肥満抑制剤及び該肥満抑制剤を含む高脂肪含有飲食品
【課題】茶を原料とし、より優れた肥満抑制効果を有する肥満抑制剤、及び該肥満抑制剤を含む高脂肪含有飲食品を提供すること。
【解決手段】べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有する肥満抑制剤を提供する。そして、この肥満抑制剤を、脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品に添加する。
【解決手段】べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有する肥満抑制剤を提供する。そして、この肥満抑制剤を、脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品に添加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含む肥満抑制剤、及び該肥満抑制剤を含む高脂肪含有飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の西洋化に伴う摂取カロリーの増加、不規則な食生活、運動不足等の原因による肥満が問題となっている。肥満は、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化症等の成人病や胆石症、呼吸異常、腰痛、変形性膝関節症等の原因となることが知られている。
【0003】
肥満を解消する方法としては、一般的には運動を行ったり、摂取カロリーの管理等が行われているが、これらの方法は継続的な実行が困難であったり、かえって健康を損なう危険性もある。そこで、できるだけ苦痛を伴わずに肥満を効率よく解消するために、脂肪の吸収抑制作用や脂質代謝改善作用を有する成分を手軽にかつ安心して摂取し得る飲食品開発への消費者の期待や関心が高まっている。
【0004】
一方、茶に含まれるカテキン類は、様々な生理作用をもたらすことが報告されている。例えば、下記特許文献1には、特定の茶カテキン類を有効成分とするコレステロール上昇抑制剤が開示されている。また、下記特許文献2には、茶ポリフェノールを有効成分とするα−アミラーゼ活性阻害剤が開示されている。更に、下記特許文献3には、非重合体カテキン類中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の含有重量比が10:90以上であり、非エピ体カテキン類及びエピ体カテキン類を有効成分として含有し、脂肪の燃焼の機能を有する健康食品が開示されている。
【特許文献1】特開昭60−156614号公報
【特許文献2】特開平3−133928号公報
【特許文献3】特開2006−117687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように茶カテキン類には、肥満抑制に関係する生理活性効果が認められており、このような茶カテキン類を含有するダイエット志向の飲食品が製品化されている。
【0006】
しかしながら、茶には様々な種類や品種があり、それぞれが含有するカテキン類の種類や組成も異なっている。このように、茶の種類や品種によって、カテキン類をはじめとする含有成分の相違があるが、茶の種類や品種によって、肥満抑制効果がどのように相違するかについては、未だ十分に研究されていないのが現状である。
【0007】
したがって、本発明の目的は、茶を原料とし、より優れた肥満抑制効果を有する肥満抑制剤、及び該肥満抑制剤を含む高脂肪含有飲食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、べにふうき茶の生理機能について種々研究する中で、べにふうき茶が、通常のやぶきた茶に比べて、より優れた肥満抑制効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の肥満抑制剤は、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有することにより、例えば脂肪組織重量や血清中の中性脂肪の増加抑制効果などの点において、やぶきた茶よりも優れた肥満抑制効果が得られる。この理由は、よくわかってはいないが、べにふうき茶は、茶の主要カテキンであるエピガロカテキンガレートに加え、エピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレートと呼ばれるメチル化カテキンを含んでおり、更に他の成分も含んでいるため、これらの成分が相乗的に作用しているのではないかと考えられる。
【0011】
本発明の肥満抑制剤は、脂肪組織重量低減、もしくは血清中性脂肪低減のために用いるのに、特に有効である。
【0012】
また、本発明の肥満抑制剤は、高脂肪含有飲食品を食べるときに服用して肥満抑制を図る用途に有効である。
【0013】
また、本発明の肥満抑制剤は、前記茶葉が、未発酵茶葉及び/又は弱発酵茶葉であることが好ましい。べにふうき茶に含まれるメチル化カテキンは、発酵工程にて消失してしまうことから、上記茶葉を未発酵茶葉又は弱発酵茶葉として用いることで、茶葉中におけるメチル化カテキンの含有量を高めることができる。
【0014】
また、本発明の肥満抑制剤は、前記茶葉抽出物が、抽出液及び/又はその乾燥粉末であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の肥満抑制剤は、前記茶葉及び/又は茶葉抽出物を、固形分換算で0.5〜100質量%含有することが好ましい。
【0016】
一方、本発明の高脂肪含有飲食品は、脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品であって、上記肥満抑制剤を含有することを特徴とする。
【0017】
