説明

給水制御装置、及び給水システム

【課題】放水エリアに進入した物体の種類または状態を判定することで、利用者の状況に合わせた給水装置の放水制御を行う。
【解決手段】給水制御装置10は、撮像カメラ30によって撮像された、給水装置20が放水を行う放水エリアA1の映像を、撮像カメラ30から取得する映像取得部11と、映像取得部11が取得した映像に基づいて、給水装置20の給水弁21を制御する制御部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置による放水を制御する給水制御装置、及び給水装置を備える給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品工場や医療現場などの衛生管理が必要な区画へ進入するために、利用者が守るべき衛生管理マニュアルとして、専用の手洗い場にて手の洗浄を行うように取り決めたマニュアルが広く普及している。しかし、そのような手洗い場では、水を利用するために利用者が給水装置に触れることは衛生状態の悪化を招く恐れがあり、赤外線センサなどを用いた手を触れずに水を利用することができる自動放水を行う給水装置が実用化されている。また、近年このような自動放水を行う給水装置は、特に衛生管理が必要な場所に限らず、一般的な水道設備としても普及している。
【0003】
なお、下記特許文献1には、焦電型赤外線センサを用いて検知範囲に進入した人体を検知し、当該検知に基づいて電磁弁を制御することにより、シャワーからのお湯の噴出を制御する給水装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−333870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の給水装置では、人体の検知に焦電型赤外線センサを用いる。焦電型赤外線センサは、検知範囲に進入した対象物の温度を検知するセンサであり、焦電型赤外線センサにて人体の体温を検知している。しかし、人体の表面温度と周囲の温度との差が小さい場合に、人体を検知できないことがある。また、自動放水を行う給水装置に焦電型赤外線センサを用いた場合、温度の差によって人体を検知して放水を行うことはできるが、周囲の温度とほぼ同じ温度になるコップや歯ブラシなどの人体以外の物体を検知できないという問題点があった。
【0006】
焦電型赤外線センサ以外に自動で放水を行う給水装置に用いられるセンサとして、反射型赤外線センサや超音波型センサなどがあるが、これらのセンサは、検知範囲に物体が進入するか否かだけを検知するものであり、検知範囲に放水を行う対象以外の物体が進入しても検知してしまい、不必要な放水を行ってしまうことがある。
【0007】
このように、自動で放水を行う給水装置においては、放水を必要とする対象を適切に検知し、放水を必要としている利用者にのみ放水することで、節水を行う技術が求められている。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みて成されたものであり、放水エリアに進入した物体の種類及び状態を判定することで、利用者の状態に合わせた適切な給水装置の放水制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る給水制御装置は、撮像カメラによって撮像された、給水装置が放水を行う放水エリアの映像を、当該撮像カメラから取得する取得手段と、前記取得手段が取得した映像に基づいて、前記給水装置の給水弁を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
第1の態様に係る給水制御装置によれば、給水装置により放水が行われる放水エリアを撮像カメラが撮像した映像を取得手段が取得し、当該映像に基づいて、制御手段が給水装置の給水弁を制御する。したがって、撮像カメラが撮像した映像に対してエッジ抽出やパターンマッチングなどの物体識別処理を行えば、判定手段は、放水エリアに放水を行う対象物があるか否かの判定や、当該対象物が放水を必要としているか否かの判定を行うことができる。そして、これらの判定の結果により、給水装置の利用者が放水を必要としている状態であることを検知できるので、制御手段は利用者の状態に合わせた適切な放水の制御を行うことが可能となる。
【0011】
本発明の第2の態様に係る給水制御装置は、第1の態様に係る給水制御装置において特に、前記取得手段が取得した映像に基づいて、前記映像中の対象物の状態を判定する判定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記対象物の状態に基づいて、前記給水弁の開閉を切り替えることを特徴とする。
【0012】
第2の態様に係る給水制御装置によれば、放水エリアを撮像した映像に基づいて、判定手段は、放水を行う対象物が放水を必要としている状態であるか否かを判定する。そして、当該対象物が放水を必要としている状態である場合には、制御手段によって給水弁が制御されて、給水装置からの放水が行われる。したがって、例えば、給水装置の利用者の手やコップなどの放水を行う対象物が放水エリア内で放水を必要としている状態であれば、当該利用者は給水装置からの放水を受けることができる。逆に、給水装置の利用者の手やコップなどの放水を行う対象物が放水エリア内に存在しなかったり、放水エリア内に当該対象物が存在しても放水を必要としている状態でなければ、給水装置からの放水は行われない。よって、必要でない放水は行われないので、給水装置において節水することが可能となる。
【0013】
本発明の第3の態様に係る給水制御装置は、第2の態様に係る給水制御装置において特に、前記対象物は、前記給水装置の利用者の手を含み、前記制御手段は、放水をしていない場合に、手の摺動動作が所定の時間以上行われたとき、前記給水弁を開くことを特徴とする。
