縦結合二重モ−ドSAWフィルタ
【目的】 本発明は、1GHzに近い高周波領域に於ける広帯域低損失のフィルタを実現する為、結合係数の大なる64〓Yカット−X伝搬LiNbO3 基板上に3個のIDTを縦型に近接配置し、各IDT間に閉じ込められた振動相互の音響結合によって生起する一次及び三次モ−ドの振動を利用し二重モ−ドリ−キ−SAWフィルタを構成するものである。この際、3乃至4%の比帯域を得る為、各IDTの相隣接する最内側電極指中心間隔を基本的にλ/4(λは励起したSAWの波長)とすること、3乃至4%の比帯域と2乃至3dBの挿入損失を実現する為Al電極膜厚を約4%とすべきこと及びチュ−ニング回路なしで入出力インピ−ダンスを50Ωに合わせる為中央IDT電極指対数を15乃至20対、両側IDTのそれを夫々8乃至12対としたものである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明はSAWフィルタ、殊に1GHZ に近い高周波領域に於て極めて広帯域且つ低損失性能を実現せんとする縦結合二重モ−ドSAWフィルタに関する。
【0002】
【従来技術】 VHF〜UHF帯の高周波領域に於て使用する広帯域低損失のフィルタとしては従来から一方向性IDTを利用したトランスバ−サルSAWフィルタあるいはマルチIDTを用いたSAWフィルタが広く用いられてきた。前者はフィルタの周波数特性に対する設計の自由度が高いという利点はあるが、フィルタ素子に移相器の付加を必要としたり(グル−プ型一方向性IDT或は3相一方向性IDTを用いる場合)製造の歩留に問題を生じたりすると云う欠陥がある上励振したSAWの方向性損失が少なくなくフィルタの低損失化の点でも未だ満足すべきものではなかった。
【0003】一方、後者、即ちマルチIDTを利用したSAWフィルタは9組以上のIDTを並べれば方向性損失も1dB次下となりフィルタの低損失化は実現し得るものの電極対数の増大によりフィルタ素子サイズが大型化するのみならずIDT内部に於けるSAWの反射増大に起因するスプリアスが多数出現しフィルタの阻止域減衰量が不足するという欠陥があった。
【0004】上述の如きタイプのフィルタに対し従前より多重モ−ドSAWフィルタと称する共振子型のSAWフィルタとして大別して横結合二重モ−ドSAWフィルタ(例えば特公平2−16613を参照されたい)と縦結合二重モ−ドSAWフィルタ(文献:田中ら、第15回EMシンポジュ−ム、pp.5−10(1986)とがあるが、いずれも複数のIDTを近接配置し、これらが励振するSAWが互いに音響結合した際に生ずるモ−ドの異なった2つの波動(対称モ−ドと反対称モ−ドと称する)の共振周波差がフィルタの通過帯域幅を決定するものであってフィルタの低損失化を図る上では前述したタイプのフィルタより優れているが、通過帯域幅が共振子の容量比の制約を受ける為広帯域フィルタへの適用に難点があった。
【0005】例えば結合係数が比較的大(5%)なる36°Yカット−X伝搬のLiTaO3 基板を用いて縦結合二重モ−ドSAWフィルタを構成しても中心周波数に対して高々2%前後の通過帯域幅を有するものにしかならず、一方、清水らが発見した結合係数が極めて大(30%)なるYカット−X方向伝搬LiNbO3 基板を用いAu電極にてラブ波を励振する所謂ラブ波共振子(文献:信学技法、US86−37(1986)を用いれば共振子の容量比は極めて小さく(約3)なり極めて広帯域低損失フィルタが実現可能かと思われたが、結合係数が過大であることから各IDT内に振動エネルギがほぼ完全に閉じ込められ相互の音響結合が十分に発生せず、かえってフィルタの通過帯域が狭くなることが判明した。
【0006】そこで本願発明者は未ださほど広い通過帯域を得るにいたっていないものの従来の一次及び二次モ−ドの振動を利用する縦結合二重モ−ドSAWフィルタより通過帯域幅の広がる可能性のある神田等が研究中のXカットLiTaO3 基板上で一次及び三次モ−ドの振動を利用する縦結合二重モ−ドSAWフィルタ(文献:昭和63年電子情報通信学会春季全国大会予稿A−238)の電極構造を柴山らが発見した結合係数11%程度の64°Yカット−X方向伝搬LiNbO3 基板(文献:J.Appl.Phys., Vol.43,No.3,pp.856−862(1972))に適用し縦結合二重モ−ドリ−キ−SAWフィルタを構成することに想到した。しかしながら、この基板を利用してSAWデバイスを試作した例は殆どなく、ましてやこれを縦結合二重モ−ドSAWフィルタに適用せんとしたものは存在しないため、いかなる電極構成を採るべきかについては全く未知数であった。
【0007】
