説明

肉の改質剤、調味料及びこれで処理した食用肉又は肉製品

【目的】 肉質が柔らかく、肉汁に富み、更に筋っぽさも低減された食べ易い肉、また挽き肉を主体にした成型食品においては、更にふっくらした食感やなめらかな食感も付与された成型食品を提供できる肉の改質剤、調味料及びこれで処理した食用肉又は肉製品を提供する。
【構成】 高級アルコールとポリカルボン酸とのエステル又はその塩を肉の改質剤の主成分とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肉の改質剤、調味料およびこれらの改質剤、又は調味料で処理した食用肉又は肉製品に関する。特に、本発明は、焼く、揚げるなどの加熱調理によっても肉質が柔らかく、肉汁に富み、良好な風味の肉を提供できる肉の改質剤、調味料、及びこれらの改質剤又は調味料で処理した食用肉又は肉製品に関する。
【0002】
【従来の技術】牛、豚などの畜肉、鳥、カモなどの鳥肉を用いた肉料理は数多くあるが、これらの調理に際しての焼く、炒める、揚げるなどの調理方法に拘らず、肉は適度な柔らかさを有し、そしてうま味成分である肉汁に富んだ状態(ジューシーな状態)で食べられることが望ましい。特に、例えば加工品でないステーキやカツフライなどの鳥獣等の比較的大きな肉片を用いた肉料理や、これらの肉を原料とした挽き肉を主成分とするハンバーグなどの成型食品においては、柔らかさやジューシーな食感、またふっくらとした食感は肉をおいしく食べる重要な要素となる。しかし、一般に上記のような肉、特にある程度の大きさを持つ肉片は加熱調理で固く締まる性質があり、また肉汁も流出して失われる傾向にある。また低品質の肉の場合には、上記の硬さと共にすじっぽさも加わり、更に食感が低下するとの問題もある。従って、このような肉を使用した料理においても柔らかく、良好な食感でおいしく食べることができる肉の改良が望まれる。従来から肉を柔らかくしたりあるいは肉の保存性を高めたり等の肉を改質する方法には種々の方法が知られている。例えば、有機酸モノグリセリド(例、アセチル化モノグリセリド)を使用する方法(特開昭49−20353号公報)、レシチンを添加した植物性液状油脂に肉を漬け込む方法(特開昭54−62356号公報)、カルシウム塩に重炭酸ナトリウムとHLB10以上の乳化剤(例、ショ糖脂肪酸脂肪族カルボン酸)との少なくとも一方を加えた軟化剤を使用する方法(特開平4−148663号公報)、塩類等を使用する方法(特開平4−36167号、及び特開昭61−239862号各公報)、及び蛋白質分解酵素を使用する方法 (特開昭59−151839号、特開平4−278063号、同5−7476号、及び同5−252911号各公報)などがある。また柔らかく、ふっくらとした食感及び/又はジューシー感に富んだ挽き肉を主成分とする成型食品を得ることを目的として、例えば、成型食品に重炭酸ナトリウム、酸性剤及び安定剤を配合する方法(特開昭54−59359号公報)、食用油脂、天然ワックス及び食用界面活性剤からなる組成物を使用する方法(特開平1−228427号公報)、水中油滴型乳化液を成型食品に配合する方法(特開平5−103632号公報)、及び油中水中油滴型乳化物を成型食品に配合する方法(特開平5−176721号公報)などの方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら本発明者の検討では、これらの方法ではなお充分満足できる程の改良には至ってない。本発明の目的は、肉質が柔らかく、肉汁に富み、更に筋っぽさも低減された食べ易い肉、また挽き肉を主体にした成型食品においては、更にふっくらした食感やなめらかな食感も付与された成型食品を提供できる肉の改質剤、調味料及びこれで処理した食用肉又は肉製品を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、高級アルコールとポリカルボン酸とのエステル又はその塩を含有する肉の改質剤にある。また本発明は、高級アルコールとポリカルボン酸とのエステル又はその塩、及びプロテアーゼが含有されてなる肉の改質剤にもある。更に本発明は、上記の肉の改質剤と調味成分とを含有する調味料にもある。