【0014】
第3の態様に係る給水制御装置によれば、放水エリアを撮像した映像に基づいて、判定手段は、放水をしていない場合に、放水エリア内で利用者が手の摺動動作を所定の時間以上行っていたとき、放水を必要としている状態であると判定する。よって、利用者が手洗いを行うために洗剤を付けて両手を擦り合わせるなどの、手の摺動動作を所定の時間以上続けることで、洗剤による手洗いが十分行われたものとし、制御手段によって手をゆすぐための放水を行う制御が行われる。利用者が手の摺動動作を所定の時間以上行わず、洗剤による手洗いが不十分であれば、利用者は給水装置からの放水を受けられず、洗剤のついた手をゆすぐことができない。したがって、利用者に対して手の摺動動作を所定の時間以上行う手洗いをするように促すことができ、手洗い不足による衛生状態の悪化を防ぐことが可能となる。
【0015】
本発明の第4の態様に係る給水制御装置は、第3の態様に係る給水制御装置において特に、前記判定手段は、放水をしている場合に、手の摺動動作が開始されたとき、前記給水弁を閉じることを特徴とする。
【0016】
第4の態様に係る給水制御装置によれば、放水エリアを撮像した映像に基づいて、判定手段は、放水をしている場合に、放水エリア内で利用者が手の摺動動作を開始したとき、放水を必要としている状態ではないと判定する。よって、利用者が手洗いを行うために洗剤を付けて両手を擦り合わせるなどの、手の摺動動作を開始した場合、給水装置からの放水は行われない。したがって、利用者が放水の必要のない手の摺動動作を行っている最中に、給水装置からの放水が行われ続けることを防ぎ、給水装置において節水することが可能となる。
【0017】
本発明の第5の態様に係る給水制御装置は、第1の態様に係る給水制御装置において特に、前記制御手段は、前記対象物の状態に基づいて、前記給水弁の開閉量を調整することを特徴とする。
【0018】
第5の態様に係る給水制御装置によれば、放水エリアを撮像した映像に基づいて、判定手段は、利用者が給水装置の放水量の増減を要求している状態であるか否かを判定する。当該判定により、利用者が放水量の増減を要求している状態である場合、制御手段は放水量を増減させるように給水装置を制御する。したがって、利用者は給水装置に触れることなく、給水装置の放水量を増減させることができるので、放水量の増減を行う操作のために利用者が給水装置に触れることで、手の衛生状態が悪化するのを防ぐことができる。
【0019】
本発明の第6の態様に係る給水システムは、給水装置と、前記給水装置が放水を行う放水エリアを撮像する撮像カメラと、前記給水装置を制御する給水制御装置と、を備え、前記給水制御装置は、前記撮像カメラによって撮像された前記放水エリアの映像を、当該撮像カメラから取得する取得手段と、前記取得手段が取得した映像に基づいて、前記給水装置の給水弁を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
第6の態様に係る給水システムによれば、給水装置により放水が行われる放水エリアを撮像カメラが撮像した映像を取得手段が取得し、当該映像に基づいて、制御手段が給水装置の給水弁を制御する。したがって、判定手段は、撮像カメラが撮像した映像に対してエッジ抽出やパターンマッチングなどの物体識別処理を行えば、放水エリアに放水を行う対象物があるか否かの判定や、当該対象物が放水を必要としているか否かの判定を行うことができる。そして、これらの判定の結果により、給水装置の利用者が放水を必要としている状態であることを検知できるので、制御手段によって利用者の状態に合わせた適切な放水の制御を行うことが可能となる。
【0021】
本発明の第7の態様に係る給水システムは、第6の態様に係る給水システムにおいて特に、前記給水制御装置は、前記取得手段が取得した映像に基づいて、前記給水装置の利用者が所定の手洗い動作を行ったか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定の結果、前記利用者が前記所定の手洗い動作を行っていない場合に、当該利用者に当該所定の手洗い動作を行わせるための指示情報を出力する出力手段と、をさらに有することを特徴とする。
【0022】
第7の態様に係る給水システムによれば、放水エリアを撮像した映像に基づいて、判定手段は、放水エリアに進入した利用者が所定の手洗い動作を行ったか否かを判定する。そして、判定手段による判定の結果、利用者が所定の手洗い動作を行っていない場合に、出力手段が利用者に所定の手洗い動作を行わせるための指示情報を出力する。したがって、利用者が所定の手洗い動作を行わず手洗いが不十分であった場合には、所定の手洗い動作を行うことで適切に手洗いが行われるよう利用者に対して指示を与えることができるので、給水システムは手洗いによる衛生管理を適切に行うことが可能となる。
【0023】
本発明の第8の態様に係る給水システムは、第6の態様に係る給水システムにおいて特に、前記給水制御装置は、前記取得手段が取得した映像に基づいて、前記給水装置の利用者が所定の手洗い動作を行ったか否かを判定する判定手段をさらに有し、前記判定手段による判定の結果、前記利用者が前記所定の手洗い動作を行っていない場合に、所定の衛生管理エリアへの当該利用者の進入を規制する規制手段をさらに備えることを特徴とする。
【0024】
第8の態様に係る給水システムによれば、放水エリアを撮像した映像に基づいて、判定手段は、放水エリアに進入した利用者が所定の手洗い動作を行ったか否かを判定する。そして、判定手段による判定の結果、利用者が所定の手洗い動作を行っていない場合に、規制手段は当該利用者が所定の衛生管理エリアへ進入することを規制する。したがって、所定の手洗い動作が行われず手洗いが不十分である利用者は、所定の衛生管理エリアに進入することができないので、給水システムは衛生管理エリアの衛生状態が悪化するのを防ぐことが可能となる。
