説明

網戸用戸車

【課題】網戸用戸車を、従来より少ない部品数によって簡略な構造にすると共に、使用勝手を改善する。
【解決手段】網戸に固定される取付フレーム22と、車輪21を支持する車輪支持フレーム23とを、コイルばね27により伸縮自在に連結すると共に、該車輪支持フレーム23の位置決め及び位置調整を行う調整ねじ28と、前記車輪支持フレーム23を短縮位置にロックするロックレバー45とを設け、該ロックレバー45の操作子46を、前記取付フレーム22の上壁25の上面の外部から目視可能かつ操作可能な位置に、ロック位置とロック解除位置とに移動自在に配置し、前記調整ねじ28に、前記操作子46をロック位置に係止させるレバー係止部材としての機能を兼備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシのレールに沿って開閉自在の網戸に取り付ける網戸用戸車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅の出入口や窓などには、通常、防虫用の網戸が取り付けられる。この網戸は、サッシに形成されたレールに沿って移動自在となっており、その移動のため、該網戸の下框には、戸車が取り付けられている。
【0003】
前記網戸用の戸車は、例えば特許文献1−6に開示されているように、車輪が戸車フレームに上下方向に位置調整可能なるように取り付けられ、ばねで下向きに付勢されると共に、該車輪を上昇端の位置にロックできるように構成されている。そして、該車輪を上昇端の位置にロックすることにより、網戸をサッシに取り付けたり該サッシから取り外したりする作業を簡単かつ確実に行うことができ、また、網戸の上下幅とサッシの上下幅とに若干誤差があっても、前記車輪の位置を調整することによって該網戸をサッシに確実に取り付けることができ、更に、網戸の使用時に外力の作用等で該網戸が浮き上がった場合でも、前記車輪がばねで押し下げられることによって該車輪即ち網戸がレールから外れるのが防止されるようになっている。
【0004】
しかし、前記特許文献1−6に開示された従来の戸車は、何れも、複雑な形をした多くの部品を組み合わせて形成されているため、構造が非常に複雑で部品数も多く、製造に手間がかかってコストも高く、使用勝手も悪いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−19478号公報
【特許文献2】実開平5−113086号公報
【特許文献3】特開2004−92311号公報
【特許文献4】特開2006−322192号公報
【特許文献5】特開2006−322193号公報
【特許文献6】特開2006−342591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の課題は、従来と同様に車輪を上昇端の位置にロックするロック機能や網戸の浮き上がりによる脱落を防止する脱落防止機能等を備えた網戸用戸車を、従来より少ない部品数によって簡略な構造にすると共に、使用勝手を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明の網戸用戸車は、網戸の下框に固定するための取付フレームと、該取付フレームに伸縮自在に組み付けられた車輪支持フレームと、該車輪支持フレームに回転自在に支持された車輪と、前記取付フレームと車輪支持フレームとの間に介設されて該車輪支持フレームを伸長方向に付勢するコイルばねと、前記取付フレームに螺着され、回転操作により進退して該車輪支持フレームの位置決め及び位置調整を行う調整ねじと、前記車輪支持フレームを短縮位置にロックするロックレバーとを有し、前記ロックレバーは、前記取付フレームの外部から目視可能な位置に移動操作可能なるように配置された操作子と、該操作子と一緒に移動して前記車輪支持フレームに係脱する係止体とを有し、前記車輪支持フレームを短縮させた状態で前記操作子を一方向に移動させると前記係止体が前記車輪支持フレームに係止して該車輪支持フレームを短縮位置にロックし、前記操作子を反対方向に移動させると前