本発明の肥満抑制剤は、特に高脂肪含有飲食品を摂取する場合に、脂肪組織重量や、血清中の中性脂肪の増加を抑制する作用に優れているため、脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品に含有させることによって、高脂肪含有飲食品を飲食した場合の体内脂肪の増大を抑制し、肥満を効果的に予防できる。
【0018】
また、本発明の高脂肪含有飲食品は、前記肥満抑制剤の有効成分であるべにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を固形分換算で1〜10質量%含有することが好ましい。前記べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を上記範囲で含有することにより、飲食品の風味や食感等を良好に保ちつつ、肥満抑制効果を高めることができる。
【0019】
また、本発明の高脂肪含有飲食品は、脂肪を25〜99質量%含有することが好ましい。本発明の効果は、上記範囲で脂肪を含有する高脂肪含有飲食品に添加することにより、より有効に発揮される。
【0020】
更に、本発明の高脂肪含有飲食品は、フォアグラ、鶏肉、ゴマ、卵、マヨネーズ、生クリーム及びそれらを含む食品、チョコレート、ポテトチップスから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の肥満抑制剤によれば、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有することにより、例えば脂肪組織重量や血清中の中性脂肪の増加抑制効果などの点において、通常のやぶきた茶よりも優れた肥満抑制効果が得られる。
【0022】
そして、この肥満抑制剤を含有する本発明の高脂肪含有飲食品は、これを飲食しても、脂肪組織重量や、血清中の中性脂肪等の増加を抑制して、肥満を予防できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の肥満抑制剤は、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有するものである。
【0024】
ここで、べにふうき茶とは、独立行政法人農業技術研究機構野菜茶業研究所で育成され、1993年に命名登録された茶品種で、茶の主要カテキンで生理機能が最も多く報告されているエピガロカテキンガレートに加え、エピガロカテキンガレートのメチルエーテル化物であるエピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレートと呼ばれるメチル化カテキンを比較的多く含んでいる。
【0025】
べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物は、従来から汎用的に飲食されているやぶきた茶よりも優れた肥満抑制効果が得られる。この理由は、よくわかってはいないが、べにふうき茶は、茶の主要カテキンであるエピガロカテキンガレートに加え、エピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレートと呼ばれるメチル化カテキンを含んでおり、更に他の成分も含んでいるため、これらの成分が相乗的に作用しているのではないかと考えられる。
【0026】
本発明の肥満抑制剤においては、べにふうき茶の茶葉を、未発酵茶葉及び/又は弱発酵茶葉として用いることが好ましい。メチル化カテキンは、体内での吸収性に優れ、また、体内で安定的であるという特性を有するものの、茶葉を発酵させるとその過程で消失しやすい。このため、べにふうき茶の未発酵茶葉又は弱発酵茶葉を原料として用いることにより、茶葉中におけるメチル化カテキンの含有量を高めることができる。
【0027】
本発明の肥満抑制剤においては、べにふうき茶の茶葉をそのまま又は適宜加工して用いることができる。例えば、茶葉を熱風乾燥、凍結乾燥、天日干し等の手段により乾燥し、粉末化して用いることができる。また、茶葉を、水、熱水、あるいはアルコールなどの溶媒を用いて抽出し、抽出液として用いてもよい。また、この抽出液を、更に凍結乾燥や噴霧乾燥など方法により乾燥処理し、乾燥粉末として用いてもよい。なお、茶葉やその抽出液を乾燥する際には、乾燥温度を140℃以下にすることが好ましい。
【0028】
そして、本発明の肥満抑制剤は、例えば上記のようにして調製したべにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を、固形分換算で0.5〜100質量%含有することが好ましく、2〜100質量%含有することがより好ましい。含有量が0.5質量%未満であると、十分な効果を得るには、飲食品への添加量を増加したり、肥満抑制剤の摂取量を増やす必要が生じる。
【0029】
本発明の肥満抑制剤は、上記の基本的成分以外に、炭水化物、食物繊維、たんぱく質、ビタミン類等を含むことができる。
【0030】
また、肥満抑制作用が認められている公知の物質を併用してもよい。このような物質としては、例えばカプサイシン、カフェイン、ジンゲロール、ラズベリーケトン等が挙げられる。
【0031】
本発明の肥満抑制剤は、医薬品、食品等の各種分野で用いられ、医薬の有効成分、食品原料等として使用することができる。
【0032】
例えば、医薬品とする場合には、薬学的に許容される基材や担体と共に製剤化し、医薬組成物として提供することができる。この医薬組成物には、基材や担体の他、薬学的に許容されることを限度として、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、保存剤、保湿剤、抗菌剤、防腐剤、香料、顔料、界面活性剤、安定剤、溶解補助剤等の添加剤を任意に配合してもよい。そして、当該医薬組成物の形態としては、丸剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、ゼリー剤、トローチ剤等の剤型が例示できる。
【0033】