【0025】
本発明の第9の態様に係る給水システムは、第6から第8のいずれか一つの態様に係る給水システムにおいて特に、前記給水制御装置は、前記給水装置の利用者による当該給水装置の利用状況に関する情報を取得する情報取得手段と、前記取得手段が取得した前記利用状況に関する情報に基づき、前記利用者による前記給水装置の利用法が不適切である場合に、当該利用者に当該給水装置の適切な利用法を案内するための案内情報を出力する出力手段と、をさらに有することを特徴とする。
【0026】
第9の態様に係る給水システムによれば、情報取得手段は、利用者が給水装置から放水を受けている時間の情報、所定の手洗い動作を行っている時間の情報、及び手洗いを行う時間が十分か否かの情報などといった、利用者による給水装置の利用状況に関する情報を取得する。そして、出力手段は、当該利用状況に関する情報に基づいて、利用者による給水装置の利用法が不適切である場合に、当該利用者に当該給水装置の適切な利用法を案内するための案内情報を出力する。したがって、利用者が不適切な利用法で給水装置を利用していた場合、給水システムは、当該利用者に対し適切な利用法を案内することで、当該利用者が給水装置の利用法を改善するように促すことが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、放水エリアに進入した物体の種類または状態を判定することで、利用者の状況に合わせた給水装置の放水制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る給水システムの全体構成を概略的に示した図である。
【図2】給水装置の外観の一例を模式的に示した図である。
【図3】給水システムが設置された施設の一例を模式的に示した図である。
【図4】状態判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】放水制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】手洗い監視処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一または相応する要素を示すものとする。
【0030】
本発明の実施の形態に係る給水システム1は、給水装置が放水を行う放水エリアを撮像した映像を用いて、放水を行う対象物の状態を判定する状態判定処理を行い、当該状態判定処理における判定の結果に基づいて、給水装置からの放水を制御する放水制御処理、及び当該給水装置の利用者が行う手洗い動作を監視する手洗い監視処理を行うシステムである。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態に係る給水システム1の全体構成を概略的に示した図である。給水システム1は、給水制御装置10、給水装置20、撮像カメラ30、及び規制手段である規制装置40を備えて構成されている。給水制御装置10は、取得手段である映像取得部11、判定手段である判定部12、制御手段である制御部13、情報取得手段である情報取得部14、及び出力手段である出力部15を有して構成されている。給水装置20は、給水弁21を有して構成されている。撮像カメラ30の出力は映像取得部11の入力に接続されている。映像取得部11の出力は判定部12の入力に接続されている。判定部12の出力は制御部13及び情報取得部14の入力に接続されている。制御部13の出力は給水弁21の入力に接続されている。情報取得部14の出力は出力部15及び規制装置40の入力に接続されている。
【0032】
図2は、給水装置20の外観の一例を模式的に示した図である。給水システム1の給水装置20は、給水口23を有する蛇口22を含み、給水弁21の開閉及びその開閉量に応じた放水が給水口23から行われる。また、撮像カメラ30は、給水装置20が放水を行う放水エリアA1を撮像範囲としている。
【0033】
図3は、給水システム1が設置された施設の一例を模式的に示した図である。当該施設は、医療施設や食品工場などの衛生管理が必要な所定の衛生管理エリアを有する施設である。当該施設の手洗い場から衛生管理エリアに入るための入り口には規制装置40が設置されており、普段は当該施設の利用者が衛生管理エリアに進入できないように、規制装置40が規制を行っている。給水システム1は、当該利用者が給水装置20を用いて行う手洗いを後述する手洗い監視処理によって監視し、当該利用者が適切な手洗いを行った場合にだけ、規制装置40による規制の解除を行う。
【0034】
次に、本発明の実施の形態に係る給水システム1の動作について説明を行う。図4は、状態判定処理の処理手順を示すフローチャートである。以下、給水システム1が行う状態判定処理の説明を、図4を用いて行う。
【0035】
まず、ステップSP100において、撮像カメラ30は、放水エリアA1の映像を撮像する。放水エリアA1は、給水口23からの放水が行われる範囲を含んだエリアである。図2にて示した給水装置20の場合、放水エリアA1は蛇口22の下方に広がっており、一般的に給水口23からの放水を利用者が利用しようとするとき、放水を行う対象物(当該利用者の手や当該利用者が手に持ったコップなど)を利用者が進入させる領域である。なお、撮像カメラ30は、CCD(Charge Coupled Device)カメラのような一般的なカメラを用いたものであってよく、放水エリアA1を撮像した映像データを得られるものであればよい。
【0036】