【発明の目的】 本発明は上述した如き従来一般に知られていたSAWフィルタの欠陥を一挙に解決し、1GHZ に近い高周波領域において4%にも及ぶ比帯域を有し且つ低損失の縦結合二重モ−ドSAWフィルタを実現することを目的とする。
【0008】
【発明の概要】 上述の目的を達成するため、本発明に係る縦結合二重モ−ドSAWフィルタは3個のIDTを励振するSAWの伝搬方向に沿って近接配置すると共にこれらIDT列の両側に反射器を配置し、前記3個のIDT相互の間の音響結合によって発生する一次及び3次の振動モ−ドを利用する二重モ−ドSAWフィルタに於いて、(1) 各IDT間々隔を一定の範囲まで近接せしめ、更には相対面するIDT最内側電極指同志を一体化せしめ、(2) 前述した64°Yカット−X方向伝搬LiNbO3 基板を用いた際の各IDTの電極指対数、IDT電極指及び反射器グレ−テイ ングの周期比及び電極膜厚の最適値を決定した、ものである。
【0009】
【実施例】 以下、本発明を図面に示した実施例及び実験データによって詳細に説明する。実施例の説明に先立って、本発明の理解を助けるため縦結合二重モードSAWフィルタの基本原理について少しく解説する。図11(a)及び(b)は夫々最も基本的な縦結合二重モードSAWフィルタの構成及び圧電気板上の振動エネルギ分布を示す図であって、圧電基板1表面に2個のIDT2、2をこれらが励起するSAWの伝搬方向3に沿って近接配置すると共にこれらIDT2、2の両側に反射器4、4を設け、前記IDT2、2内に夫々閉じ込められた振動(図示せず)を互いに音響結合せしめた結果発生する一次(対称)モードと二次(反対称)モードの2つの振動を利用して通過帯域フィルタを構成するものである。
【0010】この際一次モ−ド及び二次モ−ドの振動の共振周波数を夫々f1 及びf2 、フィルタの通過帯域幅をBとするとB≒2(f1 −f2 )、中心周波数がf1 となることは周知である。しかしながら前記f1 とf2 との差は前述した如く共振子の容量比に反比例するから同一タイプの共振子フィルタにおいて更に広い通過帯域幅を要求された場合には一次モ−ドと3次以上のモ−ドの振動を利用することになる。図12(a)及び(b)は夫々一次モ−ドと3次モ−ドの振動を利用する縦結合二重モ−ドSAWフィルタの基本的電極構成図及び振動エネルギの分布を示す図である。 このようなタイプのSAWフィルタにおいては圧電基板1上に3個のIDTをこれらが励起するSAWの伝搬方向に沿って配列するが、少なくとも中央のIDT5の両側に設ける6、6は同一電極対数としこれらの外側に反射器4、4を配置する。而して各IDT5及び6、6相互間の音響結合の結果発生する振動モ−ドは同図(b)に示すごとく一次、二次及び三次の3個のモ−ドとなるが本図(b)からも明らかなごとく二次モ−ドの振動は前記3個のIDT5及び6、6上でいずれもキャンセルされるから斯る電極構成を有するフィルタは一次及び三次モ−ドの振動の共振周波数f1 及びf3 を利用し、中心周波数f1 、通過帯域幅Bはf1 とf3 との差の1乃至2倍となるフィルタを構成することができる。
【0011】本発明に係る縦結合二重モ−ドSAWフィルタの原理は以上の如きものであるが、本願発明者はこれを特定の要求、例えば900MHZ 帯の携帯/自動車電話のRFフィルタの如く比帯域を3乃至4%、挿入損失2乃至35dBという極めて広帯域低損失のフィルタであって更にチュ−ニングなしで入出力インピ−ダンスを50Ωとしたいという要求に対しいかなる電極構成を採るべきかについて以下のごとき推論と実験を行った。
【0012】先ず、IDT間の音響結合を利用するタイプのフィルタは周知の如く複数のIDT間の感覚が音響結合の大小を決定し、これがフィルタの通過帯域幅に概ね比例する故、IDT間隔をIDT電極指の周期的配列をはずれて近接せしめることを考えた。このようなIDT感覚の変更は一般に共振子のインピ−ダンスの増大を招くものであるが64°Yカット−X伝搬LiNbO3 のごとく結合係数の大なる圧電基板を用いた共振子は元々インピ−ダンスが低いからIDT間隔を適宜変更しても重大な問題は生じないはずである。
【0013】そこで図1に示す如く64°Yカット−X伝搬LiNbO3 基板上に16対の中央IDT5を、その両側に夫々10対のIDT6、6を配置しIDT交叉幅を40λ、反射器4は左右夫々250本、A〓電極膜圧4%λの電極を形成し中心周波数881.5MHZ のフィルタ素子を試作し各IDTの最内側電極指中心間々隔〓のみを変化させた場合通過帯域幅Bがどのように変化するか実験すると共に理論計算も併せ行った。その結果図2に示す如くであって、〓の値がλ/2変化する毎に通過帯域幅のピ−クが出現することが判る。以上の結果を基に比帯域3乃至4%を満足する〓の範囲を考察するに、(n/2−1/3)λ<〓<(n/2−1/5)λであればよく、nの値としては、前述の通り通過帯域幅Bのピ−クがλ/2周期に現れることを勘案して〓=(n/2−1/4)λとした際のnと通過帯域幅Bとの関係を示す図3を参照して2≦n≦5であれば十分であろう。
