説明

給電用コネクタ連結装置

【課題】
様々な車両のドアパネルに搭載可能にすることにより車両の設計の自由度を向上させることができ、更に防水性にも優れた給電用コネクタ連結装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
給電用コネクタ連結装置100は、外部接続されたコネクタ部6と、コネクタ部6に電気的に接続されたアクチュエータ部10とを有し、コネクタ部6は、アクチュエータ部10に対してフレキシブル配線11により回動自在に構成したことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両のドアパネルに取り付けるドアロック装置に設けられたアクチュエータ部を作動させるための給電用コネクタ連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る背景技術としては、後述の特許文献1,2に記載のものが公知となっている。
【0003】
特許文献1によれば、ハウジングの外部からの駆動モータへの電気信号の入力、あるいは検出手段からハウジングの外部への電気信号の出力を行うためのコネクタを有しており、このコネクタは、ハウジングの外部に表出しており、ハウジングの外側からインナーパネルを介して外部コネクタが接続される構成となっている。
【0004】
また、特許文献2によれば、コネクタの両側から外向きに突設された軸部が一対の支持板の軸孔に嵌め入れられてコネクタが約180度の方向へ回転可能に取り付けられ、このコネクタ本体の下部の略半円状の底部の外面に沿って取り付けられた接点板がバネ状の接点端子の一端に常時接触されるように構成され、接点端子の他端は基盤のパターンに半田付けされる端子部を備え、コネクタ本体が約180度方向のどの方向に向けてもコードの先端のコネクタを差込み接続可能とする構成となっている。
【特許文献1】特開2004−113374号公報(5頁、図4等)
【特許文献2】実用新案登録第3091615号(9頁、図1,4等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に示されるような従来技術のように給電用コネクタ連結装置を構成すると、車両に搭載する際に、インナーパネルに形成するコネクタを挿通させるための孔部の位置に制約を受けてしまうため、結果として設計の自由度を下げてしまう恐れがある。
【0006】
また、上記特許文献2に示されるような従来技術のように給電用コネクタ連結装置を構成すると、接点板とバネ状の接点端子の導通となっているため、外部から水が浸入する可能性のあるような環境下では、接点板や接点端子が浸入してきた水により錆びてしまい、導通不良等が発生してしまう恐れがある。
【0007】
このため本発明は、様々な車両のドアパネルに搭載可能にすることにより車両の設計の自由度を向上させることができ、更に防水性にも優れた給電用コネクタ連結装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明にて講じた第1の技術的手段は、車両用ドアロック装置に接続されて給電を行う給電用コネクタ連結装置であって、前記給電用コネクタ連結装置は、外部接続されたコネクタ部と、前記コネクタ部に電気的に接続されたアクチュエータ部と、を有し、前記コネクタ部は、前記アクチュエータ部に対してフレキシブル配線により回動自在であることを特徴とする。
【0009】
この場合、前記コネクタ部かアクチュエータ部のいずれか一方に凸部を設け、他方に前記凸部を設け、前記凸部に前記凹部が嵌着することにより前記アクチュエータ部に対する前記コネクタ部の角度が固定可能に構成すると良い。
【0010】
また、前記フレキシブル配線は、防水性を有した樹脂で被覆されているように構成すると良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コネクタ部は、アクチュエータ部に対してフレキシブル配線により回動自在となるように構成したので、設計の自由度を向上させることができる給電用コネクタ連結装置を提供することができる。
【0012】
さらに、コネクタ部かアクチュエータ部のいずれか一方に凸部を、他方に凹部を設け、凸部に凹部が嵌着することによりアクチュエータ部に対するコネクタ部の角度を固定可能とすることができる。したがって、更に設計の自由度を向上させることができる給電用コネクタ連結装置を提供することができる。
【0013】
