紙幣処理装置
【目的】 入出金取引時において、接客部に送り込もうとする支払い紙幣あるいは返却紙幣を、手前側に設けた表裏取り揃え部の一時集積部から接客部に送り込む際、紙幣ジャムの発生を防止してマシンダウンを防止する。
【構成】 顧客からの出金指示があると、該当金種を各金種別カセット3〜5より繰り出して表裏を揃えて出金する紙幣処理装置において、装填・補充時及び出金取引時に、鑑別部2にて裏面側であると鑑別した紙幣16を、一括収納庫9へ搬送して仕切り板42上に回収する裏面側紙幣回収制御を設ける。そして、この一括収納庫9内の一括紙幣移動手段により前記仕切り板42上に回収した紙幣を反転せずにステージ41上へと移動し、一括紙幣分離機構44により分離繰り出して、全ての出金紙幣を表面側に揃えて支払うこととした。
【構成】 顧客からの出金指示があると、該当金種を各金種別カセット3〜5より繰り出して表裏を揃えて出金する紙幣処理装置において、装填・補充時及び出金取引時に、鑑別部2にて裏面側であると鑑別した紙幣16を、一括収納庫9へ搬送して仕切り板42上に回収する裏面側紙幣回収制御を設ける。そして、この一括収納庫9内の一括紙幣移動手段により前記仕切り板42上に回収した紙幣を反転せずにステージ41上へと移動し、一括紙幣分離機構44により分離繰り出して、全ての出金紙幣を表面側に揃えて支払うこととした。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銀行等の金融機関に設置される自動取引装置に具備される紙幣処理装置に関し、特に、取り扱う複数種の紙幣を複数個の金種別収納庫に対して供給すると共に回収処理する一括収納庫を着脱可能に備えて成る紙幣処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の紙幣処理装置については、実開平3−90381号公報等に開示されているものがあり、以下これに基づいて従来例を説明する。図11R>1は従来の紙幣処理装置の内部構造を示す概略側断面図、図12は図11における表裏反転ユニットの構成及び動作を示す概略側面図である。
【0003】図11において、1は紙幣処理装置の正面上部に回転可能に配置された接客口であり、顧客による入金用紙幣の投入口,顧客へ紙幣を返却する返却口,及び顧客に紙幣を支払う出金口を兼ねる取引口として機能する。この接客部1は、図示しないが一定の間隔で対向する一対の紙幣ガイドを有しており、この紙幣ガイド間に紙幣を挟持して、入出金及び返却処理を行うようになっている。
【0004】2は紙幣の真偽,金種,正損,及び表裏の鑑別と2重送りや連鎖あるいは斜行等の異常搬送の有無の検知を行う鑑別部、3,4,5は顧客との取引に用いる入出金用紙幣を堆積収納する金種別収納庫(以下金種別カセットと記す)で、この金種別カセット3〜5は装置の底部側に並べて配置している。6はこれら金種別カセット3〜5の上方に配置した入出金ユニットで、顧客によって投入されかつ前記鑑別部2において取引可能であると鑑別されて搬送されてきた入金紙幣を各金種別カセット3〜5内に収納すると共に、顧客により出金指示された紙幣を該金種別カセット3〜5より一枚づつ取り出して鑑別部2へと送りだす。
【0005】7は前記接客部1の左横に配置した表裏取り揃え機構で、出金取引時に前記鑑別部2で裏面と鑑別された紙幣の表裏を反転して表面に揃える。8は前記表裏取り揃え機構7の直下に配置した一時集積部で、入金取引時に取引不可と判断された場合に顧客に返却する紙幣,及び出金取引時に顧客に支払う紙幣を一時的に集積するために設けられたものであり、これらによって表裏反転ユニットを構成している。そしてこの一時集積部8は、前記表裏取り揃え機構7で表側に取り揃えた状態に返却あるいは出金すべき全紙幣が集積されると、低速で駆動される搬送路により紙幣を前記接客部1へと送りだす。
【0006】9は装置背面側に配置された一括収納庫(以下一括カセットという)であり、前記金種別カセット3〜5に対する紙幣の装填,補充及び回収に用いるもので、全金種を一括して収納している。また、10はこの一括カセット9の直下に配置されたリジェクト収納庫(以下リジェクトカセットという)であり、顧客の取り忘れ紙幣や出金処理時に鑑別部2で出金不可と鑑別された損券や出金対象外券(例えば五百円券,五千円券)あるいは異常搬送が検知された紙幣を収納する。
【0007】11は上述したこれら各構成要素を結んでいる複数の搬送路であり、この搬送路11を介して紙幣の搬送を行って各取引処理に対応するようになっている。次に、上記構成による紙幣処理装置の取引動作を、たとえば出金取引を例にとって説明する。まず、顧客が図示しない出金取引キーを押下し、図示しないカードをカード挿入口、あるいは通帳を通帳挿入口に挿入して顧客の暗証番号を入力キーから入力すると、上位装置との間で取引処理に関する交信が行われ、この交信で取引可能が確認されると、顧客は出金金額を入力キーから入力する。
【0008】紙幣処理装置は出金モードとなり、入出金ユニット6により顧客が指示した出金金額に対応する金額の紙幣を、各金種別カセット3〜5より該当枚数繰り出して、搬送路11を介して鑑別部2へと送る。鑑別部2では、送り込まれてきた紙幣の金種,真偽及び表裏の鑑別を行うと共に、異常搬送の有無を検知する。この鑑別結果により出金可能と判断された紙幣は搬送路11を経て表裏取り揃え機構7のある表裏反転ユニットへと搬送される。
【0009】ここで、表裏反転ユニットの概略構造を図1212に基づいて説明する。図において12は搬送路11の一部をなす搬送ローラ、13はこの搬送ローラ12の前方斜め下方に設けられた切り替えブレードであり、搬送路11を搬送されてくる紙幣の表裏の鑑別結果によりそれぞれ搬送方向を切り替えるようになっている。14は表裏取り揃え機構7の一部をなす搬送ベルト、15はこの搬送ベルト14と対向する搬送ベルトであり、これらは図12に示すように所定の間隔を保持して上下に対向配置されており、上方の搬送ベルト14は図示しない上下動手段により下方の搬送ベルト15に対して接近,離間できるようになっていて、この下方の搬送ベルト15との間で,出金あるいは返却用の紙幣16を集積する一時集積部8を設定している。
【0010】17は接客部1に対して前記一時集積部8の前端側に位置するフロントガイド、18はこのフロントガイド17と対向した形で一時集積部8の後端側に位置するリヤガイドで、この両ガイド17と18により紙幣16の集積位置を規制する役目を果たすようになっており、フロントガイド17は図示しない動力手段により、上端を支点として接客部1方向に回動して一時集積部8の前方を開放するようになっている。
【0011】19は下方の搬送ベルト15に沿って前後方向に移動可能とした紙幣押し込み機構で、搬送ベルト15上の一時集積部8に集積された紙幣16を接客部1へと押し込んで送り出すものである。次に、上記構成における表裏を取り揃えた紙幣の集積動作、並びにこれを接客部へと送りだす動作を説明する。
【0012】なお、入金取引時においては、顧客が入金した紙幣のうち鑑別部2が鑑別結果により取り扱うことができないと判断された返却紙幣は、図11に示す搬送路11を経て表裏取り揃え機構7へと送り込まれ、表裏の取り揃え動作は行うことなく搬送ローラ12から搬送ベルト14を経て、搬送ベルト15上の一時集積部8に集積される。
【0013】ところが出金取引時においては、顧客が指示した金額に応じて金種別カセット3〜5より繰り出された紙幣が鑑別部2により裏面側であると鑑別されると、この鑑別結果に基づいて表裏取り揃え機構7の切り替えブレード13が切り替えられ、搬送ベルト14への紙幣16の送り込み方向を切り替える。すなわち、図12R>2に示した構造においては、裏面側であると鑑別,搬送されてきた紙幣は、搬送ローラ12から前方へと送り込んで搬送ベルト14の前方側から下方の一時集積部8へと落とし込むことで紙幣16を反転させ、表面側に揃える。また、鑑別部2において表面と鑑別された紙幣16は、切り替えブレード13により搬送ローラ12から後方へと導き、搬送ベルト14の後方側から前記と同様一時集積部8へと落と込む。この時、紙幣16は反転されることなく表面のまま落とし込まれるので、この一時集積部8には紙幣16はすべて表面に揃った状態に集積されることになる。
【0014】こうして、入金取引時における返却紙幣、あるいは出金取引時における支払い紙幣がすべて一時集積部24に集積されると、搬送ベルト14を下降して対向する搬送ベルト15との間に挟持する。この後、フロントガイド17を2点鎖線で示す位置に回動して一時集積部8の前方を開放し、搬送ベルト14及び15を回転駆動して紙幣16を一括して束の状態で、前方の接客部1側へ送り出す。これと同時に紙幣押し込み機構19も接客部1方向に移動させて、集積紙幣を後端側から前方へと押し込み、これによって、紙幣16を接客部1へと一括して束の状態で送り込む。
【0015】紙幣16が接客部1内に送り込まれると、搬送ベルト15の駆動は停止され、紙幣押し込み機構19は後退して元の位置に戻り、そしてフロントガイド17も回動して元の位置に戻って、紙幣の押し込み動作は終了する。また、紙幣が送り込まれた接客部1には、この紙幣16を受け取るために、所定の間隔に対応配置した一対の紙幣ガイド20が設けられていて、この紙幣ガイド20間に送り込まれた紙幣16は、この接客部1より顧客へと返却あるいは支払われる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の装置には、以下に示すような問題点があり、図1313の従来の問題点を示す説明図を用いて説明する。図1313に示すように、従来の装置は顧客に返却あるいは支払う紙幣を、接客部に送り込むまえに、一旦表裏反転ユニットの一時集積部8に集積し、この後、集積した紙幣16を束の状態で一括して接客部1に送り込むこととしている。
【0017】そして、この紙幣16を集積する一時集積部8と、これを受け取る接客部1とは、従来の構造においては図13に示すように接触してはおらず、僅かながら間隙を有しており、両者は不連続な状態にあった。このため、一時集積部8に集積された紙幣16のうち、図に示すように、上方向にカールしていたりするものがあると、搬送ベルト14により上方から押さえられている時は良いが、接客部1へ押し込む位置まで紙幣16が搬送されてくると搬送ベルト14は上方に退避してしまうので、図中2点鎖線にて示すように紙幣16は元のようにカールしてしまい、フロントガイド17と接客部1端部との切れ目A等に入り込んだりする場合がある。また、カールしている紙幣が最下層に集積されていた場合は、搬送ベル15と接客部1端部との切れ目B等に入り込んだりする場合が考えられ、このような状態のまま接客部1への押し込み動作を行うと、紙幣ジャムを引き起こして、押し込み機構19の動作をストップさせてしまうという問題を発生させていた。
【0018】また、集積紙幣にカールがなくとも、一括して束状態で搬送する際に、集積している状態の紙幣がズレてしまい、やはり紙幣ジャムを発生させてしまう恐れがあり、その結果、マシンダウンを起こして、稼働率を低下させてしまうばかりでなく、顧客にも迷惑をかけてしまうという問題があった。また、支払い紙幣の表裏を取り揃えるための表裏反転ユニット用のスペースは大きく、装置の大型化を招いていたという問題もあった。
【0019】本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、一時集積部に集積された紙幣がカールしていても、また束の状態で動作することで集積している紙幣がズレてしまっても、接客部に送り込む際の紙幣ジャムの発生を防いでマシンダウンを防止し、確実に紙幣を接客部へと送り込めるようにすると共に、表裏反転ユニットを設けなくとも表裏を揃えた紙幣支払いが可能で、かつ小型の紙幣処理装置を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するため本発明は、複数の金種の紙幣を一括して裏面側に揃えた状態で収納して装置本体に着脱可能とした一括収納庫と、この一括収納庫から紙幣の装填及び補充を受ける複数の金種別収納庫と、この金種別収納庫に収納するため前記一括収納庫から繰り出された紙幣を鑑別する鑑別部と、前記一括収納庫からの紙幣を反転して前記鑑別部に送り込むと共にこの鑑別部で出金可能と鑑別された紙幣を前記各金種別収納庫へ搬送する搬送路と、前記鑑別部により出金不適と判断されたリジェクト紙幣を収納するリジェクト収納庫と、前記一括収納庫から繰り出されて鑑別部で出金可能と鑑別された紙幣を各金種別収納庫に分配集積する紙幣分配集積手段を備えた入出金ユニットとを備え、かつ、前記一括収納庫には、該一括収納庫内の紙幣を最上部から一枚づつ分離して繰り出す一括紙幣分離機構と、前記各金種別収納庫から回収して仕切り板上に集積した紙幣を反転させることなく、前記一括紙幣分離機構により分離可能となるステージ上へと移動する一括紙幣移動手段とを備えて成る紙幣処理装置において、装填・補充時に一括収納庫から繰り出されて前記鑑別部へと搬送されてきた紙幣、および出金取引時に前記各金種別収納庫から繰り出されて鑑別部へと搬送されてきた紙幣のうち、この鑑別部で裏面側であると鑑別された紙幣だけを、前記一括収納庫へと搬送して仕切り板上に裏面の状態で集積して回収するように制御する裏面側紙幣回収制御手段を設けることとしたものである。
【0021】
【作用】上述した構成によれば、金種別収納庫への紙幣装填・補充時において、一括収納庫から紙幣を分離給送すると、該紙幣は搬送路を鑑別部へと搬送される。そしてこの鑑別部にて金種,真偽,正損等を鑑別すると共に表裏を検出し、裏面側であることが検出されると、この検出信号は制御部へと送られ、制御部では裏面側紙幣回収制御手段によりこの裏面側紙幣を再び一括収納庫内に回収集積すべく、切り替えブレードや一括収納庫内の集積手段を制御する。これにより裏面側と検出された装填・補充紙幣は再度一括収納庫に回収される。
