説明

組成物

【課題】様々な対象物に対して適用できる、優れた効果を示す組成物を提供することを主な目的とする。
【解決手段】銀化合物、ホウ素化合物、亜鉛化合物、銅化合物及び四塩化チタンの加水分解物を配合してなる組成物、及び四塩化チタンの部分加水分解物を含む液に、ホウ素化合物、亜鉛化合物、銅化合物及び銀化合物を、この順で配合することを特徴とする、当該組成物を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組成物の分野に関する。特に、消臭組成物、抗菌組成物、防カビ組成物並びに抗ウイルス組成物、海洋生物付着防止組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
銀は、亜鉛、銅、チタン等と共に消臭成分、抗菌成分、防カビ成分等として知られ、これらの成分が配合された消臭組成物が知られている(特許文献1〜3)。また、これらの成分を含む抗ウイルス剤も開発されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−234062号公報
【特許文献2】特開2008−148726号公報
【特許文献3】特開2011−126941号公報
【特許文献4】特開2011−042642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜4に示す消臭、抗菌、防カビ、抗ウイルスといった効果を示す組成物は、布に対して使用すると色が付いてしまう問題点を有している。このような問題点を改善するために、銀の配合量を軽減した組成物が存在するが、そうすると十分な消臭、抗菌、防カビ、抗ウイルスといった効果を示さないことになってしまう。
【0005】
そこで本発明は、様々な対象物に対して適用できる、優れた効果を示す組成物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、銀化合物と共に特定の成分を配合した組成物が、消臭、抗菌、防カビ、抗ウイルス並びに海洋生物付着防止といった優れた効果を示すことを見出した。
【0007】
本発明は、係る知見に基づいて完成されたものであり、下記に示す態様の発明を広く包含するものである。
【0008】
項1 銀化合物、ホウ素化合物、亜鉛化合物、銅化合物及び四塩化チタンの加水分解物を配合してなる組成物。
【0009】
項2 消臭組成物である上記項1に記載の組成物。
【0010】
項3 抗菌組成物である上記項1に記載の組成物。
【0011】
項4 防カビ組成物である上記項1に記載の組成物。
【0012】
項5 抗ウイルス組成物である、上記項1に記載。
【0013】
項6 海洋生物付着防止組成物である、上記項1に記載の組成物。
【0014】
項7 四塩化チタンの部分加水分解物を含む液に、ホウ素化合物、亜鉛化合物、銅化合物及び銀化合物を、この順で配合することを特徴とする、上記項1に記載の組成物を製造する方法。
【0015】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明に係る組成物
本発明に係る組成物に配合する銀化合物は、特に限定はされないが、例えば硝酸銀、酸化銀、硫化銀等が挙げられるが、用材の透明性及び効果の観点から硝酸銀であることが好ましい。
【0017】
このような銀化合物の配合量は特に限定はされないが、本発明に係る組成物100重量部に対して通常0.01〜1量部程度とすればよい。
【0018】
本発明に係る組成物に配合された銀化合物は、組成物中において銀イオンの状態で存在する。斯かる銀イオンの価数は、上述した本発明に係る組成物に配合する銀化合物によって区々ではあるが、1価であることが好ましい。
【0019】
本発明に係る組成物に配合するホウ素化合物は、特に限定はされないが、例えばホウ酸等が挙げられる。
【0020】
このようなホウ素化合物の配合量は特に限定はされないが、本発明に係る組成物100重量部に対して通常5〜20重量部程度とすればよい。
【0021】
本発明に係る組成物に配合されたホウ素化合物は、組成物中においてホウ酸イオンの状態で存在する。斯かるホウ酸イオンの状態は、上述した本発明に係る組成物に配合するホウ素化合物並びに本発明に係る組成物のpHによって区々であり、特に限定はされず、ホウ酸二水素イオン(HBO)、ホウ酸水素イオン(HBO2−)若しくはホウ酸イオン(BO3−)のいずれの状態であってもよい。
【0022】
本発明に係る組成物に配合する亜鉛化合物は、特に限定はされないが、例えば硝酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられるが、溶媒への溶解性等の観点から硝酸亜鉛であることが好ましい。