望ましくは、フレキシブル配線は、防水性を有した樹脂で被覆するようにすれば、防水性を向上させることができる。したがって、品質の高い給電用コネクタ連結装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施例を図面により説明すると、図1は、実施例の給電用コネクタ連結装置100を搭載した車両1の側面模式図を示す。2は蝶番(不図示)を中心にスイングして開閉するように車両1に取り付けられたドアである。3はドア2と車両1の室内との間に設けられた図2に示すドアパネル200に取り付けるドアロック装置であり、車両1側に固定したストライカ(不図示)に対して係合および離脱する。4は車両1側に設けた給電部で、給電部4は車両1に搭載したバッテリー5に接続される。
【0015】
6は給電部4に電気的に接続されたコネクタ部であり、コネクタ部6はドアロック装置5と電気的に接続される。コネクタ部6は、給電部4から供給されるバッテリー5の電力をドアロック装置3に供給する。7は閉鎖状態のドア2を開作動させるためのアウトサイドハンドルである。
【0016】
図2に示すようにドアロック装置3は、ドア2を車両1に対して閉鎖保持する従来技術と同等のラッチ機構500と、閉鎖されたドア2の開作動を許容もしくは禁止するための従来技術と同等のロック機構600と、ロック機構600を作動させるためのアクチュエータ部10とから構成されている。
【0017】
図3,4に示すようにアクチュエータ部10は、ロック機構600を作動させる作動部(不図示)と、作動部に一端を電気的に接続された可撓性を有するフレキシブル配線11と、それらを内部に収容する樹脂製のカバー12とから構成されている。
【0018】
図5(a)に示すようにカバー12は、後述するコネクタ部6の接続部6dに設けられた凸部6da1,6db1に嵌着する凹部12a,12bを備えている。
【0019】
フレキシブル配線11は、外部からの入力信号やバッテリー5からの電力を受ける配線やアクチュエータ部10からの信号を出力するための配線を防水性を有した樹脂部材11aにより被覆し、1つの配線としてまとめたものである。また、フレキシブル配線11の他端は、給電部4と電気的に接続される。
【0020】
図6に示すようにコネクタ部6は、フレキシブル配線11の他端の端子部11bが嵌入されて取り付けられる取付面6bと、給電部4を挿入可能な一端を開口させた開口部6cとを有した直方体形状の筒状部6aと、他端に一体形成されたアクチュエータ部10と相対回動可能に接続される接続部6dとから構成されている。
【0021】
接続部6dは、図5(b)に示すようにアクチュエータ部10方向へ延びるアーム部6da,6dbを有している。アーム部6da,6dbは、カバー12の凹部12a,12bにそれぞれ嵌着する凸部6da1,6db1を有している。凹部12a,12bと凸部6da1,6db1との嵌着により接続部6dは、カバー12つまりアクチュエータ部10に対して回動可能に接続されている。
【0022】
また、接続部6dの先端部には、係合凸部6dc,6dd(凸部)が設けられ、カバー12は、アクチュエータ部10に対してコネクタ部6の相対角度が90度となる位置に位置決めされ、固定保持できるようにするために係合凸部6dc,6ddが嵌着する係合凹部12c,12d(凹部)が設けられている。
【0023】
開口部6cには、バッテリー5に接続された給電部4が挿入され、給電部4は開口部6c側へ突出したフレキシブル配線11の端子部11bに電気的に接続される。
【0024】
ここで、本実施例の給電用コネクタ連結装置100のコネクタ部6をドアパネル200に挿通させて車両1の室内側に、アクチュエータ部10をドアパネル200とドア2の間に設置した場合は、図2に示すように、コネクタ部6をその回転中心である凸部6da1,6db1を中心として90度回動させる。これにより、係合凸部6dc,6ddが係合凹部12cに嵌着され、コネクタ部6は、アクチュエータ部10に対して固定保持できる。この状態で、車両1に給電用コネクタ連結装置100を取り付ければ良い。また、逆側のドア2に取り付ける場合には、同様にしてコネクタ部6を凸部6da1,6db1を中心に回動させ、係合凸部6dc,6ddを係合凹部12dに嵌着させることにより、コネクタ部6は、アクチュエータ部10に対して固定保持できる。この状態で、車両1に給電用コネクタ連結装置100を取り付ければ良い。なお、フレキシブル配線11については、コネクタ部6の回動により図4のように90度折れ曲がるが、フレキシブル配線11は、前述の通り可撓性を有する部材で形成されているため、フレキシブル配線11が断線してしまう恐れはない。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、コネクタ部6は、アクチュエータ部10に対してフレキシブル配線11により回動自在となるように構成したので、車両1の設計の自由度を向上させることができる給電用コネクタ連結装置100を提供することができる。