【0014】ところでIDT間隔〓と通過帯域幅Bとの関係を示す図2を考察するに〓の値がλ/4の場合、即ちIDTの最内側電極指が密着した状態において最大の通過帯域幅Bを示すことが判る。 そこで〓=λ/4を実現し得るIDT電極構造を検討するに例えば図4の如くすれば良い。即ち、相隣接するIDT5及び6の相対面する最内側電極指夫々7及び8が接地するバスバ−夫々9及び10を設置したところ理論値にほぼ見合った通過帯域幅Bが実現し得ることを確認した。尚、上記のアイデアは図5に示す如く相隣接するIDT5及び6の相対面する最内側電極指の一方、例えば本実施例においてはIDT6のそれ8をIDT6のバスバ−10から切り離した方の電極指7と結合してもよい。 この際ホット端子とア−ス端子とが互いに交換し得ることは自明であろう。
【0015】尚、上記図5に示した実施例を本願発明に係る3個のIDTを近接配置した二重モ−ドSAWフィルタに適用する場合には、図6(a)及び(b)に示す如くλ/2幅の電極指11は中央IDT5の両側に付属せしめるか或は両側IDT6、6間に位置する中央IDT5との隣接面に付属せしめてIDT配列の中央に対し左右対称となるようにし反射するSAWの位相を合わせるようにすればよい。以上、一次及び三次モ−ドの振動を利用する二重モ−ドSAWフィルタの電極構造に関し64°Yカット−X方向伝搬LiNb3 基板を用いた実施例を以って説明したがこのような電極構造は上記特定の圧電基板のみならずその他の圧電基板を用いたフィルタについても同様に適用可能であることはいうまでもあるまい。
【0016】最後に900MHZ の携帯/自動車電話用RFフィルタに使用するため結合係数の大なる64°Yカット−X伝搬LiNbO3 基板を用い比帯域3乃至4%という広帯域低損失のフィルタを実現せんとする本願発明に係る二重モ−ド・リ−キ−SAWフィルタに於て、更に要求されている挿入損失2乃至3dB、チュ−ニング回路なしで入出力インピ−ダンス50Ωの条件を満足せしめるべく行った電極構成上の諸パラメ−タの最適化実験について以下に説明する。上述の付加された要求の内入出力インピ−ダンスを左右する要素は、中央IDT5を入出力IDTとするならばその電極指対数であり、このフィルタのスカ−ト特性をシャ−プにし減衰量を充分にとる為には、上述した如きフィルタ素子を2段縦続接続することを前提とすれば段間に整合回路(LまたはC)を要するか否かを決定するのは前記中央IDT5の両側に配置するIDT6、6の電極指対数である。 したがって量IDTの電極指対数の組合せを実験によって調べたところ図7に示すごとき結果を得た。
【0017】即ち、通常一般に使用可能な電極指交叉長の範囲(15λ乃至50λ)に於て中央IDT5の電極指対数が14対以下であると入出力インピ−ダンスが50Ωを越え、21対以下であると50Ω以下となる故結局中央IDT5の電極指対数は15乃至20の範囲になければならないことが判明した。 一方、両側IDT6、6についても夫々の電極指対数が7対以下であると段間にLを、13対以上であると段間にCを挿入しなければ通過帯域が平坦にならない故、両側IDT6、6の電極指対数は夫々8乃至12の範囲に選択すべきことが判明した。もっともこれら両者の組み合わせの内、組み合わせによっては上述した要求を満足し得ないものもあるが、一般には入出力端に或は段間にチュ−ニング回路の挿入が許される場合もあることを考慮すれば上述した電極指対数の許容範囲は充分に合理的なものである。
【0018】次に他の重要な要求項目である挿入損失の大小に関係するパラメ−タは電極(A〓)の膜厚であるので、中央IDT電極指16対、両側IDTの夫々10対、電極指交叉幅40λ、2段縦続接続の条件の下で電極膜厚を変化せしめた最挿入損失がどのように変化するか調べた結果を図8に示す、 もっとも電極膜厚は通過帯域幅Bに対して挿入損失の大小と同等の影響を及ぼすことは周知である故、これも併せて測定した。 即ち、図8から明らかなごとく比帯域3.5乃至4.5%、挿入損失2乃至3dBをともに満足する電極膜厚は励起するリ−キ−SAWの波長λの3乃至5%であることが判明した。 電極膜厚が3乃至5%λである場合IDT電極指周期LT と反射器グレ−テイ ングの周期LR との比LT /LR は理論上0.990乃至0.975とする必要がある。 斯くすることによって反射器の周波数に対する反射率最大の領域内に前述した一次及び3次モ−ド振動の共振周波数を位置せしめ最大の通過帯域幅Bを得ることができる。