記係止体が前記車輪支持フレームから外れてロックを解除するように動作し、前記調整ねじは、前記ロックレバーをロック位置に係止させるためのレバー係止部材を兼ねていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明において、前記ロックレバーの操作子は、前記調整ねじが嵌合する横に長いねじ嵌合溝を有し、該ねじ嵌合溝は、溝幅が前記調整ねじの頭部の外径より大きい広幅部と、溝幅が前記頭部の外径より小さい狭幅部とからなっていて、前記操作子をロック解除位置に移動させると前記広幅部内に調整ねじが嵌合し、該調整ねじの進退操作による前記車輪支持フレームの位置調整及び位置決めが可能となり、前記操作子をロック位置に移動させると前記狭幅部内に調整ねじが嵌合し、該調整ねじの頭部が操作子の上面に係止することによって該操作子がロック位置に保持されるように構成されていることが望ましい。
【0009】
また、本発明において好ましくは、前記取付フレームの内部に前記車輪支持フレームが上下動自在に収容され、前記コイルばねは、前記取付フレームの上壁下面と前記車輪支持フレームの上壁上面との間に介設され、また、前記調整ねじは、前記取付フレームの上壁を貫通して前記コイルばねの内部に嵌入し、該コイルばねの伸縮をガイドするばねガイドを更に兼ねていることである。
【0010】
更に、本発明において、前記ロックレバーの係止体は、前記操作子から前記車輪支持フレームに向けて下向きに延出し、側面に前記車輪支持フレームに形成された係止突起が嵌合、係止する係止溝を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の網戸用戸車は、調整ねじに、車輪支持フレームの位置決め及び位置調整の機能のほか、ロックレバーをロック位置に係止させるレバー係止部材の機能も兼備させているため、各々の機能を有する部材を個別に設ける場合に比べ、部品数が少なく、構成も簡単である。また、前記ロックレバーの操作子を取付フレーム上の外部から目視可能な位置に移動操作可能に配設しているので、網戸の取り付け及び取り外し時に、該操作子をロック位置に移動させたりロック解除位置に移動させたりする操作を簡単かつ確実に行うことができると共に、該操作子がロック位置とロック解除位置とのどちらにあるのかを、誤認を生じることなく一目で正確に確認することができ、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る網戸用戸車が取り付けられた網戸を、サッシに建て込む前に室内側から見た正面図である。
【図2】前記網戸を取り付けたサッシの縦断面図である。
【図3】図2の横断面図である。
【図4】戸車を前面側から見た斜視図で、ロックレバーをロック解除位置に移動させた状態を示すものである。
【図5】図4の戸車を後面側から見た斜視図である。
【図6】戸車を前面側から見た斜視図で、ロックレバーをロック位置に移動させた状態を示すものである。
【図7】図6の戸車を後面側から見た斜視図である。
【図8】戸車を図5の向きで分解して示す斜視図である。
【図9】(a)はサッシに建て込む直前の網戸の下端部とレールとを示す要部側面図、(b)は(a)の戸車とレールとを室内側から見た場合の前面図、(c)は(b)の戸車とレールとを室外側から見た場合の後面図である。
【図10】(a)は網戸をサッシに建て込んでロックレバーをロック解除位置に移動させることにより使用状態とされた該網戸の下端部とレールとを示す要部側面図、(b)は(a)の戸車とレールとを室内側から見た前面図、(c)は(b)の戸車とレールとを室外側から見た後面図である。
【図11】(a)は車輪支持フレームの位置を調整ねじで図10(a)と異なる位置に調整した場合の網戸の下端部とレールとを示す要部側面図、(b)は(a)の戸車とレールとを室内側から見た前面図、(c)は(b)の戸車とレールとを室外側から見た後面図である。
