説明

組立式の保冷庫及び保温庫

【課題】 保冷庫及び保温庫が容易に組立・解体ができ、しかも移動も自由にすることができ、設置場所や使用範囲に限定されることのない組立式の保冷庫及び保温庫を提供することを目的とする。
【解決手段】 パイプ状のフレーム体を組立・解体可能に構成し、組立状態で移動可能なパイプ状のフレーム体と、前記フレーム体を覆う気密性を有する外装断熱シートと、前記外装断熱シートの一側面に設けた出入口用の開閉機構と、
前記外装断熱シートの覆う内部の空気は循環通路を通って循環させて冷却する冷却装置を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式かつ移動自在な保冷庫及び保温庫に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や果樹等の農作物や花き等の保存庫としては、保存庫自体の設置方法が固定式で移動することができない状態であり、一度組み立てると容易に解体することができないものが一般的である。
【0003】
また、上記保存庫を冷蔵庫として利用する場合には、外部に冷却機を設置し、該冷却機を介して冷蔵庫内を低温状態にすることも知られている。
【0004】
特許文献1には、冷却機を有する冷蔵庫の内部に通孔を有する小型のプラスチック製容器に収納した柑橘類を気密に覆う塩化ビニールシート製の方形状テント形の覆いをワイヤーで吊り下げて設け、調整空気循環路には、冷却機および加湿器を備え、これから通常の空気の温度および湿度を調整した空気を覆いの内部に供給する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2501428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、保存装置が大掛かりになるため、保存装置を自在に組立・解体することはできず、また、自由に移動することもできないため、設置場所や使用範囲が限定されるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、保冷庫及び保温庫が容易に組立・解体ができ、しかも移動も自由にすることができ、設置場所や使用範囲に限定されることのない組立式の保冷庫及び保温庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の組立式の保冷庫及び保温庫は、パイプ状のフレーム体を組立・解体可能に構成し、組立状態で移動可能なパイプ状のフレーム体と、前記フレーム体を覆う気密性を有する外装断熱シートと、前記外装断熱シートの一側面に設けた出入口用の開閉機構と、前記外装断熱シートの覆う内部の空気は循環通路を通って循環させて冷却する冷却装置を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組立や解体さらには移動も容易にしかも自由にすることができるため、設置作業も短時間で簡単に行えることから設置場所や使用範囲に限定されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】は本発明に係る組立式の保冷庫及び保温庫のパイプ状フレームの組立前の状態を示す斜視図である。
【図2】は本発明に係る組立式の保冷庫及び保温庫のパイプ状フレームを組立てた状態を示す斜視図である。
【図3】は本発明に係る組立式の保冷庫及び保温庫のパイプ状フレームに外装断熱シートを覆った状態を示す斜視図である。
【図4】は本発明に係る組立式の保冷庫及び保温庫の外装断熱シートと外装断熱シートを結合する状態を示す斜視図である。
【図5】は本発明に係る組立式の保冷庫及び保温庫を示す概略図である。
【図6】は外装断熱シート内に冷却装置からの冷気を循環させる循環手段を示す斜視図である。
【図7】は本発明に係る組立式の保冷庫及び保温庫の株の床に敷かれる床断熱シートの一部断面図である。
【図8】は本発明に係る組立式の保冷庫及び保温庫を屋外に使用する場合の概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について説明する。
図1,図2に示すように、フレーム体1は複数の鉄製パイプ2を組み合わせてなる角形のテント骨組み構造であり、4本の脚部パイプ2aと4本の上部パイプ2bと3本の下部パイプ2cと3本の上部補強パイプ2dがそれぞれ組み合わされる構造となっている。
【0012】
即ち、上部パイプ2bの先端部2b′及び先端部2b"は、脚部パイプ2aの上側部2a′に設けられた2個の筒部2a",2a"内にそれぞれ挿入され、他の各パイプ2a,2b,2cはそれぞれの接合部分が図示しないボルト・ナットで固定され、また、上部組立の補強用としてパイプ2dの両端部に形成されたC形端部がパイプ2bにそれぞれ嵌め込まれる構造となっている。
【0013】
また、脚部パイプ2aの上部には、角形のテント状骨組みを維持するための補強部2eが設けられ、上部パイプ2bの接続部分に図示しないボルト・ナットで固定されている。
【0014】
また、脚部パイプ2aの下端部には、フレーム体1を安定的に保持するための保持具2fがそれぞれ設けられている。
4本の脚部パイプ2aと固定される下部パイプ2cは3本であるが、一ヶ所は出入口用とするため、設置しない構造となっている。
【0015】
図3,図5に示すように、組み立てたフレーム体1は、その上から気密性のある軽量の外装断熱シート3で覆われ、当該外装断熱シート3は各パイプ2a,2b,2cに紐等の固定具を用いて着脱自在に固定されている。
