説明

耕耘装置のリヤカバロック警報装置

【課題】耕耘装置のリヤカバーの上下動によって、この耕耘装置を車体に対して昇降して自動耕深制御を行わせる形態にあっては、前記リヤカバーの下動を規制することが多くあり、このリヤカバーの下動が規制されてロック状態にあるときは、このまま作業を行うことになるとロータリ耕耘装置が変形されたり、破損され易くなる。
【解決手段】トラクタ車体の後部に対してリフトアームにより昇降可能のロータリ耕耘装置に、この耕耘爪によって耕耘された土壌面を鎮圧均平するリヤカバーを設け、このリヤカバーの上下揺動によって耕耘装置を昇降して一定の耕深を維持制御する構成とし、前記リフトアームの下動によって耕耘装置を下降して前進走行したとき、リヤカバーの角度を検出するリヤカバセンサ7の入力によって、このリヤカバセンサ7が下り角を検出しているときは、リヤカバロック状態として警報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、耕耘装置のリヤカバーが下げ不能のロック状態にあることを警報するリヤカバロック警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタ車体の後進切替操作、又は旋回操作に伴って、リヤカバセンサが耕深制御の範囲から逸脱する角度検出時には、リフトアームの上昇作動出力を牽制する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009ー34001号公報(第1頁、図1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラクタ車体にロータリ耕耘装置を装着して、この耕耘装置のリヤカバーの上下動によって、この耕耘装置を車体に対して昇降して自動耕深制御を行わせる形態にあっては、前記リヤカバーの下動を規制することが多くあり、このリヤカバーの下動が規制されてロック状態にあるときは、このまま作業を行うことになるとロータリ耕耘装置が変形されたり、破損され易くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、トラクタ車体1の後部に対してリフトアーム2により昇降可能のロータリ耕耘装置3に、この耕耘爪4によって耕耘された土壌面を鎮圧均平するリヤカバー5を設け、このリヤカバー5の上下揺動によって耕耘装置3を昇降して一定の耕深を維持制御する構成とし、前記リフトアーム2の下動によって耕耘装置3を下降して前進走行したとき、リヤカバー5の角度を検出するリヤカバセンサ7の入力によって、このリヤカバセンサ7が下り角を検出しているときは、リヤカバロック状態として警報することを特徴とする耕耘装置のリヤカバロック警報装置の構成とする。
【0006】
耕深制御は、目的の耕深基準位置を設定しておき、耕耘装置3をリフトアーム2の下降操作で下して接地させて前進走行させることによって、土壌面を耕深基準位置に沿った深さに耕耘するものである。このとき、リフトアーム2の下動によって下降される耕耘装置3は、耕耘が深くなるに従ってリヤカバー5が耕耘直後の土壌面を強く押圧して鎮圧均平することとなり、このリヤカバー5の相対的上動回動角度を検出している。通常の正常な耕深制御では、リフトアーム2によって耕耘装置3を耕耘位置へ下降したとき、耕耘状態のリヤカバー5の位置をリヤカバセンサ7によって適正な耕深領域を検出しているが、耕耘装置3を下降させて耕耘姿勢にあるにも拘らず、このリヤカバー5が上、下回動しないか、又は上、下回動できないために、リヤカバセンサ7が、上、下回動しないで、前記設定の目的耕深基準位置を検出しないときは、これをリヤカバロック状態として、警報するものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記リヤカバー5の上、下回動位置を検出するリヤカバセンサ7の検出域を、耕耘姿勢の耕耘域Aと、耕耘装置3の下げ作動をロックさせる下げロック域Bとに設定して、前記リヤカバセンサ7が前記耕耘域Aを検出して動かないときは、リヤカバロック状態を認識させないで、下げロック域Bを検出して動かないときは、リヤカバロック状態として認識させる。
【0008】