【0019】以上説明した如く各種パラメ−タを選び更に反射器本数を左右250本としたフィルタ素子を図9に示す如く2段縦続した2重モ−ドリ−キ−SAWフィルタは図10に示す如く中心周波数881.5MHz、比帯域3.9%、挿入損失2dBの極めて広帯域且つ低損失のフィルタとなり厖大なチャンネル数を要求される900MHz帯の携帯/自動車電話用RFフィルタ等の要求を満足するものでる。しかもフィルタ入出力端及びフィルタ素子段間にチュ−ニング回路を挿入することなくインピ−ダンスを50Ωに合わせ得る故、超小型化が厳しく要求されるこれら通信機の部品として殊に好適である。
【0020】
【発明の効果】本発明に係るフィルタは以上説明した如く構成するものであるから今後殊に重要性を増す1GHzに近い高周波帯域に於いて多数のチャンネルを許容すべく極めて広い比帯域を有することが必須要件となる公衆通信用無線装置等のRFフィルタを低損失且つ小型に実現する上で著しい効果を発揮する。
【0021】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る縦結合二重モ−ドSAWフィルタの基本構成を示す構成図。
【図2】縦結合二重モ−ドSWフィルタのIDT間隔lと通過帯域幅B(比帯域)との関係を示す理論及び実験結果の図。
【図3】IDT間隔lを{(n/2)−(1/4)}λとした場合nの値と通過帯域幅B(比帯域)との関係を示す図。
【図4】本発明に係るフィルタに於いて使用するIDT最内側電極指構造の一実施例を示す構成図。
【図5】本発明に係るフィルタに於いて使用するIDT最内側電極指構造の他の実施例を示す構成図。
【図6】(a)は本発明に係るフィルタに於いて使用するIDT最内側電極指配列の一実施例を示す構成図、(b)は他の実施例を示す構成図。
【図7】中央IDTとその両側IDTの電極指対数の最適組合わせを求める為に行った実験結果を示す図。
【図8】IDT電極指電極膜厚と挿入損失及び比帯域との関係を示す実験結果の図
【図9】本発明に係る二段縦続接続二重モ−ドリキ−SAWフィルタの構成図。
【図10】図9に示したフィルタの特性図。
【図11】(a)は一次及び二次モ−ド振動を利用する縦結合二重モ−ドSAWフィルタの構成図、(b)はその使用すべきモ−ドの振動のエネルギ分布を示す図。
【図12】(a)は一次及び三次モ−ド振動を利用する縦結合二重モ−ドSAWフィルタの構成図、(b)はその使用すべきモ−ドの振動のエネルギ分布を示す図。
【0022】
【符号の説明】
1・・・圧電基板、 2、5及び6・・・IDT、 4・・・反射器、7、8・・・最内側電極指、 l・・・最内側電極指間隔
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明はSAWフィルタ、殊に1GHZ に近い高周波領域に於て極めて広帯域且つ低損失性能を実現せんとする縦結合二重モ−ドSAWフィルタに関する。
【0002】
【従来技術】 VHF〜UHF帯の高周波領域に於て使用する広帯域低損失のフィルタとしては従来から一方向性IDTを利用したトランスバ−サルSAWフィルタあるいはマルチIDTを用いたSAWフィルタが広く用いられてきた。前者はフィルタの周波数特性に対する設計の自由度が高いという利点はあるが、フィルタ素子に移相器の付加を必要としたり(グル−プ型一方向性IDT或は3相一方向性IDTを用いる場合)製造の歩留に問題を生じたりすると云う欠陥がある上励振したSAWの方向性損失が少なくなくフィルタの低損失化の点でも未だ満足すべきものではなかった。
【0003】一方、後者、即ちマルチIDTを利用したSAWフィルタは9組以上のIDTを並べれば方向性損失も1dB次下となりフィルタの低損失化は実現し得るものの電極対数の増大によりフィルタ素子サイズが大型化するのみならずIDT内部に於けるSAWの反射増大に起因するスプリアスが多数出現しフィルタの阻止域減衰量が不足するという欠陥があった。
【0004】上述の如きタイプのフィルタに対し従前より多重モ−ドSAWフィルタと称する共振子型のSAWフィルタとして大別して横結合二重モ−ドSAWフィルタ(例えば特公平2−16613を参照されたい)と縦結合二重モ−ドSAWフィルタ(文献:田中ら、第15回EMシンポジュ−ム、pp.5−10(1986)とがあるが、いずれも複数のIDTを近接配置し、これらが励振するSAWが互いに音響結合した際に生ずるモ−ドの異なった2つの波動(対称モ−ドと反対称モ−ドと称する)の共振周波差がフィルタの通過帯域幅を決定するものであってフィルタの低損失化を図る上では前述したタイプのフィルタより優れているが、通過帯域幅が共振子の容量比の制約を受ける為広帯域フィルタへの適用に難点があった。
