組織結紮デバイス
【課題】組織を縫合する際に鉤状部材に縫合糸を容易に係合させることができる組織結紮デバイスを提供する。
【解決手段】組織を結紮するための組織結紮デバイス1であって、弾性復元力を有する縫合糸10と、縫合糸10の一端11に接続され、縫合糸10の導出方向に沿う方向で、かつ一端11に対して縫合糸10の導出方向とは反対の方向に配置された溝部24を有する鉤状部材22と、を備えた。
【解決手段】組織を結紮するための組織結紮デバイス1であって、弾性復元力を有する縫合糸10と、縫合糸10の一端11に接続され、縫合糸10の導出方向に沿う方向で、かつ一端11に対して縫合糸10の導出方向とは反対の方向に配置された溝部24を有する鉤状部材22と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫合糸を備える組織結紮デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、組織を縫合、結紮する動作は、多くの手技において非常に重要な位置を占めているが、熟練を要する難度の高い動作となっている。近年、患者の侵襲を低減する目的から、内視鏡や腹腔鏡、胸腔鏡などを用いて手術などの各種手技を行う試みが進められている。このような鏡視下では、縫合糸や縫合針などを長い鉗子などで操作する必要があるため、縫合、結紮などの難度はさらに高くなる。
【0003】
縫合や結紮において、特に困難なのは、縫合糸を結んで結び目を形成する動作である。結び目が緩んでしまうと縫合や結紮が解除されて重大な合併症を引き起こす場合もある。手技によっては結び目を多数形成する場合もあり、その場合、難度はさらに上昇する。
【0004】
この問題を解決するために、特許文献1に記載の医療用縫合器が提案されている。この医療用縫合器は、糸止め部材に縫合糸が接続された縫合体を備えている。糸止め部材は、断面がU字形状に形成されている。縫合糸は、生体吸収性の樹脂によって形成され、モノフィラメント(単線)とマルチフィラメント(複線)とを使い分けることができる。
曲針などを用いて組織に係止された縫合糸を糸止め部材のU字溝内に引き込み、縫合糸を引き絞ってから、かしめや超音波などにより糸止め部材を変形させると、U字溝内に引き込まれた縫合糸が糸止め部材に固定される。このようにして結び目が形成されるため、結び目の形成が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−140982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、縫合体の縫合糸の詳細については記載されていない。しかし、図1などに示される縫合糸が曲げられた形状を見ると、縫合糸は曲がりやすく、その曲がった形状が維持されると考えられる。
特許文献1の縫合糸の場合、組織から突出した縫合糸は、自身に作用する重力に打ち勝つことができずに組織上に広がる。組織と糸止め部材との間に隙間がないため、糸止め部材に縫合糸を係合しにくくなる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、組織を縫合する際に鉤状部材に縫合糸を容易に係合させることができる組織結紮デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の組織結紮デバイスは、組織を結紮するための組織結紮デバイスであって、弾性復元力を有する縫合糸と、前記縫合糸の一端に接続され、前記縫合糸の導出方向に沿う方向で、かつ前記一端に対して前記縫合糸の導出方向とは反対の方向に配置された溝部を有する鉤状部材と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記縫合糸の少なくとも一部は、自然状態で湾曲するように形成されていることがより好ましい。
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記溝部は、前記縫合糸の一端を基準に前記縫合糸とは反対側に配置されていることがより好ましい。
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記溝部の底部から前記溝部の開口に向かう向きが、前記縫合糸の一端側に向いていることがより好ましい。
【0010】
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記鉤状部材は、前記縫合糸の一端に端部が接続され直線状に延びる直状部を有し、前記溝部は、前記直状部における前記縫合糸が接続された端部とは反対側の端部に設けられ、前記直状部は前記縫合糸の一端における前記縫合糸の中心軸線である基準線上で前記縫合糸から離間する向きに延びていることがより好ましい。
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記溝部の底部から前記溝部の開口に向かう向きが、前記基準線に略平行となるとともに前記直状部における前記縫合糸が接続された端部側に向き、前記溝部の内壁面は前記直状部の外周面に連なっていることがより好ましい。
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記縫合糸の他端に接続された縫合針を備えることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組織結紮デバイスによれば、組織を縫合する際に鉤状部材に縫合糸を容易に係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の組織結紮デバイスにおける、図1(A)は正面図であり、図1(B)は側面図である。
【図2】同組織結紮デバイスを使用して組織を縫合する動作を説明する図である。
【図3】同組織結紮デバイスを使用して組織を縫合する動作を説明する図である。
【図4】同組織結紮デバイスを使用して組織を縫合する動作を説明する図である。
【図5】同組織結紮デバイスを使用して組織を縫合する動作を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例における組織結紮デバイスの側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の変形例における組織結紮デバイスの側面図である。
【図8】本発明の第1実施形態の変形例における組織結紮デバイスの側面図である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例における組織結紮デバイスの側面図である。
【図10】本発明の第1実施形態の変形例における組織結紮デバイスの側面図である。
【図11】同組織結紮デバイスの要部の斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態の組織結紮デバイスにおける、図12(A)は正面図であり、図12(B)は側面図である。
【図13】同組織結紮デバイスを使用して血管を縫合する動作を説明する図である。
【図14】本発明の第3実施形態の組織結紮デバイスの斜視図である。
【図15】同組織結紮デバイスの側面図である。
【図16】同組織結紮デバイスを使用して血管を縫合する動作を説明する図である。
【図17】同組織結紮デバイスを使用して血管を縫合する動作を説明する図である。
【図18】縫合糸が自然状態で湾曲するように形成されていない組織結紮デバイスを使用した場合の血管を縫合する動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る組織結紮デバイス(以下、「デバイス」とも称する。)の第1実施形態を、図1から図11を参照しながら説明する。