また、本発明の肥満抑制剤を飲食品に添加して摂取する場合には、一般の食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等に配合して用いることができる。このような食品としては、例えば、チョコレート、ビスケット、ガム、キャンディー、クッキー、グミ、打錠菓子等の菓子類;シリアル;粉末飲料、清涼飲料、乳飲料、栄養飲料、炭酸飲料等の飲料;アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓が挙げられる。また、特定保健用食品や栄養補助食品等の場合であれば、粉末、顆粒、カプセル、シロップ、タブレット、糖衣錠等の形態のものであってもよい。
【0034】
本発明の肥満抑制剤の有効摂取量は、成人一日当り、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物として、固形分換算で0.1〜20gが好ましく、1〜10gがより好ましい。
【0035】
そして、本発明の肥満抑制剤は、脂肪組織重量低減作用及び血清中性脂肪低減作用に優れ、特に、脂肪含有量が25質量%を超える高脂肪飲食品の飲食に起因する脂肪組織重量や血清中性脂肪の増加を抑制する効果に優れることから、高脂肪含有飲食品を食べるときに服用されるものであることが好ましい。
【0036】
次に、本発明の高脂肪含有飲食品について説明する。
【0037】
本発明の高脂肪含有飲食品は、上記本発明の肥満抑制剤を含有し、脂肪を25質量%以上含有する飲食品である。
【0038】
上記本発明の肥満抑制剤は、飲食品の摂取に起因する脂肪組織や、血清中性脂肪の増加を抑制する作用に優れており、特に脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品を飲食時、顕著な効果が得られる。このため、脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品に、本発明の肥満抑制剤を配合することで、高脂肪含有飲食品を飲食した場合であっても脂肪組織や、血清中性脂肪が増加しにくくなり、肥満を効果的に予防できる。
【0039】
本発明の高脂肪含有飲食品において、高脂肪含有飲食品中の脂肪含有量は、25〜99質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。
【0040】
このような高脂肪含有飲食品として具体的には、フォアグラ、鶏肉、ゴマ、卵、マヨネーズ、生クリーム及びそれらを含む食品、チョコレート、ポテトチップス等が挙げられる。
【0041】
本発明の高脂肪含有飲食品において、上記本発明の肥満抑制剤の有効成分であるべにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物の含有量は、固形分換算で1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%がより好ましい。本発明のべにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物の含有量が1質量%未満であると、高脂肪食品の飲食に起因する脂肪組織や、血清中性脂肪の増加抑制効果が十分得られず、10質量%を超えると、飲食品本来の風味が損なわれてしまう。
【実施例】
【0042】
[被験物質の調製]
通常飼料(商品名;「CE−2」、日本クレア製 脂肪含有率4.6質量%)、高脂肪飼料(商品名;「HFD32」、日本クレア製 脂肪含有率32質量%)に対し、べにふうき茶の茶葉の乾燥粉砕物(カテキン含量16.2質量%)、やぶきた茶の茶葉の乾燥粉砕物(カテキン含量15.5質量%)を2質量%添加して、試料1〜4の被験物質を調製した。表1に各試料中のカテキン含有量及びメチル化カテキン含有量を示す。
【0043】
【表1】
【0044】
(試験例1)
1週間の予備飼育を行ったC57BL/6J系の雄性マウス(日本クレア株式会社より購入)5週齢を体重の平均値が等しくなるように3群(各10匹)に分け、試験群、対照群、コントロール群とし、試験群のマウスには試料1の被験物質を、対照群のマウスには試料2の被験物質を、コントロール群のマウスには通常飼料を与え、5週間飼育した。なお、飼育期間中、飲料水は自由摂取させた。また、飼育期間中、各群のマウスの体重、試料摂食量を、週3回測定した。
【0045】
飼育期間終了後、各群のマウスの脂肪組織重量測定[内臓脂肪(副精巣脂肪、腎周囲脂肪、腸間膜脂肪)、皮下脂肪(鼠けい部)]及び、血液生化学検査[総コレステロール、中性脂肪、レプチン]を行った。飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を図1に、飼育期間中のマウスの体重推移を図2に、飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を図3に、飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を図4に、飼育期間終了後のマウスの血清レプチンを図5にそれぞれ示す。
【0046】
図1から、各群間において試料の総摂食量には差異は生じなかった。これに対し、図2より、試験群及び対照群は、コントロール群に比べて体重の増加が抑えられており、更には、図3〜5より、試験群は、対照群及びコントロール群に比べて、内臓脂肪重量、皮下脂肪重量、血清中性脂肪、血清レプチンが低いことが分かる。
【0047】
(試験例2)
1週間の予備飼育を行ったC57BL/6J系の雄性マウス(日本クレア株式会社より購入)5週齢を体重の平均値が等しくなるように3群(各10匹)に分け、試験群、対照群、コントロール群とし、試験群のマウスには試料3の被験物質を、対照群のマウスには試料4の被験物質を、コントロール群のマウスには高脂肪飼料を与え、5週間飼育した。なお、飼育期間中、飲料水は自由摂取させた。また、飼育期間中、各群のマウスの体重、試料摂食量を、週3回測定した。
【0048】
