説明

組立て浴槽とブース

【課題】 不使用時はコンパクトに収納できて占有空間が狭小で足りる省スペースである一方で、必要時には簡易迅速に組み立てて使用することができる組立て浴槽を実現する。
【解決手段】 着脱テープによる接合により角錐台状の箱体となるように材料にプラスチック段ボールを用いて浴槽部11を形成する。材料にプラスチック段ボールを用いた補強材12を浴槽部11に重ね合わせて配設する。材料にプラスチック段ボールを用いたフレーム部13a,13,14a,14bを浴槽部11の上端部に配設する。パイプ21a,21bおよび棒材31a,31bをフレーム部13a,13,14a,14bに取り付ける。排水ホース16が接続される開閉弁15を浴槽部11に装着する。供給される湯を溜めるための湯溜袋を浴槽部11内に収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組立て浴槽とブースに関する。より詳しくは、とくに災害発生時などの緊急時に有用なものであって、不使用時は、コンパクトに収納できて占有空間が狭小で足りる省スペースである一方で、災害発生などにより使用が必要になれば、簡易迅速に組み立てて使用することができるとともに、使用が不要になれば簡便に撤去することが可能な組立て浴槽とブースを提供せんとするものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、震度の大きい地震の発生により、家屋が倒壊したり、あるいは、倒壊しないまでも余震の可能性があり、そのまま家屋内に留まるのが危険である場合は、体育館や公民館などの公的施設を避難所として罹災者が避難することが行われている。
【0003】
また、近隣に体育館や公民館などが存在しない場合、あるいは、存在しても多数の罹災者が集まる避難所を敬遠する場合は、所有する自動車内で地震が終息するまで過ごす罹災者も存在する。
【0004】
しかし、罹災者が体育館や公民館などの公的施設に避難する場合は、多数の罹災者が同一空間内で隣り合わせて生活を送るため、個々人のプライバシーが守られないことになる。また、避難生活が長期間にわたると、精神的な抑圧のため肉体的、精神的に変調をきたす罹災者も現れてくる。
【0005】
また、体育館や公民館などではなく、避難のため自動車内で過ごす場合は、それが同じ姿勢のままの状態で長時間継続すると、航空機の乗客が発症する、いわゆるエコノミークラス症候群(肺動脈血栓塞栓症)と同様の症状が起き、死に至る事態が発生することも指摘されている。
【0006】
そこで、段ボールを用いた皿状の床部と、床部上に載置される、窓部を形成するための切れ目及び取っ手を有する扉部を形成するための切れ目が設けられた段ボールを用いた筒状の壁部と、壁部の上端部に嵌合して配設される、段ボールを用いた皿状の屋根部とにより構成される緊急時用のシェルター、およびシェルター内で避難生活を送る場合に使用する段ボール製のベッドや便器などが提案されている。
【特許文献1】実用新案登録第3135758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来例によると、簡易迅速な組立てが可能であり、また、体育館や公民館などに避難する場合とは異なり個々人のプライバシーが守られるものの、例えば、シェルター内での避難生活が長期間となり、しかも、時期が気温が高い季節であるような場合に、入浴を望むときは、大衆浴場を利用するか、あるいは、浴槽に防水テント生地を用い多数の者が入浴することができる野外用の入浴手段が提供されれば、これを利用することになる。しかし、これらは、多数の者が同時に入浴するものであるため、入浴を逡巡する者もおり、また、入浴しても入浴時間が制限されてしまう。
【0008】
他方、近隣に大衆浴場が存在しない場合や存在しても大衆浴場も災害により被害を被って利用することができない場合、また、野外用の防水テント生地を用いた入浴手段が提供されない場合は、入浴を断念せざるを得ないことになる。以上のような解決すべき課題が、上記従来例にはあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記課題に照らし、本発明はなされたものである。そのために、本発明では、プラスチック段ボールを材料として着脱手段を用いて浴槽部を箱体に形成する。浴槽部の一側壁の下端部に孔を設け、この孔を貫通する、供給された湯を排出するための排水ホースが接続される開閉弁を装着する。相互に係止するための係止手段を有するプラスチック段ボールを用いた断面凹字状のフレーム部を、浴槽部の上端部に固着する。供給された湯を排出するための孔が設けられた、防水性を有する素材からなる湯を溜めるための湯溜袋を、浴槽部内に収容する。