図1に示すように、本デバイス1は、縫合糸10と、縫合糸10の一端11に接続された鉤状部材20と、縫合糸10の他端12に接続された縫合針30とを備えている。
【0014】
本実施形態では、縫合糸10はポリプロピレンにより形成されていて、鉤状部材20に作用する重力に釣り合う(鉤状部材20を持ち上げる)弾性復元力を作用することができるように、縫合糸10の弾性率や断面形状などが調節されている。なお、ここで言う弾性復元力とは、ある形状の縫合糸を変形させたときに、その縫合糸が元の形状に戻ろうとする力のことを意味する。言い換えれば、弾性的に変形した縫合糸に生じる力のことである。
縫合糸10の弾性復元力は、術者の手技に支障がない範囲内で、大きいことが好ましい。縫合糸10は、弾性的に変形できる歪の範囲が比較的大きくなるように構成されている。
【0015】
縫合糸10を形成する材料としては、縫合糸10が上述のような弾性復元力を作用することができるように構成されていれば、ポリプロピレン以外の樹脂や金属なども好適に用いることができる。
縫合糸10に用いられる樹脂は、吸収性の樹脂と非吸収性の樹脂とに分類される。吸収性の樹脂としては、PGA、PLA、PDS、TMC、ポリエプシロンカプロラクトンおよびその共重合体などがある。非吸収性の樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブテステル、フッ素樹脂、PETなどがある。
一方で、金属の例としては、ステンレススチール、Co−Cr合金、βチタン、ニッケルチタン、純Ti、Ti合金、Mg合金などを挙げることができる。
なお、鉤状部材20の質量は、例えば、皮膚縫合などの場合は5g以下程度が好ましく、心臓血管外科手術のような微小な領域では0.01g以下程度が望ましい。
【0016】
鉤状部材20は、縫合糸10の一端11に端部が接続され、直線状に延びる直状部21、および、直状部21における縫合糸10が接続された端部とは反対側の端部に設けられた湾曲部22を有している。
なお、鉤状部材20と縫合糸10の材質が同じ場合、一体物として構成してもよい。
ここでは、説明の便宜のために、縫合糸10の一端11を原点Oとし、縫合糸10の原点Oにおける中心軸線を基準線L1と規定する。
基準線L1上にZ軸を規定し、縫合糸10から離間する向きをZ軸の正の向きとする。原点Oを通り基準線L1に直交する基準平面S1を規定すると、基準平面S1上に設けられるX軸およびY軸と前述のZ軸とで、右手系の直交座標系が規定される。
このように規定された直交座標系XYZにおいて、直状部21は、基準線L1上、すなわちZ軸上でZ軸の正の向きに延びている。この場合、縫合糸10が導出される導出方向は、Z軸の負の向きとして規定される。
直状部21の端部には、不図示の固定穴が形成されていて、縫合糸10の一端11を固定穴に圧入し、一端11と直状部21とを接着剤や溶接などで固定することで、縫合糸10に直状部21が接続されている。
【0017】
湾曲部22は、直状部21の端部からX軸の負の向きに延び、その先端においてZ軸の正の向きに延び、その先端においてX軸の正の向きに延び、そして、その先端においてZ軸の負の向きに延びている。湾曲部22は、全体として矩形の辺の一部を切り欠いた形状に形成されている。
湾曲部22には、縫合糸10を係合可能な溝部24が形成されている。湾曲部22はZX平面である基準平面S3上で湾曲していて、溝部24は湾曲部22をY軸方向に貫通している。溝部24の底部24aから溝部24の開口24bに向かう向きD1は、Z軸が正となる側からZ軸が負となる側に向かう向きとなるように設定されている。溝部24の深さ(溝部24の底部24aから開口24bまでの距離)は、縫合糸10の外径より大きく設定されている。溝部24は、Z軸が正となる側(基準平面S1よりZ軸の正の向き側)に配置されている。
【0018】
この例では、直状部21および湾曲部22は、ステンレススチール製のワイヤーを曲げ加工することで、一体に形成されている。鉤状部材20は縫合糸10より硬く形成されていて、カシめることで塑性変形させることができる。
鉤状部材20が延びる向きに直交する平面による鉤状部材20の断面形状は、矩形状に形成されている。
鉤状部材20の大きさは、例えば皮膚縫合などの場合は10mm以下程度が好ましく、心臓血管外科手術のような微小な領域では2mm以下程度が好ましく、非常に小さく形成されている。
【0019】
縫合針30は、公知の各種のものを使用することができ、直線状のもの、湾曲状のもの、先端部のみ湾曲し、他の部位が直線状に形成されたものなどを、縫合部位などを考慮して適宜選択することができる。縫合糸10と縫合針30との接続態様には特に制限はなく、具体的には、接着、溶着、あるいは縫合針30の端部に形成した穴に縫合糸10の端部を通して結ぶなどの方法を挙げることができる。
【0020】
次に、以上のように構成されたデバイス1の使用時の動作について、組織の表面に形成された裂傷部を縫合する場合を例にとって説明する。
まず、術者は、図2に示すように、把持鉗子Wなどでデバイス1の縫合針30を把持し、組織Tの裂傷部T1の近傍に縫合針30を穿刺する。
図3に示すように、裂傷部T1を囲うように縫合針30および縫合糸10を組織T内に通す。縫合針30を裂傷部T1から離間するように引くことで、鉤状部材20が縫合糸10にかけられるのに適した高さだけ、縫合糸10の一端11を組織Tから突出させる。この一端11を突出させる高さは、例えば、数mm〜数cm程度とするのが望ましい。
このとき、縫合糸10は前述の弾性復元力を作用させることができるため、縫合糸10の一端11により支持された鉤状部材20が重力の影響を受けて組織T上に倒れてしまうことなく、鉤状部材20が組織Tから浮いた(離間した)状態が保持される。
【0021】
縫合針30を把持した把持鉗子Wを鉤状部材20側に移動し、開口24bを通して溝部24に縫合糸10を係合させ、縫合糸10でループを形成する。図4に示すように、鉤状部材20に縫合糸10が係合した状態を保持しつつ、縫合針30を裂傷部T1から離間するように引く。これにより、組織Tに鉤状部材20が当接し、溝部24内で縫合糸10が移動して裂傷部T1の周辺の組織Tが縫合糸10により緊縛され、裂傷部T1の開口が閉じる。
縫合針30を裂傷部T1から離間するように引いた状態で、不図示の別の把持鉗子などで鉤状部材20の湾曲部22を外側から潰すようにカシめ、図5に示すように、縫合糸10に鉤状部材20を固定する。このように、縫合糸10とカシめた鉤状部材20とにより結び目を形成することで、組織Tを結紮する。
縫合糸10におけるカシめた鉤状部材20より縫合針30側を医療用のナイフなどで切断し、縫合針30および切断した縫合糸10を取り出して手技を終了する。
【0022】
以上説明したように、本実施形態のデバイス1によれば、縫合糸10を他端12側から組織T内に通した場合であっても、縫合糸10の弾性復元力、および、前述のような直状部21と湾曲部22との配置により、縫合糸10により形成したループの一端11で湾曲部22が組織Tから浮いた状態で保持される。
組織Tを通した縫合糸10を組織Tから浮いた状態の湾曲部22の溝部24に係合させることで、鉤状部材20に縫合糸10を容易に係合させることができる。
デバイス1は縫合針30を備えるため、縫合針30に接続された縫合糸10を組織Tに容易に通すことができる。
【0023】
また、一般的に、術者は組織Tから離間する側から観察しながら手技を行うため、組織Tから浮いた鉤状部材20が術者側に位置するようになり、術者が鉤状部材20を観察しやすくなる。このため、把持鉗子Wなどで鉤状部材20を容易にカシめることができる。
【0024】
