説明

給液式ガラスワイパー

【課題】摺擦部材を通じて洗浄液をガラスに効率良くかつ周囲に飛散しないように供給しながら該摺擦部材でガラスを清掃することができる、使用性に勝れた給液式ガラスワイパーを提供する。
【解決手段】ガラスワイパーを、導水管を兼ねる柄1と、該柄1の先端に設けられたワイパーヘッド2とで構成し、該ワイパーヘッド2には、横に細長いヘッド基台2Aの一方の長側辺13に、ガラスを摺擦するための吸水性ある摺擦部材16を取り付けると共に、洗浄液を供給するためのノズル孔17を形成し、該ノズル孔17は、上記摺擦部材16より上方の該摺擦部材16の上面に近接する位置に、ヘッド基台2Aの長側辺13の一部に沿って横に細長く開口させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液を供給しながらガラスを清掃する給液式ガラスワイパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗浄液を供給しながらスポンジ体や不織布あるいはゴムヘラ等の摺擦部材でガラスを清掃する給液式のガラスワイパーは、従来より公知である。この公知のガラスワイパーとして、上記摺擦部材をスポンジ体で形成し、このスポンジ体の内部に洗浄液を導入することにより、該スポンジ体から洗浄液を滲出させながらガラス面に供給するようにしたものがある。
【0003】
ところが、このように、洗浄液をスポンジ体の内部に供給することによって該スポンジ体から流れ出るようにしたものは、洗浄液を一杯に含んだスポンジ体をガラスに押し付けたとき、圧縮されたスポンジ体から洗浄液が絞り出されて該スポンジ体の両端面や下面などから床や手元側に流れ落ち、ガラスに有効に供給されにくいだけでなく、清掃を行いにくいという欠点があった。
【0004】
また、特許文献1には、ゴムワイパーで窓ガラスを清掃する窓用ワイピング清掃具について開示されている。この清掃具は、上記ゴムワイパーを取り付けたワイパーヘッドの上面に洗浄液噴出ノズルを備えていて、このノズルから窓ガラスに向けて洗浄液を噴射したあと、上記ゴムワイパーで拭き取りながら該窓ガラスを清掃するものである。
【0005】
しかしながら、この清掃具は、上記ノズルがゴムワイパーからかなり離れた位置に形成されているため、洗浄液を窓ガラスに向けて直接かつ勢い良く噴射させなければならず、窓ガラスに当たった洗浄液が周囲に飛散して床や壁などに付着し易いという欠点がある。しかも、上記ノズルは、ワイパーヘッドの中央に配設されていて、洗浄液を窓ガラスの一点に向けて集中的に噴射するものであるため、該洗浄液が細長いゴムワイパー全体に行き渡りにくく、清掃効率が悪い。
【特許文献1】登録実用新案第3033592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の目的は、摺擦部材を通じて洗浄液をガラスに効率良くかつ周囲に飛散しないように供給しながらガラスを清掃することができる、使用性に勝れた給液式ガラスワイパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の給液式ガラスワイパーは、導水管を兼ねる柄と、該柄の先端に取り付けられたワイパーヘッドとからなり、上記ワイパーヘッドは、横に細長いヘッド基台の一方の長側辺に、ガラスを摺擦するための吸水性ある摺擦部材と、洗浄液を供給するためのノズル孔とを有すると共に、該ヘッド基台の内部に、上記ノズル孔と柄内部の導水通孔とを結ぶ連通孔を有し、上記ノズル孔が、上記摺擦部材より上方の該摺擦部材の上面に近接する位置に、ヘッド基台の長辺に沿って細長く配置されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、上記ノズル孔が、ヘッド基台の長側辺の中央部に開設されていることが望ましく、また、上記ヘッド基台の下面には、洗浄液が柄側に逆流するのを防止するためのガード壁が形成されていても良い。
【0009】
本発明において、上記摺擦部材は、スポンジ体と不織布とを積層した二層構造を有していて、不織布を外側にして二つに折り曲げた状態で上記ヘッド基台の長側辺に沿って取り付けられている。
【0010】
また、上記ヘッド基台の他方の長側辺には、ガラスに付着した水を掻き取るためのヘラ部材が取り付けられていても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗浄液を供給するためのノズル孔が、摺擦部材より上方の該摺擦部材の上面に近接する位置に、ヘッド基台の長側辺に沿って横に細長く配設されているため、このノズル孔から摺擦部材の上面に沿って流出する洗浄液は、主として該摺擦部材の上面を伝ってガラスに供給され、一部が該摺擦部材に浸透することによりこの摺擦部材を通してガラスに供給される。そして、洗浄液が摺擦部材に十分浸透すると、それ以上は浸透しにくいため、該洗浄液は摺擦部材の上面に沿って該摺擦部材全体に拡散しながらガラスに供給されることになり、この結果、洗浄液をガラスに効率良くかつ周囲に飛散しないように供給しながら清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図5は本発明に係る給液式ガラスワイパーの一実施形態を示すもので、このガラスワイパーは、操作用の柄1と、該柄1の先端に取り付けられたワイパーヘッド2とからなっている。
