説明

紫外線殺菌装置

【課題】簡素な構成で透光窓の表面を洗浄し、紫外線ランプの紫外線出力を正確に検出することができる紫外線殺菌装置を提供する。
【解決手段】紫外線ランプ8を挿入した処理槽2内に殺菌対象物を導入し、紫外線ランプ8が放射する紫外線を殺菌対象物に照射して殺菌を行うと共に、処理槽2の壁面2Aに透光窓41を設け、処理槽2の外側から透光窓41に近接させて光センサ44を配置し、光センサ44により紫外線ランプ8の紫外線出力を検出する紫外線殺菌装置1において、処理槽2内に壁面2Aに沿って移動する移動体32を配設し、移動体32に処理槽2内に面する側の透光窓41の表面41Aを払拭する払拭体51を備え、透光窓41の表面41Aを清掃可能とする構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を殺菌対象物に照射して殺菌を行う紫外線殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品原料水としての液体や工業用水、或いは、空気を殺菌する装置として紫外線殺菌装置が知られている。一般に、紫外線殺菌装置は、円筒状の処理槽に、紫外線を放射する紫外線ランプを収めて構成されており、水や空気等の殺菌対象物を処理槽内に導入し、処理槽内を移動させながら紫外線を照射することで殺菌対象物を殺菌し、外部に導出している。この種の紫外線殺菌装置においては、所定の殺菌能力を維持するために、経時劣化によって性能が低下した紫外線ランプを新しいものに交換する必要があり、処理槽側面に設けた透光窓にフォトダイオード等の光センサを固定し、この光センサによって紫外線ランプの照度低下を検出している。この際、透光窓の表面に汚れが付着すると、紫外線ランプの紫外線出力を正確に検出できず、殺菌能力の低下を判断することができない、といった問題がある。
そこで、従来の紫外線殺菌装置においては、処理槽の外部にシャフトを駆動する駆動機構を配置し、透光窓に形成した貫通孔に防水パッキン等を介してシャフトを貫通させ、このシャフトに、透光窓の表面に接するように配置したクリーニングブラシを固定し、シャフトを回転させることによって、透光窓の表面を払拭して洗浄していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−22591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、シャフトを駆動するための複雑な駆動機構及びその駆動力供給源や、シャフト貫通部の防水性能を維持するためのメンテナンスが必要であった。また、クリーニングブラシによる紫外線の影を生じさせないようにすると、処理槽の内周面から凹んだ位置に透光窓の表面を配置する必要があるため、その凹部分で殺菌対象物の流れが淀み、透光窓の表面に汚れが付着しやすくなるおそれがあった。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、簡素な構成で透光窓の表面を洗浄し、紫外線ランプの紫外線出力を正確に検出することができる紫外線殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、紫外線ランプを挿入した処理槽内に殺菌対象物を導入し、前記紫外線ランプが放射する紫外線を前記殺菌対象物に照射して殺菌を行うと共に、前記処理槽の壁面に透光窓を設け、前記処理槽の外側から前記透光窓に近接させて光センサを配置し、当該光センサにより前記紫外線ランプの紫外線出力を検出する紫外線殺菌装置において、前記処理槽内に前記壁面に沿って移動する移動体を配設し、前記移動体に前記処理槽内に面する側の前記透光窓の表面を払拭する払拭体を備え、前記透光窓の表面を清掃可能としたことを特徴とする。
【0006】
本発明は、紫外線ランプを挿入した保護管を処理槽内に設け、この処理槽に殺菌対象物を導入し、前記紫外線ランプが放射する紫外線を、前記保護管を介して殺菌対象物に照射して殺菌を行うと共に、前記処理槽の側面に透光窓を設け、前記処理槽の外側から前記透光窓に近接させて光センサを配置し、当該光センサにより前記紫外線ランプの紫外線出力を検出する紫外線殺菌装置において、前記保護管に沿って往復移動し、当該保護管の表面を清掃するクリーニングプレートと、このクリーニングプレートを駆動する駆動体とを備え、前記駆動体又は前記クリーニングプレートに、前記処理槽内に面する側の前記透光窓の表面を払拭する払拭体を備え、この払拭体を前記駆動体によって駆動し、前記透光窓の表面を清掃することを特徴とする。
