ部30は上下方向に開閉するクランプ爪35a、35bを有し、この紙幣クランプ部30はクランプ部移動手段31上に搭載されていて、一時集積部6a〜6bからクランプ爪35a、35bで紙幣をクランプして引き抜くときは、クランプ部移動手段31がクランプ部30を一時集積部6a〜6bに対して押し出し、100枚の紙幣をクランプできる位置まで移動させるようになっている。
【0024】
クランプ部30とクランプ部移動手段31は上下動手段32により一時集積部6a〜6dの間を一体に上昇及び下降し、紙幣100枚の集積が完了した一時集積部6a〜6bのいずれか1つの前で停止するように制御されるものとなっている。そのため、上下動手段32のフレームには、一時集積部6a〜6dのそれぞれの位置に対応してポジションセンサ33a〜33dが配設されており、例えば、一時集積部6aに集積された紙幣を抜き取るときは、ポジションセンサ33aの位置まで上下動手段32によりクランプ部移動手段31が引き上げられる。
【0025】
引き上げられたクランプ部移動機構31は、クランプ部30が紙幣を一時集積部6aから抜き取る間、この位置に固定する必要があるので、ポジションセンサ33aで停止した位置で回転可能なストッパカム34がクランプ部移動手段31に係止して落下を防止するようになっている。この移送機構9の一連の動作を説明すると、例えば一時集積部6aに集積された紙幣を引き抜く場合、まず上下動手段32により紙幣クランプ部30をクランプ部移動機構31と共にポジションセンサ33aの位置まで上昇させ、ポジションセンサ33aがクランプ部移動機構31を検知した位置で上昇を停止させると同時にストッパカム34を回転させてクランプ部移動手段31に係止させる。
【0026】
これによってクランプ部移動手段31を一時集積部6aと対応する位置に固定し、この状態でクランプ移動機構31により紙幣クランプ部30のクランプ爪35a、35bを上下方向に開いて100枚の紙幣をクランプする準備を行い、更にクランプ移動機構31により紙幣クランプ部30を一時集積部6aの方向に押し出す。
【0027】
押し出された紙幣クランプ機構30のクランプ爪35a、35bは、一時集積部6aの短手整位機構23側に設けられている開口部に挿入され、集積板21と押さえ板24により挟持されている紙幣を上下から挟みつけて把持する。次に、集積板21と押さえ板24を開くことで、両者による紙幣の挟持を解除すると、これにより100枚の紙幣が紙幣クランプ部30に渡されたことになるので、クランプ爪35a、35bで紙幣を把持した紙幣クランプ部30をクランプ部移動手段31により引き戻す。
【0028】
このときクランプ爪35a、35bに把持された紙幣は一時集積部6aの短手整位機構23に当たるが、そのまま紙幣クランプ部30を引き戻すと短手整位機構23は紙幣の押圧力により付勢手段に抗して整位方向と逆の方向に倒れ、これにより紙幣は一時集積部6aからスムーズに抜き取られる。そして、紙幣クランプ部30が元の位置まで引き戻されると、クランプ部移動手段31に係止してストッパカム34が回転してその係止が解除され、紙幣を把持した紙幣クランプ部30と共にクランプ移動手段31が上下動手段32により移動経路の最下端に位置する紙幣結束機構10まで移動し、紙幣クランプ部30のクランプ爪35a、35bに把持された紙幣が紙幣結束機構10に引き渡される。
【0029】
図8は第1の実施例における紙幣結束機構の側面図である。この紙幣結束機構10は、ローラ及びベルト等から成る搬送手段40と、結束帯としての紙テープ等による結束用のテープ41と、印字手段42と、テープ41を供給する供給手段43と、テープ41を所定の長さに切断するカッター44と、図示しない結束手段とを備えており、以下のように紙幣を結束する。
【0030】
まず、紙幣結束機構10が移送機構9の紙幣クランプ部30から100枚の紙幣を一括して紙幣束として受け取り、その紙幣束を、長手方向と直交する短手方向に移動させる紙幣束搬送路で、紙幣束の短手方向にテープ41を巻き回して結束する位置に搬送する。テープ供給手段43はテープ41を前記結束手段に供給し、その際、印字手段42はテープ41に結束する紙幣の金種等を、インクリボンを介して印字する。印字されたテープ41は所定の長さにカッター44で切断され、この切断されたテープを結束手段が結束位置に搬送された100枚の紙幣に巻き掛けて結束することにより紙幣束を作る。このようにして作られた紙幣束は、さらに紙幣束搬送路としての搬送手段40により搬送され、図1に示す放出口11へ送られる。この紙幣結束機構10は、紙幣処理装置に対して可動に構成されているが、その構成は後述する。
【0031】
図9は第1の実施例における紙幣処理装置の制御構成を示すブロック図である。
図9において、50は本紙幣処理装置全体の動作処理制御を行う制御部、51a〜51dはカウンタで、このカウンタ51a〜51dは一時集積部6a〜6dに1対1で対応し、例えば一時集積部6aに集積された紙幣の枚数はカウンタ51aにカウントされ、同様に一時集積部6bに集積された紙幣の枚数はカウンタ51b、一時集積部6cに集積された紙幣の枚数はカウンタ51c、一時集積部6dに集積された紙幣の枚数はカウンタ51dにカウントされる。
【0032】
52は記憶部で、一時集積部6a〜6dに集積される紙幣の金種、紙幣の種別や、計数された金種毎の紙幣の枚数等を記憶するものである。また、記憶部52には、紙幣処理装置全体の動作を制御する制御プログラム(ソフトウェア)が記憶され、制御部50がその制御プログラムに基づいて紙幣処理装置全体の動作を制御する。
このように構成された紙幣処理装置は、図1に示すように紙幣結束機構10で移送機構9により移送された所定枚数の紙幣束の長手方向と直交する短手方向に結束帯を巻回して紙幣束を結束する。
【0033】
図10は第1の実施例における紙幣処理装置に搭載された紙幣結束機構の斜視図であり、図10(a)は紙幣束の長手方向における略中央部(対象となる紙幣の長手方向の長さが異なるため、紙幣の端部(端面)からの距離は同じであるが中央からは少しずれてしまうため)を結束する場合の紙幣結束機構の位置を示し、図10(b)は紙幣束の長手方向における紙幣の端部(端面)から約4分の1の位置を結束する場合の紙幣結束機構の位置を示している。
【0034】
図10(a)において、紙幣結束機構10は、紙幣処理装置の筐体内の移送機構9の下方に収容され、紙幣処理装置の本体側に設けられた二本のスライドレール(図中のスライドレール63)上に載っており、そのスライドレールに案内されて図中矢印Cが示す紙幣処理装置の正面に設けられた放出口11および扉12から視て左右方向、すなわち移送機構9により移送された紙幣束の長手方向に移動可能に構成されている。
【0035】
さらに、位置決め部内の紙幣結束機構10の取り付け位置を、例えば図10(b)に示す矢印Dが示す方向に移動させて設定可能な範囲から選択し、選択した取り付け位置に合わせて螺子止めすることにより、紙幣結束機構10を予め設定した位置に固定することができるようになっている。つまり、紙幣結束機構10の取り付け位置を移送機構9により移送された紙幣束の長手方向に対して任意に設定することができるようになっている。
【0036】
図11は第1の実施例における紙幣結束機構の搭載位置を決定する機構の説明図である。
