説明

給紙装置

【課題】 ガイド手段としてのサイドフェンスと用紙との間の隙間を無くし、給紙時のスキューを低減するようにした給紙装置を提供する。
【解決手段】 給紙トレイ2の用紙側縁に接してガイドする一対のガイド手段4を互いに接離する方向に連動して移動する連動手段7を備えた給紙装置1において、一方のガイド手段は第一ガイド部材11、第二ガイド部材12を含み、第一及び第二ガイド部材11、12には用紙側縁に接する第一及び第二当接面11a、12aが形成され、第一ガイド部材11と第二ガイド部材12との間には弾性部材13が介在され、第一当接面11aを、先に用紙側縁に接しさせた状態において、第二当接面12aが第一当接面11aを越えて用紙側縁をガイドするように突出されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置などの所定の装置に給紙するための用紙を積載する給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、OA機器の省スペース化のために、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置においても小型化が要求されている。そこで、画像形成装置の本体の両側には横方向にスペースをとらないように、前面から給紙トレイを引き出し自在に装着するようにした、いわゆるフロントローディングタイプの画像形成装置が主流である。このようなタイプの画像形成装置に装着される給紙トレイは、引き出し方向と直交する方向に給紙するため、引き出し方向の手前側と奥側とに用紙の側縁を案内する一対のサイドフェンスを備えている。これらサイドフェンスは用紙のサイズに応じて対向間隔が調整できるように、ラックとピニオンギアで構成される連動機構を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
そして、この種のサイドフェンスの位置決めには、図16に示すように、トレイ本体に設けられたラック部100に、一方のサイドフェンス101に設けられたストップレバー102の嵌合歯103が嵌合することで固定され、このストップレバー102を矢印方向に動かすことにより、嵌合歯103がラック部100から外れ、サイドフェンス101を用紙幅に合わせて動かすことが可能となるものである。
【0004】
また、用紙の搬送方向に直交する方向の位置を規制するサイドフェンスを備え、所定位置に用紙を供給する給紙装置において、用紙の搬送方向に直交する方向のガイドを行う平面が形成されたガイド部材と、ガイド部材を用紙の幅方向に押し付ける押圧部材とをサイドフェンスに着脱自在に設けた給紙装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006―117377号公報
【特許文献2】特開2002―338063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、図16に示す給紙カセットでは、トレイ本体に設けられたラック部100にストッパレバー102が嵌合して固定された状態において、最大でラック部100の1ピッチ分P1に対応する隙間S1が用紙束Pとサイドフェンス101の突き当て面104に発生しまうことがあり、この状態になると用紙束中の用紙の位置がバラついてしまう。これにより、搬送品質が不安定になるため、複写位置不良が生じるおそれがある。
【0007】
また、特許文献2のものでは、サイドフェンスと用紙束の隙間を無くすように弾性部材を介してガイド部材が設けられているも、使用者がサイドフェンスを用紙束に合わせてセットする際に、用紙束の枚数によってはどの程度に弾性部材を変形させればよいか判らないことがあり、少数枚のセット時にはトレイ上にて用紙を撓ませることになり、用紙搬送において先端折れや用紙詰まりなどが生じるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みて、用紙のセット時に、ガイド手段としてのサイドフェンスと用紙との間の隙間を無くし、給紙時のスキューを低減するようにした給紙装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、給紙する用紙を積載する給紙トレイと、該給紙トレイ上の前記用紙の用紙搬送方向と直交する幅方向にて当該用紙の側縁に接してガイドする一対のガイド手段と、該一対のガイド手段を互いに接離する方向に連動して移動する連動手段とを備えた給紙装置において、前記ガイド手段のうち一方のガイド手段は第一ガイド部材と、第二ガイド部材との2部材を含み、前記第一ガイド部材及び前記第二ガイド部材には前記用紙の側縁にそれぞれ接する第一当接面及び第二当接面が形成されるとともに、前記第一ガイド部材と前記第二ガイド部材との間には弾性部材が介在されており、前記連動手段を介して前記一対のガイド手段が前記用紙の側縁に近づくように移動され、当該ガイド手段における前記第一ガイド部材の第一当接面を、先に前記用紙の側縁に接しさせた状態において、前記弾性部材の弾性力によって前記第二ガイド部材の第二当接面が前記第一ガイド部材の第一当接面を越えて前記用紙の側縁をガイドするように突出されることを特徴としている。
