結晶シリコンインゴットの製造方法
【課題】インゴットの底部においてバルク欠陥密度が低く、シリコン粒子が小さい結晶シリコンインゴットの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、結晶シリコンインゴットの製造方法を提供する。本発明の方法では、核形成促進層2を利用して、複数のシリコン粒子34が前記核形成促進層2上にシリコン融液32から核形成するとともに、シリコン融液32を凝固させて結晶シリコンインゴットを得るまで垂直方向に成長するのを促進する。
【解決手段】本発明は、結晶シリコンインゴットの製造方法を提供する。本発明の方法では、核形成促進層2を利用して、複数のシリコン粒子34が前記核形成促進層2上にシリコン融液32から核形成するとともに、シリコン融液32を凝固させて結晶シリコンインゴットを得るまで垂直方向に成長するのを促進する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶シリコンインゴットの製造方法に関し、特に核形成促進層(nucleation promotion layer)を使用して、インゴットの底部においてバルク欠陥密度(bulk defect density)が低く、シリコン粒子が小さい結晶シリコンインゴットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの太陽電池は、太陽光を吸収すると光起電力(PV)効果を生じる。シリコンが地上で二番目に最も豊富に存在し入手可能な元素であるため、現在、ほとんどの太陽電池がシリコン系材料で作られている。また、シリコンは、費用対効果が高く、無毒、化学的に安定であることから、半導体用途で広く使用されるようになっている。
【0003】
太陽電池製造用のシリコン系材料は、3種類があり、すなわち、単結晶シリコン(mono-Si)、ポリシリコン(poly-Si)、アモルファスシリコン(a-Si)である。ポリシリコンは、チョクラルスキー法(Czochralski method、CZ法)や浮遊帯域法(floating zone method、FZ法)によって製造された単結晶シリコンよりはるかに安価であり、コストの理由で、通常、太陽電池の原料として使用される。
【0004】
従来、太陽電池用ポリシリコンは、普通の鋳造法で製造される。すなわち、鋳造法で太陽電池用のポリシリコンを製造することは、従来技術である。要するに、ポリシリコン太陽電池は、高純度のシリコンを石英ルツボのような鋳型に溶融させ、次に凝固を制御して冷却させてシリコンインゴットを得る。そして、更なる用途のための太陽電池モジュールに適合するウェーハに切断する。上記プロセスによって形成されたインゴットは、実際上、ランダムな結晶配向を有するシリコン結晶の集合体である。
【0005】
粒子の結晶配向がランダムであるため、ポリシリコンチップの表面をテクスチャ感のあるものに(粗く)するのは、困難である。表面テクスチャリングは、光の反射を低減してセルの表面に太陽エネルギーの吸収を増加させることにより、光起電力セルの効率を高めることができる。また、従来の多結晶シリコンの粒間の境界で形成されるねじれ(kink)は、転位クラスタまたは転位線の形で構造欠陥を核形成する傾向にある。これらの転位、及び、転位に吸引される傾向にあった不純物が、従来の多結晶シリコンから作られた太陽電池における電荷キャリアを早く再結合させると考えられ、これが、太陽電池の電力出力を低減させる。このように、ポリシリコン太陽電池は、通常、同等のモノシリコン太陽電池より効率が低い(現行の技術によって製造されたモノシリコンは半径方向に分布する欠陥があったとしても)。しかし、ポリシリコン太陽電池は、製造工程が比較的単純で、コストが低く、そして、太陽電池の処理において効果的な欠陥不動態化工程(defect passivation step)があり、そのため、ポリシリコンは、まだまだ広く太陽電池のシリコン原料として使われる。
【0006】
現在のところ、モノシリコン種層を用い方向性凝固法(directional solidification)に基づき、結晶シリコンインゴットを製造する技術が開発されており、該技術では、大きい(100)配向モノシリコンキュービックが種として一般的に採用された。残念なことに、(100)配向粒子とランダムに核形成した粒子との間の競合では、後者が優位的である。インゴットにおける種結晶の体積を最大にするため、現在の技術では、(111)配向シリコンにおける境界を使用して、(100)配向シリコン種に占有される領域を包囲することで、他の配向を有する結晶の成長をうまく阻止するようにしている。このように、高品質のモノシリコンインゴットまたは双結晶シリコンブロックが得られ、少数電荷キャリアの寿命が、高性能太陽電池の製造に採用された最終ウェーハにおいて最大化される。ここで、用語“単結晶シリコン(mono-Si)”とは、バルク全体で単一の、均一な結晶配向を有するモノシリコンバルクであり、“双結晶シリコン(bi-crystal silicon)”とは、バルクの50%以上の体積において一つの均一な結晶配向性を有し、該バルクの残りの体積において別の均一な結晶配向を有するシリコンバルクである。例えば、このような双結晶シリコンは、一つの結晶配向を有する単結晶シリコン本体を含み得、該単結晶シリコン本体は、別の単結晶シリコン本体に隣接する。この別の単結晶シリコン本体が前記結晶シリコンの残りの体積を構成するとともに異なる結晶配向を有する。なお、従来の多結晶シリコンとは、センチメートル(cm)・スケールの粒度分布を有するとともに、シリコン本体内にランダムに配向された複数の結晶を有する結晶シリコンのことを言う。しかし、高価なモノシリコンを種として使用する上記現在の技術で製造された結晶シリコンインゴットは、コストが高い。
【0007】
種として高価なモノシリコンを使用せずに製造する技術が他にある。この技術では、まず、横方向に成長した結晶を、局所的過冷却(undercooling)によりルツボの底部全体に広げ、次に柱状結晶を上方に成長させる。このように得られたインゴットの大きいシリコン粒子は、バルク欠陥密度が低い。したがって、上記技術により製造された結晶シリコンインゴットをスライスして得たシリコンウエーハで作られた太陽電池は、高い光電変換効率を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ポリシリコンを使用する上記現在の技術は、実験室のみで成功が証明された。工業レベルの生産においては、局所的過冷却によりルツボの底部全体に広げられるように樹枝状結晶の成長を制御することによってポリシリコンキャスティング(poly-Si casting)を行うことは、通常、より難しい。工業規模の多結晶シリコンキャスティングは、ルツボ及び全体の加熱均一性に影響され、この影響で初期過冷却制御における変動が高くなる。したがって、ルツボの底部のポリシリコンは、大きい粒子に成長する傾向にあり、該領域における欠陥密度が高くなる。大きい粒子が成長するにつれて、欠陥密度が急速に高くなり、その結果、結晶シリコンインゴットは、全体的に品質が悪くなり、太陽電池は、光電変換効率が下がる。
【0009】
なお、図1に、結晶構造の極線図(polar diagram)における結晶配向(001)、(111)、(101)からなる三角形に投影された現行のポリシリコンインゴットの結晶配向の検出結果が概略的に示されている。図1は、現行のポリシリコンインゴットの優先配向が、(112)と(315)との間に、および(313)と(111)との間のうちの少なくとも一方にあることを示している。ここで、優先配向とは、50%より大きい体積割合でシリコンインゴット中に存在する結晶配向の集合である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点に鑑み、本発明の一つの目的は、核形成促進層を使用してインゴットの底部にバルク欠陥密度が低く、シリコン粒子が小さい結晶シリコンインゴットの製造方法を提供する。
【0011】
さらに、本発明の別の目的は、従来の結晶シリコンインゴットと結晶特性が相違する結晶シリコンインゴットの製造方法を提供する。