前記のように耕耘装置3の耕耘作業開始、乃至耕耘作業時において、耕耘深さが変るとリヤカバー5が上、下回動して、これをリヤカバセンサ7で検出しながら、前記リフトアーム2を昇降回動させて、耕耘装置3を昇降して、この耕耘装置3による耕深を設定の耕深基準位置に沿うように維持制御する。このとき、リヤカバセンサ7による検出角度が、耕耘域Aを検出して動かないときは、これをリヤカバーロック状態とは認識しないで、警報をも行わないで、耕深制御を継続させる。そして、このリヤカバセンサ7による検出角度が、下げロック域Bを検出して動かないときは、これをリヤカバロック状態として認識させて、警報を行わせる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記リフトアーム2によって昇降されるリフトリンク22の先端部に、耕耘装置3の連結部を吊下げて自動的に連結するクイックヒッチ10を有したロータリ耕耘装置において、このクイックヒッチ10に耕耘装置3を連結するための、この耕耘装置3のリヤカバセンサ7の初期設定時のリヤカバセンサ7の検出値を、コントローラ8のメモリー9に記憶して、PTOを入れて前進走行するとき、このリヤカバロック状態にあることを検出して警報するものである。
【0010】
前記のような耕耘装置3をトラクタ車体1の後部に装着する場合に、この装着のために最下動した状態のリヤカバー5の位置する耕耘装置3を、地面、乃至床面に置いて、リフトアーム2、及びクイックヒッチ10を下げた状態でトラクタ車体1を移動させながら、クイックヒッチ10で耕耘装置3の連結部を掬い上げて吊下げることにより、耕耘装置3の自重によって自動的に装着される。このとき前記リヤカバー5によるリヤカバセンサ7の位置は、リヤカバロック状態の位置としてコントローラ8に記憶されていて、その後に、PTOを入りにして前進走行すると、このリヤカバロック状態を認識して警報する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明は、耕耘装置3の耕深制御では、リヤカバセンサ7の鎮圧均平位置の検出によって、耕耘装置3を昇降して、耕深を一定位置に維持するように制御するものであるが、前記リフトアーム2が下降されて、リフトアームセンサ6が下り角を検出するとき、リヤカバー5が上下動しないで、リヤカバセンサ7が下り角を検出しないときは、この状態をリヤカバロック状態として警報して、無理な耕耘作業を行わせないように対処する。従って、リヤカバー5等を無理に土壌面に押圧させて損傷させることなく、円滑で安全な耕耘作業を行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、リヤカバー5の上下動角度を検出するリヤカバセンサ7の検出域と、検出状態とによって、リヤカバロック状態を判別させて、ロック状態を警報させるもので、このロック状態の警報を限定して、作業能率を高めるものである。リヤカバセンサ7の検出域が通常耕耘作用の行われる耕耘域Aを検出して動かないときは、リヤカバロック状態を認識させないで、耕深制御の作業を継続して行わせることができ、そして、下げロック域Bを検出して動かないときのみ、リヤカバロック状態として認識させて警報することにより、安全な制御作業を維持することができる。このように、リヤカバセンサ7(及び、このセンサアーム)の検出角度によって、この検出域が耕耘域Aか、又は下げロック域Bかの領域を認識するものであるから、構成を簡単にして、正確な制御を行わせることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、耕耘装置3を車体1のクイックヒッチ10に取付ける場合に、初期設定としてコントローラ8のメモリー9に記憶させた耕耘装置3の連結のために適したリヤカバセンサ7の検出位置が、後ちの耕耘作業リヤカバロック状態の位置として認識処理されるものであるから、このリヤカバー5が耕耘装置3取付時のままの状態にあるときは、リヤカバロック状態として警報することができ、耕耘装置3や、リヤカバー5等の誤作業による破損、変形等を防止し、安全な作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】耕深制御のブロック図。
【図2】ロータリ耕耘装置の側面図。
【図3】全体の側面図。
【図4】耕耘装置ヒッチ部の斜視図。
【図5】リヤカバーとリヤカバセンサとの連動を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面に基づいて、ロータリ耕耘装置3は、トラクタ車体1の後部のクイックヒッチ10に連結される。トラクタ車体1は、ステアリングハンドル11によって操向する前輪12を有し、前部のボンネット13下に搭載のエンジン14によって、ミッションケース15の伝動機構を介して駆動の後車軸16、及び後輪17等を有する。ミッションケース15上部の左右フェンダ18間のシートフロア19の上には運転席20を設ける。又、車体1の後方には、油圧シリンダからなるリフトシリンダ21の作動によって上下回動されるリフトアーム2を有し、このリフトアーム2によってリフトリンク22を介して連結のロアリンク23が昇降回動可能に設けられ、この中央上側のトップリンク24等によって三点リンク機構を構成する。これらトップリンク24、及びロアリンク23の後端部間に前記クイックヒッチを取付けている。