【0010】
上記構成とすることにより、一対のガイド手段を連動手段により用紙の側縁に接してガイドするように移動させた際、ガイド手段の一方の第一ガイド部材における第一当接面と用紙の側縁との間に隙間が発生しても、この第一当接面を越えるように第二当接面が弾性部材で突出されるため、この第二当接面によって用紙の側縁が押されてガイドされるので、一対のガイド手段を移動させた後の隙間によって発生するスキューを防止することができる。しかも、この調整はガイド手段を移動させた後に、機械的に自動で行われるため、使用者にとって非常に操作しやすい給紙装置を提供できる。
【0011】
ここでのガイドとは用紙の側縁に突き当たる面よって、用紙搬送方向に対して用紙が送り出される際に、用紙が傾斜せずに直線的に支持された状態で案内されることであり、必ずしも用紙の側縁の全域に突き当たる面を有することではない。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の梱包装置において、前記第一ガイド部材の第一当接面は、前記用紙の用紙搬送方向の前側寄りの側縁をガイドする前側第一当接面と、後側寄りの側縁をガイドする後側第一当接面とに分けられ、前記第二ガイド部材の第二当接面は、前記前側第一当接面と後側第一当接面との間に位置して前記用紙の用紙搬送方向における中間側の側縁をガイドするものとなしたことを特徴とすることにより、上記効果に加え、第一ガイド部材によって用紙の前後側の二個所をガイドすることができる。このため第一ガイド部材の第一当接面を小さくしてもガイド機能が損なわれることはなく、しかも、用紙の中間側をガイドする第二ガイド部材の第二当接面を大きくできるためガイド機能に有利となる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の梱包装置において、前記給紙トレイには、一定のピッチで係合歯が形成されるラック部が前記幅方向に設けられ、該ラック部の係合歯と係合させるロック爪を、前記係合歯とのロック位置と前記係合歯から脱する解除位置とに移動させるロックレバーが前記第一ガイド部材の前記幅方向での外側に設けられ、一方、前記用紙の側縁から離れる方向に移動させる操作力が前記第二ガイド部材に対して加わると、前記ロックレバーが前記ロック位置の状態のとき、その状態を前記解除位置へ自由に変化可能とさせるように当該操作力に連動する作動アームを有し、該作動アームは、連動させる前記操作力が解除されると、前記ロックレバーを前記ロック位置に復帰させることを特徴とすることにより、第二ガイド部材に使用者による操作力を加えなければ、作動アームによってロックレバーのロックを解除することができないため、ロック状態が不要に解除されることがない。しかも、この操作力を加えた状態でロック解除して第一ガイド部材を用紙の側縁まで移動できるため、上記のように第一ガイド部材の第一当接面を先に用紙の側縁に接しさせることができる。さらに、この位置で操作力を解除すると弾性部材の弾性力によって突出される第二当接面でのガイド状態は、ロックレバーがロック位置への復帰することによって保持される。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の梱包装置において、前記第二ガイド部材の第二当接面が前記第一ガイド部材の第一当接面を越えて前記用紙の側縁をガイドするように突出される際、前記第二ガイド部材の第二当接面の突出寸法は、前記第一ガイド部材の第一当接面と前記用紙の側縁との間の隙間に相当する寸法であることを特徴とすることにより、第二ガイド部材の第二当接面の突出寸法が用紙の側縁との間の隙間に相当しているため、用紙に対してガイドに必要とする当接状態の押圧力を強くすることがないため、少数枚のセット時においてもトレイ上にて用紙を撓ませることはなく、用紙搬送において先端折れや用紙詰まりなどを防止できる