説明

缶容器及び缶容器梱包体

【課題】搬送時等の振動によってダンボール箱の内壁が接触して擦れることにより印字が消えてしまないようにした缶容器及び該缶容器をダンボール箱に梱包した缶容器梱包体を提供する。
【解決手段】この缶容器1は、缶底の中央にあって外側に突出した中央凸部10と、該中央凸部の外周にあって内側にへこんだ中間凹部12と、この中間凹部の更に外周にあって外側に突出した外周凸部14とを有する形状の缶底を備えている。そして、前記中間凹部に、内容物に関する情報を表示する、インクによる印字Pが施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶底に賞味期限、製造年月日等の内容物に関する情報を印字した缶容器及び該缶容器をダンボール箱に梱包した缶容器梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、缶詰等の缶容器入り製品においては、例えば賞味期限、製造年月日等の内容物に関する情報が、プレスによる凹凸文字や、インクジェット印刷機等による印字によって表示されている。プレスによる凹凸文字は消えにくい点では優れているが、一度プレスしてしまうと変更することができないので、生産の直前で印字内容を変えることは困難である。インクジェット印刷は、生産の直前で手軽に印字することができ、必要があれば消して書き直すこともできるので作業性に優れている。
【0003】
例えば特許文献1(特開2005-324816号公報)には、缶蓋本体に開缶用スコアを破断するためのタブが固定された易開封性の缶蓋において、前記タブの位置を基準にして所定位置にインクジェット印刷による印字情報が付されていることを特徴とする缶蓋が開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開平6−156503号公報)には、溶接缶胴の装飾印刷が施されていない溶接継目とその両側の細長い領域(非装飾印刷領域)の一部に、少なくとも溶接装置のライン名と溶接した年月日および10分単位以下の時刻を表示する印字を印刷し、この印字印刷面の上を透明塗膜で保護被覆した溶接缶胴が開示されている。
【0005】
更に、特許文献3(特開平11−124142号公報)には、缶胴と缶底とが連続した一体構造の缶体と、缶胴の上部に巻き締められた缶蓋とを備えた2ピース缶において、前記缶胴の側壁下端から缶底の接地凸部先端までのテーパ状周壁部分を印字領域として設定し、この印字領域に前記缶体の製造に関する印字した2ピース缶が開示されている。
【0006】
このような2ピース缶は、炭酸飲料等の加圧性を有する内容物に主に用いられ、缶底のドーム形状は、缶の耐圧加工の1種である。そのため缶材の厚さを薄くすることができる利点がある。
【0007】
また、図5(a)、(b)には従来の缶容器の一例が示されている。この缶容器は、缶底の中央に設けられた外側に突出した中央凸部20と、該中央凸部20の外周に設けられた傾斜部21と、その更に外周に設けられた内側にへこんだ外周凹部22とを有し、缶底の外周は周壁と連結する巻締め部23をなしている。そして、上記中央凸部20に印字Pが施されている。
【0008】
図6(a)、(b)には従来の缶容器の他の例が示されている。この缶容器は、缶底の中央に設けられた内側にへこんだ中央凹部30と、該中央凹部30の外周に設けられた傾斜部31と、この傾斜部31の外周に設けられた外側に突出した中間凸部32と、その更に外周に設けられた傾斜部33、34からなる環状凹部37と、その更に外周に設けられた凸部35とを有し、缶底の外周は周壁と連結する巻締め部36をなしている。そして、上記中央凹部30に印字Pが施されている。
【特許文献1】特開2005-324816号公報
【特許文献2】特開平6−156503号公報
【特許文献3】特開平11−124142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1に開示されている技術では、タブを有する開缶側の蓋板に印字を施すため、タブを空けて蓋板に口を付けて内容物を飲んだりするときに、印字に使用したインク成分が体内に入ってしまうことが懸念される。また、タブに対して所定の位置に印字するため、印刷時に缶を所定の角度に位置決めする必要がある。また、消費者が内容物を飲む際に、目にする場所に印字部分があるため、美観上好ましくない。
【0010】
また、上記特許文献2に開示されている技術では、溶接継目とその両側の細長い領域の一部に印字が印刷されているため読みにくく、印字の消失防止のため印刷面上を透明塗膜で保護被覆する工程を要するという問題がある。