【0010】
また、プラスチック段ボールを材料として四角皿状に形成された床部と、床部上に載置される、少なくとも開閉扉が設けられた壁部構成材を含む4つの壁部構成材が折り畳み可能に繋ぎ合わされて四角筒状に形成されたプラスチック段ボールを用いた壁部と、壁部の上端部に嵌合して配設される、プラスチック段ボールを用いて四角皿状に形成された屋根部とによりブースを構成する。以上のような手段を用いるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるならば、不使用時は、省スペースすなわちコンパクトに収納できて占有空間が狭小ですむ。他方、災害発生時などの緊急時には、簡易迅速に組み立てて使用することが可能であり、かつ、災害などが終息した後は簡易に撤去することができる。また、材料としてプラスチック段ボールを用いていることから、耐水性および耐油性に優れ、また、緩衝性・耐久性・断熱性を確保することができる。したがって、本発明によりもたらされる効果は、実用上極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明による組立て浴槽は、着脱手段を用いて箱体に形成されるとともに、一側壁の下端部に設けられた孔を貫通する、供給された湯を排出するための排水ホースが接続される開閉弁が装着されたプラスチック段ボールを用いた浴槽部と、浴槽部の上端部に固着され相互に係止するための係止手段を有するプラスチック段ボールを用いた断面凹字状のフレーム部と、浴槽部内に収容され、供給された湯を排出するための孔が設けられた、防水性を有する素材からなる供給される湯を溜めるための湯溜袋とからなる。また、本発明によるブースは、プラスチック段ボールを材料として四角皿状に形成された床部と、床部上に載置される、少なくとも開閉扉が設けられた壁部構成材を含む4つの壁部構成材が折り畳み可能に繋ぎ合わされて四角筒状に形成されたプラスチック段ボールを用いた壁部と、壁部の上端部に嵌合して配設される、プラスチック段ボールを用いて四角皿状に形成された屋根部とからなる。以下、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の一実施例を、図1に示し説明する。ここで、図1は、本実施例における組立て浴槽の構成を示す斜視図である。
【0014】
図1において、本実施例における浴槽は、角錐台状の箱体に形成されており、浴槽部11と、浴槽部11の内側に重ね合わせて配設された補強材12と、たわみ防止のための各フレーム部13a,13,14a,14bと、浴槽が角錐台状の箱体の形態を保持するための各パイプ21a,21bおよび各棒材31a,31bと、浴槽部11に装着された開閉弁15と、開閉弁15に接続された、浴槽内に供給された湯を排出するための排水ホース16と、浴槽部11内に収容される、ここでは図示されてはいない供給される湯を溜めるための湯溜袋とにより構成されている。
【0015】
図2は、図1に示した浴槽部11の展開図であり、図中の破線は、折り曲げ線を示している(破線が折り曲げ線を示すことは、以下の各展開図において同じ)。各側壁17a,17bと重ね合わされる各重合片18a〜dの表面には、プラスチックの細い繊維からなる細かいフック状のものを表面に無数に密生させた着脱テープ19が、それぞれ6つずつ固着されている。また、各側壁17a,17bの裏面には、破線で示すように、各重合片18a〜dに固着された6つずつの着脱テープ19と接合する、それぞれ12の着脱テープ19が固着されている。
【0016】
このような構成の浴槽部11の材料には、図3(a)(断面図)に示すように、ポリプロピレンを用いた2枚のライナー・シート200a,200bと、これらにより挟まれた、ポリプロピレンを用いた中芯201とにより構成されるもの(以下、「プラスチック段ボール」という。)が使用されている。中芯201は、図3(b)(一部を切り欠いた斜視図)に示すように、狭幅のリボン状に形成され、一軸方向において等間隔に配されており、図2の一部を切り欠いた表示には、この中芯201の配列方向が示されている(一部を切り欠いた表示が中芯201の配列方向を示している点は、以下の各展開図において同じ)。このようなプラスチック段ボールは、耐水性・耐油性をはじめとして緩衝性・耐久性・断熱性を有するものとして公知のものである。
【0017】