【0007】
上記構成において、前記処理槽内に面する側の前記透光窓の表面を、前記処理槽の内面より突出させてもよい。
上記構成において、前記払拭体は前記透光窓の表面の取り付け配置に倣うように回動自在に固定されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処理槽内に壁面に沿って移動する移動体を配設し、移動体に処理槽内に面する側の透光窓の表面を払拭する払拭体を備え、透光窓の表面を清掃可能としたため、簡素な構成で透光窓の表面を洗浄して清浄に維持し、光センサによって紫外線ランプの紫外線出力を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る流水殺菌装置の断面を示す模式図である。
【図2】図1のII−II断面を示す図である。
【図3】図1の観察窓清掃機構を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る紫外線殺菌装置の一態様として、浄水場に設けられ、浄水処理後の水を殺菌対象物として殺菌(消毒)を行い、耐塩素性病原微生物を不活性化する流水殺菌装置を説明する。
図1は本実施の形態に係る流水殺菌装置の断面を示す模式図であり、図2は図1のII−II断面を示す図である。
【0011】
これらの図に示すように、流水殺菌装置1は、筐体を構成する円筒状の処理槽2と、この処理槽2に内設された複数(本実施の形態では、3本)の紫外線ランプ体3とを有している。
処理槽2は、例えばステンレス鋼から形成され、その上下の開口がフランジ4,5により閉塞されている。処理槽2の外側面の下方には、水を導入する導入ポート6が配設され、また、外側面の上方には、殺菌処理した水を導出する導出ポート7が配設されている。導入ポート6からは、殺菌前の水が所定の流量(或いは流圧)を保ちながら処理槽2内に導入され、その流圧によって処理槽2内を上方の導出ポート7に向かって移動する。そして、水は処理槽2内を移動中に上記紫外線ランプ体3による紫外線の照射を受けて殺菌され導出ポート7から外部に吐出される。
【0012】
紫外線ランプ体3のそれぞれは、直管状の紫外線ランプ8と、この紫外線ランプ8を装着する例えば石英から形成された紫外線透過性の円筒管としてのランプスリーブ(保護管)9とを有している。
ランプスリーブ9のそれぞれは、処理槽2の中心軸Cと平行に延在し、上下のフランジ4,5を貫通するように設けられ、その両端が開口し、ランプスリーブ9内への空気の流通が確保され、結露防止が図られている。
なお、図1は、処理槽2の中心軸Cと紫外線ランプ8を装着するランプスリーブ9の中心軸C’とを含む縦断面を模式的に示している。
【0013】
ランプスリーブ9は、フランジ5に設けた支持具10に上端部が固定されるとともに、フランジ4に設けた支持具11に下端部が支持されて、処理槽2内の流圧に耐え得る強度で保持される。
上記紫外線ランプ8は、ランプスリーブ9に装着した際に、導入ポート6から導出ポート7に亘って延在する程度の長さを有して構成されており、これにより、導入ポート6から導出ポート7に至る流路の全範囲にわたって紫外線が照射される。
【0014】
3本の上記紫外線ランプ体3は、図2に示すように、処理槽2の中心軸Cから半径Raの同心円の円周に沿って等間隔に配置されており、中心軸Cからみて隣り合う2つの紫外線ランプ体3がなす角度が各々120度(=360度/3)と等角度になっている。
なお、上記半径Raは、処理槽2の内径Rよりも小さい値であり、これにより各紫外線ランプ体3が処理槽2の内周面(内面、壁面)2Aから距離Rb(=R−Ra)だけ離間して配置される。
また、紫外線ランプ体3は、3本に限らず、N(N≧3を満たず自然数)本の紫外線ランプ体3を処理槽2に内設する構成としても良い。但し、この構成においても、N本の紫外線ランプ体3のそれぞれは、処理槽2の中心軸Cから半径Raの同心円の円周に沿って等間隔に配置され、中心軸Cからみて隣り合う2つの紫外線ランプ体3がなす角度が、各々(360度/N)と等角度になされる。
【0015】