【0011】
また、上記特許文献3に開示されている技術では、印字が消失されにくい缶底の接地凸部先端までのテーパ状周壁部分とドーム状の缶底を印字領域として設定されている。しかし、テーパ状周壁部分では、製品搬送時等の振動により、ダンボールと接触しやすいので印字が消失しやすいと考えられ、ドーム状缶底では、印字領域が平面ではないので印字しにくいという問題がある。
【0012】
更に、缶底がドーム形状であると、缶を箱詰めした際にできる箱中の空隙が増し、運搬費用がかかるという問題点もある。
【0013】
一方、図5に示される従来例では、印字が外側に突出した中央凸部20に施されているので、ダンボール箱に入れて搬送したりするときに、ダンボール箱の内壁面が中央凸部20に接触して擦れやすく、印字Pが消えてしまうことがあるという問題点がある。
【0014】
また、図6に示される従来例は、内側にへこんだ中央凹部30に印字Pが施されているので、図5の従来例に比べると、擦れによる印字Pの消失の虞れは少なくなるが、中央凹部30は、缶容器等の重みや搬送時の振動が加わったとき、ダンボール箱の内壁がたわんで最も深く入る位置となるため、擦れによって印字Pが消えてしまう可能性がないとは言えなかった。
【0015】
したがって、本発明の目的は、搬送時等の振動によってダンボール箱の内壁が接触して擦れることにより印字が消えてしまわないようにした缶容器及び該缶容器をダンボール箱に梱包した缶容器梱包体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の缶容器は、缶底の中央にあって外側に突出した中央凸部と、該中央凸部の外周にあって内側にへこんだ中間凹部と、この中間凹部の更に外周にあって外側に突出した外周凸部とを有する形状の缶底を備え、前記中間凹部に、内容物に関する情報を表示する、インクによる印字が施されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の缶容器によれば、ダンボール箱等の梱包材に収納して搬送する際、振動によって梱包材の内壁が缶底の中央部に入り込んで接触しても、中央凸部が梱包材の内壁に当接して中間凹部に入り込むことを阻止するため、中間凹部に表示された印字が梱包材に接触して擦れることがほとんどなく、印字が消えてしまうという不都合を解消できる。
【0018】
また、本発明の缶容器は、缶底がドーム形状より缶を箱詰めした際にできる箱中の空隙が少ないので、運搬費用を軽減することができる。
【0019】
本発明の缶容器においては、前記中央凸部の外径が25〜35mmであり、前記中間凹部の幅が15〜25mmであることが好ましい。これによれば、中央凸部が梱包材と十分な広さで接触すると共に、中間凹部の幅がそれほど広くないので、梱包材が中間凹部に入り込むことをより効果的に防止でき、梱包材との擦れによる印字の消失をより確実に防止することができる。
【0020】
また、前記中間凹部の、前記中央凸部に対する深さが0.5〜5mmであることが好ましい。これによれば、梱包材が中間凹部に入り込んでも、中央凸部に対する深さが上記の範囲となっているので、中間凹部の底面に梱包材が接触することをより確実に防止できる。
【0021】
更に、缶底の直径が80〜120mmであることが好ましい。これによれば、梱包材がたわんで缶底に接触しやすい直径であるにもかかわらず、本発明の構造を採用することによって印字の消失を防止することができる。
【0022】
更に、缶底の周囲と、缶周壁下縁部とを連結する巻締め部の突出端部が、前記中央凸部よりも更に2〜5mm下方に突出していることが好ましい。これによれば、巻締め部が中央凸部よりも上記範囲で下方に突出しているので、梱包材が中間凹部に対して更に接触しにくくなり、印字の消失をより効果的に防止できる。
【0023】
更に、本発明の缶容器梱包体は、前記缶容器に所定の内容物を収容し、該缶容器を複数個ずつダンボール箱に梱包したことを特徴とする。
【0024】
本発明の缶容器梱包体によれば、缶容器の重さによってたわみやすく、缶底に接触しやすいダンボール箱に梱包した梱包体であっても、ダンボール箱の下面が缶容器の缶底にある中間凹部に接触することが防止されるので、該中間凹部に施された印字が消失するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1は缶容器の分解斜視図、図2(a)は缶容器の底面図、同図(b)は缶容器の要部断面図、図3は缶容器を梱包した缶容器梱包体の断面図、図4は缶容器梱包体の部分拡大断面図、図5(a)は従来の缶容器の一例を示す底面図、同図(b)は同缶容器の要部断面図、図6(a)は従来の缶容器の他の例を示す底面図、同図(b)は缶容器の要部断面図である。
