説明

紙幣計数整理機

【課題】集積された紙幣の結束状態を監視して紙幣束に膨らみがある場合には、再度結束を行うようにして、使い古しの紙幣であっても、綺麗な紙幣束を得ることができ、紙幣束をスムーズに搬送することができるようにする。
【解決手段】紙幣を集積する集積部と、集積された紙幣を結束して紙幣束を形成する施封部10とを有し、投入された紙幣を1枚ずつ分離搬送して、紙幣の真偽、金種、正損及び表裏の方向の鑑別を行うとともに計数し、真券と鑑別された紙幣を前記集積部に所定枚数集積し、集積された紙幣を前記施封部10に送って紙幣束を形成し、形成された紙幣束に膨らみがある場合には、前記紙幣束を再度結束する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣計数整理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店等では、精査時等に回収した紙幣の真偽を鑑別し、前記紙幣の金種を鑑別した後、前記紙幣を一定の枚数集積して、結束機構によって結束する紙幣計数整理機が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。また、このような紙幣計数整理機において、紙幣が正券であるか損券であるかに応じて結束位置を変える技術も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2002−197509号公報
【特許文献2】特許第2886554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の紙幣計数整理機においては、紙帯で紙幣を結束する箇所が1箇所だけなので、使い古しの紙幣を適切に結束することができなかった。
【0004】
図2は従来の紙幣計数整理機によって結束された紙幣束を示す図である。なお、図2において、(a)は紙幣束の一端寄りの箇所を結束した状態を示し、(b)は紙幣束の中央を結束した状態を示している。
【0005】
紙幣が比較的新しいものである場合には、集積された紙幣の1箇所を紙帯で結束すれば、見た目も綺麗に、整った状態で結束することが可能である。しかし、紙幣が使い古しのものであって折り癖や皺(しわ)が付いたものである場合、集積された紙幣の1箇所を紙帯で結束するだけでは、結束しない部分が膨らんだりして、適切に結束することができない。
【0006】
例えば、紙幣束の左右いずれか一端寄りの箇所だけを紙帯で結束した場合、図2(a)に示されるように、結束しなかった他端側が大きく膨らんでしまう。また、例えば、紙幣束の中央付近の箇所だけを紙帯で結束した場合、図2(b)に示されるように、両端の部分が膨らんでしまう。
【0007】
このように、膨らんだ紙幣束を紙幣計数整理機内で搬送すると、膨らんだ部分が搬送路に引っ掛かり、搬送エラーが発生してしまうことがある。
【0008】
本発明は、前記従来の紙幣計数整理機の問題点を解決して、集積された紙幣の結束状態を監視して紙幣束に膨らみがある場合には、再度結束を行うようにして、使い古しの紙幣であっても、綺麗な紙幣束を得ることができ、紙幣束をスムーズに搬送することができる紙幣計数整理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明の紙幣計数整理機においては、紙幣を集積する集積部と、集積された紙幣を結束して紙幣束を形成する施封部とを有し、投入された紙幣を1枚ずつ分離搬送して、紙幣の真偽、金種、正損及び表裏の方向の鑑別を行うとともに計数し、真券と鑑別された紙幣を前記集積部に所定枚数集積し、集積された紙幣を前記施封部に送って紙幣束を形成し、形成された紙幣束に膨らみがある場合には、前記紙幣束を再度結束する。
【0010】
本発明の他の紙幣計数整理機においては、さらに、前記紙幣束に膨らみがあるか否かを監視する監視部を更に有する。
【0011】
本発明の更に他の紙幣計数整理機においては、さらに、前記監視部は監視カメラであり、該監視カメラの撮影した画像に基づいて前記紙幣束に膨らみがあるか否かを判断する。
【0012】
本発明の更に他の紙幣計数整理機においては、さらに、前記紙幣束に膨らみがある場合、前記施封部は、前回の結束位置と異なる結束位置で紙幣束を結束する。
【0013】
本発明の更に他の紙幣計数整理機においては、さらに、前記施封部は結束材によって結束を行う移動可能な結束ユニットを備え、該結束ユニットが移動することにより前記結束位置を変化させる。
