説明

給紙装置および画像形成システム

【課題】画像形成システムの構成変更が生じた場合であっても、変更従前のシステム構成として存在して正常に動作していた装置が、当該構成変更にともない正常に動作しないといった不測の事態を抑制する。
【解決手段】画像形成装置200は、画像形成システムの構成変更にともない、当該構成変更以前において最上流に配置される第1の大容量給紙装置100の上流に、これとは異なる第2の大容量給紙装置100が接続されたことを判断した場合には、第1の大容量給紙装置100を対象として、連接部120について異常があるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、用紙への画像形成およびそれに付随する各種の処理を効率的に行うことを目的として、複数台の装置を上流側から下流側へと直列的に接続して構成される画像形成システムが知られている。この類の画像形成システムとしては、用紙を供給する給紙装置、用紙に画像を形成する画像形成装置、用紙に後処理を施す後処理装置を直列的に接続した構成などが周知である。また、これ以外にも、両面印刷に要する時間の短縮を図るために2台の画像形成装置を連続的に接続した構成や、大量の用紙を供給可能とするために画像形成装置の上流側に複数台の給紙装置を連続的に接続した構成も知られている。この画像形成システムでは、装置のレイアウトを変更したり、新たな装置を追加したりすることが容易なため、ユーザの用途に合わせたシステムを柔軟に構築・変更することができるというメリットがある。
【0003】
ここで、給紙装置は、用紙を収容する給紙トレイと、当該トレイに収容された用紙を搬送する搬送機構と含む給紙部を備えており、用紙を下流に位置する装置に供給する。また、給紙装置は、上記のような連接形態を考慮して、かかる給紙部とは別に、用紙を搬送する搬送機構を含む連接部も備えており、当該連接部により、上流の他の給紙装置から供給された用紙を受け取るとこれを下流に位置する装置に供給することができるような構成となっている。
【0004】
なお、例えば特許文献1には、現像剤の初期設定時、所定時間だけ撹拌を実行した後に、トナー濃度の検知を行い、検知結果が所定範囲外の場合に異常処理を行う画像形成装置が開示されている。かかる画像形成装置によれば、現像剤が長時間放置されたことにより帯電量、嵩などが低下し、このために、地肌汚れ、トナー飛散などを生ずるっといった不都合を抑制することができる。すなわち、この特許文献1に開示された手法は、現像剤の初期設定時といったように、装置に新たに適用された部材に対するメンテナンスおよび異常の有無を判断するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−333421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像形成システムの構成変更にともない、従前のシステム構成では最上流に位置した給紙装置が他の給紙装置の下流に配置された場合、最上流にあった給紙装置は、構成変更により連接部が利用され得る状態となる。この際、当該連接部は長期間使用されていなかったり、初めて使用されるといったこともあり得るので、当該構成部位が正常に動作しないといった可能性が起こりえる。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像形成システムの構成変更が生じた場合であっても、変更前のシステム構成として存在して正常に動作していた装置が、当該構成変更にともない正常に動作しないといった不足の事態を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、複数の装置を上流側から下流側へと直列的に接続して構成される画像形成システムを提供する。この画像形成システムは、用紙に画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置の上流側に一台以上配置され、画像形成装置に用紙を供給する給紙装置と、を有する。この場合、給紙装置は、他の給紙装置と互い直列接続可能に構成されており、自己が保有する用紙あるいは上流に位置する他の供給装置から供給された用紙を搬送することにより、下流に接続された装置に用紙を供給している。ここで、画像形成装置は、画像形成システムの構成変更を判断した場合、当該構成変更以前から存在した給紙装置を対象として、その構成変更にともなって利用可能となる構成部位について異常があるか否かを判定する異常判定を行う。
【0009】
ここで、第1の発明において、給紙装置は、用紙を収容する用紙トレイと、当該用紙トレイに収容された用紙を搬送し、当該用紙を下流に接続された装置に供給する給紙部と、上流に接続された装置から供給された用紙を搬送し、当該用紙を下流に接続された装置に供給する連接部と、を有することが好ましい。この場合、画像形成装置は、画像形成システムの構成変更にともない、当該構成変更以前において最上流に配置される第1の給紙装置の上流に、前記第1の供給装置とは異なる第2の給紙装置が接続されたことを判断した場合には、前記第1の給紙装置を対象として、前記連接部についての異常判定を行うことが望ましい。