【0026】
図1において、この缶容器1は、円筒状の周壁4と、この周壁4の一方の端面に取付けられた上蓋3と、周壁4の他方の端面に取付けられた底蓋5とを有している。また、この缶容器1には、上蓋3の外側に被せられる合成樹脂製の密封蓋2が、別体で取付けられるようになっている。上蓋3と底蓋5は、周壁4に巻締め部23を介して連結されている。上蓋3には、図示していないが、タブが取付けられていて、このタブを引き起こして引っ張り上げると、巻締め部23の内周部分で上蓋3が円形にカットされて外れ、開缶できるようになっている。なお、缶容器1の形状は、円筒状に限らず、角筒状や、楕円筒状等であってもよい。
【0027】
缶容器1の材質としては、アルミニウム、ステンレス、ブリキ、スチール等の金属が好ましく用いられるが、厚紙、合成樹脂等の材質からなるものであってもよい。缶容器1の表面には、印刷、ラベル貼付などの手段によって、内容物についての説明や装飾が施されてよいことは勿論である。
【0028】
缶容器1の内容物は、特に限定されず、固体、半固体、液体、気体、粉体、粒状体等のいずれでもよいが、加圧性でない内容物が好ましい。例えば、粉ミルク、粉状の食品、粉状の健康食品等の粉状飲食品、粉状の医薬品、水及び果汁など加圧性でない液体、玩具、生活雑貨品、装身具、宝飾品、産業用部品類など様々なものが対象物として含まれる。
【0029】
密封蓋2は、上蓋3の外周の巻締め部23に嵌合する内周形状をなし、缶を開封後に内容物が漏れ出さないように開缶部を密封する蓋として用いられ、何度でも繰り返し使用することが可能である。なお、密封蓋2は、本発明において必ずしも必要なものではない。
【0030】
本発明の特徴は、缶容器1の底蓋5の形状にある。すなわち、缶容器1の周壁4の下縁部に巻締め部23を介して連結された底蓋5は、図2(a)、(b)に示されるように、缶底の中央にあって外側に突出した中央凸部10と、この中央凸部10の外周にあって傾斜部11を介して内側にへこんだ中間凹部12と、この中間凹部12の更に外周にあって傾斜部13を介して再び外側に突出した外周凸部14とを有している。また、巻締め部23は、中央凸部10及び外周凸部14よりも、更に下方に突出している。
【0031】
そして、上記中間凹部12に、内容物に関する情報を表示する、インクによる印字Pが施されている。上記印字Pにより、消費者及び製造者は缶底を見るだけで内容物に関する情報を容易に確認することができる。印字Pは缶底に表示されているので、消費者の口や手などが接触することが少なく、口や手などに付着したインクが体内へ取り込まれる虞れがない。また、上記印字Pは缶底にあるため、消費者が内容物を飲む際に、全く目にすることがなく、美観上好ましい。
【0032】
前記内容物に関する印字Pは、その内容について特に限定されないが、例えば、アルファベットや数字を用い、賞味期限、製造工場,製造ライン,製造年月日,製造時刻,製造機械の固有番号等をそれぞれ記号化して表示したものなどが挙げられる。図2(a)の実施形態における印字Pは、上段に賞味期限が表示され、下段には、アルファベットで記号化された内容物の情報が記載されている。
【0033】
印字Pを施す手段としては、特に限定されないが、手軽に印字でき、作業性がよいことから、インクジェットプリンターが好ましく使用される。インクジェットプリンター等を用いて印字することによって、印字Pの変更がきわめて容易となり、賞味期限、製造年月日,製造ライン,製造機械の固有番号はもとより、製造時間についても分単位の印字内容が製造中の工程内で変更できる。
【0034】
また、図2(a)の実施形態では、直線状に2段で印字Pを施しているが、中間凹部12の円周に沿って円弧状に印字Pを施してもよい。また、印字Pの段数は、文字の大きさを変更することで、任意に設定することができる。
【0035】
また、一度印字を施した場合であっても、インクによる印字であるため、印字を消した後に再度別の印字を施すことも可能である。
【0036】
内容物に関する印字Pは、缶底部の中間凹部12であれば円周上のどの位置に印字してもよい。よって、製造ラインで印字するとき、インクジェットのインク吐出ノズルに対する缶容器1の位置決めが容易である。
【0037】