飼育期間終了後、各群のマウスの脂肪組織重量測定[内臓脂肪(副精巣脂肪、腎周囲脂肪、腸間膜脂肪)、皮下脂肪(鼠けい部)]及び、血液生化学検査[中性脂肪、レプチン]を行った。飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を図6に、飼育期間中のマウスの体重推移を図7に、飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を図8に、飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を図9に、飼育期間終了後のマウスの血清レプチンを図10にそれぞれ示す。
【0049】
図6から、各群間において試料の総摂食量には差異は生じなかった。これに対し、図7〜10より、試験群は、対照群及びコントロール群に比べて体重が増加しにくく、更には内臓脂肪重量、皮下脂肪重量、血清中性脂肪、血清レプチンが低いことが分かる。
【0050】
(試験例3)
2週間の予備飼育を行ったC57BL/6J系の雄性マウス(日本クレア株式会社より購入)12週齢を体重の平均値が等しくなるように3群(各10匹)に分け、試験群、対照群、コントロール群とし、試験群のマウスには試料3の被験物質を、対照群のマウスには試料4の被験物質を、コントロール群のマウスには高脂肪飼料を与え、5週間飼育した。なお、飼育期間中、飲料水は自由摂取させた。また、飼育期間中、各群のマウスの体重、試料摂食量を、週3回測定した。
【0051】
飼育期間終了後、各群のマウスの脂肪組織重量測定[内臓脂肪(副精巣脂肪、腎周囲脂肪、腸間膜脂肪)、皮下脂肪(鼠けい部)]及び、血液性化学検査[中性脂肪、レプチン]を行った。飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を図11に、飼育期間中のマウスの体重推移を図12に、飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を図13に、飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を図14に、飼育期間終了後のマウスの血清レプチンを図15にそれぞれ示す。
【0052】
図11から、各群間において試料の総摂食量には差異は生じなかった。これに対し、図12〜15より、試験群は、対照群及びコントロール群に比べて、体重が増加しにくく、更には内臓脂肪重量、皮下脂肪重量、血清中性脂肪、血清レプチンが低いことが分かる。
【0053】
以上の結果から、べにふうき茶を摂取することで、体重増加を抑制し、内臓脂肪重量、皮下脂肪重量、血清中性脂肪、血清レプチンを効果的に低下させることができ、特に高脂肪含有食品を摂食した際において優れた効果が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】試験例1における飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を示す図表である。
【図2】同試験の飼育期間中のマウスの体重推移を示す図表である。
【図3】同飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を示す図表である。
【図4】同飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を示す図表である。
【図5】同飼育期間終了後のマウスの血清レプチン含量を示す図表である。
【図6】試験例2における飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を示す図表である。
【図7】同試験の飼育期間中のマウスの体重推移を示す図表である。
【図8】同飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を示す図表である。
【図9】同飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を示す図表である。
【図10】同飼育期間終了後のマウスの血清レプチン含量を示す図表である。
【図11】試験例3における飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を示す図表である。
【図12】同試験の飼育期間中のマウスの体重推移を示す図表である。
【図13】同飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を示す図表である。
【図14】同飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を示す図表である。
【図15】同飼育期間終了後のマウスの血清レプチンを示す図表である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含む肥満抑制剤、及び該肥満抑制剤を含む高脂肪含有飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の西洋化に伴う摂取カロリーの増加、不規則な食生活、運動不足等の原因による肥満が問題となっている。肥満は、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化症等の成人病や胆石症、呼吸異常、腰痛、変形性膝関節症等の原因となることが知られている。
【0003】
肥満を解消する方法としては、一般的には運動を行ったり、摂取カロリーの管理等が行われているが、これらの方法は継続的な実行が困難であったり、かえって健康を損なう危険性もある。そこで、できるだけ苦痛を伴わずに肥満を効率よく解消するために、脂肪の吸収抑制作用や脂質代謝改善作用を有する成分を手軽にかつ安心して摂取し得る飲食品開発への消費者の期待や関心が高まっている。
【0004】
一方、茶に含まれるカテキン類は、様々な生理作用をもたらすことが報告されている。例えば、下記特許文献1には、特定の茶カテキン類を有効成分とするコレステロール上昇抑制剤が開示されている。また、下記特許文献2には、茶ポリフェノールを有効成分とするα−アミラーゼ活性阻害剤が開示されている。更に、下記特許文献3には、非重合体カテキン類中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の含有重量比が10:90以上であり、非エピ体カテキン類及びエピ体カテキン類を有効成分として含有し、脂肪の燃焼の機能を有する健康食品が開示されている。