【0010】
また、第1の発明において、画像形成装置は、異常ありと判定した場合には、第1の給紙装置が最上流に配置されるように給紙装置間の配置の組み替えを行う旨を、ユーザに対して提示することが望ましい。
【0011】
また、第1の発明において、第2の給紙装置は、画像形成システムの構成変更にともない、新たに追加される給紙装置であるか、あるいは、画像形成システムの構成変更前には、第1の給紙装置よりも下流側に配置されている給紙装置であることが好ましい。
【0012】
また、第1の発明において、画像形成装置は、電気的な要素に関する信号のモニタリングを通じて、異常判定を行うことが好ましい。
【0013】
また、第1の発明において、画像形成装置は、第2の給紙装置から第1の給紙装置を経由して下流側へと用紙を実際に搬送する通紙テストを通じて、異常判定を行うことが望ましい。
【0014】
画像形成装置は、異常判定に代えて、あるいは、異常判定とともに第2の給紙装置が接続されることにより利用可能となる構成部位に対するメンテナンスを実行することが好ましい。
【0015】
また、第2の発明は、複数の給紙装置を互いに直列的に接続して使用可能な給紙装置を提供する。この場合、給紙装置は、用紙を収容する用紙トレイと、当該用紙トレイに収容された用紙を搬送し、当該用紙を下流に接続された装置に供給する給紙部と、上流に接続された装置から供給された用紙を搬送し、当該用紙を下流に接続された装置に供給する連接部と、連接された他の給紙装置と通信可能な制御部と、を有する。この場合、制御部は、連接構成の変更にともない、当該構成変更以前において最上流の配置されている第1の給紙装置の上流に、当該第1の給紙装置とは異なる第2の給紙装置が接続されたことを判断した場合には、第1の給紙装置を対象として、第2の給紙装置が接続されることにより利用可能となる構成部位について異常があるか否かを判定する異常判定を行う。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、構成変更により利用可能となる構成部位が発生する場合には、当該構成部位を対象として異常判定を行うことができる。これにより、従前のシステム構成として存在して正常に動作していた装置が、システムの構成変更にともなって正常に動作しないといった事態が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成システムを模式的に示す構成図
【図2】画像形成システムの制御系を模式的に示すブロック図
【図3】画像形成システムにかかる動作手順を示すフローチャート
【図4】異常判定の処理手順を示すフローチャート
【図5】メンテナンスの処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本実施形態にかかる画像形成システムを模式的に示す構成図である。画像形成システムは、用紙Pに画像形成を行うシステムであり、複数の装置が上流側から下流側へと直列的に接続されて構成されている。本実施形態の画像形成システムは、大容量給紙装置100と、その下流に配置される画像形成装置200とを備えており、特に、2台の大容量給紙装置100を連続的に接続し、この二連接構成の大容量給紙装置100を画像形成装置200に接続した構成となっている。
【0019】
もっとも、画像形成システムは、大容量給紙装置100を単独で有する構成であってもよく、また、図中破線で示すように別途の大容量給紙装置100を新たに追加した三連接構成、あるいは、それ以上の連接構成であってもよい。すなわち、かかる画像形成システムは、別途の大容量給紙装置100を新たに追加したり若しくは連接された複数の大容量給紙装置100のなかから所定の大容量給紙装置100を取り外したり、あるいは、連接構成の大容量給紙装置100の順番を自由に組み替えたりすることできるようになっている。
【0020】
なお、本明細書において、配置を含めて大容量給紙装置100を識別する場合には、図中括弧書きで示すように、画像形成装置200から上流に向かうにしたがって、一番目の大容量給紙装置100を「大容量給紙装置100A」、二番目の大容量給紙装置100を「大容量給紙装置100B」という。また、二番目の大容量給紙装置100Bの上流に追加される、三番目の大容量給紙装置100を「大容量給紙装置100C」という。
【0021】
大容量給紙装置100は、用紙Pを大量に蓄積収容し、画像形成装置200に用紙Pを給紙するための装置である。この大容量給紙装置100は、給紙部110と、連接部120とを備えている。
【0022】
給紙部110は、複数の給紙トレイ111、例えば3つの給紙トレイ111と、複数の搬送ローラおよびガイド部材で構成される用紙搬送機構とを備えている。個々の給紙トレイ111は、種々のサイズ・種類の用紙Pをそれぞれ収容可能としている。用紙搬送機構は、ユーザによって選択された用紙Pに対応する給紙トレイ111から一枚ずつ用紙Pを給紙し、当該用紙Pを第1の搬送経路R1に沿って搬送し、これにより、下流に接続される装置に供給する。
【0023】
