説明

紫外線ランプ装置

【課題】金属ベースの温度を所定温度に維持可能な紫外線ランプ装置を提供する。
【解決手段】紫外線ランプ装置は、紫外線ランプ10の端部12を板状の金属ベース13に載置し、この金属ベース13を冷却機構20により冷却する紫外線ランプ装置であって、冷却機構20は、内部に冷却液の流路24が設けられ、耐食性を有する冷却体21と、冷却体21よりも熱伝導性が高く、金属ベース13と冷却体21との間に配置される伝熱体22とを備え、かつ流路24は、金属ベース13と伝熱体22との接触面Aとすべて略平行に設ける構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線ランプを冷却する冷却機構を備えた紫外線ランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端部に円柱状の金属ベース設けた紫外線ランプと、内部に冷却液の流路を有する耐食性のある冷却体、及び、この冷却体よりも熱伝導性が高く、金属ベースの先端部と冷却体との間に配置される伝熱体を有する冷却ブロック(冷却機構)とを備えた紫外線ランプ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この紫外線ランプ装置では、金属ベースを冷却ブロックにより冷却することにより、金属ベースの温度を所定温度に維持し、紫外線ランプの紫外線発光を最適化することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−21567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、金属ベースの先端部のみが伝熱体に接触しているため、金属ベースと伝熱体との接触面積が狭く、金属ベースの熱を冷却体に十分に伝達できない。また、流路は、金属ベースと伝熱体との接触面と略平行する部分と略直交する部分とが混在して配置されているため、流路の一部の略平行する部分のみが金属ベースに対向することとなり、冷却効率が悪い。結果として、金属ベースの温度を所定温度に維持できないおそれがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、金属ベースの温度を所定温度に維持可能な紫外線ランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、紫外線ランプの端部を板状の金属ベースに載置して固定し、この金属ベースを冷却機構により冷却する紫外線ランプ装置であって、前記冷却機構は、内部に冷却液の流路が設けられ、耐食性を有する冷却体と、前記冷却体よりも熱伝導性が高く、前記金属ベースと前記冷却体との間に配置される伝熱体とを備え、かつ前記流路は、前記金属ベースと前記伝熱体との接触面とすべて略平行に設けたことを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記伝熱体に温度センサ、又は、温度センサとヒータとを設けてもよい。
上記構成において、前記伝熱体は前記紫外線ランプの熱を前記冷却体との接触面内に分散する程度の厚さであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金属ベースを板状に形成したため、金属ベースと伝熱体との接触面積が広くなるので、金属ベースの熱を冷却体へ十分に伝達できる。また、流路を金属ベースと伝熱体との接触面とすべて略平行に設けたため、流路を金属ベースと伝熱体との接触面と略平行、略直交に混在して設ける場合に比べ、より長い流路を金属ベースに近づけて配置できるので、金属ベースを効果的に冷却できる。その結果、金属ベースの温度を所定温度に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る紫外線ランプ装置の平面、正面、底面、及び、左側面を示す図である。
【図2】紫外線ランプの平面及び正面を示す図である。
【図3】冷却ブロックを示す図である。
【図4】図3のIV−IV断面を示す図である。
【図5】本発明の変形例に係る冷却ブロックを示す模式図である。
【図6】本発明の他の変形例に係る冷却ブロックを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態に係る紫外線ランプ装置の平面、正面、底面、及び、左側面を示す図であり、図2は紫外線ランプの平面及び正面を示す図である。
紫外線ランプ装置1は、図1に示すように、紫外線ランプ10と、略直方体状の冷却ブロック(冷却機構)20とを備えている。紫外線ランプ10は、低圧水銀紫外線ランプであり、長尺U字状の発光管11を有している。発光管11の端部12には、熱伝導率の高い材料、例えばアルミニウムを用いて形成した板状の金属ベース13が設けられ、金属ベース13及びフレーム31に冷却ブロック20が固定されている。
【0010】
フレーム31は発光管11に沿って延出しており、フレーム31には紫外線ランプ10の光を反射する反射板32が設けられている。また、フレーム31には、紫外線ランプ10に電力を供給するための端子台33が設けられている。
発光管11の端部12は、図2に示すように、金属ベース13上に載置されて固定されており、発光管11の端部12には、紫外線ランプ10に電力を供給する給電線14が接続されている。給電線14の一端は発光管11の内部の電極15に接続され、他端は端子台33(図1)に接続される。
