説明

綿棒ケース

【課題】 本発明は、綿棒の扱い勝手を向上させる綿棒ケースの提供を課題とする。
【解決手段】 綿棒の扱い勝手を向上させる手段として、一つは、綿棒ケースが、綿棒の扱い勝手を高めるために綿棒の綿球部を変形させる手段を備えている。他の一つは、内ケースが外ケースの内側で摺動可能に取り付けられており、内ケースの収納部の底面には摺動方向に対して垂直に延びるヒンジが形成され、内ケースを前端方向に摺動して収納部の前端側の上面を外ケースから露出させたときに、ヒンジにより収納部の前端側の部分を底面側に折り曲げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綿棒を取り出し可能に収納する綿棒ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
日常、家庭で使用する綿棒の軸の端部に設けられた綿球部は卵形をなしている。綿棒は耳垢などの汚れ落しや、傷口における薬の塗布あるいは耳・鼻・口腔内の薬の塗布など種々の目的に使用される。このように、綿棒は種々の目的に使用されるにも拘らずどれも卵形の綿球部が設けられており、使用目的によっては扱い勝手が良いとは言えない場合もある。例えば綿棒を耳かきに使用する場合には、竹製の耳かきのように耳垢を掻き出すのではなく、綿球部で耳垢を上からなぞって摩擦を利用して皮膚から剥がし取る。耳孔にこびり付いている耳垢を剥がし取るためには強い圧力が必要であり、その摩擦力によって皮膚を傷める虞がある。したがって、耳孔を傷めないようにするためには、竹製耳かきを使用するときのように無造作に耳垢を掻き出すことができないから取り扱いを慎重にしなければならず、竹製の耳かきに比べて扱い勝手が良くない。綿棒で耳垢を掃除するときは、耳垢を掻き出しやすいように綿球部に螺旋状の溝が形成されていれば耳垢を引っ掛けながら掻き出すので皮膚を傷めず、溝に耳垢を集めて確実に耳垢を取り出すことができる。
【0003】
また、綿棒はその軸の端部に設けられた綿球部を皮膚に当てて使用するものであるから、衛生上、綿棒の綿球部に指先が触れないように扱うことが要求される。特に、綿棒ケースから綿棒を取り出すときは、衛生的な面から綿棒の扱いを慎重にしなければならない。
【0004】
収納されている複数の綿棒の中から一本の綿棒を取り出すときにその軸を指先で摘むのであるが、綿棒ケースが小さいので一本の綿棒を摘みにくく、その綿棒の付近に存在している他の綿棒にも指先が触れてしまう。綿棒ケースには複数の綿棒が収納されていて、取り出した綿棒以外の綿棒はそのままケース内に保管されるから、軸に指先が触れた綿棒がいくつも保管される可能性は低くない。したがって、綿棒を取り出すときに、その取り出そうとする綿棒以外の綿棒の軸に指先が触れるとしても、その数はできるだけ少なくすることが望ましい。
【0005】
また、ヒンジ形式で蓋を開閉する綿棒ケースは従来から存在している。通常の綿棒は8cm弱の長さであって綿棒自体が小さいので、綿棒ケースがさほど大きなものでなくてもケースに多数の綿棒を収納することができる。薬店などから購入する綿棒は、綿棒ケースに多数の綿棒が収納されているで、そのケースから少量を取り出して携帯などのために移し変える小口ケースも存在している。
【0006】
上述した綿棒ケースから一本の綿棒を取り出すときは親指と人差し指の二本の指先をケース内に入れて綿棒の軸を摘む必要がある。ヒンジ形式の蓋付き綿棒ケースや移し変え用の小口ケースはケース本体が小さいので、二本の指先をケース本体に入れて綿棒を摘もうとすると指先がケース本体の側壁に当たる。また、綿棒の取り出し口自体の広さも小さい。このために、二本の指先の間隔を十分に開けることができないから、綿棒を摘んで取り出そうとするときは、取り出そうとする綿棒の周囲にある他の綿棒を指先で押圧して目的の綿棒の位置を他の綿棒よりも高くしてから摘むことになる。このために、他の多くの綿棒の軸が指先に触れて衛生的でない。これは、従来の綿棒ケースにおける綿棒の扱い勝手が悪いからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平7−26386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、一本の綿棒をケースから取り出す際に他の綿棒にできるだけ触れないようにするときの扱い勝手が良くない点があり、あるいは綿棒を種々の目的に使用するときに扱い勝手が良くない場合がある点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1は、綿棒を取り出し可能に収納する収納部を備える綿棒ケースであって、綿棒の扱い勝手を高めるために綿棒の綿球部を変形させる手段を備えている構成である。
【0010】
