説明

縦型多列充填包装機

【課題】多列に亘って包装袋を製造することを担保しながらも、製品を高品質に維持しかつ取り扱い上の利便性も向上させる。
【解決手段】フィルムロールFから繰り出された原反包装フィルムfoを幅方向に分割して切断する分断装置24と、切断された各半幅フィルムfhを所定間隔を開けて振り分けて給送する振り分け装置26とが設けられる。半幅フィルムfhを複数条に切り分けるスリッタ装置52と、切り分けられた複数の各包装フィルムを巻装して筒状に形成するフォーマ装置54と、包装袋pの1袋分ずつ間欠給送される筒状の包装フィルムに対して同期的に縦シールと横シールとを施す縦シール装置56並びに横シール装置58と、充填装置60により内容物が充填された包装袋を横シール部psで切断して個別包装袋pとするカッター装置62と、を縦方向に列設してなる包装袋形成機構部50が、左右方向に間隔を開けて2組並んで配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック型等の包装袋を製造することに用いられる縦型多列充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スティック型包装袋製造用の縦型多列充填包装機の一例として、特許文献1に記載されたものが知られている。このものは、原反包装フィルムを所定幅ずつスリッタで切り分け、切り分けられた各包装フィルムをフォーマで幅方向に巻き込んで重ね合わせ端に縦シール装置により縦シールを施すことで筒状体を形成し、その筒状体の所定位置に横シール装置で横シールを施したのち、粉状、顆粒状等の内容物を充填して半包装袋を形成し、その半包装袋を1サイクルずつ送り出してさらに横シールを施すことでスティック型の包装袋を形成し、同横シール部をカッター装置で切断して1袋ずつの包装袋を製造するようになっている。係る包装機では、スティックの大きさにもよるが、例えば幅900〜1000mmの原反包装フィルムを用いて、10列程度に設定するものが普及機といえる。
【0003】
この種の包装機でも、製造効率を高めることは漸次要求されるところであり、その一翼を担うものとして、従来と比べてさらに幅広となった例えば幅1200mm程度の原反包装フィルムも市場に供されるようになった。
一方、製造機構側では、例えば横シール装置は、各縦列の筒状体に亘って一斉に横シールを施すべく、幅一杯の横長形状をなす一対の横シールブロックを接離可能に支持して設け、適温に加熱された両横シールブロックで各筒状体における横一列に並んだシール箇所を挟持するようになっているが、上記のように原反包装フィルムの幅が大きくなれば、横シールブロックを支持した基枠を含めた横シール装置全体についても、それに倣って長く(大型化)することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−298425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、横シール装置が長くなると、例えば曲げ剛性が劣り勝ちとなって機体に装着した場合に撓みが生じ、それに起因して横シール部の挟持力にばらつきができ、ひいては製品の品質低下に繋がるおそれがある。また、横シール装置が大型化すれば、それ自身の製造も大変であるし、清掃、点検等のメンテナンスの際には、大型かつ高重量化した横シール装置を脱着する必要があるため、作業に手間が掛かる、といった数々の問題を抱えるところとなる。
なおこのような問題は、縦シール装置やカッター装置等においても同様に生じるところである。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、多列に亘って包装袋を製造することを担保しながらも、製品を高品質に維持しかつ取り扱い上の利便性も向上させた包装機を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の縦型多列充填包装機は、包材ロールから繰り出された原反包装フィルムを幅方向に分割して切断する分断装置と、切断された各分断フィルムを所定間隔を開けて振り分けて給送する振り分け装置とが設けられる一方、前記分断フィルムを複数条に切り分けるスリッタ装置と、切り分けられた複数の各包装フィルムを巻装して筒状に形成するフォーマ装置と、給送装置によって包装袋1袋分ずつ間欠給送される筒状の包装フィルムに対して同期的に縦シールと横シールとを施す縦シール装置並びに横シール装置と、シール成形される各包装袋に所定量の内容物を充填する充填装置と、前記内容物が充填された包装袋を前記横シール部で切断して包装袋とするカッター装置と、を縦方向に列設してなる包装袋形成機構部が、左右方向に間隔を開けて2組並んで配設されているところに特徴を有する。