【図12】(a)は網戸が浮き上がって戸車の脱落防止機構が作動した状態での該網戸の下端部とレールとを示す要部側面図、(b)は(a)の戸車とレールとを室内側から見た前面図、(c)は(b)の戸車とレールとを室外側から見た後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明に係る網戸用戸車(以下の説明では単に「戸車」と言う。)20が取り付けられた防虫用の網戸1を示し、図2及び図3は、前記網戸1を住宅の窓や出入口などの開口部のサッシ10に横移動可能に取り付けた状態を示すものである。
【0014】
前記図2及び図3において、10aは前記サッシ10の上サッシ枠、10bは該サッシ10の下サッシ枠、10cは該サッシ10の左右の縦サッシ枠、11は前記サッシ10に取り付けられた横開き式のガラス障子である。
【0015】
前記下サッシ枠10bには網戸用のレール12が形成され、前記上サッシ枠10aには網戸用のガイド13が形成されていて、前記網戸1の下框2に取り付けられた戸車20の車輪21を前記下サッシ枠10bのレール12上に載置させると共に、該網戸1の上框3に取り付けられた係合部材6を前記上サッシ枠10aのガイド13に室内側から係止させることにより、該網戸1が、前記ガラス障子11の室外側の位置で前記サッシ10に横移動自在に取り付けられている。
【0016】
前記網戸1は、図1に示すように、前記下框2及び上框3と左右の縦框4とからなる矩形の網戸枠内に防虫網5を張設したもので、前記下框2の室内側を向く前面に、2つの前記戸車20が、相互間に適宜の間隔を保って取り付けられ、前記上框3の室内側を向く前面に、2つの前記係合部材6が相互間に適宜の間隔を保って取り付けられている。なお、図2及び図3において、符号7は網戸1の上框3と下框2及び左右の縦框4にそれぞれ取り付けられたブラシであって、網戸1と前記サッシ10やガラス障子11等との間の隙間を塞いで虫の侵入を防止するためのものである。
【0017】
前記戸車20は、図4−図8に示すように、前記下框2に固定するための取付フレーム22と、該取付フレーム22の内部に上下方向に伸縮自在に組み込まれた車輪支持フレーム23と、該車輪支持フレーム23に水平な車輪軸24を中心に回転自在に支持された前記車輪21と、前記取付フレーム22の上壁25の下面と該車輪支持フレーム23の上壁26の上面との間に介設されて両フレーム22,23を互いに伸長する方向に付勢するコイルばね27と、前記取付フレーム22の上壁25に螺着されて先端が前記車輪支持フレーム23の上壁26に対向し、回転操作により進退して該車輪支持フレーム23の伸縮位置の位置決め及び位置調整を行う調整ねじ28と、網戸1の取り付け及び取り外し時に前記車輪支持フレーム23を上昇端の位置である短縮位置にロックするロック装置29とを有している。
【0018】
なお、以下の説明においては、戸車20の室内側を向く面が「前面」、室外側(網戸1側)を向く面が「後面」であり、このような前・後の関係は、該戸車20を形成する各部品においても共通である。
【0019】
前記取付フレーム22は、ステンレス板や鉄板等の金属板を所定の形に裁断したあと、それを折り曲げて形成したもので、後面と下面の2面が開放する前面視矩形状の容器形をなし、前後の幅より左右の長さが長い平坦で水平をなす前記上壁25と、該上壁25の前端部から下向きに真っ直ぐ延びる平坦な前縦壁30と、前記上壁25の左右両側端部から下向きに真っ直ぐ延びる平坦な左右の側壁31とを有し、該左右の側壁31の下端部は、前記前縦壁30の下端を越えて更に下方まで延在している。そして、前記左右の側壁31の後端部に、縦長の矩形をなす平板状の取付部32が側方に張り出すように連設され、該取付部32に形成されたねじ挿通孔32aに固定ねじ8(図1参照)を挿通して網戸1の下框2にねじ付けることにより、戸車20が該網戸1に固定されるようになっている。
【0020】