図11において、紙幣結束機構10は、スライドレール63に固定された支持部材としてのレールブラケット62に固定され、スライドレール63が紙幣処理装置に取り付けられた図示しないガイドレール等を摺動することにより、図中矢印Cが示す紙幣結束機構10の出し入れ方向、すなわち図1に示す移送機構9により移送された紙幣束に対してその紙幣束の長手方向に移動可能になっている。このように、紙幣結束機構10は、支持部材としてのレールブラケット62に、図1に示す移送機構9により移送された紙幣束に対してその紙幣束の長手方向に移動可能に支持されている。
【0037】
紙幣結束機構10は、レールブラケット62に形成された突起62a、62bを紙幣結束機構10に形成された位置決め孔10b、10cに嵌め合わせることにより、その位置が決定され、固定螺子64を位置決め孔10dに通し、レールブラケット62に設けられた雌螺子62cに締結することでレールブラケット62に固定される。なお、図示しない反対側のレールブラケット62にも同様に固定される
このようにして、紙幣結束機構10は、スライドレール63により図中矢印Cが示す紙幣結束機構10の出し入れ方向に移動可能になっている。
【0038】
位置決め手段としての位置決め部材61は、レールブラケット62に支持された紙幣結束機構10の位置を固定するものであり、位置決めポスト66を図示しない紙幣処理装置本体側の係合部としてのロックレバーに係合させることにより、紙幣結束機構10を紙幣処理装置に固定するものである。この位置決め部材61は、紙幣結束機構10に形成された突起10aを長孔61cに嵌め合わせ、長孔61a、61bを貫通させた固定螺子65a、65bにより締結する。
【0039】
このとき、紙幣結束機構10に形成された突起10aと位置決め部材61の長孔61cとにより、紙幣束の長手方向の紙幣結束機構10の可動範囲が限定される。また、位置決め部材61に形成された位置調整用の位置決め目印エッジ61dと紙幣結束機構10に形成された位置調整用の目印スリット10bとを合わせることにより、紙幣結束機構10の紙幣束の長手方向の位置を所望の位置に設定することができる。このようにして、紙幣結束機構10の紙幣束の長手方向における結束帯の結束位置を変更することができるようになっている。
【0040】
セット検知スイッチ67は、紙幣結束機構10が紙幣処理装置に装着されたことを検知するセンサ等の装着検知手段であり、位置決め部材61がいずれの位置に固定されていても、紙幣結束機構10が紙幣処理装置に装着されたことを確実に検知するため、位置決め部材61に設けられている。
【0041】
なお、紙幣結束機構10の紙幣束搬送路は、紙幣結束機構10の紙幣束の長手方向の可動範囲より広く形成され、すなわち少なくとも紙幣束の長手方向の距離に、紙幣束の長手方向に紙幣結束機構10が移動可能な距離を加えた距離に相当する幅を有しており、その可動範囲内に紙幣結束機構10の位置が設定されていれば紙幣束を搬送することができるようになっている。
【0042】
このように構成された紙幣結束機構10は、図6に示す一時集積部6aの一側に設けられた長手整位機構22により長手方向の位置が揃えられ、更に一時集積部6aの前端側に設けられた短手整位機構23により短手方向の位置が揃えられ、移送機構により移送された紙幣束の長手方向の結束位置を任意に設定することができる。
【0043】
上述した構成の作用について説明する。
図12は第1の実施例における紙幣結束機構の搭載位置を示す説明図であり、図12(a)は紙幣束の長手方向における略中央部を結束する場合の紙幣結束機構の位置を示し、図12(b)は紙幣の長手方向における紙幣束の端部(端面)から約4分の1の位置を結束する場合の紙幣結束機構の位置を示している。
【0044】
図12(a)に示すように、紙幣結束機構10が位置決めポスト66から所定の距離D1を保持して位置決め部材61に固定されている場合、図13(a)に示すように、紙幣結束機構10が結束する結束帯71aの中心位置は紙幣束70の長手方向における端部から距離L1を隔てた中央部である第1の結束位置になる。
【0045】
一方、図12(b)に示すように、紙幣結束機構10が位置決めポスト66から上述した距離D1より小さい所定の距離D2を保持して位置決め部材61に固定されている場合、図13(b)に示すように、紙幣結束機構10が結束する結束帯71bの中心位置は紙幣束70の長手方向における端部から上述した距離L1より小さい距離L2を隔てた、例えば紙幣束70の長手方向における端部から紙幣束70の長手方向における長さの4分の1の位置、すなわち紙幣束の長手方向における端部と、第1の結束位置としての中央部との中央近傍の第2の結束位置になる。
【0046】
このように紙幣結束機構10の紙幣束の長手方向の位置を所望の位置に設定することにより、紙幣結束機構10が結束する結束帯の紙幣束の長手方向における端部から距離を自在に選択し、設定することができる。
以上説明したように、第1の実施例では、紙幣結束機構を紙幣処理装置に対して紙幣束の長手方向に複数の取り付け位置を設け、その取り付け位置を可変としたことにより、紙幣束の長手方向の整列基準、すなわち一時集積部の長手整位機構により整位される紙幣束の長手方向の端部に対して、紙幣結束機構を相対的に移動することができ、紙幣束の結束位置を変えることができるという効果が得られる。
【0047】
また、紙幣結束機構の位置を変えて紙幣束の結束位置を変えるようにしているため、結束位置を変えても放出される紙幣束の位置は変わらず、放出される紙幣束の位置を常に一定に保つことができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0048】
第2の実施例の構成は、第1の実施例で説明した紙幣結束機構の搭載位置を決定する機構に替え、紙幣結束機構を紙幣束の長手方向に移動させるモータやベルト等からなる紙幣結束機構移動手段を備えたものとしている。その第2の実施例の構成を、図14の第2の実施例における紙幣結束機構移動手段の構成を示す側面説明図、図15の第2の実施例における紙幣結束機構移動手段の構成を示す平面説明図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
図14および図15において、紙幣結束機構移動手段80は、紙幣結束機構10の位置を検知する位置検知センサ81と、紙幣結束機構10が取り付けられた無端状のベルト82と、ベルト82を回転させるモータ83と、位置検知センサ81からの信号を入力し、モータ83へ駆動信号を出力する制御部84とから構成されている。
なお、紙幣結束機構10は、紙幣処理装置の筐体内の移送機構の下方に収容され、紙幣処理装置の本体側に設けられた支持部材としての二本のガイドレール上に載っており、そのガイドレールに案内されて移送機構により移送された紙幣束の長手方向に移動可能に構成されている。
【0050】
位置検知センサ81は、例えば光学式のセンサであり、紙幣結束機構10に設けられた突出部の通過を紙幣処理装置側に設けられた発光素子と受光素子で検知して紙幣結束機構10の位置を検知するセンサである。
モータ83は、支持部材としてのガイドレールに移動可能に支持された紙幣結束機構10を移動させる駆動手段である。このモータ83は、正逆回転可能であり、回転角を制御することができるステッピングモータ等で構成され、ベルト82が張架されたひとつのプーリを回転させてベルト82に取り付けられた紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向である図中矢印Cが示す方向に所定量だけ往復移動させ、またその位置に静止させることができるようになっている。