そして、映像取得部11は、放水エリアA1を撮像した映像データを、撮像カメラ30から信号S1を用いて取得する。当該映像データの圧縮方式やビットレートなどの映像形式は、本発明において限定されるものではなく、後述のステップSP110及びステップSP120にて放水を行う対象物の探索や当該対象物の状態の判定が行えるものであればよい。また、給水システム1は、図1に示した構成に加えて、さらに記憶装置を備えてもよく、映像取得部11は当該記憶装置に当該映像データを記憶させてもよい。そして、映像取得部11は、撮像カメラ30が撮像した映像データ(記憶装置が記憶した過去の映像データを含んでもよい)を、信号S2を用いて判定部12に向けて出力する。
【0037】
次に、図4を参照して、ステップSP110において、判定部12は、放水エリアA1を撮像した映像データに基づいて、放水を行う対象物を探索することにより、放水エリアA1内における当該対象物の有無を判定する。具体的には、放水エリアA1を撮像した映像データが入力された判定部12は、当該映像データの画像に対して、エッジ抽出により得られたエッジデータや特徴点抽出により得られた特徴データを用いたパターンマッチングなどの物体識別処理を行う。この物体識別処理としては、一般的な画像処理で行われる画像認識技術を用いることができる。判定部12には、放水を行う対象物のエッジや特徴点などに関する基準データが事前に登録されている。よって、判定部12は、当該物体識別処理により、事前に登録されている対象物の基準データにマッチする物体が、放水エリアA1内にあるか否かを判定することで、放水エリアA1内における放水を行う対象物の探索をすることができる。
【0038】
本発明における放水を行う対象物とは、例えば、利用者である人間の手、歯ブラシなどの洗面用具、コップなどの飲用容器、及び鍋やヤカンなどの調理用具などであり、一般的に給水装置から放水を受ける物体であればよい。また、これらの物体以外であっても、物体識別処理によって識別が可能な物体であれば、一般に放水を受ける物体ではないものでも、事前に登録することで放水を行う対象物とすることができる。
【0039】
そして、判定部12が行う放水エリアA1内における対象物の有無の判定において、放水を行う対象物が放水エリアA1内にあった場合(つまりステップSP110における判定結果が「YES」の場合)、給水システム1は後述のステップSP120の動作を行う。また一方、放水を行う対象物が放水エリアA1内になかった場合(つまりステップSP110における判定結果が「NO」の場合)、給水システム1は後述のステップSP115の動作を行う。
【0040】
ステップSP110の判定にて「NO」と判定された場合、ステップSP115において、判定部12は、放水を行う対象物が見つからなかった旨の情報を含む判定信号S3を、制御部13に向けて出力する。さらに、制御部13は、当該判定信号S3に基づいて、給水弁21に向けて放水を行わないようにする制御信号S4を出力する。給水弁21は、当該制御信号S4に従い給水装置20からの放水が行われないようにする。なお、給水装置20が元から放水を行っていない場合には、ステップSP115において、制御部13は制御信号S4を出力しなくてもよい。そして、ステップSP115の動作を終えた給水システム1は状態判定処理を終了する。
【0041】
ステップSP110の判定にて「YES」と判定された場合、ステップSP120において、判定部12は、当該対象物の状態を判定する。例えば、放水を行う対象物の状態の判定とは、判定部12が、撮像カメラ30が撮像した映像データから得られる当該対象物のエッジデータや特徴データと、判定部12に事前に登録されている対象物の所定の状態に関する基準状態のデータとが適合するか否かを判定するものであってよい。また、判定部12は、撮像カメラ30が撮像した映像における対象物のエッジデータや特徴データの時間変化に基づいて、対象物の動作データを取得することができる。当該対象物の動作データと、判定部12に事前に登録されている対象物の所定の動作に関する基準動作のデータとが適合するか否かを判定することで、判定部12は、当該対象物が所定の動作を行っているか否かを判定することができる。
【0042】
この事前に登録されている対象物の所定の状態とは、例えば、放水を行う対象物として人間の手が登録されている場合ならば、放水を必要としている状態である「手の平が給水口23の方向を向いている状態」、放水量を増す要求をしている状態である「手の指を二本だけ伸ばしている状態(いわゆる、じゃんけんのチョキの形をした状態)、及び放水量を減らす要求をしている状態である「指を閉じて握り拳を作っている状態」などであってよい。また、放水を行う対象物としてコップが登録されている場合ならば、当該所定の状態は、放水を必要としている状態である「コップの口が給水口23の方向を向いている状態」であってよい。さらに、事前に登録されている対象物の所定の動作とは、放水を行う対象物として人間の手が登録されている場合ならば、手の摺動動作である「洗剤を付けて両手を擦り合わせている動作」であってよい。この他、放水を行う対象物として登録されている物体それぞれに対して、放水に関する所定の状態及び所定の動作が登録されていてもよい。ステップSP120においては、判定部12によって、対象物がこれらの登録されている状態及び動作に適合するか否かが判定される。
【0043】
次に、ステップSP130において、判定部12は、給水システム1が後述する手洗い監視処理を実行中であるか否かを判定する。給水システム1が手洗い監視処理を実行中である場合(つまりステップSP130における判定結果が「YES」である場合)、給水システム1は、実行している手洗い監視処理を続け、状態判定処理を終了する。また一方、給水システム1が手洗い監視処理を実行中でない場合(つまりステップSP130における判定結果が「NO」である場合)、ステップSP140において、給水システム1は、後述する放水制御処理の動作を行う。