本発明の一態様では、結晶シリコンインゴットを製造する方法が、以下の工程を含む。まず、核形成促進層を、それ自体が垂直方向を規定する鋳型の底部上に配置する。次に、鋳型内部の核形成促進層上にシリコン原料を提供して、そして、シリコン原料が完全に溶融されるまで鋳型を加熱する。その後、シリコン融液に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して、複数のシリコン粒子が核形成促進層上にシリコン融液から核形成するとともに、垂直方向に成長するようにする。最後の工程として、シリコン融液全体を凝固させて結晶シリコンインゴットを得るまでシリコン融液に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御してシリコン粒子を垂直方向に成長させる。
【0012】
一実施形態では、核形成促進層が、成長過程において複数のシリコン粒子の欠陥密度の増加を抑制する機能を有する。このようにして得られたシリコン結晶インゴットは、垂直方向における欠陥密度の増加率が、0.01%/mm〜10%/mmの範囲にある。
【0013】
一実施形態では、核形成促進層に直接的に隣接するシリコン粒子は、平均粒径が約10mm未満である。
一実施形態では、核形成促進層は、形状が不規則な複数の結晶粒子から形成される。該結晶粒子の各々は、粒径が約50mm未満である。
【0014】
一実施形態では、複数の結晶粒子は、ポリシリコン粒子、モノシリコン粒子、単結晶炭化ケイ素、または、融点が1400℃より高く核形成を促進できる他の結晶粒子である。
別の実施形態では、核形成促進層は、融点が1400℃より高い材料から形成されるプレートであり、前記プレートの、前記シリコン融液に接触する表面は、300μm〜1000μmの粗さを有して前記複数のシリコン粒子に複数の核形成サイトを提供する。
【0015】
一実施形態では、前記シリコン粒子の優先結晶配向が(001)と(111)との間にあり、前記優先結晶配向を有する前記シリコン粒子の体積割合が約50%より大きい。
一実施形態では、ヒータは、鋳型の上方に位置しており、方向性凝固ブロックは、鋳型の下方に位置している。少なくとも一つの熱制御パラメータは、ヒータから鋳型への第1温度勾配、シリコン融液の底部から方向性凝固ブロックの上部への第2温度勾配、または伝熱フラックスなどを含み得る。
【0016】
本発明の別の態様では、結晶シリコンインゴットを製造する方法は、以下の工程を含む。まず、核形成促進層を鋳型の底部上に設ける。核形成促進層は、複数の不規則な形状の結晶粒子を接合することにより形成される。鋳型自体が垂直方向を規定する。次に、シリコン原料を鋳型内部の核形成促進層上に提供する。その後、シリコン原料が完全にシリコン融液に溶融されるまで鋳型を加熱する。そして、シリコン融液に関して少なくとも一つの熱制御パラメータを制御して、複数のシリコン粒子が核形成促進層上にシリコン融液から核形成するとともに、垂直方向に成長するようにする。最後の工程として、シリコン融液全体を凝固させてシリコン結晶インゴットを得るまで少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して複数のシリコン粒子を垂直方向に成長させる。
【発明の効果】
【0017】
高価なモノシリコン種や局所的過冷却を介してルツボの底部上にシリコン粒子を形成する先行技術とは対照的に、本発明は、低コストの核形成促進層を使用して高密度の核形成サイトを有するシリコン融液を提供する。粒子を高密度に分布させて速成長性配向の形成を抑制することで、大きいシリコン粒子の分布割合を大幅に減少させる。成長過程において小さい粒子の間の競合がかなり少なく、小さい粒子は、粒子母集団が非常に高密度であるため、一般的に上方に単一方向に成長する傾向にあり、よって、柱状結晶を完全に成長させるように小さい粒子が大きい粒子により圧倒される状況を有効に低減させる。さらに、結晶成長において、本発明のインゴットに高密度に分布する粒界が応力場を介して欠陥を引き付けて集結させ、または欠陥を粒界にスリップさせて熱応力を緩和する。したがって、転位などのような欠陥の増加が効果的に阻止され、このため、結晶シリコンインゴットは、品質が向上し、そのインゴットから作られる太陽電池は、光電変換効率が高い。本発明の方法により製造された結晶シリコンインゴットは、現行の結晶シリコンインゴットとは、結晶特性が相違する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に開示される様々な実施形態のこれら及び他の特徴および利点は、以下の説明と図面を通じて理解されるであろう。なお、図面において、同じ符号は、類似の構成要素を表すものとする。
【図1】図1は、結晶構造の極線図(polar diagram)における結晶配向(001)、(111)、(101)からなる三角形に投影された現行のポリシリコンインゴットにおける結晶配向の検出結果を示す概略図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施形態に係る結晶シリコンインゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施形態に係る結晶シリコンインゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図2C】図2Cは、本発明の一実施形態に係る結晶シリコンインゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図2D】図2Dは、本発明の一実施形態に係る結晶シリコンインゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係るDSS結晶成長炉の断面図であり、鋳型の底部上に配置されている核形成促進層がプレートである。
【図4】図4は、本発明の方法により製造された結晶シリコンインゴットの様々な結晶配向の割合を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態と従来の方法に従って製造された結晶シリコンインゴットのシリコン粒子の大きさを比較する図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態及び従来法により製造された結晶シリコンインゴットの欠陥密度を比較する図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態における結晶シリコンインゴットの底部、中間部、上部の粒径を金属顕微鏡で撮影した図である。
【図8】図8は、従来における結晶シリコンインゴットの底部、中間部、上部の粒径を金属顕微鏡で撮影した図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態におけるインゴットA及び従来のインゴットBの底部、中間部、上部(底部から垂直に約250mm離れている)から作られた太陽電池の光電変換効率を比較するバーグラフである。
【図10】図10は、様々な粒径を有する単結晶シリコンチャンク(chucks)を核形成促進層として製造された結晶シリコンインゴットの高さに沿った欠陥密度の変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の具体化、特徴及び作用が、下記記載にて好ましい、例示的な実施形態および添付の図面につき開示されている。
図2A〜2Dは、本発明の一実施形態に係る結晶シリコンインゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。
【0020】
図2Aに示すように、実質的に方向凝固システム(directional solidification system、DSS)による結晶成長炉1(以降、DSS炉と呼ぶ)が本発明の製造に採用されている。DSS炉1は、本体10と、上部断熱カバー122及び下部断熱板124を有する断熱ケージ12と、断熱ケージ12内部の方向性凝固ブロック18と、方向性凝固ブロック18を支持する、少なくとも一つの支柱19と、方向性凝固ブロック18上のベース17と、ベース17内部の鋳型16と、鋳型16上方に位置するヒータ14と、本体10及び断熱ケージ12を横断する不活性ガスダクト11とを備える。
【0021】