【特許文献1】特開昭60−156614号公報
【特許文献2】特開平3−133928号公報
【特許文献3】特開2006−117687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように茶カテキン類には、肥満抑制に関係する生理活性効果が認められており、このような茶カテキン類を含有するダイエット志向の飲食品が製品化されている。
【0006】
しかしながら、茶には様々な種類や品種があり、それぞれが含有するカテキン類の種類や組成も異なっている。このように、茶の種類や品種によって、カテキン類をはじめとする含有成分の相違があるが、茶の種類や品種によって、肥満抑制効果がどのように相違するかについては、未だ十分に研究されていないのが現状である。
【0007】
したがって、本発明の目的は、茶を原料とし、より優れた肥満抑制効果を有する肥満抑制剤、及び該肥満抑制剤を含む高脂肪含有飲食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、べにふうき茶の生理機能について種々研究する中で、べにふうき茶が、通常のやぶきた茶に比べて、より優れた肥満抑制効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の肥満抑制剤は、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有することにより、例えば脂肪組織重量や血清中の中性脂肪の増加抑制効果などの点において、やぶきた茶よりも優れた肥満抑制効果が得られる。この理由は、よくわかってはいないが、べにふうき茶は、茶の主要カテキンであるエピガロカテキンガレートに加え、エピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレートと呼ばれるメチル化カテキンを含んでおり、更に他の成分も含んでいるため、これらの成分が相乗的に作用しているのではないかと考えられる。
【0011】
本発明の肥満抑制剤は、脂肪組織重量低減、もしくは血清中性脂肪低減のために用いるのに、特に有効である。
【0012】
また、本発明の肥満抑制剤は、高脂肪含有飲食品を食べるときに服用して肥満抑制を図る用途に有効である。
【0013】
また、本発明の肥満抑制剤は、前記茶葉が、未発酵茶葉及び/又は弱発酵茶葉であることが好ましい。べにふうき茶に含まれるメチル化カテキンは、発酵工程にて消失してしまうことから、上記茶葉を未発酵茶葉又は弱発酵茶葉として用いることで、茶葉中におけるメチル化カテキンの含有量を高めることができる。
【0014】
また、本発明の肥満抑制剤は、前記茶葉抽出物が、抽出液及び/又はその乾燥粉末であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の肥満抑制剤は、前記茶葉及び/又は茶葉抽出物を、固形分換算で0.5〜100質量%含有することが好ましい。
【0016】
一方、本発明の高脂肪含有飲食品は、脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品であって、上記肥満抑制剤を含有することを特徴とする。
【0017】
本発明の肥満抑制剤は、特に高脂肪含有飲食品を摂取する場合に、脂肪組織重量や、血清中の中性脂肪の増加を抑制する作用に優れているため、脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品に含有させることによって、高脂肪含有飲食品を飲食した場合の体内脂肪の増大を抑制し、肥満を効果的に予防できる。
【0018】
また、本発明の高脂肪含有飲食品は、前記肥満抑制剤の有効成分であるべにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を固形分換算で1〜10質量%含有することが好ましい。前記べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を上記範囲で含有することにより、飲食品の風味や食感等を良好に保ちつつ、肥満抑制効果を高めることができる。
【0019】
また、本発明の高脂肪含有飲食品は、脂肪を25〜99質量%含有することが好ましい。本発明の効果は、上記範囲で脂肪を含有する高脂肪含有飲食品に添加することにより、より有効に発揮される。
【0020】
更に、本発明の高脂肪含有飲食品は、フォアグラ、鶏肉、ゴマ、卵、マヨネーズ、生クリーム及びそれらを含む食品、チョコレート、ポテトチップスから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の肥満抑制剤によれば、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有することにより、例えば脂肪組織重量や血清中の中性脂肪の増加抑制効果などの点において、通常のやぶきた茶よりも優れた肥満抑制効果が得られる。
【0022】
そして、この肥満抑制剤を含有する本発明の高脂肪含有飲食品は、これを飲食しても、脂肪組織重量や、血清中の中性脂肪等の増加を抑制して、肥満を予防できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の肥満抑制剤は、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有するものである。
【0024】
ここで、べにふうき茶とは、独立行政法人農業技術研究機構野菜茶業研究所で育成され、1993年に命名登録された茶品種で、茶の主要カテキンで生理機能が最も多く報告されているエピガロカテキンガレートに加え、エピガロカテキンガレートのメチルエーテル化物であるエピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレートと呼ばれるメチル化カテキンを比較的多く含んでいる。