本実施形態のデバイス1は、以下に説明するようにその形状を様々に変形させることができる。
例えば、図6に示すデバイス1Aのように、前記第1実施形態のデバイス1の湾曲部22および縫合針30に代えて、溝部42が形成された湾曲部41を備えてもよい。
湾曲部41は、略U字状に形成されてZX平面である基準平面S3上に配置されている。溝部42の底部42aから開口42bに向かう向きD2は、X軸の正の向きとZ軸の負の向きとの間の向きに設定されている。略U字状に形成された湾曲部41のうちのZ軸の負の向き側の端部が直状部21に接続され、溝部42の開口42bは、直状部21と湾曲部41との接続部よりZ軸の正の向き側に配置されている。直状部21および湾曲部41は、前述の鉤状部材20と同一の材料で一体に形成されている。
【0025】
図7に示すデバイス1Bは、前記第1実施形態のデバイス1の湾曲部22および縫合針30に代えて、溝部44が形成された湾曲部43を備えている。
湾曲部43は、略U字状に形成されて基準平面S3上に配置されている。溝部44の底部44aから開口44bに向かう向きD2は、X軸の負の向きとZ軸の負の向きとの間の向きに設定されている。略U字状に形成された湾曲部43のうちのX軸の負の向き側の端部が直状部21に接続され、溝部44の開口44bは、直状部21と湾曲部43との接続部よりX軸の正の向き側に配置されている。
【0026】
図8に示すデバイス1Cは、前記変形例のデバイス1Aの湾曲部41に代えて、溝部47が形成された湾曲部46を備えている。
湾曲部46は、略U字状に形成されて基準平面S3上に配置されている。溝部47の底部47aから開口47bに向かう向きD2は、X軸の正の向きに設定されている。略U字状に形成された湾曲部46のうちのX軸の正の向き側の端部であって、Z軸の負の向き側の端部となる部分が、直状部21に接続されている。溝部47の開口47bは、直状部21と湾曲部46との接続部よりZ軸の正の向き側に配置されている。
【0027】
図9に示すデバイス1Dは、前記変形例のデバイス1Bの湾曲部43に代えて、溝部49が形成された湾曲部48を備えている。
湾曲部48は、略U字状に形成されて基準平面S3上に配置されている。溝部49の底部49aから開口49bに向かう向きD2は、X軸の負の向きに設定されている。略U字状に形成された湾曲部48のうちのX軸の負の向き側の端部であって、Z軸の正の向き側の端部となる部分が、直状部21に接続されている。溝部49の開口49bは、直状部21と湾曲部48との接続部よりZ軸の負の向き側に配置されている。
【0028】
図10および図11に示すデバイス1Eは、前記第1実施形態のデバイス1の湾曲部22および縫合針30に代えて、溝部52が形成された湾曲部51を備えている。
この例では、溝部52に縫合糸10を係合させた状態を示している。
湾曲部51は、前述の湾曲部22と同様に形成されているが、湾曲部22とは配置されている平面が異なる。すなわち、湾曲部22はZX平面である基準平面S3上に配置されていたが、湾曲部51は第二の基準平面S2上に配置されている。第二の基準平面S2は、直状部21における縫合糸10が接続された部分とは反対側の端部を通り、Z軸に直交することなく交差する面である。湾曲部51は、第二の基準平面S2上で直状部21から離間するように配置されている。
本変形例では、溝部52は縫合糸10に対して交差しているが、直状部21が縫合糸10の導出方向に沿う方向で、かつ縫合糸10の導出方向とは反対の方向に配置されている。このため、溝部52を有する鉤状部材全体としては、縫合糸10の導出方向に沿う方向で、かつ縫合糸10の導出方向とは反対の方向に配置されていることとなっている。
このように構成されたデバイス1A、1B、1C、1D、1Eによっても、本実施形態のデバイス1と同様に、縫合糸10の弾性復元力により湾曲部が組織Tから浮いた状態で保持されるため、鉤状部材に縫合糸10を容易に係合させることができる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図12および図13を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12に示すように、本実施形態のデバイス2は、前記第1実施形態のデバイス1の鉤状部材20および縫合針30に代えて、鉤状部材60を備えている。
【0030】
鉤状部材60は、前述の直状部21と、溝部62が形成された湾曲部61を有している。
溝部62は、溝部62の底部62aから溝部62の開口62bに向かう向きD3が、縫合糸10の一端11側に向くように形成されている。換言すれば、溝部62は、この向きD3が、基準線L1に略平行となるとともに、直状部21における縫合糸10が接続された端部側に向くように形成されている。
溝部62の内壁面は、直状部21の外周面に連なって(直接接続されて)いる。
【0031】
次に、以上のように構成されたデバイス2の使用時の動作について、血管を縫合する場合を例にとって説明する。
まず、術者は、縫合糸10の他端12側を把持鉗子Wで、一端11側を別の把持鉗子W2(図13参照。)などで把持する。
把持鉗子W2により、血管(組織)T10の近傍で縫合糸10の一端11側の位置を保持する。縫合糸10は前述の弾性復元力を作用させることができるため、血管T10から鉤状部材60が離間した状態が保持される。
【0032】
図13に示すように、把持鉗子Wにより、縫合糸10の弾性復元力に抗して縫合糸10の他端12側を血管T10回りに引き回してループを形成し、直状部21における縫合糸10が接続されている側の端部に縫合糸10の中間部を当接させる。把持鉗子Wが縫合糸10の他端12の位置を保持している力を弱めることで、縫合糸10は自身の弾性復元力により、形成したループを広げるように変形する。これにより、縫合糸10の中間部が直状部21に沿って縫合糸10の一端11から離間するように移動し、溝部62に縫合糸10が係合する。
把持鉗子W2による把持を解除し、鉤状部材60に縫合糸10を係合させたまま、把持鉗子Wを血管T10から離間するように引く。これにより、血管T10が縫合糸10により緊縛される。把持鉗子W2で鉤状部材60の湾曲部61を外側から潰すようにカシめ、縫合糸10に鉤状部材60を固定する。固定した鉤状部材60より他端12側で縫合糸10を切断し、手技を終了する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のデバイス2によれば、溝部62の底部62aから開口62bに向かう向きD3が、縫合糸10の一端11側に向くように形成されているため、縫合糸10の中間部を縫合糸10の一端11側に移動させた後で溝部62側に移動させることで、溝部62に縫合糸10を容易に係合させることができる。
また、直状部21に当接させた縫合糸10の中間部を、直状部21に沿って湾曲部61側に滑らせるように移動させることで、溝部62に縫合糸10をさらに容易に係合させることができる。
把持鉗子Wが縫合糸10の他端12の位置を保持している力を弱めることで、縫合糸10の弾性復元力により溝部62に縫合糸10を自動的に係合させることができる。
また、溝部62の開口62bが、直状部21における縫合糸10が接続された端部側に向くように形成されているため、術者が開口62bの向きD3を認識しやすくすることができる。
【0034】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図14から図18を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図14および図15に示すように、本実施形態のデバイス3は、縫合糸70と、縫合糸70の一端71に接続された鉤状部材80とを備えている。