そして、外装断熱シート3の下部には、帯状のバンド4が縫い付けられている。この帯状のバンド4には、10〜15cm間隔に図示しないハトメが取付けられ、当該ハトメにロープ等を通し帯状のバンド4がフレーム体1のパイプ2cに固定される。
また、外装断熱シート3の各側面底部には、フレーム体1の縦長より長い垂部3bが設けられ、外気との遮断を行う構造となっている。
【0016】
また、外装断熱シート3の側面部3aには、ファスナー等による開口部5が設けられ、ファスナー5を開き巻き上げて巻上束を紐等の保持具6で保持することにより出入口7が形成される。
【0017】
図4に示すように、各面を構成する外装断熱シート3,3同士を結合する場合には、一方の外装断熱シート3に縫いつけた帯状の断熱シート8を挟んで、他方の外装断熱シート3を帯状の断熱シート8の上に載せるようにして、空気の出入りを防ぎながらロープ等の固定具9により、各外装断熱シート3に設けられた孔10に相互に編み込むように固定する。
【0018】
また、外装断熱シート3の側面部3cには、外装断熱シート3の覆う内部の空気を循環させる循環通路11a,11bが設けられている。
図6に示すように、当該循環通路11a,11bの外側開口部内には、冷却装置12のジャバラ状パイプ12a,12bが挿入され、ロープ等の固定具13により固定され循環手段が形成されている。
そして、外装断熱シート3の覆う内部の空気を下側の循環通路11bからジャバラ状パイプ12bを通り冷却装置12に送り込まれ(一点破線A参照)、冷却装置12内で冷却された当該空気がジャバラ状パイプ12aを通り循環通路11aから送り出されることにより(一点破線B参照)、外装断熱シート3の覆う内部は冷却された状態となる。なお、冷却装置12の下部にはキャスター等の移動具12cが取付けられ移動可能に構成されている。
また、冷却温度は、冷却装置12を手動調整又は自動調整されることで調整されることになる。
【0019】
したがって、冷却装置12により、保温の温度にも調整することもできるため、保温庫としても利用することができる。なお、保温庫専用の保温装置を設置してもよく、その場合には冷却装置12と同様の構造となる。
【0020】
図7に示すように、フレーム体1の床面には軟質断熱材14を内部層に有する防水シート15からなる床断熱シート16が設置されている。
【0021】
図8に示すように、本発明の組立式の保冷庫及び保温庫を屋外に設置する場合には、フレーム体1の天井屋根部17を前述のフレーム体1のような水平状態ではなく、片側に屋根勾配を有するフレーム体構造とし、外装断熱シート3には、雨よけ用の防水シート18が被せられ、また、冷却装置12も同様に雨よけ用の防水シート19が被せられる構造となっている。
さらに、フレーム体1の内壁には、垂部20aを有する断熱シート20が内張りされている。
なお、上記雨よけ用の防水シート19や内張りの断熱シート20は、オプション方式で利用できるようにしても良い。
また、図8の符号が前述の図1〜図7までの符号と同じものは、同一の構成をなしている。
【0022】
上述の構造を有する本発明の組立式の保冷庫及び保温庫は、組立式のフレーム体1を軽量の断熱シート3で直接覆うことで、外気との環境を容易に遮断することができ、しかも組み立てた状態で必要な場所に移動することができる。
【0023】
また、上述の保冷庫及び保温庫は、解体,移動,再組立てが容易であるため、農家の納屋やガレージ等に設置して農作物、花等を入れて保冷庫として利用できる他、畑に設置して果樹,野菜,花きの保冷庫としても利用することができる。
また、保温庫としては、苗等の育苗室として利用することもできる。
【0024】
さらに、イベント等の仮設用途や流通の短期移動の使用にも利用でき、市場,食品メーカー等での出荷待ちの品物の保冷庫としても利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
A 循環通路内に送り込まれる空気の流れ
B 循環通路内に送り出される冷却空気の流れ
1 フレーム体
2 鉄製のパイプ
2a 脚部パイプ
2a′ 上側部
2a" 筒部
2b 上部パイプ
2b′,2b" 先端部
2c 下部パイプ
2d 上部補強パイプ
2e 補強部
2f 保持具
3 外装断熱シート
3a,3c 側面部
3b 垂部
4 帯状のバンド
5 開口部
6 保持具
7 出入口
8 帯状の断熱シート
9 固定具
10 孔
11a,11b 循環通路
12 冷却装置
12a,12b ジャバラ状パイプ
12c 移動具
13 固定具
14 軟質断熱材
15 防水シート
16 床断熱シート
17 天井屋根部
18,19 雨よけ用防水シート
20 断熱シート
20a 垂部



























【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状のフレーム体を組立・解体可能に構成し、組立状態で移動可能なパイプ状のフレーム体と、
前記フレーム体を覆う気密性を有する外装断熱シートと、
前記外装断熱シートの一側面に設けた出入口用の開閉機構と、
前記外装断熱シートの覆う内部の空気は循環通路を通って循環させて冷却する冷却装置を設けてなることを特徴とする組立式の保冷庫及び保温庫。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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