【0007】
上記構成によれば、包材ロールから繰り出された原反包装フィルムは、分断装置で切断されて幅方向に分割され、切断された各分断フィルムが振り分け装置により所定間隔を開けて振り分けられて左右の包装袋形成機構部にそれぞれ導入され、左右の包装袋形成機構部に分断フィルムが給送される間に、それぞれ定められた複数列に亘ってスティック状の包装袋が連続的に製造され、左右両側合わせた列に亘って包装袋が一斉に製造される。
端的には、幅広の包装フィルムを用いて包装袋を所定の多列に亘って製造するに際し、包装袋形成機構部を左右に分割して配する一方、原反包装フィルムを半幅若しくは略半幅ずつのフィルムに振り分けて各包装袋形成機構部に導入することにより、各包装袋形成機構部では所定の半分ずつ若しくは略半分ずつ列に亘って包装袋を製造し、両機構部合わせて所定の多列に亘る製造がなされる。
【0008】
包装袋形成機構部が左右に分割されたことから、同機構部に配される横シール装置、縦シール装置及びカッター装置等の各装置若しくは各装置を構成する構成部材を短寸に留めることができる。そのため、各装置若しくは構成部材の曲げ剛性が確保できて撓み等が生じることが防止でき、シール部の挟持力や切断位置をばらつきなく高精度に維持でき、もって製品の品質低下を防止できる。また、各装置若しくは構成部材が小型化されることで製造自体が簡便化されるとともに、メンテナンス等における脱着作業も簡単となる。
【0009】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記振り分け装置は、左右2本のガイドバーを包装フィルムの給送方向に沿った中心線を挟んだ両側に同一の傾斜角を持った先開きの傾斜姿勢で配してなる2組のガイド部材が、前記包装フィルムの給送方向に所定間隔を開けて配設されており、前記切断された包装フィルムが給送方向の手前側のガイド部材に対して給送方向の手前側に折り返されるように掛け渡されたのち、給送方向の先側のガイド部材に対して再び給送方向の先側に折り返されるように掛け渡されている。
【0010】
振り分け装置では、幅方向の途中で切断された原反包装フィルムが給送方向の手前側のガイド部材に掛けられて手前に折り返されたところで、切断された左右の分断フィルムが所定角度を持って切り開かれ、このように切り開かれた左右の分断フィルムは、続いて奥側のガイド部材に掛けられて再び先側に折り返されたところで、上記の切り開かれた角度と、両ガイド部材間の間隔とに対応した所定間隔を開けて、互いに平行姿勢を取って給送方向の先側に給送される。ここで、左右の分断フィルムの間隔は、両ガイド部材におけるガイドバーの傾斜角や、両ガイド部材の間隔等を調節することによって任意に設定できる。
【0011】
(2)前記ガイド部材は、左右2本の前記ガイドバーを所定の頂角を持ったV字形をなすように配して形成されている。包装フィルムの給送方向における比較的小さい距離範囲内で、分断フィルムの振り分けを行うことができる。
(3)前記両ガイド部材における前記ガイドバーには、包装フィルムが掛けられる部分に丸みが付されている。フィルムの滑りが良くなって、振り分けられた分断フィルムの給送姿勢並びに間隔を正規のものにより確実に維持することができる。
【0012】
(4)前記横シール装置は、基枠内に前後一対の横シールブロックが接離方向の移動可能に対向して設けられ、縦シールが施されて筒状に形成された複数列のフィルムの所定位置を両横シールブロックで挟持することにより各列のフィルムに対して一斉に横シールが施されるようになっているとともに、左右の横シール装置における各基枠の内側の端部同士が連結部によって連結され、両基枠の外側の端部と、前記連結部とにそれぞれ縦向きのスライドシャフトが挿通されて、左右の横シール装置が前記スライドシャフトに沿って一体的に昇降可能に装備され、かつ一定ストロークで昇降往復運動する構成である。
【0013】