【0005】更にまた本発明は、高級アルコールとポリカルボン酸とのエステル又はその塩を含有する肉の改質剤、又は該改質剤を含有する調味料で処理した食用肉又は肉製品にもある。本発明者の検討によると、上記のエステル、あるいは該エステルとプロテアーゼとを含む改質剤が肉の軟化等に有効であることが判明した。この理由は明らかではないが、特に畜肉や鳥肉から得られたある程度の大きさの肉片、あるいはこれらを原料として得た挽き肉を主成分とする成型食品においては、腱等の硬質タンパク(コラーゲン)が比較的多く含まれ、これが加熱調理に際して収縮、凝集し、その結果、肉が締まり、固くなると考えられる。本発明の改質剤を使用することにより、これらのタンパク質の収縮が抑制され、その結果、柔らかな肉が得られると考えられる。また上記のエステルとプロテアーゼとを併用すると、エステル自身による上記のようなタンパク質の収縮抑制作用と共にプロテアーゼによる肉中の結合組織の分解作用が同時に働くため、更に食感の良好な肉が得られると考えられる。特に、低品質の肉に対しては、該エステルとプロテアーゼとの併用が効果的である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい態様は以下の通りである。
(1)粉末調味料が、前記エステルを0.1〜90重量%(更に好ましくは1〜60重量%)含む。
(2)粉末調味料が、プロテアーゼを0.01〜50重量%(更に好ましくは、0.05〜40重量%、特に0.1〜30重量%)含む。
(3)肉の改質剤が、水又は水性液体(あるいは水性調味料)中にエステルが0.1〜50重量%(更に好ましくは、0.5〜20重量%、特に、1〜10重量%)の量で溶解又は分散された状態にある。
(4)肉の改質剤が、水又は水性液体(あるいは水性調味料)中にプロテアーゼが、0.1〜30重量%(更に好ましくは、0.5〜10重量%、特に、1〜5重量%)の量で溶解又は分散された状態にある。
(5)肉の改質剤が、食用油脂(あるいは油性調味料)中にエステルが0.1〜99重量%(更に好ましくは、0.5〜50重量%、特に、3〜30重量%)の量で溶解又は分散された状態にある。
(6)肉の改質剤が、食用油脂(あるいは油性調味料)中にプロテアーゼが、0.1〜30重量%(更に好ましくは、0.5〜10重量%、特に、1〜5重量%)の量で溶解又は分散された状態にある。
(7)エステルとプロテアーゼの混合重量比が、500:1〜1:10の範囲(更に好ましくは100:1〜1:2)にある。
(8)肉の改質剤、又は調味料が、肉の量に対してエステルが0.05〜5重量%(更に好ましくは、0.1〜3重量%、特に0.3〜2重量%)の範囲の添加量となるような量で使用される。
(9)肉の改質剤、又は調味料が、肉の量に対してプロテアーゼが、0.001〜5重量%(更に好ましくは0.005〜3重量%、特に0.01〜1重量%)の範囲の添加量となるような量で使用される。
(10)上記肉が、肉片である。
(11)上記肉製品が、肉片を含む冷凍食品、冷蔵食品、又はレトルト食品などの加熱調理済食品、あるいは加熱調理用食品である。
(12)上記肉製品が、ハンバーグ、ミートボール、ミートローフ、メンチカツ、ギョーザ及びシューマイからなる群より選ばれた挽き肉を主成分とする成型食品、あるいはこれらの冷凍食品、冷蔵食品、又はレトルト食品などの加熱調理済食品、又は加熱調理用食品である。
【0007】以下に、本発明の肉の改質剤(以下単に、改質剤と称する場合がある)について説明する。本発明の肉の改質剤は、高級アルコールとポリカルボン酸とのエステル又はその塩を含有する。上記エステルを構成する高級アルコールは、例えば炭素数6以上の鎖式アルコールであり(例、オクチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セリルアルコール)、好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコール、特に好ましくはステアリルアルコールである。又、ポリカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等の飽和ジカルボン酸;リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;又はヒドロキシカルボン酸の水酸基がシュウ酸等の上記で挙げたカルボン酸で全部又は一部がエステル化されたカルボン酸(例、ジアセチル酒石酸)が挙げられる。又、これらの塩のいずれでも良い。塩を構成するカチオンとしては、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウムを挙げることができるが、ナトリウム、カルシウムが好ましい。本発明において、上記エステルを構成するポリカルボン酸は、酒石酸、クエン酸、フマル酸又はその塩(ナトリウム又はカルシウム)であることが好ましい。