【0051】
制御部84は、制御手段としての中央処理装置等のプロセッサであり、位置検知センサ81で検出された紙幣結束機構10の位置に基づいてモータ83に駆動信号を出力して紙幣結束機構10を所望の位置へ移動させ、また紙幣結束機構10を移動させた位置に静止させる制御を行う位置決め手段である。なお、この制御部84は、図示しないメモリ等の記憶手段を備え、その記憶手段に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)や制御情報に基づいて紙幣結束機構10の移動制御を行うものである。なお、制御部84は、図9で説明した制御部50と兼ねるようにしても良い。
【0052】
このように構成された紙幣結束機構移動手段80は、ガイドレールで移動可能に支持された紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させ、その位置に静止させることができるようになっている。なお、紙幣結束機構10を紙幣処理装置から引き出すことなく、紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させることができるようになっている。
【0053】
また、紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させるための移動量(モータ83の回転角)の情報は、図3に示す入力手段としての操作表示部13でその入力を受付け、記憶手段に記憶させておくものとする。このとき、紙幣結束機構10の移動量の情報は、鑑別部で鑑別された紙幣の金種毎、正券や損券毎(流通可能な紙幣や流通不可能な紙幣等の紙幣の損傷の度合い毎)、表裏毎、新旧紙幣毎等の紙幣の種類毎に設定可能とし、制御部84は、移送機構から移送される紙幣の種類に応じ、設定された移動量の情報にしたがって紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させるものとする。
【0054】
このようにして紙幣処理装置は、移送機構から移送される紙幣の種類毎に、紙幣束の長手方向における結束位置を変えることができるようになっている。
なお、紙幣結束機構10が紙幣処理装置に装着されたことを検知するセンサ等の装着検知手段であるセット検知スイッチは、紙幣結束機構10を移動可能に支持するガイドレール等に設けられているものとする。
【0055】
上述した構成の作用について説明する。
図14および図15に示す紙幣結束機構移動手段80の制御部84は、移送機構から移送される紙幣の種類に応じ、設定された移動量の情報にしたがって紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させる。
【0056】
紙幣結束機構移動手段80は、第1の実施例における図12(a)と同様に、紙幣結束機構10を位置決めポスト66から所定の距離D1を保持した位置に移動して静止させると、図13(a)に示すように、紙幣結束機構10が結束する結束帯71aの中心位置は紙幣束70の長手方向における端部から距離L1を隔てた中央部である第1の結束位置になる。
【0057】
一方、紙幣結束機構移動手段80は、第1の実施例における図12(b)と同様に、紙幣結束機構10を位置決めポスト66から上述した距離D1より小さい所定の距離D2を保持した位置に移動して静止させると、図13(b)に示すように、紙幣結束機構10が結束する結束帯71bの中心位置は紙幣束70の長手方向における端部から上述した距離L1より小さい距離L2を隔てた、例えば紙幣束70の長手方向における端部から紙幣束70の長手方向における長さの4分の1の位置、すなわち紙幣束の長手方向における端部と、第1の結束位置としての中央部との中央近傍の第2の結束位置になる。
【0058】
このように紙幣結束機構移動手段80により、紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向における所望の位置に設定することにより、紙幣結束機構10が結束する結束帯の紙幣束の長手方向における端部からの距離を自在に選択し、設定することができる。
【0059】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、移送機構から移送される紙幣の種類に応じ、設定された移動量の情報にしたがって紙幣結束機構を紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させることにより、紙幣の種類毎に結束位置を変えることができるという効果が得られる。
また、紙幣処理装置の操作表示部でオペレータの入力操作を受付けて、紙幣結束機構移動手段で紙幣結束機構を紙幣束の長手方向における所望の位置に移動させることにより、紙幣結束機構の結束位置を設定する作業を簡易化することができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0060】
1 投入部
2 鑑別部
3 搬送路
5 オープンポケット
6 集積機構
6a〜6d 一時集積部
9 移送機構
10 紙幣結束機構
61 位置決め部材
62 レールブラケット
63 スライドレール
66 位置決めポスト
80 紙幣結束機構移動手段
81 位置検知センサ
82 ベルト
83 モータ
50、84 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣を計数し、計数した紙幣を所定の枚数毎に結束帯を巻いて結束する紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣処理装置は、紙幣を投入する投入部と、投入部から搬送された紙幣の金種、正損等の各種の鑑別を行う鑑別部と、鑑別部の鑑別結果に基づいて紙幣を金種、正損からなる種別毎に集積する複数の一時集積部と、一時集積部に集積された所定の結束枚数の紙幣をテープで結束して放出する紙幣結束機構部と、一時集積部に集積された所定の結束枚数の紙幣を紙幣結束機構部へ移送する移送部と、鑑別部で鑑別された紙幣の種別毎の計数結果の表示等を行う表示画面とタッチパネルを有する操作表示部とを備えて構成され、ひとつの一時集積部に集積された紙幣が所定の結束枚数(例えば、100枚)になったとき、その一時集積部の紙幣を束のまま一時集積部から移送部により紙幣結束機構部へ移送し、紙幣結束機構部では移送された所定の結束枚数の紙幣を移送された状態のままで結束して放出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−197509号公報(段落「0007」〜段落「0029」、図1、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
海外向けの紙幣処理装置では、その仕向け地(例えば、中国、韓国、台湾等)では、それぞれの国毎や、金種別、正券または損券別等の紙幣の種類毎に、紙幣を結束するときの結束位置、つまり紙幣の長手方向のひとつの端面から紙幣を結束する紙帯等の結束帯までの距離が異なっており、仕向け地毎や紙幣の種類毎に、紙幣の長手方向における結束位置を変更することが必要になる。また、仕向け地が同じであっても、銀行等の店舗によって希望する結束位置が異なることもある。