請求項2は、綿球部を変形させる手段は綿球部と接触して綿球部を変形させる接触部分を有しており、この接触部分を露出した状態又は覆った状態のいずれの状態にもすることができる手段を有している要素が請求項1に付加された構成である。
【0011】
請求項3は、綿棒ケースが、内ケース及びその内ケースの上面の少なくとも一部を覆う外ケースを含み、内ケースが外ケースの内側で該外ケースに対し摺動可能に取り付けられており、この内ケースの摺動によって接触部分を露出した状態又は覆った状態のいずれの状態にもすることができる要素が請求項2に付加された構成である。
【0012】
請求項4は、 内ケースが外ケースに対して摺動前の中立の位置にあるときに、収納されている綿棒は取り出し不能で且つ綿棒の綿球部を変形させる手段が使用不能であり、その中立位置から、内ケースを一方の端部方向に摺動させたときに綿棒が収納部から取り出し可能となり、内ケースを他方の端部方向に摺動させたときに綿棒の綿球部を変形させる手段が使用可能となる要素が請求項3に付加された構成である。
【0013】
請求項5は、内ケース及びその内ケースの上面の少なくとも一部を覆う外ケースを含み、内ケースは外ケースの内側で該外ケースに対し摺動可能に取り付けられており、且つ内ケースは収納部を備え且つ該収納部は少なくとも周面と底面とを有し、収納部の底面には摺動方向に対して横方法に延びるヒンジが形成され、収納部の上面の少なくともヒンジよりも前端側の部分は上面が開放されており、内ケースを前端方向に摺動して収納部の前端側の上面を外ケースから露出させたときに、前記ヒンジにより収納部の前端側の部分を底面側に折り曲げることができる構成である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1は、綿棒を取り出し可能に収納する収納部を備える綿棒ケースであって、綿棒の扱い勝手を高めるために綿棒の綿球部を変形させる手段を備えている構成である。したがって、通常は卵形に形成されている綿球部を変形させて目的にあった形状に変形させることができる。また、綿球部を変形させる手段は綿棒ケースに備えられているから、綿棒を使用するときにいつでも簡単且つ迅速に綿棒を変形させることができる。
【0015】
請求項2は、綿球部を変形させる手段は綿球部と接触して綿球部を変形させる接触部分を有しており、この接触部分を露出した状態又は覆った状態のいずれの状態にもすることができる手段を有している。したがって、接触部分を使用しないときは覆っておくことができるので、その接触部分に埃などが付着することを防止できる。綿棒の綿球部は皮膚に直接的に接触させて使用するから衛生的でなければならず、本発明の前記手段によって綿球部を変形させる過程において衛生を保つことができる。
【0016】
請求項3は、綿棒ケースが、内ケース及びその内ケースの上面の少なくとも一部を覆う外ケースを含み、内ケースが外ケースの内側でその外ケースに対し摺動可能に取り付けられており、この内ケースの摺動によって接触部分を露出した状態又は覆った状態のいずれの状態にもすることができる。したがって、内ケースを摺動させるだけで綿球部を変形させるための接触部分が露出するので、簡単な動作で綿球部を変形させる作業に迅速に移ることができる。
【0017】
請求項4は、内ケースが外ケースに対して摺動前の中立の位置から、内ケースを一方の端部方向に摺動させたときに綿棒が収納部から取り出し可能となり、内ケースを他方の端部方向に摺動させたときに綿棒の綿球部を変形させる手段が使用可能となる。したがって、内ケースを摺動させるだけで、綿棒の取り出しと綿棒の綿球部の変形作業をすることができるから取り扱いが容易で便利である。
【0018】
請求項5は、内ケース及びその内ケースの上面の少なくとも一部を覆う外ケースを含み、内ケースは外ケースの内側で該外ケースに対し摺動可能に取り付けられており、且つ内ケースは収納部を備え且つ収納部は少なくとも周面と底面とを有し、収納部の底面には摺動方向に対して横方向に延びるヒンジが形成され、収納部の上面の少なくともヒンジよりも前端側の部分は上面が開放されており、内ケースを前端方向に摺動して収納部の前端側の上面を外ケースから露出させたときに、前記ヒンジにより収納部の前端側の部分を底面側に折り曲げることができる構成である。
綿棒が収納部に収納されているときは、綿棒は収納部の周面と底面に囲われている。したがって、綿棒がこのように囲われている状態で一本の綿棒を取り出すときは、特に収納部の両側の周面が指先に当たって邪魔であり、取り出す際の扱い勝手が悪い。そこで本項は、内ケースを前端方向に摺動して収納部の前端側の上面を外ケースから露出させたときに、収納部に形成したヒンジにより収納部の前端側の部分を底面側に折り曲げることができる構成とした。収納部の前端側部分を折り曲げることにより、綿棒を囲っていた収納部の周面と底面が綿棒から離れるので、一本の綿棒を指先で摘もうとするときに周面が邪魔にならず指先が周面に当たることがない。したがって、取り出そうとする綿棒を指先で容易に摘むことができるので、綿棒を取り出すときの扱い勝手が良く、しかも、いくつもの他の綿棒に触れることがなく衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は綿球部を変形させる状態の本発明の斜視図である。