連接部120は、複数の搬送ローラおよびガイド部材で構成される用紙搬送機構を備えている。この用紙搬送機構は、上流に他の大容量給紙装置100が接続され、かつ、接続された大容量給紙装置100から用紙Pが供給された場合、当該用紙Pを第2の搬送経路R2に沿って搬送し、用紙Pを下流に接続された装置に供給する。
【0024】
また、給紙部110および連接部120を構成する各用紙搬送機構には、用紙Pの搬送位置を検出するセンサ、メンテナンス時に搬送ローラに付着した紙粉などの粉塵を除去するブラシ機構、搬送路などに残留する紙粉などの粉塵を掃除する送風機構、用紙Pに対する湿度・温度環境を確保するためのファンなど設けられている。
【0025】
画像形成装置200は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置200は、大容量給紙装置100から供給される用紙Pまたは自己が保有する用紙Pに対して画像(トナー画像)を形成する。画像形成装置200は、例えば、原稿読取装置210と、作像部230と、定着部240と、給紙部250とを主体に構成されている。
【0026】
原稿読取装置210は、装置の上部に備えられた自動原稿送り装置(図示せず)を有し、自動原稿送り装置によって原稿を搬送しながら、原稿の画像を読み取ることによって、画像信号を得る。具体的には、原稿読取装置210は、原稿の画像をランプにて照射し、その反射光を撮像素子の受光面に結像させる。撮像素子は入射した光を光電変換して所定の画像信号を画像読取制御部220に出力する。画像読取制御部220は、この画像信号に対して、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理を施すことにより画像データを得ると、これを画像形成制御部270(図2参照)に出力する。なお、画像形成制御部70に入力される画像データとしては、原稿読取装置210で読み取ったものに限られず、例えば、画像形成装置に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置から受信したものであってもよい。
【0027】
作像部230は、例えば複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することにより、フルカラーの画像を用紙Pに転写する。具体的には、作像部230は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックに対応する4つの作像部230Y,230M,230C,230Kと、中間転写部235とで構成される。以下、イエローに対応する作像部230Yの構成を説明するが、他の色に対応する作像部230M〜230Kの構成も同様である。
【0028】
作像部230Yは、感光体ドラム231と、現像ユニット232とを有している。現像ユニット232は、例えば帯電部と、露光部と、現像部とを主体に構成されている。帯電部は、感光体ドラム231の周面を一様に帯電させる。露光部は、感光体ドラム231にレーザ光を照射してその表面に静電潜像を形成する。現像部は、感光体ドラム231の表面に形成した潜像画像をトナー画像として顕在化する。これにより、感光体ドラム231上にトナー画像が形成される。感光体ドラム231上に形成されたトナー画像は、中間転写部235を構成する中間転写ベルト236上の所定位置に逐次転写される。
【0029】
中間転写ベルト236上に転写された各カラーのトナー画像は、後述するように用紙Pが所定のタイミングで転写ローラ237と中間転写ベルト236とのニップ部を通過することにより、用紙Pに転写される。
【0030】
給紙部250は、一つ以上の給紙トレイから構成されており、給紙トレイには用紙Pが収容されている。この給紙部250は、必要に応じて、ユーザによって選択された用紙Pを一枚ずつ給紙する。
【0031】
ユーザによって選択された用紙Pは、いずれかの大容量給紙装置100から画像形成装置200の内部へと導入された後、あるいは、給紙部250から供給された後、機内を搬送される。当該用紙Pは、レジストローラによってトナー画像との同期がとられた状態でトナー画像の転写位置(転写ローラ237と中間転写ベルト236とのニップ部)へと搬送される。これにより、前述のように用紙Pの表面にトナー画像が転写される。トナー画像が転写された用紙Pは、定着部240に搬送される。
【0032】
定着部240は、加熱ローラと加圧ローラとから構成されている。加熱ローラには熱源(図示せず)が内蔵されており、この熱源により加熱ローラの温度が所定温度に制御される。用紙Pの搬送過程において加熱ローラと加圧ローラとの圧接部であるニップ部を用紙Pが通過することにより、用紙Pの表面に転写されたトナー画像が加熱・加圧され、これにより、トナー画像が用紙Pに定着される。定着部240により定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラにより、図示しない排紙トレイに排出される。
【0033】
図2は、本実施形態にかかる画像形成システムの制御系を模式的に示すブロック図である。この画像形成システムの制御系は、給紙制御部130と、画像形成制御部270とを主体に構成されている。これらの各制御部130,270は、互いに通信可能に構成されている。