用いるプラスチック段ボールの厚さtは、本実施例では4mmであるが、本発明は、これに限定されるものではない。また、浴槽部11のサイズは、本実施例では、長手方向における最大幅が1302mm、短手方向における最大幅が656mm、高さが528mmである。なお、図1に示した補強材12および各フレーム部13a,13b,14a,14bにも、浴槽部11と同一の材料を使用している。
【0018】
図4は、図1に示した浴槽部11の内側に重ね合わせて配設される補強材12の展開図である。この補強材12は、浴槽内に湯が供給された場合の浴槽としての強度を確保するためのものである。補強材12は、浴槽部11に内接するサイズに形成されており、適宜の箇所においてスポット状に浴槽部11に超音波溶着されている。
【0019】
図5は、図1に示した各フレーム部13a,13b,14a,14bの展開図であり、図5(a)は、浴槽部11の長手方向の上端部に配設されるフレーム部13aの構成を示し、図5(b)は、浴槽部11の短手方向の上端部に配設されるフレーム部14aの構成を示している。これらのフレーム部13a,14aは、断面凹字状に折り曲げられて、重ね合わされた浴槽部11および補強材12に、スポット状に適宜の箇所においてそれぞれ溶着されている。なお、図5(a)および(b)では、説明を簡単にするため、それぞれ一方のフレーム部13a,14aの構成のみを図示したが、他方のフレーム部13b,14bの構成も同一である。
【0020】
図6(a)は、図1に示した、浴槽が角錐台状の箱体の形態を保持するためのパイプ21aの構成を示す側面図である。このパイプ21aの素材は、本実施例ではステンレスであり、両端部には円錐台状に形成されたプラスチック製のキャップ22a,22bが、それぞれ嵌合して固着されている。ここにおけるパイプ21aは、図6(b)(断面図)に示すように、フレーム部13aの折り返し部分と浴槽部11および補強材12の端部との間の空隙内に挿通されるようにして、対向する1対のフレーム部13a,13bに取り付けられている。
【0021】
図6(c)は、図6(a)に示したパイプ21aとともに浴槽が角錐台状の箱体の形態を保持するための棒材31aの構成を示す側面図である。この棒材31aの素材も、本実施例ではステンレスであって、両端にはコ字状に形成された係止部32a,32bを有しており、係止部32a,32bが、図6(d)(斜視図)に示すように、パイプ21aに係止することにより、浴槽が角錐台状の箱体の形態を保持し得るようになっている。なお、棒材31aは、パイプ21aについて図6(b)に示したところと同様にして、フレーム部14a(図1)の折り返し部分と浴槽部11の端部との間の空隙内に挿通されるようにして、対向する1対のフレーム部14a,14bに取り付けられている。なお、図6(a)および(c)では、説明の簡単のため、それぞれ一方のパイプ21aおよび棒材31aの構成のみを図示したが、他方のパイプ21bおよび棒材31bの構成も同一である。
【0022】
図7(a)は、図1に示した浴槽部11内に収容される、供給される湯を溜めるための湯溜袋41の構成を示す斜視図である。この湯溜袋41は、本実施例では、素材に透明の軟質のポリエチレンが用いられて箱体状に形成されており、一側壁の下端部に円形の孔42が設けられている。ここにおける孔42は、入浴が終了した後に、湯溜袋41内の湯を排出するためのものである。
【0023】
すなわち、図7(b)(部分断面図)に示すように、浴槽部11の一側壁の下端部に設けられた孔を貫通して装着された開閉弁15の端部開口と、湯溜袋41に設けられた孔42とを一致させたうえで、開閉弁15の端部を覆っている湯溜袋41の上からナット20を開閉弁15の端部に螺合させる。これにより、湯溜袋41内の湯は、開閉弁15およびこれに接続された排出ホース16を介して外部に排出されることになる。なお、湯溜袋41の素材は、ポリエチレンに限られるものではなく、防水性を有する素材であればよい。
【0024】
以上の各構成要素からなる浴槽を使用する場合は、図1に示した状態となるように、浴槽部11の側壁となる部分を折り曲げ線(図2参照)に沿ってそれぞれ折り曲げて立ち上げ、かつ、各重合片18a〜dを折り曲げ線に沿ってそれぞれ折り曲げたうえで、着脱テープ19により重なる部分を接合する。重なる部分を接合したならば、図6(d)により説明したように、各パイプ21a,22bの両端部に、各棒材31a,31bの係止部32a,32bをそれぞれ係止すれば、組立てが完了する。組立てが完了するまでの所要時間は、数分程度である。
【0025】