実際には、鋳型16は、石英ルツボであってもよい。方向性凝固ブロック18は、グラファイトで形成されてよい。ベース17は、グラファイトで形成されてよい。不活性ガスダクト11は、アルゴン(Ar)ガスを断熱ケージ12内に導入するように構成されている。
【0022】
図2Aに示すように、本発明の方法では、まず核形成促進層2を、鋳型16の底部上に設ける。該鋳型16は、垂直方向Vを規定する。次に、シリコン原料30を鋳型16内の核形成促進層2上に提供する。核形成促進層2およびシリコン原料30を収容する鋳型16を、ベース17内に配置する。
【0023】
そして、図2Bに示すように、シリコン原料30が完全にシリコン融液32に溶融されるまで鋳型16を加熱する。
その後、図2Cに示すように、シリコン融液32に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを制御して、複数のシリコン粒子34が核形成促進層2でシリコン融液32から核形成するとともに、垂直方向Vに成長するようにする。一実施形態では、シリコン粒子34は、核形成促進層2上のシリコン融液32から核形成し、垂直方向Vに平均粒径が2〜3倍と大きい粒子に成長する。シリコン粒子の平均粒径の成長倍数は、次の式で計算される。
【0024】
Sf/Si
ここで、Siは、核形成したシリコン粒子34の平均粒径であり、Sfは、核形成して成長したシリコン粒子34の平均粒径を示す。
【0025】
少なくとも一つの熱制御パラメータは、伝熱フラックスを含む。図2Cに示すように、結晶成長過程では、DSS炉1において、上部断熱カバー122が上方にゆっくり移動すると、ギャップは、断熱ケージ12により最初に包囲された閉空間内に形成される。該ギャップが断熱ケージ12の内側と外側との間の熱交換を仲介するため、伝熱フラックスが発生する。
【0026】
最後の工程として、図2Dに示すように、シリコン融液32全体が凝固するまで少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して複数のシリコン粒子34を垂直方向に成長させる。このようにシリコン結晶インゴット3が得られる。
【0027】
一実施形態では、核形成促進層2は、成長過程において複数のシリコン粒子34の欠陥密度の増加を抑制する機能をも有する。このようにして得られたシリコン結晶インゴット3は、垂直方向Vにおける欠陥密度の増加率が、0.01%/mm〜10%/mmの範囲にあり、次式により求められる。
【0028】
(Dx2−Dx1)/(x2−x1)
ここで、x1およびx2は、それぞれインゴットの垂直方向における2つの異なるレベルを示し、Dx1とDx2は、それぞれレベルx1とx2とにおける接平面内のインゴットの欠陥密度を示す。
【0029】
小さいシリコン粒子でも増加率を効果的に抑制することができる。本発明のインゴット3の底部中央に、小さいシリコン粒子(<10mm)は、存在する可能性がより高いが、該インゴット底部の辺または隅に、小さいシリコン粒子(<10mm)は、少数しか存在しない。これは、垂直方向Vに沿う接平面における小さいシリコン粒子によって占められる面積比は、粒子の成長率及び欠陥密度の増加率に影響を及ぼすことが分かる。
【0030】
一実施形態では、核形成促進層2に直接的に隣接するシリコン粒子34は、平均粒径が約10mm未満である。
一実施形態では、核形成促進層2は、形状が不規則で粒径が約50mm未満の複数の結晶粒子22から形成される。
【0031】
一実施形態では、複数の結晶粒子22は、ポリシリコン粒子、モノシリコン粒子、単結晶炭化ケイ素であってもよく、または、融点が1400℃より高く核形成を促進できる他の結晶粒子であってもよい。一例としては、複数の結晶粒子22は、市販のポリシリコン、またはモノシリコン種よりもはるかに安価なモノシリコンチップ(chips)やチャンク(chunks)である。次に、図2Aに示すように、ポリシリコンまたはモノシリコンチップやチャンクを、鋳型16の底部上に広げて核形成促進層2を形成する。図2Bに示すように、ポリシリコンまたはモノシリコンチップが核形成促進層2として充填されている状態でシリコン原料30が完全にシリコン融液32に溶融されている過程において、一部のポリシリコンまたはモノシリコンチップやチャンクが溶融されるが、残りの部分は溶融されていない。図2Bに示すように、モノシリコンチップやチャンクが完全に溶融されるのを防止するために、上部断熱カバー122及び下部断熱板124との間で開口を維持して鋳型16の下側部分の放熱を促進する。
【0032】
別の実施形態では、図3に示すように、核形成促進層2は、融点が約1400℃より高い材料からできたプレート24であってよい。このような材料としては、例えば、高純度のグラファイト、シリコン、酸化アルミニウムのようなセラミック材料、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。プレート24の、シリコン融液32に接触する表面は、300μm〜1000μmの粗さを有することで複数のシリコン粒子34に複数の核形成サイトを提供する。特に言及するが、図3における同様な符号は、図2Cにおける、実質的に同一構造および機能を有する同様な部分を示す。
【0033】
図2A〜2Dに戻って説明する。ヒータ14は、鋳型16の上方に位置しており、方向性凝固ブロック18は、鋳型16の下方に、且つ、鋳型16と間接的に接触するように配置されている。熱制御パラメータは、例えば、ヒータ14から鋳型16への第1温度勾配、シリコン融液20の底部から方向性凝固ブロック18の上部への第2温度勾配、または伝熱フラックスであってもよい。実際には、第1温度勾配を0.4℃/cmより小さく制御する必要があり、その第1温度勾配は、例えば、ヒータ14から鋳型16への距離を増加させ、または温度目標値が1410℃未満になるようにヒータ14を制御することによって達成できる。第2温度勾配を17℃/cm未満に制御する必要があり、その第2温度勾配は、例えば、方向性凝固ブロック18の厚さを増加させることによって達成できる。また、伝熱フラックスを37000W/m2より大きく制御する必要があり、その伝熱フラックスは、例えば、上部断熱カバー122の上昇速度を3cm/hr以上に調整することによって達成できる。
【0034】
別の好ましい実施形態では、結晶シリコンインゴットを製造する方法は、以下のように開示されている。まず、核形成促進層2を鋳型16の底部上に設ける。核形成促進層2は、複数の不規則な形状の結晶粒子22を接合することにより形成される。鋳型16自体が垂直方向Vを規定する。実際には、核形成促進層2は、本発明の方法で製造された別の結晶シリコンインゴットの下方部分を切断することにより得られる。このように、核形成促進層2は、その後の使用のため回収され得る。
【0035】
次に、シリコン原料30を鋳型16に入れて核形成促進層2上に配置する。
その後、シリコン原料30がシリコン融液32に完全に溶融されるまで、鋳型16を加熱する。そして、シリコン融液32に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを制御して、複数のシリコン粒子34が核形成促進層2でシリコン融液32から核形成するとともに、垂直方向Vに成長するようにする。一実施形態では、核形成促進層2上のシリコン融液32から核形成し、平均粒径が2〜3倍と大きく成長するシリコン粒子34が垂直方向Vに成長した。
【0036】
最後に、シリコン融液32全体が凝固するまで少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して複数のシリコン粒子34を垂直方向に成長させる。このようにシリコン結晶インゴット3が得られる。
【0037】
一実施形態では、核形成促進層2は、成長過程において複数のシリコン粒子34の欠陥密度の増加をも抑制する。このようにして得られたシリコン結晶インゴット3は、垂直方向Vにおける欠陥密度の増加率が、0.01%/mm〜10%/mmの範囲にある。
【0038】
一実施形態では、核形成促進層2に直接的に隣接するシリコン粒子34は、平均粒径が約10mm未満である。
一実施形態では、核形成促進層2は、それぞれ形状が不規則で粒径が約50mm未満の複数の結晶粒子22から形成される。
【0039】
本発明の方法により製造したシリコン粒子は、優先結晶配向が(001)と(111)との間にあり、このような優先結晶配向を有するシリコン粒子は、体積割合が約50%以より大きい。