【0014】
本発明の更に他の紙幣計数整理機においては、さらに、前記異なる結束位置は前記膨らみがある位置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、紙幣計数整理機においては、集積された紙幣の結束状態を監視して紙幣束に膨らみがある場合には、再度結束を行うようになっている。これにより、使い古しの紙幣であっても、綺麗な紙幣束を得ることができ、紙幣束をスムーズに搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態における紙幣計数整理機の内部構造を示す概略側面図である。
【0018】
図において、100は本実施の形態における紙幣計数整理機であって、例えば、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店、本店等の営業店に配設され、精査時等に回収した紙幣の真偽を鑑別し、前記紙幣の金種を鑑別し、前記紙幣を一定の枚数集積して、結束するようになっている。
【0019】
そして、1は紙幣の投入部であり、紙幣計数整理機100正面の上部に設けられている。2は紙幣の真偽、金種、正損、表裏等の鑑別及び計数を行うとともに、搬送異常の検出を行う鑑別部であり、紙幣計数整理機100内に設けられている。3a〜3eは、紙幣計数整理機100内において紙幣を各部に搬送するための搬送路である。4は紙幣の表裏反転を行う表裏反転部であり、紙幣計数整理機100内において、鑑別部2の後段に位置するように配設されている。
【0020】
5a及び5bは結束対象外の金種の紙幣を集積するオープンポケットであり、紙幣計数整理機100の上面に設けられている。また、オペレータは、前記オープンポケット5a及び5bに集積された紙幣を直接取り出すことができる。なお、オープンポケット5a及び5bを統合的に説明する場合は、オープンポケット5として説明する。6は、紙幣を集積する集積機構である。該集積機構6には、縦一列に5つの集積部としての一時集積部6a〜6eが並べて配設されている。そして、一時集積部6a〜6eの各々に、あらかじめ定められた枚数、例えば、100枚の紙幣を集積することができるようになっている。なお、前記一時集積部6a〜6eの数は、5つに限定するものでなく、3つ以上であれば、いくつであってもよい。
【0021】
8は、鑑別部2で金種不明と鑑別されたり、又は、搬送異常が検知されたりしたリジェクト紙幣を集積するリジェクトポケットである。該リジェクトポケット8は、前記投入部1の上方に設けられ、オペレータが前記リジェクトポケット8に集積されたリジェクト紙幣を直接取り出すことができるようになっている。
【0022】
9は、一時集積部6a〜6eに集積された紙幣を施封部10に移送するための移送機構であり、紙幣計数整理機100内において、集積機構6の後方に配設されている。前記移送機構9は、集積された紙幣を把持するクランプ部30と、該クランプ部30を、図における矢印Aで示されるように、上下方向に移動させる昇降装置32とを有する。また、前記クランプ部30は、上下方向に開閉可能なロボットハンドとしてのクランプ爪(つめ)35と、該クランプ爪35を、図における矢印Bで示されるように、水平方向に移動させ、一時集積部6a〜6eの各々に進入及び退避させるクランプ部移動装置31とを備える。
【0023】
前記施封部10は、紙幣結束機構として機能し、紙帯、紙テープ等の結束材で集積された紙幣を結束し、紙幣束を作成することができる。そして、前記施封部10は、紙幣計数整理機100内において、集積機構6の下方に配設され、移送機構9によって一時集積部6a〜6eから移送された紙幣を受け取って結束し、紙幣束を作成する。
【0024】
11は紙幣束の放出口であり、紙幣計数整理機100正面に設けられている。また、12は放熱ファンであり、紙幣計数整理機100内の熱気を外部に放出する。さらに、15は紙幣計数整理機100正面に設けられた赤外センサであり、紙幣計数整理機100の周囲に近付いた人物を検出する近接センサである。
【0025】