横シール装置では、ストロークの上端位置にある場合において、縦シールが施されて筒状に形成された各列のフィルムの所定位置を、両横シールブロックで挟持することによって、一斉に横シールが施され、続いて横シールが施されている状態で横シール装置がストロークの下端位置まで下降することで、フィルムが包装袋1袋分下方に引っ張られ、そののち両横シールブロックが離間した状態で上端位置に戻り、上記した動作が繰り返し実行される。横シール装置が給送装置も兼用していることで構造がより簡略化される。
【0014】
(5)前記縦シール装置は、前記フィルムを筒形に回曲して端部同士を重ねた形態に形成する筒形シール部が複数並設された固定側縦シール部と対向して、前記筒形シール部における前記フィルムの重ね合わせ部を受ける部分に向けて進退駆動される縦シールブロックを同数並設した可動側縦シール部を開閉可能に装着した構造になり、かつ左右の縦シール装置においては、それぞれの可動側縦シール部が観音開き式の開閉可能となっている。
【0015】
縦シール装置では、筒形シール部において、各フィルムが、筒形に回曲されて端部同士が重ねられた形態に形成されたところで、対向する縦シールブロックが進出して重ね合わせ部を押し付け、縦シールが施される。清掃等のメンテナンスを行う場合は、可動側縦シール部をいちいち外すことなく開くだけで内部が開放されるために作業が簡単となり、特に各可動側縦シール部は短寸にできるから、軸部分でのこじり等が生じることが回避できてスムーズに開閉操作することが可能となる。また、左右の縦シール装置の可動側縦シール部は観音開き式に開放できて、両縦シール部の対向面をそれぞれ手前側に向けて全開できるから、メンテナンスの作業がきわめてしやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、多列に亘って包装袋を製造することを担保しながらも、製品を高品質に維持しかつ取り扱い上の利便性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装機の側面図
【図2】同正面図
【図3】包装袋の製造工程を模式的に示す斜視図
【図4】分断装置の平面図
【図5】振り分け装置の背面図
【図6】縦シール装置の平面図
【図7】横シール装置の平面図
【図8】カッター装置の平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図8に基づいて説明する。
本実施形態に係る縦型多列充填包装機は、左右6列ずつの合計12列に亘って、スティック状の包装袋pを連続的に製造するものである。概略を説明すると、図1に示すように、本体フレーム10の背部の下部位置に設定されたフィルム繰出装置20から繰り出された原反包装フィルムfoは、ロール群22を通って弛みが吸収されつつ本体フレーム10の裏面側を上方に給送され、その途中で分断装置24によって原反包装フィルムfoが幅方向の中心で切断されたのち、切断された各半幅フィルムfhが振り分け装置26によって所定間隔を開けて左右に振り分けられ、引き続いて本体フレーム10の上面を給送されて、本体フレーム10の表面側の上部に至る。
【0019】
本体フレーム10の表面側には、図2及び図3にも示すように、左右2組の包装袋形成機構部50(以下、単に形成機構部50という)が所定間隔を開けて設定されている。各形成機構部50には、スリッタ装置52、フォーマ装置54、縦シール装置56、横シール装置58、充填装置60、カッター装置62等が備えられており、上記した左右の半幅フィルムfhが、対応する形成機構部50を通って下方に向けて間欠給送される間に、それぞれ6列に亘ってスティック状の包装袋pが連続製造されるようになっている。
【0020】
包装フィルムの給送経路に沿って個々の装置を説明する。
フィルム繰出装置20は、例えば幅1200mmの原反包装フィルムfoが巻回されたフィルムロールFを左右方向を向いた水平姿勢で支持し、同フィルムロールFの軸Foをモータで回転駆動することにより、原反包装フィルムfoを図1の矢線方向に繰り出すように機能する。
【0021】