【0035】
縫合糸70は、全長にわたり、自然状態で基準平面S3上で湾曲する円弧状に形成されている。本実施形態では、縫合糸70は中心角で約180度湾曲している。縫合糸70は、バネ性の強い(弾性復元力の高い)ポリプロピレンで形成されている。自然状態で湾曲する縫合糸70の形状は、例えば、ポリプロピレンを熱処理することで形成することができる。縫合糸70を形成する材料としては、樹脂や金属がある。樹脂は吸収性の樹脂と非吸収性の樹脂とに分類される。吸収性の樹脂としては、PGA、PLA、PDS、TMC、ポリエプシロンカプロラクトンおよびその共重合体などがある。非吸収性の樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブテステル、フッ素樹脂、PETなどがある。金属の例としては、ステンレススチール,Co−Cr合金、βチタン、ニッケルチタン、純Ti、Ti合金、Mg合金などを挙げることができる。
鉤状部材80は、前述の直状部21、および、直状部21における縫合糸70が接続された端部とは反対側の端部に設けられた湾曲部81を有している。
湾曲部81は、中心角が約180度の円弧状に形成されている。湾曲部81は、基準平面S3上であって、縫合糸70とはX軸およびZ軸に対してそれぞれ反対側に配置されている。湾曲部81が形成する溝部82の底部82aから溝部82の開口82bに向かう向きD4は、Z軸の負の向きとなるように設定されている。
鉤状部材80の溝部82は、縫合糸70の一端71を基準にして縫合糸70とは反対側に配置されている。すなわち、基準平面S3上において、縫合糸70はX軸の負の側に配置されるとともに、溝部82はX軸の正の側に配置されている。
鉤状部材80は、鉤状部材20と同一の材料で形成されている。
【0036】
次に、以上のように構成されたデバイス3の使用時の動作について、血管T10を縫合する場合を例にとって説明する。
まず、術者は、図16に示すように、縫合糸70の一端71側を把持鉗子W2で把持し、血管T10を囲うように縫合糸70を配置する。縫合糸70は自然状態で湾曲するように形成されているため、血管T10を囲うように縫合糸70を容易に配置することができる。また、デバイス3は前述のように構成されているため、湾曲部81は血管T10とは反対側を向くように配置される。
【0037】
次に、図17に示すように、把持鉗子W2により縫合糸70の一端71側の位置を保持した状態で、縫合糸70の他端72側を把持鉗子Wで把持する。直状部21の縫合糸70に接続された側の端部に縫合糸70の中間部を当接させ、縫合糸70の中間部を直状部21に沿って縫合糸70の一端71から離間するように移動させることで、溝部82に縫合糸70を係合させる。
このとき、縫合糸70がループを広げる力を利用して、直状部21に沿って縫合糸70を移動させることができる。
これ以降の手順は、第2実施形態におけるデバイス2と同様なので、説明を省略する。
【0038】
これに対して、前述のデバイス2では、縫合糸10が自然状態で湾曲するように形成されていないため、図18に示すように、血管T10を縫合糸10で囲ったときに、縫合糸10に対する湾曲部61の向きが定まらない。
【0039】
本実施形態のデバイス3によれば、縫合糸70は自然状態で湾曲するように形成されている。このため、血管T10を囲うように縫合糸70を配置したときに、縫合糸70に対する鉤状部材80の向きが定まる。したがって、鉤状部材80が非常に小さく形成されていて術者が目視によって溝部82の位置を確認しにくい場合であっても、溝部82に縫合糸70を係合させやすくすることができる。
さらに、溝部82が縫合糸70の一端71を基準にして縫合糸70とは反対側に配置されているため、直状部21に対して溝部82および血管T10が同じ側に配されることで、血管T10が支障となって溝部82に縫合糸70を係合させにくくなることはない。したがって、縫合糸70の弾性復元力を利用して、溝部82に縫合糸70を容易に係合させることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、縫合糸70は全長にわたり自然状態で湾曲するように形成されていた。しかし、縫合糸は長手方向の少なくとも一部が自然状態で湾曲するように形成されていればよい。この場合においても、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、自然状態における湾曲部81の中心角度や溝部82の配置については、上記に限るものではなく、結紮対象の組織の形状や位置等に応じて手技しやすいようになっていればよい。
【0041】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記第1実施形態から第3実施形態では、鉤状部材が延びる向きに直交する平面による鉤状部材の断面形状は、矩形状に形成されているとした。しかし、この断面形状は矩形状に限ることなく、円形状や楕円形状でもよいし、矩形以外の多角形状でもよい。
【0042】
前記第1実施形態から第3実施形態では、ワイヤーを曲げ加工することで鉤状部材を形成するとしたが、ステンレススチールで形成したブロックをレーザー加工やワイヤーカット加工や機械加工によって溝部などを形成することで、鉤状部材を構成してもよい。
また、鉤状部材に直線状に延びる直状部を有しているものとしたが、直線状でなく、例えは波状や球状であってもよい。
また、鉤状部材が直状部を備えず、鉤状部材の湾曲部が縫合糸10の一端に接続されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1、1A、1B、1C、1D、1E、2、3 デバイス(組織結紮デバイス)
10、70 縫合糸
11 一端
12 他端
20、60、80 鉤状部材
21 直状部
24、42、44、47、49、52、62、82 溝部
30 縫合針
62a 底部
62b 開口
L1 基準線
S1 基準平面
T 組織
T10 血管(組織)
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫合糸を備える組織結紮デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、組織を縫合、結紮する動作は、多くの手技において非常に重要な位置を占めているが、熟練を要する難度の高い動作となっている。近年、患者の侵襲を低減する目的から、内視鏡や腹腔鏡、胸腔鏡などを用いて手術などの各種手技を行う試みが進められている。このような鏡視下では、縫合糸や縫合針などを長い鉗子などで操作する必要があるため、縫合、結紮などの難度はさらに高くなる。
【0003】
縫合や結紮において、特に困難なのは、縫合糸を結んで結び目を形成する動作である。結び目が緩んでしまうと縫合や結紮が解除されて重大な合併症を引き起こす場合もある。手技によっては結び目を多数形成する場合もあり、その場合、難度はさらに上昇する。
【0004】
この問題を解決するために、特許文献1に記載の医療用縫合器が提案されている。この医療用縫合器は、糸止め部材に縫合糸が接続された縫合体を備えている。糸止め部材は、断面がU字形状に形成されている。縫合糸は、生体吸収性の樹脂によって形成され、モノフィラメント(単線)とマルチフィラメント(複線)とを使い分けることができる。