また、前記左右の側壁31の前後方向(幅方向)のほぼ中央位置には、縦に細長い案内溝33が形成され、該案内溝33内に、前記車輪支持フレーム23の左右両側端に形成された案内突起34が上下動自在に嵌合し、該案内溝33の長さの範囲内で前記車輪支持フレーム23が前記取付フレーム22の内部を上下動することにより、該取付フレーム22と前記車輪支持フレーム23とが相互に伸縮できるようになっている。換言すれば、前記案内突起34が前記案内溝33の上端に係止する上昇限界位置と、該案内溝33の下端に係止する下降限界位置との間で、前記車輪支持フレーム23が上下動できるようになっている。
【0021】
更に、前記左右の側壁31の下端部、即ち前記前縦壁30の下端を越えて下方に延出する側壁部分には、該側壁31の前端側の一部を切り欠くことによって凹部31aが形成され、該凹部31a内を、前記車輪支持フレーム23の下端の横段壁38と該横段壁38から下方に延出する係止縁39とが上下動する。
【0022】
前記上壁25の左右方向の中央には、内周に雌ねじを有するねじ孔35が形成され、該ねじ孔35に前記調整ねじ28が上方から螺着されている。該調整ねじ28の下端は前記コイルばね27の内部に上方から嵌入し、該コイルばね27の内部で該調整ねじ28が昇降するようになっており、それによって該調整ねじ28が、前記車輪支持フレーム23の伸縮時の位置決めとその位置調整とを行うものである。該調整ねじ28はその他にも、前記コイルばね27の上端部を支持する支持部材としての役目と、該コイルばね27の伸縮をガイドするばねガイドとしての役目も果たしている。
【0023】
前記上壁25の下面における前記ねじ孔35の周囲には、該ねじ孔35をドリルで該上壁25の上面側から形成するとき、該上壁25の一部が下方に膨出した状態に変形することによって該ねじ孔35を取り囲む筒状部35aが形成されており、この筒状部35aが前記コイルばね27の上端部内に嵌合して係止している。
【0024】
また、前記上壁25には、前記ねじ孔35より上壁後端側に寄った位置に、左右に細長く延びる長孔36が形成され、該長孔36内に、前記ロック装置29の一部を形成するロックレバー45の係止体47が、該長孔36に沿って移動自在に嵌合している。該ロック装置29の詳細については後述する。
【0025】
前記車輪支持フレーム23は、前記取付フレーム22と同様にステンレス板や鉄板等の金属板を所定の形に裁断したあと、それを折り曲げて形成したもので、前面視形状が矩形をなし、横に細長く延びる平坦で水平な前記上壁26と、該上壁26の後端部から下向きに延びる後縦壁37と、該後縦壁37の下端部を車輪支持フレーム23の前面側に向けてクランク形に折曲することにより形成された前記横段壁38及び係止縁39とを有し、該係止縁39と、前記後縦壁37の下端部中央の円弧状をした車輪受け37aとの間に、前記サッシ10における下サッシ枠10bのレール12の上端部が嵌入する空間部40(図9(a)参照)が形成されている。
【0026】
前記車輪21は、合成樹脂により形成されていて、軸方向の一端にフランジ部21aを有し、該フランジ部21aを前記車輪受け37a側に向けた姿勢で、前記車輪軸24により前記車輪支持フレーム23に回転自在に取り付けられている。このとき該車輪21の下端の一部は、前記空間部40に臨む位置において、前記横段壁38より下方に突出しているが、前記係止縁39の下端よりは上方の位置を占めている。
【0027】
前記車輪支持フレーム23の前後の幅(上壁26の前後の幅)は、前記取付フレーム22の前後の幅(上壁25の前後の幅)の約半分ほどと狭く、また、該車輪支持フレーム23の左右の長さは、前記取付フレーム22の内部に該取付フレーム22との間にがたつかない程度の小さな隙間を介して嵌合し、抵抗なく上下動できるような長さである。
【0028】
前記車輪支持フレーム23の後縦壁37の左右両側端部には、前記案内突起34が形成されて前記案内溝33内に嵌合しており、また、前記横段壁38の左右両側端部には、前記取付フレーム22の凹部31a内において前記左右の側壁31の前端縁に当接するぶれ止め用突起41が形成され、該ぶれ止め用突起41が前記側壁31に沿って上下動することにより、前記車輪支持フレーム23の上下動が安定的に行われるようになっている。
【0029】