【0005】例えば結合係数が比較的大(5%)なる36°Yカット−X伝搬のLiTaO3 基板を用いて縦結合二重モ−ドSAWフィルタを構成しても中心周波数に対して高々2%前後の通過帯域幅を有するものにしかならず、一方、清水らが発見した結合係数が極めて大(30%)なるYカット−X方向伝搬LiNbO3 基板を用いAu電極にてラブ波を励振する所謂ラブ波共振子(文献:信学技法、US86−37(1986)を用いれば共振子の容量比は極めて小さく(約3)なり極めて広帯域低損失フィルタが実現可能かと思われたが、結合係数が過大であることから各IDT内に振動エネルギがほぼ完全に閉じ込められ相互の音響結合が十分に発生せず、かえってフィルタの通過帯域が狭くなることが判明した。
【0006】そこで本願発明者は未ださほど広い通過帯域を得るにいたっていないものの従来の一次及び二次モ−ドの振動を利用する縦結合二重モ−ドSAWフィルタより通過帯域幅の広がる可能性のある神田等が研究中のXカットLiTaO3 基板上で一次及び三次モ−ドの振動を利用する縦結合二重モ−ドSAWフィルタ(文献:昭和63年電子情報通信学会春季全国大会予稿A−238)の電極構造を柴山らが発見した結合係数11%程度の64°Yカット−X方向伝搬LiNbO3 基板(文献:J.Appl.Phys., Vol.43,No.3,pp.856−862(1972))に適用し縦結合二重モ−ドリ−キ−SAWフィルタを構成することに想到した。しかしながら、この基板を利用してSAWデバイスを試作した例は殆どなく、ましてやこれを縦結合二重モ−ドSAWフィルタに適用せんとしたものは存在しないため、いかなる電極構成を採るべきかについては全く未知数であった。
【0007】
【発明の目的】 本発明は上述した如き従来一般に知られていたSAWフィルタの欠陥を一挙に解決し、1GHZ に近い高周波領域において4%にも及ぶ比帯域を有し且つ低損失の縦結合二重モ−ドSAWフィルタを実現することを目的とする。
【0008】
【発明の概要】 上述の目的を達成するため、本発明に係る縦結合二重モ−ドSAWフィルタは3個のIDTを励振するSAWの伝搬方向に沿って近接配置すると共にこれらIDT列の両側に反射器を配置し、前記3個のIDT相互の間の音響結合によって発生する一次及び3次の振動モ−ドを利用する二重モ−ドSAWフィルタに於いて、(1) 各IDT間々隔を一定の範囲まで近接せしめ、更には相対面するIDT最内側電極指同志を一体化せしめ、(2) 前述した64°Yカット−X方向伝搬LiNbO3 基板を用いた際の各IDTの電極指対数、IDT電極指及び反射器グレ−テイ ングの周期比及び電極膜厚の最適値を決定した、ものである。
【0009】
【実施例】 以下、本発明を図面に示した実施例及び実験データによって詳細に説明する。実施例の説明に先立って、本発明の理解を助けるため縦結合二重モードSAWフィルタの基本原理について少しく解説する。図11(a)及び(b)は夫々最も基本的な縦結合二重モードSAWフィルタの構成及び圧電気板上の振動エネルギ分布を示す図であって、圧電基板1表面に2個のIDT2、2をこれらが励起するSAWの伝搬方向3に沿って近接配置すると共にこれらIDT2、2の両側に反射器4、4を設け、前記IDT2、2内に夫々閉じ込められた振動(図示せず)を互いに音響結合せしめた結果発生する一次(対称)モードと二次(反対称)モードの2つの振動を利用して通過帯域フィルタを構成するものである。
【0010】この際一次モ−ド及び二次モ−ドの振動の共振周波数を夫々f1 及びf2 、フィルタの通過帯域幅をBとするとB≒2(f1 −f2 )、中心周波数がf1 となることは周知である。しかしながら前記f1 とf2 との差は前述した如く共振子の容量比に反比例するから同一タイプの共振子フィルタにおいて更に広い通過帯域幅を要求された場合には一次モ−ドと3次以上のモ−ドの振動を利用することになる。図12(a)及び(b)は夫々一次モ−ドと3次モ−ドの振動を利用する縦結合二重モ−ドSAWフィルタの基本的電極構成図及び振動エネルギの分布を示す図である。 このようなタイプのSAWフィルタにおいては圧電基板1上に3個のIDTをこれらが励起するSAWの伝搬方向に沿って配列するが、少なくとも中央のIDT5の両側に設ける6、6は同一電極対数としこれらの外側に反射器4、4を配置する。而して各IDT5及び6、6相互間の音響結合の結果発生する振動モ−ドは同図(b)に示すごとく一次、二次及び三次の3個のモ−ドとなるが本図(b)からも明らかなごとく二次モ−ドの振動は前記3個のIDT5及び6、6上でいずれもキャンセルされるから斯る電極構成を有するフィルタは一次及び三次モ−ドの振動の共振周波数f1 及びf3 を利用し、中心周波数f1 、通過帯域幅Bはf1 とf3 との差の1乃至2倍となるフィルタを構成することができる。