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の梱包装置において、前記弾性部材は板ばね、コイルばね、又は発泡性のスポンジ部材であることを特徴とすることにより、安価な部材で確実に用紙の側縁をガイドすることができ、しかも、第一ガイド部材と第二ガイド部材との間のスペースも少なくてすみ、コンパクト化を図ることができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の梱包装置において、前記第二ガイド部材に前記用紙の側縁から離れる方向に移動する操作力を加えるために、凹状又は凸状の操作部が形成されることを特徴とすることにより、操作部を第二ガイド部材を移動させるための基準個所として設定すれば、常に一定方向で操作力を第二ガイド部材に加えることができ、よって操作力のバラツキによる移動不良を防止することができる。また、前記第一ガイド部材と前記第二ガイド部材との間には移動ガイド部が設けられ、該移動ガイド部は前記幅方向に沿った移動軌道と、該移動軌道を移動する移動体とから構成し、前記第一ガイド部材には前記移動ガイド部の移動軌道若しくは移動体の何れか一方が設けられ、前記第二ガイド部材には移動軌道若しくは移動体の何れか他方が設けられ、前記操作部と前記移動ガイド部との位置関係を、積載される前記用紙の積載高さ方向において前記操作部に加わる前記操作力によって前記第二ガイド部材が傾斜状に変位しない位置とされることを特徴とすることにより、操作部に必要な操作力が加わっても、その操作力の方向を第二ガイド部材の移動方向に沿わせているため、第二ガイド部材の移動がスムーズに行え、操作性が良好となる給紙装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る給紙装置を設けた画像形成装置の概要図。
【図2】画像形成装置から給紙装置を引き出した状態の概要図。
【図3】給紙装置の概略平面図。
【図4】給紙装置の要部を示す概略平面図。
【図5】第一ガイド部材の一部を示す部分図。
【図6】第一ガイド部材の概略平面図。
【図7】第一ガイド部材の概略側面図。
【図8】弾性部材を板ばねとした概略平面図。
【図9】弾性部材をコイルばねとした概略平面図。
【図10】弾性部材をスポンジ部材とした概略平面図。
【図11】第一ガイド部材に設けたロック機構の概略側面図。
【図12】ロック機構の概略平面図。
【図13】ロックレバーと作動アームの作動状態を示す図。
【図14】給紙装置による用紙セットの操作工程を示す図。
【図15】第一当接面と用紙束との隙間を示す図。
【図16】背景技術のサイドフェンスの位置決め構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る給紙装置を備える画像形成装置の概要図である。図2は図1の給紙装置が引き出された状態の概要図である。図1、図2において、画像形成装置CPは、装置本体CP1の前面側には給紙装置1が装着される給紙トレイ装着部CP2が設けられており、本例では三段の給紙装置1が配設されている。この給紙トレイ装着部CP2の給紙装置1は、引出方向Yの本体前方から出し入れ可能に設けられるフロントローディングタイプの例である。
【0019】
まず、給紙装置1の基本形態は、図3に示すように、上方が開放形成された箱状の給紙トレイ2の底板側3に給紙する複数枚の用紙Wを束状にした用紙束WAを積載し、画像形成装置CPの画像形成部CP3(図1参照)に用紙Wを送るための図示しない給紙ローラによって一枚ごとピックアップされて送られる。
【0020】
この給紙トレイ2には、用紙Wの用紙搬送方向Tの後端の位置を規制するエンドプレート2aがスライド自在及び任意位置固定自在に設けられている。また、用紙搬送方向Tと直交する幅方向Xには、当該用紙Wの側縁W1をガイドする一対のガイド手段4が設けられている。ここでのガイドとは用紙Wの側縁W1に突き当たる面よって、用紙搬送方向Tに対して用紙Wが送り出される際に、用紙Wが傾斜せずに直線的に支持された状態となして搬送案内されることであり、必ずしも用紙Wの側縁W1の全域に突き当たる面を有することを意味するものではなく、一つの給紙トレイ1で複数の規格された定型の用紙Wの大きさに対応するためでもある。
【0021】
一対のガイド手段4の具体例としては、用紙Wの一方の側縁W1をガイドする第一サイドフェンス5と、他方の側縁W1をガイドする第二サイドフェンス6を備えている。この第一サイドフェンス5及び第二サイドフェンス6は用紙Wの側縁W1をガイドする面を垂直面となして形成される。この両側の第一サイドフェンス5及び第二サイドフェンス6は、互いに接離する方向(幅方向Xでもある)に連動してスライド式に移動するようにした連動手段7を備えている。
