説明

給湯システム、およびその制御方法

【課題】 太陽熱集熱器による集熱量を精度良く予測することができ、ひいては経済的で効率的なシステム運用を行う。
【解決手段】 給湯システムは、貯湯槽(1)内の給湯用水を循環させて蓄熱運転するヒートポンプ(2)と、貯湯槽内の給湯用水を太陽熱エネルギーにより昇温させる太陽熱集熱ユニット(3)とを備えている。さらに、日射量の変化および外気温度の変化に関する予測気象情報と、給湯システムの給湯熱量の変化およびヒートポンプの供給熱量の変化に関する実績システム情報とにより、太陽熱集熱ユニットの集熱量の変化に関する予測集熱情報を求め、求めた予測集熱情報に基づいてヒートポンプの蓄熱運転を制御する制御系(4)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システム、およびその制御方法に関する。さらに詳細には、本発明は、太陽熱集熱器を用いる給湯システムにおけるヒートポンプの運転の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ(熱源機)を用いる給湯システムでは、ヒートポンプの運転時間帯を、夜間時間帯(電力単価の低い深夜電力時間帯)と、日中の追い掛け運転時間帯(深夜電力時間帯以外の時間帯)とに大別している。夜間時間帯では、単価の低い電力を利用して貯湯槽が満蓄熱状態になるまでヒートポンプを運転し、その後も貯湯槽内温度がある一定値以下になった場合に、満蓄熱状態に戻るまでヒートポンプを繰り返し運転する。
【0003】
追い掛け運転時間帯では、給湯熱量が不足することのないように、貯湯蓄熱量が下限設定値(例えば、40%)以下になった場合にヒートポンプの運転を開始し、上限設定値(例えば、60%)以上になった場合にヒートポンプの運転を停止する。近年、自然エネルギーである太陽熱エネルギーを有効利用するために、ヒートポンプに加えて太陽熱集熱器を用いる給湯システムが知られている。
【0004】
太陽熱集熱器を用いる給湯システムでは、需要側の要求熱量(給湯負荷)に基づいてヒートポンプの蓄熱運転を制御するだけでなく、太陽熱集熱器を介して得られるであろう集熱量を精度良く予測することが要求される。この種の給湯システムでは、例えば晴天日の日中には、太陽熱集熱器による集熱を優先し、太陽熱エネルギーを最大限に利用して貯湯槽内温度をできるだけ上昇させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、太陽熱集熱器による集熱量を、人の判断に頼って予測したり、圧力センサーなどを用いて予測したりしている。このため、太陽熱集熱器の集熱量の予測誤差に起因して、太陽熱エネルギーを十分に活用することができなかったり、追い掛け運転時間帯に単価の高い電力を利用してヒートポンプの蓄熱運転を行わざるを得なかったりするという不都合があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、太陽熱集熱器による集熱量を精度良く予測することができ、ひいては経済的で効率的なシステム運用を行うことのできる給湯システム、およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、貯湯槽内の給湯用水を循環させて蓄熱運転するヒートポンプと、前記貯湯槽内の給湯用水を太陽熱エネルギーにより昇温させる太陽熱集熱ユニットとを備えた給湯システムにおいて、
日射量の変化および外気温度の変化に関する予測気象情報と、前記給湯システムの給湯熱量の変化および前記ヒートポンプの供給熱量の変化に関する実績システム情報とにより、前記太陽熱集熱ユニットの集熱量の変化に関する予測集熱情報を求め、求めた前記予測集熱情報に基づいて前記ヒートポンプの蓄熱運転を制御する制御系を備えていることを特徴とする給湯システムを提供する。
【0008】
本発明の第2形態では、貯湯槽内の給湯用水を循環させて蓄熱運転するヒートポンプと、前記貯湯槽内の給湯用水を太陽熱エネルギーにより昇温させる太陽熱集熱ユニットとを備えた給湯システムにおいて、前記ヒートポンプの蓄熱運転を制御する方法であって、
日射量の変化および外気温度の変化に関する予測気象情報を得ることと、
