説明

網場係留保護シート及びそれを用いた網場引き上げ方法

【解決手段】網場係留保護シートAは、網場Bの端部bを覆うことができる長尺状であって、少なくとも表裏の素材1、1を有している。長尺状のこれら素材1、1の長手方向の上下両端に、ファスナー2、2が取り付けられている。長尺状の素材1、1の左右両端に、絞り込み用のロープ3、3が備えられている。
【効果】ダム湖Dに設置されている網場Bの端部bを、この網場係留保護シートAで覆い(胴巻き状態とし)、ファスナー2、2をそれぞれ閉じることにより、網場Bの端部bを表裏の素材1、1の中に納めることができる。したがって、法面C上において網場Bの端部bを引き上げても、網場Bの端部bが法面C付近にある切り株や岩、小石その他のものに引っ掛かることがなく、網場Bの端部bをスムーズに、しかも軽い力で引き上げることができる。網場Bの端部bの一方の端末dを、絞り込み用のロープ3で絞り込むと良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダム、湖、貯水池、河川その他様々な所に網場を設置するに当って、網場の端部を引き上げる際に用いる保護シートと、この保護シートを用いて網場を引き上げる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダム、湖、貯水池、河川その他様々な所において、湖面や水面に滞留した流木や塵芥を集めるために、あるいは、ダムの取水口に流木や塵芥が流れ込むのを防止するために、流木止め設備が提案され(例えば、特許文献1参照)、実際に現場に設置されている。
【0003】
また、流木止めだけでなく、水質の浄化、水面の緑化をも行い得るものも提案され(例えば、特許文献2参照)、実際に現場に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−184057号公報
【0005】
【特許文献2】特開平10−110424号公報
【0006】
これらの流木止め設備は面積の大きなネットからなる網場を備えており、大きく拡げたこの網場を用いることにより、湖面や水面に滞留した流木や塵芥を集めることができ、あるいは、ダムの取水口に流木や塵芥が流れ込むのを防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、図5に示すダム湖D’を例に挙げてこの網場の設置工事について説明すると、法面C’上において網場B’の端部b’を引き上げると、網場B’が切り株や岩、小石その他のものに引っ掛かるので、極めて引き上げにくいのみならず、相当の力を要する。そして、網場B’は大きくて、しかも、その長さは連続するものであるから、これをダム湖D’の法面C’上において引き上げるのは、極めて重労働である。
【0008】
また、法面C’上を無理して引き上げると、網場B’のうち少なくとも法面C’と擦れた部分が損傷することになる。この損傷を少しでも防止するために、法面C’全面をシートで覆うと、当該シートを被せる労力と時間は計り知れない。さらに、法面C’を覆ったシートも損傷しやすいこともあって、それを転用することができない。
【0009】
このように、従来行われて来た網場設置工事にあっては、網場B’そのものに対しても、また、その引き上げ方法の面においても様々な問題があった。しかしながら、好ましい解決策は全く提案されていない。
【0010】
本発明は、これらの欠点を解消するために、法面上において引き上げる網場の端部を保護することができる保護シートを開発した。また、網場設置工事において、この保護シートを網場の端部に被せることにより、網場設置工事における上記欠点を解消することができるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明による網場係留保護シートは、網場の端部を覆うことができる長尺状であって、少なくとも表裏の素材を有しており、長尺状のこれら素材の長手方向の少なくとも一端にファスナーが取り付けられていることを特徴とするものである。
この網場係留保護シートを用いると、設置されている網場の端部をこの網場係留保護シートで覆い、前記ファスナーを閉じることにより、網場の端部を少なくとも表裏の素材の中に納めることができる。したがって、法面上において網場の端部を引き上げても、網場の端部が法面付近にある切り株や岩、小石その他のものに引っ掛かることがなく、網場の端部をスムーズに、しかも軽い力で引き上げることができる。また、前記ファスナーを利用することで、網場の端部をこの網場係留保護シートで覆いやすい。さらに、設置後の網場の端部からこの網場係留保護シートを外しやすい。
【0012】