【0023】
このような亜鉛化合物の配合量は特に限定はされないが、本発明に係る組成物100重量部に対して通常5〜20重量部程度とすればよい。
【0024】
本発明に係る組成物に配合された亜鉛化合物は、組成物中において亜鉛イオンの状態で存在する。斯かる亜鉛イオンの価数は、上述した本発明に係る組成物に配合する亜鉛化合物によって区々ではあるが、2価であることが好ましい。
【0025】
本発明に係る組成物に配合する亜鉛化合物は、特に限定はされないが、例えば硝酸銅、酸化銅、硫化銅などが挙げられるが、溶媒への溶解性の観点から硝酸銅であることが好ましい。
【0026】
このような銅化合物の配合量は特に限定はされないが、本発明に係る組成物100重量部に対して通常5〜10重量部程度とすればよい。
【0027】
本発明に係る組成物に配合された銅化合物は、組成物中において銅イオンの状態で存在する。斯かる銅イオンの価数は、本発明にかかる組成物に配合する銅化合物によって区々ではあるが、2価である事が好ましい。
【0028】
本発明に係る組成物に配合する四塩化チタンの加水分解物とは、チタン原子が酸素原子を介して縮合した縮合体である。また、斯かる縮合体の末端にはチタン原子に水酸基を有する化学構造を有していてもよい。具体的な縮合体は特に限定はされないが、通常は1〜5重量%程度の四塩化チタンを水で70〜200倍に希釈して得られる縮合体とすればよい。
【0029】
このような四塩化チタンの部分加水分解物の配合量は特に限定はされないが、本発明に係る組成物100重量部に対して通常10〜50重量部程度とすればよい。
【0030】
なお、本発明に係る組成物には、チタン誘導体が配合されていてもよい。例えば、各種酸化チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等が挙げられる。これらのチタン誘導体の配合量は、本発明の様々な効果を損なわない限り特に限定はされず、適量を配合すればよい。
【0031】
本発明に係る組成物の溶媒は特に限定されず、水であっても、アルコール溶媒であってもよい。水系溶媒である場合、本発明に係る組成物のpHは通常5〜6程度である。また、アルコール溶媒である場合には、水を含有する混合溶媒であってもよい。ここで、アルコールとは特に限定はされず、例えばエタノール、ブタノール、メタノール等が挙げられ、臭気の観点からエタノールであることが好ましい。
【0032】
また、本発明に係る組成物中におけるアルコールの含有量は特に限定はされないが、本発明に係る組成物100重量部に対して、通常は30〜80重量部程度とすればよい。
【0033】
本発明に係る組成物は、上述の銀化合物、ホウ素化合物、亜鉛化合物、銅化合物及び四塩化チタンの加水分解物を一体不可分に配合させることにより、特に言及しない限り、消臭作用、抗菌作用、防カビ作用、抗ウイルス作用並びに海洋生物付着防止作用を発揮することから、消臭組成物、抗菌組成物、防カビ組成物、抗ウイルス組成物並びに海洋生物付着防止組成物として有用である。
【0034】
また、本発明に係る組成物は、生体に対して十分な安全性を有することから、様々な塗布対象に適用することが可能である。このような本発明に係る組成物の使用対象並びに使用量については、それぞれの作用によって区々であることから、それぞれの組成物の項で後述する。
【0035】
本発明に係る消臭組成物
上述のように、本発明に係る組成物は消臭作用を発揮することから、消臭組成物とすることができる。ここで、『消臭』とは、例えば人間に対して異臭を感じさせる成分(アンモニア、ホルムアルデヒド、硫化水素等)を分解若しく吸着等の処理に供して、係る異臭を感じさせないようにせしめることを意味し、従来用いられている『消臭』の意味を大きく逸脱するものではない。
【0036】
本発明に係る消臭組成物の使用対象は特に限定はされず、例えばカーテン、カーペット、布団、座布団、衣類、内壁等といった日常用品;風呂、台所、便所等といった物品に対して好適に使用することができる。
【0037】
本発明に係る消臭組成物の使用量は、使用対象、使用目的、使用環境等によって区々ではあるが、例えばカーテンに対して使用するのであれば、通常10〜20cc/m程度の使用量とすればよい。
【0038】
なお、本発明に係る組成物においては、亜鉛化合物及び/又はホウ素化合物は配合されていなくとも消臭作用を十分に発揮し得ることから、銀化合物、銅化合物及び四塩化チタンの加水分解物を配合してなる組成物も、本発明の消臭組成物に包含される。