13は、紙幣計数整理機100上面においてオープンポケット5の後方に配設された操作表示部であり、CRT、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示手段とその表面に配置されたタッチパネルとを有する。オペレータは、前記操作表示部13を操作して、モードの指定や、一時集積部6a〜6eに集積する紙幣の金種、集積順序等の設定を行う。また、前記操作表示部13には、鑑別部2で鑑別された紙幣の金種、正損、計数結果等の表示も行われる。
【0026】
14は、紙幣計数整理機100の動作を制御する制御部であり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備え、プログラムに従って動作を行う一種のコンピュータである。前記制御部14は、鑑別部2、搬送路3a〜3e、表裏反転部4、集積機構6、移送機構9、施封部10、操作表示部13等の各部の動作及び紙幣計数整理機100全体の動作を統括的に制御する。
【0027】
ここで、前記搬送路3a〜3eについて説明する。搬送路3aは投入部1から鑑別部2を経て第1の分岐点に至るように設けられ、搬送路3bは第1の分岐点からリジェクトポケット8に至るように設けられている。また、搬送路3cは、第1の分岐点から表裏反転部4を経て第2の分岐点に至るように設けられている。そして、搬送路3dは第2の分岐点から、図に示されるように、紙幣計数整理機100の下部に延在し、集積機構6の一時集積部6a〜6eに沿うように設けられている。さらに、搬送路3eは、第2の分岐点からオープンポケット5a及び5bに至るように設けられている。なお、第1及び第2の分岐点のそれぞれの近傍には、紙幣の搬送方向を切り替える図示されない切替えブレードが設けられている。該切替えブレードの動作は、制御部14によって制御される。
【0028】
また、前記一時集積部6a〜6eの各々は、紙幣が載置されて集積される図示されない上下動可能な集積板と、該集積板の上方に配設された図示されない上下動可能な押さえ板と、紙幣の長手方向及び短手方向の位置を揃(そろ)える図示されない整位部材とを備える。さらに、搬送路3dにおける一時集積部6a〜6eの各々に対応する位置には、図示されない振分けゲートが配設されている。
【0029】
そして、前記搬送路3dによって搬送されてきた紙幣は、一時集積部6a〜6eの各々に対応する各振分けゲートにより集積板に向かって取り込まれる。一時集積部6a〜6eの各々に進入した紙幣は、集積板の上に集積される。また、以降進入する紙幣も、同様の動作で、既に集積板上に集積した紙幣の上に集積される。なお、集積された紙幣は、整位部材によって、長手方向及び短手方向の位置が揃えられる。また、押さえ板は、集積板上への紙幣の集積中は一時集積部6a〜6eの上端に待機しており、順次取り込まれる紙幣の進入の邪魔にならないようになっている。
【0030】
紙幣は、一時集積部6a〜6eに順次集積されるようになっている。したがって、一時集積部6aの集積板上にあらかじめ定められた枚数の紙幣、例えば、100枚の紙幣が集積されると、一時集積部6aに対応する振分けゲートが紙幣を取り込まない姿勢となり、101枚目以降の紙幣は、残りの一時集積部6b〜6eのいずれかへ搬送されて集積される。なお、一時集積部6a〜6eに集積される紙幣の枚数は、一時集積部6a〜6eの各々に対して設定された図示されないカウンタによってカウントされる。
【0031】
そして、紙幣の進入が停止した一時集積部6aでは、集積板を上昇させ、押さえ板を下降させることによって紙幣を挟持する。この動作により、皺や折り癖などの紙幣の状態に起因して変化する紙幣の集積高さを一定にし、移送機構9への受け渡しを容易にする。
【0032】
また、集積板と押さえ板とによって挟持された紙幣は、搬送路3dと反対側から一時集積部6aに進入する移送機構9のクランプ部30により、引き抜かれる。なお、他の一時集積部6b〜6eも、一時集積部6aと同様の構造を有し、一時集積部6aと同様に、紙幣を整位、集積及び挟持することが可能である。
【0033】
一時集積部6aに集積された紙幣を引き抜く場合、まず、昇降装置32は、クランプ部30を、クランプ部移動装置31とともに、一時集積部6aと対応する位置にまで上昇させて固定する。
【0034】
この状態で、クランプ部移動装置31は、クランプ部30のクランプ爪35を上下方向に開いて100枚の紙幣をクランプする準備を行う。続いて、クランプ部移動装置31は、クランプ部30を一時集積部6aの方向に押し出す。押し出されたクランプ部30のクランプ爪35は、一時集積部6aの搬送路3dと反対側に設けられている開口部から挿入されて一時集積部6aに進入し、集積板と押さえ板とによって挟持されている紙幣を、上下から挟み付けて把持する。