【0025】
べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物は、従来から汎用的に飲食されているやぶきた茶よりも優れた肥満抑制効果が得られる。この理由は、よくわかってはいないが、べにふうき茶は、茶の主要カテキンであるエピガロカテキンガレートに加え、エピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレートと呼ばれるメチル化カテキンを含んでおり、更に他の成分も含んでいるため、これらの成分が相乗的に作用しているのではないかと考えられる。
【0026】
本発明の肥満抑制剤においては、べにふうき茶の茶葉を、未発酵茶葉及び/又は弱発酵茶葉として用いることが好ましい。メチル化カテキンは、体内での吸収性に優れ、また、体内で安定的であるという特性を有するものの、茶葉を発酵させるとその過程で消失しやすい。このため、べにふうき茶の未発酵茶葉又は弱発酵茶葉を原料として用いることにより、茶葉中におけるメチル化カテキンの含有量を高めることができる。
【0027】
本発明の肥満抑制剤においては、べにふうき茶の茶葉をそのまま又は適宜加工して用いることができる。例えば、茶葉を熱風乾燥、凍結乾燥、天日干し等の手段により乾燥し、粉末化して用いることができる。また、茶葉を、水、熱水、あるいはアルコールなどの溶媒を用いて抽出し、抽出液として用いてもよい。また、この抽出液を、更に凍結乾燥や噴霧乾燥など方法により乾燥処理し、乾燥粉末として用いてもよい。なお、茶葉やその抽出液を乾燥する際には、乾燥温度を140℃以下にすることが好ましい。
【0028】
そして、本発明の肥満抑制剤は、例えば上記のようにして調製したべにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を、固形分換算で0.5〜100質量%含有することが好ましく、2〜100質量%含有することがより好ましい。含有量が0.5質量%未満であると、十分な効果を得るには、飲食品への添加量を増加したり、肥満抑制剤の摂取量を増やす必要が生じる。
【0029】
本発明の肥満抑制剤は、上記の基本的成分以外に、炭水化物、食物繊維、たんぱく質、ビタミン類等を含むことができる。
【0030】
また、肥満抑制作用が認められている公知の物質を併用してもよい。このような物質としては、例えばカプサイシン、カフェイン、ジンゲロール、ラズベリーケトン等が挙げられる。
【0031】
本発明の肥満抑制剤は、医薬品、食品等の各種分野で用いられ、医薬の有効成分、食品原料等として使用することができる。
【0032】
例えば、医薬品とする場合には、薬学的に許容される基材や担体と共に製剤化し、医薬組成物として提供することができる。この医薬組成物には、基材や担体の他、薬学的に許容されることを限度として、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、保存剤、保湿剤、抗菌剤、防腐剤、香料、顔料、界面活性剤、安定剤、溶解補助剤等の添加剤を任意に配合してもよい。そして、当該医薬組成物の形態としては、丸剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、ゼリー剤、トローチ剤等の剤型が例示できる。
【0033】
また、本発明の肥満抑制剤を飲食品に添加して摂取する場合には、一般の食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等に配合して用いることができる。このような食品としては、例えば、チョコレート、ビスケット、ガム、キャンディー、クッキー、グミ、打錠菓子等の菓子類;シリアル;粉末飲料、清涼飲料、乳飲料、栄養飲料、炭酸飲料等の飲料;アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓が挙げられる。また、特定保健用食品や栄養補助食品等の場合であれば、粉末、顆粒、カプセル、シロップ、タブレット、糖衣錠等の形態のものであってもよい。
【0034】
本発明の肥満抑制剤の有効摂取量は、成人一日当り、べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物として、固形分換算で0.1〜20gが好ましく、1〜10gがより好ましい。
【0035】
そして、本発明の肥満抑制剤は、脂肪組織重量低減作用及び血清中性脂肪低減作用に優れ、特に、脂肪含有量が25質量%を超える高脂肪飲食品の飲食に起因する脂肪組織重量や血清中性脂肪の増加を抑制する効果に優れることから、高脂肪含有飲食品を食べるときに服用されるものであることが好ましい。
【0036】
次に、本発明の高脂肪含有飲食品について説明する。
【0037】
本発明の高脂肪含有飲食品は、上記本発明の肥満抑制剤を含有し、脂肪を25質量%以上含有する飲食品である。
【0038】
上記本発明の肥満抑制剤は、飲食品の摂取に起因する脂肪組織や、血清中性脂肪の増加を抑制する作用に優れており、特に脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品を飲食時、顕著な効果が得られる。このため、脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品に、本発明の肥満抑制剤を配合することで、高脂肪含有飲食品を飲食した場合であっても脂肪組織や、血清中性脂肪が増加しにくくなり、肥満を効果的に予防できる。
【0039】
本発明の高脂肪含有飲食品において、高脂肪含有飲食品中の脂肪含有量は、25〜99質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。
【0040】