分断装置24は、図4に示すように、左右方向に細長い枠状をなす水平な基台30上に、長さ方向の中央部にそれぞれ回転刃33を備えた一対の駆動軸31と従動軸32とが前後方向に間隔を開けて平行姿勢で回転自由に支持され、両回転刃33の周縁同士が圧接されている。駆動軸31の一端にはモータ34が連結されているとともに、同駆動軸31の他端と従動軸32の他端同士が、ギヤボックス35内に配されたギヤで連結されている。モータ34を駆動しつつ両軸31,32の間に原反包装フィルムfoが上方から下方に向けて給送される間に、互いに逆方向に回転する回転刃33によって、原反包装フィルムfoが幅方向の中心で切断される。結果、幅600mmの半幅フィルムfhが2本形成される。
【0022】
振り分け装置26は、図5に示すように、方形の支持フレーム37に支持されて設置されている。下側の横フレーム38A上には、上記した分断装置24によって幅方向の中心が切断されて背面側に給送された原反包装フィルムfo(半幅フィルムfhが未だ分離していない)を巻回して、給送方向を上方に転向する1本の下転向ローラ39が配されている。
【0023】
この下転向ローラ39の上方位置には、左右一対の上ガイドバー41からなる上ガイド部材40が配されているとともに、同上ガイド部材40の若干後方位置(同上ガイド部材40のほぼ厚み分)で、かつ所定寸法下方位置には、左右一対の下ガイドバー43からなる下ガイド部材42が配されている。
上ガイド部材40を構成する左右の上ガイドバー41は、左右の縦フレーム38Bに設けられた支持体45から、共に例えば15度の傾斜角を持った先下がりの対称的な傾斜姿勢で片持ち状に突設され、先端同士は突き合わされている。言い換えると、上ガイド部材40は、両上ガイドバー41の先端同士が突き合わされた部分のなす角度(頂角)αが150度の上開きのV字形に形成されている。また、上ガイドバー41では、その上面側に半幅フィルムfhが巻回されることになるため、上面に例えば断面半円状となった丸み41Rが付けられている。
【0024】
下ガイド部材42を構成する左右の下ガイドバー43は、同じく縦フレーム38Bの支持体45から、共に15度の傾斜角を持った先下がりの対称的な傾斜姿勢で片持ち状に突設されている。両下ガイドバー43の先端同士の間には間隔が開けられているが、両先端の延長線の突き合った部分のなす頂角も、同じく150度となる。下ガイド部材42は、両下ガイドバー43の先端同士の間は開いているものの、延長線も含めた全体形状としては、頂角が150度の上開きのV字形に形成されている。下ガイドバー43では、その下面側に半幅フィルムfhが巻回されることになるため、下面に例えば断面半円状となった丸み43Rが付けられている。
【0025】
下ガイド部材42における左右の下ガイドバー43の先端同士、及び上記した上ガイド部材40の上ガイドバー41の先端同士は、支持フレーム37からフィルムの給送経路と干渉しない形態で延出形成された補強部材47に結合され、補強がなされている。
上側の横フレーム38Aの下面側には、上記した下ガイド部材42における左右の下ガイドバー43の上方に対応する位置において、それぞれ上転向ローラ48が配されている。
【0026】
上記した振り分け装置26では、幅方向の中心が切断された原反包装フィルムfoが下転向ローラ39で上方に向けられたのち、上ガイド部材40を構成する左右の上ガイドバー41に掛け渡されて下方に向けられると、切断された左右の半幅フィルムfhが60度の角度を持って切り開かれる。このように切り開かれた左右の半幅フィルムfhは、続いて下ガイド部材42を構成する左右の下ガイドバー43にそれぞれ掛け渡されて上方に向けられ、このとき左右の半幅フィルムfhは、上記の切り開かれた角度と、上下のガイド部材40,42間の間隔とに対応した所定間隔を開けて、互いに平行姿勢を取って上方に給送される。そののち対応する上転向ローラ48に掛け渡されて、左右の半幅フィルムfhは、上記の間隔を維持しつつ本体フレーム10の上面を給送され、本体フレーム10の表面側に配された左右の形成機構部50の上部位置に給送される。
ここで、左右の半幅フィルムfhの間隔は、上ガイド部材40の両上ガイドバー41(下ガイド部材42の下ガイドバー43も)の先端同士が突き合わされた部分のなす角度αや、上ガイド部材40と下ガイド部材42の上下方向の間隔等を調節することによって、任意に設定することができる。
【0027】
続いて、本体フレーム10の表面側に配された左右2組の形成機構部50について説明する。各形成機構部50は、基本的には左右で同じ形状であり、一部で左右対称となっている。