【0022】
この連動手段7はラックギヤ8、9とピニオンギヤ10から構成され、ラックギヤ8、9は両側の第一サイドフェンス5及び第二サイドフェンス6にそれぞれ連結されている。このラックギヤ8、9、は相対する方向に延出され、ラックギヤ8に形成される鋸歯状の噛合歯8aと、ラックギヤ9に形成される鋸歯状の噛合歯9aを互いに向き合わせ、この両者の噛合歯8a、9aにピニオンギヤ10を噛合させている。そして、一対のガイド手段4の第一サイドフェンス5及び第二サイドフェンス6の何れか一方に用紙Wの幅方向Xに対する操作力を与えると、他方もこれと連動してスライド移動することとなる。
【0023】
そして、図4に示すように、このガイド手段4としての第一サイドフェンス5及び第二サイドフェンス6のうち一方、本例では第一サイドフェンス5(または第二サイドフェンス6)を2部材となしている。この第一サイドフェンス5の2部材としては、第一ガイド部材11と、第二ガイド部材12を主要な構成部材としている。
【0024】
第一ガイド部材11及び第二ガイド部材12には用紙Wの側縁W1を、それぞれガイドする第一当接面11a及び第二当接面12aが形成されるとともに、第一ガイド部材11と第二ガイド部材12との間には弾性部材13が介在されている。
【0025】
前者の第一ガイド部材11の具体的形態としては、用紙Wの側縁W1に対向させた垂直板部14において、用紙搬送方向Tにおける両端から用紙W側に延出されるように一対のガイド板部15を形成することにより全体形状を平面視コ字状となしている。
【0026】
このガイド板部15の先端平面を第一当接面11aとなし、図5に示すように、給紙トレイ2の底板側3に積載される最大枚数の用紙Wの側縁W1をガイドするように、所定の高さ寸法で底板側3から垂直に立ち上がり形成される面となる。そして、図4に示すように第一ガイド部材11の第一当接面11aは、用紙Wの用紙搬送方向Tの前側(下流側)寄りの側縁W1をガイドする前側第一当接面11a1と、後側(上流側)寄りの側縁W1をガイドする後側第一当接面11a2とに分けられることとなる。
【0027】
後者の第二ガイド部材12は、第一ガイド部材11の一対のガイド板部15の間に配設される板状の垂直面板16からなり、該垂直面板16の用紙Wの側縁W1に対向する面を第二当接面12aとなしている。この第二当接面12aは、前側第一当接面11a1と後側第一当接面11a2との間に位置して用紙Wの用紙搬送方向Tにおける中間側の側縁W1をガイドするものとなしている。
【0028】
また、図6、図7に示すように第二ガイド部材12は、第一ガイド部材11に移動ガイド部17を介して幅方向Xにスライド移動自在に設けられている。この移動ガイド部17は幅方向Xに沿った移動軌道17aと、該移動軌道17aを移動する移動体17bとから構成している。具体的には、第一ガイド部材11には移動ガイド部17の移動軌道17a若しくは移動体17bの何れか一方が設けられ、第二ガイド部材12には移動軌道17a若しくは移動体17bの何れか他方が設けられている。
【0029】
また、第二ガイド部材12を弾性部材13の弾性力に抗して第一ガイド部材11に近づく方向、換言すれば用紙Wの側縁W1から離れる方向に移動する操作力を加えるために、凹状又は凸状の操作部18が第二ガイド部材12に設けられる。この操作部18は、垂直面板16における第二当接面12aで用紙Wをガイドする状態に実質的に影響しない個所としての上部側に形成している。
【0030】
また、操作部18と移動ガイド部17との位置関係を、積載される用紙Wの積載高さ方向において、操作部18に加わる操作力によって第二ガイド部材12が傾斜状に変位しない位置とされるように、本例では操作部18が第二ガイド部材12の上部側に設けられることに対応して略同じ高さに移動ガイド部17を配設している。
【0031】
また、一対のガイド手段4における第一ガイド部材11と第二ガイド部材12との間に介在される弾性部材13の基本機能は、第二ガイド部材12の第二当接面12aが第一ガイド部材11の第一当接面11aを越えて用紙Wの側縁W1に当接させるようにする付勢機能を有している。すなわち、後述するように第一ガイド部材11の第一当接面11aを、先に用紙Wの側縁W1に当接させた状態(図14(c)参照)において、第二ガイド部材12の第二当接面12aを、第一ガイド部材11の第一当接面11aを越えて用紙Wの側縁W1をガイドするように突出(図14(d)参照)させるようにしている。