曲針などを用いて組織に係止された縫合糸を糸止め部材のU字溝内に引き込み、縫合糸を引き絞ってから、かしめや超音波などにより糸止め部材を変形させると、U字溝内に引き込まれた縫合糸が糸止め部材に固定される。このようにして結び目が形成されるため、結び目の形成が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−140982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、縫合体の縫合糸の詳細については記載されていない。しかし、図1などに示される縫合糸が曲げられた形状を見ると、縫合糸は曲がりやすく、その曲がった形状が維持されると考えられる。
特許文献1の縫合糸の場合、組織から突出した縫合糸は、自身に作用する重力に打ち勝つことができずに組織上に広がる。組織と糸止め部材との間に隙間がないため、糸止め部材に縫合糸を係合しにくくなる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、組織を縫合する際に鉤状部材に縫合糸を容易に係合させることができる組織結紮デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の組織結紮デバイスは、組織を結紮するための組織結紮デバイスであって、弾性復元力を有する縫合糸と、前記縫合糸の一端に接続され、前記縫合糸の導出方向に沿う方向で、かつ前記一端に対して前記縫合糸の導出方向とは反対の方向に配置された溝部を有する鉤状部材と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記縫合糸の少なくとも一部は、自然状態で湾曲するように形成されていることがより好ましい。
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記溝部は、前記縫合糸の一端を基準に前記縫合糸とは反対側に配置されていることがより好ましい。
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記溝部の底部から前記溝部の開口に向かう向きが、前記縫合糸の一端側に向いていることがより好ましい。
【0010】
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記鉤状部材は、前記縫合糸の一端に端部が接続され直線状に延びる直状部を有し、前記溝部は、前記直状部における前記縫合糸が接続された端部とは反対側の端部に設けられ、前記直状部は前記縫合糸の一端における前記縫合糸の中心軸線である基準線上で前記縫合糸から離間する向きに延びていることがより好ましい。
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記溝部の底部から前記溝部の開口に向かう向きが、前記基準線に略平行となるとともに前記直状部における前記縫合糸が接続された端部側に向き、前記溝部の内壁面は前記直状部の外周面に連なっていることがより好ましい。
また、上記の組織結紮デバイスにおいて、前記縫合糸の他端に接続された縫合針を備えることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組織結紮デバイスによれば、組織を縫合する際に鉤状部材に縫合糸を容易に係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の組織結紮デバイスにおける、図1(A)は正面図であり、図1(B)は側面図である。
【図2】同組織結紮デバイスを使用して組織を縫合する動作を説明する図である。
【図3】同組織結紮デバイスを使用して組織を縫合する動作を説明する図である。
【図4】同組織結紮デバイスを使用して組織を縫合する動作を説明する図である。
【図5】同組織結紮デバイスを使用して組織を縫合する動作を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例における組織結紮デバイスの側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の変形例における組織結紮デバイスの側面図である。
【図8】本発明の第1実施形態の変形例における組織結紮デバイスの側面図である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例における組織結紮デバイスの側面図である。
【図10】本発明の第1実施形態の変形例における組織結紮デバイスの側面図である。
【図11】同組織結紮デバイスの要部の斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態の組織結紮デバイスにおける、図12(A)は正面図であり、図12(B)は側面図である。
【図13】同組織結紮デバイスを使用して血管を縫合する動作を説明する図である。
【図14】本発明の第3実施形態の組織結紮デバイスの斜視図である。
【図15】同組織結紮デバイスの側面図である。
【図16】同組織結紮デバイスを使用して血管を縫合する動作を説明する図である。
【図17】同組織結紮デバイスを使用して血管を縫合する動作を説明する図である。
【図18】縫合糸が自然状態で湾曲するように形成されていない組織結紮デバイスを使用した場合の血管を縫合する動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る組織結紮デバイス(以下、「デバイス」とも称する。)の第1実施形態を、図1から図11を参照しながら説明する。
図1に示すように、本デバイス1は、縫合糸10と、縫合糸10の一端11に接続された鉤状部材20と、縫合糸10の他端12に接続された縫合針30とを備えている。
【0014】
本実施形態では、縫合糸10はポリプロピレンにより形成されていて、鉤状部材20に作用する重力に釣り合う(鉤状部材20を持ち上げる)弾性復元力を作用することができるように、縫合糸10の弾性率や断面形状などが調節されている。なお、ここで言う弾性復元力とは、ある形状の縫合糸を変形させたときに、その縫合糸が元の形状に戻ろうとする力のことを意味する。言い換えれば、弾性的に変形した縫合糸に生じる力のことである。
縫合糸10の弾性復元力は、術者の手技に支障がない範囲内で、大きいことが好ましい。縫合糸10は、弾性的に変形できる歪の範囲が比較的大きくなるように構成されている。
【0015】
縫合糸10を形成する材料としては、縫合糸10が上述のような弾性復元力を作用することができるように構成されていれば、ポリプロピレン以外の樹脂や金属なども好適に用いることができる。
縫合糸10に用いられる樹脂は、吸収性の樹脂と非吸収性の樹脂とに分類される。吸収性の樹脂としては、PGA、PLA、PDS、TMC、ポリエプシロンカプロラクトンおよびその共重合体などがある。非吸収性の樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブテステル、フッ素樹脂、PETなどがある。
一方で、金属の例としては、ステンレススチール、Co−Cr合金、βチタン、ニッケルチタン、純Ti、Ti合金、Mg合金などを挙げることができる。
なお、鉤状部材20の質量は、例えば、皮膚縫合などの場合は5g以下程度が好ましく、心臓血管外科手術のような微小な領域では0.01g以下程度が望ましい。
【0016】
鉤状部材20は、縫合糸10の一端11に端部が接続され、直線状に延びる直状部21、および、直状部21における縫合糸10が接続された端部とは反対側の端部に設けられた湾曲部22を有している。
なお、鉤状部材20と縫合糸10の材質が同じ場合、一体物として構成してもよい。
ここでは、説明の便宜のために、縫合糸10の一端11を原点Oとし、縫合糸10の原点Oにおける中心軸線を基準線L1と規定する。
基準線L1上にZ軸を規定し、縫合糸10から離間する向きをZ軸の正の向きとする。原点Oを通り基準線L1に直交する基準平面S1を規定すると、基準平面S1上に設けられるX軸およびY軸と前述のZ軸とで、右手系の直交座標系が規定される。