【0011】
図3は冷却ブロック20を示す図であり、図4は図3のIV−IV断面を示す図である。
冷却ブロック20は、図3に示すように、冷却体21と、この冷却体21と金属ベース13との間に配置される伝熱体22とを備え、これらの金属ベース13、冷却体21、及び伝熱体22はねじ等の結合手段23により結合されている。金属ベース13と伝熱体22との接触面A、及び、冷却体21と伝熱体22と接触面Bには、密着性を向上するため、液体状、ペースト状、或いは弾性を有する固体状の密着手段(不図示)、例えば放熱シリコングリースやシリコンゴムシートを必要に応じて用いてもよい。
【0012】
冷却体21は、内部に冷却液(例えば、水)を流通させる流路24を有し、水に対して耐食性を有する材料、例えばステンレスで構成されている。冷却体21の厚さは、流路24を形成するための必要最小限度の厚さとするのが好ましい。冷却体21内の流路24は、金属ベース13と伝熱体22との接触面Aとすべて略平行に配置されている。この流路24は、図4に示すように、入口側流路24Aと、出口側流路24Bと、入口側流路24A及び出口側流路24Bを連結する中間流路24Cとを備え、全体としてコの字状の管状体を形成し、該管状体の中心軸は接触面Aと略平行である。水は、入口側流路24A、中間流路24C、出口側流路24Bの順に流路24を流れる。入口側流路24A及び出口側流路24Bは発光管11に沿って延在しており、入口側流路24Aと中間流路24Cとの連結部分、及び、出口側流路24Bと中間流路24Cとの連結部分は、発光管11の端部12と平面視で重なるように配置されている。
【0013】
伝熱体22は、図3に示すように、冷却体21よりも水に対する耐食性は劣るものの熱伝導率が高い材料、例えば銅又はアルミニウムで構成されている。伝熱体22の厚さtは、紫外線ランプ10の熱が冷却体21との接触面B内に分散する程度の厚さに設定されている。
伝熱体22には、温度センサ25及びヒータ26が設けられている。温度センサ25は、金属ベース13になるべく近い位置に配置するのが望ましい。図3では、温度センサ25は、伝熱体22の金属ベース13側の表面に設けられているが、伝熱体22の厚さt方向中央や、伝熱体22の冷却体21側の表面に設けられてもよい。図3では、ヒータ26は、伝熱体22の厚さt方向中央に設けられているが、伝熱体22の金属ベース13側の表面や、伝熱体22の冷却体21側の表面に設けられてもよい。ヒータ26による加熱や、流路24を流通する水の流量は、温度センサ25により検出された温度に基づいて制御される。
【0014】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
紫外線ランプ10は、紫外線発光を最適化するために、紫外線ランプ10の最冷部を通常40〜45℃の範囲とされる最適な所定温度に維持する必要がある。紫外線ランプ10の点灯継続時には金属ベース13を冷却し、紫外線ランプ10の点灯時には金属ベース13を加熱する必要がある。
本実施の形態では、金属ベース13を板状に形成したため、金属ベース13と冷却ブロック20との接触面Aの面積が広くなり、金属ベース13と冷却ブロック20との間で熱交換を十分に行うことができる。
【0015】
冷却効率を向上させるためには、内部に水の流路を有する冷却ブロックも熱伝導率の高い材料で形成する方法がある。しかしながら、冷却ブロック全体に熱伝導率の高い銅やアルミニウムを使用すると、水に対する耐食性が劣るため、長期間の使用によって流路で腐食が進行し、流路が閉塞したり水質が悪化したりするおそれがある。これに対し、例えば有害な防錆剤を水に混入した場合には、医薬品や食品の製造工程での紫外線ランプ装置の使用に制限が生じる。熱伝導率の高い材料の冷却ブロックに、ステンレス等の耐食性のある材料で形成したパイプを通す方法もあるが、パイプは寸法のばらつきが大きいため、冷却ブロックに加工した穴の内面とパイプの外面との密着性を確保するのが難しい。
【0016】
そこで、本実施の形態では、流路24を有する冷却体21を耐食性のある材料(ステンレス)で形成するとともに、金属ベース13と冷却体21との間に熱伝導率の高い伝熱体22を設けている。これにより、冷却体21の厚さを、流路24を形成するための必要最小限度の厚さとすることで、金属ベース13と水との間に介在する熱伝導率の低い材料(ステンレス)が薄くなり、迅速な熱の伝達が可能となる。その結果、金属ベース13の温度変化に対して迅速に追随した流量制御が可能となり、金属ベース13の温度を一定に保つことができる。伝熱体22は、面方向への熱伝達にも優れているので、金属ベース13の温度むらを低減できる。また、有害な防錆剤を水に混入するなどの対策を取る必要がなく、医薬品や食品の製造工程、例えば容器等を殺菌する行程でも紫外線ランプ装置1を使用できる。
【0017】
冷却体21内の流路24は金属ベース13と伝熱体22との接触面Aとすべて略平行に設けられ、該接触面Aと略直交したり斜交したりする部位を有していない。このため、流路を金属ベースと伝熱体との接触面と略平行、略直交に混在して設ける場合に比べ、より長い流路24を金属ベース13に近づけて配置でき、金属ベース13を効果的に冷却できる。しかも、発光管11の端部12は流路24と対向する位置に配置したため、流路24と発光管11の端部12との距離が近くなり、発光管11の端部12をより効果的に冷却できる。