このような高脂肪含有飲食品として具体的には、フォアグラ、鶏肉、ゴマ、卵、マヨネーズ、生クリーム及びそれらを含む食品、チョコレート、ポテトチップス等が挙げられる。
【0041】
本発明の高脂肪含有飲食品において、上記本発明の肥満抑制剤の有効成分であるべにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物の含有量は、固形分換算で1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%がより好ましい。本発明のべにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物の含有量が1質量%未満であると、高脂肪食品の飲食に起因する脂肪組織や、血清中性脂肪の増加抑制効果が十分得られず、10質量%を超えると、飲食品本来の風味が損なわれてしまう。
【実施例】
【0042】
[被験物質の調製]
通常飼料(商品名;「CE−2」、日本クレア製 脂肪含有率4.6質量%)、高脂肪飼料(商品名;「HFD32」、日本クレア製 脂肪含有率32質量%)に対し、べにふうき茶の茶葉の乾燥粉砕物(カテキン含量16.2質量%)、やぶきた茶の茶葉の乾燥粉砕物(カテキン含量15.5質量%)を2質量%添加して、試料1〜4の被験物質を調製した。表1に各試料中のカテキン含有量及びメチル化カテキン含有量を示す。
【0043】
【表1】
【0044】
(試験例1)
1週間の予備飼育を行ったC57BL/6J系の雄性マウス(日本クレア株式会社より購入)5週齢を体重の平均値が等しくなるように3群(各10匹)に分け、試験群、対照群、コントロール群とし、試験群のマウスには試料1の被験物質を、対照群のマウスには試料2の被験物質を、コントロール群のマウスには通常飼料を与え、5週間飼育した。なお、飼育期間中、飲料水は自由摂取させた。また、飼育期間中、各群のマウスの体重、試料摂食量を、週3回測定した。
【0045】
飼育期間終了後、各群のマウスの脂肪組織重量測定[内臓脂肪(副精巣脂肪、腎周囲脂肪、腸間膜脂肪)、皮下脂肪(鼠けい部)]及び、血液生化学検査[総コレステロール、中性脂肪、レプチン]を行った。飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を図1に、飼育期間中のマウスの体重推移を図2に、飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を図3に、飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を図4に、飼育期間終了後のマウスの血清レプチンを図5にそれぞれ示す。
【0046】
図1から、各群間において試料の総摂食量には差異は生じなかった。これに対し、図2より、試験群及び対照群は、コントロール群に比べて体重の増加が抑えられており、更には、図3〜5より、試験群は、対照群及びコントロール群に比べて、内臓脂肪重量、皮下脂肪重量、血清中性脂肪、血清レプチンが低いことが分かる。
【0047】
(試験例2)
1週間の予備飼育を行ったC57BL/6J系の雄性マウス(日本クレア株式会社より購入)5週齢を体重の平均値が等しくなるように3群(各10匹)に分け、試験群、対照群、コントロール群とし、試験群のマウスには試料3の被験物質を、対照群のマウスには試料4の被験物質を、コントロール群のマウスには高脂肪飼料を与え、5週間飼育した。なお、飼育期間中、飲料水は自由摂取させた。また、飼育期間中、各群のマウスの体重、試料摂食量を、週3回測定した。
【0048】
飼育期間終了後、各群のマウスの脂肪組織重量測定[内臓脂肪(副精巣脂肪、腎周囲脂肪、腸間膜脂肪)、皮下脂肪(鼠けい部)]及び、血液生化学検査[中性脂肪、レプチン]を行った。飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を図6に、飼育期間中のマウスの体重推移を図7に、飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を図8に、飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を図9に、飼育期間終了後のマウスの血清レプチンを図10にそれぞれ示す。
【0049】
図6から、各群間において試料の総摂食量には差異は生じなかった。これに対し、図7〜10より、試験群は、対照群及びコントロール群に比べて体重が増加しにくく、更には内臓脂肪重量、皮下脂肪重量、血清中性脂肪、血清レプチンが低いことが分かる。
【0050】
(試験例3)
2週間の予備飼育を行ったC57BL/6J系の雄性マウス(日本クレア株式会社より購入)12週齢を体重の平均値が等しくなるように3群(各10匹)に分け、試験群、対照群、コントロール群とし、試験群のマウスには試料3の被験物質を、対照群のマウスには試料4の被験物質を、コントロール群のマウスには高脂肪飼料を与え、5週間飼育した。なお、飼育期間中、飲料水は自由摂取させた。また、飼育期間中、各群のマウスの体重、試料摂食量を、週3回測定した。
【0051】
飼育期間終了後、各群のマウスの脂肪組織重量測定[内臓脂肪(副精巣脂肪、腎周囲脂肪、腸間膜脂肪)、皮下脂肪(鼠けい部)]及び、血液性化学検査[中性脂肪、レプチン]を行った。飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を図11に、飼育期間中のマウスの体重推移を図12に、飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を図13に、飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を図14に、飼育期間終了後のマウスの血清レプチンを図15にそれぞれ示す。
【0052】
図11から、各群間において試料の総摂食量には差異は生じなかった。これに対し、図12〜15より、試験群は、対照群及びコントロール群に比べて、体重が増加しにくく、更には内臓脂肪重量、皮下脂肪重量、血清中性脂肪、血清レプチンが低いことが分かる。