【0022】なお、前記搬送路は鑑別部に達するまでの間で紙幣を反転する構造としていることから、一括収納庫に再度回収される紙幣は裏面側となって回収され、一括収納庫内における紙幣の表裏は取り揃えられることになる。また、出金取引時においては、顧客の指示した出金金額に応じて各金種別収納庫から紙幣が繰り出されて鑑別部に搬送されると、鑑別部では前記装填・補充時と同様金種や真偽,正損等の鑑別と共に表裏を検出する。そして、ここで裏面側であると鑑別された場合は、やはり裏面側紙幣回収制御手段により一括収納庫へと収納し、接客部に搬送する紙幣は表面側と鑑別された紙幣のみとすることで、表裏を揃えた状態で顧客に支払う。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明の紙幣処理装置における出金取引時の動作を示す側断面図、図2は図1の出金取引時における回収動作のフローチャート、図3は同じく図1に示した紙幣処理装置を搭載した現金自動取引装置を示す外観斜視図である。
【0024】まず、図3により紙幣入出金装置を搭載した自動取引装置の概略構成を説明すると、図において、21は現金自動取引装置、22は紙幣処理装置(以下CCADという)である。23は顧客により挿入されたカードの識別、取引内容の書き込み等を行うカードリーダライタ部、24は顧客により挿入された通帳の識別、取引内容の印字等の処理を行う通帳記帳機部、25は入金/支払い金額や暗証番号を入力する操作キーや金額及び操作案内用のイラストや文字等を表示する表示部から構成される顧客操作部、26は行員が装填,補充,回収等の処理を行うため、各取引に応じた項目及びデータを入力する操作キー及び前記操作キーからの入力データ及び処理結果を表示して、行員操作を誘導する表示部により構成される内部操作部である。
【0025】また、27は以上の各装置の動作制御並びに各種演算処理等を行う制御部であり、そして、この制御部27には後に詳しく述べるが、装填・回収時および出金動作時において鑑別部2で裏面側と検出した紙幣のみを一括収納庫9への回収を制御する裏面側紙幣回収制御手段27aを設けている。次に、上述した自動取引装置における本実施例のCCAD22の制御系を、図4のブロック図を用いて示す。
【0026】このCCAD22は、前記図4に示す制御部27により上位装置制御部インタフェース81を介してCCAD制御部80に入力する制御信号等により制御される。CCAD制御部80は、このCCAD22全体の動作を制御するマイクロンピュータとその周辺回路から構成されており、バスラインを介してI/Oインタフェース回路82と、一括収納庫インタフェース回路90と、リード・オンリ・メモリ(ROM)83と、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)84とが接続されている。
【0027】ROM83は、CCAD制御部80の動作用プログラムを格納するメモリであり、RAM84は、CCAD制御部80の動作に必要なパラメータ等を一時格納しておくメモリである。I/Oインタフェース回路82には、モータドライバ85,マグネットドライバ86,スイッチ読み取り回路87,フォトセンサ読み取り回路88,紙幣鑑別制御部89が、それぞれ接続されている。
【0028】前記モータドライバ85は装置各部のモータ群91及び一括カセット9に設けられたモータ群に接続しており、各動作モードに応じて種々のモータを駆動制御する回路、マグネットドライバ86は装置各部のマグネット群92に接続しており、動作モードに応じて、それぞれのマグネットをオンあるいはオフさせる回路である。
【0029】スイッチ読み取り回路87は、装置各部のスイッチ群93と一括カセット9のスイッチ群97とに接続しており、一括カセット,金種別カセット及びリジェクト金庫の装着の有無や、各ステージのポジションを検出するスイッチ等の状態を読み取る回路である。フォトセンサ読み取り回路88は、装置各部のフォトセンサ群94及び一括カセット9に設けられたフォトセンサ群98に接続しており、一括カセット9や金種別カセット3〜5あるいはリジェクトカセット10に設けられた紙幣の集積状態を監視するフォトセンサ群からの情報を読み取る回路である。
【0030】紙幣鑑別制御部89は紙幣鑑別センサ群95に接続されており、この紙幣鑑別センサ群95は、CCAD22に設けた鑑別部2内部に設けられた種々のセンサからなり、鑑別部2に送り込まれた紙幣の真偽.金種.正損,表裏.重送及び斜行等を鑑別検知するために設けられた回路である。一括カセットインタフェース回路90は、一括カセット9に設けられた収納庫管理メモリ99の記憶内容を読み取って、CCAD制御部80に転送したり、CCAD制御部80の指示を受けて、収納庫管理メモリ99の内容を更新する回路である。なお、この収納庫管理メモリ99には、一括カセット9に収納された紙幣の各金種毎の収納枚数が個別に記憶される。
【0031】また、CCAD制御部80には、種々の装置処理動作を制御するため計数管理部80a、現金回収手段80b、現金分配手段80cが設けられており、これらの手段は、いづれも所定の手順でI/Oインタフェース回路82を介して、装置各部の回路を制御し、後に説明する入出金動作を実行制御するためのシーケンスプログラムから構成されている。
【0032】前記計数管理部80aは、一括カセット9に回収され、あるいは一括カセット9から分配供給される紙幣を計数し、その都度収納庫管理メモリ99を更新する制御を行う。現金回収手段80bは各金種別カセットに格納された現金を取り出して搬送し、一括カセット9に回収する動作を制御する。また、現金分配手段80cは、いづれか各金種別カセットに紙幣が不足した場合、収納庫管理メモリ99に記憶された金種別枚数を確認し、その範囲内で各金種別カセットに対し、必要な紙幣の分配補充を行う動作を制御する。
【0033】次に、上述した制御系を有するCCAD22における紙幣の装填・補充時の概略分配動作を説明する。まず、図5と図6により本発明におけるCCADの基本的な構成と動作を示し、その後、図7以降を用いて本発明の装置のより具体的な動作を説明することにする。図5は本実施例におけるCCAD22の要部ブロック図であり、図において、CCAD22本体は複数種の金種を一括して収納した一括カセット9を装着していると共に、その内部には紙幣の鑑別部2,第1の金種別カセット3と第2の金種別カセット4の他に、これら第1および第2の金種別カセット3,4毎にそれぞれ収納紙幣を一時的に集積する一時保留部28,29およびシャッタ30,31を備えている。
【0034】なお、図5においては金種別カセット3と4は同一金種の紙幣を収納するものとし、その他の金種別収納庫の図示は省略した。そして、この一括カセット9には、上記制御系の説明で示したように、一括カセット9内に収納する紙幣の計数管理を行う収納庫管理メモリ99が設けられており、また、このメモリの内容を更新し、あるいはそのデータを利用して、紙幣の分配補充等の管理を行うために、計数管理部80a,現金回収手段80b,現金分配手段80cが設けられている。
【0035】上記構成により紙幣を装填する場合は、まず一括カセット9から現金分配手段80cの制御により、搬送路11に向けて紙幣の繰り出しが開始されると、この紙幣は鑑別部2により鑑別され、第1の金種別収納庫3および第2の金種別収納庫4に収納されるべき金種の紙幣であると判断されると、■あるいは■のルートにより、第1あるいは第2の金種別収納庫3,4に向けて搬送される。また、その他の紙幣は、■のルートを通って一括カセット9に回収される。これらのルートの選択は一括切り分けゲート32,33により行われる。
【0036】また、第1の一時保留部28および第2の一時保留部29に集積される現金の量は、図示しない検知器により監視されており、その集積量が一定量,例えば約100枚に達すると、第1のフル検知フラグあるいは第2のフル検知フラグ等から成るフラグ80dがオンとなるように構成されている。図6は上記概略補充分配動作のタイムチャートである。このタイムチャートに示すように、まず、補充分配動作が開始されると、該当する金種の紙幣を始めに例えば第1の一時保留部28に集積する。この集積動作は、先に説明したように図5の■のルートを通って紙幣を搬送し、図6の時刻t1からt2までの間に実行される。
【0037】時刻t2においては、一時保留フル検知がされ、現金分配手段80cがこれを認識して、一括切り分けゲート33を動作させ、今度は第2の一時保留部29に対し該当する金種の紙幣の集積動作を継続する。一方、時刻t2において、集積動作が終了した第1の一時保留部28においては、シャッタ30が開放され、第1の金種別カセット3に対し、第1の一時保留部28に集積された紙幣の収納が行われる。この動作は時刻t3に終了するが、その後、時刻t2から第2の一時保留部29に向けて搬送される紙幣が一定量に達するのを待つ。
【0038】時刻t4において、第2の一時保留部29に所定量の紙幣が集積され、時刻t4に第2の一時保留部29のフル検知がなされると、現金分配手段80cは再び一括切り分けゲート33を動作させ、先に収納が完了して、エンプティとなった第1の一時保留部28に対し該当する金種の紙幣の集積を続行する。この集積動作は時刻t4からt6までの間に実行される。
【0039】第2の一時保留部29に集積された紙幣は、時刻t4から時刻t5の間に、先に説明したのと同一の要領で、シャッタ30の開放に伴い第2の金種別カセット4に収納される。このように、第1の金種別カセット3と第2の金種別カセット4とが、同一金種の紙幣を収納するものであれば、それぞれの一時保留部28と29に交互に紙幣を搬送することで、連続的に集積動作を実行して、大量の紙幣を短時間で分配補充できるようにしている。
【0040】次に、上記のような基本的構成および動作を行う本発明のCCADについて、図1,2に加えて図7R>7〜図10を用いてその全体構成と動作とを説明する。図7は装填・補充動作時の動作を示すCCADの側断面図、図8は装填・補充動作時の回収動作のフローチャート、図9は入金取引時の動作を示すCCADの側断面図、図10は一括カセットの動作説明図である。
【0041】先ず、図1の出金取引時の動作を示す側断面図を用いて装置の全体構成を説明する。1はCCAD22の前面上部に設けた接客部で、この接客部1は顧客が紙幣16を投入するための紙幣投入部34と、出金時の支払い紙幣および入金時のリジェクト紙幣を集積する支払い集積部35とを、紙幣ガイド36で仕切った構造となっている。
【0042】37はこの接客部1の上部に設けられた開閉可能なシャッタであり、このシャッタ37は顧客が入金紙幣を投入する際に開放し、投入すると図示せぬセンサがこれを検出してシャッタ37は閉じ、この後紙幣の入金取引が開始される。また、このシャッタ37は入金時のリジェクト紙幣の返却や出金時に支払う紙幣を顧客が受け取る場合に開放し、受け取ったことが検出されると閉じる構造となっている。
【0043】また、この接客部1は投入された入金紙幣を1枚づつ分離するための分離機構38、および顧客に返却あるいは支払う紙幣を集積する集積機構39を備えている。2はこの接客部1の斜め後方下部に配置された鑑別部であり、送り込まれてくる紙幣の金種,真偽,正損,表裏,重送、及び斜行等の鑑別及び表裏を検出するようになっている。そして、この鑑別部2の検出結果により送り込まれてきた紙幣が裏面側であると制御部27により判定されると、その実行中の動作が一括カセット9からの装填・補充時,あるいは出金取引時であった場合には、裏面側紙幣回収制御手段27aによりCCAD制御部80に対して回収動作開始を指示する。これによりCCAD制御部80は図4のブロック図に示す各機構部をそれぞれ作動させ、後述する切り換えブレードによって走行路を切り換え、一括カセット9へ裏面側紙幣を回収する。なお、この裏面側紙幣回収制御手段27aによる回収動作は、後でさらに詳しく述べるが、裏面側であると判断された紙幣はそのまま顧客への支払いに当てること無く再度一括カセット9へ取り込むものであって、これにより裏面側の状態で紙幣を一括カセット9内に回収し、接客部1の手前に表裏反転ユニットを配設しなくとも出金時における支払い紙幣の表裏を取り揃えることができるようにしている。
【0044】9は複数金種の紙幣を一括して収納する一括カセット、10はこの一括カセット9の下部に配置したリジェクト収納庫であり、前記鑑別部2において偽券,損券,あるいは真券であるが出金には適しない紙幣等のリジェクト紙幣と鑑別されたリジェクト紙幣を収納する。ここで、一括カセット9の構造を説明すると、40はこの一括カセット9の上部にあって複数種の紙幣を一括して収納する一括紙幣収納部、41はこれらの紙幣を一括集積するステージ、42は回収紙幣を堆積する仕切り板である。
【0045】前記ステージ41は図示しない各ポジションに移動して、紙幣の繰り出しや、仕切り板42を介して堆積を行うようになっている。43は前記仕切り板42上に集積された回収紙幣を両側からクランプして、ステージ41上に堆積するためのクランプレバであり、前記ステージ41と同様図示せぬ各ポジションに移動するべく回転及び上下動可能に支持されている。
【0046】44は一括カセット9上端部に内蔵設置され、紙幣装填及び補充時に前記ステージ41上に集積した紙幣を最上層から一枚づつ分離する一括紙幣分離機構、45は装填及び補充処理時に前記一括紙幣分離機構44により分離されて、カセット上端部に形成した繰り出し口9aから繰り出された紙幣のうち鑑別部2が重送又は斜行と鑑別した補充リジェクト紙幣を、カセット下端部に取り込んで収納する第1のリジェクト収納部、46はこの第1のリジェクト収納部45にリジェクト紙幣を送出する第1のリジェクト紙幣集積部である。また、9bは後述する裏面側紙幣、および終業時等における回収紙幣をカセット内に取り込む回収口、9cはこの回収紙幣を前記仕切り板42上に集積する一括紙幣集積部である。