【0016】
前記クイックヒッチ10は、正面視門形状のヒッチフレーム25の中央上部に、耕耘装置3の前部上方に突出のマストブラケット26を掬上係合するヒッチフック27を有し、このヒッチフレーム25の下端部で左右両側部には、ロータリフレーム28の前側左右両側部に配置の係合ピン29を受けて嵌合させるロアフック30を有し、このロアフック30に嵌合された係合ピン29に係合して、この係合ピン29の外れを防止する開閉フック31等を有する。前記リフトアーム2の昇降操作でクイックヒッチ10を下げた状態で、床面上に載置された耕耘装置3のマストブラケット26を、ヒッチフック27で掬い上げると、床面上に浮上された耕耘装置3が自重で、このヒッチフック27の周りに前側へ引き寄せられて、係合ピン29をロアフック30へ嵌合させて、開閉フック31を閉じて外れ止状態を維持するように取付けられる。
【0017】
前記車体1のミッションケース15後端には、PTO軸32を突出させて、連動軸33を介して前記ヒッチフレーム25の中央部に軸支されるカップリング34を連動する。前記のようにしてこのクイックヒッチ10に装着されるロータリフレーム28の前面に突出する入力軸を嵌合させて、この入力軸から連動される耕耘軸35を回転することができる。
【0018】
前記耕耘装置3は、耕耘爪4を有した耕耘軸35の回転外周を覆う耕耘カバー36と、この左右両側部のサイドカバー37を有し、この耕耘カバー36の後端には、カバーヒンジ38の周りに上下回動するリヤカバー5を設け、この左右両側部を覆うリヤサイドカバー39を設ける、前記ロータリフレーム28の後方には上下回動可能の支持ソケット40を設けて、前記マストブラケット26との間をハンドル41の回動操作によって伸縮して上下回動角度を調節可能の調節杆42により連結して、この支持ソケット40の後部にホイルアーム44を介して取付けるゲージホイル43の高さを変更調節することができる。前記マストブラケット26の後部には、伸縮調節操作によって前記耕耘カバー36を耕耘軸35の周りに前後方向へ回動移動できる調節杆45を設け、この耕耘カバー36の後端上部にアーム46を設け、このアーム46と前記リヤカバー5との間にダンパーロッド47を摺動自在に設け、このダンパーロッド47周りに嵌合するダンパースプリング48、49によって、リヤカバー5の上面を下方へ弾発させて、耕耘爪4の回転によって、耕耘された土壌面を適宜の張圧力で鎮圧して均平することができる。
【0019】
前記耕耘装置3のリヤカバー5は、耕耘カバー36に対してダンパースプリング48、49等を介して下方へ弾発されているが、このリヤカバー5の後端下面が、耕耘土壌面に接圧摺動することにより、前記カバーヒンジ38の周りに上下回動すると、このリヤカバー5の上端部に連結のリンクロッド50、及び耕耘カバー36上のブラケット51に軸支52したベルクランク53等を経てワイヤー54を押し引きして、車体1側のモニター部に設けるリヤカバセンサ7のセンサアーム55を、センサ軸56の周りに上下一定の検出域回動するように連動構成する。この耕耘装置3をリフトアーム2の下降操作によって土壌面に接地するように下して、耕耘爪4が土壌面下適宜の深さに位置して回転することにより耕耘作用が行われる。この耕耘作用の行われるときのセンサアーム55の深い側の上下回動領域を耕耘域Aとし、又、浅い側の上下回動領域を下げロック域Bとして、前記センサアーム55が、これら耕耘域A、又は下げロック域Bのいずれかの検出域においてリヤカバロック状態を検出したかによって、耕深制御におけるリヤカバロック状態の警報を行わせたり、又、この警報を抑制するものである。センサアーム55が耕耘域Aにあるとき、このセンサアーム55が動かなくなったときは、リヤカバロック状態とは認識させない。又、センサアーム55が下げロック域Bにあるとき、このセンサアーム55が動かなくなったときにのみ、リヤカバロック状態とし認識させる。
【0020】