スリッタ装置52は、図1及び図3に示すように、5枚の回転カッタ71を一定間隔を開けて設けた上下一対の回転軸70を備えており、上記した各半幅フィルムfhを所定幅を持った6条(6列)のフィルムfに切り分けるように機能する。
【0028】
フォーマ装置54は、内容物の供給パイプを兼ねたフォーマパイプ74の下端側が、後記する縦シール装置56における筒形シール部76内にクリアランスを持って嵌装されてなるフォーマ部73が、6本並んで配されることで形成されている。
切り分けられた各フィルムfは、フォーマパイプ74に円筒状に巻き付けられたのち、筒形シール部76との間を通る間に幅方向の両端が合掌状に重ねられた形態となり、同合掌部が筒形シール部76の受け面76Aに沿うように配される。
【0029】
縦シール装置56は、図6に示すように、上記した筒形シール部76が6本並んで設けられた固定側縦シール部75と、これと対向して配される可動側縦シール部77とから構成される。固定側縦シール部75は、本体フレーム10の背面に突設された支持板79の先端に取り付けられている。
可動側縦シール部77には、各筒形シール部76に対して押し付け可能な縦シールブロック78が6個装備されている。同可動側縦シール部77は、固定側縦シール部75の前面で開閉可能に装備され、詳細には、可動側縦シール部77における外側の端部が、固定側縦シール部75の外側の端部の外方において本体フレーム10の背面から突設された支持体80Aに対して軸77Aを中心とした揺動開閉可能に支持されている。また、両固定側縦シール部75の間の位置において、同じく本体フレーム10の背面から突設された支持体80Aに軸77Aで支持された連結体82に、可動側縦シール部77における内側の端部に設けられた施錠部材81が施錠されることで、各可動側縦シール部77が、同図の実線に示す閉鎖位置に保持されるようになっている。そして、左右の可動側縦シール部77は、サーボモータを駆動源として固定側縦シール部75に向けて揃って進退駆動されるようになっている。
【0030】
縦シール装置56では、筒形シール部76において、各フィルムfが、筒形に回曲されて端部同士が合掌状に重ねられた形態に形成されたところで、適温に加熱された対向する縦シールブロック78が進出して合掌部を受け面76Aに押し付け、これにより縦シールが施されるようになっている。
【0031】
横シール装置58は、以下のようである。図7に示すように、平面長方形の枠状をなす基枠84内には、前後で対をなす単数または複数ずつの横シールブロック85,86が対向して設けられ、両横シールブロック85,86の対向面には、6列分のシール形成部が対向して形成されている。基枠84内の左右両端にはスプラインシャフト87が差し渡され、前後の横シールブロック85,86は、それぞれの両端をスプラインシャフト87に挿通して前後方向の移動可能に支持されているとともに、両横シールブロック85,86の隣接する端部同士が、ラック・ピニオン88を介して連結されている。また、手前の枠辺に2個のエアシリンダ89が取り付けられてそのピストンロッド89Aの先端が手前の横シールブロック85と結合されていて、エアシリンダ89の伸長と収縮に伴い、両横シールブロック85,86が互い接触するのと離間するのとを繰り返すようになっている。
【0032】
左右の横シール装置58の基枠84は、内側の端部同士が連結されている。一方、左右の横シール装置58の配設位置における外側の端部側には、それぞれ前後2本ずつの縦向きのスライドシャフト90が立てられているとともに、両横シール装置58の間における手前の位置にも、同じく縦向きのスライドシャフト90が立てられている。上記のように一体化された左右の横シール装置58は、各基枠84の外側の端部を2本の縦向きのスライドシャフト90に、また両基枠84の間の連結部92を中央の縦向きのスライドシャフト90にそれぞれ挿通して、一体的な昇降可能に支持されている。
また、左右の横シール装置58は、図示しないサーボモータを駆動源として、所定のストローク(製品としてのスティック型の包装袋pにおける1袋の長さ分)で昇降可能とされている。
【0033】
横シール装置58では、同横シール装置58がストロークの上端位置にある場合において、エアシリンダ89のピストンロッド89Aが伸長することに伴い前後の横シールブロック85,86が互いに引き寄せられるように移動し、上記のように縦シールが施されて筒状に形成されたフィルムfの所定位置を、適温に加熱されたシール形成部で挟圧されることによって、一斉に横シールが施されるようになっている。