そこで、浴槽部11内に収容された湯溜袋41の内部に、適度の温度の湯を供給し、湯が入浴に充分な量に溜まったならば、入浴することができることになる。そして、入浴が終了したならば、開閉弁15およびこれに接続された排出ホース16を介して、湯溜袋41内の湯を外部に排出することになる。
【0026】
入浴が終了して湯を排出した後は、各パイプ21a,22bの両端部に係止されている各棒材31a,31bの係止部32a,32bをそれぞれ外し、着脱テープ19による浴槽部11における重なる部分の接合状態を解除すれば、容易に移動させて他の場所に保管することができる。しかも、占有空間が狭小で足り、コンパクトに収納しておくことが可能である。
【0027】
以上においては、浴槽部11のサイズが、長手方向における最大幅が1302mm、短手方向における最大幅が656mm、高さが528mmである場合について説明した。これは、人間が入浴するのに適したサイズとして設定したものであるが、サイズをより小さいものとするならば、愛玩動物用の浴槽として利用することもできる。
【0028】
図8は、以上説明した浴槽を配置して入浴するのに適したブースの構成を示す斜視図である。ここに示したブース50は、屋根部60と、壁部70と、床部100とにより構成されている。ここで、屋根部60の構成と床部100の構成は同一であり、以下では、屋根部60および壁部70の構成について説明する。
【0029】
図9は、屋根部60の構成を示す斜視図である。屋根本体61は四角皿状に形成され、対向する1対の側壁の内側には、図10(展開図)に示すように、強度を確保するための帯状の各補強材62a,62bが溶着されている。屋根本体61および各補強材62a,62bの材料は、上述した浴槽部11などに用いられている材料と同一であるが、採光性を考慮して半透明のプラスチック段ボールが使用されている。屋根本体61のサイズは、本実施例では、長手方向の長さが2042mm、短手方向の長さが1406mm、側壁の高さが97mmである。
【0030】
図9において、屋根本体61の各側壁の縁部には、屋根本体61がたわむのを防止するために、断面凹字状のプラスチック製の各フレーム63a,63b,64a,64bが嵌合して固着されている。また、各フレーム63a〜dの端部どうしが近接する四隅には、断面凹字状で平面L字状のプラスチック製の各コーナー・アングル65a〜dが嵌合して固着されている。
【0031】
図11は、図8に示した壁部70の構成を示す斜視図である。壁部70は、それぞれL字状に折り曲げられた4つの壁部構成材71,76,80,84により四角筒状に形成されている。壁部構成材71,76,80,84の材料は、屋根本体61の材料と同じであるが、外部からブース50の内部が視認できないようにするために、例えば黄色、オレンジ色などの色彩を有するものを使用している。
【0032】
図12(a)は、正面の側壁となる壁部構成材71の展開図である。この壁部構成材71には、取っ手73が取り付けられた出入り用の開閉扉72が設けられており、その縁部には、断面凹字状のプラスチック製のフレーム74が嵌合して固着され、このフレーム74が接合する壁部構成材71側にも断面凹字状のプラスチック製のフレーム75が嵌合して固着されている。開閉扉72の材料は、壁部構成材71の材料と同一である。
【0033】
図12(b)は、開閉扉72が設けられている壁部構成材71と隣り合う壁部構成材76の展開図である。この壁部構成材76の上部には、方形の開閉窓77が設けられており、その縁部には、断面凹字状のプラスチック製のフレーム78が嵌合して固着され、このフレーム78が接合する壁部構成材76側にも断面凹字状のプラスチック製のフレーム79が嵌合して固着されている。開閉窓77の材料は、壁部構成材76の材料と同一である。
【0034】
図13(a)は、方形の開閉窓77が設けられている壁部構成材76と隣り合う壁部構成材80の展開図である。この壁部構成材80の上部には、細長方形の開閉窓81が設けられており、その縁部には、断面凹字状のプラスチック製のフレーム82が嵌合して固着され、このフレーム82が接合する壁部構成材80側にも断面凹字状のプラスチック製のフレーム83が嵌合して固着されている。開閉窓81の材料は、壁部構成材80の材料と同一である。なお、壁部構成材71に開閉扉72を設けることは、本発明の構成上の必須要件であるが、開閉窓77,81を設けることは、必ずしも構成上の必須要件ではない。
【0035】
図13(b)は、細長方形の開閉窓81が設けられている壁部構成材80と隣り合う壁部構成材84の展開図である。