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、紙幣を複数の一時集積部に金種、正損からなる種別毎に集積し、ひとつの一時集積部に集積された紙幣が所定の結束枚数(例えば、100枚)になったとき、その一時集積部の紙幣を束のまま一時集積部から移送部により紙幣結束機構部へ移送し、紙幣結束機構部では移送された所定の結束枚数の紙幣束を移送された状態のままで結束しているため、紙幣束の長手方向における結束位置は一箇所に決まっており、銀行等の店舗の要求に応じて結束帯の結束位置を変更することができないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、紙幣束の長手方向における結束位置を変更できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、移送機構により移送された所定枚数の紙幣束の長手方向と直交する短手方向に結束帯を巻回して前記紙幣束を結束する紙幣結束機構を有する紙幣処理装置において、前記紙幣結束機構を、前記移送機構により移送された紙幣束に対して前記紙幣束の長手方向に移動可能に支持する支持部材を備え、前記紙幣束の長手方向における結束帯の結束位置を変更可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、紙幣束の長手方向における結束位置を変更することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示す概略側面図
【図2】第1の実施例における紙幣処理装置の上部の構成を示す概略側面図
【図3】第1の実施例における紙幣処理装置の外観斜視図
【図4】第1の実施例における操作部の拡大平面図
【図5】第1の実施例における集積機構の側面図
【図6】第1の実施例における一時集積部の斜視図
【図7】第1の実施例における移送機構の斜視図
【図8】第1の実施例における紙幣結束機構の側面図
【図9】第1の実施例における紙幣処理装置の制御構成を示すブロック図
【図10】第1の実施例における紙幣処理装置に搭載された紙幣結束機構の斜視図
【図11】第1の実施例における紙幣結束機構の搭載位置を決定する機構の説明図
【図12】第1の実施例における紙幣結束機構の搭載位置を示す説明図
【図13】第1の実施例における紙幣束の結束位置を示す説明図
【図14】第2の実施例における紙幣結束機構移動手段の構成を示す側面説明図
【図15】第2の実施例における紙幣結束機構移動手段の構成を示す平面説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明による紙幣処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示す概略側面図、図2は第1の実施例における紙幣処理装置の上部の構成を示す概略側面図、図3は第1の実施例における紙幣処理装置の外観斜視図、図4第1の実施例における操作部の拡大平面図である。
図1〜図4において、1は紙幣の投入部で、装置正面の上部に設けられている。2は紙幣の真偽や、金種、正損、表裏等の紙幣の種類の鑑別、及び計数を行うと共に、搬送異常の検出を行う鑑別部で、装置内に設けられている。3は紙幣の搬送路で、この搬送路3については後で説明する。4は紙幣の表裏反転を行う表裏反転部で、装置内の鑑別部2の後段に位置するように設けられている。
【0011】
5は結束対象外の金種の紙幣を集積するオープンポケットで、装置の上面に設けられており、このオープンポケット5に集積された紙幣はオペレータが直接アクセスできるものとなっている。本実施例では、オープンポケット5は一つであるが、二つ以上あっても良い。
【0012】
6は集積機構で、本実施例において、この集積機構6には縦1列に4つの一時集積部6a〜6dが並べて装置内に設けられており、各一時集積部6a〜6dにそれぞれ予め定められた枚数、例えば本実施例では100枚の紙幣が集積できるようになっている。なお、本実施例では、各一時集積部6a〜6dには、鑑別部2で鑑別された金種や紙幣の種類毎の紙幣を集積するものとし、また各一時集積部は、4つに限られることなく、3つ以下または5つ以上であってもよい。
【0013】
7は前記投入部1の一側に設けられた操作部で、この操作部7には紙幣の計数を指示する計数開始ボタン7a、装置の障害復旧時に装置を再稼働させるためのリセットボタン7b、計数及び結束処理の完了を指示する完了ボタン7cが設けられている。
8は鑑別部2で金種不明と鑑別されたり、あるいは搬送異常が検知されたりしたリジェクト紙幣を集積するリジェクトポケットで、前記投入部1の上方に設けられており、このリジェクトポケット8に集積された紙幣にオペレータが直接アクセスできるものとなっている。9は移送機構、10は紙幣結束機構で、両者とも装置内に設けられており、この両者については後で説明する。
【0014】
11は紙幣束の放出口、12は装置正面に設けられた扉で、この扉12を開けることでオペレータは集積機構にアクセスできるものとなっている。13は装置上面においてオープンポケット5の後方に位置するように設けられた操作表示部で、ディスプレイとその表面に配置したタッチパネルによって構成されており、オペレータはこの操作表示部13を操作してモードの指定や、一時集積部6a〜6dに集積する紙幣の金種や紙幣の種類、集積順序等の設定を行うものとなっている。
【0015】
また、この操作表示部13には鑑別部2で鑑別された紙幣の金種や正損及び計数結果等の表示も行われる。ここで搬送路3について説明する。装置内の上部において搬送路3は図2に示したように3a〜3eから成り、搬送路3aは投入部1から鑑別部2を経て分岐点Aにいたるように設けられ、搬送路3bは分岐点Aからリジェクトポケット8にいたるように設けられている。
【0016】
また、搬送路3cは分岐点Aから表裏反転部4を経て分岐点Bにいたるように設けられており、そして搬送路3dは分岐点Bから図1に示したように装置の下部に伸びて集積機構6の一時集積部6a〜6dに沿うように設けられ、更に搬送路3eは分岐点Bからオープンポケット5にいたるように設けられている。尚、分岐点A、Bのそれぞれの近傍には紙幣の搬送方向を切替える図示しない切替えブレードが設けられ、後述する制御部により動作制御されるものとなっている。
【0017】
図5は第1の実施例における集積機構の側面図である。
集積機構6には、前記のように4つの一時集積部6a〜6dが上下方向に並べて配置されており、これらの一時集積部6a〜6dは同一の構造を有しているので、以下に一時集積部6aを例に取って説明する。搬送路3dにより搬送されてきた紙幣は、一時集積部6aの振り分けゲート27により集積板21に向かって取り込まれ、これにより一時集積部6aに侵入した紙幣は叩き車20により後部が叩かれて集積板21の上に集積されるものとなっている。
また、以降侵入してくる紙幣に関しては、同様の動作で集積板21上に集積した紙幣の上に集積される。
【0018】
図6は第1の実施例における一時集積部の斜視図である。一時集積部6aに進入した紙幣は、前記叩き車20により叩かれるだけでなく、一時集積部6aの一側に設けられた長手整位機構22により長手方向の位置が揃えられ、更に一時集積部6aの前端側に設けられた短手整位機構23により短手方向の位置が揃えられる。
【0019】