また、前記缶容器の底形状は、図2(b)で示されるように中央凸部10の外径(C)が25〜35mmであり、中間凹部12の幅(A)が15〜25mmであることが好ましく、より好ましくは、中央凸部10の外径(C)が28〜32mmであり、中間凹部12の幅(A)が16〜20mmである。
【0038】
この中央凸部10の外径(C)が35mmより大きいと、梱包材が中間凹部12に入り込むことを防止する効果はそれほど向上せずに、中間凹部12の幅が狭められてしまうので、印字Pを施すスペースが小さくなってしまう。また、外径(C)が25mmより小さいと、中央凸部10によって梱包材を押える面積が不足して、梱包材が中間凹部12に入り込んで接触しやすくなる傾向がある。
【0039】
一方、中間凹部12の幅(A)が25mmより大きいと、中央凸部10によって梱包材を押えても、その外側で梱包材がたわみ、広い幅の中間凹部12に入り込んで接触しやすくなる傾向がある。また、中間凹部12の幅(A)が15mmより小さいと、内容物情報を中間凹部12に印字するのが困難になる。
【0040】
また、中間凹部12の、中央凸部10に対する深さ(B)が0.5〜5mmであることが好ましく、0.5〜1.5mmであることがより好ましい。
【0041】
この中間凹部12の中央凸部10に対する深さ(B)が0.5mmより小さいと、中央凸部10と中間凹部12との段差があまりないので、梱包材と中間凹部12とが接触しやすくなり、深さ(B)が5mmより大きいと、底蓋5のプレス加工や、取り扱いがやや難しくなり、缶容器の内容量も減少するというデメリットがある。
【0042】
また、缶底の直径(E)が80〜120mmであることが好ましく、95〜105mmであることがより好ましい。この缶底の直径(E)が80mmより小さいと、中央凸部10を有していなくても、梱包材と中間凹部12とが接触しにくくなるので本発明の構造を採用するメリットが少なくなる。缶底の直径(E)が120mmより大きいと、缶容器自体の取り扱いが不便となる。
【0043】
また、図2(b)に示されている巻締め部23の突出端部15の中央凸部10に対する下方への突出長さ(D)が2〜5mmであることが好ましく、3〜4mmであることがより好ましい。
【0044】
上記突出長さ(D)が2mmより小さいと、中央凸部10が梱包材に接触しやすくなるので、梱包材が中間凹部12に入り込みやすくなる。また、下方突出長さ(D)が5mmより大きいと、巻締め部23に対して上げ底になりすぎるため、缶容器の内容量を必要以上に減らしてしまうというデメリットがある。
【0045】
なお、中間凹部12の幅(A)に、中間凹部12の内周にある傾斜部11と中間凹部12の外周にある傾斜部13の幅を加えた長さ(A’)は、25〜35mmであることが好ましく、28〜32mmであることがより好ましい。
【0046】
上記長さ(A’)が、35mmより大きいと、中央凸部10によって梱包材を押えても、その外側で梱包材がたわみ、広い幅の中間凹部12に入り込んで接触しやすくなる傾向がある。また、上記長さ(A’)が25mmより小さいと、内容物情報を中間凹部12に表記するのが困難になる。
【0047】
図3に示されるように、本発明の缶容器梱包体6は、梱包材としてダンボール箱7を用いて、内容物が充填された缶容器1を複数個ずつダンボール箱7に入れて梱包したものである。ここで、梱包材としてのダンボール箱7は市販されているものを適宜用いることができ、ダンボール箱7の厚さ、材質は搬送工程に耐えうる強度のものであればよい。
【0048】
本発明の缶容器梱包体6を段積みにして搬送する搬送工程において、図4の想像線で示されるように、車等の振動によりダンボール材7aが缶底の内側に入り込んでも、中央凸部10に接触するだけで、中間凹部12には接触することがない。よって、中間凹部12の印字Pは消失することはなく、印字Pの識別性を確保することができる。
【実施例】
【0049】
(実施例)
図1,2に示される形状のET/AL(ET:ブリキ、AL:アルミニウム)で構成する缶容器であって、外径(図2(b)のEの長さ)99.5mm、缶容器の高さ159mm、図2(b)のCの長さ30mm、同図Aの長さ18mm、同図Bの長さ1.0mm、同図Dの長さ3.5mmのものを使用した。
【0050】
なお、底蓋5の中間凹部12には、図1及び図2(a)に示されるような、インクによる印字をインクジェットプリンターで行った。
【0051】
この缶容器1に粉末状の健康食品素材を480g充填し、上蓋3を被せて封止し、更に密封蓋2を被せて製品とした。
【0052】