【図2】図2は綿棒を取り出す状態の本発明の斜視図である。
【図3】図3は内ケースを閉じた状態の本発明の斜視図である。
【図4】図4は内ケースの斜視図である。
【図5】図5は外ケースを下側から見た斜視図である。
【図6】図6は内ケースに設けられた綿球部変形手段の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の実施形態について説明する。綿棒ケース1は、内ケース2と外ケース3とから成る。内ケース2と外ケース3は共に合成樹脂で一体に形成されている。合成樹脂としては例えばポリプロピレン樹脂などが使用される。しかし、内ケース2と外ケース3が合成樹脂及び一体成形に限定されるものではない。内ケース2は外ケース3の内側で摺動可能となるように外ケース3に嵌合されている。図3は内ケース2が中立位置にある状態を示しており、内ケース2をその中立位置から一方の方向に摺動させることにより内ケース2の一方の端部側部分が外ケース3から露出し、内ケース2を中立位置から他方の方向に摺動させることにより内ケース2の他方の端部側部分が外ケース3から露出する。また、内ケース2が中立位置にあるときと、一方の端部側にあるときと、他方の端部側にあるときのそれぞれの位置で固定するための手段がケースに設けられている。
【0021】
図4に示すように、内ケース2は縦長の矩形に形成されている。内ケース2は上面が開放された収納部4を有している。綿棒35はこの収納部4の長さ方向に寝かせて収納される。収納部4の底面部5には長さ方向に対し垂直に延びるヒンジ6が形成されている。ヒンジ6の延びる方向は長さ方向に対して垂直でなくてもよく斜め横方向であってもよい。また、内ケース2の両側面部7,7にはヒンジ6に連なるスリット8,8が設けられている。両スリット8,8の上端は開放されている。ヒンジ6及び両スリット8,8によって、収納部4のヒンジ6よりも前端側の部分である収納部の前半部9を下方に折り曲げることができる。収納部の前半部9は180°まで折り曲げることができる。この折り曲げ角度はこれよりも少ない角度であっても差し支えないが45°以上であることが好ましい。10°〜45°でもよい。
【0022】
内ケース2には、綿棒35の綿球部36を変形させて所定の形状に成形するための成形部10が収納部4の後端に隣接して設けられている。この成形部10には、綿棒35の綿球部36を圧入して綿球部36を所定の形状に成形するための2つの型穴11,12が設けられている。図6に示すように、成形部10の内部は空洞部17であるが、内部が材料で満たされていてもよい。
【0023】
図6に示すように、一方の型穴11は逆円錐形の穴である。この逆円錐形はその周面がやや膨らみをもっており、型穴11の内面に突条13が螺旋状に形成されている。綿棒35を回転させながら綿球部36を型穴11に圧入すると、綿球部36の先半分はほぼ円錐形に成形され且つ表面に螺旋状の溝が形成される。例えば、半流動性を有する薬剤を皮膚に塗布するときに、薬剤が綿球部36に浸み込まなくても溝に溜めることができるから、何度も綿球部36に薬剤を付着させなくても薬剤を十分に塗布することができる。型穴11の近傍に付されたマーク24は型穴11によって成形された後の綿球部36の形状を示している。型穴12の近傍に付されたマーク25は型穴12によって成形された後の綿球部36の形状を示している。また、型穴12の開口の周囲近傍に付された周方向の矢印28は、綿球部36を回転させて成形することを示している。綿球部36を成形するときは綿球部を時計回りに回転しながら型穴12に圧入する。綿球部36を型穴12から取り出すときは綿球部36を反時計回りに回転させることによって取り出すことができる。
【0024】
他方の型穴12の内面は雌ネジに形成されている。綿棒35を回転させながら綿球部36を型穴12に圧入すると、綿球部36は雄ネジ状に成形される。例えば、この雄ネジ状の綿球部は耳の耳垢を取るのに適した形状であると言える。すなわち、耳孔にこびり付いている耳垢をネジ山が引っ掛けながら掻き出すので、耳垢は耳孔から容易に剥がれて痛みを感じさせずに掻き出すことができる。なお、型穴11,12はいずれも有底で行き止まりであるが、底を貫通させてもよい。また、型穴11,12の形状が円錐形あるいは雌ネジに限定されないことは勿論である。
【0025】