【0039】
本発明に係る防カビ組成物
上述のように、本発明に係る組成物は防カビ作用を発揮することから、防カビ組成物とすることができる。ここで、『防カビ』とは例えば胞子形成する菌(Aspergillus属、Penicillium属、Paecilomyces属、Gliocladium属、Chaetomium属等)の生育、後述する使用対象への付着の阻害、当該菌を死滅せしめること等を意味し、従来用いられている『防カビ』の意味を大きく逸脱するものではない。
【0040】
本発明に係る防カビ組成物の使用対象は、特に限定はされず、例えばカーテン、カーペット、布団、座布団、衣類、内壁等といった日常用品;風呂、台所、外壁等といった構造物に対して好適に使用することができる。
【0041】
本発明に係る防カビ組成物の使用量は、使用対象、使用目的、使用環境等によって区々ではあるが、例えば外壁に対して使用するのであれば、通用10〜20cc/m程度の使用量とすればよい。
【0042】
本発明に係る抗菌組成物
上述のように、本発明に係る組成物は抗菌作用を発揮することから、抗菌組成物とすることができる。ここで、『抗菌』とは例えば細菌(大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌等)の生育、後述する使用対象への細菌の付着等の阻害、当該菌を死滅せしめること等を意味し、従来用いられている『抗菌』の意味を大きく逸脱するものではない。
【0043】
本発明に係る抗菌組成物の使用対象は、特に限定はされず、例えばカーテン、カーペット、布団、座布団、衣類、内壁等といった日常用品;風呂、台所、便所等といった構造物に対して好適に使用することができる。
【0044】
本発明に係る抗菌組成物の使用量は、使用対象、使用目的、使用環境等によって区々ではあるが、例えば便所に対して使用するのであれば、通用10〜20cc/m程度の使用量とすればよい。
【0045】
なお、本発明に係る組成物においては、亜鉛化合物及び/又はホウ素化合物は配合されていなくとも抗菌作用を十分に発揮し得ることから、銀化合物、銅化合物及び四塩化チタンの加水分解物を配合してなる組成物も、本発明の抗菌組成物に包含される。
【0046】
本発明に係る抗ウイルス組成物
上述のように、本発明に係る組成物は抗ウイルス作用を発揮することから、抗ウイルス組成物とすることができる。ここで、『抗ウイルス』とは、例えばインフルエンザウイルス等といったウイルスの生育、後述する使用対象へのウイルスの付着、細胞、特に人体の細胞へのウイルスの感染等の阻害、当該ウイルスの不活化等といった効果を意味し、従来用いられている『抗ウイルス』の意味を大きく逸脱するものではない。
【0047】
本発明に係る抗ウイルス組成物の使用対象は、特に限定はされず、例えばカーテン、カーペット、布団、座布団、衣類、内壁等といった日常用品;バス、地下鉄、車両等といった構造物に対して好適に使用することができる。
【0048】
本発明に係る抗ウイルス組成物の使用量は、使用対象、使用目的、使用環境等によって区々ではあるが、例えばバスに対して使用するのであれば、通用10〜20cc/m程度の使用量とすればよい。
【0049】
本発明に係る海洋生物付着防止組成物
上述のように、本発明に係る組成物は海洋生物の付着防止効果作用を発揮することから、海洋生物付着防止組成物とすることができる。後述する物品への海洋生物の付着は、海洋にて生息する菌類が当該物品に対して膜を形成し、斯かる膜を足場にして、海洋生物が付着すると考えられている。
【0050】
ここで、『海洋生物』とは例えばトコブシ、フジツボといった貝類、藻類等が挙げられ、特に限定はされない。
【0051】
本発明に係る海洋生物付着防止組成物の使用対象は、特に限定はされず、例えば船底、プロペラ、エンジン、操舵室、スクリュー、船腹等といった船舶若しくは船舶の部位に対して好適に使用することができる。
【0052】
本発明に係る海洋生物付着防止組成物の使用量は、使用対象、使用目的、使用環境等によって区々ではあるが、例えば船腹に対して使用するのであれば、通用10〜30cc/m程度の使用量とすればよい。
【0053】
海洋には、塩素イオンが多く含まれているにもかかわらず、本発明に係る組成物を海洋の環境下において使用しても、その有効成分である銀、亜鉛、銅といった成分は、塩化物となっても沈殿せずにその効果を発揮し続ける。
【0054】
以上のことから、本発明に係る組成物は、海洋環境下においても十分な抗菌作用を発揮し、それに伴って海洋にて生息する菌類による上述の物品に対する膜の形成を阻害し、結果として上述の海洋生物の付着を防止するものである。