前記給湯システムの給湯熱量の変化および前記ヒートポンプの供給熱量の変化に関する実績システム情報を得ることと、
前記予測気象情報と前記実績システム情報とにより前記太陽熱集熱ユニットの集熱量の変化に関する予測集熱情報を求めることと、
求めた前記予測集熱情報に基づいて前記ヒートポンプの蓄熱運転を制御することとを含むことを特徴とする給湯システムの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、日射量の変化および外気温度の変化に関する予測気象情報と、給湯システムの給湯熱量の変化およびヒートポンプの供給熱量の変化に関する実績システム情報とにより、太陽熱集熱ユニットの集熱量の変化に関する予測集熱情報を求め、求めた予測集熱情報に基づいてヒートポンプの蓄熱運転を制御する。その結果、本発明では、従来よりも信頼性の高い情報に基づいて、太陽熱集熱ユニットによる集熱量を精度良く予測することができ、ひいては経済的で効率的なシステム運用を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態にかかる給湯システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施形態の給湯システムの制御方法を説明するフローチャートである。
【図3】本実施形態にかかる給湯システムの制御方法を説明するための第1の図である。
【図4】本実施形態にかかる給湯システムの制御方法を説明するための第2の図である。
【図5】本実施形態にかかる給湯システムの制御方法を説明するための第3の図である。
【図6】本実施形態にかかる給湯システムの制御方法を説明するための第4の図である。
【図7】ヒートポンプの運転スケジュールを必要に応じて更新する変形例を説明するフローチャートである。
【図8】複数の施設に設けられた給湯ユニットを遠隔制御する変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる給湯システムの構成を概略的に示す図である。図1を参照すると、本実施形態にかかる給湯システムは、給湯用水を貯蔵する貯湯槽(貯湯タンク)1と、貯湯槽1内の給湯用水を循環させて蓄熱運転するヒートポンプ2と、貯湯槽1内の給湯用水を太陽熱エネルギーにより昇温させる太陽熱集熱ユニット3と、ヒートポンプ2の蓄熱運転を制御する制御系4を備えている。
【0012】
貯湯槽1の底部には、外部から貯湯槽1へ水(低温水)を供給するための給水管1aが接続されている。貯湯槽1の天井部(頂上部)には、貯湯槽1から外部へ湯水(高温水)を供給するための給湯管1bが接続されている。ヒートポンプ2は、貯湯槽1の底部またはその周囲に設けられた取水口から取り出した水を電力によって湯水に変換し、貯湯槽1の天井部またはその周囲に設けられた注湯口を介して貯湯槽1の内部へ戻す機能を有する。
【0013】
太陽熱集熱ユニット3は、太陽熱エネルギーを利用して熱媒(例えば、水、不凍液)を高温にする太陽熱集熱器3aと、太陽熱集熱器3aから供給された高温の熱媒により貯湯槽1の底部またはその周囲の給湯用水を昇温させる熱交換部3bとを有する。制御系4は、ヒートポンプ2の運転の開始および停止を制御する。本実施形態の給湯システムにおいて、制御系4を除く他の部分は、公知の構成および機能を有する。
【0014】
以下、図2のフローチャートを参照して、制御系4の具体的な機能を、ひいては本実施形態にかかる給湯システムの制御方法を説明する。以下、ある夜間時間帯の開始時刻(例えば午後10時:22時)から次の夜間時間帯の開始時刻までの24時間を「当日」といい、当日のための給湯システムの制御に着目して本実施形態を説明する。また、当日が始まる夜間時間帯から前の夜間時間帯までの24時間を「前日」という。
【0015】
本実施形態では、日射量の変化および外気温度の変化に関する予測気象情報を得る(S11)。具体的に、ステップS11では、当日の夜間時間帯の開始時刻よりも前(例えば午後9時)に、当日の時刻別の日射量、当日の時刻別の外気温度などに関する予測気象データが制御系4に供給される。予測気象データは、例えば気象予報会社の分析システムから制御系4へ通信ネットワークなどを介して供給される。あるいは、予測気象データは、所定のインターフェースを介して制御系4に入力される。