こうして内容物を充填した缶容器1を6個ずつダンボール箱に入れて梱包し、このダンボール箱をパレット2段積みして(ダンボール箱に対する加圧力672kg/m)3週間保管した後、パレット最下段の製品を宅配便のトラックにて三島市から横浜市まで輸送した。こうして到着した梱包体から缶容器1を取り出し、底蓋5に印刷された印字Pの擦れ、消えを確認した。
【0053】
(比較例1)
図5に示される従来の缶容器を用い、実施例と同様な試験を行った。缶の外径、高さは実施例と同じであり、缶底の中央凸部の直径は75mm、外周の凹部からの中央凸部の高さは0.7mm、巻締め部の中央凸部からの突出長さは2.8mmである。
【0054】
この缶容器に実施例と同様な健康食品素材を同量充填し、6個ずつダンボール箱に入れて梱包し、パレット2段積みして(ダンボール箱に対する加圧力672kg/m)3週間保管した後、パレット最下段の製品を宅配便のトラックにて三島市から横浜市まで輸送した。こうして到着した梱包体から缶容器を取り出し、底蓋に印刷された印字Pの擦れ、消えを確認した。
【0055】
(比較例2)
図5に示される従来の缶容器を用い、保管時におけるパレット積み段を1段積み(ダンボール箱に対する加圧力292kg/m)に変えた他は、比較例1と同様にして印字Pの擦れ、消えを試験した。
【0056】
上記試験の結果、実施例の場合は、12缶中、印字Pの擦れが生じたものは0であった。比較例1の場合は、24缶中、印字Pの擦れが生じたものは1缶であった。比較例2の場合、24缶中、印字Pの擦れが生じたものは3缶であった。
【0057】
この結果から、缶底中央部に中央凸部10、その外周に中間凹部12を有し、中間凹部12に印字Pが施された本発明の缶容器を用いた梱包体は、搬送時の振動が加わっても印字が消失することなく、印字の識別性を確保できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、缶底に内容物の情報を印字した缶容器及びその梱包体として、産業上利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による缶容器の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同缶容器を示し、(a)は底面図、(b)は要部断面図である。
【図3】同缶容器を梱包した缶容器梱包体の断面図である。
【図4】同缶容器梱包体の部分拡大断面図である。
【図5】従来の缶容器の一例を示し、(a)は底面図、(b)は要部断面図である。
【図6】従来の缶容器の他の例を示し、(a)は底面図、(b)は要部断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 缶容器
2 密封蓋
3 上蓋
4 周壁
5 底蓋
6 缶容器梱包体
7 ダンボール箱
10 中央凸部
11 傾斜部
12 中間凹部
13 傾斜部
14 外周凸部
15 突出端部
23 巻締め部
P 印字

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶底の中央にあって外側に突出した中央凸部と、該中央凸部の外周にあって内側にへこんだ中間凹部と、この中間凹部の更に外周にあって外側に突出した外周凸部とを有する形状の缶底を備え、前記中間凹部に、内容物に関する情報を表示する、インクによる印字が施されていることを特徴とする缶容器。
【請求項2】
前記中央凸部の外径が25〜35mmであり、前記中間凹部の幅が15〜25mmである請求項1記載の缶容器。
【請求項3】
前記中間凹部の、前記中央凸部に対する深さが0.5〜5mmである請求項1又は2記載の缶容器。
【請求項4】
缶底の直径が80〜120mmである請求項1〜3のいずれか1つに記載の缶容器。
【請求項5】
缶底の周囲と、缶周壁下縁部とを連結する巻締め部の突出端部が、前記中央凸部よりも更に2〜5mm下方に突出している請求項1〜4のいずれか1つに記載の缶容器。
【請求項6】
前記請求項1〜5記載の缶容器に所定の内容物を収容し、該缶容器を複数個ずつダンボール箱に梱包したことを特徴とする缶容器梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−276816(P2007−276816A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103989(P2006−103989)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】