このように規定された直交座標系XYZにおいて、直状部21は、基準線L1上、すなわちZ軸上でZ軸の正の向きに延びている。この場合、縫合糸10が導出される導出方向は、Z軸の負の向きとして規定される。
直状部21の端部には、不図示の固定穴が形成されていて、縫合糸10の一端11を固定穴に圧入し、一端11と直状部21とを接着剤や溶接などで固定することで、縫合糸10に直状部21が接続されている。
【0017】
湾曲部22は、直状部21の端部からX軸の負の向きに延び、その先端においてZ軸の正の向きに延び、その先端においてX軸の正の向きに延び、そして、その先端においてZ軸の負の向きに延びている。湾曲部22は、全体として矩形の辺の一部を切り欠いた形状に形成されている。
湾曲部22には、縫合糸10を係合可能な溝部24が形成されている。湾曲部22はZX平面である基準平面S3上で湾曲していて、溝部24は湾曲部22をY軸方向に貫通している。溝部24の底部24aから溝部24の開口24bに向かう向きD1は、Z軸が正となる側からZ軸が負となる側に向かう向きとなるように設定されている。溝部24の深さ(溝部24の底部24aから開口24bまでの距離)は、縫合糸10の外径より大きく設定されている。溝部24は、Z軸が正となる側(基準平面S1よりZ軸の正の向き側)に配置されている。
【0018】
この例では、直状部21および湾曲部22は、ステンレススチール製のワイヤーを曲げ加工することで、一体に形成されている。鉤状部材20は縫合糸10より硬く形成されていて、カシめることで塑性変形させることができる。
鉤状部材20が延びる向きに直交する平面による鉤状部材20の断面形状は、矩形状に形成されている。
鉤状部材20の大きさは、例えば皮膚縫合などの場合は10mm以下程度が好ましく、心臓血管外科手術のような微小な領域では2mm以下程度が好ましく、非常に小さく形成されている。
【0019】
縫合針30は、公知の各種のものを使用することができ、直線状のもの、湾曲状のもの、先端部のみ湾曲し、他の部位が直線状に形成されたものなどを、縫合部位などを考慮して適宜選択することができる。縫合糸10と縫合針30との接続態様には特に制限はなく、具体的には、接着、溶着、あるいは縫合針30の端部に形成した穴に縫合糸10の端部を通して結ぶなどの方法を挙げることができる。
【0020】
次に、以上のように構成されたデバイス1の使用時の動作について、組織の表面に形成された裂傷部を縫合する場合を例にとって説明する。
まず、術者は、図2に示すように、把持鉗子Wなどでデバイス1の縫合針30を把持し、組織Tの裂傷部T1の近傍に縫合針30を穿刺する。
図3に示すように、裂傷部T1を囲うように縫合針30および縫合糸10を組織T内に通す。縫合針30を裂傷部T1から離間するように引くことで、鉤状部材20が縫合糸10にかけられるのに適した高さだけ、縫合糸10の一端11を組織Tから突出させる。この一端11を突出させる高さは、例えば、数mm〜数cm程度とするのが望ましい。
このとき、縫合糸10は前述の弾性復元力を作用させることができるため、縫合糸10の一端11により支持された鉤状部材20が重力の影響を受けて組織T上に倒れてしまうことなく、鉤状部材20が組織Tから浮いた(離間した)状態が保持される。
【0021】
縫合針30を把持した把持鉗子Wを鉤状部材20側に移動し、開口24bを通して溝部24に縫合糸10を係合させ、縫合糸10でループを形成する。図4に示すように、鉤状部材20に縫合糸10が係合した状態を保持しつつ、縫合針30を裂傷部T1から離間するように引く。これにより、組織Tに鉤状部材20が当接し、溝部24内で縫合糸10が移動して裂傷部T1の周辺の組織Tが縫合糸10により緊縛され、裂傷部T1の開口が閉じる。
縫合針30を裂傷部T1から離間するように引いた状態で、不図示の別の把持鉗子などで鉤状部材20の湾曲部22を外側から潰すようにカシめ、図5に示すように、縫合糸10に鉤状部材20を固定する。このように、縫合糸10とカシめた鉤状部材20とにより結び目を形成することで、組織Tを結紮する。
縫合糸10におけるカシめた鉤状部材20より縫合針30側を医療用のナイフなどで切断し、縫合針30および切断した縫合糸10を取り出して手技を終了する。
【0022】
以上説明したように、本実施形態のデバイス1によれば、縫合糸10を他端12側から組織T内に通した場合であっても、縫合糸10の弾性復元力、および、前述のような直状部21と湾曲部22との配置により、縫合糸10により形成したループの一端11で湾曲部22が組織Tから浮いた状態で保持される。
組織Tを通した縫合糸10を組織Tから浮いた状態の湾曲部22の溝部24に係合させることで、鉤状部材20に縫合糸10を容易に係合させることができる。
デバイス1は縫合針30を備えるため、縫合針30に接続された縫合糸10を組織Tに容易に通すことができる。
【0023】
また、一般的に、術者は組織Tから離間する側から観察しながら手技を行うため、組織Tから浮いた鉤状部材20が術者側に位置するようになり、術者が鉤状部材20を観察しやすくなる。このため、把持鉗子Wなどで鉤状部材20を容易にカシめることができる。
【0024】
本実施形態のデバイス1は、以下に説明するようにその形状を様々に変形させることができる。
例えば、図6に示すデバイス1Aのように、前記第1実施形態のデバイス1の湾曲部22および縫合針30に代えて、溝部42が形成された湾曲部41を備えてもよい。
湾曲部41は、略U字状に形成されてZX平面である基準平面S3上に配置されている。溝部42の底部42aから開口42bに向かう向きD2は、X軸の正の向きとZ軸の負の向きとの間の向きに設定されている。略U字状に形成された湾曲部41のうちのZ軸の負の向き側の端部が直状部21に接続され、溝部42の開口42bは、直状部21と湾曲部41との接続部よりZ軸の正の向き側に配置されている。直状部21および湾曲部41は、前述の鉤状部材20と同一の材料で一体に形成されている。
【0025】
図7に示すデバイス1Bは、前記第1実施形態のデバイス1の湾曲部22および縫合針30に代えて、溝部44が形成された湾曲部43を備えている。
湾曲部43は、略U字状に形成されて基準平面S3上に配置されている。溝部44の底部44aから開口44bに向かう向きD2は、X軸の負の向きとZ軸の負の向きとの間の向きに設定されている。略U字状に形成された湾曲部43のうちのX軸の負の向き側の端部が直状部21に接続され、溝部44の開口44bは、直状部21と湾曲部43との接続部よりX軸の正の向き側に配置されている。
【0026】
図8に示すデバイス1Cは、前記変形例のデバイス1Aの湾曲部41に代えて、溝部47が形成された湾曲部46を備えている。
湾曲部46は、略U字状に形成されて基準平面S3上に配置されている。溝部47の底部47aから開口47bに向かう向きD2は、X軸の正の向きに設定されている。略U字状に形成された湾曲部46のうちのX軸の正の向き側の端部であって、Z軸の負の向き側の端部となる部分が、直状部21に接続されている。溝部47の開口47bは、直状部21と湾曲部46との接続部よりZ軸の正の向き側に配置されている。
【0027】
図9に示すデバイス1Dは、前記変形例のデバイス1Bの湾曲部43に代えて、溝部49が形成された湾曲部48を備えている。
湾曲部48は、略U字状に形成されて基準平面S3上に配置されている。溝部49の底部49aから開口49bに向かう向きD2は、X軸の負の向きに設定されている。略U字状に形成された湾曲部48のうちのX軸の負の向き側の端部であって、Z軸の正の向き側の端部となる部分が、直状部21に接続されている。溝部49の開口49bは、直状部21と湾曲部48との接続部よりZ軸の負の向き側に配置されている。