流水殺菌装置1の殺菌能力は、各紫外線ランプ体3の紫外線の出力(総紫外線量)に依存しており、紫外線ランプ8を収容したランプスリーブ9の表面にスケール等の汚れが付着しランプスリーブ9の透過率が低下したり、経時劣化に伴って紫外線ランプ8の性能が低下したりすると、紫外線の出力が低下し、これにより殺菌能力も低下する。
【0016】
そこで、本実施の形態では、流水殺菌装置1が、ランプスリーブ9の表面を清掃するランプスリーブ清掃機構20と、紫外線を検出する紫外線検出ユニット40とを有する構成としている。そして、ランプスリーブ清掃機構20によって定期的にランプスリーブ9の表面を清掃することで、ランプスリーブ9の透過率の低下を防止し、更に、紫外線検出ユニット40によって紫外線の出力を常時監視することで、紫外線ランプ8の性能低下等に起因する殺菌能力の低下を速やかに察知可能としている。
【0017】
ランプスリーブ清掃機構20の構成について詳述すると、各ランプスリーブ9には、環状のクリーニングブレード21が嵌め込まれ、各クリーニングブレード21がクリーニングブレードサポート22によって支持されている。
処理槽2の中心軸C上には、処理槽2を上下に貫通するボールねじ(駆動体)23が配置され、このボールねじ23にはボールねじナット24が螺合し、このボールねじナット24に移動体としてのクリーニングプレート32が連結されている。クリーニングプレート32には、上記クリーニングブレードサポート22が支持されている。
【0018】
さらに、処理槽2内には、中心軸Cの周りに等間隔に、上下に延びる3本のガイドシャフト29が配設され、これらのガイドシャフト29に沿って移動するシャフトガイド30に上記クリーニングプレート32が連結されている。
また、処理槽2の上方外部には、フランジ5上に配置されたモータ支持部25に支持されて駆動モータ26が配設され、この駆動モータ26の出力軸26A及び上記ボールねじ23の上端部が回転力伝達機構27によって連結されている。なお、駆動モータ26は、必要に応じて防水モータとしてもよい。
【0019】
以上の構成の下、駆動モータ26によってボールねじ23が回転駆動されると、このボールねじ23にボールねじナット24によって連結されたクリーニングプレート32が処理槽2内をガイドシャフト29に沿って上下に移動する。そして、このクリーニングプレート32の移動に伴って各クリーニングブレード21がランプスリーブ9の外周表面を払拭することでランプスリーブ9の清掃が行われることになる。
【0020】
上記ボールねじ23は、例えばステンレス鋼から形成され、ボールねじナット24は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)等の合成樹脂から形成されている。このとき、紫外線ランプ体3が放射する紫外線によるボールねじナット24の劣化を防ぐために、ボールねじナット24の表面が紫外線に晒されるのを防止するステンレス鋼製のカバー(図示せず)がボールねじナット24に取り付けられている。
【0021】
上記クリーニングプレート32は、通常時(非清掃時)、紫外線の影を生じさせないようにすべく、処理槽2の底部近傍であって、少なくとも導入ポート6よりも低い位置に停留する。
そして、ランプスリーブ9を清掃するときには、駆動モータ26の駆動に伴って、導出ポート7の上方地点を折り返し点として、クリーニングプレート32を処理槽2内で上下に往復移動する。この往復移動に伴ってクリーニングブレード21がランプスリーブ9の外周表面を払拭することとなり、これによりランプスリーブ9の清掃が行われ、ランプスリーブ9の汚れによる紫外線の出力低下が防止される。
【0022】
次いで紫外線検出ユニット40の構成について詳述する。
本実施の形態では、紫外線ランプ体3の本数と同数の3つの紫外線検出ユニット40を有し、紫外線検出ユニット40の各々に、分光特性、角度特性及び入出力特性等の諸特性が揃ったもの(同一仕様のもの)を用いられ、また、各紫外線検出ユニット40が処理槽2の内周面2Aの周方向に沿って略等間隔に配置されている。
なお、本実施の形態では、紫外線検出ユニット40がそれぞれ紫外線ランプ体3と対向する位置に配置することとしているが、各紫外線検出ユニット40同士が等間隔に配置されていれば、紫外線検出ユニット40のそれぞれを紫外線ランプ体3と対向配置する必要はない。この事については後に詳述する。
【0023】
図3は、図1に示す紫外線検出ユニット40を拡大して示す図である。