【0034】
給紙制御部130は、大容量給紙装置100を統合的に制御する機能を担っており、個々の大容量給紙装置100にそれぞれ搭載されている。給紙制御部130としては、CPU121、ROM122およびRAM123を主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。
【0035】
給紙制御部130は、給紙部110を制御することにより、ユーザの選択に応じた用紙Pを所定の給紙トレイ111から搬送し、下流に接続する装置100,200へと供給する。また、給紙制御部130は、上流の大容量給紙装置100から用紙Pが供給された場合には、連接部120を制御することにより、当該用紙Pを受け取るとこれを下流へ向けて搬送し、下流に接続する装置(大容量給紙装置100または画像形成装置200)へと供給する。
【0036】
本実施形態との関係において、給紙制御部130は、自己を識別するための識別IDを保持しており、他の大容量給紙装置100と通信することにより、連接された複数の大容量給紙装置100のうち何番目に位置するのかといった情報(以下「位置情報」という)を認識することができる。また、この給紙制御部130は、画像形成制御部270からの送信要求に応じて、自己の識別IDと位置情報とを対応付けた連接情報を画像形成制御部270に送信することができる。
【0037】
また、給紙制御部130は、画像形成制御部270からの実行指示に応じて、異常判定やメンテナンスといった処理を実行することができる。なお、個々の処理の詳細については、後述する。
【0038】
通信部140は、自己の装置に接続する装置100,200、または他の装置100,200を介して接続される他の装置100,200との通信を確立する入出力部として機能する。これにより、給紙制御部130は、通信部140を介して、画像形成制御部270、あるいは、他の大容量給紙装置100の給紙制御部130と相互に通信を行うことができる。
【0039】
画像形成制御部270は、画像形成装置200を統合的に制御する機能を担っているとともに、他の制御部130を制御することにより画像形成システム全体を統合的に制御する機能を担っている。画像形成制御部270としては、CPU271、ROM272およびRAM273を主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。
【0040】
画像形成制御部270は、画像読取制御部220等より入力された画像データを取得する。また、画像形成制御部270は、入力された画像データに基づいて、画像形成装置200の各部(作像部230、定着部240および給紙部250)を制御することにより、入力された画像データに応じたトナー画像を、所定の用紙Pに形成する。
【0041】
操作表示部260は、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルである。操作表示部は、ユーザの入力操作を通じて、印刷条件(例えば、片面・両面の印刷種別、用紙Pの種類(例えば、斤量)、画像の濃度や倍率など)や、各種の情報を画像形成制御部270に出力する。また、操作表示部260は、画像形成制御部270に制御されることにより、所望の情報を表示し、これにより、ユーザに所定の情報を提示する。
【0042】
また、本実施形態との関係において、画像形成制御部270は、例えば電源投入時や再起動時には、画像形成システムの構成変更があったか否かを判断する。そして、画像形成システムの構成変更があった場合、特に、最上流の大容量給紙装置100に変更があった場合には、後述する処理を行う。
【0043】
通信部280は、自己の装置に接続する大容量給紙装置100、または他の大容量給紙装置100を介して接続される他の大容量給紙装置100との通信を確立する入出力部として機能する。これにより、画像形成制御部270は、通信部280を介して他の大容量給紙装置100の給紙制御部130と相互に通信を行うことができる。
【0044】
図3は、本実施形態の画像形成システムにかかる動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば電源投入に伴う画像形成装置200の起動時に呼び出され、画像形成制御部270によって実行される。
【0045】
まず、ステップ1(S1)において、画像形成制御部270は、画像形成システムの構成の確認を行う。具体的には、画像形成制御部270は、上流側に配置される各大容量給紙装置100(給紙制御部130)に対して連接情報の送信を要求する。画像形成制御部270は、各給紙制御部130から送信された連接情報を受信すると、識別IDと位置情報とに基づいて、現在の大容量給紙装置100の連接構成を認識する。なお、本ステップにおいて認識された大容量給紙装置100の連接構成は、例えば電源オフ時といったタイミングにおいて、図示しない不揮発性メモリに記憶される。
【0046】