【0040】
本発明の方法により製造された結晶シリコンインゴットに関する結晶幾何的解析が電子後方散乱回折(Electron Back-Scattered Diffraction、EBSD)法で実施されており、この結晶シリコンインゴットにおけるシリコン粒子の様々な結晶配向の割合が図4に示されている。
【0041】
図4には、本発明の方法における実施形態により製造されたシリコン粒子の優先結晶配向が(001)と(111)との間にあり、この優先結晶配向を有するシリコン粒の体積割合が約70%より大きいことが示されている。
【0042】
図5と図6とは、それぞれ結晶シリコンインゴットA、Bの、インゴットレベルにおける平均粒径と欠陥密度と(欠陥面積比、%)の関係を示す図であり、結晶シリコンインゴットAは本発明の実施形態により製造され、結晶シリコンインゴットBは従来の方法で製造された。図5に示すデータによると、初期段階における平均粒径は7.4mm程度であり、最終段階における平均粒径は18.4mm程度であることがわかる。したがって、最終平均粒径は、初期平均粒径の、2と3の間にある、約2.49(=18.4/7.4)倍となる。図6は、インゴットA及びBの、中心部と側壁と隅の欠陥面積率を示す。
【0043】
図7は、好ましい実施形態におけるインゴットAの底部、中間部、上部(底部から垂直に約250mm離れている)の粒径を金属顕微鏡下で撮影した図であり、図8は、インゴットBの底部、中間部、上部(底部から垂直に約250mm離れている)の粒径を金属顕微鏡下で撮影した図である。インゴットAとBはともに250mmの高さを有する。
【0044】
図9は、インゴットA及びBの底部、中間部、上部(底部から垂直に約250mm離れている)から作られた太陽電池の光電変換効率を比較するバーグラフである。図9に示すように、インゴットAから作られた太陽電池は、光電変換効率が17.41%〜17.56%の範囲にあり、インゴットBから作られた太陽電池は、光電変換効率が16.70%〜17.10%の範囲にあり、前者の光電変換効率が後者より約0.6%高い。それに、インゴットの底部、中間部、上部から作られた太陽電池は、その光電変換効率がおよそ同じであり、これは、電池メーカーにとって大きな商業的価値があり、有益である。
【0045】
図5〜9から明らかになるように、インゴットBは、シリコン粒子が大きく、ルツボの底部における欠陥密度が低いが、シリコン粒子が成長するにつれて、欠陥密度が急激に増加する。したがって、こうして得られた結晶シリコンインゴットは、品質が全体的に悪い。このようなインゴットから製造された太陽電池は、光電変換効率が間違いなく低い。これに対し、インゴットAを製造する際に、核形成促進層を、シリコン融液に有効な、かつ、高密度な核形成サイトとして導入して大きいシリコン粒子の分布割合を大幅に減少させる。成長過程において小さい粒子の間の競合がかなり少なく、小さい粒子は、粒子母集団が非常に高密度であるため、一般的に上方に単一方向に成長する傾向にあり、よって、柱状結晶を完全に成長させるように小さい粒が大きい粒子により圧倒される状況を有効的に低減させる。さらに、インゴットAに高密度に分布する粒界が応力場を介して欠陥を集結させ、または欠陥が粒界にスリップして熱応力を緩和する。したがって、転位などのような欠陥の増加が効果的に抑制され、そのため、結晶シリコンインゴットは、品質が全体的に向上し、そのインゴットから作られる太陽電池は、光電変換効率が高い。
【0046】
図10は、本発明の方法により、そして、様々な粒径を有する単結晶シリコンのチャンクを核形成促進層として製造した結晶シリコンインゴットの高さに沿った欠陥密度の変動を示す。使用されるモノシリコンチャンクは、10mm未満のモノシリコンチャック、7mm〜20mmのモノシリコンチャンク、および10mm〜40mmのモノシリコンチャンクを含む。同様に、図10中の欠陥密度が欠陥領域によって示される。そして前述したモノシリコンチャンクを使用して本発明の方法により製造した結晶シリコンインゴットにおける欠陥密度は、すべて少ないことが図10から明らかである。
【0047】
上記本発明の説明から、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の概念を実現するのに、様々な手法を用いることができるのは自明である。さらに、本発明を幾つかの実施形態につき説明してきたが、当業者でれば、本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく、形式及び細部に関して変更を施すことが可能であることを認識するであろう。このため、記載した実施形態は、あらゆる点で例示的なものと解されるべきであり、限定的なものとは解されてはならない。本発明の範囲が、添付の特許請求の範囲によって定義されることは、意図されている。
【符号の説明】
【0048】
1…結晶成長炉、2…核形成促進層、
3…シリコン結晶インゴット、
10…本体、11…不活性ガスダクト、12…断熱ケージ、14…ヒータ、
16…鋳型、
17…ベース、
18…方向性凝固ブロック、
19…支柱、
22…結晶粒子、
24…プレート
30…シリコン原料、
32…シリコン融液、
34…シリコン粒子、
122…上部断熱カバー
124…下部断熱板
V…垂直方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶シリコンインゴットの製造方法に関し、特に核形成促進層(nucleation promotion layer)を使用して、インゴットの底部においてバルク欠陥密度(bulk defect density)が低く、シリコン粒子が小さい結晶シリコンインゴットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの太陽電池は、太陽光を吸収すると光起電力(PV)効果を生じる。シリコンが地上で二番目に最も豊富に存在し入手可能な元素であるため、現在、ほとんどの太陽電池がシリコン系材料で作られている。また、シリコンは、費用対効果が高く、無毒、化学的に安定であることから、半導体用途で広く使用されるようになっている。
【0003】
太陽電池製造用のシリコン系材料は、3種類があり、すなわち、単結晶シリコン(mono-Si)、ポリシリコン(poly-Si)、アモルファスシリコン(a-Si)である。ポリシリコンは、チョクラルスキー法(Czochralski method、CZ法)や浮遊帯域法(floating zone method、FZ法)によって製造された単結晶シリコンよりはるかに安価であり、コストの理由で、通常、太陽電池の原料として使用される。
【0004】
従来、太陽電池用ポリシリコンは、普通の鋳造法で製造される。すなわち、鋳造法で太陽電池用のポリシリコンを製造することは、従来技術である。要するに、ポリシリコン太陽電池は、高純度のシリコンを石英ルツボのような鋳型に溶融させ、次に凝固を制御して冷却させてシリコンインゴットを得る。そして、更なる用途のための太陽電池モジュールに適合するウェーハに切断する。上記プロセスによって形成されたインゴットは、実際上、ランダムな結晶配向を有するシリコン結晶の集合体である。
【0005】
粒子の結晶配向がランダムであるため、ポリシリコンチップの表面をテクスチャ感のあるものに(粗く)するのは、困難である。表面テクスチャリングは、光の反射を低減してセルの表面に太陽エネルギーの吸収を増加させることにより、光起電力セルの効率を高めることができる。また、従来の多結晶シリコンの粒間の境界で形成されるねじれ(kink)は、転位クラスタまたは転位線の形で構造欠陥を核形成する傾向にある。これらの転位、及び、転位に吸引される傾向にあった不純物が、従来の多結晶シリコンから作られた太陽電池における電荷キャリアを早く再結合させると考えられ、これが、太陽電池の電力出力を低減させる。このように、ポリシリコン太陽電池は、通常、同等のモノシリコン太陽電池より効率が低い(現行の技術によって製造されたモノシリコンは半径方向に分布する欠陥があったとしても)。しかし、ポリシリコン太陽電池は、製造工程が比較的単純で、コストが低く、そして、太陽電池の処理において効果的な欠陥不動態化工程(defect passivation step)があり、そのため、ポリシリコンは、まだまだ広く太陽電池のシリコン原料として使われる。