ここで、長手整位機構22は正逆両方向への回転が可能なモータ22aと、このモータに連結部材22bを介して連結された棒あるいは板状等の整位部材22cを備え、進入してくる紙幣を検知する図示しない進入センサの検知信号にタイミングをとってモータ22aにより整位部材22cを回動させることにより、紙幣を反対側に設置された基準面25に押しつけることで整位するものとなっている。
【0020】
また、短手整位機構23は、図示しないトーションスプリング等の付勢手段によって付勢された棒状部材により構成され、集積された紙幣を進入口側に付勢することにより整位するものとなっている。集積板21上に紙幣が集積して行き、その集積高さが図示しない高さセンサにより基準値を越えたことが検知されると、集積板21は自動的に下降して一時集積部6aの空間を広げ、この動作により皺や折り目等に起因する紙幣の状態によって集積高さが違っても安定して集積が行えるようになっている。
【0021】
集積板21の上方には押さえ板24が対向するように設けられ、この押さえ板24は集積板21上への紙幣の集積中は一時集積部6aの上端に待機しており、順次取り込まれる紙幣の進入の邪魔にならないようになっている。一時集積部6aの集積板21上に予め定められた枚数の紙幣、例えば100枚の紙幣が集積されると、ゲート振り分け機構27が紙幣を取り込まない姿勢に動作させ、101枚目以降の紙幣は一時集積部6b〜6dのいずれかへ集積するように制御される。
【0022】
紙幣の進入が停止した一時集積部6aでは集積板21を上昇させ、押さえ板24を下降させることにより紙幣を挟持する。この動作により皺等の紙幣の状態によって集積高さの異なる紙幣の厚みを一定にし、移動機構9への受渡しを容易にするようになっている。集積板21と押さえ板24により挟持された紙幣は、後述する移動機構9のハンド部が短手整位機構23側から一時集積部6aに進入して引き抜かれるようになっている。
尚、一時集積部6b〜6dも一時集積部6aと同様の構造になっているので、一時集積部6aと同様に紙幣を整位、集積、挟持することが可能である。
【0023】
図7は第1の実施例における移送機構の斜視図である。この移送機構9は、紙幣クランプ部30、クランプ部移動手段31、上下動手段32を備えている。
紙幣クランプ部30は上下方向に開閉するクランプ爪35a、35bを有し、この紙幣クランプ部30はクランプ部移動手段31上に搭載されていて、一時集積部6a〜6bからクランプ爪35a、35bで紙幣をクランプして引き抜くときは、クランプ部移動手段31がクランプ部30を一時集積部6a〜6bに対して押し出し、100枚の紙幣をクランプできる位置まで移動させるようになっている。
【0024】
クランプ部30とクランプ部移動手段31は上下動手段32により一時集積部6a〜6dの間を一体に上昇及び下降し、紙幣100枚の集積が完了した一時集積部6a〜6bのいずれか1つの前で停止するように制御されるものとなっている。そのため、上下動手段32のフレームには、一時集積部6a〜6dのそれぞれの位置に対応してポジションセンサ33a〜33dが配設されており、例えば、一時集積部6aに集積された紙幣を抜き取るときは、ポジションセンサ33aの位置まで上下動手段32によりクランプ部移動手段31が引き上げられる。
【0025】
引き上げられたクランプ部移動機構31は、クランプ部30が紙幣を一時集積部6aから抜き取る間、この位置に固定する必要があるので、ポジションセンサ33aで停止した位置で回転可能なストッパカム34がクランプ部移動手段31に係止して落下を防止するようになっている。この移送機構9の一連の動作を説明すると、例えば一時集積部6aに集積された紙幣を引き抜く場合、まず上下動手段32により紙幣クランプ部30をクランプ部移動機構31と共にポジションセンサ33aの位置まで上昇させ、ポジションセンサ33aがクランプ部移動機構31を検知した位置で上昇を停止させると同時にストッパカム34を回転させてクランプ部移動手段31に係止させる。
【0026】
これによってクランプ部移動手段31を一時集積部6aと対応する位置に固定し、この状態でクランプ移動機構31により紙幣クランプ部30のクランプ爪35a、35bを上下方向に開いて100枚の紙幣をクランプする準備を行い、更にクランプ移動機構31により紙幣クランプ部30を一時集積部6aの方向に押し出す。
【0027】
押し出された紙幣クランプ機構30のクランプ爪35a、35bは、一時集積部6aの短手整位機構23側に設けられている開口部に挿入され、集積板21と押さえ板24により挟持されている紙幣を上下から挟みつけて把持する。次に、集積板21と押さえ板24を開くことで、両者による紙幣の挟持を解除すると、これにより100枚の紙幣が紙幣クランプ部30に渡されたことになるので、クランプ爪35a、35bで紙幣を把持した紙幣クランプ部30をクランプ部移動手段31により引き戻す。
【0028】
このときクランプ爪35a、35bに把持された紙幣は一時集積部6aの短手整位機構23に当たるが、そのまま紙幣クランプ部30を引き戻すと短手整位機構23は紙幣の押圧力により付勢手段に抗して整位方向と逆の方向に倒れ、これにより紙幣は一時集積部6aからスムーズに抜き取られる。そして、紙幣クランプ部30が元の位置まで引き戻されると、クランプ部移動手段31に係止してストッパカム34が回転してその係止が解除され、紙幣を把持した紙幣クランプ部30と共にクランプ移動手段31が上下動手段32により移動経路の最下端に位置する紙幣結束機構10まで移動し、紙幣クランプ部30のクランプ爪35a、35bに把持された紙幣が紙幣結束機構10に引き渡される。
【0029】
図8は第1の実施例における紙幣結束機構の側面図である。この紙幣結束機構10は、ローラ及びベルト等から成る搬送手段40と、結束帯としての紙テープ等による結束用のテープ41と、印字手段42と、テープ41を供給する供給手段43と、テープ41を所定の長さに切断するカッター44と、図示しない結束手段とを備えており、以下のように紙幣を結束する。
【0030】
まず、紙幣結束機構10が移送機構9の紙幣クランプ部30から100枚の紙幣を一括して紙幣束として受け取り、その紙幣束を、長手方向と直交する短手方向に移動させる紙幣束搬送路で、紙幣束の短手方向にテープ41を巻き回して結束する位置に搬送する。テープ供給手段43はテープ41を前記結束手段に供給し、その際、印字手段42はテープ41に結束する紙幣の金種等を、インクリボンを介して印字する。印字されたテープ41は所定の長さにカッター44で切断され、この切断されたテープを結束手段が結束位置に搬送された100枚の紙幣に巻き掛けて結束することにより紙幣束を作る。このようにして作られた紙幣束は、さらに紙幣束搬送路としての搬送手段40により搬送され、図1に示す放出口11へ送られる。この紙幣結束機構10は、紙幣処理装置に対して可動に構成されているが、その構成は後述する。
【0031】
図9は第1の実施例における紙幣処理装置の制御構成を示すブロック図である。
図9において、50は本紙幣処理装置全体の動作処理制御を行う制御部、51a〜51dはカウンタで、このカウンタ51a〜51dは一時集積部6a〜6dに1対1で対応し、例えば一時集積部6aに集積された紙幣の枚数はカウンタ51aにカウントされ、同様に一時集積部6bに集積された紙幣の枚数はカウンタ51b、一時集積部6cに集積された紙幣の枚数はカウンタ51c、一時集積部6dに集積された紙幣の枚数はカウンタ51dにカウントされる。
【0032】