【0008】本発明に係るエステルは、ポリカルボン酸又はその塩と高級アルコールとの反応モル数、脂肪酸の種類などによって数種の構造のものが得られ、通常はこれらの混合物として得られる。本発明においては、ヒドロキシカルボン酸又はその塩と脂肪酸との反応モル数(混合比)が1:1により得られたものであることが好ましい。本発明の肉の改質剤に含まれるエステルは、ステアリルアルコールクエン酸エステル、ステアリルフマル酸ナトリウム、酒石酸ステアリルであることが好ましい。
【0009】本発明の肉の改質剤は、前記のエステルの他にプロテアーゼを含む態様であっても良い。プロテアーゼは特に限定はなく、種々の起源のものが使用できる。例えば、パパインやプロメライン等の植物由来のもの、すい臓抽出物等の動物由来のもの、あるいはかび等の微生物由来のものなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。これらの中では、麹菌由来のプロテアーゼが好ましい。本発明の改質剤において、エステルとプロテアーゼとの混合重量比は、500:1〜1:10の範囲(更に好ましくは100:1〜1:2の範囲)にあることが好ましい。
【0010】本発明の肉の改質剤は、その形態が粉末状、あるいは水又は水性液体中、あるいは食用油脂中に溶解又は分散された液状(ペースト状も含む)であることが好ましい。また本発明においては、これらの形態にある改質剤が、肉料理に応じて改質剤及び調味成分を含む調味料として構成されている態様であることも好ましい。以下にそれぞれの態様について詳述する。
【0011】粉末状の形態にあるエステルは、得られたエステルが粉末状であれば、そのまま使用することができる。また得られたエステルが液状の場合は、例えば、澱粉類、蛋白質類、糖類及び後述する調味成分などに含ませ、噴霧するなどの方法で粉末状とすることができる。またプロテアーゼにおいても、前記エステルと同様な方法で粉末状とすることができる。なお、粉末状の市販品を使用しても良い。本発明の粉末調味料は、前記粉末状のエステル、あるいは該エステルとプロテアーゼ、及び各種の調味成分を組み合わせて調製することができる。粉末調味料には、通常その基本成分として食塩、及び香辛料が含まれるが、肉料理に応じて種々の味付けが可能である。香辛料としては、例えば、マスタード、ナツメグ、キャラウエイ、胡椒、オールスパイス、コリアンダー、クローブ、セージ、タイム、ローレル、ローズマリー、バジル、セロリー、しそ、シナモン、ジンジャー、ガーリック、オニオン、及びわさびなどを挙げることができる。また上記食塩及び香辛料以外に、例えば、酸味成分(酢酸、乳酸、クエン酸など)、甘味成分(砂糖、デンプン類、ブドウ糖、糖アルコール、合成甘味料など)、及びうま味成分(MSG、だし汁、畜肉、魚介類あるいは野菜のストック類、蛋白加水分解物など)などの調味成分、また野菜、海草などを適宜使用することができる。これらの調味成分は常法に従い粉末状として使用する。なお、本発明の粉末調味料は、肉料理に応じてその形態として顆粒状としてもよいし、あるいは圧縮成型して、例えば、コンソメ、ブイヨンのようなキューブ状(固形型)としても良い。本発明の粉末調味料には、その種類によっても異なるが、前記エステルが、0.1〜90重量%含まれていることが好ましく、更に好ましくは、1〜60重量%である。またプロテアーゼを併用する場合には、プロテアーゼが、調味料中に0.01〜50重量%含まれていることが好ましく、更に好ましくは、0.05〜40重量%、特に、0.1〜30重量%である。なお、この場合のエステルとプロテアーゼとの混合重量比は、前記と同様にすることができる。
【0012】本発明に係るエステル及び/又はプロテアーゼが水又は水性液体中に溶解又は分散された形態にある本発明の水性調味料においても前記粉末調味料と同様に各種の調味成分を組み合わせて調製することができる。すなわち、本発明の水性調味料は、前記エステル等の肉の改質成分と、甘味、酸味、苦味、塩味、そしてうま味の基本的な味のうちの少なくとも一種の味を付与するような調味成分とが含有された液状又はペースト状の調味液(20℃で粘度0.1〜50万cp)として調製することができる。上記調味成分としては、肉料理に通常使用する、例えば、醤油、塩、味噌、砂糖、食酢、酒、みりん、油脂(バターなども含む)などの調味料、化学調味料、コンソメ、ブイヨン、だし汁などの各種ストック、トマトなどの各種ケチャップ、胡椒、辛子、生姜などの各種香辛料、あるいはこれらの材料を用いて加工したスープ、ソース、ドレッシング類などの各種の材料をそのまま、あるいは組み合わせて使用することができる。なお、これらの水性調味料の調製に際しては、安定剤又は分散剤として、乳化剤、及び増粘剤を配合することができる。本発明の水性調味料には、調味料の種類によっても異なるが、前記エステルが、0.1〜50重量%含まれていることが好ましく、更に好ましくは、0.5〜20重量%、特に、1〜10重量%である。またプロテアーゼを併用する場合には、プロテアーゼが、調味料中に、0.1〜30重量%含まれていることが好ましく、更に好ましくは、0.5〜10重量%、特に、1〜5重量%である。なお、この場合のエステルとプロテアーゼとの混合重量比は、前記と同様にすることができる。