【0047】また、47と48は前記一括カセット9の下方に設けられたリジェクト収納庫10内に備えられた第2および第3のリジェクト収納部であり、第2のリジェクト収納部47は入金あるいは出金取引時に顧客が取り忘れた紙幣を、また第3のリジェクト収納部48は入金処理時において入金は可能であるが出金用としては不適と鑑別部2にて判定されたり、あるいは出金処理時に出金不能と判定されたリジェクト紙幣をそれぞれ収納するようになっている。
【0048】49と50は前記第2と第3の両リジェクト収納部47と48へと、それぞれのリジェクト紙幣を送出して集積する紙幣集積部である。また、この一括カセット9内には複数個の検知機が設けられており、たとえばステージ41に集積された紙幣の量を検出するニヤフル検知機およびフル検知機、そしてエンド検知機等であり、リジェクト収納庫10にも同様にフル検知機等が具備されている。
【0049】また、前記一括カセット9内において、ステージ41はクランプレバ43の下側に移動し、クランプレバ43が左右に開いて、仕切り板42上に集積された紙幣をステージ41に載せて再び上昇するといった動作が行われるものであるが、この動作については、図10R>0を用いて後述する。なお、一括カセット9内には、このようなステージ41及びクランプレバ43の動作を各設定ポジション毎に検出するポジションセンサ、さらにこれらを駆動するための駆動モータも内蔵されている。
【0050】次に、3,4,5は装置下部に配置された出金用紙幣を堆積収納する金種別カセットであり、ここでは、3を千円券カセット、4と5とを万円券カセットとしている。50,51,52は該金種別カセット3,4,5内に備えられた紙幣集積用のステージであり、図示せぬ移動手段により上下方向に移動する。
【0051】そして、これら金種別カセット3,4,5の上部に入出金ユニット6が配置されている。この入出金ユニット6は金種別カセット3,4,5へ取り込む紙幣を金種別に集積する一時集積部54,55,56と、取り込み紙幣を収納前に金種別に一時保留する一時保留板57,58,59と、前記ステージ51,52,53と一時保留板57,58,59上の紙幣を最上部より分離して取り出す紙幣分離機構60,61,62を有する。
【0052】なお、前記一時保留板57,58,59は図示しないモータにより退避可能となっており、予め設定された所定量集積されたことが検出されると、金種別カセット3〜5上から退避することで集積された紙幣を金種別カセット3〜5内に落とし込んで収納する。63a,64a,65aは上記金種別カセット3,4,5のフル検知機、63b,64b,65bはニアフル検知機、63c,64c,65cはエンド検知機であり、これら各検知機はそれぞれ一対の受発光素子より成る光学検知機であり、各カセット内の紙幣量を管理するための手段としている。
【0053】11は紙幣を搬送させる搬送路であり、この搬送路11はこのCCAD22内で取り扱う紙幣を各構成要素間に搬送するように幾つにも枝別れさせた構造となっているものであり、一括カセット9の繰り出し口から鑑別部2に至る間の搬送路11(図7参照)においてのみ、一括セット9から繰り出されてきた紙幣を一回反転する構成となっている。従って、この鑑別部2から一括カセット9の回収口までの間、各金種別収納顧客3〜5までの間、鑑別部2から接客口1までの間の搬送路11では紙幣の反転搬送はしない。
【0054】なお、B〜Jは前記搬送路11の分岐部に設けられた切り換えブレードであり、それぞれ紙幣の搬送方向を切り換える。また、CCAD22の後面には扉が付いており、これを開くことによりCCAD22を自動取引装置内から引き出すことなく一括カセット9を抜き取れるようになっており、この一括カセット9を介して各紙幣はCCAD22底面に配置されている各金種別カセット3,4,5内に、これらを抜き出すことなく収納できるようになっている。
【0055】次に、以上の構成によるCCAD22の各金種別カセット3,4,5への出金用の紙幣の収納動作を、始業時における装填動作と、運用中に紙幣不足が生じた場合における補充動作について,図7を用いて説明する。なお、この補充動作は基本的には装填動作と同様であり、運用中に金種別カセット3〜5の収納紙幣量が各エンド検知器63c,64c,65cにより検出されて補充要求が判断され、かつ収納庫管理メモり99のデータにより一括カセット9内に補充紙幣が収納されていることが確認されると動作は開始となる。
【0056】< 装填・動作 >図7は本実施例の装填および補充動作を示すCCADの概略側面図であり、図8R>8の装填・動作時に発生した回収動作のフローチャートを加えてその動作を説明する。まず装填動作は、行員が業務開始に先立ち、一括カセット9のステージ41上に一括して元方よりセットしてきた紙幣を収納した後、内部操作部26の操作キーにより装填キーを押下すると、CCAD22は制御部27から装填動作開始の指示を受け、内部状態を装填・補充モードに切り換え、装填動作を開始する。
【0057】また、補充動作は同様にして内部操作部26により補充キーを押下すると、制御部27から補充動作開始の指示を受け、内部状態を前記装填動作時と同じ装填・補充モードに切り換えて、補充動作を開始する。なお、補充動作は、上述したようにまず、一括紙幣収納部40内に補充するべき紙幣が予めセットされているか否かを確認し、セットされていなければ動作は不可となり、セットされていることが確認されて始めて動作が開始される。
【0058】装填・補充動作はまず、CCAD制御部80がI/Oインタフェース回路82がモータドライバ85を介して一括カセット9内の一括紙幣分離機構44を作動させ、これにより、ステージ41上にセットされている紙幣16を最上層から順に一枚づつ繰り出す(SA1)。繰り出された紙幣は、搬送路11を(ア),(イ),(ウ)(エ)のルートに沿って鑑別部2へと搬送し(SA2)、この鑑別部2において紙幣の金種や真偽や正損,重送の有無等を鑑別する(SA3)。
【0059】ここで、正常な紙幣であると判断されると、次に紙幣の表裏を検出する(SA4)。前記SA4において、表側であると検出された場合は、次に金種を鑑別し、各金種に応じてそれぞれ金種別カセット3〜5へと紙幣収納動作を行う(SA5〜SA9)。つまり、鑑別部2において、例えば千円券の正券で出金可能、かつ表裏が表面側であると鑑別されると、鑑別部2から(オ),(カ),(キ) のルートを辿って入出金ユニット6内へと送り込み、そして、この入出金ユニット6内を(ク) のルートを辿り、切り換えブレードHの作動により、千円カセット3上方の一時集積部54に送り込み、金種別一時保留板57上に集積する。
【0060】同様にして、万円券の正券で出金可、かつ表面側であると鑑別されると、鑑別部2から(オ),(カ),(キ) のルートを辿り、入出金ユニット6内の切り換えブレードIまたはJの作動により、一時集積部55または56に送り込み、一時保留板58,59上に順次集積する。また、前記SA4において、鑑別部2で紙幣16が表面側ではなく裏面側であると検出された場合は、上述したような金種別カセット3〜5への集積動作は行わず、再び一括カセット9へと取り込む回収動作を行う(SA10)。
【0061】即ち、鑑別部2において紙幣16が裏面側であると検出されると、この検出信号はCCAD制御部80を介して制御部27に送信され、制御部27において前記紙幣の回収動作が判断され、裏面側紙幣回収制御手段27aからCCAD制御部80へ回収動作開始を指示する。これによりCCAD制御部80はまず切り替えブレードEを作動し、裏面側紙幣を(ケ)のルートに導き、一括カセット9の下部に設けた回収口9bから一括集積部9cによりカセット内の仕切り板42上に集積して収納する(SA11)。
【0062】これは、鑑別部2において裏面側と鑑別された紙幣を、表面側と鑑別された紙幣と同様にして金種別カセット3〜5に収納してしまうと、金種別カセット3〜5内には表裏が混在した状態で多数の紙幣が収納されることになってしまうからであり、つまり表裏が混在した状態のままで、出金処理がなされると、この金種別カセット3〜5からは表裏混在した状態で紙幣が繰り出されないようにするためである。
【0063】また、後述するが、出金取引時にも各金種別カセット3〜5から繰り出された紙幣は、鑑別部2で表裏の検出がなされ、ここで裏面側であると検出された場合はそのまま接客部1には搬送せず、装填・補充時と同様に一括カセット9に回収するという動作を行うこととしている。しかし、この出金時おいて多くの紙幣が裏面側であると鑑別されて一括カセット9内に回収されてしまっては、金種別カセット3〜5内の紙幣は短時間で補充動作を必要としてしまうことから、この装填・補充時にできる限り表裏を取り揃えることとしているものである。
【0064】なお、この補充・装填時において、一括カセット9から繰り出された紙幣は、鑑別部2に到達するまでの間の(ウ) のルートから(エ) の鑑別部2のルートに入り込む際、上述した搬送路11の構造によって、一回だけ反転するようになっているため、この鑑別部2で裏面側であると検出された紙幣は、一括カセット9に収納されていた状態から反転した状態でふたたび一括カセット9内に取り込まれることになる。つまり、一括カセット9における装填開始前の紙幣16は、裏面側の状態で集積収納されており、これが繰り出されると、金種別カセット3〜5には表面側の状態で収納されるようになっているのである。
【0065】このため装填・補充時において、裏面側と検出された紙幣16は、すべて一括カセット9に再び取り込むことにより、金種別カセット3〜5への収納紙幣の表裏の取り揃えを行うことができることになる。こうして一括カセット9の仕切り板42上に回収集積した紙幣16の枚数が、集積許容値、例えば100枚に達した場合には、一括紙幣分離機構44の動作を中断し、一括カセット9においてクランプレバ43によるクランプ動作を実行する。なお、このクランプ動作については、後述する<一括カセットの動作>で詳述する。
【0066】また、上述した鑑別部2の鑑別結果で、損券又は還流対象外紙幣(たとえば5千円券や5百円券等)と判定された紙幣は、切り換えブレードFを切り換えて、(コ) のルートを辿り一括収納庫9の第1のリジェクト紙幣集積部46へと送り込み、第1のリジェクト収納部45に収納する。一方、前記一時保留板57及び58,59上に集積された各々の紙幣が、予め設定されていた所定保留量、たとえば100枚に達すると、この一時保留板57,58,59を図示せぬ駆動手段により退避し、集積していた出金可能紙幣を各金種別カセット3,4,5内のステージ51,52,53上に落とし込んで収納する。この後、図示しないモータにより、保有許容値相当の厚さ分、各ステージ51,52,53を下降させる。これにより再び一時保留板57,58,59を出し、一括カセット9の一括紙幣分離機構44を作動させて、装填・補充動作を繰り返す。
【0067】例えば、金種別カセット3に千円券が始業時に先立って装填される場合、そのフル検知機63aがフル検知するまで,あるいは一括カセット9内に収納紙幣が無くなるまでは、その金種別カセット3に予め定められた適正枚数の千円券が収納されるまで繰り返し行う。同様にして、金種別カセット4と5に万円券を収納する場合にも、適正枚数に達するまで装填・補充がを続ける。
【0068】この適正枚数は、例えば紙幣装填・補充後に、さらに入金取引において入金紙幣を収納できるスペースを残した適切な枚数に設定されるようになっている。そして、この時の各金種別カセット3,4,5への紙幣の収納量の管理は、該金種別カセット3,4,5内に設けられているフル検知器63a,64a,65aやエンド検知器63c,64c,65c等の光学センサによって所定量集積された紙幣のカセット内への落とし込み回数や、また集積量を検知することにより、CCAD制御部80の計数管理部80aにおいて計数しておく。そして、このデータを図3のブロック図に示す一括収納庫インタフェース回路90を介して収納庫管理メモリ99に記憶させておく。
【0069】このように装填・補充動作を行うことで、CCAD22の運用開始前の状態における各金種別カセット3〜5内の収納紙幣は、全て表面側の状態に揃えられることになり、かつ出金取引に対応できる充分量の紙幣が装填及び補充され、これにより入金取引はもとより出金取引が可能となる。次に、紙幣を装填・補充された自動取引装置における入金取引動作を、図9の入金取引動作を説明するCCADの側断面図に基づいて説明する。
【0070】<入金動作>顧客等が装置正面に設けられている顧客操作部5を操作することにより入金取引等が指示されると、CCAD22はこの指示に基づいて内部状態を指示に基づく入金モード等に切り換えられ、顧客が接客部1の紙幣投入部34に紙幣を投入するのを待つ。
【0071】紙幣投入部34に設けた図示せぬセンサが紙幣投入を検出すると、シャッタ37を閉じ、投入紙幣の取り込むため分離機構38を駆動して、投入紙幣を1枚づつ分離して搬送路11へと取り込む。この紙幣16は、矢印(ア),(イ),(ウ) のルートを通って鑑別部2に送り込まれ、鑑別部2では搬送されてきた紙幣を、順次金種,真偽,正損及び走行状態の検知を行って後方へ送る。鑑別部2において、偽券あるいは搬送異常と判定された入金リジェクト紙幣は、矢印(エ),(オ) のルートをたどり、接客部1の支払い集積部35に直接送り込まれて1枚づつ集積され、顧客へと返却される。なお、この時表裏取り揃え動作は行わない。