【0006】
現在のところ、モノシリコン種層を用い方向性凝固法(directional solidification)に基づき、結晶シリコンインゴットを製造する技術が開発されており、該技術では、大きい(100)配向モノシリコンキュービックが種として一般的に採用された。残念なことに、(100)配向粒子とランダムに核形成した粒子との間の競合では、後者が優位的である。インゴットにおける種結晶の体積を最大にするため、現在の技術では、(111)配向シリコンにおける境界を使用して、(100)配向シリコン種に占有される領域を包囲することで、他の配向を有する結晶の成長をうまく阻止するようにしている。このように、高品質のモノシリコンインゴットまたは双結晶シリコンブロックが得られ、少数電荷キャリアの寿命が、高性能太陽電池の製造に採用された最終ウェーハにおいて最大化される。ここで、用語“単結晶シリコン(mono-Si)”とは、バルク全体で単一の、均一な結晶配向を有するモノシリコンバルクであり、“双結晶シリコン(bi-crystal silicon)”とは、バルクの50%以上の体積において一つの均一な結晶配向性を有し、該バルクの残りの体積において別の均一な結晶配向を有するシリコンバルクである。例えば、このような双結晶シリコンは、一つの結晶配向を有する単結晶シリコン本体を含み得、該単結晶シリコン本体は、別の単結晶シリコン本体に隣接する。この別の単結晶シリコン本体が前記結晶シリコンの残りの体積を構成するとともに異なる結晶配向を有する。なお、従来の多結晶シリコンとは、センチメートル(cm)・スケールの粒度分布を有するとともに、シリコン本体内にランダムに配向された複数の結晶を有する結晶シリコンのことを言う。しかし、高価なモノシリコンを種として使用する上記現在の技術で製造された結晶シリコンインゴットは、コストが高い。
【0007】
種として高価なモノシリコンを使用せずに製造する技術が他にある。この技術では、まず、横方向に成長した結晶を、局所的過冷却(undercooling)によりルツボの底部全体に広げ、次に柱状結晶を上方に成長させる。このように得られたインゴットの大きいシリコン粒子は、バルク欠陥密度が低い。したがって、上記技術により製造された結晶シリコンインゴットをスライスして得たシリコンウエーハで作られた太陽電池は、高い光電変換効率を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ポリシリコンを使用する上記現在の技術は、実験室のみで成功が証明された。工業レベルの生産においては、局所的過冷却によりルツボの底部全体に広げられるように樹枝状結晶の成長を制御することによってポリシリコンキャスティング(poly-Si casting)を行うことは、通常、より難しい。工業規模の多結晶シリコンキャスティングは、ルツボ及び全体の加熱均一性に影響され、この影響で初期過冷却制御における変動が高くなる。したがって、ルツボの底部のポリシリコンは、大きい粒子に成長する傾向にあり、該領域における欠陥密度が高くなる。大きい粒子が成長するにつれて、欠陥密度が急速に高くなり、その結果、結晶シリコンインゴットは、全体的に品質が悪くなり、太陽電池は、光電変換効率が下がる。
【0009】
なお、図1に、結晶構造の極線図(polar diagram)における結晶配向(001)、(111)、(101)からなる三角形に投影された現行のポリシリコンインゴットの結晶配向の検出結果が概略的に示されている。図1は、現行のポリシリコンインゴットの優先配向が、(112)と(315)との間に、および(313)と(111)との間のうちの少なくとも一方にあることを示している。ここで、優先配向とは、50%より大きい体積割合でシリコンインゴット中に存在する結晶配向の集合である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点に鑑み、本発明の一つの目的は、核形成促進層を使用してインゴットの底部にバルク欠陥密度が低く、シリコン粒子が小さい結晶シリコンインゴットの製造方法を提供する。
【0011】
さらに、本発明の別の目的は、従来の結晶シリコンインゴットと結晶特性が相違する結晶シリコンインゴットの製造方法を提供する。
本発明の一態様では、結晶シリコンインゴットを製造する方法が、以下の工程を含む。まず、核形成促進層を、それ自体が垂直方向を規定する鋳型の底部上に配置する。次に、鋳型内部の核形成促進層上にシリコン原料を提供して、そして、シリコン原料が完全に溶融されるまで鋳型を加熱する。その後、シリコン融液に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して、複数のシリコン粒子が核形成促進層上にシリコン融液から核形成するとともに、垂直方向に成長するようにする。最後の工程として、シリコン融液全体を凝固させて結晶シリコンインゴットを得るまでシリコン融液に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御してシリコン粒子を垂直方向に成長させる。
【0012】
一実施形態では、核形成促進層が、成長過程において複数のシリコン粒子の欠陥密度の増加を抑制する機能を有する。このようにして得られたシリコン結晶インゴットは、垂直方向における欠陥密度の増加率が、0.01%/mm〜10%/mmの範囲にある。
【0013】
一実施形態では、核形成促進層に直接的に隣接するシリコン粒子は、平均粒径が約10mm未満である。
一実施形態では、核形成促進層は、形状が不規則な複数の結晶粒子から形成される。該結晶粒子の各々は、粒径が約50mm未満である。
【0014】
一実施形態では、複数の結晶粒子は、ポリシリコン粒子、モノシリコン粒子、単結晶炭化ケイ素、または、融点が1400℃より高く核形成を促進できる他の結晶粒子である。
別の実施形態では、核形成促進層は、融点が1400℃より高い材料から形成されるプレートであり、前記プレートの、前記シリコン融液に接触する表面は、300μm〜1000μmの粗さを有して前記複数のシリコン粒子に複数の核形成サイトを提供する。
【0015】
一実施形態では、前記シリコン粒子の優先結晶配向が(001)と(111)との間にあり、前記優先結晶配向を有する前記シリコン粒子の体積割合が約50%より大きい。
一実施形態では、ヒータは、鋳型の上方に位置しており、方向性凝固ブロックは、鋳型の下方に位置している。少なくとも一つの熱制御パラメータは、ヒータから鋳型への第1温度勾配、シリコン融液の底部から方向性凝固ブロックの上部への第2温度勾配、または伝熱フラックスなどを含み得る。
【0016】
本発明の別の態様では、結晶シリコンインゴットを製造する方法は、以下の工程を含む。まず、核形成促進層を鋳型の底部上に設ける。核形成促進層は、複数の不規則な形状の結晶粒子を接合することにより形成される。鋳型自体が垂直方向を規定する。次に、シリコン原料を鋳型内部の核形成促進層上に提供する。その後、シリコン原料が完全にシリコン融液に溶融されるまで鋳型を加熱する。そして、シリコン融液に関して少なくとも一つの熱制御パラメータを制御して、複数のシリコン粒子が核形成促進層上にシリコン融液から核形成するとともに、垂直方向に成長するようにする。最後の工程として、シリコン融液全体を凝固させてシリコン結晶インゴットを得るまで少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して複数のシリコン粒子を垂直方向に成長させる。
【発明の効果】
【0017】