【0035】
そして、クランプ部30のクランプ爪35が紙幣を把持すると、一時集積部6aにおける集積板が下降するとともに、押さえ板が上昇することによって、紙幣の挟持が解除される。これにより、100枚の紙幣がクランプ部30に渡されたことになるので、クランプ部移動装置31は、クランプ爪35によって紙幣を把持したクランプ部30を引き戻す。これにより、紙幣は一時集積部6aから抜き取られる。
【0036】
続いて、クランプ部30が元の位置まで引き戻されると、昇降装置32が作動し、紙幣を把持したクランプ部30とともに、クランプ部移動装置31が最下端に位置する施封部10まで移動する。そして、クランプ部30のクランプ爪35に把持された紙幣は、施封部10へ受け渡される。
【0037】
次に、前記移送機構9及び施封部10の構成について詳細に説明する。
【0038】
図3は本発明の実施の形態における移送機構及び施封部の側面図、図4は本発明の実施の形態における移送機構及び施封部の上面図である。
【0039】
図に示されるように、施封部10は、ローラ、ベルト等から成る搬送手段40と、紙帯、紙テープ等から成る結束材としての結束テープ41と、インクリボンを介して結束テープ41に印字する印字手段42と、結束テープ41を供給するテープ供給手段43と、結束テープ41を所定の長さに切断するカッター44と、結束テープ41によって紙幣を結束する図示されない結束手段とを備える。
【0040】
なお、前記結束テープ41、印字手段42、テープ供給手段43及びカッター44は、紙幣を結束するための1つのユニット、すなわち、結束ユニットとして構成されている。そして、該結束ユニットは、モータ47及び位置検出センサ48を備え、前記モータ47を作動させることによって、図4における矢印Eで示されように、横方向に移動可能となっている。なお、前記結束ユニットの移動位置を微細に制御する場合は、位置検出センサ48を複数個配設する。
【0041】
また、移送機構9のクランプ部30は、結束された紙幣の状態を監視する監視部としての監視カメラ46を備える。該監視カメラ46が撮影した画像は制御部14に送信される。なお、図に示される状態において、クランプ部30及びクランプ部移動装置31は、最下端に位置し、紙幣を施封部10に引き渡し可能な位置にある。
【0042】
そして、施封部10の搬送手段40は、移送機構9のクランプ部30のクランプ爪35に把持された100枚の集積された紙幣を一括して受け取り、結束位置に搬送する。この場合、クランプ部移動装置31は、クランプ部30を搬送手段40の方向に押し出す。押し出されたクランプ部30のクランプ爪35に把持された紙幣が、図3における矢印で示される受け渡し時の紙幣位置Dに到達すると、前記クランプ爪35が上下方向に開き、100枚の紙幣は、一括して搬送手段40に受け渡される。
【0043】
続いて、該搬送手段40は、集積された紙幣を図3における矢印Fで示される方向に移動させ、図3における矢印で示される結束時の紙幣位置Cにまで搬送する。そして、集積された紙幣が一括して結束時の紙幣位置Cに到達すると、テープ供給手段43は、結束テープ41を結束手段に供給する。その際、印字手段42は、結束する紙幣の金種等を結束テープ41に印字する。
【0044】
続いて、印字された結束テープ41は、カッター44によって所定の長さに切断される。そして、結束手段は、結束時の紙幣位置Cにおける集積された紙幣に、切断された結束テープ41を巻き掛けて結束し、紙幣束を作成する。
【0045】
このようにして作成された紙幣束は、さらに、搬送手段40によって、図3における矢印Gで示される方向に搬送され、放出口11に送られる。
【0046】
次に、前記構成の紙幣計数整理機100の動作について説明する。
【0047】
図5は本発明の実施の形態における施封部の結束動作を示すフローチャートである。
【0048】
まず、オペレータが紙幣を紙幣計数整理機100の投入部1に投入する。すると、該投入部1から投入された紙幣は、鑑別部2に搬送される。該鑑別部2は、紙幣の鑑別を行い、該紙幣はリジェクト対象であるか否か、及び、結束対象であるか否かを判断する。
【0049】