52は記憶部で、一時集積部6a〜6dに集積される紙幣の金種、紙幣の種別や、計数された金種毎の紙幣の枚数等を記憶するものである。また、記憶部52には、紙幣処理装置全体の動作を制御する制御プログラム(ソフトウェア)が記憶され、制御部50がその制御プログラムに基づいて紙幣処理装置全体の動作を制御する。
このように構成された紙幣処理装置は、図1に示すように紙幣結束機構10で移送機構9により移送された所定枚数の紙幣束の長手方向と直交する短手方向に結束帯を巻回して紙幣束を結束する。
【0033】
図10は第1の実施例における紙幣処理装置に搭載された紙幣結束機構の斜視図であり、図10(a)は紙幣束の長手方向における略中央部(対象となる紙幣の長手方向の長さが異なるため、紙幣の端部(端面)からの距離は同じであるが中央からは少しずれてしまうため)を結束する場合の紙幣結束機構の位置を示し、図10(b)は紙幣束の長手方向における紙幣の端部(端面)から約4分の1の位置を結束する場合の紙幣結束機構の位置を示している。
【0034】
図10(a)において、紙幣結束機構10は、紙幣処理装置の筐体内の移送機構9の下方に収容され、紙幣処理装置の本体側に設けられた二本のスライドレール(図中のスライドレール63)上に載っており、そのスライドレールに案内されて図中矢印Cが示す紙幣処理装置の正面に設けられた放出口11および扉12から視て左右方向、すなわち移送機構9により移送された紙幣束の長手方向に移動可能に構成されている。
【0035】
さらに、位置決め部内の紙幣結束機構10の取り付け位置を、例えば図10(b)に示す矢印Dが示す方向に移動させて設定可能な範囲から選択し、選択した取り付け位置に合わせて螺子止めすることにより、紙幣結束機構10を予め設定した位置に固定することができるようになっている。つまり、紙幣結束機構10の取り付け位置を移送機構9により移送された紙幣束の長手方向に対して任意に設定することができるようになっている。
【0036】
図11は第1の実施例における紙幣結束機構の搭載位置を決定する機構の説明図である。
図11において、紙幣結束機構10は、スライドレール63に固定された支持部材としてのレールブラケット62に固定され、スライドレール63が紙幣処理装置に取り付けられた図示しないガイドレール等を摺動することにより、図中矢印Cが示す紙幣結束機構10の出し入れ方向、すなわち図1に示す移送機構9により移送された紙幣束に対してその紙幣束の長手方向に移動可能になっている。このように、紙幣結束機構10は、支持部材としてのレールブラケット62に、図1に示す移送機構9により移送された紙幣束に対してその紙幣束の長手方向に移動可能に支持されている。
【0037】
紙幣結束機構10は、レールブラケット62に形成された突起62a、62bを紙幣結束機構10に形成された位置決め孔10b、10cに嵌め合わせることにより、その位置が決定され、固定螺子64を位置決め孔10dに通し、レールブラケット62に設けられた雌螺子62cに締結することでレールブラケット62に固定される。なお、図示しない反対側のレールブラケット62にも同様に固定される
このようにして、紙幣結束機構10は、スライドレール63により図中矢印Cが示す紙幣結束機構10の出し入れ方向に移動可能になっている。
【0038】
位置決め手段としての位置決め部材61は、レールブラケット62に支持された紙幣結束機構10の位置を固定するものであり、位置決めポスト66を図示しない紙幣処理装置本体側の係合部としてのロックレバーに係合させることにより、紙幣結束機構10を紙幣処理装置に固定するものである。この位置決め部材61は、紙幣結束機構10に形成された突起10aを長孔61cに嵌め合わせ、長孔61a、61bを貫通させた固定螺子65a、65bにより締結する。
【0039】
このとき、紙幣結束機構10に形成された突起10aと位置決め部材61の長孔61cとにより、紙幣束の長手方向の紙幣結束機構10の可動範囲が限定される。また、位置決め部材61に形成された位置調整用の位置決め目印エッジ61dと紙幣結束機構10に形成された位置調整用の目印スリット10bとを合わせることにより、紙幣結束機構10の紙幣束の長手方向の位置を所望の位置に設定することができる。このようにして、紙幣結束機構10の紙幣束の長手方向における結束帯の結束位置を変更することができるようになっている。
【0040】
セット検知スイッチ67は、紙幣結束機構10が紙幣処理装置に装着されたことを検知するセンサ等の装着検知手段であり、位置決め部材61がいずれの位置に固定されていても、紙幣結束機構10が紙幣処理装置に装着されたことを確実に検知するため、位置決め部材61に設けられている。
【0041】
なお、紙幣結束機構10の紙幣束搬送路は、紙幣結束機構10の紙幣束の長手方向の可動範囲より広く形成され、すなわち少なくとも紙幣束の長手方向の距離に、紙幣束の長手方向に紙幣結束機構10が移動可能な距離を加えた距離に相当する幅を有しており、その可動範囲内に紙幣結束機構10の位置が設定されていれば紙幣束を搬送することができるようになっている。
【0042】
このように構成された紙幣結束機構10は、図6に示す一時集積部6aの一側に設けられた長手整位機構22により長手方向の位置が揃えられ、更に一時集積部6aの前端側に設けられた短手整位機構23により短手方向の位置が揃えられ、移送機構により移送された紙幣束の長手方向の結束位置を任意に設定することができる。
【0043】
上述した構成の作用について説明する。
図12は第1の実施例における紙幣結束機構の搭載位置を示す説明図であり、図12(a)は紙幣束の長手方向における略中央部を結束する場合の紙幣結束機構の位置を示し、図12(b)は紙幣の長手方向における紙幣束の端部(端面)から約4分の1の位置を結束する場合の紙幣結束機構の位置を示している。
【0044】
図12(a)に示すように、紙幣結束機構10が位置決めポスト66から所定の距離D1を保持して位置決め部材61に固定されている場合、図13(a)に示すように、紙幣結束機構10が結束する結束帯71aの中心位置は紙幣束70の長手方向における端部から距離L1を隔てた中央部である第1の結束位置になる。
【0045】
一方、図12(b)に示すように、紙幣結束機構10が位置決めポスト66から上述した距離D1より小さい所定の距離D2を保持して位置決め部材61に固定されている場合、図13(b)に示すように、紙幣結束機構10が結束する結束帯71bの中心位置は紙幣束70の長手方向における端部から上述した距離L1より小さい距離L2を隔てた、例えば紙幣束70の長手方向における端部から紙幣束70の長手方向における長さの4分の1の位置、すなわち紙幣束の長手方向における端部と、第1の結束位置としての中央部との中央近傍の第2の結束位置になる。
【0046】
このように紙幣結束機構10の紙幣束の長手方向の位置を所望の位置に設定することにより、紙幣結束機構10が結束する結束帯の紙幣束の長手方向における端部から距離を自在に選択し、設定することができる。
以上説明したように、第1の実施例では、紙幣結束機構を紙幣処理装置に対して紙幣束の長手方向に複数の取り付け位置を設け、その取り付け位置を可変としたことにより、紙幣束の長手方向の整列基準、すなわち一時集積部の長手整位機構により整位される紙幣束の長手方向の端部に対して、紙幣結束機構を相対的に移動することができ、紙幣束の結束位置を変えることができるという効果が得られる。
【0047】