収納部の前半部9の両側面部15の全長に亘って一対の溝16が形成されている。溝16の端部は解放されている。また、内ケース2の両側面部7の後端から内ケース2の前方に向かって所定の長さの一対の溝18が形成されている。溝18の後端は開放されているが前端は行き止まりである。
【0026】
前述したように、内ケース2は外ケース3の内側で摺動可能となるように外ケース3に嵌合されている。したがって、内ケース2と外ケース3にそれらを嵌合するための手段が設けられている。内ケース2の嵌合手段は、内ケース2の両側面部7の下縁の長さ方向に延びる凹状のガイド19である。このガイド19は、内ケース2の前端寄りの位置からスリット8を通過して内ケース2の後端付近まで一連に延在している。また、図4及び図6に示すようにガイド19、19よりも上方に突起滑動ガイド20、20がガイド19,19に沿って形成されている。突起滑動ガイド20,20は収納部の前半部9には存在せず、内ケース2のヒンジ6よりも後端寄りの部分に延在している。この突起滑動ガイド20,20の表面を外ケース3に形成された突起30が滑動する。この突起滑動ガイド20,20にはそれぞれ3つの小さな凹部21,22,23が形成されている。これらの凹部21,22,23は内ケース2を外ケース3に対して所定の位置で固定するためのものである。
【0027】
図5は外ケース3を下側から見た斜視図である。図5に示すように、外ケース3は、天板26と側面部27,27により構成されている。図1に示すように、内ケース2は外ケース3の天板26及び両側面部27,27の内側で前後に摺動可能に嵌合される。また、図5に示すように、外ケース3の両側面部27,27のそれぞれの下縁の内面に所定の長さを有する嵌合用の突条29,29が延在している。この突条29,29が内ケース2のガイド19,19に嵌合し、内ケース2が外ケース3に対して前後方向に摺動する。また、突条29,29のそれぞれの後端に突起30が形成されている。内ケース2が摺動しているときに、この突起30は突起滑動ガイド20の表面を滑動する。この突起30が凹部21,22,23のいずれかの位置に来たときに、突起30は内ケース2の凹部21,22,23のいずれかと係合して内ケース2は固定される。したがって、内ケース2は3ヶ所の位置で固定可能である。また、外ケース3の両側面部27,27の両端の内面に前突起31と後突起32が形成されている。前突起31は内ケース2の溝16内に摺動可能に嵌合する。後突起32は内ケース2の溝18内に摺動可能に嵌合する。
【0028】
次に、本発明の使用方法について説明する。内ケース2は、不使用時の通常の状態では図3に示す中立位置にある。このとき、外ケース3の突起30は、3つ存在する内ケース2の凹部の中の真中の凹部22に係合している。内ケース2の収納部4に綿棒35を新たに収納するときは、図2に示すように内ケース2を前方に摺動させて収納部の前半部9を外ケース3から押し出す。このときの内ケース2の移動量は約32mmである。このとき、外ケースの突起30は突起滑動ガイド20の表面を滑動して、3つ存在する内ケース2の凹部の中の後方の凹部23に係合する。図4に示すように溝16はスリット8に向かって上昇するように傾斜しており、この溝16と外ケース3の前突起31の作用によって外ケース3から押し出された収納部の前半部9は斜めに下がる。次いで、さらに収納部の前半部9を下方に折り曲げ、収納部の後半部33に綿棒35を入れる。このとき、綿棒ケース1の前端部が上方に位置するように綿棒ケース1を立てて持つと綿棒35を円滑に収納できる。次いで、折り曲げた収納部の前半部9を元の位置に戻し、内ケース2を外ケース3の中に押し込む。そして、図3に示すように、内ケース2を中立位置に戻す。
【0029】
綿棒ケース1に収納されている綿棒35を取り出すときは、前述した綿棒35を収納する操作と逆の操作を行えばよい。すなわち、図3に示す内ケース2の中立位置から内ケース2を前方に押して収納部の前半部9を押し出す。次いで、図2に示すように収納部の前半部9を下方に折り曲げる。このとき、綿棒35が上方を向くように綿棒ケース1を立てて持つことが好ましい。収納部の前半部9を折り曲げることによって、綿棒35を囲っていた収納部の前半部9の底面部5と両側面部15,15は綿棒35から離れるので、綿棒35の軸34をその周囲のどの方向からも指で摘むことができる。したがって、収納されている綿棒35の最も端にある綿棒35の軸34を摘むことにより、他の綿棒にほとんど触れずに目的の綿棒を取り出すことができる。
【0030】