また、上記のように横シールが施されている状態で横シール装置58がストロークの下端位置まで下降することで、フィルムfが包装袋pの1袋分下方に引っ張られ、そののち両横シールブロック85,86が離間した状態で上端位置に戻り、上記した動作が繰り返し実行される。したがって、横シール装置58が、本発明の給送装置94も兼用している。
【0034】
充填装置60は、上記したフォーマ部73の一部を構成するフォーマパイプ74の上端部に供給口74Aが突設され、内容物の計量部と対応して設けられた接続シュート95が、各供給口74Aに臨んで配されることによって形成されている。
【0035】
カッター装置62は、図8に示すように、平面長方形の枠状をなす基枠96内に、共に横長形状の可動刃97と固定刃98とが対向して配されている。固定刃98は、奥側の枠辺に固定的に設けられている一方、可動刃97は、その両端が基枠96内の両端に設けられたスプラインシャフト99に挿通されて、固定刃98に対して接離可能に設けられている。手前の枠辺には2個のエアシリンダ100が取り付けられてそのピストンロッド100Aの先端が手前の可動刃97と結合されている。
【0036】
左右のカッター装置62の基枠96は、内側の端部同士が連結されている。一方、左右のカッター装置62の配設位置における外側の端部側と、両カッター装置62の間の位置には、それぞれ縦向きにねじ棒102が立てられていて、上記のように一体化された左右のカッター装置62は、各基枠96の外側の端部を両側のねじ棒102に、また両基枠96の間の連結部103を中央のねじ棒102にそれぞれ螺合して、高さ調節可能に支持されている。
カッター装置62では、エアシリンダ100のピストンロッド100Aが伸長することに伴い可動刃97が固定刃98に対して押し付けられ、内容物が充填された6列の包装袋の横シール部psの中央部を一斉に切断して、6個の個別包装袋pを得るように機能する。
【0037】
カッター装置62の上方位置には、図1及び図2に示すように、同カッター装置62に導入される前に各列の包装袋を挿通して姿勢を正すための個別のガイド体104が設けられている。またカッター装置62の下方位置には、各列において個別に切断された個別包装袋pをそれぞれ受けて、図示しないコンベア上に排出するための排出シュート106が、各6列に対応して設けられている。
【0038】
上記のような構造になる左右の形成機構部50が、所定間隔を開けた形態で配設される。ここで、左右の縦シール装置56における6個の縦シールブロック78群同士は、左右で同タイミングで進退駆動される。
左右の横シール装置58では、対をなす横シールブロック85,86同士は、エアシリンダ89のバルブ切り替えを制御することによって、左右で同タイミングにより接離方向の往復移動がなされる。カッター装置62では、各可動刃97は、左右で同じタイミングで進退駆動されるようになっている。
【0039】
本実施形態は上記のような構造であって、作用を改めて説明すると以下のようである。
フィルム繰出装置20に設置されたフィルムロールFから原反包装フィルムfoが繰り出されて、本体フレーム10の裏面側を上方に向けて連続給送されると、分断装置24を通過する際に幅方向の中心で切断されて2本の半幅フィルムfhに分断され、続いて振り分け装置26によって、両半幅フィルムfhが所定間隔を開けて左右に振り分けられ、本体フレーム10の上面を給送されたのち、それぞれ左右の形成機構部50の上部に導かれる。
【0040】
各半幅フィルムfhは、スリッタ装置52によって所定幅ずつ6条(6列)に切り分けられ、切り分けられた各フィルムfは、フォーマ装置54によって筒状に回曲されて端部同士が合掌状に重ねられた形態に形成され、縦シール装置56において合掌部をシールする縦シールが施されることで筒状体が形成される。次にその筒状体の所定位置に対して、横シール装置58によって横シールが施されたのち、ホッパに貯留された内容物が充填装置60を介して所定量ずつ充填されて半包装袋が形成され、この半包装袋が、横シール装置58が下降することに伴い1袋分ずつ引っ張られ、続いて元位置に上昇した横シール装置58で横シールが施されることによって、両端が閉じられたスティック型の包装袋pが形成される。そののち、カッター装置62において同横シール部psが切断されることによって1袋ずつの包装袋pが製造され、排出シュート106を滑落して、次工程に向かう搬送コンベア等に移乗される。