【0013】本発明に係るエステル及び/又はプロテアーゼが食用油脂中に溶解又は分散された形態にある本発明の油性調味料においても前記粉末調味料と同様に各種の調味成分を組み合わせて調製することができる。本発明に係るエステル等を溶解又は分散させるための食用油脂は、特に限定されない。これらの食用油脂としては、例えば、大豆油、ナタネ油、パーム油、コーン油、綿実油、椰子油、パーム核油、米油、ごま油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、サンフラワー油、及びハイオレイックサンフラワー油等の植物油脂;牛脂、ラード、魚油、鯨油、及び乳脂等の動物油脂;これらの分別油;またこれらを水素添加したもの;そしてエステル交換したものを挙げることができる。これらの油脂のうち、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0014】本発明の油性調味料には、該エステルが、油脂中に、0.1〜99重量%含まれていることが好ましく、更に好ましくは、0.5〜50重量%、特に、3〜30重量%である。またプロテアーゼを併用する場合には、プロテアーゼが、調味料中に、0.1〜30重量%含まれていることが好ましく、更に好ましくは、0.5〜10重量%、特に、1〜5重量%である。なお、この場合のエステルとプロテアーゼとの混合重量比は、前記と同様にすることができる。
【0015】本発明の肉の改質剤、又は調味料は、肉の形状により、あるいは肉料理によってその使用方法は異なるが、改質剤又は調味料が直接肉に接触するような方法で使用することが有利である。例えば、粉末状の改質剤又は調味料を用いる場合は、ステーキなどの比較的大きな形状の肉片においては、これを直接肉片に塗布、散布などの方法で使用することが有利であり、また挽き肉においては、これを主成分とした成型食品を調製する際に、挽き肉に粉末状の改質剤又は調味料を添加し、改質剤又は調味料が直接挽き肉と接触するような状態で使用する方法が有利である。また液状の改質剤又は調味料は、肉の表面への直接散布用、肉の漬け込み用として利用することも可能であり、改質剤処理を行った後、直ちに焼成しても改質効果は十分に得られるが、処理後一定時間静置、及び/又は、タンブリング処理を行うことが効果的であり好ましい。液状の改質剤又は調味料が、油脂中に溶解又は分散されてなる形態の改質剤また調味料の場合には、肉を焼く、炒めるなどの加熱処理の際の敷油として用いることが有利である。
【0016】更に、液状の改質剤又は調味料は、肉の表面への直接散布用、肉の漬け込み用としての利用以外に、肉に注入して使用することも可能である。肉への注入は、例えば自動または手動によるシリンジにより行えばよい。なお、組成物が肉に充分浸透するように注入後、例えば1時間程度放置、またはタンブリングを行うことが好ましいが、必ずしも必須ではない。肉に注入する水性組成物または乳化組成物は、必要に応じてガゼインナトリウム、ホエー、ラクトアルブミン、卵白、大豆等の蛋白質、及び/又は、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等のリン酸塩、及び/又は、食塩、グルタミン酸ナトリウム等の調味料を含有させて使用することが可能である。
【0017】本発明の肉の改質剤、又は調味料は、粉末状、液状のいずれの態様においても高級アルコールとポリカルボン酸とのエステル又はその塩が肉の量に対して0.05〜5重量%(更に好ましくは、0.1〜3重量%、特に0.3〜2重量%)の範囲の添加量となるような量で使用されることが好ましい。
【0018】またプロテアーゼを高級アルコールとポリカルボン酸とのエステル又はその塩と併用する場合においては、改質剤、又は調味料は、プロテアーゼが肉の量に対して0.001〜5重量%(更に好ましくは0.005〜3重量%、特に0.01〜1重量%)の範囲の添加量となるような量で使用されることが好ましい。