【0028】
図10および図11に示すデバイス1Eは、前記第1実施形態のデバイス1の湾曲部22および縫合針30に代えて、溝部52が形成された湾曲部51を備えている。
この例では、溝部52に縫合糸10を係合させた状態を示している。
湾曲部51は、前述の湾曲部22と同様に形成されているが、湾曲部22とは配置されている平面が異なる。すなわち、湾曲部22はZX平面である基準平面S3上に配置されていたが、湾曲部51は第二の基準平面S2上に配置されている。第二の基準平面S2は、直状部21における縫合糸10が接続された部分とは反対側の端部を通り、Z軸に直交することなく交差する面である。湾曲部51は、第二の基準平面S2上で直状部21から離間するように配置されている。
本変形例では、溝部52は縫合糸10に対して交差しているが、直状部21が縫合糸10の導出方向に沿う方向で、かつ縫合糸10の導出方向とは反対の方向に配置されている。このため、溝部52を有する鉤状部材全体としては、縫合糸10の導出方向に沿う方向で、かつ縫合糸10の導出方向とは反対の方向に配置されていることとなっている。
このように構成されたデバイス1A、1B、1C、1D、1Eによっても、本実施形態のデバイス1と同様に、縫合糸10の弾性復元力により湾曲部が組織Tから浮いた状態で保持されるため、鉤状部材に縫合糸10を容易に係合させることができる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図12および図13を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12に示すように、本実施形態のデバイス2は、前記第1実施形態のデバイス1の鉤状部材20および縫合針30に代えて、鉤状部材60を備えている。
【0030】
鉤状部材60は、前述の直状部21と、溝部62が形成された湾曲部61を有している。
溝部62は、溝部62の底部62aから溝部62の開口62bに向かう向きD3が、縫合糸10の一端11側に向くように形成されている。換言すれば、溝部62は、この向きD3が、基準線L1に略平行となるとともに、直状部21における縫合糸10が接続された端部側に向くように形成されている。
溝部62の内壁面は、直状部21の外周面に連なって(直接接続されて)いる。
【0031】
次に、以上のように構成されたデバイス2の使用時の動作について、血管を縫合する場合を例にとって説明する。
まず、術者は、縫合糸10の他端12側を把持鉗子Wで、一端11側を別の把持鉗子W2(図13参照。)などで把持する。
把持鉗子W2により、血管(組織)T10の近傍で縫合糸10の一端11側の位置を保持する。縫合糸10は前述の弾性復元力を作用させることができるため、血管T10から鉤状部材60が離間した状態が保持される。
【0032】
図13に示すように、把持鉗子Wにより、縫合糸10の弾性復元力に抗して縫合糸10の他端12側を血管T10回りに引き回してループを形成し、直状部21における縫合糸10が接続されている側の端部に縫合糸10の中間部を当接させる。把持鉗子Wが縫合糸10の他端12の位置を保持している力を弱めることで、縫合糸10は自身の弾性復元力により、形成したループを広げるように変形する。これにより、縫合糸10の中間部が直状部21に沿って縫合糸10の一端11から離間するように移動し、溝部62に縫合糸10が係合する。
把持鉗子W2による把持を解除し、鉤状部材60に縫合糸10を係合させたまま、把持鉗子Wを血管T10から離間するように引く。これにより、血管T10が縫合糸10により緊縛される。把持鉗子W2で鉤状部材60の湾曲部61を外側から潰すようにカシめ、縫合糸10に鉤状部材60を固定する。固定した鉤状部材60より他端12側で縫合糸10を切断し、手技を終了する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のデバイス2によれば、溝部62の底部62aから開口62bに向かう向きD3が、縫合糸10の一端11側に向くように形成されているため、縫合糸10の中間部を縫合糸10の一端11側に移動させた後で溝部62側に移動させることで、溝部62に縫合糸10を容易に係合させることができる。
また、直状部21に当接させた縫合糸10の中間部を、直状部21に沿って湾曲部61側に滑らせるように移動させることで、溝部62に縫合糸10をさらに容易に係合させることができる。
把持鉗子Wが縫合糸10の他端12の位置を保持している力を弱めることで、縫合糸10の弾性復元力により溝部62に縫合糸10を自動的に係合させることができる。
また、溝部62の開口62bが、直状部21における縫合糸10が接続された端部側に向くように形成されているため、術者が開口62bの向きD3を認識しやすくすることができる。
【0034】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図14から図18を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図14および図15に示すように、本実施形態のデバイス3は、縫合糸70と、縫合糸70の一端71に接続された鉤状部材80とを備えている。
【0035】
縫合糸70は、全長にわたり、自然状態で基準平面S3上で湾曲する円弧状に形成されている。本実施形態では、縫合糸70は中心角で約180度湾曲している。縫合糸70は、バネ性の強い(弾性復元力の高い)ポリプロピレンで形成されている。自然状態で湾曲する縫合糸70の形状は、例えば、ポリプロピレンを熱処理することで形成することができる。縫合糸70を形成する材料としては、樹脂や金属がある。樹脂は吸収性の樹脂と非吸収性の樹脂とに分類される。吸収性の樹脂としては、PGA、PLA、PDS、TMC、ポリエプシロンカプロラクトンおよびその共重合体などがある。非吸収性の樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブテステル、フッ素樹脂、PETなどがある。金属の例としては、ステンレススチール,Co−Cr合金、βチタン、ニッケルチタン、純Ti、Ti合金、Mg合金などを挙げることができる。
鉤状部材80は、前述の直状部21、および、直状部21における縫合糸70が接続された端部とは反対側の端部に設けられた湾曲部81を有している。
湾曲部81は、中心角が約180度の円弧状に形成されている。湾曲部81は、基準平面S3上であって、縫合糸70とはX軸およびZ軸に対してそれぞれ反対側に配置されている。湾曲部81が形成する溝部82の底部82aから溝部82の開口82bに向かう向きD4は、Z軸の負の向きとなるように設定されている。
鉤状部材80の溝部82は、縫合糸70の一端71を基準にして縫合糸70とは反対側に配置されている。すなわち、基準平面S3上において、縫合糸70はX軸の負の側に配置されるとともに、溝部82はX軸の正の側に配置されている。
鉤状部材80は、鉤状部材20と同一の材料で形成されている。
【0036】
次に、以上のように構成されたデバイス3の使用時の動作について、血管T10を縫合する場合を例にとって説明する。
まず、術者は、図16に示すように、縫合糸70の一端71側を把持鉗子W2で把持し、血管T10を囲うように縫合糸70を配置する。縫合糸70は自然状態で湾曲するように形成されているため、血管T10を囲うように縫合糸70を容易に配置することができる。また、デバイス3は前述のように構成されているため、湾曲部81は血管T10とは反対側を向くように配置される。
【0037】