【0055】
本発明に係る組成物の製造方法
本発明に係る組成物の製造方法は、四塩化チタンの加水分解物を含む液に、ホウ素化合物、亜鉛化合物、銅化合物及び銀化合物を、この順で配合することを特徴とする、上記項1に記載の組成物を製造する方法である。四塩化チタンの加水分解物を含む液は、上述の溶媒とすればよい。
【0056】
具体的な四塩化チタンの加水分解物、ホウ素化合物、亜鉛化合物、銅化合物及び銀化合物は、上述の通りであり、これらの配合量も上述の通りとすればよい。これらの化合物は予め溶液の状態に調整して、四塩化チタンの加水分解物を含む液に配合してもよい。
【0057】
製造時の温度は、特に限定はされないが通常は0〜40℃程度の室温とすればよい。上述の化合物を混合した後に、撹拌の工程が含まれていても良く、得られた本発明に係る組成物中に固形物が出現する場合には、公知の固液分離工程に供して、かかる固形物を除去すればよい。
【発明の効果】
【0058】
本発明に係る組成物は、以下の挙げる効果を有する。ただし、本発明に係る組成物は、これらの全ての効果を具備するものに限定はされず、各々の効果を有する組成物を包含するものである。
【0059】
本発明に係る組成物は、消臭作用、抗菌作用、防カビ作用、抗ウイルス作用並びに海洋生物付着防止作用を発揮する。
【0060】
本発明に係る組成物は、生体に毒性を示さないことから、日常生活にて用いる物品に対して適用することが可能である。
【0061】
本発明に係る組成物は、平滑な面を有する物品に対しても十分な密着性を有するので、使用量を多くする必要が無く経済的である。また、本発明に係る組成物を適用した物品を繰り返し洗浄してもその効果が減衰しにくいといった効果も有する。また、本発明に係る組成物は、海洋環境化において用いても、その効果が減衰しにくい傾向であるため、船底等といった適用回数に制限の有る対象物に対して好適である。
【0062】
本発明に係る組成物は、白地又は透明な物品に対して用いても、着色しにくい傾向であるため、カーテン、カーペット、布団、座布団、衣類、内壁等といった日常用品に好適に用いることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
<試験例>
製造方法
24重量%の四塩化チタン水溶液を4%に水で希釈した四塩化チタンの加水分解物18gとチタン誘導体90gを、600gのエタノールを含む溶媒(日本アルコール販売株式会社:製品名AP−7)に添加した。
【0064】
得られた混合物を10倍に薄めた1000ccに対して、12gのホウ酸(固形物)、12gの硝酸亜鉛(結晶)、2gの硝酸銅(結晶)、水に硝酸銀を2%溶解した2%の硝酸銀水溶液を添加し、室温にて混合した。かくして得られた組成物のpHは、6程度であり、ほぼ透明か、やや青みがかった色を呈した。
【0065】
<安全性試験>
上述の組成物を、SD系ラットを用いた急性経口毒性試験に供したところ、2000mg/kgで投与しても、死亡例が無かった(LD50>2000mg/kg;GHS分類ではカテゴリー5に該当)。以上のことから、製造した組成物が十分な安全性を有することが明らかとなった。
【0066】
<消臭効果>
上述の組成物を、硫化水素、ホルムアルデヒド、並びにアンモニアを対象とした消臭試験に供したところ、約2時間後に75%程度、約24時間後には、90%程度の硫化水素が減少するといった結果が得られた。また、約2時間後に、70%程度のホルムアルデヒドが減少するといった結果も得られた。
【0067】
さらに、アンモニアに関しては、約2時間後に99%程度もの現象が確認された。なお、アンモニアを対象とした消臭試験では、上述の硝酸亜鉛及び/またはホウ酸を含有しない組成物においても、同様の消臭効果が得られるといった結果が和えられている。
【0068】
<抗菌効果>
上述の組成物を大腸菌、黄色ブドウ球菌を対象とした抗菌作用に供したところ、これらの菌の増殖を好適に阻害することが明らかとなった。なお、大腸菌に対する試験において、上述の硝酸亜鉛及び/又はホウ酸を含有しない組成物であっても、十分な増殖阻害効果を有することが明らかとなった。
<防カビ効果>
上述の組成物を、Aspergillus niger、Penicillium funiculosum、Paecilomyces variotti、Gliocladium virens、Chaetomium globosumを対象とした防カビ試験に供したところ、これらのカビの生育が阻害されることが明らかとなった。
【0069】