次に、取り出した綿棒の綿球部を所定の形状に成形する方法について説明する。まず、図1に示すように内ケース2を前側から押して成形部10を押し出す。このときの内ケース2の移動量は約14mmである。またこのときに、外ケースの突起30は突起滑動ガイド20の表面を滑動して、3つ存在する内ケース2の凹部の中の前方の凹部21に係合する。次に、綿棒35の綿球部36を回転させながら型穴11,12のいずれかに押し込んでいく。綿球部36を十分に押し込んで成形が完了したときに、綿球部36を逆に回転させながら型穴11,12から抜き取る。
【0031】
次に、本実施態様のサイズについて説明する。外ケース3の縦の長さは約97mmであり、横の長さは約35mmであり、高さは約15mmである。また、収納部4の縦の長さは約82mmであり、横幅は約27mmである。型穴11の上面開口の直径は約8mmであり、型穴12の上面開口の直径は約5mmである。サイズは以上の通りであるが、本発明がこれらの数値に限定されないことは勿論である。
【0032】
なお、本発明は前述した構成に基づいて種々の態様をとることが可能である。例えば、外ケース3に天板に対向する底面部を形成し、内ケース2の上面と下面と両側面を囲う構成であってもよい。また、内ケース2及び外ケース3を透明にしてもよい。型穴11,12を成形部10と別体に形成して着脱自在に取り付けることができる構成とし、種々の形状を有する型穴を用意し目的に応じて選択できるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
綿棒を綿棒ケースから取り出すときの綿棒の扱い、及び綿棒を使用するときの綿棒の扱いのいずれにおいても、綿棒の扱い勝手の良い綿棒ケースを提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 綿棒ケース
2 内ケース
3 外ケース
4 収納部
5 底面部
6 ヒンジ
7 側面部
8 スリット
9 収納部の前半部
10 成形部
11 型穴
12 型穴
13 突条
14 雌ネジ
15 側面部
16 溝
17 空洞部
18 溝
19 ガイド
20 突起滑動ガイド
21 凹部
22 凹部
23 凹部
24 マーク
25 マーク
26 天板
27 側面部
28 矢印
29 突条
30 突起
31 前突起
32 後突起
33 収納部の後半部
34 軸
35 綿棒
36 綿球部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿棒を取り出し可能に収納する収納部を備える綿棒ケースであって、綿棒の扱い勝手を高めるために綿棒の綿球部を変形させる手段を備えていることを特徴とする綿棒ケース。
【請求項2】
綿球部を変形させる手段は綿球部と接触して綿球部を変形させる接触部分を有しており、該接触部分を露出した状態又は覆った状態のいずれの状態にもすることができる手段を有している請求項1記載の綿棒ケース。
【請求項3】
綿棒ケースは、内ケース及びその内ケースの上面の少なくとも一部を覆う外ケースを含み、内ケースは外ケースの内側で該外ケースに対し摺動可能に取り付けられており、この内ケースの摺動によって接触部分を露出した状態又は覆った状態のいずれの状態にもすることができる請求項2記載の綿棒ケース。
【請求項4】
内ケースが外ケースに対して摺動前の中立の位置にあるときに、収納されている綿棒は取り出し不能で且つ綿棒の綿球部を変形させる手段が使用不能であり、その中立位置から、内ケースを一方の端部方向に摺動させたときに綿棒が収納部から取り出し可能となり、内ケースを他方の端部方向に摺動させたときに綿棒の綿球部を変形させる手段が使用可能となる請求項3記載の綿棒ケース。
【請求項5】
内ケース及びその内ケースの上面の少なくとも一部を覆う外ケースを含み、内ケースは外ケースの内側で該外ケースに対し摺動可能に取り付けられており、且つ内ケースは収納部を備え且つ該収納部は少なくとも周面と底面とを有し、収納部の底面には摺動方向に対して横方向に延びるヒンジが形成され、収納部の上面の少なくともヒンジよりも前端側の部分は上面が開放されており、内ケースを前端方向に摺動して収納部の前端側の上面を外ケースから露出させたときに、前記ヒンジにより収納部の前端側の部分を底面側に折り曲げることができることを特徴とする綿棒ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−184733(P2010−184733A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30744(P2009−30744)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 〔発行者名〕貝印株式会社 〔刊行物名〕「2009/RSP/リテール サポート プラン」と題されたパンフレット 〔発行年月日〕平成20年12月9日
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【Fターム(参考)】