結果、包装袋pは、左右の形成機構部50において6袋ずつ、合計12袋が横一列に並んだ状態で同時に製造されることになる。
【0041】
本実施形態によれば端的には、幅広の包装フィルムを用いて包装袋pを12列に亘って製造するに際し、形成機構部50を左右に分割して配する一方、原反包装フィルムfoを半幅ずつのフィルムfhに振り分けて各形成機構部50に導入することにより、各形成機構部50では半分の6列ずつに亘って包装袋pを製造し、両形成機構部50を合わせて12列に亘る製造がなされる。
すなわち、形成機構部50を左右に2分割したことから、同形成機構部50に配される横シール装置58、縦シール装置56の可動側縦シール部77、さらにはカッター装置62の可動刃97と固定刃98等、各装置若しくは各装置を構成する構成部材を短寸に留めることができる。そのため、各装置の構成部材の曲げ剛性が確保できて撓み等が生じることが防止でき、シール部の挟持力や切断位置をばらつきなく高精度に維持でき、もって製品の品質低下を防止できる。また、各装置や構成部材が小型化されることでそれらの製造自体が簡便化されるとともに、メンテナンス等における脱着作業も簡単となる。
【0042】
横シール装置58が、フィルムfを間欠給送する給送装置94も兼用しているから、構造がより簡略化される。
縦シール装置56では、各可動側縦シール部77が短寸にできるから、軸部分でのこじり等が生じることが回避できてスムーズに開閉操作することが可能となる。また、左右の可動側縦シール部77が観音開き式に開放できるから、両縦シール部75,77の対向面をそれぞれ手前側に向けて全開できて、メンテナンスの作業がきわめてしやすくなる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)振り分け装置において、一対のガイド部材を上下方向に間隔を開けて配することに代えて奥行方向に間隔を開けるようにしてもよく、また両者を併用してもよい。
(2)振り分け装置は、フィルムの水平方向に沿った給送面に設定するようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、振り分け装置の各ガイド部材において、左右のガイドバーが左右対称位置にあってV字形をなすように配された場合を例示したのであるが、各ガイド部材において左右のガイドバーが包装フィルムの給送方向にずれて配されていてもよい。
【0044】
(4)充填装置の計量手段としては、内容物が粉体、粒状等の場合は、水平可動式の容積計量方式またはオーガ方式が、内容物が液体等の場合は、計量ポンプ方式がそれぞれ適用可能である。
(5)上記実施形態では、横シール装置をフィルムを間欠的に給送する給送装置と兼用したのであるが、横シール装置とは別に間欠給送装置を装備するようにしてもよい。
(6)縦シールを施す筒形フィルムの端部の重ね合わせ形態は、上記実施形態に例示した合掌貼りに限らず、封筒貼りであってもよい。
【0045】
(7)上記実施形態では、幅1200mmの包装フィルムを用いた場合を例示したが、他の幅寸法の包装フィルムを用いてもよい。
(8)上記実施形態では、製品としての包装袋として、一包ずつに切断する場合を例示したが、2以上の連包形態で切断するようにしてもよい。
(9)包装袋の製造列も、上記実施形態に例示した12列に限らず、任意に設定可能である。
(10)さらに、トータルの製造列が11列等の奇数列の場合は、5列と6列等、トータルの略半分ずつの奇数列と偶数列とに分けるようにしてもよい。
(11)また本発明は、包装袋の上下並びに一側縁をシールした三方シール型の包装袋を製造する縦型多列充填包装機にも適用でき、この場合、縦シール装置では、筒形に形成されたフィルムの端部同士を合掌状に重ね合わせて、その重ね合わせ部を幅方向の側縁側に位置させた状態において同重ね合わせ部に対して縦シールを施す形態となる。
【符号の説明】
【0046】
F…フィルムロール(包材ロール)
fo…原反包装フィルム
fh…半幅フィルム(分断フィルム)
f…フィルム
p…包装袋
ps…横シール部
10…本体フレーム
24…分断装置
26…振り分け装置
40…上ガイド部材
41…上ガイドバー