【0016】
また、給湯システムの給湯熱量の変化およびヒートポンプ2の供給熱量の変化に関する実績システム情報を得る(S12)。具体的に、ステップS12では、制御系4の内部メモリに蓄積され且つ統計処理された過去のシステム運用状況データから、例えば前日の時刻別の給湯熱量、前日の時刻別の供給熱量などに関する実績データを取り出す。給湯熱量は、給湯量、給湯温度、給水温度などにより求められる。前日の時刻別のデータに代えて、あるいは前日の時刻別のデータに加えて、過去における適当な期間の実績データを選択的に利用することもできる。
【0017】
次いで、予測気象情報と実績システム情報とにより太陽熱集熱ユニット3の集熱量の変化に関する予測集熱情報を求める(S13)。太陽熱集熱ユニット3の集熱量とは、太陽熱集熱ユニット3が供給する熱量である。具体的に、ステップS13では、過去の適当な期間の実績データ(実績システム情報)と、当日の時刻別の日射量、当日の時刻別の外気温度などに関する予測気象データと、太陽熱集熱ユニット3の集熱特性とを参照して、例えば太陽熱集熱ユニット3の時刻別の集熱量を算出する。
【0018】
太陽熱集熱ユニット3の集熱特性は、太陽熱集熱器3aの集熱に関する規格値のみに依存するものではなく、例えば過去のシステム運用状況データとして蓄積された太陽熱集熱器3aの集熱に関する実績データなどから求められる信頼性の高いものである。太陽熱集熱ユニット3の時刻別の集熱量の算出に際して、既存の予測プログラムなどを活用(応用)することができる。
【0019】
こうして、本実施形態では、求めた予測集熱情報に基づいてヒートポンプ2の蓄熱運転を制御する(S14)。具体的に、ステップS14では、前日の所定時点(例えば午後9時)における予測気象情報と前日の所定時点までの実績システム情報とにより求められた予測集熱情報に基づいて、当日のためのヒートポンプ2の蓄熱運転に関するスケジュールを決定する(S141)。制御系4は、決定されたスケジュールにしたがって、ヒートポンプ2の運転の開始および停止を制御する(S142)。
【0020】
図3〜図6は、本実施形態にかかる給湯システムの制御方法を説明するための図である。具体的に、図3は、当日(例えば快晴日)における時刻別の給湯熱量を模式的に示す図であって、縦軸は給湯熱量を表し、横軸は時刻を表している。図4は、当日におけるヒートポンプ2の運転状況を模式的に示す図であって、縦軸は運転の状況を表し、横軸は時刻を表している。図4は、午前3時から午前7時までの4時間に亘って、ヒートポンプ2が連続運転したことを表している。
【0021】
図5は、当日における太陽熱集熱ユニット3の時刻別の集熱量を模式的に示す図であって、縦軸は集熱量を表し、横軸は時刻を表している。図5は、午前10時から午後7時(19時)までの9時間に亘って、貯湯槽1内の給湯用水が太陽熱エネルギーによる昇温作用を受けたことを表している。図6は、当日における貯湯槽1の時刻別の貯湯蓄熱量を模式的に示す図であって、縦軸は貯湯蓄熱量を表し、横軸は時刻を表し、水平に延びる太い線61は満蓄熱状態を表している。満蓄熱状態とは、貯湯槽1へ熱を蓄える上限のことを言い、さらに貯湯槽1へ熱を供給しようとしても、上限を超える分は捨てざるを得ない。
【0022】
図6を参照すると、午後10時から午前3時までの5時間に亘ってヒートポンプ2が運転していなかったこと(図4を参照)に対応するように、この5時間に亘って貯湯蓄熱量の変化はない。その後、ヒートポンプ2が午前3時から午前7時までの4時間に亘って連続運転したこと(図4を参照)に対応するように、この4時間に亘って貯湯蓄熱量は単調に増大している。
【0023】
その後、午前7時から午前10時までの3時間に亘って給湯熱量の発生があったこと(図3を参照)に対応するように、この3時間に亘って貯湯蓄熱量は単調に減少している。そして、午前10時から午後7時までの9時間に亘って貯湯槽1内の給湯用水が太陽熱エネルギーによる昇温作用を受けたこと(図5を参照)、および午後4時から午後10時までの6時間に亘って給湯熱量の発生があったこと(図3を参照)に対応するように、午前10時から午後10時までの12時間に亘って、貯湯蓄熱量は単調に増大した後に単調に減少している。