【0044】
なお、ステップSP100からステップSP140にて示した状態判定処理は、常時または所定の間隔(例えば0.2秒間隔など、放水エリアA1内における物体の進入を検知するのに適切な間隔)ごとに繰り返し行われている。よって、給水システム1は、放水エリアA1内の対象物の検知及び当該対象物の状態の判定を適宜行うことができる。なお、後述する手洗い監視処理を実行中であっても、状態判定処理は繰り返し行われており、状態判定処理にて行われる対象物の状態の判定結果を、手洗い監視処理にて用いることができる。
【0045】
図5は、放水制御処理の処理手順を示すフローチャートである。以下、給水システム1が行う放水制御処理の説明を、図5を用いて行う。
【0046】
まず、ステップSP200において、判定部12は、状態判定処理にて行われた放水を行う対象物の状態の判定に基づいて、当該対象物が事前に登録された放水量の増減を要求する状態であるか否かを判定する。放水を行う対象物の状態が、事前に登録された給水装置20の放水量を増す要求をしている状態及び放水量を減らす要求をしている状態などの放水量の増減を要求する状態であった場合(つまりステップSP200における判定結果が「YES」である場合)、給水システム1はステップSP205の動作を行う。また一方、放水を行う対象物が放水量の増減を要求する状態ではなかった場合(つまりステップSP200における判定結果が「NO」である場合)、給水システム1はステップSP210の動作を行う。
【0047】
ステップSP200の判定にて「YES」と判定された場合、ステップSP205において、給水システム1は、給水装置20の放水量を、状態判定処理において判定された状態である当該対象物の放水量の増減を要求する状態に対応した放水量に変更する制御を行う。具体的には、判定部12は、当該放水量の増減を要求する状態に対応した放水量に変更する旨の情報を含む判定信号S3を、制御部13に向けて出力する。さらに、制御部13は、当該判定信号S3に基づいて、給水弁21に向けて制御信号S4を出力し、給水装置20の放水量が当該要求に対応した放水量となるように給水弁21の開閉量を制御する。つまり、放水を行う対象物が放水量を増す要求をしている状態であった場合は、給水弁21に対して開閉量を増やす制御が行われ、放水を行う対象物が放水量を減らす要求をしている状態であった場合は、給水弁21に対して開閉量を減らす制御が行われる。なお、ステップSP205において、給水装置20が放水を行っていない場合には、制御部13は制御信号S4を出力しなくてもよい。そして、ステップSP205の動作を終えた給水システム1は放水制御処理を終了する。
【0048】
ステップSP200の判定にて「NO」と判定された場合、ステップSP210において、判定部12は、状態判定処理にて行われた放水を行う対象物の状態の判定に基づいて、当該対象物が放水を必要としている状態であるか否かを判定する。放水を行う対象物の状態が事前に登録された放水を必要としている状態であった場合(つまりステップSP210における判定結果が「YES」である場合)、給水システム1はステップSP215の動作を行う。また一方、放水を行う対象物の状態が事前に登録された放水を必要としている状態でない場合(つまりステップSP210における判定結果が「NO」である場合)、給水システム1はステップSP220の動作を行う。
【0049】
ステップSP210の判定にて「YES」と判定された場合、ステップSP215において、判定部12は、放水が必要である旨の情報を含む判定信号S3を、制御部13に向けて出力する。そして、制御部13は、給水弁21に向けて制御信号S4を出力し、給水弁21を開く制御を行う。なお、この制御は、所定の時間(例えば5秒間)給水弁21が開いた状態を維持する制御であってもよい。そして、ステップSP215の動作を終えた給水システム1は放水制御処理を終了する。
【0050】
ステップSP210の判定にて「NO」と判定された場合、ステップSP220において、判定部12は、放水を行う対象物が利用者の手であり、当該利用者が所定の手洗い動作における手の摺動動作を行っているか否かを判定する。具体的には、判定部12は、状態判定処理にて行われた放水を行う対象物の状態の判定に基づいて、放水エリアA1内にて利用者が手の摺動動作である「洗剤を付けて両手を擦り合わせている動作」を行っているか否かを判定する。放水を行う対象物が利用者の手であり、利用者が手の摺動動作を行っていた場合(つまりステップSP220における判定結果が「YES」である場合)、給水システム1は後述のステップSP225の動作を行う。また一方、利用者が手の摺動動作を行っていない場合(つまりステップSP220における判定結果が「NO」である場合)、給水システム1は後述のステップSP230の動作を行う。
【0051】
ステップSP220の判定にて「NO」と判定された場合、ステップSP230において、判定部12は、放水が必要ではない旨の情報を含む判定信号S3を、制御部13に向けて出力する。そして、制御部13は、給水弁21に向けて制御信号S4を出力し、給水弁21を閉じる制御を行う。ステップSP230の動作を終えた給水システム1は放水制御処理を終了する。
【0052】
ステップSP220の判定にて「YES」と判定された場合、ステップSP225において、給水システム1は、手洗い監視処理を行う。図6は、手洗い監視処理の処理手順を示すフローチャートである。以下、給水システム1が行う手洗い監視処理を、図6を用いて説明する。
【0053】
まず、ステップSP300において、判定部12は、放水が必要ではない旨の情報を含む判定信号S3を、制御部13に向けて出力する。そして、制御部13は、給水弁21に向けて制御信号S4を出力し、給水弁21を閉じる制御を行う。