すなわち、鑑別部2によって、紙幣の真偽、金種、表裏、正損等の鑑別、計数及び搬送異常の有無の検出が行われる。その結果、偽造又は金種不明と鑑別された紙幣、及び、重送等の搬送異常が検出された紙幣は、リジェクト対象であるとしてリジェクト紙幣とされ、搬送路3bによってリジェクトポケット8に搬送されて集積される。また、結束対象外の紙幣は、搬送路3c及び3eによってオープンポケット5a及び5bに搬送され、集積される。
【0050】
一方、真正な紙幣、搬送異常のない紙幣等のようなリジェクト対象外の紙幣であって、かつ、結束対象の紙幣は、正損の鑑別結果に関わらず、搬送路3cによって表裏反転部4に搬送され、該表裏反転部4によって表裏が揃えられる。そして、表裏が揃えられた紙幣は搬送路3dによって集積機構6に搬送される。
【0051】
続いて、前記搬送路3dによって搬送されてきた紙幣は、各振分けゲートにより一時集積部6a〜6eに取り込まれる。一時集積部6a〜6eに進入した紙幣は、集積板の上に集積される。なお、紙幣は、一時集積部6a〜6eに順次集積されるようになっているので、一時集積部6aの集積板上に100枚の紙幣が集積されると、一時集積部6aに対応する振分けゲートが紙幣を取り込まない姿勢となり、101枚目以降の紙幣は、残りの一時集積部6b〜6eのいずれかへ搬送されて集積される。
【0052】
そして、一時集積部6aにおいて集積板と押さえ板とによって挟持された100枚の紙幣は、搬送路3dと反対側から一時集積部6aに進入する移送機構9のクランプ部30により、引き抜かれる。続いて、クランプ部30が元の位置まで引き戻され、昇降装置32が作動し、100枚の紙幣を把持したクランプ部30とともに、クランプ部移動装置31が最下端に位置する施封部10まで移動する。そして、クランプ部30のクランプ爪35に把持された紙幣は、施封部10へ受け渡される。
【0053】
この場合、クランプ部移動装置31がクランプ部30を一時集積部6aの方向に押し出す。そして、押し出されたクランプ部30のクランプ爪35に把持された紙幣が受け渡し時の紙幣位置Dに到達すると、前記クランプ爪35が上下方向に開き、100枚の集積された紙幣は、一括して搬送手段40に受け渡される。
【0054】
続いて、該搬送手段40によって搬送された集積された紙幣が結束時の紙幣位置Cに到達すると、結束動作が開始される。
【0055】
そして、結束動作が開始されると、まず、1回目の結束が行われ、テープ供給手段43が結束テープ41を結束手段に供給する。なお、前記結束テープ41は、結束する紙幣の金種等が印字手段42によって印字された後、カッター44によって所定の長さに切断されて結束手段に供給される。そして、該結束手段は、結束時の紙幣位置Cにおける集積された紙幣に、切断された結束テープ41を巻き掛けて結束し、紙幣束を作成する。
【0056】
続いて、受け渡し位置への移動が行われ、前記紙幣束は、搬送手段40によって受け渡し時の紙幣位置Dに戻される。そして、前記紙幣束が受け渡し時の紙幣位置Dに到達すると、クランプ部30の監視カメラ46が前記紙幣束を撮影し、撮影した画像を制御部14に送信する。そして、該制御部14は、受信した紙幣束の画像に基づき、前記紙幣束に膨らみがあるか否かを判断する。特に、紙幣束の端に膨らみがあるか否かが判断される。
【0057】
そして、紙幣束に膨らみがない場合、排出口への搬送が行われ、前記紙幣束は、搬送手段40によって搬送されて放出口11に送られ、紙幣計数整理機100の外へ排出される。また、紙幣束に膨らみがある場合、結束ユニットの移動が行われ、モータ47を作動させることによって結束ユニットを横方向へ移動させる。これにより、紙幣における結束テープ41を巻き掛ける位置、すなわち、結束位置が移動する。この場合、膨らみがある位置に、結束テープ41を巻き掛ける位置を移動させることが望ましい。なお、位置検出センサ48の数を増加させることによって、結束ユニットの移動位置をより細かく制御することができる。
【0058】
続いて、結束位置への移動が行われ、前記紙幣束は、搬送手段40によって再び結束時の紙幣位置Cにまで搬送される。そして、2回目の結束が行われ、結束手段は、前記紙幣束に結束テープ41を巻き掛けて結束する。この場合、前記紙幣束において、1回目の結束によって結束テープ41が巻き掛けられた位置とは異なる位置に、結束テープ41が巻き掛けられる。
【0059】
そして、排出口への搬送が行われ、2回目の結束が行われた紙幣束は、搬送手段40によって搬送されて放出口11に送られ、紙幣計数整理機100の外へ排出される。これにより、結束動作が終了する。