【0036】
以上の壁部70を構成する各壁部構成材71,76,80,84のサイズは、本実施例では、すべて縦が1800mm、横が1588mmである。なお、配設する開閉窓の個数・形状・サイズ・配設位置は、図示したものに限られるものではなく、適宜設定するようにすればよい。
【0037】
以上のような構成の各壁部構成材71,76,80,84の屋内側となる面には、図14に示すように、各壁部構成材71,76,80,84の形状に対応するように形成された各補強材85,86a〜d,87〜89が溶着されている。各補強材85,86a〜d,87〜89の材料は、壁部構成材71,76,80,84の材料と同一である。
【0038】
このような補強材85,86a〜d,87〜89が溶着された各壁部構成材71,76,80,84は、四角筒状となるように相互に繋ぎ合わされている。すなわち、図15に示すように、補強材85,86a〜d,87〜89と同一の材料の、幅が異なる2種の帯状の繋ぎ材90a,90b,91a,91bを用い、これを溶着することにより各壁部構成材71,76,80,84を相互に繋ぎ合わせている。なお、図面上で左端の壁部構成材80と右端の壁部構成材84は、繋ぎ材90aにより繋ぎ合わされる。
【0039】
このようにして繋ぎ合わされた、補強材85,86a〜d,87〜89が溶着された各壁部構成材71,76,80,84の上下両端部には、図11に示すように、断面凹字状のプラスチック製の長短2種の各フレーム92a〜c,93a〜fが嵌合して固着されている。そして、各フレーム92a〜c,93a〜fの端部どうしが近接する箇所には、断面凹字状でプラスチック製の回転式のコーナー・アングル94a〜iが嵌合して固着されている。すなわち、壁部70は、折り畳めるように構成されている。
【0040】
なお、開閉扉72および各開閉窓77,81は、外部側に引っ張られて開かないようにするために、開閉扉72および各開閉窓77,81の屋内側の面に着脱テープを固着し、これと接合する着脱テープを壁部構成材71,76,80の屋内側に固着するとよい。また、開閉扉72および各開閉窓77,81が、外部からブース50の内部側に押し込まれて開かないようにするために、ストッパーとして、例えば板状の部材を、壁部構成材71,76,80の屋内側に配設するとよい。
【0041】
以上のように構成されたブース50は、不使用時は、図16に示すように、折り畳んだ壁部70を床部100内に載置して収容し、上から屋根部60により覆って保管しておくことができる。すなわち、占有空間が狭小で足り、コンパクトに収納することが可能である。
【0042】
他方、災害発生時などの緊急時においてブース50を使用する場合は、まず、折り畳んだ壁部70を覆っている屋根部60を取り除く。屋根部60を取り除いたならば、横置きされている壁部70を垂直に起こしたうえで、床部100上で壁部70を四角筒状となるように展開する。壁部70が四角筒状に展開されたならば、壁部70の上端部に屋根部60を嵌合して取り付ける。これによりブース50の組立ては完了し、使用可能な状態となる。組立てが完了するまでの所要時間は、数分程度であり、極めて簡易迅速に組み立てることができる。
【0043】
なお、屋根部60の側壁内側と壁部70の外壁上端部、および床部100側壁内側と壁部70の外壁下端部のそれぞれの適宜の箇所に着脱テープを配設すれば、屋根部60と壁部70上端部との重合状態、および床部100と壁部70下端部との重合状態のそれぞれの密着性を確保することができる。
【0044】
また、図17(a)(斜視図)に示すように、壁部70の下部四周に、例えば透明のポリエチレン製の帯状の防水シート95を、その下端部を両面テープなどを用いて固着し、図17(b)に示すように、上端部側から折り返して壁部70の下部および床部100の側壁をスカート状に覆うようにするならば、雨水がブース50内に浸入するのを防ぐことができる。
【0045】
以上においては、外部からブース50の内部を視認できないようにするために、壁部70の材料として色彩を有するプラスチック段ボールを用いる場合について説明した。これに対して、屋根部60および床部100だけでなく壁部70にも、その材料として半透明のプラスチック段ボールを使用して採光性を確保するならば、本発明によるブース50は、家庭菜園用の温室としても利用することが可能となる。その場合は、壁部構成材に補強材を重ね合わせる構成としなくてよい。
【0046】