【0054】
次に、ステップSP310において、判定部12は、利用者が手の摺動動作を行っている時間の計測を始める。この給水装置20の利用者が手の摺動動作を行っている時間(以下、摺動時間と称する)の計測は、判定部12が有するカウンタを動作させ、カウントアップまたはカウントダウンにより時間計測を行うものであってよい。そして、判定部12は、摺動時間を計測し始めた旨の情報を含む信号S5を、情報取得部14に向けて出力する。当該情報により情報取得部14は、利用者が手の摺動動作を開始したことや手の摺動動作を開始した時刻などの利用者の手洗いに関する情報を取得することができる。
【0055】
次に、ステップSP320において、判定部12は、状態判定処理にて行われた放水を行う対象物の状態の判定に基づいて、利用者が手の摺動動作を終了したか否かを判定する。給水システム1は、手洗い監視処理の実行中も状態判定処理を、常時または所定の間隔ごとに繰り返し行っている。よって、判定部12は、手洗い監視処理の実行中においても、随時、放水エリアA1内に存在する利用者の手の状態及び動作を判定することができる。この利用者の手の状態及び動作の判定に基づき、判定部12は、利用者が手の摺動動作を終了したか否かを判定する。利用者が手の摺動動作を終了していない場合(つまりステップSP320における判定結果が「NO」の場合)、給水システム1は、利用者が手の摺動動作を終了するまで、定期的(例えば、状態判定処理の動作と同様に0.2秒ごと)にステップSP320を繰り返す。また一方、利用者が手の摺動動作を終了した場合(つまりステップSP320における判定結果が「YES」の場合)、給水システム1は後述のステップSP330の動作を行う。
【0056】
ステップSP320の判定にて「YES」と判定された場合、ステップSP330において、判定部12は、行っていた摺動時間の計測を停止する。
【0057】
次に、ステップSP340において、判定部12は、利用者による摺動時間が所定の時間以上であったか否かを判定する。この所定の時間とは、利用者が手洗いを行うにあたって手洗いによる除菌などの効果が十分に認められ、手を清潔な状態にするのに適切な手の摺動動作の持続時間であってよく、例えば30秒である。判定部12が計測を行っている手の摺動時間が所定の時間以上であった場合(つまりステップSP340における判定結果が「YES」である場合)、給水システム1は後述のステップSP370の動作を行う。また一方、判定部12が計測している摺動時間が所定の時間未満であった場合(つまりステップSP340における判定結果が「NO」である場合)、給水システム1は後述のステップSP350の動作を行う。
【0058】
ステップSP340の判定にて「NO」と判定された場合、ステップSP350において、給水システム1は、利用者に対して所定の手洗い動作を適切に行うよう指示を行う。具体的には、判定部12は、利用者が所定の手洗い動作を行っていない状態であった旨の判定結果を含む信号S5を、情報取得部14に向けて出力する。情報取得部14は、放水を行う対象物の種類や状態の判定の結果ごとに対応した情報(出力部15が利用者に対して出力する指示情報や案内情報を含む情報)を記憶した記憶部を有している。情報取得部14は、入力された利用者が所定の手洗い動作を行っていない状態であった旨の情報に基づいて、当該記憶部から、所定の手洗い動作を適切に行うよう指示する旨の指示情報を読み出す。そして、情報取得部14は、当該指示情報を含む信号S6を出力部15に向けて出力する。そして、出力部15は、入力された指示情報を利用者に対して出力する。具体的には、出力部15はスピーカなどの音声出力装置であってよい。例えば、出力部15がスピーカであった場合、指示情報の出力は、音声により利用者に対して「手洗い時間が足りていません。手洗いを続けてください」などの指示がされるものであってよい。
【0059】
次に、ステップSP360において、判定部12は、状態判定処理における放水を行う対象物の状態判定の結果に基づいて、利用者が手の摺動動作を開始した場合、停止していた利用者の摺動時間の計測を再開する。そして、ステップSP360の動作を終えた給水システム1は、ステップSP320の動作に戻る。つまり、給水システム1は、状態判定処理により、利用者の摺動時間の合計を計測し、摺動時間の合計が所定の時間以上になるまで、ステップSP320からステップSP360の動作を繰り返す。
【0060】
ステップSP340にて「YES」と判定された場合、ステップSP370において、判定部12は、放水が必要である旨の情報を含む判定信号S3を、制御部13に向けて出力する。そして、制御部13は、給水弁21に向けて制御信号S4を出力し、給水弁21を開く制御を行う。なお、このときの放水を行う制御は、所定の時間放水を維持する制御であってもよい。
【0061】
次に、ステップSP380において、規制装置40は、利用者の所定の衛生管理エリアへの進入に対する規制の解除を行う。この規制の解除は、図3に示した給水システム1の例においては、手洗い場と衛生管理エリアとを隔てる扉のロックを所定時間解除し、利用者が衛生管理エリアに進入できるようにするものであってよい。または、規制装置40が、利用者が衛生管理エリアに進入したことを検知できるセンサを有し、当該センサにより、利用者が衛生管理エリアに進入するまでの間、当該扉のロックを解除するものであってもよい。さらにこのとき、出力部15によって、「手洗いが終了しました。衛生管理エリアへの立ち入りを許可します」などの、規制が解除された旨の情報を利用者に対して出力してもよい。
【0062】
以上のように、給水システム1は、状態判定処理と、当該状態判定処理の判定結果に基づいて行う放水制御処理及び手洗い監視処理とを行う。
【0063】