前記クイックヒッチ10は、耕耘装置3のマストブラケット26、及びロータリフレーム28の係合ピン29等からなる連結部を着脱するが、これと共にPTO軸32と連動の連動軸33後端のカップリング34を有して、この耕耘装置3側のロータリフレーム28に設ける入力軸を嵌合させて連動回転する構成としている。又、前記リヤカバー5とリンク57、ワイヤー58を介して回動される揺動アーム59を、ロータリフレーム28側に設け、この揺動アーム59の前側に重合して一体的に回動される揺動アーム60を、ヒッチフレーム25のカップリング34横側部に設けて、これらクイックヒッチ10に耕耘装置3の連結部が取付連結されることによって、前後に重合の揺動アーム59、60が一体的に揺動連動する形態としている。耕耘装置3をこのクイックヒッチ10から取外した状態では、この揺動アーム59、60は離間し、入力軸はカップリング34から外れて、耕耘軸35の伝動は行うことができない。前記クイックヒッチ10側の揺動アーム60は、ワイヤー61を介してミッションケース15上側部に設けるリヤカバセンサ7を連動する。前記リンク57は、リヤカバー5との間を連動のリンクロッド50、及びベルクランク53等から構成される。このリンク57と、リヤカバセンサ7との間を連動するワイヤー54を、前記クイックヒッチ10部で分離可能に連動構成するリンク57側のワイヤー58と、リヤカバセンサ7側のワイヤー61とによって構成する。このリヤカバセンサ7は、前記のようなセンサ軸56上のセンサアーム55を、復帰スプリング62に抗して回動させて、この回動角度をポテンショメータ等によて検出してコントローラ8へ入力する。
【0021】
前記コントローラ8の入力側には、車体1の前進走行を検出する前進センサ63、後進走行を検出する後進センサ64、リフトアーム2を昇降させる昇降スイッチレバー65、前輪操蛇角を検出する操蛇角センサ66、リヤカバー5の角度を検出するリヤカバセンサー7、リフトアーム2の回動角度を検出するリフトアームセンサ67、耕耘装置3の左右傾斜角を検出する左右傾斜センサ68、及び車速センサ69等を配置する。又、出力側には、リフトアーム2を油圧力によって昇降する油圧回路制御の上昇ソレノイド70、下降ソレノイド71、及び、車体1を走行伝動するための前進クラッチソレノイド72、後進クラッチソレノイド73等を配置する。
【0022】
ここにおいて、トラクタ車体1の後部に対してリフトアーム2により昇降可能のロータリ耕耘装置3に、この耕耘爪4によって耕耘された土壌面を鎮圧均平するリヤカバー5を設け、このリヤカバー5の上下揺動によって耕耘装置3を昇降して一定の耕深を維持制御する構成とし、前記リフトアーム2の下動によって耕耘装置3を下降して前進走行したとき、リヤカバー5の角度を検出するリヤカバセンサ7の入力によって、このリヤカバセンサ7が下り角を検出しているときは、リヤカバロック状態として警報することを特徴とする耕耘装置のリヤカバロック警報装置の構成とする。
【0023】
耕深制御は、目的の耕深基準位置を設定しておき、耕耘装置3をリフトアーム2の下降操作で下して接地させて前進走行させることによって、土壌面を耕深基準位置に沿った深さに耕耘するものである。このとき、リフトアーム2の下動によって下降される耕耘装置3は、耕耘が深くなるに従ってリヤカバー5が耕耘直後の土壌面を強く押圧して鎮圧均平することとなり、このリヤカバー5の相対的上動回動角度を検出している。通常の正常な耕深制御では、リフトアーム2によって耕耘装置3を耕耘位置へ下降したとき、耕耘状態のリヤカバー5の位置をリヤカバセンサ7によって適正な耕深領域を検出しているが、耕耘装置3を下降させて耕耘姿勢にあるにも拘らず、このリヤカバー5が上、下回動しないか、又は上、下回動できないために、リヤカバセンサ7が、上、下回動しないで、前記設定の目的耕深基準位置を検出しないときは、これをリヤカバロック状態として、警報するものである。
【0024】
又、前記リヤカバー5の上、下回動位置を検出するリヤカバセンサ7の検出域を、耕耘姿勢の耕耘域Aと、耕耘装置3の下げ作動をロックさせる下げロック域Bとに設定して、前記リヤカバセンサ7が前記耕耘域Aを検出して動かないときは、リヤカバロック状態を認識させないで、下げロック域Bを検出して動かないときは、リヤカバロック状態として認識させる。
【0025】
前記のように耕耘装置3の耕耘作業開始乃至耕耘作業時において、耕耘深さが変るとリヤカバー5が上、下回動して、これをリヤカバセンサ7で検出しながら、前記リフトアーム2を昇降回動させて、耕耘装置3を昇降して、この耕耘装置3による耕深を設定の耕深基準位置に沿うように維持制御する。このとき、リヤカバセンサ7による検出角度が、耕耘域Aを検出して動かないときは、これをリヤカバーロック状態とは認識しないで、警報をも行わないで、耕深制御を継続させる。そして、このリヤカバセンサ7による検出角度が、下げロック域Bを検出して動かないときは、これをリヤカバロック状態として認識させて、警報を行わせる。
【0026】
又、前記リフトアーム2によって昇降されるリフトリンク22の先端部に、耕耘装置3の連結部を吊下げて自動的に連結するクイックヒッチ10を有したロータリ耕耘装置において、このクイックヒッチ10に耕耘装置3を連結するための、この耕耘装置3のリヤカバセンサ7の初期設定時のリヤカバセンサ7の検出値を、コントローラ8のメモリー9に記憶して、PTOを入れて前進走行するとき、このリヤカバロック状態にあることを検出して警報する。