上記柄1は、金属や合成樹脂などの硬質素材からなるパイプにより形成されていて、水道水などの洗浄液を上記ワイパーヘッド2に供給するための導水管を兼ねるものである。従って、該柄1の内部には導水通孔4が形成され、基端部には、水道の蛇口などの洗浄液源に通じるホース5を接続するための接続部1aが形成されている。図中1bは、該柄1の基端部に形成されたグリップ部である。
【0013】
上記ワイパーヘッド2は、横に細長い矩形の平面形状をなす合成樹脂製のヘッド基台2Aと、上記柄1に連結するための円筒状をした連結筒部2Bとを有している。上記ヘッド基台2Aは、下側の第1部材11と、この第1部材11の上面にねじ15で分離自在に結合された上側の第2部材12とからなっていて、上記第1部材11の下面中央位置に、上記連結筒部2Bが、下方に向けて一体に延設されている。
【0014】
また、上記ヘッド基台2Aは、その左右両側に、長手方向に延びる第1長側辺13と第2長側辺14とを有し、一方の第1長側辺13には、ガラスを摺擦して清掃するための吸水性ある摺擦部材16と、該摺擦部材16に洗浄液を供給するためのノズル孔17とが設けられ、他方の第2長側辺14には、ガラスに付着した水を掻き取るためのヘラ部材18が取り付けられている。
【0015】
上記摺擦部材16は、図6に示すように、スポンジ体21と不織布22とを積層して形成した二層構造をなす長方形の板状部材20を、同図に鎖線で示すように不織布22を外側にして二つに折り曲げ、部材20の両端20a,20aが重合する側を上記第1部材11と第2部材12との間に挟持させることにより、丸みを帯びた折曲部20b側をヘッド基台2Aの側方に突出させた状態で上記第1長側辺13に沿って取り付けられている。図中19は、第1部材11と第2部材12とに形成された係止爪で、摺擦部材16に食い込んで係止することによって該摺擦部材16の脱落を防止するものである。
しかし、上記摺擦部材16は上述した構成以外の構成であっても良く、例えば、スポンジ体のみで形成されていても、不織布のみで形成されていても良い。
【0016】
上記第2部材12における上記第1長側辺13側の側辺には、上記摺擦部材16の上面に沿って斜め上方に延びる庇部12aが形成され、この庇部12aによって該摺擦部材16の上面の一部が覆われている。この庇部12aは、清掃時に摺擦部材16が上方に向けて過度に変形するのを規制する役目と、ノズル孔17から供給された洗浄液が第2部材12の上面側に逆流するのを防止する役目とを果たすものである。
【0017】
上記ノズル孔17は、上記第2部材12に形成されている。即ち、矩形のプレート状をしたこの第2部材12における上記第1長側辺13側の側辺には、上記摺擦部材16よりも上方の位置に、該摺擦部材16の上面に近接して開口するように上記ノズル孔17が設けられている。このノズル孔17は、横に細長い一つの孔であって、ヘッド基台2Aの第1長側辺13に沿って延びている。この場合、このノズル孔17は第1長側辺13の全長に亘って延設しても良いが、好ましくは、図示したように、第1長側辺13の中央部付近だけに部分的に形成することであり、その場合のノズル孔の好ましい長さは、該第1長側辺13の1/3〜1/2程度である。なお、このノズル孔17は、複数の小孔を横に並べたものであっても良い。
【0018】
また、第2部材12の上記ノズル孔17に対応する位置には、該第2部材12の上面側に膨出する流路部24が形成され、この流路部24の内部に形成された連通孔25と、第1部材11と第2部材12とに形成された連通孔26とを通じて上記ノズル孔17が、柄1の内部の導水通孔4に連通している。
【0019】
上記ヘッド基台2Aの下面、即ち第1部材11の下面には、洗浄液が柄1側に逆流するのを防ぐためのガード壁28が形成されている。このガード壁28は、上記第1部材11の下面中央部から下向きに延出する下向壁部分28aと、連結筒部2Bの両側面から側方に延出する横向壁部分28bと、該連結筒部2Bの上記ノズル孔17(摺擦部材16)側の半周部分に水平方向に延出するように形成された水平壁部分28cとからなるもので、これらの各壁部分28a,28b,28cが全体として切れ目なく一体に連なっている。また、上記第1部材11の下面は、上記ガード壁28を境にして互いに異なる形状に形成されていて、上記摺擦部材16側の半部は水平かつ平坦な下面30aであり、ヘラ部材18側の半部は傾斜する下面30bである。