【0024】
図3〜図6において重要なことは、貯湯蓄熱量がある時点において満蓄熱状態を表す線61に達し且つその時点において貯湯槽1内の給湯用水が太陽熱エネルギーによる昇温作用を受け続けるような状況(すなわち太陽熱エネルギーを十分に活用することができなかったという状況)が発生しなかったこと、および追い掛け運転時間帯において貯湯蓄熱量が低下し過ぎてヒートポンプ2の運転を開始するような状況(すなわち単価の高い電力を利用してヒートポンプ2の蓄熱運転を行わざるを得なかったという状況)が発生しなかったことである。
【0025】
さらに詳細には、午後10時から午前8時までの10時間に亘る夜間時間帯において、単価の低い電力を利用したヒートポンプ2の運転を午前3時から午前7時までの4時間しか行っていないにもかかわらず、追い掛け運転時間帯に単価の高い電力を利用してヒートポンプ2の運転を行わざるを得ないという状況が発生しなかったことが重要である。
【0026】
以上のように、本実施形態では、当日の時刻別の日射量、当日の時刻別の外気温度などに関する予測気象データと、過去の適当な期間の実績システム情報と、太陽熱集熱ユニット3の集熱特性とに基づいて、太陽熱集熱ユニット3の時刻別の集熱量を算出し、算出した時刻別の集熱量に基づいてヒートポンプ2の蓄熱運転を制御している。その結果、本実施形態では、従来よりも信頼性の高い情報に基づいて、太陽熱集熱ユニット3による集熱量を精度良く予測することができ、ひいては経済的で効率的なシステム運用を行うことができる。
【0027】
上述の説明では、当日の夜間時間帯の開始時刻の直前における比較的信頼性の高い予測気象データに基づいて決定されたスケジュールにしたがって、ヒートポンプ2の運転を制御している。しかしながら、実際には、天候の急変などにより太陽熱集熱ユニット3の集熱量の予測に比較的大きな誤差が発生する可能性もある。そこで、図7のフローチャートに示すように、既定のスケジュールを必要に応じて更新し、更新したスケジュールにしたがってヒートポンプ2の運転を制御する変形例も可能である。
【0028】
図7に示す変形例では、当日の所定時点における最新の予測気象情報を得る(S21)。具体的に、ステップS21では、当日の時刻別の日射量、当日の時刻別の外気温度などに関する最新の予測気象データが制御系4に供給される。また、当日の所定時点までの最新の実績システム情報を得る(S22)。具体的に、ステップS22では、時刻別の給湯熱量、時刻別の供給熱量、時刻別の集熱熱量、時刻別の貯湯蓄熱量などに関する最新の実績システム情報を、システム運用状況データから抽出する。
【0029】
そして、最新の予測気象情報と最新の実績システム情報とにより最新の予測集熱情報を求め(S23)、求めた最新の予測集熱情報に基づいて最新のスケジュールを決定する(S24)。具体的に、ステップS23およびS24では、上述のステップS13およびステップS141に関連して説明した手法を用いて、最新の予測気象情報と最新の実績システム情報とにより、ステップS13における前回の予測集熱情報よりも信頼性の高い最新の予測集熱情報を求め、求めた最新の予測集熱情報基づいて当日の所定時点以降のためのヒートポンプ2の蓄熱運転に関する最新のスケジュールを決定する。
【0030】
さらに、必要に応じて更新したスケジュールにしたがって、ヒートポンプ2の運転を制御する(S25)。具体的に、ステップS25では、既定のスケジュールと最新のスケジュールとを比較して、既定のスケジュールを更新すべきか否かを判定する(S251)。そして、更新すべきであると判定された場合(図7中YESで示す)、制御系4は更新したスケジュールにしたがってヒートポンプ2の運転の開始および停止を制御する(S252)。
【0031】
一方、更新する必要がないと判定された場合(図7中NOで示す)、制御系4は既定のスケジュールにしたがうヒートポンプ2の運転制御を続行する(S253)。ステップS21〜S25までの追加的な制御工程を、当日の所要期間または全体期間に亘って、1時間毎にまたは数時間毎に行うことができる。図7に示す変形例では、図2に示す実施形態よりも信頼性の高い最新情報に基づいて、太陽熱集熱ユニット3による集熱量をさらに精度良く予測することができる。