【0027】
前記のような耕耘装置3をトラクタ車体1の後部に装着する場合に、この装着のために最下動した状態のリヤカバー5の位置する耕耘装置3を、地面、乃至床面に置いて、リフトアーム2、及びキックヒッチ10を下げた状態でトラクタ車体1を移動させながら、クイックヒッチ10で耕耘装置3の連結部を掬い上げて吊下げることにより自動的に装着する。このとき前記リヤカバー5によるリヤカバセンサ7の位置は、リヤカバーロック状態の位置としてコントローラ8に記憶されていて、その後に、PTOを入りにして前進走行すると、このリヤカバロック状態を認識して警報する。
【0028】
リフトアーム2を下動して耕耘装置3を耕耘姿勢に下げて前進走行するとき、リヤカバー5により連動されるリヤカバセンサ7の情報によって、このリヤカバロック状態を認識して警報する。通常は、耕耘装置3を下げると、リヤカバー5が耕耘土壌面に摺接して、このカバーヒンジ38の周りに上るため、リヤカバセンサ7が必ず動くが、このリヤカバー5がリヤカバロック状態となって動かない場合は、このリヤカバロック状態と認識、判断して、警報する。又、このとき、前記リフトアーム2を下降させて、このリフトアームセンサ6により検出したとき、リヤカバセンサ7が動かないことを認識したときは、リヤカバロック状態を警報することもできる。
【0029】
又、図5のように、リヤカバセンサ7に、このリヤカバー5を連動して上下回動するセンサアーム55を有する形態として説明すると、耕耘作業中のセンサアーム55の位置が、下げロック域Bにあるときの浅い側のアーム位置と、耕耘域Aにある深い側のアーム位置とにおいて、各々リヤカバロック状態となることがあるが、この内耕耘域Aでセンサアーム55が動かないときは、この状態は一定の深さで耕耘している場合であるため、例えセンサアーム55が動かないときでもリヤカバロック状態とは認識させないものである。又、浅い側の下げロック域Bにおいて、センアアーム55が動かないときは、リヤカバロック状態と認識して処理させる。
【符号の説明】
【0030】
1 車体
2 リフトアーム
3 耕耘装置
4 耕耘爪
5 リヤカバー
6 リフトアームセンサ
7 リヤカバセンサ
8 コントローラ
9 メモリー
10 クイックヒッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ車体(1)の後部に対してリフトアーム(2)により昇降可能のロータリ耕耘装置(3)に、この耕耘爪(4)によって耕耘された土壌面を鎮圧均平するリヤカバー(5)を設け、このリヤカバー(5)の上下揺動によって耕耘装置(3)を昇降して一定の耕深を維持制御する構成とし、前記リフトアーム(2)の下動によって耕耘装置(3)を下降して前進走行したとき、リヤカバー(5)の角度を検出するリヤカバセンサ(7)の入力によって、このリヤカバセンサ(7)が下り角を検出しているときは、リヤカバロック状態として警報することを特徴とする耕耘装置のリヤカバロック警報装置。
【請求項2】
前記リヤカバー(5)の上、下回動位置を検出するリヤカバセンサ(7)の検出域を、耕耘姿勢の耕耘域(A)と、耕耘装置(3)の下げ作動をロックさせる下げロック域(B)とに設定して、前記リヤカバセンサ(7)が前記耕耘域(A)を検出して動かないときは、リヤカバロック状態を認識させないで、下げロック域(B)を検出して動かないときは、リヤカバロック状態として認識させることを特徴とする請求項1に記載の耕耘装置のリヤカバロック警報装置。
【請求項3】
前記リフトアーム(2)によって昇降されるリフトリンク(22)の先端部に、耕耘装置(3)の連結部を吊下げて自動的に連結するクイックヒッチ(10)を有したロータリ耕耘装置において、このクイックヒッチ(10)に耕耘装置(3)を連結するための、この耕耘装置(3)のリヤカバセンサ(7)の初期設定時のリヤカバセンサ(7)の検出値を、コントローラ(8)のメモリー(9)に記憶して、PTOを入れて前進走行するとき、このリヤカバロック状態にあることを検出して警報することを特徴とする請求項1、又は2に記載の耕耘装置のリヤカバロック警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−50262(P2011−50262A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199827(P2009−199827)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】