長尺状の素材の長手方向のもう一方の端部にも、ファスナーが取り付けられていることが望ましい。
この網場係留保護シートを用いると、長尺状の素材の長手方向の両側に取り付けられているファスナーをそれぞれ開けた状態で、設置されている網場の端部をこの網場係留保護シートで覆い、両ファスナーを閉じることにより、網場の端部を少なくとも表裏の素材の中に納めることができる。したがって、網場の端部を少なくとも表裏の素材の中に納める作業を、素早くかつ確実に行うことができる。また、2つのファスナーを利用することで、網場の端部をこの網場係留保護シートで覆いやすい。さらに、設置後の網場の端部からこの網場係留保護シートを外しやすい。
【0013】
長尺状の表裏の素材の左右両端のうちの少なくとも一方に、絞り込み用のロープが取り付けられていることが望ましい。
この網場係留保護シートを用いると、網場の端部の端末を絞り込み用のロープで絞ることができる。したがって、網場の端部を引き上げやすいのみならず、網場の端部が法面に一層触れないようにすることができる。
【0014】
長尺状の表裏の素材の左右両端のうちのもう一方の端部にも、絞り込み用のロープが取り付けられていることが望ましい。
この網場係留保護シートを用いると、網場の端部の端末のみならず、その途中のいずれかの部分も絞ることができる。したがって、網場の端部の嵩をできるだけ小さくしてスムーズに、しかも、より軽い力で引き上げることができる。
【0015】
表裏の素材が合成樹脂製の帆布であることが望ましい。合成樹脂製の帆布からなる網場係留保護シートは強度的にも優れているので、網場の端部を保護する効果が増大する。
【0016】
また、本発明による網場引き上げ方法は、設置された網場の端部を上述したいずれかの網場係留保護シートで覆い、この網場係留保護シートで覆われた網場の端部を、設置場所の法面上において引き上げることを特徴とするものである。
この引き上げ方法を採用すると、網場の端部が法面付近にある切り株や岩、小石その他のものに引っ掛かることがなく、網場の端部をスムーズに、しかも軽い力で引き上げることができる。また、網場設置工事の能率が大幅に上がる。
【0017】
網場係留保護シートの絞り込み用のロープで、網場の端部の端末を絞った状態で引き上げることが望ましい。
この引き上げ方法を採用すると、網場の端部の端末を絞り込み用のロープで絞った状態で引き上げることができるので、網場の端部を引き上げやすいのみならず、網場の端部が法面に一層触れないようにすることができる。
【0018】
網場係留保護シートのもう一方の絞り込み用のロープで、網場の端部の途中も絞った状態で引き上げることが望ましい。
この引き上げ方法を採用すると、網場の端部の端末のみならず、その途中のいずれかの部分も絞った状態で引き上げることができるので、網場の端部の嵩をできるだけ小さくしてよりスムーズに引き上げることができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、設置されている網場の端部をこの網場係留保護シートで覆った上で、前記ファスナーを閉じることにより、網場の端部を少なくとも表裏の素材の中に納めることができるので、網場の端部を法面上で引き上げても、網場の端部が法面付近にある切り株や岩、小石その他のものに引っ掛かることがなく、網場の端部をスムーズに、しかも軽い力で引き上げることができる。また、前記ファスナーを利用することで、網場の端部をこの網場係留保護シートで覆いやすい。さらに、設置後の網場の端部からこの網場係留保護シートを外しやすい。ファスナーを開閉することにより、網場係留保護シートを繰り返し使用できる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、長尺状の素材の長手方向の両側に取り付けられているファスナーをそれぞれ開けた状態で、設置されている網場の端部をこの網場係留保護シートで覆い、両ファスナーを閉じることにより、網場の端部を少なくとも表裏の素材の中に納めることができるので、網場の端部を少なくとも表裏の素材の中に納める作業を、素早くかつ確実に行うことができる。また、2つのファスナーを利用することで、網場の端部をこの網場係留保護シートで覆いやすい。さらに、設置後の網場の端部からこの網場係留保護シートを外しやすい。ファスナーを開閉することにより、網場係留保護シートを繰り返し使用できる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、網場の端部の端末を絞り込み用のロープで絞ることができるので、網場の端部を引き上げやすいのみならず、網場の端部が法面に一層触れないようにすることができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、網場の端部の端末のみならず、その途中のいずれかの部分も絞ることができるので、網場の端部の嵩をできるだけ小さくしてスムーズに、しかも、より軽い力で引き上げることができる。