【0060】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 1回目の結束が行われる。
ステップS2 受け渡し位置への移動が行われる。
ステップS3 紙幣束に膨らみがあるか否かを判断する。紙幣束に膨らみがある場合はステップS4に進み、紙幣束に膨らみがない場合はステップS8に進む。
ステップS4 結束ユニットの移動が行われる。
ステップS5 結束位置への移動が行われる。
ステップS6 2回目の結束が行われる。
ステップS7 排出口への搬送が行われ、処理を終了する。
ステップS8 排出口への搬送が行われ、処理を終了する。
【0061】
このように、本実施の形態においては、集積された紙幣に結束テープ41を巻き掛けて結束することによって形成された紙幣束に、紙幣の折り癖や皺に起因する膨らみがある場合、再度結束テープ41を巻き掛けて結束するようになっている。このため、1回目の結束位置とは異なる結束位置に結束テープ41を巻き掛けて結束することができるので、紙幣束の膨らみを解消することができる。なお、2回目の結束位置は、膨らみがある位置とすることが望ましい。
【0062】
これにより、折り癖や皺のある使い古しの紙幣を集積して結束した場合であっても、膨らみのない紙幣束を得ることができる。したがって、結束によって形成された紙幣束を搬送しても、膨らみが搬送ベルト等に引っ掛かってしまうようなことがなく、スムーズに搬送することができる。また、見た目にも綺麗な紙幣束を得ることができる。
【0063】
なお、本実施の形態においては、紙幣の結束を2回行う場合について説明したが、紙幣の結束は、2回に限定されるものではなく、3回以上行うこともできる。
【0064】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態における紙幣計数整理機の内部構造を示す概略側面図である。
【図2】従来の紙幣計数整理機によって結束された紙幣束を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における移送機構及び施封部の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態における移送機構及び施封部の上面図である。
【図5】本発明の実施の形態における施封部の結束動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
6a、6b、6c、6d、6e 一時集積部
10 施封部
41 結束テープ
42 印字手段
43 テープ供給手段
44 カッター
46 監視カメラ
100 紙幣計数整理機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)紙幣を集積する集積部と、
(b)集積された紙幣を結束して紙幣束を形成する施封部とを有し、
(c)投入された紙幣を1枚ずつ分離搬送して、紙幣の真偽、金種、正損及び表裏の方向の鑑別を行うとともに計数し、
(d)真券と鑑別された紙幣を前記集積部に所定枚数集積し、
(e)集積された紙幣を前記施封部に送って紙幣束を形成し、
(f)形成された紙幣束に膨らみがある場合には、前記紙幣束を再度結束することを特徴とする紙幣計数整理機。
【請求項2】
前記紙幣束に膨らみがあるか否かを監視する監視部を更に有する請求項1に記載の紙幣計数整理機。
【請求項3】
前記監視部は監視カメラであり、該監視カメラの撮影した画像に基づいて前記紙幣束に膨らみがあるか否かを判断する請求項2に記載の紙幣計数整理機。
【請求項4】
前記紙幣束に膨らみがある場合、前記施封部は、前回の結束位置と異なる結束位置で紙幣束を結束する請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙幣計数整理機。
【請求項5】
前記施封部は結束材によって結束を行う移動可能な結束ユニットを備え、該結束ユニットが移動することにより前記結束位置を変化させる請求項4に記載の紙幣計数整理機。
【請求項6】
前記異なる結束位置は前記膨らみがある位置である請求項4に記載の紙幣計数整理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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