【0020】
上記ヘラ部材18は、ゴムや合成樹脂等の弾性ある部材で長方形の板状に形成され、その基端部を第1部材11と第2部材12との間に挟持されることによってヘッド基台2Aの第2長側辺14に、先端側が斜め上向きとなるように傾斜させた状態で取り付けられている。
また、上記第2部材12における第2長側辺14側の側辺には、上記ヘラ部材18の上面に沿って斜め上方に延びる庇部12bが形成され、この庇部12bによって該ヘラ部材18の上面の一部が覆われている。この庇部12bは、清掃時にこのヘラ部材18が上方に向けて過度に変形するのを規制する役目を果たすものである。
【0021】
上記構成を有するガラスワイパーは、柄1に給液用のホース5を接続し、ノズル孔17から摺擦部材16の上面に沿って必要流量の洗浄液を供給しながら、該摺擦部材16でガラスを清掃するものである。このとき、上記ノズル孔17が、摺擦部材16より上方の該摺擦部材16の上面に近接する位置にヘッド基台2Aの長側辺13に沿って横に細長く配設されているため、このノズル孔17から摺擦部材16の上面に沿って少しずつ流出する洗浄液は、主として該摺擦部材16の上面を伝ってガラスに供給され、一部は該摺擦部材16に浸透することによってこの摺擦部材16を通してガラスに供給される。
【0022】
洗浄液が摺擦部材16に十分浸透すると、それ以上は浸透しにくいため、該洗浄液は摺擦部材16の上面を伝って該摺擦部材16全体に拡散しながらガラスに供給されることになり、この結果、上記洗浄液は、摺擦部材16から滴り落ちたり周囲に飛散したりすることなく、ガラスに効率良くかつ確実に供給されることになる。
【0023】
清掃中に洗浄液が摺擦部材16から第1部材11側に流下したとしても、この洗浄液はガード壁28によって受け止められ、このガード壁28を伝って直接滴り落ちるため、柄1側に逆流して手や衣服等を汚すことがない。
上記摺擦部材16による清掃が終了したあとガラスに付着したままの水滴は、ヘラ部材18で掻き取ることにより除去する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るガラスワイパーの一実施形態を柄の中間部を省略して示す斜視図である。
【図2】図2の要部拡大斜視図である。
【図3】図2の背面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】図2の中央部の位置での縦断面図である。
【図6】摺擦部材の展開状態での側面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 柄
2 ワイパーヘッド
2A ヘッド基台
4 導水通孔
13 第1長側辺
14 第2長側辺
16 摺擦部材
17 ノズル孔
18 ヘラ部材
21 スポンジ体
22 不織布
25,26 連通孔
28 ガード壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導水管を兼ねる柄と、該柄の先端に取り付けられたワイパーヘッドとからなり、
上記ワイパーヘッドは、横に細長いヘッド基台の一方の長側辺に、ガラスを摺擦するための吸水性ある摺擦部材と、洗浄液を供給するためのノズル孔とを有すると共に、該ヘッド基台の内部に、上記ノズル孔と柄内部の導水通孔とを結ぶ連通孔を有し、上記ノズル孔が、上記摺擦部材より上方の該摺擦部材の上面に近接する位置に、ヘッド基台の長辺に沿って細長く配置されていることを特徴とする給液式ガラスワイパー。
【請求項2】
上記ノズル孔が、ヘッド基台の長側辺の中央部に開設されていることを特徴とする請求項1に記載のガラスワイパー。
【請求項3】
上記ヘッド基台の下面に、洗浄液が柄側に逆流するのを防止するためのガード壁が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスワイパー。
【請求項4】
上記摺擦部材が、スポンジ体と不織布とを積層した二層構造を有していて、不織布を外側にして二つに折り曲げた状態で上記ヘッド基台の長側辺に沿って取り付けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のガラスワイパー。
【請求項5】
上記ヘッド基台の他方の長側辺に、ガラスに付着した水を掻き取るためのヘラ部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のガラスワイパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−117488(P2007−117488A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315110(P2005−315110)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)