【0023】
請求項5記載の合成樹脂製の帆布からなる網場係留保護シートによれば、強度的にも優れているので、網場の端部を保護する効果が増大する。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、網場の端部が法面付近にある切り株や岩、小石その他のものに引っ掛かることがなく、網場の端部をスムーズに、しかも軽い力で引き上げることができる。また、網場設置工事の能率が大幅に上がる。
【0025】
請求項7記載の発明によれば、網場の端部の端末を絞り込み用のロープで絞った状態で引き上げることができるので、網場の端部を引き上げやすいのみならず、網場の端部が法面に一層触れないようにすることができる。
【0026】
請求項8記載の発明によれば、網場の端部の端末のみならず、その途中のいずれかの部分も絞った状態で引き上げることができるので、網場の端部の嵩をできるだけ小さくしてよりスムーズに引き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による網場係留保護シートの一例を示す正面図である。
【図2】網場の端部を図1に示す網場係留保護シートで覆った状態を示す図で、(a)はその正面図、(b)はその右側面図である。
【図3】本発明による網場係留保護シートを用いた本発明による網場引き上げ方法の一例を示す概略図である。
【図4】網場の一例を示す図で、(a)はその正面図、(b)はその右側面図である。
【図5】従来の網場引き上げ方法の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明による網場係留保護シートの一例と、それを用いた網場引き上げ方法の一例について、図面に基いて詳細に説明する。
【0029】
本発明による網場係留保護シートの一例としての網場係留保護シートAは、網場Bの端部bを覆うことができる長尺状であって、少なくとも表裏の素材1、1を有しており、長尺状のこれら素材1、1の長手方向の少なくとも一端、例えば、少なくとも図1の上端部分、にファスナー2が取り付けられている。
なお、網場係留保護シートAの表裏の素材1、1の長手方向の長さは、10m程度にするのが好ましい。また、表裏の素材1、1の高さは、網場係留保護シートAを筒状にした場合において、直径が0.7m程度になる程度にするのが好ましい。
【0030】
表裏の素材1、1は、例えば、図1の下端部分が繋がっている2枚重ねでも良いし、図1の上下両端部とも繋がっていない2枚重ねでも良い。図1の下端部分が繋がっている2枚重ねの場合には、図1の上端部分にファスナー2が取り付けられ、図1の上下両端部とも繋がっていない2枚重ねの場合には、図1の上下両端部にそれぞれファスナー2、2が取り付けられる。いずれの場合であっても、図2(b)に示すように、円筒状となるようにすることが好ましい。
【0031】
素材1は、例えば、ポリエステル製の帆布のような摩耗に対しても強い材質のものとするのが好ましいが、それに変わるものとして、例えば、ポリエチレン製、あるいは、綿製とすることができる。その材質については、ここに例を挙げたもののみに限定されるものではなく、法面C上において網場Bの端部bを引き上げる際にそれを保護することができるものであれば良い。
【0032】
前記ファスナー2は、網場係留保護シートAの使用場所等から水に強く、錆びないものが好ましい。その一部であるテープは、例えば、ポリエチレンテレフタレート製、あるいは、ポリオキシメチレン製とすることができる。また、スライダーは、例えば、亜鉛合金製と、下止金具は、例えば、亜鉛と銅の合金製と、開き金具は、例えば、ポリオキシメチレン製とすれば、ファスナー2全体が水に強く、錆びないものとなる。
【0033】
網場係留保護シートAの表裏の素材1、1の左右両端は、繋がっていない開口状態となっており、そのうちの少なくとも一方を全周にわたって筒状加工し、その筒内に端末絞り込み用のロープ3を挿通する。
ここでは、繋がっていない表裏の素材1、1の左右両端部分を全周にわたって筒状加工し、左右の筒1a、1a内に端末絞り込み用のロープ3、3を挿通する。ロープ3を、例えば、ビニロンとポリエステルの混紡糸からなるものとすれば、強度的にも優れ、また、水を含みにくいので、有利である。
【0034】