【0019】本発明の肉の改質剤又は調味料は、牛、豚、羊などの畜肉、鶏、七面鳥、カモ、ガチョウ等の鳥肉、あるいはアジ、サケ、またはたら、ヒラメなどの白身魚などの魚肉を用いて調理するときに効果があるが、特に畜肉、鳥肉において効果が大である。また肉の部位としては、カタ、モモ等の比較的硬質のタンパク質を多く含む部位のものを用いるときに効果がある。更に肉の形態としては、前述のように肉片としての形状のあるもの(厚切り肉、薄切り肉、細切り肉)を用いるときに特に有効であるが、上記のような肉の挽き肉を主体にした成型食品においても効果がある。本明細書において、肉片とは、畜肉等の生肉から切り出した、比較的形状の大きな肉(例えば、肉片の表面積が1cm2 程度以上のもの)を意味し、例えば、ステーキ、焼き肉用の肉、唐揚、フライあるいは照り焼き用の肉などの肉片を挙げることができる。
【0020】また本発明の改質剤又は調味料は、肉を加熱調理する際の使用により効果が得られるが、焼く、炒める、揚げる、煮る、蒸すなどの調理方法によっては制限されず何れの調理方法においても効果が得られる。特に、焼く、炒めるなどの調理において顕著な効果が得られる。適用できる肉料理の例としては、焼き肉、ステーキ、カツフライ、唐揚、竜田揚げ、カレー、シチュー、しゃぶしゃぶなどの比較的大きな肉片を用いた肉料理、あるいはまたハンバーグ、ミートボール、ミートローフ、メンチカツ、ギョーザ、シューマイ、ワンタン、春巻、及び肉まんなどの挽き肉を主成分とした成型食品の肉料理を挙げることができる。
【0021】更に、本発明の改質剤又は調味料は、冷凍、冷蔵、あるいはレトルトなどの常温保存可能な肉片を含む肉製品、あるいはこれらの形態の挽き肉を主成分とした成型食品においても適用できる。本発明の改質剤又は調味料で処理された肉片を含む肉製品、あるいは挽き肉を主成分とした成型食品は、既に加熱調理されているものでも良いし(加熱調理済食品)、あるいはまた食べるときに加熱調理するように調理されているものでも良い(未加熱調理食品、加熱調理用食品)。すなわち、加熱調理済食品においては、これを製造する際の加熱調理工程で本発明の改質剤又は調味料で処理されていれば良く、一方未加熱調理食品においては、食べるときの加熱調理する際に本発明の改質剤又は調味料が作用するように予め肉に付着させたり、食品中に含有させる等の処理をしておけば良い。本発明の改質剤又は調味料で処理された肉を含む肉製品は、保存後においても、肉の柔らかさやジューシーさが維持され、良好な風味のものとなる。また挽き肉を主成分とする成型食品においては、柔らかさ等と共にふっくらとした食感も付与される。
【0022】本発明の改質剤又は調味料で処理した肉片を含む肉製品としては、例えば、カツフライ、唐揚、カレー、ハヤシ、シチュー、肉ジャガ、酢豚などを挙げることができる。また挽き肉を主成分とした成型食品で、冷凍、冷蔵、あるいはレトルト食品の例も前述した、ハンバーグ等を挙げることができる。
【0023】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表す。
〔実施例1〜3〕焼き肉用の厚さ5mmのオーストラリア産牛モモ肉50gに対して、ステアリルアルコールクエン酸エステル、ステアリルフマル酸ナトリウム、酒石酸ステアリルの粉末を夫々約0.5g肉表面に散布した後、200℃のホットプレート上で焼成し、焼き肉を作った。
〔比較例1〜3〕上記実施例1において、改質剤を使用しなかった以外は、上記実施例1と同様にして焼き肉を作った。
〔実施例4〕鶏モモ肉を1切れ約30gのぶつ切りにして、醤油、酒、胡椒を振り、下味をつけた。更にこれに、ステアリルアルコールクエン酸エステルの粉末約1gをまぶした後、液卵、小麦粉をつけて160℃に加熱したサラダ油で揚げ、唐揚げを作った。
〔比較例4〕上記実施例4において、ステアリルアルコールクエン酸エステルを使用しなかった以外は、実施例4と同様にして唐揚を作った。
〔実施例5〕5倍濃縮昆布だし200mlとステアリルフマル酸ナトリウム10gを水800mlに加え、沸騰させた。これにしゃぶしゃぶ用の牛肉10gを5秒間油通しした。
〔比較例5〕上記実施例5において、ステアリルフマル酸ナトリウムを使用しなかった以外は、上記実施例5と同様にして牛肉を湯通しした。
〔実施例6〕厚さ2cmのオーストラリア産牛ロース150gに適当量の食塩、胡椒を振った後、更に酒石酸ステアリルの粉末約2gを肉表面に散布し、直ちに200℃のホットプレート上で焼成し、ステーキを作った。
〔比較例6〕上記実施例6において、酒石酸ステアリルを使用しなかった以外は、上記実施例6と同様にしてステーキを作った。