【0072】一方、鑑別部2において、正券あるいは損券(還流対象外紙幣)と鑑別された紙幣は、切り替えブレードCを作動させて、搬送路11を矢印(カ) のルートを搬送する。この時、紙幣が千円券の正券であった場合は、矢印(キ) のルートのように入出金ユニット6に向かって搬送され、千円券切り替えブレードHを作動させて千円券用の一時集積部54に送り込まれ、一時保留板57に集積される。
【0073】同様にして、万円券の正券の場合は、切り替えブレードIの作動により一時集積部55を介して一時保留板58上に集積される。また、五千円券と損券は切り替えブレードJを作動させて一時集積部56に送り込まれ、一時保留板59上に集積される。以上の動作によって接客部1に顧客が投入した紙幣の入金計数が終了すると、制御部27は金種別金額と合計金額を演算し、顧客操作部25のディスプレイに表示する。この表示を見て顧客が表示金額を確認し、顧客操作部25の確認ボタンを押下すると、CCAD22は各金種別カセット3,4の一時保留板57,58上に集積していた入金紙幣を、該一時保留板57,58を退避させることによって、各金種別カセット3と4内に収納する。
【0074】次に、金種別カセット5の一時保留板59に集積していた五千円券と損券は、紙幣分離機構62により1枚づつ分離し、搬送路11を鑑別部2に送り込む。そして、切り替えブレードCとGを作動して矢印(ケ),(コ) のルートを辿って搬送し、リジェクト収納庫10の下側の第3のリジェクト紙幣集積部50に送り込み、第3のリジェクト収納部48に集積する。
【0075】そして、この計数結果は収納庫管理メモリ99に送られてメモリが更新されると、入金取引の処理が終了する。なお、この入金取引の紙幣収納時においては、一括カセット9に回収する表裏を反転する動作は行わないため、金種別カセット3〜5には裏面側のままでの紙幣収納が生じることになる。
<出金取引>次に、図1の出金時の動作を示すCCADの側断面図を用いて出金取引時における動作と、そしてこの出金取引時に裏面側紙幣が検出された時の回収動作を、図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0076】顧客により顧客操作部25の出金取引キーが押下され、キャッシュカードがカードリーダライタ部23に挿入されて暗証番号が入力されると、自動取引装置は出金モードに切り替えられ、放出する紙幣の金種と枚数の指示を待つ。例えば、顧客により万円券m枚、千円券n枚の金額が入力された場合は、先ず各金種別カセット3〜5がエンド検知されていないことを確認した後、出金計数の指示に従って、入出金ユニット6の例えば、万円券用の紙幣分離機構61を作動させて、万円券をm枚繰り出す(SB1)。
【0077】繰り出された紙幣は矢印(ア),(イ),(ウ) のルートを通って、鑑別部2に送り込まれる(SB2)。鑑別部2では、まず真偽を鑑別し(SB3)、真券であると鑑別された紙幣は、次に指定通りの金種の紙幣か否かを判断し(SB4)、指定通りの金種であると県別された場合は、さらに表裏を検出する(SB5)。
【0078】そして、真券で該当金種であり、かつ表面側と鑑別された紙幣は、切り替えブレードCを作動させて、矢印(エ),(オ) のルートに沿い、紙幣16を接客部1の支払い集積部35へと直接に順次送り込み、集積機構39により順次集積する(SB6)。なお、前記S3にて偽券であると鑑別された場合、そして4において該当金種ではないと鑑別された場合は、リジェクト収納庫10へと取り込まれる(SB7)。
【0079】また、前記S5において、各金種別カセット3〜5より送り込まれてきた紙幣が裏面側であると検出されると、紙幣は表裏を取り揃えて顧客に支払うことから、前記装填・補充動作時と同様一括カセット9への回収動作となる。すなわち、鑑別部2において裏面側であるとの鑑別結果が制御部27に送信されると、制御部27は裏面側紙幣回収制御手段27aを介して切り替えブレードC,Eを作動させ、鑑別部2から送出されてきた裏面側紙幣を矢印(カ),(ク) のルートにより搬送し(SB8)、一括カセット9の下部に設けてある回収口9bへと送り込み、この回収口9bの内側に備えた集積手段9cによりこの裏面側紙幣を仕切り板42上に集積する(SB9)。
【0080】この回収動作により、各金種別カセット3〜5から繰り出された紙幣16は、該金種別カセット3〜5から繰りされた状態のまま反転されることなく、一括カセット9内に取り込まれる。つまり、各金種別カセット3〜5内における収納紙幣は表面側に集積されており、表面側のまま繰り出されることで、前述した搬送路11の構成により接客部1へ表面側に揃えた状態で送りだす。
【0081】一方、一括カセット9は、上述したように裏面側に揃えた状態で集積している。これは装填・補充時に一括カセット9から紙幣16を鑑別部2へ搬送する際に搬送路11により一回反転される構造となっているためである。従って、この出金時に鑑別部2で裏面側であると鑑別された紙幣は、その裏面側のまま一括カセット9に回収すれば、正常な収納状態となり、後刻発生する補充動作には、鑑別部2へと反転して表側となって搬送されるので、表面側と判断されて各金種別カセット3,4,5に正常に分配収納することができるようになる。
【0082】そして、この出金取引時に繰り出される裏面側の紙幣は、入金取引時において還流対象紙幣として各金種別カセット3,4,5に収納されたものであり、これは各金種別カセット3,4,5内に装填・補充動作により一括カセット9から収納した紙幣の全枚数に対してはごく少量であり、この回収動作によって不用意に補充動作回数を増加させるものではない。
【0083】また、一括カセット9内に搬送した後の裏面側紙幣の処理は、次の一括カセットの動作の項で詳細に述べる。なお、上記表面側と鑑別されて接客部1の支払い集積部35に集積された紙幣が顧客からの指定金額通りに揃ったと検出されると、シャッタ37を開いて紙幣16を顧客に渡し、この後シャッタ37を閉じる。この時の放出金種とその枚数のデータは制御部27により収納庫管理メモリ99に記憶され、これにより出金取引処理は終了する。
【0084】また、接客部1において紙幣16を顧客が取り忘れた場合は、この紙幣16を再び分離機構38により分離して装置内部に取り込み、鑑別部2を介して矢印(ウ) のルートにより1枚づつ送り込んで、切り替えブレードC,Gを作動させて、今度は第2のリジェクト紙幣集積部49に送り込み、第2のリジェクト収納部47に集積する。
【0085】<一括カセットの動作>ここで、装填・補充動作時ならびに出金取引時における一括カセット9の動作を、図10の一括カセットの動作説明図に基づいて説明する。まず、装填・補充動作時において、同図(a)の示すようにステージ41上の紙幣16を一括紙幣分離機構44により1枚づつ分離して搬送路11へと繰り出す。
【0086】一方、金種別カセット3〜5に収納されずに回収される紙幣は、一括カセット9に送り込まれ、仕切り板42上に集積される。ここで紙幣が集積許容値、たとえば100枚に達すると、一括紙幣分離機構44の動作を一時停止する。クランプレバ43は、図10(b)の43■のポジションに予め設定されており、集積許容値に達した旨の指示を受けると、図の43■のポジションにまで回転動作を行い、仕切り板42上に集積した紙幣16をクランプする。そして、図示しないモータを駆動し、図の43■のポジションから43■のポジションまでクランプレバ43を持ち上げる。次に、先に停止させた一括紙幣分離機構44を動作させ、再び集積許容値まで仕切り板42上に紙幣を集積を続ける。
【0087】再び集積許容値に達すると、一括紙幣分離機構44を停止して、クランプレバ43を43■のポジションから43■のポジションに回転動作させ、クランプレバ43により持ち上げた紙幣を仕切り板42上に集積した紙幣の上に落とす。そして、再び図示しないモータにより、43■のポジションにあるクランプレバ43を下降させ、43■のポジションまで移動させる。その後、再び43■のポジションまでクランプレバ43を回転動作させて、紙幣16を43■のポジションまで持ち上げる。
【0088】このような動作を、一括カセット9内のエンド検知機がステージ41上の紙幣の無くなるのを検知するまで繰り返し、エンド検知されたら、一括紙幣分離機構44の動作を停止し、クランプレバ43は図示しないモータによって43■のポジションまで紙幣を持ち上げる。一方、ステージ41は図示しないモータによって、41■のポジションから41■のポジションに回転駆動され、さらに41■のポジションに回転駆動され、クランプレバ43■の下側に配置される。その後、クランプレバ43が■ポジションに回転動作を行い、先にクランプして持ち上げた紙幣16を、ステージ41■の上に載せる。その後、ステージ41は図示しないモータにより駆動され、41■のポジションまで上昇する。
【0089】これにより、装填・補充時並びに出金取引時に、裏面側であると鑑別されたことで回収された紙幣16は、再び一括カセット9から分配可能となる。なお、上述した一括カセット9内の動作中において紙幣16の表裏が反転されることはなく、つねに裏面側に保った状態で動作は行われる。装填・補充時並びに出金取引時において一括カセット9に回収される紙幣は、裏面側の状態で回収されるので、この回収紙幣が一括カセット9より繰り出されると、鑑別部2には表面側となって送り込まれることになり、各金種別カセット3〜5に表面側で収納され、かつ出金時には表面側の状態で接客部1から支払えることになる。
【0090】なお、本装置における回収動作については、表裏を取り揃えるための動作は行わないので、ここでの説明は省略する。また、この装填・補充時並びに出金時における表裏反転を行う際の一括カセット9への回収動作時の紙幣の計数についてもここでの詳述は避けるが、図4に示す制御系により計数されることは言うまでも無い。
【0091】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、一括収納庫から金種別収納庫に紙幣を装填及び補充する際、および出金取引により金種別収納庫から紙幣を繰り出す際に、鑑別部により紙幣が裏面側であると鑑別された場合には、裏面側紙幣回収制御手段によりこれを一旦、一括収納庫に回収し、一括紙幣移動手段により一括収納庫内を分離給送が可能となるステージ上に移動することによって、補充・装填時における金種別収納庫への収納紙幣の表裏を取り揃え、並びに出金取引時における支払い紙幣表裏を取り揃えを行えるようにしたものである。
【0092】このため、装填・補充時において金種別収納庫に収納される紙幣は、鑑別部において裏面側であると鑑別された場合にのみ、再び一括収納庫内に回収されるために、裏面側の状態で各金種別収納庫に収納されることはなく、全て表面側の状態で収納され、また、出金取引時においても、この鑑別部における表裏の鑑別、および一括収納庫への回収動作は行うため、顧客に支払う紙幣は、従来例のように接客部の手前側に表裏取り揃え機構を設けなくとも、全て表面側に取り揃えた状態で出金することができる。
【0093】このため、表裏取り揃え機構は不要となり、この表裏反転ユニットを備えるスペースも不要となるので、装置の小型化を図ることができる。また、従来例においては、この表裏取り揃え機構のほかに、表裏を取り揃えた後、全支払い紙幣が繰り出されるまで一括して集積する一時集積部も設けていたが、本願発明によれば支払いあるいは返却紙幣は、接客部に直接集積することとしているので、従来のように一時集積部から接客部に一括して束の状態で紙幣を押し込むという動作は無くなり、従って、この動作中において紙幣がカールしていた場合に紙幣ジャム等を引き起こして、マシンダウンを発生してしまうというも障害も防止することができる。
【0094】さらに、表裏取り揃え機構における表裏取り揃え動作、および一時集積動作並びに一時集積部から接客部への押し込み動作が無くなるので、入出金取引時における処理時間を短縮することもでき、その結果、装置稼働率の高い、小型で優れた紙幣処理装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙幣処理装置における出金取引時の動作を示す側断面図である。
【図2】出金取引時における回収動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す紙幣処理装置を搭載した金自動取引装置の外観斜視図である。
【図4】本実施例のCCADの制御系を示すブロック図である。
【図5】本実施例におけるCCAD22の要部ブロック図である。
【図6】装填・補充時の分配動作のタイムチャートである。
【図7】装填・補充時の動作を示すCCADの側断面図である。
【図8】装填・補充時の回収動作を示すフローチャートである。
【図9】入金取引時の動作を示すCCADの側断面図である。
【図10】一括カセットの動作説明図である。
【図11】従来の紙幣処理装置の内部概略構造を示す概略側面図である。
【図12】図9における表裏反転部の構成及び動作を示す概略側面図である。
【図13】従来の問題点を示す説明図である。
【符号の説明】
1 接客部
2 鑑別部
3 金種別カセット
4 金種別カセット
5 金種別カセット
6 入出金ユニット
9 一括カセット
16 紙幣
27 制御部
27a 裏面側紙幣回収制御手段
42 仕切り板
43 クランプレバ
44 一括紙幣分離機構
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銀行等の金融機関に設置される自動取引装置に具備される紙幣処理装置に関し、特に、取り扱う複数種の紙幣を複数個の金種別収納庫に対して供給すると共に回収処理する一括収納庫を着脱可能に備えて成る紙幣処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の紙幣処理装置については、実開平3−90381号公報等に開示されているものがあり、以下これに基づいて従来例を説明する。図11R>1は従来の紙幣処理装置の内部構造を示す概略側断面図、図12は図11における表裏反転ユニットの構成及び動作を示す概略側面図である。