ここに示す網場係留保護シートAはこのような構成からなるものであって、法面C上において引き上げる網場Bの端部bを保護することができるものである。
図3に示すダム湖Dを例に挙げて網場Bの設置工事について説明すると、設置されている網場Bの端部bをこの網場係留保護シートAで覆い(胴巻き状態とし)、ファスナー2が1つの場合にはそれを、ファスナー2が2つの場合にはそれぞれを閉じることにより、図2に示すように、網場Bの端部bを少なくとも表裏の素材1、1の中に納めることができる。したがって、法面C上において網場Bの端部bを引き上げても、網場Bの端部bが法面C付近にある切り株や岩、小石その他のものに引っ掛かることがなく、網場Bの端部bをスムーズに、しかも軽い力で引き上げることができる。また、前記ファスナー2を利用することで、網場Bの端部bを網場係留保護シートAで覆いやすい。さらに、設置後の網場Bの端部bから網場係留保護シートAを外しやすい。
【0035】
ファスナー2は、例えば、少なくとも図1の上端部分にのみ取り付ければ良いが、ここには、図1の上端部分だけでなく、図1の下端部分にもファスナー2が取り付けられている場合が例示されている。
この網場係留保護シートAを用いると、長尺状の素材1、1の長手方向の両側に取り付けられているファスナー2、2をそれぞれ開けた状態で、設置されている網場Bの端部bを網場係留保護シートAで覆い(胴巻き状態とし)、両ファスナー2、2を閉じることにより、網場Bの端部bを少なくとも表裏の素材1、1の中に納めることができる。したがって、網場Bの端部bを少なくとも表裏の素材1、1の中に納める作業を、素早くかつ確実に行うことができる。また、2つのファスナー2、2を利用することで、網場Bの端部bを網場係留保護シートAで覆いやすい。さらに、設置後の網場Bの端部bから網場係留保護シートAを外しやすい。ファスナー2、2を開閉することにより、網場係留保護シートAを繰り返し使用できる。
【0036】
絞り込み用のロープ3は、網場係留保護シートAの長尺状の表裏の素材1、1の左右両端のうち、少なくとも一方(例えば、図2の右端のみ)に取り付ければ良いが、ここには、もう一方の端部にも絞り込み用のロープ3を取り付けた場合が例示されている。
この網場係留保護シートAを用いると、網場Bの端部bの一方の端末d(図2の右端)のみならず、その途中のいずれかの部分(図2においてcで示す)も絞ることができる。したがって、網場Bの端部bの嵩をできるだけ小さくしてスムーズに、しかも、より軽い力で引き上げることができる。
【0037】
さらに、ここには、網場係留保護シートAの表裏の素材1、1が、例えば、ポリエステル製の帆布のような摩耗に対しても強い材質のものからなる場合が例示されている。網場係留保護シートAの表裏の素材1、1がこのようなものからなっておれば、強度的にも優れているので、網場の端部を保護する効果が増大する。
【0038】
次に、上述した網場係留保護シートAを用いて、ダム湖Dの法面C上において網場Bの端部bを引き上げる場合の一例について説明する。
【0039】
ダム湖Dに設置された網場Bの端部bを、図2に示すように、上述した網場係留保護シートAで覆い(胴巻き状態とし)、この網場係留保護シートAで覆われた網場Bの端部bを、図3に示すように、設置場所の法面C上において引き上げる。
この引き上げ方法を採用すると、網場Bの端部bが法面C付近にある切り株や岩、小石その他のものに引っ掛かることがなく、網場Bの端部bをスムーズに、しかも軽い力で引き上げることができる。
【0040】
図3には、網場係留保護シートAで覆われた網場Bの端部bを、ダム湖Dの堤E上に設置した牽引機Fで引き上げる場合が図示されている。
この引き上げ方法を採用すると、牽引機Fという機械の力で現場の人が全く疲れることなく網場Bの端部bを容易に引き上げることができる。従来の場合にも、図5に示すように、同様の牽引機Fを用いて網場Bの端部bを引き上げていた。
牽引機Fはダム湖Dの堤E上に載置したアンカーブロックGに定着されている。なお、この点は従来の場合も同じであり、図5においては、同じ符号でそれを示してある。
【0041】
ダム湖Dの法面C上において網場Bの端部bを引き上げるに当って、網場係留保護シートAの絞り込み用のロープ3で、少なくとも網場Bの端部bの端末d(図2の右端)を絞った状態で引き上げるのが良い。
この引き上げ方法を採用すると、網場Bの端部bの端末dを絞り込み用のロープ3で絞った状態で引き上げることができるので、網場Bの端部bを引き上げやすいのみならず、網場Bの端部bが法面Cに一層触れないようにすることができる。
【0042】
ここでは、さらに、網場係留保護シートAのもう一方の絞り込み用のロープ3で、網場Bの端部bの途中(図2のc部分)も絞った状態で引き上げる場合が例示されている。