また、カビが発生している浴室の壁面に対して塩素系のカビ除去剤を用いてカビを除去した後に、上述の組成物を20cc/mにて施工を行った。一ヵ月後に確認したところ、カビの発生は見られないことが明らかとなった。
<抗ウイルス効果>
上述の組成物を布地に適用し、当該布地においてA型インフルエンザウイルス(H1N1)の不活化作用の有無を検討した。当該組成物を布地に適用してから五分後のインフルエンザウイルスの感染価を評価したところ、十分なインフルエンザウイルスの不活化作用が確認された。以上のことから、上述の組成物は、抗ウイルス効果を有することが明らかとなった。
【0070】
次いで、A型インフルエンザウイルスに代えて大腸菌ファージMS2 NBRC 102619を用い、本発明の組成物で不織布を処理したものを実施例とし、未処理の単なる不織布を比較例とした実験を行った。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
以上に示す結果から、上記<試験例>の製造方法にて得られる本発明の組成物は、不織布に適用しても優れた抗ウイルス効果を発揮する事が明らかとなった。
【0073】
<海洋生物付着防止効果>
上述の組成物を船底に具備されたプロペラに塗布し、数ヶ月間、通常の海洋での航行を行った後、塗布部とそれ以外の場所で、海洋生物の付着の有無を確認したところ、塗布部以外ではフジツボなどの海洋生物が多数付着していたのに対して、塗布部ではその付着数が少ないことが明らかとなった。
【0074】
<不織布に対する抗菌性試験>
試験はJSS L 1902:2008の定量試験(菌液吸収法)に基づいて実施した。試験菌株は、大腸菌 NBRC 3301を用いた。試験結果を表2に示す。なお、試験菌液には0.05%のTween80を添加したものを用いて実施したものである。また、PRE―B(1〜3)はすべて、上述の本発明の組成物を不織布に適用したものである。
【0075】
【表2】

【0076】
以上に示す結果から、上記<試験例>の製造方法にて得られる本発明の組成物は、不織布に適用しても優れた抗菌効果を発揮する事が明らかとなった。
【0077】
<不織布に対する抗菌性試験>
上述の本発明の組成物を不織布に適用したものに対して、繊維評価技術協議会の消臭加工繊維製品認証基準に基づいた機器分析実施マニュアル(アンモニア法)に供した実験を行った。その結果、アンモニアの減少率が93〜98%と非常に高い消臭効果を発揮する事が明らかとなった。
【0078】
以上のことから、本発明の組成物は不織布に適用しても優れた消臭効果を発揮する事が明らかとなった。
<不織布に対する防カビ試験>
試験はJIS Z 2911の繊維製品の試験・湿式法に基づいて実施した。試験かび菌株は、Aspergillus niger ATCC 6275、Penicillium citrinum ATCC 9849,Chaetomium globosum ATCC 6205、及びMyrothecium verrucaria ATVV 9095を用いた。
【0079】
具体的には、無機塩観点培地中に、上述の本発明の組成物を不織布に適用したものをサンプルとして貼付し、上述の4つのカビ菌液を噴霧して26〜30℃で14日間培養後、サンプル上でのカビの生育を観察した。
【0080】
その結果、14日までの間、カビの生育が認められないことが明らかとなった。
【0081】
以上のことから、本発明の組成物は不織布に適用しても優れた防カビ効果を発揮する事が明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀化合物、ホウ素化合物、亜鉛化合物、銅化合物及び四塩化チタンの加水分解物を配合してなる組成物。
【請求項2】
消臭組成物である上記項1に記載の組成物。
【請求項3】
抗菌組成物である上記項1に記載の組成物。
【請求項4】
防カビ組成物である上記項1に記載の組成物。
【請求項5】
抗ウイルス組成物である、上記項1に記載。
【請求項6】
海洋生物付着防止組成物である、上記項1に記載の組成物。
【請求項7】
四塩化チタンの部分加水分解物を含む液に、ホウ素化合物、亜鉛化合物、銅化合物及び銀化合物を、この順で配合することを特徴とする、上記項1に記載の組成物を製造する方法。

【公開番号】特開2013−75886(P2013−75886A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194920(P2012−194920)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(503330990)株式会社YOOコーポレーション (5)
【Fターム(参考)】