【0053】
以上の結果から、べにふうき茶を摂取することで、体重増加を抑制し、内臓脂肪重量、皮下脂肪重量、血清中性脂肪、血清レプチンを効果的に低下させることができ、特に高脂肪含有食品を摂食した際において優れた効果が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】試験例1における飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を示す図表である。
【図2】同試験の飼育期間中のマウスの体重推移を示す図表である。
【図3】同飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を示す図表である。
【図4】同飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を示す図表である。
【図5】同飼育期間終了後のマウスの血清レプチン含量を示す図表である。
【図6】試験例2における飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を示す図表である。
【図7】同試験の飼育期間中のマウスの体重推移を示す図表である。
【図8】同飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を示す図表である。
【図9】同飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を示す図表である。
【図10】同飼育期間終了後のマウスの血清レプチン含量を示す図表である。
【図11】試験例3における飼育期間中のマウスの試料の総摂食量を示す図表である。
【図12】同試験の飼育期間中のマウスの体重推移を示す図表である。
【図13】同飼育期間終了後のマウスの脂肪組織重量を示す図表である。
【図14】同飼育期間終了後のマウスの血清中性脂肪を示す図表である。
【図15】同飼育期間終了後のマウスの血清レプチンを示す図表である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肥満抑制剤。
【請求項2】
脂肪組織重量低減作用を有する請求項1に記載の肥満抑制剤。
【請求項3】
血清中性脂肪低減作用を有する請求項1に記載の肥満抑制剤。
【請求項4】
高脂肪含有飲食品を食べるときに服用されるものである請求項1〜3のいずれか一つに記載の肥満抑制剤。
【請求項5】
前記茶葉が、未発酵茶葉及び/又は弱発酵茶葉である請求項1〜4のいずれか一つに記載の肥満抑制剤。
【請求項6】
前記茶葉抽出物が、抽出液及び/又はその乾燥粉末である請求項1〜5のいずれか一つに記載の肥満抑制剤。
【請求項7】
前記茶葉及び/又は茶葉抽出物を、固形分換算で0.5〜100質量%含有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の肥満抑制剤。
【請求項8】
脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品であって、請求項1〜7のいずれか一つに記載の肥満抑制剤を含有することを特徴とする高脂肪含有飲食品。
【請求項9】
前記肥満抑制剤の有効成分であるべにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を固形分換算で1〜10質量%含有する請求項8記載の高脂肪含有飲食品。
【請求項10】
脂肪を25〜99質量%含有する請求項8又は9に記載の高脂肪含有飲食品。
【請求項11】
フォアグラ、鶏肉、ゴマ、卵、マヨネーズ、生クリーム及びそれらを含む食品、チョコレート、ポテトチップスから選ばれた少なくとも1種である請求項8〜10のいずれか1つに記載の高脂肪含有飲食品。
【請求項1】
べにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肥満抑制剤。
【請求項2】
脂肪組織重量低減作用を有する請求項1に記載の肥満抑制剤。
【請求項3】
血清中性脂肪低減作用を有する請求項1に記載の肥満抑制剤。
【請求項4】
高脂肪含有飲食品を食べるときに服用されるものである請求項1〜3のいずれか一つに記載の肥満抑制剤。
【請求項5】
前記茶葉が、未発酵茶葉及び/又は弱発酵茶葉である請求項1〜4のいずれか一つに記載の肥満抑制剤。
【請求項6】
前記茶葉抽出物が、抽出液及び/又はその乾燥粉末である請求項1〜5のいずれか一つに記載の肥満抑制剤。
【請求項7】
前記茶葉及び/又は茶葉抽出物を、固形分換算で0.5〜100質量%含有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の肥満抑制剤。
【請求項8】
脂肪を25質量%以上含有する高脂肪含有飲食品であって、請求項1〜7のいずれか一つに記載の肥満抑制剤を含有することを特徴とする高脂肪含有飲食品。
【請求項9】
前記肥満抑制剤の有効成分であるべにふうき茶の茶葉及び/又は茶葉抽出物を固形分換算で1〜10質量%含有する請求項8記載の高脂肪含有飲食品。
【請求項10】
脂肪を25〜99質量%含有する請求項8又は9に記載の高脂肪含有飲食品。
【請求項11】
フォアグラ、鶏肉、ゴマ、卵、マヨネーズ、生クリーム及びそれらを含む食品、チョコレート、ポテトチップスから選ばれた少なくとも1種である請求項8〜10のいずれか1つに記載の高脂肪含有飲食品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−94797(P2008−94797A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280863(P2006−280863)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
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