次に、図17に示すように、把持鉗子W2により縫合糸70の一端71側の位置を保持した状態で、縫合糸70の他端72側を把持鉗子Wで把持する。直状部21の縫合糸70に接続された側の端部に縫合糸70の中間部を当接させ、縫合糸70の中間部を直状部21に沿って縫合糸70の一端71から離間するように移動させることで、溝部82に縫合糸70を係合させる。
このとき、縫合糸70がループを広げる力を利用して、直状部21に沿って縫合糸70を移動させることができる。
これ以降の手順は、第2実施形態におけるデバイス2と同様なので、説明を省略する。
【0038】
これに対して、前述のデバイス2では、縫合糸10が自然状態で湾曲するように形成されていないため、図18に示すように、血管T10を縫合糸10で囲ったときに、縫合糸10に対する湾曲部61の向きが定まらない。
【0039】
本実施形態のデバイス3によれば、縫合糸70は自然状態で湾曲するように形成されている。このため、血管T10を囲うように縫合糸70を配置したときに、縫合糸70に対する鉤状部材80の向きが定まる。したがって、鉤状部材80が非常に小さく形成されていて術者が目視によって溝部82の位置を確認しにくい場合であっても、溝部82に縫合糸70を係合させやすくすることができる。
さらに、溝部82が縫合糸70の一端71を基準にして縫合糸70とは反対側に配置されているため、直状部21に対して溝部82および血管T10が同じ側に配されることで、血管T10が支障となって溝部82に縫合糸70を係合させにくくなることはない。したがって、縫合糸70の弾性復元力を利用して、溝部82に縫合糸70を容易に係合させることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、縫合糸70は全長にわたり自然状態で湾曲するように形成されていた。しかし、縫合糸は長手方向の少なくとも一部が自然状態で湾曲するように形成されていればよい。この場合においても、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、自然状態における湾曲部81の中心角度や溝部82の配置については、上記に限るものではなく、結紮対象の組織の形状や位置等に応じて手技しやすいようになっていればよい。
【0041】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記第1実施形態から第3実施形態では、鉤状部材が延びる向きに直交する平面による鉤状部材の断面形状は、矩形状に形成されているとした。しかし、この断面形状は矩形状に限ることなく、円形状や楕円形状でもよいし、矩形以外の多角形状でもよい。
【0042】
前記第1実施形態から第3実施形態では、ワイヤーを曲げ加工することで鉤状部材を形成するとしたが、ステンレススチールで形成したブロックをレーザー加工やワイヤーカット加工や機械加工によって溝部などを形成することで、鉤状部材を構成してもよい。
また、鉤状部材に直線状に延びる直状部を有しているものとしたが、直線状でなく、例えは波状や球状であってもよい。
また、鉤状部材が直状部を備えず、鉤状部材の湾曲部が縫合糸10の一端に接続されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1、1A、1B、1C、1D、1E、2、3 デバイス(組織結紮デバイス)
10、70 縫合糸
11 一端
12 他端
20、60、80 鉤状部材
21 直状部
24、42、44、47、49、52、62、82 溝部
30 縫合針
62a 底部
62b 開口
L1 基準線
S1 基準平面
T 組織
T10 血管(組織)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を結紮するための組織結紮デバイスであって、
弾性復元力を有する縫合糸と、
前記縫合糸の一端に接続され、前記縫合糸の導出方向に沿う方向で、かつ前記一端に対して前記縫合糸の導出方向とは反対の方向に配置された溝部を有する鉤状部材と、
を備えたことを特徴とする組織結紮デバイス。
【請求項2】
前記縫合糸の少なくとも一部は、自然状態で湾曲するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の組織結紮デバイス。
【請求項3】
前記溝部は、前記縫合糸の一端を基準に前記縫合糸とは反対側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の組織結紮デバイス。
【請求項4】
前記溝部の底部から前記溝部の開口に向かう向きが、前記縫合糸の一端側に向いていることを特徴とする請求項1に記載の組織結紮デバイス。
【請求項5】
前記鉤状部材は、前記縫合糸の一端に端部が接続され直線状に延びる直状部を有し、
前記溝部は、前記直状部における前記縫合糸が接続された端部とは反対側の端部に設けられ、
前記直状部は前記縫合糸の一端における前記縫合糸の中心軸線である基準線上で前記縫合糸から離間する向きに延びていることを特徴とする請求項1に記載の組織結紮デバイス。
【請求項6】
前記溝部の底部から前記溝部の開口に向かう向きが、前記基準線に略平行となるとともに前記直状部における前記縫合糸が接続された端部側に向き、
前記溝部の内壁面は前記直状部の外周面に連なっていることを特徴とする請求項5に記載の組織結紮デバイス。
【請求項7】
前記縫合糸の他端に接続された縫合針を備えることを特徴とする請求項1に記載の組織結紮デバイス。
【請求項1】
組織を結紮するための組織結紮デバイスであって、
弾性復元力を有する縫合糸と、
前記縫合糸の一端に接続され、前記縫合糸の導出方向に沿う方向で、かつ前記一端に対して前記縫合糸の導出方向とは反対の方向に配置された溝部を有する鉤状部材と、
を備えたことを特徴とする組織結紮デバイス。
【請求項2】
前記縫合糸の少なくとも一部は、自然状態で湾曲するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の組織結紮デバイス。
【請求項3】
前記溝部は、前記縫合糸の一端を基準に前記縫合糸とは反対側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の組織結紮デバイス。
【請求項4】
前記溝部の底部から前記溝部の開口に向かう向きが、前記縫合糸の一端側に向いていることを特徴とする請求項1に記載の組織結紮デバイス。
【請求項5】
前記鉤状部材は、前記縫合糸の一端に端部が接続され直線状に延びる直状部を有し、
前記溝部は、前記直状部における前記縫合糸が接続された端部とは反対側の端部に設けられ、
前記直状部は前記縫合糸の一端における前記縫合糸の中心軸線である基準線上で前記縫合糸から離間する向きに延びていることを特徴とする請求項1に記載の組織結紮デバイス。
【請求項6】
前記溝部の底部から前記溝部の開口に向かう向きが、前記基準線に略平行となるとともに前記直状部における前記縫合糸が接続された端部側に向き、
前記溝部の内壁面は前記直状部の外周面に連なっていることを特徴とする請求項5に記載の組織結紮デバイス。
【請求項7】
前記縫合糸の他端に接続された縫合針を備えることを特徴とする請求項1に記載の組織結紮デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−94408(P2013−94408A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239731(P2011−239731)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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