ステップ2(S2)において、画像形成制御部270は、画像形成システムの構成変更があったか否か、特に、最上流の大容量給紙装置100に変更があったか否かを判断する。具体的には、画像形成制御部270は、前回の電源オフ時に不揮発性メモリに格納された大容量給紙装置100の連接構成を読み込むと、これを現在の大容量給紙装置100の連接構成と比較し、最上流の大容量給紙装置100に変更があったか否かを判断する。このような構成変更としては、最上流に大容量給紙装置100を新たに追加するといったことが挙げられる。例えば、図1,2に示す例では、構成変更以前において最上流に配置された二番目の大容量給紙装置100Bの上流側に、三番目の大容量給紙装置100Cを新たに追加するといった如くである。また、これ以外の構成変更としては、構成変更以前において最上流に位置した大容量給紙装置100とそれよりも下流に位置した大容量給紙装置100との配置を組み替えるといったことが挙げられる。例えば、図1、2に示す例では、二番目の大容量給紙装置100Bと一番目の大容量給紙装置100Aとを入れ替えるといった如くである。なお、以下の説明では、画像形成システムの構成変更として、構成変更以前において最上流に配置される二番目の大容量給紙装置100Bの上流に、三番目の大容量給紙装置100Cが新たに追加されたこととする。
【0047】
このステップ2において肯定判定された場合、すなわち、最上流の大容量給紙装置100に変更があった場合には、ステップ3(S3)に進む。一方、ステップ2において否定判定された場合、すなわち、最上流の大容量給紙装置100に変更がない場合には、ステップ7(S7)に進む。
【0048】
ステップ3において、画像形成制御部270は、画像形成システムの構成変更にともない実行する処理の選択をユーザに要求する。具体的には、画像形成制御部270は、操作表示部260を制御することにより、「異常判定」および「メンテナンス」のいずれの処理を実行するかを選択させる旨の表示を行う。
【0049】
ステップ4(S4)において、画像形成制御部270は、操作表示部260を介して入力される情報を参照し、ユーザが「異常判定」を選択したか否かを判断する。このステップ4において肯定判定された場合、すなわち、ユーザの選択した処理が「異常判定」である場合には、ステップ5(S5)に進む。一方、ステップ4において否定判定された場合、すなわち、ユーザの選択した処理が「メンテナンス」である場合には、ステップ6(S6)に進む。
【0050】
ステップ5(S5)において、画像形成制御部270は、異常判定を実行する。この異常判定は、画像形成システムの構成変更以前において最上流に配置された大容量給紙装置100(二番目の大容量給紙装置100B)を対象として、新たな大容量給紙装置100(三番目の大容量給紙装置100C)が最上流に接続されることにより利用可能となる構成部位について異常があるか否かを判定する処理である。ここで、「利用可能となる構成部位」としては、連接部120が該当する。
【0051】
図4は、異常判定の処理手順を示すフローチャートである。まず、ステップ50(S50)において、画像形成制御部270は、異常判定の種別である判定モードの選択をユーザに要求する。具体的には、画像形成制御部270は、操作表示部260を制御することにより、「自動モード」および「手動モード」のいずれの処理を実行するかを選択させる旨の表示を行う。
【0052】
ステップ51(S51)において、画像形成制御部270は、操作表示部260を介して入力される情報を参照し、ユーザが「自動モード」を選択したか否かを判断する。このステップ51において肯定判定された場合、ユーザの選択が「自動モード」の場合には、ステップ52(S52)に進む。一方、ステップ51において否定判定された場合、ユーザの選択が「手動モード」の場合には、後述するステップ53(S53)に進む。
【0053】
ステップ52において、画像形成制御部270は、二番目の大容量給紙装置100Bの給紙制御部130に対して、自動モードに対応する異常判定(以下「自動テスト」という)の実施を指示する。この指示にともない、当該給紙制御部130は、自動テストを実施する。
【0054】
ここで、自動テストとは、後述する手動モードに対応する異常判定とは異なり、用紙Pの補給などといったユーザのアシストを必要とせずに、給紙制御部130による処理のみで完結する異常判定である。具体的には、給紙制御部130は、連接部120の動作に供される電気的な要素を対象として、当該要素に関する信号のモニタリングを通じて、連接部120に異常があるか否かを判断する。例えば、給紙制御部130は、連接部120を構成する搬送ローラを駆動する駆動モータを動作させ、過電流が発生する場合には、当該駆動モータに異常あると判断するといった如くである。連接部120に異常がない場合には、この自動テストは正常に終了する。
【0055】
一方、ステップ53では、手動モードに対応する異常判定(以下「通紙テスト」という)の実施に先立ち、画像形成制御部270は、通紙テストの動作準備が完了しているか否かを判断する。具体的は、画像形成制御部270は、操作表示部260を制御することにより、動作準備が完了しているか否かを選択させる旨の表示を行う。通紙テストの動作準備としては、例えば新たに追加された大容量給紙装置100Cの給紙トレイ111に用紙Pがセットされているか否かといったことが挙げられる。