【0011】本発明に係る縦結合二重モ−ドSAWフィルタの原理は以上の如きものであるが、本願発明者はこれを特定の要求、例えば900MHZ 帯の携帯/自動車電話のRFフィルタの如く比帯域を3乃至4%、挿入損失2乃至35dBという極めて広帯域低損失のフィルタであって更にチュ−ニングなしで入出力インピ−ダンスを50Ωとしたいという要求に対しいかなる電極構成を採るべきかについて以下のごとき推論と実験を行った。
【0012】先ず、IDT間の音響結合を利用するタイプのフィルタは周知の如く複数のIDT間の感覚が音響結合の大小を決定し、これがフィルタの通過帯域幅に概ね比例する故、IDT間隔をIDT電極指の周期的配列をはずれて近接せしめることを考えた。このようなIDT感覚の変更は一般に共振子のインピ−ダンスの増大を招くものであるが64°Yカット−X伝搬LiNbO3 のごとく結合係数の大なる圧電基板を用いた共振子は元々インピ−ダンスが低いからIDT間隔を適宜変更しても重大な問題は生じないはずである。
【0013】そこで図1に示す如く64°Yカット−X伝搬LiNbO3 基板上に16対の中央IDT5を、その両側に夫々10対のIDT6、6を配置しIDT交叉幅を40λ、反射器4は左右夫々250本、A〓電極膜圧4%λの電極を形成し中心周波数881.5MHZ のフィルタ素子を試作し各IDTの最内側電極指中心間々隔〓のみを変化させた場合通過帯域幅Bがどのように変化するか実験すると共に理論計算も併せ行った。その結果図2に示す如くであって、〓の値がλ/2変化する毎に通過帯域幅のピ−クが出現することが判る。以上の結果を基に比帯域3乃至4%を満足する〓の範囲を考察するに、(n/2−1/3)λ<〓<(n/2−1/5)λであればよく、nの値としては、前述の通り通過帯域幅Bのピ−クがλ/2周期に現れることを勘案して〓=(n/2−1/4)λとした際のnと通過帯域幅Bとの関係を示す図3を参照して2≦n≦5であれば十分であろう。
【0014】ところでIDT間隔〓と通過帯域幅Bとの関係を示す図2を考察するに〓の値がλ/4の場合、即ちIDTの最内側電極指が密着した状態において最大の通過帯域幅Bを示すことが判る。 そこで〓=λ/4を実現し得るIDT電極構造を検討するに例えば図4の如くすれば良い。即ち、相隣接するIDT5及び6の相対面する最内側電極指夫々7及び8が接地するバスバ−夫々9及び10を設置したところ理論値にほぼ見合った通過帯域幅Bが実現し得ることを確認した。尚、上記のアイデアは図5に示す如く相隣接するIDT5及び6の相対面する最内側電極指の一方、例えば本実施例においてはIDT6のそれ8をIDT6のバスバ−10から切り離した方の電極指7と結合してもよい。 この際ホット端子とア−ス端子とが互いに交換し得ることは自明であろう。
【0015】尚、上記図5に示した実施例を本願発明に係る3個のIDTを近接配置した二重モ−ドSAWフィルタに適用する場合には、図6(a)及び(b)に示す如くλ/2幅の電極指11は中央IDT5の両側に付属せしめるか或は両側IDT6、6間に位置する中央IDT5との隣接面に付属せしめてIDT配列の中央に対し左右対称となるようにし反射するSAWの位相を合わせるようにすればよい。以上、一次及び三次モ−ドの振動を利用する二重モ−ドSAWフィルタの電極構造に関し64°Yカット−X方向伝搬LiNb3 基板を用いた実施例を以って説明したがこのような電極構造は上記特定の圧電基板のみならずその他の圧電基板を用いたフィルタについても同様に適用可能であることはいうまでもあるまい。
【0016】最後に900MHZ の携帯/自動車電話用RFフィルタに使用するため結合係数の大なる64°Yカット−X伝搬LiNbO3 基板を用い比帯域3乃至4%という広帯域低損失のフィルタを実現せんとする本願発明に係る二重モ−ド・リ−キ−SAWフィルタに於て、更に要求されている挿入損失2乃至3dB、チュ−ニング回路なしで入出力インピ−ダンス50Ωの条件を満足せしめるべく行った電極構成上の諸パラメ−タの最適化実験について以下に説明する。上述の付加された要求の内入出力インピ−ダンスを左右する要素は、中央IDT5を入出力IDTとするならばその電極指対数であり、このフィルタのスカ−ト特性をシャ−プにし減衰量を充分にとる為には、上述した如きフィルタ素子を2段縦続接続することを前提とすれば段間に整合回路(LまたはC)を要するか否かを決定するのは前記中央IDT5の両側に配置するIDT6、6の電極指対数である。 したがって量IDTの電極指対数の組合せを実験によって調べたところ図7に示すごとき結果を得た。