処理槽2の壁面には、観察用穴部35が開口したフランジ36が設けられており、このフランジ36に上記紫外線検出ユニット40が取り付けられている。
紫外線検出ユニット40は、上記フランジ36の観察用穴部35にOリング37を介在させて押し付けられ当該観察用穴部35を塞ぐ、紫外線透過性材(例えば石英ガラス)から形成された透光窓としての観察窓41と、観察窓41をフランジ36に押し付け固定する押さえ金具42と、この押さえ金具42と観察窓41との間に介在し観察窓41を保護する保護シート43と、処理槽2の外側から観察窓41に近接して配置され、観察窓41を透過する紫外線を検出する紫外線センサユニット(光センサ)44とを有している。
そして、各紫外線検出ユニット40によって観察窓41を透過する紫外線を計測し、その変動を監視することで、紫外線ランプ8の性能低下等に起因する殺菌能力の低下が速やかに察知される。
【0024】
観察窓41は、処理槽2の内側に面する側の表面41Aが処理槽2の内周面2Aよりも中心軸C側に突出するように配置される。より詳細には、観察窓41の表面41Aは、中心軸Cに平行な平面状に形成され、その中央部が処理槽2の内周面2Aよりも中心軸C側に突出量δだけ突出している。
ここで、処理槽2の内側に露出する観察窓41の表面41Aは、ランプスリーブ9と同様に汚れやすく、観察窓41の表面41Aに汚れが生じると、紫外線ランプ8の性能低下を正確に検出することができない。そこで、本実施の形態においては、上記ランプスリーブ清掃機構20には、更に、観察窓41の表面41Aを清掃する観察窓清掃機構50が設けられている。
【0025】
観察窓清掃機構50は、観察窓41の表面41Aを払拭する払拭体としての薄板状のクリーニングブレード51と、このクリーニングブレード51をクリーニングプレート32に連結するクリーニングサポート52と、このクリーニングサポート52にクリーニングブレード51を固定する固定プレート53とを有している。
クリーニングブレード51は、例えばフッ素樹脂製ゴム等の弾性部材から形成され、その先端51Aが平面視で略直線に延びている。クリーニングブレード51の先端51Aは、処理槽2の内周面2Aには接触しないが、その全体が観察窓41の表面41Aに接触可能な位置に配置される。本実施の形態では、例えば、処理槽2の中心軸Cから先端51Aの中央部までの距離Lが、処理槽2の内径Rよりも小さく、中心軸Cから観察窓41の表面41Aの中央部までの距離La(=R−δ)よりも大きい値になっている。
【0026】
クリーニングブレード51は、ねじ53Aによって、クリーニングサポート52と固定プレート53との間に固定される。
クリーニングサポート52は、ねじ52Aによってクリーニングプレート32に若干回動できるように固定されている。
【0027】
クリーニングブレード51は、クリーニングプレート32に設けられているため、クリーニングプレート32とともに、処理槽2内で上下に往復移動することとなる。したがって、クリーニングブレード51は、図1に示すように、通常時(非清掃時)、処理槽2の底部近傍であって、少なくとも導入ポート6よりも低い位置に停留し、そして、駆動モータ26が駆動されると、処理槽2内で上下に往復移動し、図3に示すように、この往復移動に伴って観察窓41の表面41Aを払拭する。
【0028】
ここで、クリーニングサポート52は、クリーニングプレート32に回動自在に固定されているため、クリーニングブレード51の一部がフランジ36あるいは観察窓41の表面41Aに接触すると、クリーニングブレード51が観察窓41の表面41Aの取り付け配置に倣うように、クリーニングサポート52がねじ52Aを中心にして回動する。したがって、製造誤差や組み立て誤差に伴う観察窓41の配置の歪みやずれがあっても、先端51A全体を観察窓41の表面41Aの取り付け配置に合わせて接触させることができるので、観察窓41の表面41Aを確実に払拭できる。これにより、観察窓41が清掃され、観察窓41の汚れの影響を受けずに紫外線センサユニット44によって紫外線検出を行うことが可能になる。
【0029】
このように、クリーニングブレード51は、クリーニングプレート32に設けられているため、処理槽2の内周面2Aから凹んだ位置に観察窓41の表面41Aを配置する必要がないので、表面41A近傍の水の淀みを防止でき、その結果、表面41Aへの汚れの付着を抑制できる。