前記車輪支持フレーム23の上壁26の左右方向の中央位置には、該上壁26の一部を上方に向けて切り起こすことにより凸形をしたばね受け42が形成され、該ばね受け42を前記コイルばね27の下端部に嵌合させることにより、該ばね受け42と前記取付フレーム22の上壁25の下面の前記筒状部35aとの間に前記コイルばね27が介設されている。
【0030】
また、前記車輪支持フレーム23の後縦壁37の上端部から僅かに下方に下がった位置で、なおかつ後面視で中央から右側に寄った位置には、該後縦壁37の一部を切り起こすことにより、該後縦壁37の後面側に突出する係止突起43が形成され、この係止突起43と、前記取付フレーム22に取り付けられたロックレバー45とにより、前記ロック装置29が形成されている。
【0031】
前記ロックレバー45は、前記取付フレーム22の上壁25の上面に摺動自在に配設された操作子46と、該操作子46と一緒に移動して前記係止突起43に係脱する前記係止体47とからなり、これら操作子46と係止体47とが合成樹脂によって一体に形成されている。
【0032】
前記操作子46は、平面視長方形状をした横長の部材で、前記取付フレーム22の上壁25の上面に、外部から目視可能かつ前記長孔36に沿って左右方向に移動操作可能なるように配置されている。該操作子46の前後の幅は前記上壁25の幅とほぼ同じであり、左右の長さは該上壁25の長さよりやや短い。
前記操作子46をこのような位置に配設することにより、網戸1をサッシ10に取り付けたり取り外したりする際に、該操作子46をロック位置に移動させたりロック解除位置に移動させたりする操作を簡単かつ確実に行うことができると共に、該操作子46がロック位置とロック解除位置とのどちらにあるのかということを、誤認を生じることなく正確に確認することができる。
【0033】
前記係止体47は、縦長の板状をなし、前記操作子46の長さ方向の一端から下方に延出し、前記取付フレーム22の上壁25の前記長孔36を通して該取付フレーム22の内部に進入している。該係止体47の後面には係止用の弾片47aが形成され、該弾片47aが前記取付フレーム22の上壁25下面に係止することにより該係止体47が前記長孔36から上方に抜け出さないようになっている。また、該係止体47の左右方向の一側縁には、前記係止突起43が嵌合、係止する横向きの係止溝48が、上下に複数列並べて形成されている。図示した例では、溝幅の異なる3つの係止溝48が形成されているが、該各係止溝48の溝幅は互いに同じであっても良い。あるいは、該係止溝48の数は2つであっても1つであっても構わない。
【0034】
前記操作子46には、前記調整ねじ28が嵌合する横長のねじ嵌合溝49が、該操作子46を上下に貫通した状態に形成されている。このねじ嵌合溝49は、溝幅が前記調整ねじ28の頭部28aの外径より大きい円弧形をした広幅部49aと、該広幅部49aの一部に連なって溝幅が前記頭部28aの外径より小さい狭幅部49bとを有している。
【0035】
そして、図4及び図5のように、前記操作子46を、前記広幅部49a内に調整ねじ28が嵌合する位置(ロック解除位置)に移動させると、前記係止体47と係止突起43とが非係合状態になるため、前記車輪支持フレーム23が、取付フレーム22に対して相対的に上下動自在(伸縮自在)となって前記調整ねじ28の下端に当接する位置まで上昇(短縮)可能であると共に、前記調整ねじ28を上下動させて該車輪支持フレーム23の伸縮位置を調整することができる状態になる。
【0036】
また、前記調整ねじ28を十分に上昇させると共に前記車輪支持フレーム23を該調整ねじ28の下端に当接する位置まで上昇(短縮)させた状態で、前記操作子46を、図6及び図7のように、前記狭幅部49b内に調整ねじ28が嵌合する位置(ロック位置)に移動させると、前記係止体47の何れかの係止溝48に係止突起43が係止して前記車輪支持フレーム23が短縮位置に保持(ロック)されると同時に、前記調整ねじ28の頭部28aが該操作子46の上面に当接、係止することによって該操作子46が前記ロック位置に保持される。この場合、前記調整ねじ28を締め込んで前記操作子46を固定しても良い。
【0037】