この引き上げ方法を採用すると、網場Bの端部bの端末d(図2の右端)のみならず、その途中のいずれかの部分(図2のc部分)も絞った状態で引き上げることができるので、網場Bの端部bの嵩をできるだけ小さくしてよりスムーズに引き上げることができる。
【0043】
網場Bの一例を図4に示す。網場Bは、通常、フロート4により湖面あるいは水面から垂下させ得るネット5を備えたもので、大きく拡げた状態で湖面あるいは水面から垂下せしめられたこのネット5により、湖面や水面に滞留した流木や塵芥を集めることができ、あるいは、ダムの取水口に流木や塵芥が流れ込むのを防止することができる。
【0044】
ネット5の材質は、通常、ポリエチレン製であり、このネット4の下端にはウエイト6が取り付けてあり、ネット4をピンと張った状態を維持させ得るようにしてある。
このネット5を前記フロート4から垂下させるに当っては、樹脂を被覆した例えばナイロン製のロープ7、7が用いられており、垂下せしめられたネット5の高さ、すなわち、網場Bの高さは、通常、2m程度である。
【0045】
このように、網場Bは大きくて、しかも、その長さは連続するものであるから、これをダム湖Dの法面C上において引き上げるのは、極めて重労働であり、その作業には上述したように様々な問題が生じていた。
本発明による網場係留保護シートAを、例えば、ダム湖Dの法面C上においてこの網場Bを引き上げる場合に用いると、上述したように、様々な効果を発揮することができ、この網場係留保護シートAは極めて便利なものである。また、この網場係留保護シートAを用いて、例えば、ダム湖Dの法面C上においてこの網場Bを引き上げると、上述したように、網場設置工事の能率が大幅に上がるなど、その効果は計り知れない。
【符号の説明】
【0046】
1…素材、1a…筒、2…ファスナー、3…ロープ、4…フロート、5…ネット、A…網場係留保護シート、B…網場、b…端部、c…もう一方の絞った部分、d…端末、C…法面、D…ダム湖。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網場の端部を覆うことができる長尺状であって、少なくとも表裏の素材を有しており、長尺状のこれら素材の長手方向の少なくとも一端にファスナーが取り付けられていることを特徴とする網場係留保護シート。
【請求項2】
長尺状の素材の長手方向のもう一方の端部にも、ファスナーが取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の網場係留保護シート。
【請求項3】
長尺状の表裏の素材の左右両端のうちの少なくとも一方に、絞り込み用のロープが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の網場係留保護シート。
【請求項4】
長尺状の表裏の素材の左右両端のうちのもう一方の端部にも、絞り込み用のロープが取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の網場係留保護シート。
【請求項5】
表裏の素材が合成樹脂製の帆布であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の網場係留保護シート。
【請求項6】
設置された網場の端部を請求項1〜5のいずれかに記載の網場係留保護シートで覆い、この網場係留保護シートで覆われた網場の端部を、設置場所の法面上で引き上げることを特徴とする網場引き上げ方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の網場係留保護シートの絞り込み用のロープで、網場の端部の端末を絞った状態で引き上げることを特徴とする請求項6記載の網場引き上げ方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の網場係留保護シートのもう一方の絞り込み用のロープで、網場の端部の途中も絞った状態で引き上げることを特徴とする請求項6又は7記載の網場引き上げ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−127303(P2011−127303A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285128(P2009−285128)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000108270)ゼニヤ海洋サービス株式会社 (16)
【Fターム(参考)】