高価なモノシリコン種や局所的過冷却を介してルツボの底部上にシリコン粒子を形成する先行技術とは対照的に、本発明は、低コストの核形成促進層を使用して高密度の核形成サイトを有するシリコン融液を提供する。粒子を高密度に分布させて速成長性配向の形成を抑制することで、大きいシリコン粒子の分布割合を大幅に減少させる。成長過程において小さい粒子の間の競合がかなり少なく、小さい粒子は、粒子母集団が非常に高密度であるため、一般的に上方に単一方向に成長する傾向にあり、よって、柱状結晶を完全に成長させるように小さい粒子が大きい粒子により圧倒される状況を有効に低減させる。さらに、結晶成長において、本発明のインゴットに高密度に分布する粒界が応力場を介して欠陥を引き付けて集結させ、または欠陥を粒界にスリップさせて熱応力を緩和する。したがって、転位などのような欠陥の増加が効果的に阻止され、このため、結晶シリコンインゴットは、品質が向上し、そのインゴットから作られる太陽電池は、光電変換効率が高い。本発明の方法により製造された結晶シリコンインゴットは、現行の結晶シリコンインゴットとは、結晶特性が相違する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に開示される様々な実施形態のこれら及び他の特徴および利点は、以下の説明と図面を通じて理解されるであろう。なお、図面において、同じ符号は、類似の構成要素を表すものとする。
【図1】図1は、結晶構造の極線図(polar diagram)における結晶配向(001)、(111)、(101)からなる三角形に投影された現行のポリシリコンインゴットにおける結晶配向の検出結果を示す概略図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施形態に係る結晶シリコンインゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施形態に係る結晶シリコンインゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図2C】図2Cは、本発明の一実施形態に係る結晶シリコンインゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図2D】図2Dは、本発明の一実施形態に係る結晶シリコンインゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係るDSS結晶成長炉の断面図であり、鋳型の底部上に配置されている核形成促進層がプレートである。
【図4】図4は、本発明の方法により製造された結晶シリコンインゴットの様々な結晶配向の割合を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態と従来の方法に従って製造された結晶シリコンインゴットのシリコン粒子の大きさを比較する図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態及び従来法により製造された結晶シリコンインゴットの欠陥密度を比較する図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態における結晶シリコンインゴットの底部、中間部、上部の粒径を金属顕微鏡で撮影した図である。
【図8】図8は、従来における結晶シリコンインゴットの底部、中間部、上部の粒径を金属顕微鏡で撮影した図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態におけるインゴットA及び従来のインゴットBの底部、中間部、上部(底部から垂直に約250mm離れている)から作られた太陽電池の光電変換効率を比較するバーグラフである。
【図10】図10は、様々な粒径を有する単結晶シリコンチャンク(chucks)を核形成促進層として製造された結晶シリコンインゴットの高さに沿った欠陥密度の変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の具体化、特徴及び作用が、下記記載にて好ましい、例示的な実施形態および添付の図面につき開示されている。
図2A〜2Dは、本発明の一実施形態に係る結晶シリコンインゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。
【0020】
図2Aに示すように、実質的に方向凝固システム(directional solidification system、DSS)による結晶成長炉1(以降、DSS炉と呼ぶ)が本発明の製造に採用されている。DSS炉1は、本体10と、上部断熱カバー122及び下部断熱板124を有する断熱ケージ12と、断熱ケージ12内部の方向性凝固ブロック18と、方向性凝固ブロック18を支持する、少なくとも一つの支柱19と、方向性凝固ブロック18上のベース17と、ベース17内部の鋳型16と、鋳型16上方に位置するヒータ14と、本体10及び断熱ケージ12を横断する不活性ガスダクト11とを備える。
【0021】
実際には、鋳型16は、石英ルツボであってもよい。方向性凝固ブロック18は、グラファイトで形成されてよい。ベース17は、グラファイトで形成されてよい。不活性ガスダクト11は、アルゴン(Ar)ガスを断熱ケージ12内に導入するように構成されている。
【0022】
図2Aに示すように、本発明の方法では、まず核形成促進層2を、鋳型16の底部上に設ける。該鋳型16は、垂直方向Vを規定する。次に、シリコン原料30を鋳型16内の核形成促進層2上に提供する。核形成促進層2およびシリコン原料30を収容する鋳型16を、ベース17内に配置する。
【0023】
そして、図2Bに示すように、シリコン原料30が完全にシリコン融液32に溶融されるまで鋳型16を加熱する。
その後、図2Cに示すように、シリコン融液32に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを制御して、複数のシリコン粒子34が核形成促進層2でシリコン融液32から核形成するとともに、垂直方向Vに成長するようにする。一実施形態では、シリコン粒子34は、核形成促進層2上のシリコン融液32から核形成し、垂直方向Vに平均粒径が2〜3倍と大きい粒子に成長する。シリコン粒子の平均粒径の成長倍数は、次の式で計算される。
【0024】
Sf/Si
ここで、Siは、核形成したシリコン粒子34の平均粒径であり、Sfは、核形成して成長したシリコン粒子34の平均粒径を示す。
【0025】
少なくとも一つの熱制御パラメータは、伝熱フラックスを含む。図2Cに示すように、結晶成長過程では、DSS炉1において、上部断熱カバー122が上方にゆっくり移動すると、ギャップは、断熱ケージ12により最初に包囲された閉空間内に形成される。該ギャップが断熱ケージ12の内側と外側との間の熱交換を仲介するため、伝熱フラックスが発生する。
【0026】
最後の工程として、図2Dに示すように、シリコン融液32全体が凝固するまで少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して複数のシリコン粒子34を垂直方向に成長させる。このようにシリコン結晶インゴット3が得られる。
【0027】
一実施形態では、核形成促進層2は、成長過程において複数のシリコン粒子34の欠陥密度の増加を抑制する機能をも有する。このようにして得られたシリコン結晶インゴット3は、垂直方向Vにおける欠陥密度の増加率が、0.01%/mm〜10%/mmの範囲にあり、次式により求められる。
【0028】
(Dx2−Dx1)/(x2−x1)
ここで、x1およびx2は、それぞれインゴットの垂直方向における2つの異なるレベルを示し、Dx1とDx2は、それぞれレベルx1とx2とにおける接平面内のインゴットの欠陥密度を示す。
【0029】
小さいシリコン粒子でも増加率を効果的に抑制することができる。本発明のインゴット3の底部中央に、小さいシリコン粒子(<10mm)は、存在する可能性がより高いが、該インゴット底部の辺または隅に、小さいシリコン粒子(<10mm)は、少数しか存在しない。これは、垂直方向Vに沿う接平面における小さいシリコン粒子によって占められる面積比は、粒子の成長率及び欠陥密度の増加率に影響を及ぼすことが分かる。
【0030】
一実施形態では、核形成促進層2に直接的に隣接するシリコン粒子34は、平均粒径が約10mm未満である。
一実施形態では、核形成促進層2は、形状が不規則で粒径が約50mm未満の複数の結晶粒子22から形成される。
【0031】