【0032】
すなわち、図7に示す変形例では、給湯不足を惹き起こすことなく、太陽熱エネルギーと単価の低い深夜電力とを最大限に活用することができる。また、別の表現をすれば、安価な深夜電力を最大限に活用することができ、ピークカット時間帯の運転をできるだけ回避したり追い掛け運転時間帯の運転時間を最小化したりすることが容易になる。
【0033】
なお、上述の実施形態および変形例では、単一の施設(ビルなど)に設けられた給湯システムの制御に着目して本発明を説明している。しかしながら、これに限定されることなく、複数の施設に設けられた給湯ユニットの遠隔制御に対して本発明を適用することもできる。図8に示す変形例を参照すると、n個のビルには、給湯ユニット81(1)、81(2)、・・・、81(n)が設けられている。説明を簡単にするために、n個の給湯ユニット81(1)〜81(n)は互いに同じ構成、例えば図1の給湯システムに類似した構成を有するものとする。
【0034】
ただし、給湯ユニット81(1)〜81(n)は、図1の給湯システムの制御系4に代えて、各給湯ユニットのヒートポンプ(図8では不図示)を制御する制御部81a(1)、81a(2)、・・・、81a(n)を備えている。これらの制御部81a(1)〜81a(n)は、給湯ユニット81(1)〜81(n)が設けられたn個のビルから遠隔にある共通の指令部80から供給される制御信号にしたがって、対応するヒートポンプの運転を制御する。
【0035】
具体的に、共通の指令部80は、例えば遠隔にある関連情報センター内の処理システムに設けられ、通信ネットワーク82を介して、給湯ユニット81(1)〜81(n)の制御部81a(1)〜81a(n)に対して制御信号をそれぞれ送信する。共通の指令部80には、例えば気象予報会社91の分析システムから通信ネットワーク82を介して予測気象データなどが供給される。なお、共通の指令部80を、n個のビルから遠隔にある必要はなく、例えばn個のビルのうちの1つのビル内に設けることもできる。
【0036】
図8に示す変形例では、遠隔にある関連情報センターと給湯ユニット81(1)〜81(n)が設けられた施設との間で、太陽熱エネルギーに関連する情報を含む所要情報を適時送受信することができる。その結果、これらの所要情報は、周辺地域全体の同種の太陽熱エネルギー利用施設における自然エネルギー供給可能量(太陽熱集熱量、太陽光発電量等)の推定に寄与することができる。また、これらの所要情報を、スマートネットワーク社会におけるエネルギー相互供給依存システム情報として活用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 貯湯槽
1a 給水管
1b 給湯管
2 ヒートポンプ
3 太陽熱集熱ユニット
3a 太陽熱集熱器
3b 熱交換部
4 制御系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯槽内の給湯用水を循環させて蓄熱運転するヒートポンプと、前記貯湯槽内の給湯用水を太陽熱エネルギーにより昇温させる太陽熱集熱ユニットとを備えた給湯システムにおいて、
日射量の変化および外気温度の変化に関する予測気象情報と、前記給湯システムの給湯熱量の変化および前記ヒートポンプの供給熱量の変化に関する実績システム情報とにより、前記太陽熱集熱ユニットの集熱量の変化に関する予測集熱情報を求め、求めた前記予測集熱情報に基づいて前記ヒートポンプの蓄熱運転を制御する制御系を備えていることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記予測気象情報は時刻別の日射量および時刻別の外気温度に関する情報を含み、前記実績システム情報は前記給湯システムの時刻別の給湯熱量および前記ヒートポンプの時刻別の供給熱量に関する情報を含み、前記予測集熱情報は前記太陽熱集熱ユニットの時刻別の集熱量に関する情報を含むことを特徴とする請求項1の給湯システム。
【請求項3】
