説明

美顔用マスク

【目的】 素材自体が美顔効果及び冷感効果を奏し、化粧水等を必要とせず快適な美顔処理を施すことのできる美顔用マスクを提供する。
【構成】 スポンジ状こんにゃく(2)、または編織布、網状繊維物、不織布の群から選択された一種以上のシート状物(6)の少なくとも片面にスポンジ状こんにゃく(2)を固着したスポンジ状こんにゃく複合体(26)を、目、鼻、及び口に対応する部分に開口部A(3)、B(4)、及びC(5)を設けて略人面形状に形成してなる美顔用マスク。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、顔を覆うように顔面に当てて用いる美顔用マスクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、顔の皮膚に潤いや艶を付与する効果を奏する美容用品のひとつとして、美顔用マスクが使用されている。この美顔用マスクは、一般に人面形状を呈し、顔全体を覆うように顔面に当てて使用されるものであって、その素材としては、可撓性を有する不織布、繊維布等が用いられている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記のように不織布や繊維布を用いた美顔用マスクは、その素材自体が美顔効果を奏するものではないため、使用前に別途準備した化粧水や化粧クリーム等の化粧料を塗布して使用することが必要とされている。また、美顔用マスクは、一般に睡眠時間等を利用して長時間にわたって使用することによりその効果を発揮するものであり、就寝時に長時間使用していると顔が熱ってくることを免れず、熟睡が妨げられるという問題を有していた。
【0004】
そこで、このような問題を解決し、気持ち良く美顔処理を実施することのできる美顔用マスクとして、実開昭59−48325号公報において、冷感効果を付与した美顔用マスクが提案されている。しかしながら、この美顔用マスクは、冷感効果を得るためにわざわざ冷却剤を個別に収容しなければならないものであり、使い勝手が悪く、また使用感も劣り実用的なものとはいえなかった。
【0005】
本考案は、このような事情に鑑みなされたもので、美顔用マスクの素材自体が美顔効果を奏し、且つ冷却剤等を使用することなく冷感効果を得ることができ、快適に効果的な美顔処理を実施することを可能とする美顔用マスクの提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本考案の美顔用マスクは次のような構成をとる。即ち、スポンジ状こんにゃく、または編織布、網状繊維物、不織布の群から選択された一種以上のシート状物の少なくとも片面にスポンジ状こんにゃくを固着したスポンジ状こんにゃく複合体を、少なくとも目、鼻、及び口に対応する部分に開口部A、開口部B、及び開口部Cを設けて略人面形状に形成してなることを特徴とするものである。
【0007】
上記の構成をとる美顔用マスクは、スポンジ状こんにゃくシート、または編織布、網状繊維物、不織布の群から選択された一種以上のシート状物の少なくとも片面にスポンジ状こんにゃくを固着したスポンジ状こんにゃく複合シートを、少なくとも目、鼻、及び口に対応する部分に開口部を有するように略人面形状に裁断加工することによって得ることができる。
【0008】
そして、上記美顔用マスクを構成するスポンジ状こんにゃくシートは、例えば次のようにして得ることができる。即ち、こんにゃく原料、水または温湯、及びこんにゃく用凝固剤(水酸化カルシウム、炭酸ソーダ等)からなるペースト状混練物を、加熱凝固または室温凝固した後、一旦凍結状態にして水とこんにゃく成分とを分離させ、次いで解凍することにより得られるものである。
【0009】
また、上記美顔用マスクを構成するスポンジ状こんにゃく複合シートは、例えば次のようにして得ることができる。即ち、上記ペースト状混練物を、編織布、網状繊維物、不織布の群から選択された一種以上のシート状物に含浸または塗布して加熱凝固または室温凝固し、次いで一旦凍結状態にした後解凍することにより、上記シート状物とスポンジ状こんにゃくとが少なくとも一部で互いに入り込んだ状態で強固に固着されたスポンジ状こんにゃく複合シートが得られるのである。
【0010】
このように構成された美顔用マスクは、密封包装等を施し含水状態を保持した形で提供すれば、密封包装等を開封して取り出すだけですぐに快適な美顔処理を実施することのできるものである。また、これを乾燥状態で提供しても、使用者が使用前に水等に浸漬するだけで即座に理想的な含水状態を復元し、使用に供することのできるものである。
【0011】
そして、この美顔用マスクを顔面に当てることによって、スポンジ状こんにゃくが吸着作用を奏し、皮膚表面の老廃物や有害物質を自然に除去することができる。また、こんにゃくの成分である多糖類のグルコマンナンと水分が皮膚に潤いと艶を与えるため、化粧水等を含浸させることなくこれ自体で充分な美顔効果を得ることができる。更に、水分の気化熱とこんにゃく特有の表面平滑性及び弾力性によって冷感が得られ、顔面に熱り等を感じることなく爽快な気分で美顔処理を施すことが可能となる。