一実施形態では、複数の結晶粒子22は、ポリシリコン粒子、モノシリコン粒子、単結晶炭化ケイ素であってもよく、または、融点が1400℃より高く核形成を促進できる他の結晶粒子であってもよい。一例としては、複数の結晶粒子22は、市販のポリシリコン、またはモノシリコン種よりもはるかに安価なモノシリコンチップ(chips)やチャンク(chunks)である。次に、図2Aに示すように、ポリシリコンまたはモノシリコンチップやチャンクを、鋳型16の底部上に広げて核形成促進層2を形成する。図2Bに示すように、ポリシリコンまたはモノシリコンチップが核形成促進層2として充填されている状態でシリコン原料30が完全にシリコン融液32に溶融されている過程において、一部のポリシリコンまたはモノシリコンチップやチャンクが溶融されるが、残りの部分は溶融されていない。図2Bに示すように、モノシリコンチップやチャンクが完全に溶融されるのを防止するために、上部断熱カバー122及び下部断熱板124との間で開口を維持して鋳型16の下側部分の放熱を促進する。
【0032】
別の実施形態では、図3に示すように、核形成促進層2は、融点が約1400℃より高い材料からできたプレート24であってよい。このような材料としては、例えば、高純度のグラファイト、シリコン、酸化アルミニウムのようなセラミック材料、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。プレート24の、シリコン融液32に接触する表面は、300μm〜1000μmの粗さを有することで複数のシリコン粒子34に複数の核形成サイトを提供する。特に言及するが、図3における同様な符号は、図2Cにおける、実質的に同一構造および機能を有する同様な部分を示す。
【0033】
図2A〜2Dに戻って説明する。ヒータ14は、鋳型16の上方に位置しており、方向性凝固ブロック18は、鋳型16の下方に、且つ、鋳型16と間接的に接触するように配置されている。熱制御パラメータは、例えば、ヒータ14から鋳型16への第1温度勾配、シリコン融液20の底部から方向性凝固ブロック18の上部への第2温度勾配、または伝熱フラックスであってもよい。実際には、第1温度勾配を0.4℃/cmより小さく制御する必要があり、その第1温度勾配は、例えば、ヒータ14から鋳型16への距離を増加させ、または温度目標値が1410℃未満になるようにヒータ14を制御することによって達成できる。第2温度勾配を17℃/cm未満に制御する必要があり、その第2温度勾配は、例えば、方向性凝固ブロック18の厚さを増加させることによって達成できる。また、伝熱フラックスを37000W/m2より大きく制御する必要があり、その伝熱フラックスは、例えば、上部断熱カバー122の上昇速度を3cm/hr以上に調整することによって達成できる。
【0034】
別の好ましい実施形態では、結晶シリコンインゴットを製造する方法は、以下のように開示されている。まず、核形成促進層2を鋳型16の底部上に設ける。核形成促進層2は、複数の不規則な形状の結晶粒子22を接合することにより形成される。鋳型16自体が垂直方向Vを規定する。実際には、核形成促進層2は、本発明の方法で製造された別の結晶シリコンインゴットの下方部分を切断することにより得られる。このように、核形成促進層2は、その後の使用のため回収され得る。
【0035】
次に、シリコン原料30を鋳型16に入れて核形成促進層2上に配置する。
その後、シリコン原料30がシリコン融液32に完全に溶融されるまで、鋳型16を加熱する。そして、シリコン融液32に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを制御して、複数のシリコン粒子34が核形成促進層2でシリコン融液32から核形成するとともに、垂直方向Vに成長するようにする。一実施形態では、核形成促進層2上のシリコン融液32から核形成し、平均粒径が2〜3倍と大きく成長するシリコン粒子34が垂直方向Vに成長した。
【0036】
最後に、シリコン融液32全体が凝固するまで少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して複数のシリコン粒子34を垂直方向に成長させる。このようにシリコン結晶インゴット3が得られる。
【0037】
一実施形態では、核形成促進層2は、成長過程において複数のシリコン粒子34の欠陥密度の増加をも抑制する。このようにして得られたシリコン結晶インゴット3は、垂直方向Vにおける欠陥密度の増加率が、0.01%/mm〜10%/mmの範囲にある。
【0038】
一実施形態では、核形成促進層2に直接的に隣接するシリコン粒子34は、平均粒径が約10mm未満である。
一実施形態では、核形成促進層2は、それぞれ形状が不規則で粒径が約50mm未満の複数の結晶粒子22から形成される。
【0039】
本発明の方法により製造したシリコン粒子は、優先結晶配向が(001)と(111)との間にあり、このような優先結晶配向を有するシリコン粒子は、体積割合が約50%以より大きい。
【0040】
本発明の方法により製造された結晶シリコンインゴットに関する結晶幾何的解析が電子後方散乱回折(Electron Back-Scattered Diffraction、EBSD)法で実施されており、この結晶シリコンインゴットにおけるシリコン粒子の様々な結晶配向の割合が図4に示されている。
【0041】
図4には、本発明の方法における実施形態により製造されたシリコン粒子の優先結晶配向が(001)と(111)との間にあり、この優先結晶配向を有するシリコン粒の体積割合が約70%より大きいことが示されている。
【0042】
図5と図6とは、それぞれ結晶シリコンインゴットA、Bの、インゴットレベルにおける平均粒径と欠陥密度と(欠陥面積比、%)の関係を示す図であり、結晶シリコンインゴットAは本発明の実施形態により製造され、結晶シリコンインゴットBは従来の方法で製造された。図5に示すデータによると、初期段階における平均粒径は7.4mm程度であり、最終段階における平均粒径は18.4mm程度であることがわかる。したがって、最終平均粒径は、初期平均粒径の、2と3の間にある、約2.49(=18.4/7.4)倍となる。図6は、インゴットA及びBの、中心部と側壁と隅の欠陥面積率を示す。
【0043】
図7は、好ましい実施形態におけるインゴットAの底部、中間部、上部(底部から垂直に約250mm離れている)の粒径を金属顕微鏡下で撮影した図であり、図8は、インゴットBの底部、中間部、上部(底部から垂直に約250mm離れている)の粒径を金属顕微鏡下で撮影した図である。インゴットAとBはともに250mmの高さを有する。
【0044】
図9は、インゴットA及びBの底部、中間部、上部(底部から垂直に約250mm離れている)から作られた太陽電池の光電変換効率を比較するバーグラフである。図9に示すように、インゴットAから作られた太陽電池は、光電変換効率が17.41%〜17.56%の範囲にあり、インゴットBから作られた太陽電池は、光電変換効率が16.70%〜17.10%の範囲にあり、前者の光電変換効率が後者より約0.6%高い。それに、インゴットの底部、中間部、上部から作られた太陽電池は、その光電変換効率がおよそ同じであり、これは、電池メーカーにとって大きな商業的価値があり、有益である。
【0045】
図5〜9から明らかになるように、インゴットBは、シリコン粒子が大きく、ルツボの底部における欠陥密度が低いが、シリコン粒子が成長するにつれて、欠陥密度が急激に増加する。したがって、こうして得られた結晶シリコンインゴットは、品質が全体的に悪い。このようなインゴットから製造された太陽電池は、光電変換効率が間違いなく低い。これに対し、インゴットAを製造する際に、核形成促進層を、シリコン融液に有効な、かつ、高密度な核形成サイトとして導入して大きいシリコン粒子の分布割合を大幅に減少させる。成長過程において小さい粒子の間の競合がかなり少なく、小さい粒子は、粒子母集団が非常に高密度であるため、一般的に上方に単一方向に成長する傾向にあり、よって、柱状結晶を完全に成長させるように小さい粒が大きい粒子により圧倒される状況を有効的に低減させる。さらに、インゴットAに高密度に分布する粒界が応力場を介して欠陥を集結させ、または欠陥が粒界にスリップして熱応力を緩和する。したがって、転位などのような欠陥の増加が効果的に抑制され、そのため、結晶シリコンインゴットは、品質が全体的に向上し、そのインゴットから作られる太陽電池は、光電変換効率が高い。
【0046】