【0003】図11において、1は紙幣処理装置の正面上部に回転可能に配置された接客口であり、顧客による入金用紙幣の投入口,顧客へ紙幣を返却する返却口,及び顧客に紙幣を支払う出金口を兼ねる取引口として機能する。この接客部1は、図示しないが一定の間隔で対向する一対の紙幣ガイドを有しており、この紙幣ガイド間に紙幣を挟持して、入出金及び返却処理を行うようになっている。
【0004】2は紙幣の真偽,金種,正損,及び表裏の鑑別と2重送りや連鎖あるいは斜行等の異常搬送の有無の検知を行う鑑別部、3,4,5は顧客との取引に用いる入出金用紙幣を堆積収納する金種別収納庫(以下金種別カセットと記す)で、この金種別カセット3〜5は装置の底部側に並べて配置している。6はこれら金種別カセット3〜5の上方に配置した入出金ユニットで、顧客によって投入されかつ前記鑑別部2において取引可能であると鑑別されて搬送されてきた入金紙幣を各金種別カセット3〜5内に収納すると共に、顧客により出金指示された紙幣を該金種別カセット3〜5より一枚づつ取り出して鑑別部2へと送りだす。
【0005】7は前記接客部1の左横に配置した表裏取り揃え機構で、出金取引時に前記鑑別部2で裏面と鑑別された紙幣の表裏を反転して表面に揃える。8は前記表裏取り揃え機構7の直下に配置した一時集積部で、入金取引時に取引不可と判断された場合に顧客に返却する紙幣,及び出金取引時に顧客に支払う紙幣を一時的に集積するために設けられたものであり、これらによって表裏反転ユニットを構成している。そしてこの一時集積部8は、前記表裏取り揃え機構7で表側に取り揃えた状態に返却あるいは出金すべき全紙幣が集積されると、低速で駆動される搬送路により紙幣を前記接客部1へと送りだす。
【0006】9は装置背面側に配置された一括収納庫(以下一括カセットという)であり、前記金種別カセット3〜5に対する紙幣の装填,補充及び回収に用いるもので、全金種を一括して収納している。また、10はこの一括カセット9の直下に配置されたリジェクト収納庫(以下リジェクトカセットという)であり、顧客の取り忘れ紙幣や出金処理時に鑑別部2で出金不可と鑑別された損券や出金対象外券(例えば五百円券,五千円券)あるいは異常搬送が検知された紙幣を収納する。
【0007】11は上述したこれら各構成要素を結んでいる複数の搬送路であり、この搬送路11を介して紙幣の搬送を行って各取引処理に対応するようになっている。次に、上記構成による紙幣処理装置の取引動作を、たとえば出金取引を例にとって説明する。まず、顧客が図示しない出金取引キーを押下し、図示しないカードをカード挿入口、あるいは通帳を通帳挿入口に挿入して顧客の暗証番号を入力キーから入力すると、上位装置との間で取引処理に関する交信が行われ、この交信で取引可能が確認されると、顧客は出金金額を入力キーから入力する。
【0008】紙幣処理装置は出金モードとなり、入出金ユニット6により顧客が指示した出金金額に対応する金額の紙幣を、各金種別カセット3〜5より該当枚数繰り出して、搬送路11を介して鑑別部2へと送る。鑑別部2では、送り込まれてきた紙幣の金種,真偽及び表裏の鑑別を行うと共に、異常搬送の有無を検知する。この鑑別結果により出金可能と判断された紙幣は搬送路11を経て表裏取り揃え機構7のある表裏反転ユニットへと搬送される。
【0009】ここで、表裏反転ユニットの概略構造を図1212に基づいて説明する。図において12は搬送路11の一部をなす搬送ローラ、13はこの搬送ローラ12の前方斜め下方に設けられた切り替えブレードであり、搬送路11を搬送されてくる紙幣の表裏の鑑別結果によりそれぞれ搬送方向を切り替えるようになっている。14は表裏取り揃え機構7の一部をなす搬送ベルト、15はこの搬送ベルト14と対向する搬送ベルトであり、これらは図12に示すように所定の間隔を保持して上下に対向配置されており、上方の搬送ベルト14は図示しない上下動手段により下方の搬送ベルト15に対して接近,離間できるようになっていて、この下方の搬送ベルト15との間で,出金あるいは返却用の紙幣16を集積する一時集積部8を設定している。
【0010】17は接客部1に対して前記一時集積部8の前端側に位置するフロントガイド、18はこのフロントガイド17と対向した形で一時集積部8の後端側に位置するリヤガイドで、この両ガイド17と18により紙幣16の集積位置を規制する役目を果たすようになっており、フロントガイド17は図示しない動力手段により、上端を支点として接客部1方向に回動して一時集積部8の前方を開放するようになっている。
【0011】19は下方の搬送ベルト15に沿って前後方向に移動可能とした紙幣押し込み機構で、搬送ベルト15上の一時集積部8に集積された紙幣16を接客部1へと押し込んで送り出すものである。次に、上記構成における表裏を取り揃えた紙幣の集積動作、並びにこれを接客部へと送りだす動作を説明する。
【0012】なお、入金取引時においては、顧客が入金した紙幣のうち鑑別部2が鑑別結果により取り扱うことができないと判断された返却紙幣は、図11に示す搬送路11を経て表裏取り揃え機構7へと送り込まれ、表裏の取り揃え動作は行うことなく搬送ローラ12から搬送ベルト14を経て、搬送ベルト15上の一時集積部8に集積される。
【0013】ところが出金取引時においては、顧客が指示した金額に応じて金種別カセット3〜5より繰り出された紙幣が鑑別部2により裏面側であると鑑別されると、この鑑別結果に基づいて表裏取り揃え機構7の切り替えブレード13が切り替えられ、搬送ベルト14への紙幣16の送り込み方向を切り替える。すなわち、図12R>2に示した構造においては、裏面側であると鑑別,搬送されてきた紙幣は、搬送ローラ12から前方へと送り込んで搬送ベルト14の前方側から下方の一時集積部8へと落とし込むことで紙幣16を反転させ、表面側に揃える。また、鑑別部2において表面と鑑別された紙幣16は、切り替えブレード13により搬送ローラ12から後方へと導き、搬送ベルト14の後方側から前記と同様一時集積部8へと落と込む。この時、紙幣16は反転されることなく表面のまま落とし込まれるので、この一時集積部8には紙幣16はすべて表面に揃った状態に集積されることになる。
【0014】こうして、入金取引時における返却紙幣、あるいは出金取引時における支払い紙幣がすべて一時集積部24に集積されると、搬送ベルト14を下降して対向する搬送ベルト15との間に挟持する。この後、フロントガイド17を2点鎖線で示す位置に回動して一時集積部8の前方を開放し、搬送ベルト14及び15を回転駆動して紙幣16を一括して束の状態で、前方の接客部1側へ送り出す。これと同時に紙幣押し込み機構19も接客部1方向に移動させて、集積紙幣を後端側から前方へと押し込み、これによって、紙幣16を接客部1へと一括して束の状態で送り込む。
【0015】紙幣16が接客部1内に送り込まれると、搬送ベルト15の駆動は停止され、紙幣押し込み機構19は後退して元の位置に戻り、そしてフロントガイド17も回動して元の位置に戻って、紙幣の押し込み動作は終了する。また、紙幣が送り込まれた接客部1には、この紙幣16を受け取るために、所定の間隔に対応配置した一対の紙幣ガイド20が設けられていて、この紙幣ガイド20間に送り込まれた紙幣16は、この接客部1より顧客へと返却あるいは支払われる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の装置には、以下に示すような問題点があり、図1313の従来の問題点を示す説明図を用いて説明する。図1313に示すように、従来の装置は顧客に返却あるいは支払う紙幣を、接客部に送り込むまえに、一旦表裏反転ユニットの一時集積部8に集積し、この後、集積した紙幣16を束の状態で一括して接客部1に送り込むこととしている。
【0017】そして、この紙幣16を集積する一時集積部8と、これを受け取る接客部1とは、従来の構造においては図13に示すように接触してはおらず、僅かながら間隙を有しており、両者は不連続な状態にあった。このため、一時集積部8に集積された紙幣16のうち、図に示すように、上方向にカールしていたりするものがあると、搬送ベルト14により上方から押さえられている時は良いが、接客部1へ押し込む位置まで紙幣16が搬送されてくると搬送ベルト14は上方に退避してしまうので、図中2点鎖線にて示すように紙幣16は元のようにカールしてしまい、フロントガイド17と接客部1端部との切れ目A等に入り込んだりする場合がある。また、カールしている紙幣が最下層に集積されていた場合は、搬送ベル15と接客部1端部との切れ目B等に入り込んだりする場合が考えられ、このような状態のまま接客部1への押し込み動作を行うと、紙幣ジャムを引き起こして、押し込み機構19の動作をストップさせてしまうという問題を発生させていた。
【0018】また、集積紙幣にカールがなくとも、一括して束状態で搬送する際に、集積している状態の紙幣がズレてしまい、やはり紙幣ジャムを発生させてしまう恐れがあり、その結果、マシンダウンを起こして、稼働率を低下させてしまうばかりでなく、顧客にも迷惑をかけてしまうという問題があった。また、支払い紙幣の表裏を取り揃えるための表裏反転ユニット用のスペースは大きく、装置の大型化を招いていたという問題もあった。
【0019】本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、一時集積部に集積された紙幣がカールしていても、また束の状態で動作することで集積している紙幣がズレてしまっても、接客部に送り込む際の紙幣ジャムの発生を防いでマシンダウンを防止し、確実に紙幣を接客部へと送り込めるようにすると共に、表裏反転ユニットを設けなくとも表裏を揃えた紙幣支払いが可能で、かつ小型の紙幣処理装置を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するため本発明は、複数の金種の紙幣を一括して裏面側に揃えた状態で収納して装置本体に着脱可能とした一括収納庫と、この一括収納庫から紙幣の装填及び補充を受ける複数の金種別収納庫と、この金種別収納庫に収納するため前記一括収納庫から繰り出された紙幣を鑑別する鑑別部と、前記一括収納庫からの紙幣を反転して前記鑑別部に送り込むと共にこの鑑別部で出金可能と鑑別された紙幣を前記各金種別収納庫へ搬送する搬送路と、前記鑑別部により出金不適と判断されたリジェクト紙幣を収納するリジェクト収納庫と、前記一括収納庫から繰り出されて鑑別部で出金可能と鑑別された紙幣を各金種別収納庫に分配集積する紙幣分配集積手段を備えた入出金ユニットとを備え、かつ、前記一括収納庫には、該一括収納庫内の紙幣を最上部から一枚づつ分離して繰り出す一括紙幣分離機構と、前記各金種別収納庫から回収して仕切り板上に集積した紙幣を反転させることなく、前記一括紙幣分離機構により分離可能となるステージ上へと移動する一括紙幣移動手段とを備えて成る紙幣処理装置において、装填・補充時に一括収納庫から繰り出されて前記鑑別部へと搬送されてきた紙幣、および出金取引時に前記各金種別収納庫から繰り出されて鑑別部へと搬送されてきた紙幣のうち、この鑑別部で裏面側であると鑑別された紙幣だけを、前記一括収納庫へと搬送して仕切り板上に裏面の状態で集積して回収するように制御する裏面側紙幣回収制御手段を設けることとしたものである。
【0021】
【作用】上述した構成によれば、金種別収納庫への紙幣装填・補充時において、一括収納庫から紙幣を分離給送すると、該紙幣は搬送路を鑑別部へと搬送される。そしてこの鑑別部にて金種,真偽,正損等を鑑別すると共に表裏を検出し、裏面側であることが検出されると、この検出信号は制御部へと送られ、制御部では裏面側紙幣回収制御手段によりこの裏面側紙幣を再び一括収納庫内に回収集積すべく、切り替えブレードや一括収納庫内の集積手段を制御する。これにより裏面側と検出された装填・補充紙幣は再度一括収納庫に回収される。
【0022】なお、前記搬送路は鑑別部に達するまでの間で紙幣を反転する構造としていることから、一括収納庫に再度回収される紙幣は裏面側となって回収され、一括収納庫内における紙幣の表裏は取り揃えられることになる。また、出金取引時においては、顧客の指示した出金金額に応じて各金種別収納庫から紙幣が繰り出されて鑑別部に搬送されると、鑑別部では前記装填・補充時と同様金種や真偽,正損等の鑑別と共に表裏を検出する。そして、ここで裏面側であると鑑別された場合は、やはり裏面側紙幣回収制御手段により一括収納庫へと収納し、接客部に搬送する紙幣は表面側と鑑別された紙幣のみとすることで、表裏を揃えた状態で顧客に支払う。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明の紙幣処理装置における出金取引時の動作を示す側断面図、図2は図1の出金取引時における回収動作のフローチャート、図3は同じく図1に示した紙幣処理装置を搭載した現金自動取引装置を示す外観斜視図である。
【0024】まず、図3により紙幣入出金装置を搭載した自動取引装置の概略構成を説明すると、図において、21は現金自動取引装置、22は紙幣処理装置(以下CCADという)である。23は顧客により挿入されたカードの識別、取引内容の書き込み等を行うカードリーダライタ部、24は顧客により挿入された通帳の識別、取引内容の印字等の処理を行う通帳記帳機部、25は入金/支払い金額や暗証番号を入力する操作キーや金額及び操作案内用のイラストや文字等を表示する表示部から構成される顧客操作部、26は行員が装填,補充,回収等の処理を行うため、各取引に応じた項目及びデータを入力する操作キー及び前記操作キーからの入力データ及び処理結果を表示して、行員操作を誘導する表示部により構成される内部操作部である。