また、紙幣結束機構の位置を変えて紙幣束の結束位置を変えるようにしているため、結束位置を変えても放出される紙幣束の位置は変わらず、放出される紙幣束の位置を常に一定に保つことができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0048】
第2の実施例の構成は、第1の実施例で説明した紙幣結束機構の搭載位置を決定する機構に替え、紙幣結束機構を紙幣束の長手方向に移動させるモータやベルト等からなる紙幣結束機構移動手段を備えたものとしている。その第2の実施例の構成を、図14の第2の実施例における紙幣結束機構移動手段の構成を示す側面説明図、図15の第2の実施例における紙幣結束機構移動手段の構成を示す平面説明図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
図14および図15において、紙幣結束機構移動手段80は、紙幣結束機構10の位置を検知する位置検知センサ81と、紙幣結束機構10が取り付けられた無端状のベルト82と、ベルト82を回転させるモータ83と、位置検知センサ81からの信号を入力し、モータ83へ駆動信号を出力する制御部84とから構成されている。
なお、紙幣結束機構10は、紙幣処理装置の筐体内の移送機構の下方に収容され、紙幣処理装置の本体側に設けられた支持部材としての二本のガイドレール上に載っており、そのガイドレールに案内されて移送機構により移送された紙幣束の長手方向に移動可能に構成されている。
【0050】
位置検知センサ81は、例えば光学式のセンサであり、紙幣結束機構10に設けられた突出部の通過を紙幣処理装置側に設けられた発光素子と受光素子で検知して紙幣結束機構10の位置を検知するセンサである。
モータ83は、支持部材としてのガイドレールに移動可能に支持された紙幣結束機構10を移動させる駆動手段である。このモータ83は、正逆回転可能であり、回転角を制御することができるステッピングモータ等で構成され、ベルト82が張架されたひとつのプーリを回転させてベルト82に取り付けられた紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向である図中矢印Cが示す方向に所定量だけ往復移動させ、またその位置に静止させることができるようになっている。
【0051】
制御部84は、制御手段としての中央処理装置等のプロセッサであり、位置検知センサ81で検出された紙幣結束機構10の位置に基づいてモータ83に駆動信号を出力して紙幣結束機構10を所望の位置へ移動させ、また紙幣結束機構10を移動させた位置に静止させる制御を行う位置決め手段である。なお、この制御部84は、図示しないメモリ等の記憶手段を備え、その記憶手段に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)や制御情報に基づいて紙幣結束機構10の移動制御を行うものである。なお、制御部84は、図9で説明した制御部50と兼ねるようにしても良い。
【0052】
このように構成された紙幣結束機構移動手段80は、ガイドレールで移動可能に支持された紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させ、その位置に静止させることができるようになっている。なお、紙幣結束機構10を紙幣処理装置から引き出すことなく、紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させることができるようになっている。
【0053】
また、紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させるための移動量(モータ83の回転角)の情報は、図3に示す入力手段としての操作表示部13でその入力を受付け、記憶手段に記憶させておくものとする。このとき、紙幣結束機構10の移動量の情報は、鑑別部で鑑別された紙幣の金種毎、正券や損券毎(流通可能な紙幣や流通不可能な紙幣等の紙幣の損傷の度合い毎)、表裏毎、新旧紙幣毎等の紙幣の種類毎に設定可能とし、制御部84は、移送機構から移送される紙幣の種類に応じ、設定された移動量の情報にしたがって紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させるものとする。
【0054】
このようにして紙幣処理装置は、移送機構から移送される紙幣の種類毎に、紙幣束の長手方向における結束位置を変えることができるようになっている。
なお、紙幣結束機構10が紙幣処理装置に装着されたことを検知するセンサ等の装着検知手段であるセット検知スイッチは、紙幣結束機構10を移動可能に支持するガイドレール等に設けられているものとする。
【0055】
上述した構成の作用について説明する。
図14および図15に示す紙幣結束機構移動手段80の制御部84は、移送機構から移送される紙幣の種類に応じ、設定された移動量の情報にしたがって紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させる。
【0056】
紙幣結束機構移動手段80は、第1の実施例における図12(a)と同様に、紙幣結束機構10を位置決めポスト66から所定の距離D1を保持した位置に移動して静止させると、図13(a)に示すように、紙幣結束機構10が結束する結束帯71aの中心位置は紙幣束70の長手方向における端部から距離L1を隔てた中央部である第1の結束位置になる。
【0057】
一方、紙幣結束機構移動手段80は、第1の実施例における図12(b)と同様に、紙幣結束機構10を位置決めポスト66から上述した距離D1より小さい所定の距離D2を保持した位置に移動して静止させると、図13(b)に示すように、紙幣結束機構10が結束する結束帯71bの中心位置は紙幣束70の長手方向における端部から上述した距離L1より小さい距離L2を隔てた、例えば紙幣束70の長手方向における端部から紙幣束70の長手方向における長さの4分の1の位置、すなわち紙幣束の長手方向における端部と、第1の結束位置としての中央部との中央近傍の第2の結束位置になる。
【0058】
このように紙幣結束機構移動手段80により、紙幣結束機構10を紙幣束の長手方向における所望の位置に設定することにより、紙幣結束機構10が結束する結束帯の紙幣束の長手方向における端部からの距離を自在に選択し、設定することができる。
【0059】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、移送機構から移送される紙幣の種類に応じ、設定された移動量の情報にしたがって紙幣結束機構を紙幣束の長手方向における所望の位置へ移動させることにより、紙幣の種類毎に結束位置を変えることができるという効果が得られる。
また、紙幣処理装置の操作表示部でオペレータの入力操作を受付けて、紙幣結束機構移動手段で紙幣結束機構を紙幣束の長手方向における所望の位置に移動させることにより、紙幣結束機構の結束位置を設定する作業を簡易化することができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0060】
1 投入部
2 鑑別部
3 搬送路
5 オープンポケット
6 集積機構
6a〜6d 一時集積部
9 移送機構
10 紙幣結束機構
61 位置決め部材
62 レールブラケット
63 スライドレール
66 位置決めポスト
80 紙幣結束機構移動手段
81 位置検知センサ
82 ベルト
83 モータ