従って、前記調整ねじ28は、前記車輪支持フレーム23の位置決め及び位置調整のための機能のほか、前記ロックレバー45をロック位置に係止させるためのレバー係止部材としての機能も兼備するものであり、このように前記調整ねじ28に複数の機能を兼備させることにより、各々の機能を有する部材を個別に設ける場合に比べ、部品数を少なくして戸車20の構成を簡略化することができる。
【0038】
図1は、サッシ10に建て込む前の網戸1を示しており、このとき各戸車20は、操作子46がロック位置に移動させられることにより、図6及び図7に示すように車輪支持フレーム23が短縮位置にロックされた状態である。この状態で前記網戸1は、図2及び図3に示すようにサッシ10に室外側から取り付けられる。その手順は次の通りである。
【0039】
先ず、前記網戸1を若干傾けて上端部を室外側から上サッシ枠10aにおけるガイド13の室内側に入れ、上框3の係合部材6を室内側から該ガイド13に係止させたあと、該網戸1の姿勢を上下真っ直ぐにして下サッシ枠10bのレール12上に降ろし、下框2に取り付けられた戸車20の車輪21を該レール12上に載置させることにより、該網戸1がサッシ10に建て込まれる。図9(a)−(c)には、車輪21をレール12上に載置する直前の網戸1の下端部の状態が示されており、この状態から該網戸1が下降して車輪21がレール12上に載置される。このようにして網戸1が建て込まれた後も、前記係合部材6は上サッシ枠10aのガイド13に係合している。
【0040】
次に、操作子46をロック解除位置(図4及び図5参照)に移動させることにより、係止体47を係止突起43から離脱させて前記車輪支持フレーム23のロックを解除し、網戸1を使用状態にする。図10(a)−(c)には、使用状態とされた網戸1の下端部の状態が示されている。このように網戸1が使用状態になると、取付フレーム22と車輪支持フレーム23とには、これら両フレーム22,23を伸長させる方向にコイルばね27の付勢力が作用するが、この付勢力よりも前記取付フレーム22に下向きに作用する網戸1の荷重の方が大きいため、前記取付フレーム22がコイルばね27で上方に持ち上げられることはなく、前記車輪支持フレーム23は常に調整ねじ28の下端に当接する位置に位置決めされている。
【0041】
前記係合部材6とガイド13との上下の係合幅を大きくする場合には、前記調整ねじ28を回転させて前記車輪支持フレーム23の位置調整を行う。即ち、図11(a)−(c)に示すように、前記調整ねじ28を下降させることにより、前記取付フレーム22を押し上げて該取付フレーム22と車輪支持フレーム23とを相互に伸長させ、前記車輪21と係合部材6との距離(網戸1の上下幅)を増大させる。
【0042】
このようにして調整ねじ28で車輪支持フレーム23を取付フレーム22に対して相対的に伸縮させることにより、網戸1の上下幅をサッシ10に合わせて調整することができるため、該網戸1の上下幅とサッシ10の上下幅とに若干誤差があっても、該網戸1をサッシ10に確実に取り付けることができる。
【0043】
また、前記網戸1が外力の作用で浮き上がったり持ち上げられたりした場合には、図12(a)−(c)に示すように、戸車20の前記取付フレーム22は該網戸1の下框2と一緒に上昇するが、前記車輪支持フレーム23は、コイルばね27で下方に付勢されているため該取付フレーム22に対して伸長し、車輪21がレール12に当接する状態を維持し、これによって戸車20がレール12から脱落するのが防止される。
【0044】
前記調整ねじ28の進退操作による車輪支持フレーム23の伸縮位置の調整と、前記コイルばね27の伸縮による戸車20の脱落防止とは、前記車輪支持フレーム23の案内突起34が取付フレーム22の案内溝33内を移動する範囲内で行われる。また、前記戸車20の脱落防止は、前記車輪支持フレーム23が調整ねじ28で位置決めされている状態から、更に該車輪支持フレーム23が取付フレーム22に対して伸長することにより行われる。このため、前記調整ねじ28の長さは、図11(a)に示すように、該調整ねじ28を最大限前進(下降)させて前記車輪支持フレーム23を位置決め下限位置まで下降(伸長)させた場合でも、前記案内突起34が前記案内溝33内のほぼ中央付近の位置を占めるような長さに形成されている。