【0017】即ち、通常一般に使用可能な電極指交叉長の範囲(15λ乃至50λ)に於て中央IDT5の電極指対数が14対以下であると入出力インピ−ダンスが50Ωを越え、21対以下であると50Ω以下となる故結局中央IDT5の電極指対数は15乃至20の範囲になければならないことが判明した。 一方、両側IDT6、6についても夫々の電極指対数が7対以下であると段間にLを、13対以上であると段間にCを挿入しなければ通過帯域が平坦にならない故、両側IDT6、6の電極指対数は夫々8乃至12の範囲に選択すべきことが判明した。もっともこれら両者の組み合わせの内、組み合わせによっては上述した要求を満足し得ないものもあるが、一般には入出力端に或は段間にチュ−ニング回路の挿入が許される場合もあることを考慮すれば上述した電極指対数の許容範囲は充分に合理的なものである。
【0018】次に他の重要な要求項目である挿入損失の大小に関係するパラメ−タは電極(A〓)の膜厚であるので、中央IDT電極指16対、両側IDTの夫々10対、電極指交叉幅40λ、2段縦続接続の条件の下で電極膜厚を変化せしめた最挿入損失がどのように変化するか調べた結果を図8に示す、 もっとも電極膜厚は通過帯域幅Bに対して挿入損失の大小と同等の影響を及ぼすことは周知である故、これも併せて測定した。 即ち、図8から明らかなごとく比帯域3.5乃至4.5%、挿入損失2乃至3dBをともに満足する電極膜厚は励起するリ−キ−SAWの波長λの3乃至5%であることが判明した。 電極膜厚が3乃至5%λである場合IDT電極指周期LT と反射器グレ−テイ ングの周期LR との比LT /LR は理論上0.990乃至0.975とする必要がある。 斯くすることによって反射器の周波数に対する反射率最大の領域内に前述した一次及び3次モ−ド振動の共振周波数を位置せしめ最大の通過帯域幅Bを得ることができる。
【0019】以上説明した如く各種パラメ−タを選び更に反射器本数を左右250本としたフィルタ素子を図9に示す如く2段縦続した2重モ−ドリ−キ−SAWフィルタは図10に示す如く中心周波数881.5MHz、比帯域3.9%、挿入損失2dBの極めて広帯域且つ低損失のフィルタとなり厖大なチャンネル数を要求される900MHz帯の携帯/自動車電話用RFフィルタ等の要求を満足するものでる。しかもフィルタ入出力端及びフィルタ素子段間にチュ−ニング回路を挿入することなくインピ−ダンスを50Ωに合わせ得る故、超小型化が厳しく要求されるこれら通信機の部品として殊に好適である。
【0020】
【発明の効果】本発明に係るフィルタは以上説明した如く構成するものであるから今後殊に重要性を増す1GHzに近い高周波帯域に於いて多数のチャンネルを許容すべく極めて広い比帯域を有することが必須要件となる公衆通信用無線装置等のRFフィルタを低損失且つ小型に実現する上で著しい効果を発揮する。
【0021】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る縦結合二重モ−ドSAWフィルタの基本構成を示す構成図。
【図2】縦結合二重モ−ドSWフィルタのIDT間隔lと通過帯域幅B(比帯域)との関係を示す理論及び実験結果の図。
【図3】IDT間隔lを{(n/2)−(1/4)}λとした場合nの値と通過帯域幅B(比帯域)との関係を示す図。
【図4】本発明に係るフィルタに於いて使用するIDT最内側電極指構造の一実施例を示す構成図。
【図5】本発明に係るフィルタに於いて使用するIDT最内側電極指構造の他の実施例を示す構成図。
【図6】(a)は本発明に係るフィルタに於いて使用するIDT最内側電極指配列の一実施例を示す構成図、(b)は他の実施例を示す構成図。
【図7】中央IDTとその両側IDTの電極指対数の最適組合わせを求める為に行った実験結果を示す図。
【図8】IDT電極指電極膜厚と挿入損失及び比帯域との関係を示す実験結果の図
【図9】本発明に係る二段縦続接続二重モ−ドリキ−SAWフィルタの構成図。
【図10】図9に示したフィルタの特性図。
【図11】(a)は一次及び二次モ−ド振動を利用する縦結合二重モ−ドSAWフィルタの構成図、(b)はその使用すべきモ−ドの振動のエネルギ分布を示す図。