【0032】
この弾性部材13としては、図8に示すように、山形状に形成した板ばね13aを使用したり、また、図9に示すように、コイルばね13bを使用したり、また、図10に示すように、発泡性のスポンジ部材13cを使用することができる。
【0033】
また、第一ガイド部材11には、図11、図12に示すように、ロック機構19が連繋されている。該ロック機構19は、ラック部20と、ロックレバー21と、作動アーム22とによって主に構成されている。
【0034】
ラック部20は一定のピッチで断面略三角状の係合歯20aが形成される。このラック部20は、給紙トレイ2の底板側3に幅方向Xにそって設けられる。また、ロックレバー21は、ラック部20の係合歯20aと係合させるロック爪21aを有している。ロックレバー21はロック爪21aを、係合歯20aとのロック位置と、係合歯20aから脱する解除位置とに移動させるものである。
【0035】
このロックレバー21は、第一ガイド部材11の下方から幅方向Xの外側に向かって延出される水平板片21bの先端から連続して垂直に立設される操作板片21cを有している。また、第一ガイド部材11と接続されるロックレバー21の水平板片21bの基端側を回動軸心として所定角度回動自在に設けられている。そして、この水平板片21bの下面には、ロック爪21aが形成される。このロックレバー21の操作板片21cに加わる操作力によって、ロック爪21aを係合歯20aとのロック位置と、係合歯20aから脱する解除位置とに移動させる。
【0036】
また、用紙Wの側縁W1から離れる方向に移動させる操作力が第二ガイド部材12に対して加わると、ロックレバー21がロック位置の状態のとき、その状態を解除位置へ自由に変化可能とさせるように当該操作力に連動する作動アーム22を有している。この作動アーム22は、連動させる操作力が解除されると、ロックレバー21をロック位置に復帰させるようにしている。
【0037】
この作動アーム22の具体例としては、用紙搬送方向Tにそって第一ガイド部材11のガイド板部15間にわたって設けられる支持軸23の回りに回動自在に装着される。作動アーム22は、全体形状をL型状となしており、この支持軸23を基点としてロックレバー21側に延出されるレバー当接腕部22aと、第二ガイド部材12の裏面側に当接されるようにガイド当接腕部22bを有している。
【0038】
そして、このガイド当接腕部22bを常に第二ガイド部材12の裏面に当接させるように、圧縮スプリング24がガイド当接腕部22bと第一ガイド部材11の垂直板部14との間に介装されている。また、レバー当接腕部22aが当接する腕受部21dがロックレバー21に設けられており、作動アーム22が第二ガイド部材12に加わる操作力によって圧縮スプリング24の弾性力に抗して回動変位すると、レバー当接腕部22aの先端側が腕受部21dから離(図13参照)れることにより、ロックレバー21が解除位置へ自由に変化可能となる。
【0039】
また、これとは反対に第二ガイド部材12に加わる操作力が解除される状態では、圧縮スプリング24の弾性力によって作動アーム22が回動変位し、この回動方向がレバー当接腕部22aを腕受部21dに近づけて接しさせる方向であるため、レバー当接腕部22aの先端側が腕受部21dの端面21d1に当接し、ロックレバー21がロック状態で保持されることとなる。また、図13に示すように、腕受部21dにレバー当接腕部22aの先端側を誘導して腕受部21dの端面21d1に当接させる誘導面21d2を形成している。これによってレバー当接腕部22aの先端側がロックレバー21の腕受部21dの端面21d1にスムーズに当接できることとなる。
【0040】
本発明の給紙装置1による用紙Wのセットとしては、図14に示すように、先ず、ロック機構19のロックレバー21のロック爪21aをラック部20の係合歯20aから離脱させるようにしてロックを解除させる。
【0041】
このロック機構19のロック解除操作としては、かかるロック解除する前のロック状態は、図14(a)に示すように、第二ガイド部材12の第二当接面12aが弾性部材13の弾性力によって、第一ガイド部材11の第一当接面11aから突出されている状態であり、かつ、作動アーム22も圧縮スプリング24の弾性力によって、ガイド当接腕部22bの先端が第二ガイド部材12の裏面側に当接されるとともに、レバー当接腕部22aの先端がロックレバー21の腕受部21dの端面21d1に当接されている。そして、このロック状態に対して、第二ガイド部材12の操作部18とロックレバー21との間の間隔を狭くするように使用者の手Hで摘むようにする操作を行う。