【0012】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。
【0013】
図1は、本考案の美顔用マスクの一実施例を示す正面図である。この美顔用マスク(1)は、スポンジ状こんにゃく(2)と木綿布(ガーゼ)(6)とからなるスポンジ状こんにゃく複合体(26)をその素材とし、厚みが1mm〜10mmで、目、鼻、及び口に対応する部分にそれぞれ開口部A(3)、B(4)、及びC(5)を穿設して略人面形状に形成されている。そして、この美顔用マスク(1)は、スポンジ状こんにゃくの飽和水分量である約20重量%の水を含水した状態に保持されている。
【0014】
図2は、図1におけるA−A線断面図を部分拡大して示したものである。この図に示すように、上記スポンジ状こんにゃく複合体(26)は、木綿布(ガーゼ)(6)の片面にスポンジ状こんにゃく(2)を固着してなるものである。同図において、(6a)は木綿布(6)の経糸を示し、(6b)は緯糸を示している。このように、木綿布(6)の繊維組織が若干粗く空隙が存在するため、スポンジ状こんにゃく(2)が木綿布(6)の繊維組織内部から表面に現出するところまで浸透し、両者が互いに強固に固着されるのである。そして、上記の美顔用マスク(1)を使用する際には、スポンジ状こんにゃく(2)が全面に現出した面(図2における下面)が顔の皮膚に当たるようにする。
【0015】
また、この美顔用マスク(1)は、密封包装を施すことにより、上記のようにスポンジ状こんにゃくの飽和水分量である約20重量%の水を含水した状態に保持することができる。
【0016】
尚、上記の実施例においては、美顔用マスク(1)の素材として、スポンジ状こんにゃく複合体(26)を用いた例を挙げたが、これは、強度を向上させて耐久性のある美顔用マスクが得ることを目的とした場合であり、使用態様によってそれほど耐久性を必要とせず、例えば使い捨て用のものとするのであれば、スポンジ状こんにゃくのみを単独で用いるようにしてもよい。
【0017】
また、スポンジ状こんにゃく複合体を得るにあたって用いるシート状物も、特に上記実施例の木綿布に限定されるものではない。即ち、上記木綿布の代わりに、その他の編織布、網状繊維物、不織布の群から選択された一種以上のシート状物を使用することができる。そして、その繊維材質としては、各種天然繊維、合成繊維、或いはそれらの混紡繊維布、交織繊維布を使用してもよい。
【0018】
そして、上記スポンジ状こんにゃく、またはスポンジ状こんにゃく複合体の中には、必要に応じて、美顔効果を補助する薬剤、防腐剤、防菌剤、着色剤、補強剤、改質剤等を適宜添加することもできる。
【0019】
【考案の効果】
以上のように、本考案の美顔用マスクによれば、これを顔面に当てるだけで、素材として用いるスポンジ状こんにゃくの吸着作用が奏され、顔の皮膚表面の老廃物、有害物質等を確実に吸着除去することが可能となる。また、本考案の美顔用マスクは、こんにゃくの成分である多糖類のグルコマンナンと水分によって皮膚に潤いと艶を与えるとともに、スポンジ状こんにゃくに含まれる水分の気化熱とこんにゃく特有の表面平滑性及び弾力によって冷感効果を奏するものであって、顔に熱り等を感じることなく爽快な気分で効果的な美顔処理を実施することができる極めて実用的なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の美顔用マスクの一実施例を示す正面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面の拡大図である。
【符号の説明】
1 美顔用マスク
2 スポンジ状こんにゃく
3、4、5 開口部
6 木綿布(ガーゼ)
6a 経糸
6b 緯糸
26 スポンジ状こんにゃく複合体

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 スポンジ状こんにゃく(2)、または編織布、網状繊維物、不織布の群から選択された一種以上のシート状物(6)の少なくとも片面にスポンジ状こんにゃく(2)を固着したスポンジ状こんにゃく複合体(26)を、少なくとも目、鼻、及び口に対応する部分に開口部A(3)、開口部B(4)、及び開口部C(5)を設けて略人面形状に形成してなることを特徴とする美顔用マスク。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】実開平6−58817
【公開日】平成6年(1994)8月16日
【考案の名称】美顔用マスク
【国際特許分類】
【出願番号】実願平5−6537
【出願日】平成5年(1993)1月30日
【出願人】(000000952)鐘紡株式会社 (120)