説明

耐震上吊り引戸構造型引戸における引戸装置構造

【課題】耐震上吊り引戸構造型引戸の上レールの引き込み部分を省き、引戸巾と略同じ長さとさせ、さらに自閉式引戸としての機能を有する引戸装置の構造を提供する。
【解決手段】上レールを略引戸巾の長さとし、上レールの引き込み側に振れ止めを設けると共に下レールの戸先側にも振れ止めを設け、引戸の上下に設けられた案内溝内を滑動させると共に、上レールを傾斜させる事で、引戸本体の自重によって自閉式とさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部屋の入口等、建物の開口部に外付けの状態で取り付けられる、耐震上吊り引戸構造型引戸の引戸装置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、耐震上吊り引戸構造型引戸は、戸先側の上部に吊り車を設け、その対角の引き込み側下部にV車を設け、引き込み側上部にバネ付のピボットを設け、戸先側下部に補助戸車を設けたものであり、その移動領域に亘って上レールが必要であった。
【特許文献1】 特開2003−172064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
耐震上吊り引戸構造型引戸を外付けの状態で実施しようとした場合、一般的に開口部まわりには下地材が入っているが、引き込み部分である壁面には入っていない場合が多く、また引き込み部分がガラスであったり物入れであったりする場合もあり、引き込み部分においては上レールが無いほうが望ましい。
【0004】
また、上レールが引戸巾と略同じ長さに出来れば、美観も向上し、取り付けも簡素化でき、経済的である。
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の耐震上吊り引戸構造の引戸装置構造は、上レールの長さを引戸巾と略同じ長さとし、引戸本体の上下に案内溝を設けると共に、その案内溝内を滑動するように、上レールの引き込み側と下レールの戸先側の上下2ヶ所に振れ止めを設け、さらに自閉式とした場合に上レールを傾斜させた。
【発明の効果】
【0006】
耐震上吊り引戸構造における上レールの引き込み部分の役目は、引戸を安定させて走行させるための振れ止めであるバネ付ピボットを摺動させるためのものであるから、バネ付ピボットの替わりに上記構成の引戸装置構造とすれば、上レールの引き込み部分をなくしても移動経路全域で引戸は安定した走行が出来、引戸引き込み部分にまで上レールを延ばす必要も無くなり、課題は解決出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施の形態としては、図2(a)に示すように開口部上部に取り付けられた上レールの引き込み側と、引き込み側床面に取り付けられた下レールの戸先側に振れ止めのピボットを設ける。
【0008】
さらに、図1(a)に示すように引戸の上下にそれぞれの振れ止めのピボットが滑動するように案内溝8を設ける。
【0009】
このことで、図1(b)に示すように引戸が閉止した状態では上ピボットが働き、開いていくに従い上下のピボットが働き、全開状態では下ピボットが働き、移動領域全体にわたって引戸を安定した状態で走行させることが出来る。
【0010】
またこのとき、図2(b)に示すように上レールのみを傾斜させる事で、略引戸巾と同じ長さの上レールでの自閉式引戸としての機能も獲得できる。
【0011】
なお、以上の実施形態においては、振れ止めであればピボットの形状にこだわらず、溝無しとして引戸を挟み込むものなど、種々の形状のものを採用でき、また戸車、レールに付いても種々の形状のものを採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態による引戸装置構造を示す概略構成図であり、(a)は引戸構造の正面図、(b)は移動軌跡図である。
【図2】(a)は上下レールと振れ止めの斜視図であり、(b)は上レールを傾斜させて自閉式とした場合の正面図である。
【符号の説明】
【0013】
1:引戸パネル
2:上レール
3:上吊り戸車部
4:振れ止め
5:補助戸車
6:下戸車
7:下レール
8:案内溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の対角に荷重させる耐震上吊り引戸構造型引戸において、上レールの引き込み部分をなくし、引戸巾と略同じ長さの上レールとするために、バネ付ピボットの替わりに、引戸の上下に案内溝を設け、その案内溝内を滑動するように上レールの引き込み側と、下レールの戸先側に振れ止めを設けて構成される引戸装置構造。
【請求項2】
上記引戸装置構造において、引戸巾と略同じ長さとした上レールを傾斜させる事によって自閉式引戸とする引戸装置構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−224696(P2007−224696A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79699(P2006−79699)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(501469940)有限会社角仲興業 (2)
【Fターム(参考)】