【0025】また、27は以上の各装置の動作制御並びに各種演算処理等を行う制御部であり、そして、この制御部27には後に詳しく述べるが、装填・回収時および出金動作時において鑑別部2で裏面側と検出した紙幣のみを一括収納庫9への回収を制御する裏面側紙幣回収制御手段27aを設けている。次に、上述した自動取引装置における本実施例のCCAD22の制御系を、図4のブロック図を用いて示す。
【0026】このCCAD22は、前記図4に示す制御部27により上位装置制御部インタフェース81を介してCCAD制御部80に入力する制御信号等により制御される。CCAD制御部80は、このCCAD22全体の動作を制御するマイクロンピュータとその周辺回路から構成されており、バスラインを介してI/Oインタフェース回路82と、一括収納庫インタフェース回路90と、リード・オンリ・メモリ(ROM)83と、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)84とが接続されている。
【0027】ROM83は、CCAD制御部80の動作用プログラムを格納するメモリであり、RAM84は、CCAD制御部80の動作に必要なパラメータ等を一時格納しておくメモリである。I/Oインタフェース回路82には、モータドライバ85,マグネットドライバ86,スイッチ読み取り回路87,フォトセンサ読み取り回路88,紙幣鑑別制御部89が、それぞれ接続されている。
【0028】前記モータドライバ85は装置各部のモータ群91及び一括カセット9に設けられたモータ群に接続しており、各動作モードに応じて種々のモータを駆動制御する回路、マグネットドライバ86は装置各部のマグネット群92に接続しており、動作モードに応じて、それぞれのマグネットをオンあるいはオフさせる回路である。
【0029】スイッチ読み取り回路87は、装置各部のスイッチ群93と一括カセット9のスイッチ群97とに接続しており、一括カセット,金種別カセット及びリジェクト金庫の装着の有無や、各ステージのポジションを検出するスイッチ等の状態を読み取る回路である。フォトセンサ読み取り回路88は、装置各部のフォトセンサ群94及び一括カセット9に設けられたフォトセンサ群98に接続しており、一括カセット9や金種別カセット3〜5あるいはリジェクトカセット10に設けられた紙幣の集積状態を監視するフォトセンサ群からの情報を読み取る回路である。
【0030】紙幣鑑別制御部89は紙幣鑑別センサ群95に接続されており、この紙幣鑑別センサ群95は、CCAD22に設けた鑑別部2内部に設けられた種々のセンサからなり、鑑別部2に送り込まれた紙幣の真偽.金種.正損,表裏.重送及び斜行等を鑑別検知するために設けられた回路である。一括カセットインタフェース回路90は、一括カセット9に設けられた収納庫管理メモリ99の記憶内容を読み取って、CCAD制御部80に転送したり、CCAD制御部80の指示を受けて、収納庫管理メモリ99の内容を更新する回路である。なお、この収納庫管理メモリ99には、一括カセット9に収納された紙幣の各金種毎の収納枚数が個別に記憶される。
【0031】また、CCAD制御部80には、種々の装置処理動作を制御するため計数管理部80a、現金回収手段80b、現金分配手段80cが設けられており、これらの手段は、いづれも所定の手順でI/Oインタフェース回路82を介して、装置各部の回路を制御し、後に説明する入出金動作を実行制御するためのシーケンスプログラムから構成されている。
【0032】前記計数管理部80aは、一括カセット9に回収され、あるいは一括カセット9から分配供給される紙幣を計数し、その都度収納庫管理メモリ99を更新する制御を行う。現金回収手段80bは各金種別カセットに格納された現金を取り出して搬送し、一括カセット9に回収する動作を制御する。また、現金分配手段80cは、いづれか各金種別カセットに紙幣が不足した場合、収納庫管理メモリ99に記憶された金種別枚数を確認し、その範囲内で各金種別カセットに対し、必要な紙幣の分配補充を行う動作を制御する。
【0033】次に、上述した制御系を有するCCAD22における紙幣の装填・補充時の概略分配動作を説明する。まず、図5と図6により本発明におけるCCADの基本的な構成と動作を示し、その後、図7以降を用いて本発明の装置のより具体的な動作を説明することにする。図5は本実施例におけるCCAD22の要部ブロック図であり、図において、CCAD22本体は複数種の金種を一括して収納した一括カセット9を装着していると共に、その内部には紙幣の鑑別部2,第1の金種別カセット3と第2の金種別カセット4の他に、これら第1および第2の金種別カセット3,4毎にそれぞれ収納紙幣を一時的に集積する一時保留部28,29およびシャッタ30,31を備えている。
【0034】なお、図5においては金種別カセット3と4は同一金種の紙幣を収納するものとし、その他の金種別収納庫の図示は省略した。そして、この一括カセット9には、上記制御系の説明で示したように、一括カセット9内に収納する紙幣の計数管理を行う収納庫管理メモリ99が設けられており、また、このメモリの内容を更新し、あるいはそのデータを利用して、紙幣の分配補充等の管理を行うために、計数管理部80a,現金回収手段80b,現金分配手段80cが設けられている。
【0035】上記構成により紙幣を装填する場合は、まず一括カセット9から現金分配手段80cの制御により、搬送路11に向けて紙幣の繰り出しが開始されると、この紙幣は鑑別部2により鑑別され、第1の金種別収納庫3および第2の金種別収納庫4に収納されるべき金種の紙幣であると判断されると、
【0036】また、第1の一時保留部28および第2の一時保留部29に集積される現金の量は、図示しない検知器により監視されており、その集積量が一定量,例えば約100枚に達すると、第1のフル検知フラグあるいは第2のフル検知フラグ等から成るフラグ80dがオンとなるように構成されている。図6は上記概略補充分配動作のタイムチャートである。このタイムチャートに示すように、まず、補充分配動作が開始されると、該当する金種の紙幣を始めに例えば第1の一時保留部28に集積する。この集積動作は、先に説明したように図5の
【0037】時刻t2においては、一時保留フル検知がされ、現金分配手段80cがこれを認識して、一括切り分けゲート33を動作させ、今度は第2の一時保留部29に対し該当する金種の紙幣の集積動作を継続する。一方、時刻t2において、集積動作が終了した第1の一時保留部28においては、シャッタ30が開放され、第1の金種別カセット3に対し、第1の一時保留部28に集積された紙幣の収納が行われる。この動作は時刻t3に終了するが、その後、時刻t2から第2の一時保留部29に向けて搬送される紙幣が一定量に達するのを待つ。
【0038】時刻t4において、第2の一時保留部29に所定量の紙幣が集積され、時刻t4に第2の一時保留部29のフル検知がなされると、現金分配手段80cは再び一括切り分けゲート33を動作させ、先に収納が完了して、エンプティとなった第1の一時保留部28に対し該当する金種の紙幣の集積を続行する。この集積動作は時刻t4からt6までの間に実行される。
【0039】第2の一時保留部29に集積された紙幣は、時刻t4から時刻t5の間に、先に説明したのと同一の要領で、シャッタ30の開放に伴い第2の金種別カセット4に収納される。このように、第1の金種別カセット3と第2の金種別カセット4とが、同一金種の紙幣を収納するものであれば、それぞれの一時保留部28と29に交互に紙幣を搬送することで、連続的に集積動作を実行して、大量の紙幣を短時間で分配補充できるようにしている。
【0040】次に、上記のような基本的構成および動作を行う本発明のCCADについて、図1,2に加えて図7R>7〜図10を用いてその全体構成と動作とを説明する。図7は装填・補充動作時の動作を示すCCADの側断面図、図8は装填・補充動作時の回収動作のフローチャート、図9は入金取引時の動作を示すCCADの側断面図、図10は一括カセットの動作説明図である。
【0041】先ず、図1の出金取引時の動作を示す側断面図を用いて装置の全体構成を説明する。1はCCAD22の前面上部に設けた接客部で、この接客部1は顧客が紙幣16を投入するための紙幣投入部34と、出金時の支払い紙幣および入金時のリジェクト紙幣を集積する支払い集積部35とを、紙幣ガイド36で仕切った構造となっている。
【0042】37はこの接客部1の上部に設けられた開閉可能なシャッタであり、このシャッタ37は顧客が入金紙幣を投入する際に開放し、投入すると図示せぬセンサがこれを検出してシャッタ37は閉じ、この後紙幣の入金取引が開始される。また、このシャッタ37は入金時のリジェクト紙幣の返却や出金時に支払う紙幣を顧客が受け取る場合に開放し、受け取ったことが検出されると閉じる構造となっている。
【0043】また、この接客部1は投入された入金紙幣を1枚づつ分離するための分離機構38、および顧客に返却あるいは支払う紙幣を集積する集積機構39を備えている。2はこの接客部1の斜め後方下部に配置された鑑別部であり、送り込まれてくる紙幣の金種,真偽,正損,表裏,重送、及び斜行等の鑑別及び表裏を検出するようになっている。そして、この鑑別部2の検出結果により送り込まれてきた紙幣が裏面側であると制御部27により判定されると、その実行中の動作が一括カセット9からの装填・補充時,あるいは出金取引時であった場合には、裏面側紙幣回収制御手段27aによりCCAD制御部80に対して回収動作開始を指示する。これによりCCAD制御部80は図4のブロック図に示す各機構部をそれぞれ作動させ、後述する切り換えブレードによって走行路を切り換え、一括カセット9へ裏面側紙幣を回収する。なお、この裏面側紙幣回収制御手段27aによる回収動作は、後でさらに詳しく述べるが、裏面側であると判断された紙幣はそのまま顧客への支払いに当てること無く再度一括カセット9へ取り込むものであって、これにより裏面側の状態で紙幣を一括カセット9内に回収し、接客部1の手前に表裏反転ユニットを配設しなくとも出金時における支払い紙幣の表裏を取り揃えることができるようにしている。
【0044】9は複数金種の紙幣を一括して収納する一括カセット、10はこの一括カセット9の下部に配置したリジェクト収納庫であり、前記鑑別部2において偽券,損券,あるいは真券であるが出金には適しない紙幣等のリジェクト紙幣と鑑別されたリジェクト紙幣を収納する。ここで、一括カセット9の構造を説明すると、40はこの一括カセット9の上部にあって複数種の紙幣を一括して収納する一括紙幣収納部、41はこれらの紙幣を一括集積するステージ、42は回収紙幣を堆積する仕切り板である。
【0045】前記ステージ41は図示しない各ポジションに移動して、紙幣の繰り出しや、仕切り板42を介して堆積を行うようになっている。43は前記仕切り板42上に集積された回収紙幣を両側からクランプして、ステージ41上に堆積するためのクランプレバであり、前記ステージ41と同様図示せぬ各ポジションに移動するべく回転及び上下動可能に支持されている。
【0046】44は一括カセット9上端部に内蔵設置され、紙幣装填及び補充時に前記ステージ41上に集積した紙幣を最上層から一枚づつ分離する一括紙幣分離機構、45は装填及び補充処理時に前記一括紙幣分離機構44により分離されて、カセット上端部に形成した繰り出し口9aから繰り出された紙幣のうち鑑別部2が重送又は斜行と鑑別した補充リジェクト紙幣を、カセット下端部に取り込んで収納する第1のリジェクト収納部、46はこの第1のリジェクト収納部45にリジェクト紙幣を送出する第1のリジェクト紙幣集積部である。また、9bは後述する裏面側紙幣、および終業時等における回収紙幣をカセット内に取り込む回収口、9cはこの回収紙幣を前記仕切り板42上に集積する一括紙幣集積部である。
【0047】また、47と48は前記一括カセット9の下方に設けられたリジェクト収納庫10内に備えられた第2および第3のリジェクト収納部であり、第2のリジェクト収納部47は入金あるいは出金取引時に顧客が取り忘れた紙幣を、また第3のリジェクト収納部48は入金処理時において入金は可能であるが出金用としては不適と鑑別部2にて判定されたり、あるいは出金処理時に出金不能と判定されたリジェクト紙幣をそれぞれ収納するようになっている。
【0048】49と50は前記第2と第3の両リジェクト収納部47と48へと、それぞれのリジェクト紙幣を送出して集積する紙幣集積部である。また、この一括カセット9内には複数個の検知機が設けられており、たとえばステージ41に集積された紙幣の量を検出するニヤフル検知機およびフル検知機、そしてエンド検知機等であり、リジェクト収納庫10にも同様にフル検知機等が具備されている。
【0049】また、前記一括カセット9内において、ステージ41はクランプレバ43の下側に移動し、クランプレバ43が左右に開いて、仕切り板42上に集積された紙幣をステージ41に載せて再び上昇するといった動作が行われるものであるが、この動作については、図10R>0を用いて後述する。なお、一括カセット9内には、このようなステージ41及びクランプレバ43の動作を各設定ポジション毎に検出するポジションセンサ、さらにこれらを駆動するための駆動モータも内蔵されている。
【0050】次に、3,4,5は装置下部に配置された出金用紙幣を堆積収納する金種別カセットであり、ここでは、3を千円券カセット、4と5とを万円券カセットとしている。50,51,52は該金種別カセット3,4,5内に備えられた紙幣集積用のステージであり、図示せぬ移動手段により上下方向に移動する。
【0051】そして、これら金種別カセット3,4,5の上部に入出金ユニット6が配置されている。この入出金ユニット6は金種別カセット3,4,5へ取り込む紙幣を金種別に集積する一時集積部54,55,56と、取り込み紙幣を収納前に金種別に一時保留する一時保留板57,58,59と、前記ステージ51,52,53と一時保留板57,58,59上の紙幣を最上部より分離して取り出す紙幣分離機構60,61,62を有する。