また、給水システム1の情報取得部14は、状態判定処理の結果に基づいて、給水装置20の利用状況に関する情報を取得することができる。具体的には、判定部12は、状態判定処理にて行われる放水を行う対象物の状態判定の結果に関する情報を信号S5として、情報取得部14に向けて出力する。情報取得部14は、入力された判定の結果に関する情報に基づいて、給水装置20の利用状況に関する情報を取得する。給水装置20の利用状況に関する情報とは、例えば、利用者が放水を必要としている状態である時間や頻度(つまり、給水装置20が放水を行っている時間や頻度)や、手洗い監視処理における手の摺動時間などの情報が含まれる。
【0064】
情報取得部14は、当該利用状況に関する情報に基づき、利用者の給水装置20の利用法が不適切であった場合、情報取得部14が有している記憶部から、当該利用状況に関する情報に対応した給水装置20の適切な利用法を案内するための案内情報を読み出す。そして、当該案内情報を含む信号S6を出力部15に向けて出力する。案内情報を含む信号S6の入力を受けた出力部15は、当該案内情報を利用者に対して出力する。例えば、出力部15がスピーカであって、取得された利用状況に関する情報が、利用者が給水装置20の放水を長時間行っている旨の情報を含んでいる場合、スピーカによる音声案内として「水の利用量が多いです。節水を心がけてください」などの案内情報の出力を行ってもよい。また、案内情報は例示したものに限らず、給水装置20の適切な利用法を案内するものであればよい。
【0065】
さらに、判定部12は、手洗い監視処理において得られる利用者の摺動時間の情報や、利用者の手の摺動動作が終了した旨の情報を含む信号S5を情報取得装置14に向けて出力し、情報取得部14はこれらの情報を手洗いに関する情報として取得してもよい。そして、当該手洗いに関する情報を給水装置20の利用状況に関する情報に加えてもよい。手洗い情報が給水装置20の利用状況に関する情報に加えられた場合、例えば、利用者による摺動時間が一分を超えていたとすると、出力部15によって「手洗いが不要に長すぎます。手洗い時間の目安は45秒です」という給水装置20の利用法に関する案内がされてもよい。
【0066】
このように、本発明の実施の形態に係る給水システム1によれば、判定部12が、放水エリアA1に進入した放水を行う対象物の検知を行う。そして、当該対象物の状態及び動作を判定部12が判定した判定結果に基づいて、制御部13は、利用者が放水を必要としている状態であれば、給水装置20から放水を行う制御(つまり、給水弁21を開く制御)をすることができる。また、放水を行う対象物が放水エリアA1内にて検知されなかったり、放水エリアA1内で放水を行う対象物が検知されても当該対象物が放水を必要としている状態でなければ、給水装置20からの放水は行われないので、給水システム1は給水装置20における節水をすることが可能である。
【0067】
また、放水エリアA1内で検知された放水を行う対象物が、放水量の増減を要求する状態であった場合、当該放水量の増減を要求する状態に対応した放水量となるよう給水弁21の開閉量の制御が行われるので、給水装置20の利用者は給水装置20に触れることなく、給水装置20の放水量を増減させることができる。よって、給水システム1は、利用者が給水装置20に触れることで手の衛生状態が悪化するのを防ぐことが可能となる。
【0068】
また、本発明の実施の形態に係る給水システム1によれば、手洗い監視処理により、利用者が放水の必要がない「洗剤を付けて両手を擦り合わせる動作」などの手の摺動動作を開始した場合、給水装置20からの放水は行われなくなる。よって、利用者が放水の必要のない動作である手の摺動動作を行っている間、無駄な放水は行われないので、給水システム1は給水装置20における節水をすることが可能となる。
【0069】
また、利用者の手洗いにおける摺動時間が所定の時間以上行われていない場合、給水装置20による放水は行われないので、洗剤を用いた手洗いを行っていた利用者は、所定の時間以上の手の摺動動作を行わなければ手をゆすぐことができず、手洗いを途中で終わらせることができない。そしてまた、利用者が所定の時間以上の手の摺動動作を伴う手洗いを行ったとき、給水装置20から放水が行われ、利用者は手をゆすいで手洗いを終了することができる。したがって、利用者は洗剤を用いて手の摺動を行う手洗いを始めると、所定の時間以上の手の摺動動作を行うこととなり、給水システム1は手洗い不足により衛生管理エリアの衛生状態が悪化するのを防ぐことが可能となる。
【0070】
そして、手の摺動動作を所定の時間以上行うなどの所定の手洗い動作が行われなかった場合、出力部15が、所定の手洗い動作を行わせるための指示情報の出力を行う。よって、利用者の手洗いが不足していたとしても、手洗いを十分に行うように利用者に対して指示が行われるので、手洗いによる衛生管理を適切に行うことができる。また、利用者の手洗いが不足していた場合には、規制装置40が、利用者の衛生管理エリアへの進入を規制するので、手洗いが不十分な利用者が衛生管理エリアに進入することで衛生管理エリアの衛生状態が悪化するのを防ぐことが可能である。
【0071】
さらに、撮像カメラ30が撮像した映像に基づいて得られた給水装置20の利用状況に関する情報を情報取得部14が取得し、当該利用状況に関する情報に基づいて、利用者による給水装置20の利用法が不適切であれば、出力部15が当該利用者に対して、給水装置20の適切な利用法を案内する。よって、給水装置20を不適切に利用する利用者がいたとしても、給水システム1は、当該利用者の給水装置20の利用法の改善を促すことが可能である。
【0072】