50、84 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送機構により移送された所定枚数の紙幣束の長手方向と直交する短手方向に結束帯を巻回して前記紙幣束を結束する紙幣結束機構を有する紙幣処理装置において、
前記紙幣結束機構を、前記移送機構により移送された紙幣束に対して前記紙幣束の長手方向に移動可能に支持する支持部材を備え、
前記紙幣束の長手方向における結束帯の結束位置を変更可能にしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
移送機構により移送された所定枚数の紙幣束の長手方向と直交する短手方向に結束帯を巻回して前記紙幣束を結束する紙幣結束機構を有する紙幣処理装置において、
前記紙幣結束機構を、前記移送機構により移送された紙幣束に対して前記紙幣束の長手方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材に支持された前記紙幣結束機構の位置を固定する位置決め手段とを備え、
前記紙幣束の長手方向における結束帯の結束位置を変更可能にしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の紙幣処理装置において、
前記結束位置を、前記紙幣束の長手方向における中央部の第1の結束位置と、前記紙幣束の長手方向における端部と前記中央部との中央近傍の第2の結束位置とのいずれかに選択可能にしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の紙幣処理装置において、
前記位置決め手段は、前記紙幣結束機構を前記支持部材に固定する位置決め部材であり、
前記紙幣結束機構が装着されたことを検知する装着検知手段を前記位置決め部材に設けたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の紙幣処理装置において、
前記位置決め手段は、前記紙幣結束機構を前記支持部材に固定する位置決め部材であり、
前記位置決め部材および前記支持部材に、前記紙幣結束機構の位置調整用の目印が形成されていることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の紙幣処理装置において、
前記支持部材に支持された前記紙幣結束機構を移動させる駆動手段と、
前記駆動手段により前記紙幣結束機構を移動させるとともに、移動させた前記紙幣結束機構を静止させる前記位置決め手段としての制御手段とを備えたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の紙幣処理装置において、
前記駆動手段により前記紙幣結束機構を移動させる移動量の入力を紙幣の種類毎に受け付ける入力手段と、
前記移動量を紙幣の種類毎に記憶する記憶手段とを設け、
前記制御手段は、移送機構から移送された紙幣の種類に応じて前記記憶手段に記憶された前記移動量を抽出し、前記移動量にしたがって前記紙幣結束機構を移動させることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の紙幣処理装置において、
前記紙幣結束機構は、前記紙幣束を短手方向に移動させる紙幣束搬送路を有し、
前記紙幣束搬送路は、少なくとも前記紙幣束の長手方向の距離に、前記紙幣束の長手方向に移動可能な距離を加えた距離に相当する幅を有することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項1】
移送機構により移送された所定枚数の紙幣束の長手方向と直交する短手方向に結束帯を巻回して前記紙幣束を結束する紙幣結束機構を有する紙幣処理装置において、
前記紙幣結束機構を、前記移送機構により移送された紙幣束に対して前記紙幣束の長手方向に移動可能に支持する支持部材を備え、
前記紙幣束の長手方向における結束帯の結束位置を変更可能にしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
移送機構により移送された所定枚数の紙幣束の長手方向と直交する短手方向に結束帯を巻回して前記紙幣束を結束する紙幣結束機構を有する紙幣処理装置において、
前記紙幣結束機構を、前記移送機構により移送された紙幣束に対して前記紙幣束の長手方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材に支持された前記紙幣結束機構の位置を固定する位置決め手段とを備え、
前記紙幣束の長手方向における結束帯の結束位置を変更可能にしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の紙幣処理装置において、
前記結束位置を、前記紙幣束の長手方向における中央部の第1の結束位置と、前記紙幣束の長手方向における端部と前記中央部との中央近傍の第2の結束位置とのいずれかに選択可能にしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の紙幣処理装置において、
前記位置決め手段は、前記紙幣結束機構を前記支持部材に固定する位置決め部材であり、
前記紙幣結束機構が装着されたことを検知する装着検知手段を前記位置決め部材に設けたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の紙幣処理装置において、
前記位置決め手段は、前記紙幣結束機構を前記支持部材に固定する位置決め部材であり、
前記位置決め部材および前記支持部材に、前記紙幣結束機構の位置調整用の目印が形成されていることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の紙幣処理装置において、
前記支持部材に支持された前記紙幣結束機構を移動させる駆動手段と、
前記駆動手段により前記紙幣結束機構を移動させるとともに、移動させた前記紙幣結束機構を静止させる前記位置決め手段としての制御手段とを備えたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の紙幣処理装置において、
前記駆動手段により前記紙幣結束機構を移動させる移動量の入力を紙幣の種類毎に受け付ける入力手段と、
前記移動量を紙幣の種類毎に記憶する記憶手段とを設け、
前記制御手段は、移送機構から移送された紙幣の種類に応じて前記記憶手段に記憶された前記移動量を抽出し、前記移動量にしたがって前記紙幣結束機構を移動させることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の紙幣処理装置において、
前記紙幣結束機構は、前記紙幣束を短手方向に移動させる紙幣束搬送路を有し、
前記紙幣束搬送路は、少なくとも前記紙幣束の長手方向の距離に、前記紙幣束の長手方向に移動可能な距離を加えた距離に相当する幅を有することを特徴とする紙幣処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−45240(P2013−45240A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181729(P2011−181729)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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