〔実施例7〕厚さ2cmのオーストラリア産牛ロース150gに適当量の食塩、胡椒を振った後、ステアリルアルコールクエン酸エステルと麹菌由来のプロテアーゼ(スミチームLP−20、酵素含有量:23重量%、新日本化学工業(株)製)との混合物(重量比2:1)約1gを肉表面に散布した。この後、直ちに200℃のホットプレート上で焼成し、ステーキを作った。
〔比較例7〕上記実施例7において、ステアリルアルコールクエン酸エステルと麹菌由来のプロテアーゼの混合物を使用しなかった以外は、上記実施例7と同様にしてステーキを作った。
〔実施例8〕厚さ1cmの国産豚ロース100gに適当量の食塩、胡椒を振った後、更にステアリルアルコールクエン酸エステル約2gを肉表面に散布した。この後、肉の表面に小麦粉、液卵、パン粉の順で衣を付け、これを180℃の加熱したサラダ油で揚げ、カツフライを作った。
〔比較例8〕上記実施例8において、ステアリルアルコールクエン酸エステルを使用しなかった以外は、上記実施例8と同様にしてカツフライを作った。
〔実施例9〕厚さ1cmの国産豚ロース100gに適当量の食塩、胡椒を振った後、更に酒石酸ステアリルと麹菌由来のプロテアーゼ(スミチームLP−20、酵素含有量:23重量%、新日本化学工業(株)製)の混合物(重量比2:1)約2gを肉表面に散布した。この後、肉の表面に小麦粉、液卵、パン粉の順で衣を付け、これを180℃の加熱したサラダ油で揚げ、カツフライを作った。
〔比較例9〕上記実施例9において、酒石酸ステアリルと麹菌由来のプロテアーゼの混合物を使用しなかった以外は、上記実施例9と同様にしてカツフライを作った。
【0024】〔改質剤で調理した肉製品の評価〕上記のようにして得られた各種肉料理を20人のパネルにより官能評価を行った。評価は、実施例と比較例で得られた各肉料理の「柔らかさ」、「ジューシーさ」を比較し、比較例に比べ実施例の方が、『明らかに柔らかい(又はジューシー)』、『やや柔らかい(又はジューシー)』、そして『変わらない』の3段階で行った。また、得られた各種肉料理の肉の物性値を測定し、肉の柔らかさを評価した。『柔らかさ』は、ミートシェア(ワーナーブラッツラー社製)による剪断応力値で表した。値が小さい程、肉が柔らかいことを示す。
【0025】結果を以下の表1に示す。
【0026】
【表1】


【0027】上記表1に示された結果から明らかなように、本発明の改質剤を使用した肉料理(実施例1〜9)は、これを使用しない肉料理(比較例1〜9)に比べ肉が柔らかく、かつジューシーであり、この効果は、改質剤とプロテアーゼを併用した場合(実施例7及び9)には、更に向上する。
【0028】〔実施例10〕豚挽き肉350gに酒20g、醤油6g、卵50g、ポテトデンプン15g、ねぎ(みじん切り)10g及びステアリルフマル酸ナトリウム粉末3.5gを加え、混合し、直径2.5cmにまるめた。得られた成型物を170℃のサラダ油で揚げ、ミートボールを作った。
〔比較例10〕上記実施例10において、ステアリルフマル酸ナトリウムを使用しなかった以外は、実施例10と同様にしてミートボールを作った。
〔実施例11〕タマネギ(みじん切り)150gを15gのバターで予め炒め、更にマッシュルーム(みじん切り)100g、レモン果汁5gを炒め合わせ、これに食塩2g、及び胡椒0.5gを加えて味を調え、冷ました。これに更に牛豚合い挽き肉(6:4)500g、ナツメグ0.25g、マスタード2g、食塩5g、及び酒石酸ステアリル粉末2.5gを混ぜ合わせた。得られた混合物をバターを塗った型に詰め、200℃のオーブンで焼き、ミートローフを作った。
〔比較例11〕上記実施例11において、酒石酸ステアリルを使用しなかった以外は、上記実施例11と同様にしてミートローフを作った。
〔実施例12〕牛挽き肉350gにパン粉18g、牛乳15g、卵35g、食塩3.5g、胡椒0.35g、ナツメグ0.18g、及びステアリルアルコールクエン酸エステル粉末1.4gを加え、充分練った。得られた混合物を1個約40gのハンバーグに成型し、200℃のホットプレート上で焼成し、ハンバーグを作った。
〔比較例12〕上記実施例12において、ステアリルアルコールクエン酸エステルを使用しなかった以外は、上記実施例12と同様にしてハンバーグを作った。
〔実施例13〕牛挽き肉350gにパン粉18g、牛乳15g、卵35g、食塩3.5g、胡椒0.35g、ナツメグ0.18g、及びステアリルフマル酸ナトリウム粉末と麹菌由来のプロテアーゼ(スミチームLP−20、酵素含有量:23重量%、新日本化学工業(株)製)の混合物(重量比2:1)1.4gを加え、充分練った。得られた混合物を1個約40gのハンバーグに成型し、200℃のホットプレート上で焼成し、ハンバーグを作った。