なお、本発明の実施の形態において、出力部15がスピーカであり、音声によって情報の出力を行う例を示したが、本発明において、出力手段はスピーカに限らず、ディスプレイやランプであってもよい。そして、利用者への情報の出力は、ディスプレイによる文字や記号の表示、及びランプによる状態の表示などであってもよい。また、本発明の実施の形態において、規制装置40が手洗い場と衛生管理エリアとを隔てる扉である例を示したが、本発明において、規制手段は扉に限らず、案内板により立ち入りを禁止する旨の注意を促す表示装置や、規制が解除された場合に進入を許可する誘導装置など、利用者の行動を適切に規制できるものであればよい。
【0073】
また、本発明の実施の形態において、撮像カメラ30は給水装置20の蛇口22に設置されている例を示したが、本発明において、撮像カメラ30は、蛇口22に設置されている必要はなく、シンク50や蛇口22周辺の壁など、給水口23からの放水を利用者が受ける領域である放水エリアを撮像できる場所に設置されればよい。また、本発明において、給水装置20が放水を行う給水口23を有する物は蛇口に限らず、シャワーなどを含む放水を行うことのできる水道設備であればよい。また、給水装置20が放水する水は、冷水に限らず、冷水もしくは温水、またはその両方を混合した水であってもよい。その場合、制御部13は、撮像カメラ30が撮像した映像を用いて行われた放水を行う対象物の状態判定に基づいて、冷水と温水との切り替えや、冷水と温水との混合率の変更を行う制御を行ってもよい。
【0074】
さらにいえば、本発明は、利用者の手洗い動作を監視し、所定の手洗い動作を行っていない場合には、当該利用者に対して所定の手洗いを行うように指示することができるので、利用者に対して手洗いの必要性を認識させる教育効果も期待される。よって、本発明の給水システム1を保育園や学校などの子供が利用する施設に設置することで、子供に対し適切な手洗いを行うように促し、適切な手洗いを習慣付ける教育を行うことができる。
【0075】
また、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 給水システム
10 給水制御装置
11 映像取得部
12 判定部
13 制御部
14 情報取得部
15 出力部
20 給水装置
21 給水弁
30 撮像カメラ
40 規制装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像カメラによって撮像された、給水装置が放水を行う放水エリアの映像を、当該撮像カメラから取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した映像に基づいて、前記給水装置の給水弁を制御する制御手段と、
を備える、給水制御装置。
【請求項2】
前記取得手段が取得した映像に基づいて、前記映像中の対象物の状態を判定する判定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記対象物の状態に基づいて、前記給水弁の開閉を切り替える、請求項1に記載の給水制御装置。
【請求項3】
前記対象物は、前記給水装置の利用者の手を含み、
前記制御手段は、放水をしていない場合に、手の摺動動作が所定の時間以上行われたとき、前記給水弁を開く、請求項2に記載の給水制御装置。
【請求項4】
前記判定手段は、放水をしている場合に、手の摺動動作が開始されたとき、前記給水弁を閉じる、請求項3に記載の給水制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記対象物の状態に基づいて、前記給水弁の開閉量を調整する、請求項1に記載の給水制御装置。
【請求項6】
給水装置と、
前記給水装置が放水を行う放水エリアを撮像する撮像カメラと、
前記給水装置を制御する給水制御装置と、
を備え、
前記給水制御装置は、
前記撮像カメラによって撮像された前記放水エリアの映像を、当該撮像カメラから取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した映像に基づいて、前記給水装置の給水弁を制御する制御手段と、
を有する、給水システム。
【請求項7】
前記給水制御装置は、
前記取得手段が取得した映像に基づいて、前記給水装置の利用者が所定の手洗い動作を行ったか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果、前記利用者が前記所定の手洗い動作を行っていない場合に、当該利用者に当該所定の手洗い動作を行わせるための指示情報を出力する出力手段と、
をさらに有する、請求項6に記載の給水システム。
【請求項8】
前記給水制御装置は、
前記取得手段が取得した映像に基づいて、前記給水装置の利用者が所定の手洗い動作を行ったか否かを判定する判定手段
をさらに有し、
前記判定手段による判定の結果、前記利用者が前記所定の手洗い動作を行っていない場合に、所定の衛生管理エリアへの当該利用者の進入を規制する規制手段
をさらに備える、請求項6に記載の給水システム。
【請求項9】
前記給水制御装置は、
前記給水装置の利用者による当該給水装置の利用状況に関する情報を取得する情報取得手段と、
前記取得手段が取得した前記利用状況に関する情報に基づき、前記利用者による前記給水装置の利用法が不適切である場合に、当該利用者に当該給水装置の適切な利用法を案内するための案内情報を出力する出力手段と、
をさらに有する、請求項6から8のいずれか一つに記載の給水システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−107427(P2012−107427A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257026(P2010−257026)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】