【0056】
ステップ53において否定判定された場合、すなわち、動作準備が完了していない場合には、ステップ54(S54)に進む。一方、このステップ53において肯定判定された場合、すなわち、動作準備が完了している場合には、ステップ55(S55)に進む。
【0057】
ステップ54において、画像形成制御部270は、通紙テストの準備を促す要求をユーザに行う。具体的には、画像形成制御部270は、操作表示部260を制御することにより、「用紙を補給してください」といった表示を行う。
【0058】
ステップ55において、画像形成制御部270は、通紙テストの開始を促す要求をユーザに行う。具体的には、画像形成制御部270は、操作表示部260を制御することにより、「スタートボタンを押して下さい」といった表示を行う。
【0059】
ステップ56(S56)において、画像形成制御部270は、操作表示部260を介して入力される情報を参照し、開始が指示されたか否かを判断する。このステップ56において肯定判定された場合、すなわち、開始が指示された場合には、ステップ57(S57)に進む。一方、ステップ56において否定判定された場合、すなわち、開始が指示されていない場合には、ステップ55の処理に戻る。
【0060】
ステップ57において、画像形成制御部270は、各大容量給紙装置100の給紙制御部130に対して通紙テストの実施を指示する。この指示にともない、各給紙制御部130は、通紙テストを実施する。
【0061】
ここで、通紙テストは、三番目の大容量給紙装置100Cから用紙Pを供給し、二番目および一番面の大容量給紙装置100B,100Aを順次経由して画像形成装置200へと用紙Pを実際に搬送する処理である。この通紙テストにおいて、二番目および一番面の大容量給紙装置100B,100Aは、用紙Pを連接部120を用いて搬送することとなる。この通紙テストにより、二番目の大容量給紙装置100Bの連接部120を用紙Pが正常に搬送されるか否かにより、当該連接部120に異常があるか否かを判定することが可能になる。連接部120に異常がない場合には、この通紙テストは正常に終了する。
【0062】
ステップ58(S58)において、画像形成制御部270は、異常判定(自動テストまたは通紙テスト)が正常に終了したか否かを判断する。このステップ58において肯定判定された場合、すなわち、異常判定が正常に終了した場合には、本ルーチンを終了する。一方、ステップ58において否定判定された場合、すなわち、異常判定が正常に終了していない場合には、ステップ59(S59)に進む。
【0063】
ステップ59(S59)において、画像形成制御部270は、ユーザに対して大容量給紙装置100の連接構成の組み替えを指示する。具体的には、画像形成制御部270は、異常判定の対象となった二番目の大容量給紙装置100Bの連接部120の利用を避けるために、操作表示部260を制御することにより、当該二番目の大容量給紙装置100Bを最上流に配置するような組み替えを行うことを旨とする表示を行う。
【0064】
再び図3を参照するに、ステップ6(S6)において、画像形成制御部270は、メンテナンスを実行する。このメンテナンスは、画像形成システムの構成変更以前において最上流に配置された二番目の大容量給紙装置100Bを対象として、三番目の大容量給紙装置100Cが接続されることにより利用可能となる構成部位に対するメンテナンスを行う処理である。ここで、前述の構成部位としては、連接部120が該当する。
【0065】
図5は、メンテナンスの処理手順を示すフローチャートである。まず、ステップ60(S60)において、画像形成制御部270は、メンテナンスの動作準備が完了しているか否かを判断する。具体的には、画像形成制御部270は、操作表示部260を制御することにより、動作準備が完了しているか否かを選択させる旨の表示を行う。このステップ60において否定判定された場合、すなわち、動作準備が完了していない場合には、ステップ61(S61)に進む。一方、ステップ60において肯定判定された場合、すなわち、動作準備が完了している場合には、ステップ62(S62)に進む。
【0066】
ステップ61において、画像形成制御部270は、メンテナンスの準備を促す要求をユーザに行う。
【0067】
ステップ62において、画像形成制御部270は、メンテナンスの開始を促す要求をユーザに行う。具体的には、画像形成制御部270は、操作表示部260を制御することにより、「スタートボタンを押して下さい」といった表示を行う。
【0068】
ステップ63において、画像形成制御部270は、操作表示部260を介して入力される情報を参照し、開始が指示されたか否かを判断する。このステップ63において肯定判定された場合、すなわち、開始が指示された場合には、ステップ64(S64)に進む。一方、ステップ63において否定判定された場合、すなわち、開始が指示されていない場合には、ステップ62の処理に戻る。
【0069】