本実施の形態では、観察窓41の表面41Aが処理槽2の内周面2Aよりも中心軸C側に突出し、クリーニングブレード51の先端51Aが内周面2Aよりも中心軸C側に位置しているため、クリーニングブレード51が内周面2Aを払拭することがなく、内周面2A及びクリーニングブレード51の磨耗を抑制できる。
【0030】
ここで、観察窓41の全領域をクリーニングブレード51によって清掃する必要はなく、少なくとも紫外線センサユニット44の測定範囲に対応する領域だけ清掃すれば良い。したがって、クリーニングブレード51としては、図2に示すように、紫外線センサユニット44の測定範囲幅Aを横断する程度の幅Wであれば十分である。
【0031】
本実施の形態では、3つの上述した紫外線検出ユニット40が設けられ、3つのクリーニングブレード51が1つのクリーニングプレート32に設けられているため、各紫外線検出ユニット40の観察窓41の清掃は、各個に独立したタイミングで行なわれるのではなく、互いに略同一のタイミングで行なわれる。
これにより、観察窓41の汚れによる誤差を、紫外線検出ユニット40のそれぞれの検出結果から取り除くことが可能となり、各紫外線検出ユニット40の測定条件を揃えられる。さらに、紫外線ランプ体3のランプスリーブ9の清掃と同じタイミングで、各紫外線検出ユニット40の観察窓41の清掃を行うことができるので、より正確に紫外線を測定することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態によれば、処理槽2内に内周面2Aに沿って移動するクリーニングプレート32を配設し、クリーニングプレート32に処理槽2内に面する側の観察窓41の表面41Aを払拭するクリーニングブレード51を備え、観察窓41の表面41Aを清掃可能としたため、例えば観察窓41に貫通孔を設けることなく、簡素な構成で観察窓41の表面41Aを洗浄して清浄に維持し、紫外線センサユニット44によって紫外線ランプ8の紫外線出力を正確に検出することができる。また、クリーニングブレード51をクリーニングプレート32に設けたため、処理槽2の内周面2Aから凹んだ位置に観察窓41の表面41Aを配置する必要がないので、表面41A近傍の水の淀みを防止でき、その結果、表面41Aへの汚れの付着を抑制できる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、ランプスリーブ9に沿って往復移動し、ランプスリーブ9の表面を清掃するクリーニングプレート32と、このクリーニングプレート32を駆動するボールねじ23とを備え、クリーニングプレート32に、処理槽2内に面する側の観察窓41の表面41Aを払拭するクリーニングブレード51を備え、このクリーニングブレード51をボールねじ23によって駆動し、観察窓41の表面41Aを清掃するため、例えばクリーニングブレード51を駆動する機構を別に設けることなく、簡素な構成で観察窓41の表面41Aを洗浄して清浄に維持し、紫外線センサユニット44によって紫外線ランプ8の紫外線出力を正確に検出することができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、処理槽2内に面する側の観察窓41の表面41Aを、処理槽2の内周面2Aより突出させたため、クリーニングブレード51が内周面2Aを払拭することがなく表面41Aだけを払拭し、内周面2A及びクリーニングブレード51の磨耗を抑制できる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、クリーニングブレード51は観察窓41の表面41Aの取り付け配置に倣うように回動自在に固定されるため、製造誤差や組み立て誤差があっても、クリーニングブレード51の先端51Aを観察窓41の表面41Aと略平行に配置でき、先端51A全体を観察窓41の表面41Aに接触させることができるので、観察窓41の表面41Aを確実に洗浄できる。
【0036】
但し、上記実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、クリーニングブレード51は、クリーニングプレート32に固定されていたが、ボールねじ23上を移動する別の移動体に固定されてもよい。また、アクチュエータ等を別途設け、このアクチュエータ等によって駆動されて処理槽2の中心軸C方向に移動する移動体にクリーニングブレード51を固定してもよい。