【0042】
この操作によって、第二ガイド部材12の操作部18を摘んだ際の操作力が矢印F方向に加わることとなり、図14(b)に示すように、第二ガイド部材12で作動アーム22のガイド当接腕部22bを押すこととなる。この結果、作動アーム22は支持軸23の回りで回動することとなる。これによって、作動アーム22のレバー当接腕部22aの先端がロックレバー21の腕受部21dの端面21d1から外れる。この状態になると、ロックレバー21がロックの解除位置へ自由に変化可能となると同時に、このロックレバー21にも摘むことによる操作力が加わっているため、ロックレバー21のロック爪21aがラック部20の係合歯20aから離脱してロックが解除される状態となる。
【0043】
さらに、第二ガイド部材12においては、その第二当接面12aが第一ガイド部材11の第一当接面11aから突出されている状態ではなくなり、第一当接面11aから没した状態となる。
【0044】
そして、この操作状態で第一ガイド部材11と第二ガイド部材12を含む第一サイドフェンス5を、他方の第二サイドフェンス6に接近するように操作すると、連動手段7(図3参照)を介して一対のガイド手段4が用紙Wの側縁W1に近づくように移動される。
【0045】
このように、用紙Wの側縁W1にガイド手段4の第一サイドフェンス5が近づくように移動させ、図14(c)に示すように、この第一サイドフェンス5の第一ガイド部材11の第一当接面11aを用紙Wの側縁W1に当接するまで移動させる。
【0046】
この状態において、例えば図15に示すように、積載されている複数枚の用紙Wから構成される用紙束WAの側面WA1が垂直面ではなく、傾斜面となっていると、その傾斜面と第一ガイド部材11の第一当接面11aとの間に隙間Sが発生する場合がある。
【0047】
この状態で使用者の手Hによる操作力を解除することにより、ロックレバー21が支持軸23回りに回動し、ラック部20の係合歯20aにロック爪21aが嵌り込む状態となると、作動アーム22に加わっている操作力も同時に解除されるため、圧縮スプリング24の弾性力によって作動アーム22のレバー当接腕部22aの先端が誘導面21d2を移動しながらロックレバー21の腕受部21dの端面21d1に当接することとなるため、ロック機構19がロック状態(図11参照)となる。
【0048】
このロック状態となった第一サイドフェンス5においては、弾性部材13の弾性力に抗して没していた第二ガイド部材12がその弾性力によって付勢される。この状態は、図14(d)に示すように、第二ガイド部材12の第二当接面12aが第一ガイド部材11の第一当接面11aを越えて用紙Wの側縁W1をさらに押圧するように突出されることとなり、積層されている用紙束WA中の用紙Wの位置を矯正して隙間Sを無くすことができることにより、用紙Wの側縁W1を第二ガイド部材12の第二当接面12aで確実にガイドすることができ、スキュー防止を図ることで有益となる。
【0049】
また、ロックレバー21のロック爪21aがラック部20の係合歯20aに嵌り込んだ状態でロックされる位置が用紙Wの幅方向Xの寸法との関係で、この時の付勢による第二ガイド部材12の第二当接面12aの突出寸法は、第一ガイド部材11の第一当接面11aと前記用紙Wの側縁W1との間の隙間Sに相当する寸法としたり、ラック部20の係合歯20aの1ピッチ分を最大寸法となるようにその突出寸法を設定することもできる。
【0050】
また、用紙セットの操作時には、使用者の手Hで押圧操作させる第二ガイド部材12の操作部18に対して、図7に示すように、同じ高さ位置に移動ガイド部17が設けられているから、第二ガイド部材12がその移動方向に斜行することもなく、スムーズな移動が可能となる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 給紙装置
2 給紙トレイ
4 ガイド手段
7 連動手段
11 第一ガイド部材
11a 第一当接面
12 第二ガイド部材
12a 第二当接面
13 弾性部材
13a 板ばね
13b コイルばね
13c スポンジ部材
17 移動ガイド部
17a 移動軌道
17b 移動体
18 操作部
21 ロックレバー
21a ロック爪
22 作動アーム
W 用紙
W1 側縁
T 用紙搬送方向
X 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙する用紙を積載する給紙トレイと、