ステップ64において、画像形成制御部270は、二番面の大容量給紙装置100Bに対して連接部120のメンテナンスの実施を指示する。この指示にともない、大容量給紙装置100Bの給紙制御部130は、メンテナンスを実施する。例えば、給紙制御部130は、ブラシ機構や送風機構を動作させ、搬送ローラや搬送路に付着した紙粉などの粉塵を除去するといった如くである。
【0070】
再び図3を参照するに、画像形成制御部270は、ステップ5またはステップ6の処理が終了したことを条件に、画像形成を実行可能な通常動作に移行する。
【0071】
このように本実施形態によれば、画像形成装置200(画像形成制御部270)は、画像形成システムの構成変更にともない、当該構成変更以前において最上流に配置される第1の大容量給紙装置100の上流に、これとは異なる第2の大容量給紙装置100が接続されたことを判断した場合には、第1の大容量給紙装置100を対象として、第2の大容量給紙装置100が接続されることにより利用可能となる構成部位(連接部120)について異常があるか否かを判定する異常判定を行っている。
【0072】
かかる構成によれば、第1の大容量給紙装置100が、構成変更により利用可能となる構成部位が発生する場合には、当該構成部位を対象として異常判定を行うことができる。これにより、従前のシステム構成として存在して正常に動作していた装置が、システムの構成変更にともなって正常に動作しないといった不足の事態の発生を事前(構成変更後のシステムを実際に稼働する前)に判定することができる。これにより、当該装置が、システムの構成変更にともなって正常に動作しないといった事態が発生することを抑制することができる。すなわち、本実施形態の手法は、画像形成システムに新たに追加された装置を対象として異常判定を行うのではなく、既にシステム内に存在していた装置であって、かつ、構成変更にともない、利用可能となる構成部位が新たに生じる装置を対象として異常判定を行うことに意義を有するものである。
【0073】
また、本実施形態において、画像形成装置200は、異常ありと判定した場合には、第1の大容量給紙装置100が最上流に配置されるように給紙装置間の配置の組み替えを行う旨を、ユーザに対して提示する。
【0074】
かかる構成によれば、装置間の配置の組み替えを促すことにより、異常が生じている連接部120を利用しない形態を推奨することができるので、異常を回避したレベルで画像形成システムの構成変更を実現することできる。これにより、ユーザの利便性を著しく低下させるといった事態を抑制することができる。
【0075】
ここで、第2の大容量給紙装置100は、画像形成システムの構成変更にともない、新たに追加される大容量給紙装置(100C)であったり、あるいは、画像形成システムの構成変更前には、第1の大容量給紙装置(100B)よりも下流側に配置されている大容量給紙装置(100A)である。
【0076】
また、画像形成装置200は、電気的な要素に関する信号のモニタリングを通じて、異常判定を行う。かかる構成によれば、ユーザの補助動作を要することなく異常判定を自立的に行うことができるので、画像形成システムの構成変更にともなうユーザ作業の繁雑さを低減することができる。
【0077】
また、画像形成装置200は、第2の大容量給紙装置100から第1の大容量給紙装置100を経由して下流側へと用紙Pを実際に搬送する通紙テストを通じて、異常判定を行っている。かかる構成によれば、実際に用紙Pを通紙することとなるので、異常の有無を的確に判断することができる。
【0078】
また、画像形成装置200は、異常判定に代えて、第2の大容量給紙装置100が接続されることにより利用可能となる構成部位に対するメンテナンスを実行している。かかる構成によれば、その構成部位に対してメンテナンスを実行することで、当該部位に発生する異常を解消させることができる。
【0079】
なお、本実施形態では、異常判定とメンテナンス動作とを択一的に実行しているが、両者を選択することなく、順次実行するような構成であってもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、画像形成装置200が大容量給紙装置100を識別する方法として、大容量給紙装置100との通信から得られる識別IDを用いているが、これに限定されない。例えば、画像形成装置200は、RFID(Radio Frequency IDentification)といった技術を用い、各大容量給紙装置100に取り付けたIDタグを用いて識別を行ってもよい。
【0081】
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。例えば、上述した実施形態では、画像形成装置(画像形成制御部)が主体となって処理を行ったが、かかる処理は給紙装置自体で行ってもよい。この場合、新たに追加された給紙装置が主体となって処理を進めてもよいし、連接されているいずれかの給紙装置が主体となって処理を実行してもよい。また、上述した実施形態において、異常判定やメンテナンスの手法を開示したが、かかる手法は例示であり、これ以外にも周知の手法を広く利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
100 大容量給紙装置
110 給紙部
111 給紙トレイ
120 連接部
130 給紙制御部