〔比較例13〕上記実施例13において、ステアリルフマル酸ナトリウムと麹菌由来のプロテアーゼの混合物を使用しなかった以外は、上記実施例13と同様にしてハンバーグを作った。
〔実施例14〕上記実施例12で作ったハンバーグを冷まし、−20℃の冷蔵庫に一週間保管した。その後冷蔵庫から取り出し、電子レンジで解凍し、再加熱してハンバーグを作った。
〔比較例14〕上記比較例12で作ったハンバーグを冷まし、−20℃の冷蔵庫に一週間保管した。その後冷蔵庫から取り出し、電子レンジで解凍し、再加熱してハンバーグを作った。
〔実施例15〕上記実施例12と同様に、得られた混合物を1個40gのハンバーグ型に成型した後、これを−20℃の冷蔵庫に一週間保管した。成型物を冷蔵庫から取り出し、室温に放置解凍後、これを200℃のホットプレート上で焼成し、ハンバーグを作った。
〔比較例15〕前記比較例12と同様に、得られた混合物を1個40gのハンバーグ型に成型した後、これを−20℃の冷蔵庫に一週間保管した。成型物を冷蔵庫から取り出し、室温に放置解凍後、これを200℃のホットプレート上で焼成し、ハンバーグを作った。
【0029】〔改質剤で調理した肉製品の評価2〕上記のようにして得られた各種挽き肉料理を20人のパネルにより官能評価を行った。評価は、実施例と比較例で得られた各料理の「ジューシーさ」を比較し、比較例に比べ実施例の方が、『明らかにジューシー』、『ややジューシー』、そして『変わらない』の3段階で行った。また各料理の「ふっくら感」、及び「なめらかさ」についても同様な方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
【0030】
【表2】


【0031】上記表2に示された結果から明らかなように、本発明の改質剤を使用した挽き肉料理(実施例10〜15)は、これを使用しない挽き肉料理(比較例10〜15)に比べ、ふっくらとし、ジューシーで、しかもなめらかである。また本発明の改質剤を使用して加熱調理した後、一旦冷蔵庫に保管したような加熱調理済の挽き肉製品(実施例14)あるいは予め本発明の改質剤を含ませた成型物を作り、これを一旦冷蔵庫に保管し、後に加熱調理して食べるような未加熱調理の挽き肉料理(実施例15)においても、ふっくらとして、ジューシーであり、かつなめらかであり、改質剤による効果は維持されている。
【0032】〔実施例16〕下記配合の本発明に従う粉末調味料(A)を調製した。
粉末調味料(A)の配合ステアリルアルコールクエン酸エステル 50.0部食塩 33.0部MSG 3.0部ブラックペッパー 7.0部オニオン 3.0部ガーリック 2.0部ローレル 1.0部ジンジャー 0.5部タイム 0.5部焼き肉用の厚さ5mmのオーストラリア産牛モモ肉100gに対して上記の粉末調味料(A)1gを振りかけ、200℃のホットプレート上で焼成し、焼き肉を作った。
〔比較例16〕実施例16において、粉末調味料の代わりに、食塩、胡椒を用いた以外は、実施例16と同様にして焼き肉を作った。
〔実施例17〕下記配合の水性調味料(B)をホモミキサを用いて、70℃で7000rpm、10分間のホモジナイズ後、冷却し、調製した。
水性調味料(B)の配合醤油 32.0部みりん 30.0部砂糖 15.0部水飴 7.0部食塩 4.5部グルタミン酸ナトリウム 2.0部香辛料 3.0部キサンタンガム 0.5部ステアリルフマル酸ナトリウム 5.0部ショ糖エステル(HLB11) 1.0部厚さ3mmの国産牛ロース100gに対して上記の水性調味料(B)20gをからめ、15分間漬け込んだ後、200℃のホットプレート上で焼成した。
〔比較例17〕上記実施例17において、水性調味料(B)のステアリルフマル酸ナトリウム、ショ糖エステルの代わりに、水を配合した調味料を用いた以外は、実施例17と同様にして肉を焼成した。
〔実施例18〕下記配合の水性調味料(C)を以下の如くして調製した。
水性調味料(C)の配合大豆タンパク質 2.5部カゼインナトリウム 1.8部卵白 1.3部濃縮乳 0.9部ピロリン酸ナトリウム 0.6部メタリン酸ナトリウム 0.5部ポリリン酸四ナトリウム 0.1部ステアリルアルコールクエン酸エステル 9.0部デカグリセリンモノオレエート 0.5部水 82.8部40部の水を70℃に加熱し、ステアリルアルコールクエン酸エステル、デカグリセリンモノオレエートをホモミキサー(7000rpm、10分間)にてホモジナイズ後、冷却した。残りの水に各種蛋白質をホモミキサー(5000rpm、10分間)にて分散した。両液を混合後、各種リン酸塩を溶解した。国産牛サーロイン2cm厚に対し、上記水性調味料(C)を肉重量の20重量%加え、減圧タンブリングを60分行い、その後200℃のホットプレート上で焼成した。尚、上記の例において、使用した物質は下記の通りである。