該給紙トレイ上の前記用紙の用紙搬送方向と直交する幅方向にて当該用紙の側縁に接してガイドする一対のガイド手段と、
該一対のガイド手段を互いに接離する方向に連動して移動する連動手段とを備えた給紙装置において、
前記ガイド手段のうち一方のガイド手段は第一ガイド部材と、第二ガイド部材との2部材を含み、
前記第一ガイド部材及び前記第二ガイド部材には前記用紙の側縁にそれぞれ接する第一当接面及び第二当接面が形成されるとともに、前記第一ガイド部材と前記第二ガイド部材との間には弾性部材が介在されており、
前記連動手段を介して前記一対のガイド手段が前記用紙の側縁に近づくように移動され、当該ガイド手段における前記第一ガイド部材の第一当接面を、先に前記用紙の側縁に接しさせた状態において、前記弾性部材の弾性力によって前記第二ガイド部材の第二当接面が前記第一ガイド部材の第一当接面を越えて前記用紙の側縁をガイドするように突出されることを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記第一ガイド部材の第一当接面は、前記用紙の用紙搬送方向の前側寄りの側縁をガイドする前側第一当接面と、後側寄りの側縁をガイドする後側第一当接面とに分けられ、
前記第二ガイド部材の第二当接面は、前記前側第一当接面と後側第一当接面との間に位置して前記用紙の用紙搬送方向における中間側の側縁をガイドするものとなしたことを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記給紙トレイには、一定のピッチで係合歯が形成されるラック部が前記幅方向に設けられ、該ラック部の係合歯と係合させるロック爪を、前記係合歯とのロック位置と前記係合歯から脱する解除位置とに移動させるロックレバーが前記第一ガイド部材の前記幅方向での外側に設けられ、
一方、前記用紙の側縁から離れる方向に移動させる操作力が前記第二ガイド部材に対して加わると、前記ロックレバーが前記ロック位置の状態のとき、その状態を前記解除位置へ自由に変化可能とさせるように当該操作力に連動する作動アームを有し、該作動アームは、連動させる前記操作力が解除されると、前記ロックレバーを前記ロック位置に復帰させることを特徴とする請求項1又は2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記第二ガイド部材の第二当接面が前記第一ガイド部材の第一当接面を越えて前記用紙の側縁をガイドするように突出される際、前記第二ガイド部材の第二当接面の突出寸法は、前記第一ガイド部材の第一当接面と前記用紙の側縁との間の隙間に相当する寸法であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記弾性部材は板ばねであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記弾性部材はコイルばねであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記弾性部材は発泡性のスポンジ部材であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項8】
前記第二ガイド部材に前記用紙の側縁から離れる方向に移動する操作力を加えるために、凹状又は凸状の操作部が形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項9】
前記第一ガイド部材と前記第二ガイド部材との間には移動ガイド部が設けられ、該移動ガイド部は前記幅方向に沿った移動軌道と、該移動軌道を移動する移動体とから構成し、前記第一ガイド部材には前記移動ガイド部の移動軌道若しくは移動体の何れか一方が設けられ、前記第二ガイド部材には移動軌道若しくは移動体の何れか他方が設けられ、前記操作部と前記移動ガイド部との位置関係を、積載される前記用紙の積載高さ方向において前記操作部に加わる前記操作力によって前記第二ガイド部材が傾斜状に変位しない位置とされることを特徴とする請求項8に記載の給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−51757(P2011−51757A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203741(P2009−203741)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】