【0045】
前記網戸1をサッシ10から取り外すときは、図9(a)−(c)に示すように、各戸車20の操作子46をロック位置に移動させることにより車輪支持フレーム23を短縮位置にロックし、その状態で該網戸1を前記建て込み時と逆の手順でサッシ10から取り外す。
【符号の説明】
【0046】
1 網戸
2 下框
21 車輪
22 取付フレーム
23 車輪支持フレーム
25,26 上壁
27 コイルばね
28 調整ねじ
28a 頭部
29 ロック装置
43 係止突起
45 ロックレバー
46 操作子
47 係止体
48 係止溝
49 ねじ嵌合溝
49a 広幅部
49b 狭幅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網戸の下框に固定するための取付フレームと、該取付フレームに伸縮自在に組み付けられた車輪支持フレームと、該車輪支持フレームに回転自在に支持された車輪と、前記取付フレームと車輪支持フレームとの間に介設されて該車輪支持フレームを伸長方向に付勢するコイルばねと、前記取付フレームに螺着され、回転操作により進退して該車輪支持フレームの位置決め及び位置調整を行う調整ねじと、前記車輪支持フレームを短縮位置にロックするロックレバーとを有し、
前記ロックレバーは、前記取付フレームの外部から目視可能な位置に移動操作可能なるように配置された操作子と、該操作子と一緒に移動して前記車輪支持フレームに係脱する係止体とを有し、前記車輪支持フレームを短縮させた状態で前記操作子を一方向に移動させると前記係止体が前記車輪支持フレームに係止して該車輪支持フレームを短縮位置にロックし、前記操作子を反対方向に移動させると前記係止体が前記車輪支持フレームから外れてロックを解除するように動作し、
前記調整ねじは、前記ロックレバーをロック位置に係止させるためのレバー係止部材を兼ねている、
ことを特徴とする網戸用戸車。
【請求項2】
前記ロックレバーの操作子は、前記調整ねじが嵌合する横に長いねじ嵌合溝を有し、該ねじ嵌合溝は、溝幅が前記調整ねじの頭部の外径より大きい広幅部と、溝幅が前記頭部の外径より小さい狭幅部とからなっていて、前記操作子をロック解除位置に移動させると前記広幅部内に調整ねじが嵌合し、該調整ねじの進退操作による前記車輪支持フレームの位置調整及び位置決めが可能となり、前記操作子をロック位置に移動させると前記狭幅部内に調整ねじが嵌合し、該調整ねじの頭部が操作子の上面に係止することによって該操作子がロック位置に保持されることを特徴とする請求項1に記載の網戸用戸車。
【請求項3】
前記取付フレームの内部に前記車輪支持フレームが上下動自在に収容され、前記コイルばねは、前記取付フレームの上壁下面と前記車輪支持フレームの上壁上面との間に介設され、また、前記調整ねじは、前記取付フレームの上壁を貫通して前記コイルばねの内部に嵌入し、該コイルばねの伸縮をガイドするばねガイドを更に兼ねていることを特徴とする請求項1又は2に記載の網戸用戸車。
【請求項4】
前記ロックレバーの係止体は、前記操作子から前記車輪支持フレームに向けて下向きに延出し、側面に前記車輪支持フレームに形成された係止突起が嵌合、係止する係止溝を有することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の網戸用戸車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−180637(P2012−180637A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42041(P2011−42041)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000107930)セイキ販売株式会社 (57)
【Fターム(参考)】