・大豆タンパク質(フジピュリナプロテイン(株)、サンラバー50)
・カゼインナトリウム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)、カゼインナトリウムL)
・卵白(太陽化学(株)、乾燥卵白SHG)
・濃縮乳(不二製油(株)、プロベスト500 )
・ピロリン酸ナトリウム(関東化学(株)、試薬特級)
・メタリン酸ナトリウム(関東化学(株)、試薬特級)
・ポリリン酸四ナトリウム(和光純薬工業(株)、食添ポリリン酸)
・デカグリセリンモノオレエート(太陽化学(株)、サンソフトQ-17 UL)
〔比較例18〕
上記実施例18において、水性調味料(C)のステアリルアルコールクエン酸エステル、デカグリセリンモノオレエートの代わりに、水を配合した調味料を用いた以外は、実施例18と同様にして肉を焼成した。
〔実施例19〕オーストラリア産牛サーロインブロックに、肉重量の15重量%の上記水性調味料(C)をピックルインジェクターにて注入し、減圧タンブリングを60分行った後、スライスし、200℃のホットプレート上で焼成した。尚、ピックルインジェクターはピュコマット社、P9/270 を用いた。
〔比較例19〕上記実施例19において、水性調味料(C)のステアリルアルコールクエン酸エステル、デカグリセリンモノオレエートの代わりに、水を配合した調味料を用いた以外は、実施例19と同様にして肉を焼成した。
〔実施例20〕下記配合の調理用油脂(D)を調製した。
【0033】調理用油脂(D)の配合コーン油 80部酒石酸ステアリル 20部厚さ5mmの国産牛ロース100gを上記調理用油脂(D)10gを敷いたフライパン上でキャベツ80g、玉ねぎ45g、及び人参45gと共に炒め、塩、胡椒で味付けをし、肉野菜炒めを作った。
〔比較例20〕上記実施例20において、上記調理用油脂の代わりに、サラダ油を使用した以外は、上記実施例20と同様にして肉野菜炒めを作った。
【0034】〔粉末調味料、水性調味液、調理用油脂で調理した肉製品としての評価〕上記のようにして得られた各種肉料理について前記評価と同様な方法で評価した。結果を以下の表3に示す。
【0035】
【表3】


【0036】上記表3に示された結果から明らかなように、本発明の改質剤を使用することにより、柔らかく、かつジューシーな肉料理を作ることができる。
【0037】
【発明の効果】本発明の高級アルコールとポリカルボン酸とのエステル又はその塩を含有する食肉用改質剤又は調味料を用いることにより、肉質が柔らかく、かつ肉汁に富み、また挽き肉を主体とした料理においては、ふっくら感やなめらかさも加わり、各種の肉料理をよりおいしく作ることができる。そしてプロテアーゼとの併用では、肉質を更に柔らかく、スジっぽさもなくなり、非常に食べ易くなる。特に、ある程度の大きさを持つ肉片を用いる肉料理に有効である。また本発明の食肉用改質剤又は調味料を使用することにより、冷凍食品、冷蔵食品、あるいはレトルト食品のような保存可能な肉製品においても、その保存後でも上記のような食感に関する改質効果は維持され、おいしく食べることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 高級アルコールとポリカルボン酸とのエステル又はその塩を含有する肉の改質剤。
【請求項2】 上記エステルがステアリルアルコールクエン酸エステル、ステアリルフマル酸ナトリウムまたは酒石酸ステアリルである請求項1に記載の肉の改質剤。
【請求項3】 高級アルコールとポリカルボン酸とのエステル又はその塩、及びプロテアーゼが含有されてなる肉の改質剤。
【請求項4】 上記プロテアーゼが麹菌由来のプロテアーゼである請求項3に記載の肉の改質剤。
【請求項5】 粉末状である請求項1〜4のいずれかの項に記載の肉の改質剤。
【請求項6】 水又は水性液体中に溶解又は分散された状態にある請求項1〜4のいずれかの項に記載の肉の改質剤。
【請求項7】 油脂中に溶解又は分散された状態にある請求項1〜4のいずれかの項に記載の肉の改質剤。
【請求項8】 請求項1〜7のいずれかの項に記載の肉の改質剤と調味成分とを含有する調味料。
【請求項9】 請求項1〜7のいずれかの項に記載の肉の改質剤、又は該肉の改質剤を含有する調味料で処理した食用肉又は肉製品。