140 通信部
200 画像形成装置
210 原稿読取装置
220 画像読取制御部
230 作像部
230Y 作像部
230M 作像部
230C 作像部
230K 作像部
231 感光体ドラム
232 現像ユニット
235 中間転写部
236 中間転写ベルト
237 転写ローラ
240 定着部
250 給紙部
260 操作表示部
270 画像形成制御部
280 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装置を上流側から下流側へと直列的に接続して構成される画像形成システムにおいて、
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置の上流側に一台以上配置され、前記画像形成装置に用紙を供給する給紙装置と、を有し、
前記給紙装置は、他の給紙装置と互い直列接続可能に構成されており、自己が保有する用紙あるいは上流に位置する他の供給装置から供給された用紙を搬送することにより、下流に接続された装置に用紙を供給しており、
前記画像形成装置は、画像形成システムの構成変更を判断した場合、当該構成変更以前から存在した給紙装置を対象として、その構成変更にともなって利用可能となる構成部位について異常があるか否かを判定する異常判定を行うことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記給紙装置は、
用紙を収容する用紙トレイと、
当該用紙トレイに収容された用紙を搬送し、当該用紙を下流に接続された装置に供給する給紙部と、
上流に接続された装置から供給された用紙を搬送し、当該用紙を下流に接続された装置に供給する連接部と、を有し、
前記画像形成装置は、画像形成システムの構成変更にともない、当該構成変更以前において最上流に配置される第1の給紙装置の上流に、前記第1の供給装置とは異なる第2の給紙装置が接続されたことを判断した場合には、前記第1の給紙装置を対象として、前記連接部についての異常判定を行うことを特徴とする請求項1に記載された画像形成システム。
【請求項3】
前記画像形成装置は、異常ありと判定した場合には、前記第1の給紙装置が最上流に配置されるように給紙装置間の配置の組み替えを行う旨を、ユーザに対して提示することを特徴とする請求項1または2に記載された画像形成システム。
【請求項4】
前記第2の給紙装置は、画像形成システムの構成変更にともない、新たに追加される給紙装置であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された画像形成システム。
【請求項5】
前記第2の給紙装置は、画像形成システムの構成変更前には、前記第1の給紙装置よりも下流側に配置されている給紙装置であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された画像形成システム。
【請求項6】
前記画像形成装置は、電気的な要素に関する信号のモニタリングを通じて、前記異常判定を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、前記第2の給紙装置から前記第1の給紙装置を経由して下流側へと用紙を実際に搬送する通紙テストを通じて、前記異常判定を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された画像形成システム。
【請求項8】
前記画像形成装置は、前記異常判定に代えて、あるいは、前記異常判定とともに前記第2の給紙装置が接続されることにより利用可能となる構成部位に対するメンテナンスを実行することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載された画像形成システム。
【請求項9】
他の給紙装置を直列的に接続して使用可能に構成されて、用紙を供給する給紙装置において、
用紙を収容する用紙トレイと、
当該用紙トレイに収容された用紙を搬送し、当該用紙を下流に接続された装置に供給する給紙部と、
上流に接続された給紙装置が用紙が供給された場合には、当該給紙装置から供給された用紙を搬送し、当該用紙を下流に接続された装置に供給する連接部と、
前記給紙部および前記連接部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、給紙装置同士の連接構成の変更にともない、当該構成変更以前において最上流の配置されている第1の給紙装置の上流に、前記第1の給紙装置とは異なる第2の給紙装置が接続されたことを判断した場合には、前記第1の給紙装置を対象として、前記連接部について異常があるか否かを判定する異常判定を行うことを特徴とする給紙装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−242423(P2012−242423A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109048(P2011−109048)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】