41R…丸み
42…下ガイド部材
43…下ガイドバー
43R…丸み
50…包装袋形成機構部
52…スリッタ装置
54…フォーマ装置
56…縦シール装置
58…横シール装置
60…充填装置
62…カッター装置
75…固定側縦シール部
76…筒形シール部
76A…受け面
77…可動側縦シール部
77A…軸
78…縦シールブロック
84…基枠
85,86…横シールブロック
90…スライドシャフト
92…連結部
94…給送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材ロールから繰り出された原反包装フィルムを幅方向に分割して切断する分断装置と、切断された各分断フィルムを所定間隔を開けて振り分けて給送する振り分け装置とが設けられる一方、
前記分断フィルムを複数条に切り分けるスリッタ装置と、切り分けられた複数の各包装フィルムを巻装して筒状に形成するフォーマ装置と、給送装置によって包装袋1袋分ずつ間欠給送される筒状の包装フィルムに対して同期的に縦シールと横シールとを施す縦シール装置並びに横シール装置と、シール成形される各包装袋に所定量の内容物を充填する充填装置と、前記内容物が充填された包装袋を前記横シール部で切断して包装袋とするカッター装置と、を縦方向に列設してなる包装袋形成機構部が、左右方向に間隔を開けて2組並んで配設されていることを特徴とする縦型多列充填包装機。
【請求項2】
前記振り分け装置は、左右2本のガイドバーを包装フィルムの給送方向に沿った中心線を挟んだ両側に同一の傾斜角を持った先開きの傾斜姿勢で配してなる2組のガイド部材が、前記包装フィルムの給送方向に所定間隔を開けて配設されており、前記切断された包装フィルムが給送方向の手前側のガイド部材に対して給送方向の手前側に折り返されるように掛け渡されたのち、給送方向の先側のガイド部材に対して再び給送方向の先側に折り返されるように掛け渡されていることを特徴とする請求項1記載の縦型多列充填包装機。
【請求項3】
前記ガイド部材は、左右2本の前記ガイドバーを所定の頂角を持ったV字形をなすように配して形成されていることを特徴とする請求項2記載の縦型多列充填包装機。
【請求項4】
前記両ガイド部材における前記ガイドバーには、包装フィルムが掛けられる部分に丸みが付されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の縦型多列充填包装機。
【請求項5】
前記横シール装置は、基枠内に前後一対の横シールブロックが接離方向の移動可能に対向して設けられ、縦シールが施されて筒状に形成された複数列のフィルムの所定位置を両横シールブロックで挟持することにより各列のフィルムに対して一斉に横シールが施されるようになっているとともに、
左右の横シール装置における各基枠の内側の端部同士が連結部によって連結され、両基枠の外側の端部と、前記連結部とにそれぞれ縦向きのスライドシャフトが挿通されて、左右の横シール装置が前記スライドシャフトに沿って一体的に昇降可能に装備され、かつ一定ストロークで昇降往復運動する構成であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の縦型多列充填包装機。
【請求項6】
前記縦シール装置は、前記フィルムを筒形に回曲して端部同士を重ねた形態に形成する筒形シール部が複数並設された固定側縦シール部と対向して、前記筒形シール部における前記フィルムの重ね合わせ部を受ける部分に向けて進退駆動される縦シールブロックを同数並設した可動側縦シール部を開閉可能に装着した構造になり、かつ左右の縦シール装置においては、それぞれの可動側縦シール部が観音開き式の開閉可能となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の縦型多列充填包装機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−105346(P2011−105346A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262755(P2009−262755)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(592242660)株式会社東陽機械製作所 (20)
【Fターム(参考)】