【0037】
また、上記実施の形態では、紫外線ランプ体3は、3本設けられていたが、中心軸Cの周りに等間隔に配置されていれば、3本に限られない。この場合、紫外線ランプ体3の本数と同数の紫外線検出ユニット40を、一群の紫外線ランプ体3の周囲を囲んで等間隔に配置することで紫外線の出力を正確に検出することが可能である。特に、紫外線ランプ体3の本数がN(N≧3)本である場合、紫外線検出ユニット40の個数を3個、或いは、Nの因数のうち、値が3以上の因数を紫外線検出ユニット40の個数とすれば、十分な精度で紫外線の出力を計測することができる。
また、1本の紫外線ランプ体3を中心軸C上に配置してもよい。この場合、ボールねじ23は、中心軸Cの周りに、この中心軸Cと平行に配置される。
【0038】
また、上記実施の形態では、処理槽2を円筒状に形成したが、処理槽2は、多角柱状であってもよく、また、不定形状であってもよい。さらに、処理槽2を湾曲させて曲管としてもよい。
また、上記実施の形態では、紫外線殺菌装置の一例として殺菌対象物が水である流水殺菌装置を例示したが、これに限らず、処理槽に紫外線ランプを内設し、殺菌対象物をこの処理槽内で移動させて紫外線殺菌装置であれば、任意の装置に本発明を適用することが可能である。また、殺菌対象物は、流体全般に適用することが可能であり、水などの液体、空気などの気体を例示することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 流水殺菌装置(紫外線殺菌装置)
2 処理槽
2A 内周面(内面、壁面)
3 紫外線ランプ体
8 紫外線ランプ
9 ランプスリーブ(保護管)
23 ボールねじ(駆動体)
32 クリーニングプレート(移動体)
41 観察窓(透光窓)
41A 表面
44 紫外線センサユニット(光センサ)
51 クリーニングブレード(払拭体)
C 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線ランプを挿入した処理槽内に殺菌対象物を導入し、前記紫外線ランプが放射する紫外線を前記殺菌対象物に照射して殺菌を行うと共に、前記処理槽の壁面に透光窓を設け、前記処理槽の外側から前記透光窓に近接させて光センサを配置し、当該光センサにより前記紫外線ランプの紫外線出力を検出する紫外線殺菌装置において、
前記処理槽内に前記壁面に沿って移動する移動体を配設し、前記移動体に前記処理槽内に面する側の前記透光窓の表面を払拭する払拭体を備え、前記透光窓の表面を清掃可能としたことを特徴とする紫外線殺菌装置。
【請求項2】
紫外線ランプを挿入した保護管を処理槽内に設け、この処理槽に殺菌対象物を導入し、前記紫外線ランプが放射する紫外線を、前記保護管を介して殺菌対象物に照射して殺菌を行うと共に、前記処理槽の側面に透光窓を設け、前記処理槽の外側から前記透光窓に近接させて光センサを配置し、当該光センサにより前記紫外線ランプの紫外線出力を検出する紫外線殺菌装置において、
前記保護管に沿って往復移動し、当該保護管の表面を清掃するクリーニングプレートと、このクリーニングプレートを駆動する駆動体とを備え、前記駆動体又は前記クリーニングプレートに、前記処理槽内に面する側の前記透光窓の表面を払拭する払拭体を備え、この払拭体を前記駆動体によって駆動し、前記透光窓の表面を清掃することを特徴とする紫外線殺菌装置。
【請求項3】
前記処理槽内に面する側の前記透光窓の表面を、前記処理槽の内面より突出させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項4】
前記払拭体は前記透光窓の表面の取り付け配置に倣うように回動自在に固定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紫外線殺菌装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−136062(P2011−136062A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298410(P2009−298410)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】