【0052】なお、前記一時保留板57,58,59は図示しないモータにより退避可能となっており、予め設定された所定量集積されたことが検出されると、金種別カセット3〜5上から退避することで集積された紙幣を金種別カセット3〜5内に落とし込んで収納する。63a,64a,65aは上記金種別カセット3,4,5のフル検知機、63b,64b,65bはニアフル検知機、63c,64c,65cはエンド検知機であり、これら各検知機はそれぞれ一対の受発光素子より成る光学検知機であり、各カセット内の紙幣量を管理するための手段としている。
【0053】11は紙幣を搬送させる搬送路であり、この搬送路11はこのCCAD22内で取り扱う紙幣を各構成要素間に搬送するように幾つにも枝別れさせた構造となっているものであり、一括カセット9の繰り出し口から鑑別部2に至る間の搬送路11(図7参照)においてのみ、一括セット9から繰り出されてきた紙幣を一回反転する構成となっている。従って、この鑑別部2から一括カセット9の回収口までの間、各金種別収納顧客3〜5までの間、鑑別部2から接客口1までの間の搬送路11では紙幣の反転搬送はしない。
【0054】なお、B〜Jは前記搬送路11の分岐部に設けられた切り換えブレードであり、それぞれ紙幣の搬送方向を切り換える。また、CCAD22の後面には扉が付いており、これを開くことによりCCAD22を自動取引装置内から引き出すことなく一括カセット9を抜き取れるようになっており、この一括カセット9を介して各紙幣はCCAD22底面に配置されている各金種別カセット3,4,5内に、これらを抜き出すことなく収納できるようになっている。
【0055】次に、以上の構成によるCCAD22の各金種別カセット3,4,5への出金用の紙幣の収納動作を、始業時における装填動作と、運用中に紙幣不足が生じた場合における補充動作について,図7を用いて説明する。なお、この補充動作は基本的には装填動作と同様であり、運用中に金種別カセット3〜5の収納紙幣量が各エンド検知器63c,64c,65cにより検出されて補充要求が判断され、かつ収納庫管理メモり99のデータにより一括カセット9内に補充紙幣が収納されていることが確認されると動作は開始となる。
【0056】< 装填・動作 >図7は本実施例の装填および補充動作を示すCCADの概略側面図であり、図8R>8の装填・動作時に発生した回収動作のフローチャートを加えてその動作を説明する。まず装填動作は、行員が業務開始に先立ち、一括カセット9のステージ41上に一括して元方よりセットしてきた紙幣を収納した後、内部操作部26の操作キーにより装填キーを押下すると、CCAD22は制御部27から装填動作開始の指示を受け、内部状態を装填・補充モードに切り換え、装填動作を開始する。
【0057】また、補充動作は同様にして内部操作部26により補充キーを押下すると、制御部27から補充動作開始の指示を受け、内部状態を前記装填動作時と同じ装填・補充モードに切り換えて、補充動作を開始する。なお、補充動作は、上述したようにまず、一括紙幣収納部40内に補充するべき紙幣が予めセットされているか否かを確認し、セットされていなければ動作は不可となり、セットされていることが確認されて始めて動作が開始される。
【0058】装填・補充動作はまず、CCAD制御部80がI/Oインタフェース回路82がモータドライバ85を介して一括カセット9内の一括紙幣分離機構44を作動させ、これにより、ステージ41上にセットされている紙幣16を最上層から順に一枚づつ繰り出す(SA1)。繰り出された紙幣は、搬送路11を(ア),(イ),(ウ)(エ)のルートに沿って鑑別部2へと搬送し(SA2)、この鑑別部2において紙幣の金種や真偽や正損,重送の有無等を鑑別する(SA3)。
【0059】ここで、正常な紙幣であると判断されると、次に紙幣の表裏を検出する(SA4)。前記SA4において、表側であると検出された場合は、次に金種を鑑別し、各金種に応じてそれぞれ金種別カセット3〜5へと紙幣収納動作を行う(SA5〜SA9)。つまり、鑑別部2において、例えば千円券の正券で出金可能、かつ表裏が表面側であると鑑別されると、鑑別部2から(オ),(カ),(キ) のルートを辿って入出金ユニット6内へと送り込み、そして、この入出金ユニット6内を(ク) のルートを辿り、切り換えブレードHの作動により、千円カセット3上方の一時集積部54に送り込み、金種別一時保留板57上に集積する。
【0060】同様にして、万円券の正券で出金可、かつ表面側であると鑑別されると、鑑別部2から(オ),(カ),(キ) のルートを辿り、入出金ユニット6内の切り換えブレードIまたはJの作動により、一時集積部55または56に送り込み、一時保留板58,59上に順次集積する。また、前記SA4において、鑑別部2で紙幣16が表面側ではなく裏面側であると検出された場合は、上述したような金種別カセット3〜5への集積動作は行わず、再び一括カセット9へと取り込む回収動作を行う(SA10)。
【0061】即ち、鑑別部2において紙幣16が裏面側であると検出されると、この検出信号はCCAD制御部80を介して制御部27に送信され、制御部27において前記紙幣の回収動作が判断され、裏面側紙幣回収制御手段27aからCCAD制御部80へ回収動作開始を指示する。これによりCCAD制御部80はまず切り替えブレードEを作動し、裏面側紙幣を(ケ)のルートに導き、一括カセット9の下部に設けた回収口9bから一括集積部9cによりカセット内の仕切り板42上に集積して収納する(SA11)。
【0062】これは、鑑別部2において裏面側と鑑別された紙幣を、表面側と鑑別された紙幣と同様にして金種別カセット3〜5に収納してしまうと、金種別カセット3〜5内には表裏が混在した状態で多数の紙幣が収納されることになってしまうからであり、つまり表裏が混在した状態のままで、出金処理がなされると、この金種別カセット3〜5からは表裏混在した状態で紙幣が繰り出されないようにするためである。
【0063】また、後述するが、出金取引時にも各金種別カセット3〜5から繰り出された紙幣は、鑑別部2で表裏の検出がなされ、ここで裏面側であると検出された場合はそのまま接客部1には搬送せず、装填・補充時と同様に一括カセット9に回収するという動作を行うこととしている。しかし、この出金時おいて多くの紙幣が裏面側であると鑑別されて一括カセット9内に回収されてしまっては、金種別カセット3〜5内の紙幣は短時間で補充動作を必要としてしまうことから、この装填・補充時にできる限り表裏を取り揃えることとしているものである。
【0064】なお、この補充・装填時において、一括カセット9から繰り出された紙幣は、鑑別部2に到達するまでの間の(ウ) のルートから(エ) の鑑別部2のルートに入り込む際、上述した搬送路11の構造によって、一回だけ反転するようになっているため、この鑑別部2で裏面側であると検出された紙幣は、一括カセット9に収納されていた状態から反転した状態でふたたび一括カセット9内に取り込まれることになる。つまり、一括カセット9における装填開始前の紙幣16は、裏面側の状態で集積収納されており、これが繰り出されると、金種別カセット3〜5には表面側の状態で収納されるようになっているのである。
【0065】このため装填・補充時において、裏面側と検出された紙幣16は、すべて一括カセット9に再び取り込むことにより、金種別カセット3〜5への収納紙幣の表裏の取り揃えを行うことができることになる。こうして一括カセット9の仕切り板42上に回収集積した紙幣16の枚数が、集積許容値、例えば100枚に達した場合には、一括紙幣分離機構44の動作を中断し、一括カセット9においてクランプレバ43によるクランプ動作を実行する。なお、このクランプ動作については、後述する<一括カセットの動作>で詳述する。
【0066】また、上述した鑑別部2の鑑別結果で、損券又は還流対象外紙幣(たとえば5千円券や5百円券等)と判定された紙幣は、切り換えブレードFを切り換えて、(コ) のルートを辿り一括収納庫9の第1のリジェクト紙幣集積部46へと送り込み、第1のリジェクト収納部45に収納する。一方、前記一時保留板57及び58,59上に集積された各々の紙幣が、予め設定されていた所定保留量、たとえば100枚に達すると、この一時保留板57,58,59を図示せぬ駆動手段により退避し、集積していた出金可能紙幣を各金種別カセット3,4,5内のステージ51,52,53上に落とし込んで収納する。この後、図示しないモータにより、保有許容値相当の厚さ分、各ステージ51,52,53を下降させる。これにより再び一時保留板57,58,59を出し、一括カセット9の一括紙幣分離機構44を作動させて、装填・補充動作を繰り返す。
【0067】例えば、金種別カセット3に千円券が始業時に先立って装填される場合、そのフル検知機63aがフル検知するまで,あるいは一括カセット9内に収納紙幣が無くなるまでは、その金種別カセット3に予め定められた適正枚数の千円券が収納されるまで繰り返し行う。同様にして、金種別カセット4と5に万円券を収納する場合にも、適正枚数に達するまで装填・補充がを続ける。
【0068】この適正枚数は、例えば紙幣装填・補充後に、さらに入金取引において入金紙幣を収納できるスペースを残した適切な枚数に設定されるようになっている。そして、この時の各金種別カセット3,4,5への紙幣の収納量の管理は、該金種別カセット3,4,5内に設けられているフル検知器63a,64a,65aやエンド検知器63c,64c,65c等の光学センサによって所定量集積された紙幣のカセット内への落とし込み回数や、また集積量を検知することにより、CCAD制御部80の計数管理部80aにおいて計数しておく。そして、このデータを図3のブロック図に示す一括収納庫インタフェース回路90を介して収納庫管理メモリ99に記憶させておく。
【0069】このように装填・補充動作を行うことで、CCAD22の運用開始前の状態における各金種別カセット3〜5内の収納紙幣は、全て表面側の状態に揃えられることになり、かつ出金取引に対応できる充分量の紙幣が装填及び補充され、これにより入金取引はもとより出金取引が可能となる。次に、紙幣を装填・補充された自動取引装置における入金取引動作を、図9の入金取引動作を説明するCCADの側断面図に基づいて説明する。
【0070】<入金動作>顧客等が装置正面に設けられている顧客操作部5を操作することにより入金取引等が指示されると、CCAD22はこの指示に基づいて内部状態を指示に基づく入金モード等に切り換えられ、顧客が接客部1の紙幣投入部34に紙幣を投入するのを待つ。
【0071】紙幣投入部34に設けた図示せぬセンサが紙幣投入を検出すると、シャッタ37を閉じ、投入紙幣の取り込むため分離機構38を駆動して、投入紙幣を1枚づつ分離して搬送路11へと取り込む。この紙幣16は、矢印(ア),(イ),(ウ) のルートを通って鑑別部2に送り込まれ、鑑別部2では搬送されてきた紙幣を、順次金種,真偽,正損及び走行状態の検知を行って後方へ送る。鑑別部2において、偽券あるいは搬送異常と判定された入金リジェクト紙幣は、矢印(エ),(オ) のルートをたどり、接客部1の支払い集積部35に直接送り込まれて1枚づつ集積され、顧客へと返却される。なお、この時表裏取り揃え動作は行わない。
【0072】一方、鑑別部2において、正券あるいは損券(還流対象外紙幣)と鑑別された紙幣は、切り替えブレードCを作動させて、搬送路11を矢印(カ) のルートを搬送する。この時、紙幣が千円券の正券であった場合は、矢印(キ) のルートのように入出金ユニット6に向かって搬送され、千円券切り替えブレードHを作動させて千円券用の一時集積部54に送り込まれ、一時保留板57に集積される。
【0073】同様にして、万円券の正券の場合は、切り替えブレードIの作動により一時集積部55を介して一時保留板58上に集積される。また、五千円券と損券は切り替えブレードJを作動させて一時集積部56に送り込まれ、一時保留板59上に集積される。以上の動作によって接客部1に顧客が投入した紙幣の入金計数が終了すると、制御部27は金種別金額と合計金額を演算し、顧客操作部25のディスプレイに表示する。この表示を見て顧客が表示金額を確認し、顧客操作部25の確認ボタンを押下すると、CCAD22は各金種別カセット3,4の一時保留板57,58上に集積していた入金紙幣を、該一時保留板57,58を退避させることによって、各金種別カセット3と4内に収納する。
【0074】次に、金種別カセット5の一時保留板59に集積していた五千円券と損券は、紙幣分離機構62により1枚づつ分離し、搬送路11を鑑別部2に送り込む。そして、切り替えブレードCとGを作動して矢印(ケ),(コ) のルートを辿って搬送し、リジェクト収納庫10の下側の第3のリジェクト紙幣集積部50に送り込み、第3のリジェクト収納部48に集積する。
【0075】そして、この計数結果は収納庫管理メモリ99に送られてメモリが更新されると、入金取引の処理が終了する。なお、この入金取引の紙幣収納時においては、一括カセット9に回収する表裏を反転する動作は行わないため、金種別カセット3〜5には裏面側のままでの紙幣収納が生じることになる。
<出金取引>次に、図1の出金時の動作を示すCCADの側断面図を用いて出金取引時における動作と、そしてこの出金取引時に裏面側紙幣が検出された時の回収動作を、図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0076】顧客により顧客操作部25の出金取引キーが押下され、キャッシュカードがカードリーダライタ部23に挿入されて暗証番号が入力されると、自動取引装置は出金モードに切り替えられ、放出する紙幣の金種と枚数の指示を待つ。例えば、顧客により万円券m枚、千円券n枚の金額が入力された場合は、先ず各金種別カセット3〜5がエンド検知されていないことを確認した後、出金計数の指示に従って、入出金ユニット6の例えば、万円券用の紙幣分離機構61を作動させて、万円券をm枚繰り出す(SB1)。