また、本発明によるブース50は、とくに災害発生時などの緊急時において有用性を発揮するが、緊急時における使用だけでなく、その他にも、例えばイベント用のブース50として利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した浴槽部の構成を示す展開図である。
【図3】図1に示した浴槽部の材料の構成を示す構成図である。
【図4】図1に示した補強材の構成を示す展開図である。
【図5】図1に示したフレーム部の構成を示す展開図である。
【図6】図1に示したパイプおよび棒材の構成を示す構成図である。
【図7】図1に示した浴槽部の内部に収容される湯溜袋の構成を示す構成図である。
【図8】図7に示した浴槽を配置するのに適したブースの構成を示す斜視図である。
【図9】図8に示した屋根部の構成を示す斜視図である。
【図10】図9に示した屋根部の展開図である。
【図11】図8に示した壁部の構成を示す斜視図である。
【図12】図11に示した壁部を構成する壁部構成材の構成を示す展開図である。
【図13】図12とともに図11に示した壁部を構成する壁部構成材の構成を示す展開図である。
【図14】図12および図13に示した各壁部構成材を補強するための補強材の構成を示す構成である。
【図15】図12および図13に示した各壁部構成材を繋ぎ合わせて四角筒状に形成するための構成を示す構成図である。
【図16】図8に示したブースの不使用時に収納する場合の手順を説明するための説明図である。
【図17】図8に示したブース内への雨水の浸入を防ぐための構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0048】
11 浴槽部
12 補強材
13a,13b,14a,14b フレーム部
15 開閉弁
16 排水ホース
17a,17b 側壁
18a〜18d 重合片
19 着脱テープ
20 ナット
21a,21b パイプ
22a,22b キャップ
31a,31b 棒材
32a,32b 係止部
41 湯溜袋
42 孔
50 ブース
60 屋根部
61 屋根本体
62a,62b 補強材
63a,63b,64a,64b フレーム
65a〜65d コーナー・アングル
70 壁部
71 壁部構成材
72 開閉扉
73 取っ手
74,75 フレーム
76 壁部構成材
77 開閉窓
78,79 フレーム
80 壁部構成材
81 開閉窓
82,83 フレーム
84 壁部構成材
85,86a〜86d,87,88,89 補強材
90a,90b,91a,91b 繋ぎ材
92a〜92c,93a〜93f フレーム
94a〜94i コーナー・アングル
95 防水シート
100 床部
200a,200b ライナー・シート
201 中芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱手段(19)を用いて箱体に形成されるとともに、一側壁の下端部に設けられた孔を貫通する、供給された湯を排出するための排水ホース(16)が接続される開閉弁(15)が装着されたプラスチック段ボールを用いた浴槽部(11)と、
前記浴槽部の上端部に固着され相互に係止するための係止手段(21a,21b,31a,31b)を有する前記プラスチック段ボールを用いた断面凹字状のフレーム部(13a,13b,14a,14b)と、
前記浴槽部内に収容され前記供給された湯を排出するための孔(42)が設けられた、防水性を有する素材からなる供給される前記湯を溜めるための湯溜袋(41)とを
具備した組立て浴槽。
【請求項2】
プラスチック段ボールを用いた四角皿状の床部(100)と、
前記床部上に載置される、少なくとも開閉扉(72)が設けられた壁部構成材(71)を含む4つの壁部構成材(76,80,84)が折り畳み可能に繋ぎ合わされて四角筒状に形成された前記プラスチック段ボールを用いた壁部(70)と、
前記壁部の上端部に嵌合して配設される、前記プラスチック段ボールを用いた四角皿状の屋根部(60)とを
具備したブース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−178282(P2009−178282A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18712(P2008−18712)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(593012239)カネパッケージ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】