【0026】
さらに、コネクタ部6かアクチュエータ部10のいずれか一方に係合凸部を、他方に係合凹部を設け、係合凸部に係合凹部が嵌着することによりアクチュエータ部10に対するコネクタ部6の角度を固定可能とすることができる。したがって、更に車両1の設計の自由度を向上させることができる給電用コネクタ連結装置100を提供することができる。
【0027】
望ましくは、フレキシブル配線11は、防水性を有した樹脂で被覆するようにすれば、防水性を向上させることができる。したがって、品質の高い給電用コネクタ連結装置100とすることができる。好ましくは、フレキシブル配線11は、具体的にはフッ素ポリマーコーティングされていると望ましい。
【0028】
また、本実施例では凸部6da1,6db1と係合凸部6dc,6ddを接続部6dに、凹部12a,12bと係合凹部12c,12dをカバー12に設置した場合について説明したが本発明はこれだけに限らず凸部と凹部または係合凸部と係合凹部の設置関係を逆にしても本発明の作用・効果を達成することができるのは言うまでもない。
【0029】
また、本発明では、アクチュエータ部10を別体で形成したドアロック装置3の説明をしたが、アクチュエータ部を一体的に構成したドアロック装置においても本実施例の給電用コネクタ連結装置100を設置することが可能である。
【0030】
また、コネクタ部とアクチュエータ部との間に蛇腹状で防水性のある防水ブーツを設けることで更なる防水性を図っても良い。
【0031】
また、本実施例では、コネクタ部6をその回転中心である凸部6da1,6db1を中心として90度回動させた例を説明したが、本発明は、これに限らず、コネクタ部の回転中心である凸部が係合する係合凹部の配置位置を調整することにより、様々な車両のドアパネルに応じて適宜角度を変更することができる。
【0032】
以上、本発明を上記実施の態様に則して説明したが、本発明は上記態様にのみ限定されるものではなく、本発明の原理に準ずる各種態様を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る給電用コネクタ連結装置を車両に取り付けた側面模式図を示す。
【図2】本発明に係る給電用コネクタ連結装置をドアパネルに配置した時の平面図を示す。
【図3】本発明に係る給電用コネクタ連結装置の斜視図を示す。
【図4】本発明に係る給電用コネクタ連結装置の要部模式図を示す。
【図5】図2におけるA領域の拡大図を示す。
【図6】図4におけるB領域の拡大図を示す。
【符号の説明】
【0034】
1 車両
5 ドアロック装置
6 コネクタ部
6dc,6dd 係合凸部(凸部)
10 アクチュエータ部
11 フレキシブル配線
12c,12d 係合凹部(凹部)
100 給電用コネクタ連結装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ドアロック装置に接続されて給電を行う給電用コネクタ連結装置であって、
前記給電用コネクタ連結装置は、
外部接続されたコネクタ部と、
前記コネクタ部に電気的に接続されたアクチュエータ部と、
を有し、
前記コネクタ部は、前記アクチュエータ部に対してフレキシブル配線により回動自在である給電用コネクタ連結装置。
【請求項2】
前記コネクタ部かアクチュエータ部のいずれか一方に凸部を設け、
他方に前記凹部を設け、
前記凸部に前記凹部が嵌着することにより前記アクチュエータ部に対する前記コネクタ部の角度が固定可能である請求項1に記載の給電用コネクタ連結装置。
【請求項3】
前記フレキシブル配線は、防水性を有した樹脂部材に被覆されている請求項1に記載の給電用コネクタ連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−251467(P2008−251467A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94183(P2007−94183)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【Fターム(参考)】