【図12】(a)は一次及び三次モ−ド振動を利用する縦結合二重モ−ドSAWフィルタの構成図、(b)はその使用すべきモ−ドの振動のエネルギ分布を示す図。
【0022】
【符号の説明】
1・・・圧電基板、 2、5及び6・・・IDT、 4・・・反射器、7、8・・・最内側電極指、 l・・・最内側電極指間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧電基板上に3個のインタデイ ジタルトランスジュ−サ(IDT)電極をこれらIDTが励振又は受信する弾性表面波(SAW)の伝搬方向に沿って配置し、更にその両側に反射器を設け、励振したSAWの振動エネルギを前記3個のIDT内にほぼ閉じ込めると共にこれら各振動の前記IDT間における音響結合によって発生する1次及び3次の2つの振動モ−ドを利用する二重モ−ドフィルタにおいて、前記各IDTが互いに対面する最内側電極指の中心間々隔〓を前記各IDTの電極指周期LT (励起されるSAWの波長λと実質的に等しい)に対して(n/2−1/3)λ<〓<(n/2−1/5)λ (但し n=2〜5)としたことを特徴とする縦結合二重モ−ドSAWフィルタ。
【請求項2】 前記最内側電極指中心間々隔〓をλ/4とすることによって互に対面するIDT最内側電極指同志を密着し幅λ/2の電極指を構成しこれを接地するか或は互に相隣接するIDTの一方の最内側電極指幅をλ/2とすると共にこれらIDT相互の中心間距離をIDTの周期的配置からλ/4だけ偏位せしめたことを特徴とする請求項1記載の縦結合二重モ−ドSAWフィルタ。
【請求項3】 前記圧電基板を結合係数の大なる64°Yカット−X方向伝搬のLiNbO3 基板とし、前記3個のIDTの内中央のそれの電極対数を15乃至20対、両側のそれを夫々8乃至12対、前記IDT電極指の周期LT /LR を0.990乃至0.975、且つA〓電極膜厚Hを励振されるリ−キ−SAWの波長λの3乃至5%としたことを特徴とする請求項1又は2記載の縦結合二重モ−ドSAWフィルタ。
【請求項1】 圧電基板上に3個のインタデイ ジタルトランスジュ−サ(IDT)電極をこれらIDTが励振又は受信する弾性表面波(SAW)の伝搬方向に沿って配置し、更にその両側に反射器を設け、励振したSAWの振動エネルギを前記3個のIDT内にほぼ閉じ込めると共にこれら各振動の前記IDT間における音響結合によって発生する1次及び3次の2つの振動モ−ドを利用する二重モ−ドフィルタにおいて、前記各IDTが互いに対面する最内側電極指の中心間々隔〓を前記各IDTの電極指周期LT (励起されるSAWの波長λと実質的に等しい)に対して(n/2−1/3)λ<〓<(n/2−1/5)λ (但し n=2〜5)としたことを特徴とする縦結合二重モ−ドSAWフィルタ。
【請求項2】 前記最内側電極指中心間々隔〓をλ/4とすることによって互に対面するIDT最内側電極指同志を密着し幅λ/2の電極指を構成しこれを接地するか或は互に相隣接するIDTの一方の最内側電極指幅をλ/2とすると共にこれらIDT相互の中心間距離をIDTの周期的配置からλ/4だけ偏位せしめたことを特徴とする請求項1記載の縦結合二重モ−ドSAWフィルタ。
【請求項3】 前記圧電基板を結合係数の大なる64°Yカット−X方向伝搬のLiNbO3 基板とし、前記3個のIDTの内中央のそれの電極対数を15乃至20対、両側のそれを夫々8乃至12対、前記IDT電極指の周期LT /LR を0.990乃至0.975、且つA〓電極膜厚Hを励振されるリ−キ−SAWの波長λの3乃至5%としたことを特徴とする請求項1又は2記載の縦結合二重モ−ドSAWフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
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【図11】
【図12】
【図10】
【公開番号】特開平5−267990
【公開日】平成5年(1993)10月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−234151
【出願日】平成3年(1991)8月21日
【出願人】(000003104)東洋通信機株式会社 (1,528)
【公開日】平成5年(1993)10月15日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)8月21日
【出願人】(000003104)東洋通信機株式会社 (1,528)
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