前記制御系は、前日の所定時点における前記予測気象情報と前記前日の所定時点までの前記実績システム情報とにより求められた前記予測集熱情報に基づいて、当日のための前記ヒートポンプの蓄熱運転に関するスケジュールを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記制御系は、当日の所定時点における最新の前記予測気象情報と前記当日の所定時点までの最新の前記実績システム情報とに基づいて最新の予測集熱情報を求め、求めた前記最新の予測集熱情報に基づいて既定のスケジュールを必要に応じて更新することを特徴とする請求項3に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記制御系は、第1の施設に設けられた第1の前記ヒートポンプを制御する第1の制御部と、第2の施設に設けられた第2の前記ヒートポンプを制御する第2の制御部と、前記第1の制御部および前記第2の制御部に対して制御信号をそれぞれ供給する共通の指令部とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記共通の指令部は、前記第1の施設および前記第2の施設から遠隔にあり、前記第1の制御部および前記第2の制御部に対して前記制御信号をそれぞれ送信することを特徴とする請求項5に記載の給湯システム。
【請求項7】
貯湯槽内の給湯用水を循環させて蓄熱運転するヒートポンプと、前記貯湯槽内の給湯用水を太陽熱エネルギーにより昇温させる太陽熱集熱ユニットとを備えた給湯システムにおいて、前記ヒートポンプの蓄熱運転を制御する方法であって、
日射量の変化および外気温度の変化に関する予測気象情報を得ることと、
前記給湯システムの給湯熱量の変化および前記ヒートポンプの供給熱量の変化に関する実績システム情報を得ることと、
前記予測気象情報と前記実績システム情報とにより前記太陽熱集熱ユニットの集熱量の変化に関する予測集熱情報を求めることと、
求めた前記予測集熱情報に基づいて前記ヒートポンプの蓄熱運転を制御することとを含むことを特徴とする給湯システムの制御方法。
【請求項8】
前記予測気象情報として時刻別の日射量および時刻別の外気温度に関する情報を用い、前記実績システム情報として前記給湯システムの時刻別の給湯熱量および前記ヒートポンプの時刻別の供給熱量に関する情報を用い、前記予測集熱情報として前記太陽熱集熱ユニットの時刻別の集熱量に関する情報を求めることを特徴とする請求項7の給湯システムの制御方法。
【請求項9】
前日の所定時点における前記予測気象情報と前記前日の所定時点までの前記実績システム情報とにより求められた前記予測集熱情報に基づいて、当日のための前記ヒートポンプの蓄熱運転に関するスケジュールを決定することを特徴とする請求項7または8に記載の給湯システムの制御方法。
【請求項10】
当日の所定時点における最新の前記予測気象情報と前記当日の所定時点までの最新の前記実績システム情報とにより最新の予測集熱情報を求め、求めた前記最新の予測集熱情報に基づいて既定のスケジュールを必要に応じて更新することを特徴とする請求項9に記載の給湯システムの制御方法。
【請求項11】
第1の施設に設けられた第1の前記ヒートポンプを制御する第1の制御部、および第2の施設に設けられた第2の前記ヒートポンプを制御する第2の制御部に対して、共通の指令部から制御信号をそれぞれ供給することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の給湯システムの制御方法。
【請求項12】
前記第1の施設および前記第2の施設から遠隔にある前記共通の指令部から、通信ネットワークを介して、前記第1の制御部および前記第2の制御部に対して前記制御信号をそれぞれ送信することを特徴とする請求項11に記載の給湯システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−181000(P2012−181000A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45920(P2011−45920)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)