【0018】
また、冷却ブロック20にヒータ26を設けたため、金属ベース13を所定温度に昇温するために、水を加熱する加熱手段を設ける必要がなくなり、その結果、紫外線ランプ装置1の構成を簡素化できるとともに、紫外線ランプ装置1を安価に製造できる。しかも、ヒータ26は熱伝導率の高い伝熱体22に設けたため、ヒータ26を熱伝導率の低い冷却体21に設ける場合に比べ、ヒータ26の熱が金属ベース13に均一にそして迅速に伝達され、金属ベース13全体を均一に昇温できるとともに、金属ベース13を短時間で所定の温度に昇温できる。また、熱伝導率の低い冷却体21と、その内部の水とが所定の温度に昇温されなくても、金属ベース13の温度を所定の温度に昇温できる。
さらに、温度センサ25を熱伝導率の高い伝熱体22に設けたため、温度センサ25を熱伝導率の低い冷却体21に設ける場合に比べ、金属ベース13の温度に近い温度を検出できる。これにより、水の流量を的確に制御できるので、金属ベース13を所定温度に調温できる。
【0019】
以上説明したように、本実施の形態によれば、金属ベース13を板状に形成したため、金属ベース13と伝熱体22との接触面積が広くなるので、金属ベース13の熱を冷却体21へ十分に伝達できる。また、流路24を金属ベース13と伝熱体22との接触面Aとすべて略平行に設けたため、流路を金属ベースと伝熱体との接触面と略平行、略直交に混在して設ける場合に比べ、より長い流路24を金属ベース13に近づけて配置できるので、金属ベース13を効果的に冷却できる。その結果、金属ベース13の温度を所定温度に維持できる。
【0020】
また、本実施の形態によれば、伝熱体22に温度センサ25とヒータ26とを設ける構成とした。この構成により、温度センサを熱伝導率の低い冷却体に設ける場合に比べ、金属ベース13の温度に近い温度を検出できるので、水の流量を的確に制御でき、金属ベース13を所定温度に調温できる。また、ヒータを熱伝導率の低い冷却体に設ける場合に比べ、ヒータ26の熱が金属ベース13に均一且つ迅速に伝達されるので、金属ベース13全体を均一に昇温できるとともに、金属ベース13を短時間で所定の温度に昇温できる。
【0021】
また、本実施の形態によれば、伝熱体22は紫外線ランプ10の熱を冷却体21との接触面B内に分散する厚さとしたため、紫外線ランプ10の放熱を効率良く行うことができる。
【0022】
但し、上記実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
ある部材の紫外線ランプ10に対向する側の面の面積に着目すると、上記実施の形態では、同一面積を有する板状の冷却体21と伝熱体22とを結合して略直方体状の冷却ブロック20を形成していたが、冷却体21及び伝熱体22の形状はこれに限定されない。例えば、図5に示すように、冷却体121の面積を伝熱体122の面積より狭く形成するとともに、冷却体121を伝熱体122よりも厚く形成し、冷却体121を伝熱体122に埋設して冷却ブロック120を構成してもよい。また例えば、図6に示すように、前記面積を伝熱体222よりも狭く形成した冷却体221を伝熱体222に完全に埋設させずに突出させて冷却ブロック220を構成してもよい。なお、図5及び図6において、符号124,224は図3に示す流路24と同様に構成された流路であり、温度センサ及びヒータの図示を省略している。
また、上記実施の形態では、ヒータ26を設けていたが、ヒータ26は設けなくともよい。
【符号の説明】
【0023】
1 紫外線ランプ装置
10 紫外線ランプ
12 端部
13 金属ベース
20,120,220 冷却ブロック(冷却機構)
21,121,221 冷却体
22,122,222 伝熱体
24,124,224 流路
25 温度センサ
26 ヒータ
A 接触面
B 接触面
t 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線ランプの端部を板状の金属ベースに載置して固定し、この金属ベースを冷却機構により冷却する紫外線ランプ装置であって、
前記冷却機構は、内部に冷却液の流路が設けられ、耐食性を有する冷却体と、前記冷却体よりも熱伝導性が高く、前記金属ベースと前記冷却体との間に配置される伝熱体とを備え、
かつ前記流路は、前記金属ベースと前記伝熱体との接触面とすべて略平行に設けたことを特徴とする紫外線ランプ装置。
【請求項2】
前記伝熱体に温度センサ、又は、温度センサとヒータとを設けたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線ランプ装置。
【請求項3】
前記伝熱体は前記紫外線ランプの熱を前記冷却体との接触面内に分散する程度の厚さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線ランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−227040(P2012−227040A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94805(P2011−94805)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】