【0077】繰り出された紙幣は矢印(ア),(イ),(ウ) のルートを通って、鑑別部2に送り込まれる(SB2)。鑑別部2では、まず真偽を鑑別し(SB3)、真券であると鑑別された紙幣は、次に指定通りの金種の紙幣か否かを判断し(SB4)、指定通りの金種であると県別された場合は、さらに表裏を検出する(SB5)。
【0078】そして、真券で該当金種であり、かつ表面側と鑑別された紙幣は、切り替えブレードCを作動させて、矢印(エ),(オ) のルートに沿い、紙幣16を接客部1の支払い集積部35へと直接に順次送り込み、集積機構39により順次集積する(SB6)。なお、前記S3にて偽券であると鑑別された場合、そして4において該当金種ではないと鑑別された場合は、リジェクト収納庫10へと取り込まれる(SB7)。
【0079】また、前記S5において、各金種別カセット3〜5より送り込まれてきた紙幣が裏面側であると検出されると、紙幣は表裏を取り揃えて顧客に支払うことから、前記装填・補充動作時と同様一括カセット9への回収動作となる。すなわち、鑑別部2において裏面側であるとの鑑別結果が制御部27に送信されると、制御部27は裏面側紙幣回収制御手段27aを介して切り替えブレードC,Eを作動させ、鑑別部2から送出されてきた裏面側紙幣を矢印(カ),(ク) のルートにより搬送し(SB8)、一括カセット9の下部に設けてある回収口9bへと送り込み、この回収口9bの内側に備えた集積手段9cによりこの裏面側紙幣を仕切り板42上に集積する(SB9)。
【0080】この回収動作により、各金種別カセット3〜5から繰り出された紙幣16は、該金種別カセット3〜5から繰りされた状態のまま反転されることなく、一括カセット9内に取り込まれる。つまり、各金種別カセット3〜5内における収納紙幣は表面側に集積されており、表面側のまま繰り出されることで、前述した搬送路11の構成により接客部1へ表面側に揃えた状態で送りだす。
【0081】一方、一括カセット9は、上述したように裏面側に揃えた状態で集積している。これは装填・補充時に一括カセット9から紙幣16を鑑別部2へ搬送する際に搬送路11により一回反転される構造となっているためである。従って、この出金時に鑑別部2で裏面側であると鑑別された紙幣は、その裏面側のまま一括カセット9に回収すれば、正常な収納状態となり、後刻発生する補充動作には、鑑別部2へと反転して表側となって搬送されるので、表面側と判断されて各金種別カセット3,4,5に正常に分配収納することができるようになる。
【0082】そして、この出金取引時に繰り出される裏面側の紙幣は、入金取引時において還流対象紙幣として各金種別カセット3,4,5に収納されたものであり、これは各金種別カセット3,4,5内に装填・補充動作により一括カセット9から収納した紙幣の全枚数に対してはごく少量であり、この回収動作によって不用意に補充動作回数を増加させるものではない。
【0083】また、一括カセット9内に搬送した後の裏面側紙幣の処理は、次の一括カセットの動作の項で詳細に述べる。なお、上記表面側と鑑別されて接客部1の支払い集積部35に集積された紙幣が顧客からの指定金額通りに揃ったと検出されると、シャッタ37を開いて紙幣16を顧客に渡し、この後シャッタ37を閉じる。この時の放出金種とその枚数のデータは制御部27により収納庫管理メモリ99に記憶され、これにより出金取引処理は終了する。
【0084】また、接客部1において紙幣16を顧客が取り忘れた場合は、この紙幣16を再び分離機構38により分離して装置内部に取り込み、鑑別部2を介して矢印(ウ) のルートにより1枚づつ送り込んで、切り替えブレードC,Gを作動させて、今度は第2のリジェクト紙幣集積部49に送り込み、第2のリジェクト収納部47に集積する。
【0085】<一括カセットの動作>ここで、装填・補充動作時ならびに出金取引時における一括カセット9の動作を、図10の一括カセットの動作説明図に基づいて説明する。まず、装填・補充動作時において、同図(a)の示すようにステージ41上の紙幣16を一括紙幣分離機構44により1枚づつ分離して搬送路11へと繰り出す。
【0086】一方、金種別カセット3〜5に収納されずに回収される紙幣は、一括カセット9に送り込まれ、仕切り板42上に集積される。ここで紙幣が集積許容値、たとえば100枚に達すると、一括紙幣分離機構44の動作を一時停止する。クランプレバ43は、図10(b)の43
【0087】再び集積許容値に達すると、一括紙幣分離機構44を停止して、クランプレバ43を43
【0088】このような動作を、一括カセット9内のエンド検知機がステージ41上の紙幣の無くなるのを検知するまで繰り返し、エンド検知されたら、一括紙幣分離機構44の動作を停止し、クランプレバ43は図示しないモータによって43
【0089】これにより、装填・補充時並びに出金取引時に、裏面側であると鑑別されたことで回収された紙幣16は、再び一括カセット9から分配可能となる。なお、上述した一括カセット9内の動作中において紙幣16の表裏が反転されることはなく、つねに裏面側に保った状態で動作は行われる。装填・補充時並びに出金取引時において一括カセット9に回収される紙幣は、裏面側の状態で回収されるので、この回収紙幣が一括カセット9より繰り出されると、鑑別部2には表面側となって送り込まれることになり、各金種別カセット3〜5に表面側で収納され、かつ出金時には表面側の状態で接客部1から支払えることになる。
【0090】なお、本装置における回収動作については、表裏を取り揃えるための動作は行わないので、ここでの説明は省略する。また、この装填・補充時並びに出金時における表裏反転を行う際の一括カセット9への回収動作時の紙幣の計数についてもここでの詳述は避けるが、図4に示す制御系により計数されることは言うまでも無い。
【0091】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、一括収納庫から金種別収納庫に紙幣を装填及び補充する際、および出金取引により金種別収納庫から紙幣を繰り出す際に、鑑別部により紙幣が裏面側であると鑑別された場合には、裏面側紙幣回収制御手段によりこれを一旦、一括収納庫に回収し、一括紙幣移動手段により一括収納庫内を分離給送が可能となるステージ上に移動することによって、補充・装填時における金種別収納庫への収納紙幣の表裏を取り揃え、並びに出金取引時における支払い紙幣表裏を取り揃えを行えるようにしたものである。
【0092】このため、装填・補充時において金種別収納庫に収納される紙幣は、鑑別部において裏面側であると鑑別された場合にのみ、再び一括収納庫内に回収されるために、裏面側の状態で各金種別収納庫に収納されることはなく、全て表面側の状態で収納され、また、出金取引時においても、この鑑別部における表裏の鑑別、および一括収納庫への回収動作は行うため、顧客に支払う紙幣は、従来例のように接客部の手前側に表裏取り揃え機構を設けなくとも、全て表面側に取り揃えた状態で出金することができる。
【0093】このため、表裏取り揃え機構は不要となり、この表裏反転ユニットを備えるスペースも不要となるので、装置の小型化を図ることができる。また、従来例においては、この表裏取り揃え機構のほかに、表裏を取り揃えた後、全支払い紙幣が繰り出されるまで一括して集積する一時集積部も設けていたが、本願発明によれば支払いあるいは返却紙幣は、接客部に直接集積することとしているので、従来のように一時集積部から接客部に一括して束の状態で紙幣を押し込むという動作は無くなり、従って、この動作中において紙幣がカールしていた場合に紙幣ジャム等を引き起こして、マシンダウンを発生してしまうというも障害も防止することができる。
【0094】さらに、表裏取り揃え機構における表裏取り揃え動作、および一時集積動作並びに一時集積部から接客部への押し込み動作が無くなるので、入出金取引時における処理時間を短縮することもでき、その結果、装置稼働率の高い、小型で優れた紙幣処理装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙幣処理装置における出金取引時の動作を示す側断面図である。
【図2】出金取引時における回収動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す紙幣処理装置を搭載した金自動取引装置の外観斜視図である。
【図4】本実施例のCCADの制御系を示すブロック図である。
【図5】本実施例におけるCCAD22の要部ブロック図である。
【図6】装填・補充時の分配動作のタイムチャートである。
【図7】装填・補充時の動作を示すCCADの側断面図である。
【図8】装填・補充時の回収動作を示すフローチャートである。
【図9】入金取引時の動作を示すCCADの側断面図である。
【図10】一括カセットの動作説明図である。
【図11】従来の紙幣処理装置の内部概略構造を示す概略側面図である。
【図12】図9における表裏反転部の構成及び動作を示す概略側面図である。
【図13】従来の問題点を示す説明図である。
【符号の説明】
1 接客部
2 鑑別部
3 金種別カセット
4 金種別カセット
5 金種別カセット
6 入出金ユニット
9 一括カセット
16 紙幣
27 制御部
27a 裏面側紙幣回収制御手段
42 仕切り板
43 クランプレバ
44 一括紙幣分離機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の金種の紙幣を一括して収納し、装置本体に対して着脱可能な一括収納庫と、この一括収納庫から紙幣の装填及び補充を受ける複数の金種別収納庫と、この金種別収納庫に収納するため前記一括収納庫から繰り出された紙幣を鑑別する鑑別部と、前記一括収納庫からの紙幣を反転して前記鑑別部に送り込むと共にこの鑑別部で出金可能と鑑別された紙幣を前記各金種別収納庫へ搬送する搬送路と、前記鑑別部により出金不適と判断されたリジェクト紙幣を収納するリジェクト収納庫と、前記一括収納庫から繰り出されて鑑別部で出金可能と鑑別された紙幣を各金種別収納庫に分配集積する紙幣分配集積手段を備えた入出金ユニットとを備え、かつ、前記一括収納庫には、該一括収納庫内の紙幣を最上部から一枚づつ分離して繰り出す一括紙幣分離機構と、前記各金種別収納庫から回収して仕切り板上に集積した紙幣を反転させることなく、前記一括紙幣分離機構により分離可能となるステージ上へと移動する一括紙幣移動手段とを備えて成る紙幣処理装置において、装填・補充時に一括収納庫から繰り出されて前記鑑別部へと搬送されてきた紙幣、および出金取引時に前記各金種別収納庫から繰り出されて鑑別部へと搬送されてきた紙幣のうち、この鑑別部で裏面側であると鑑別された紙幣だけを、前記一括収納庫へと搬送して仕切り板上に回収させる裏面側紙幣回収制御手段を設けることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項1】 複数の金種の紙幣を一括して収納し、装置本体に対して着脱可能な一括収納庫と、この一括収納庫から紙幣の装填及び補充を受ける複数の金種別収納庫と、この金種別収納庫に収納するため前記一括収納庫から繰り出された紙幣を鑑別する鑑別部と、前記一括収納庫からの紙幣を反転して前記鑑別部に送り込むと共にこの鑑別部で出金可能と鑑別された紙幣を前記各金種別収納庫へ搬送する搬送路と、前記鑑別部により出金不適と判断されたリジェクト紙幣を収納するリジェクト収納庫と、前記一括収納庫から繰り出されて鑑別部で出金可能と鑑別された紙幣を各金種別収納庫に分配集積する紙幣分配集積手段を備えた入出金ユニットとを備え、かつ、前記一括収納庫には、該一括収納庫内の紙幣を最上部から一枚づつ分離して繰り出す一括紙幣分離機構と、前記各金種別収納庫から回収して仕切り板上に集積した紙幣を反転させることなく、前記一括紙幣分離機構により分離可能となるステージ上へと移動する一括紙幣移動手段とを備えて成る紙幣処理装置において、装填・補充時に一括収納庫から繰り出されて前記鑑別部へと搬送されてきた紙幣、および出金取引時に前記各金種別収納庫から繰り出されて鑑別部へと搬送されてきた紙幣のうち、この鑑別部で裏面側であると鑑別された紙幣だけを、前記一括収納庫へと搬送して仕切り板上に回収させる裏面側紙幣回収制御手段を設けることを特徴とする紙幣処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図11】
【図12】
【図13】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図6】
【図11】
【図12】
【図13】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開平5−324982
【公開日】平成5年(1993)12月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−123362
【出願日】平成4年(1992)5月15日
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【公開日】平成5年(1993)12月10日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)5月15日
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
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