図10は、本発明の方法により、そして、様々な粒径を有する単結晶シリコンのチャンクを核形成促進層として製造した結晶シリコンインゴットの高さに沿った欠陥密度の変動を示す。使用されるモノシリコンチャンクは、10mm未満のモノシリコンチャック、7mm〜20mmのモノシリコンチャンク、および10mm〜40mmのモノシリコンチャンクを含む。同様に、図10中の欠陥密度が欠陥領域によって示される。そして前述したモノシリコンチャンクを使用して本発明の方法により製造した結晶シリコンインゴットにおける欠陥密度は、すべて少ないことが図10から明らかである。
【0047】
上記本発明の説明から、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の概念を実現するのに、様々な手法を用いることができるのは自明である。さらに、本発明を幾つかの実施形態につき説明してきたが、当業者でれば、本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく、形式及び細部に関して変更を施すことが可能であることを認識するであろう。このため、記載した実施形態は、あらゆる点で例示的なものと解されるべきであり、限定的なものとは解されてはならない。本発明の範囲が、添付の特許請求の範囲によって定義されることは、意図されている。
【符号の説明】
【0048】
1…結晶成長炉、2…核形成促進層、
3…シリコン結晶インゴット、
10…本体、11…不活性ガスダクト、12…断熱ケージ、14…ヒータ、
16…鋳型、
17…ベース、
18…方向性凝固ブロック、
19…支柱、
22…結晶粒子、
24…プレート
30…シリコン原料、
32…シリコン融液、
34…シリコン粒子、
122…上部断熱カバー
124…下部断熱板
V…垂直方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶シリコンインゴットの製造方法であって、
(a)核形成促進層を鋳型の底部上に配置することであって、前記鋳型自体が垂直方向を規定する、前記配置すること、
(b)前記鋳型内部の前記核形成促進層上にシリコン原料を提供すること、
(c)前記シリコン原料が完全にシリコン融液に溶融されるまで前記鋳型を加熱すること、
(d)前記シリコン融液に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して、複数のシリコン粒子が、前記核形成促進層上に前記シリコン融液から核形成するとともに、垂直方向に成長するようにすること、
(e)前記シリコン融液全体を凝固させて前記結晶シリコンインゴットを得るまで前記シリコン融液に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して前記シリコン粒子を前記垂直方向に連続的に成長させること
を備える方法。
【請求項2】
前記結晶シリコンインゴットの、前記垂直方向における欠陥密度の増加率が、0.01%/mm〜10%/mmの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核形成促進層に直接的に隣接するシリコン粒子の平均粒径が約10mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核形成促進層が、形状が不規則で粒径が約50mm未満の複数の結晶粒子を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の結晶粒子が、ポリシリコン粒子、モノシリコン粒子、及び単結晶炭化ケイ素からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の結晶粒子が、ポリシリコン粒子、またはモノシリコン粒子であり、前記工程(c)において前記結晶粒子の一部は、溶融される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記核形成促進層は、融点が1400℃より高い材料から形成されるプレートであり、
前記プレートの、前記シリコン融液に接触する表面は、300μm〜1000μmの粗さを有して前記複数のシリコン粒子に複数の核形成サイトを提供する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコン粒子の優先結晶配向が(001)と(111)との間にあり、前記優先結晶配向を有する前記シリコン粒子の体積割合が約50%より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シリコン粒子の優先結晶配向が(001)と(111)との間にあり、前記優先結晶配向を有する前記シリコン粒子の体積割合が約70%より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項1】
結晶シリコンインゴットの製造方法であって、
(a)核形成促進層を鋳型の底部上に配置することであって、前記鋳型自体が垂直方向を規定する、前記配置すること、
(b)前記鋳型内部の前記核形成促進層上にシリコン原料を提供すること、
(c)前記シリコン原料が完全にシリコン融液に溶融されるまで前記鋳型を加熱すること、
(d)前記シリコン融液に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して、複数のシリコン粒子が、前記核形成促進層上に前記シリコン融液から核形成するとともに、垂直方向に成長するようにすること、
(e)前記シリコン融液全体を凝固させて前記結晶シリコンインゴットを得るまで前記シリコン融液に関する少なくとも一つの熱制御パラメータを継続的に制御して前記シリコン粒子を前記垂直方向に連続的に成長させること
を備える方法。
【請求項2】
前記結晶シリコンインゴットの、前記垂直方向における欠陥密度の増加率が、0.01%/mm〜10%/mmの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核形成促進層に直接的に隣接するシリコン粒子の平均粒径が約10mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核形成促進層が、形状が不規則で粒径が約50mm未満の複数の結晶粒子を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の結晶粒子が、ポリシリコン粒子、モノシリコン粒子、及び単結晶炭化ケイ素からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の結晶粒子が、ポリシリコン粒子、またはモノシリコン粒子であり、前記工程(c)において前記結晶粒子の一部は、溶融される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記核形成促進層は、融点が1400℃より高い材料から形成されるプレートであり、
前記プレートの、前記シリコン融液に接触する表面は、300μm〜1000μmの粗さを有して前記複数のシリコン粒子に複数の核形成サイトを提供する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコン粒子の優先結晶配向が(001)と(111)との間にあり、前記優先結晶配向を有する前記シリコン粒子の体積割合が約50%より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シリコン粒子の優先結晶配向が(001)と(111)との間にあり、前記優先結晶配向を有する前記シリコン粒子の体積割合が約70%より大きい、請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−112603(P2013−112603A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−241091(P2012−241091)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【出願人】(507204660)中美▲せき▼晶製品股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【出願人】(507204660)中美▲せき▼晶製品股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】
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