説明

胴巻き包装機

【課題】1包装あたりの処理時間を短くすることが可能であって、様々な物品の側面にフィルムを巻き付けることが可能な胴巻き包装機を提供する。
【解決手段】容器搬送路を挟む横方向両側に配設されて容器搬送路を横断するようにフィルム7を案内して展張する支持ローラ21と、容器搬送路で搬送される容器3を検知する容器検知センサによる容器3の検知に基づき、容器搬送方向の上流側に移動すると共に容器3に対する搬送方向上流側で互いに接近してフィルム7が巻き付けられた容器3に対する搬送方向上流側で該フィルム7を挟持するシール部材43とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の側面を熱収縮性のフィルムで胴巻き包装する胴巻き包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の胴巻き包装では、コンベヤの物品搬送路を横断するように展張されたフィルムに、搬送される物品を当接させて、物品の側面にフィルムを巻き付かせた後、シール体とシール受け部とを互いに接近させて、物品に巻き付いたフィルムに溶断シールを施す(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−9924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、展張されたフィルムに搬送される物品が当接して物品の側面にフィルムを巻き付けるまで、シールを施すことができない為、シールを施すまでの1包装あたりの処理時間が長くなってしまう。そこで、コンベヤの搬送速度を速めると、物品の形状によっては、搬送中に物品が倒れたり、搬送位置にずれが生じたりする恐れがあるため、速度を速める対応には限界がある。
【0005】
本発明は、1包装あたりの処理時間を短くすることが可能であって、様々な物品の側面にフィルムを巻き付けることが可能な胴巻き包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にかかる胴巻き包装機は、物品3の側面3aを熱収縮性のフィルム7で胴巻き包装するものであって、物品搬送路2aを横断するように展張されたフィルム7が巻き付けられる物品3の位置との関係に基づき、シール部材43が物品搬送方向の上流側に移動すると共に物品3の後方で互いに接近して前記フィルム7を挟持し得る。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、物品搬送路2aを挟む両側には一対の支持ローラ21が配設されていて、該支持ローラ21によって物品3にフィルム7を巻き付け案内する際に、展張されたフィルム7に物品3を当接させる前のフィルム7のテンションより低いテンションに調節し得るテンション調節手段を備えている。
【0008】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記テンション調節手段は、物品搬送路2aに展張されたフィルム7の物品搬送路2aの両側のフィルム供給経路で、該フィルム7が巻き掛けられた案内ローラ29と、該案内ローラ29に対し接近離間し得るテンションローラ32と、案内ローラ29から離間させる向きにテンションローラ32を付勢するばね35と、該ばね35の付勢力を解除する解除手段37を備え、該解除手段37でばね35の付勢力を解除して、フィルム7のテンションを該付勢力で得るテンションより低い前記低いテンションに調節し得る。
【0009】
請求項1〜3のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項4の発明において、前記シール部材43はフィルム7を挟持して物品搬送方向に向けて物品3の移動速度と同じ速度で移動する。
【0010】
請求項1〜4のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項5の発明において、前記シール部材43を挟んで物品搬送方向の上流側と下流側とにある物品搬送路2aは該シール部材43が互いに離間する際に互いに接近する。
【0011】
請求項1〜5のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項6の発明において、前記物品搬送路2aにおけるフィルム7の展張位置の上流側近傍において搬送される物品3を検知する物品検知手段6を備え、該物品検知手段6による物品3の検知に基づき、前記シール部材43の動作を制御する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、コンベヤの搬送速度を無理に速くしなくても、展張されたフィルムが巻き付けられる物品の位置との関係に基づき、フィルムが巻き付けられた物品の後方へシール部材が早く到達して、そのフィルムにシールすることができるので、1包装あたりの処理時間を短くすることができる。
【0013】
請求項2の発明では、フィルム包装される物品の形状や大きさ等が異なっても、フィルムを物品に巻き付ける時に、フィルムを展張させた時よりテンションが低い展張状態に調節可能にすることによって、物品搬送方向、或いは、横方向への物品の位置ずれを防ぎ、後続の物品の包装に対して早期にフィルムのテンションを待機状態に復帰させることができ、1包装あたりの処理時間を短くすることができる。
【0014】
請求項3の発明では、ばねによる付勢力を除去するだけで、物品を当接させる前のフィルムのテンションより低いテンションに調節し得ることから、簡素な構造でテンションを切り替えることができる。
【0015】
請求項4の発明では、シール部材がフィルムを挟持した状態で物品搬送方向の下流側に物品と同じ速度で移動することによって、後続の物品の包装に対して早期にシール部材を待機状態に復帰させることができる。
【0016】
請求項5の発明では、シール部材が互いに離間する際に、物品搬送路は、シール部材を挟んで物品搬送方向の上流側と下流側とが互いに接近することによって、上流側から下流側へ物品を良好に渡すことができるため、物品に対するフィルムの巻き付け位置のずれが発生しない。
【0017】
請求項6の発明では、物品検知手段による物品の検知に基づき、物品がフィルムに当接するタイミング等を得ることができるため、シール部材等の動作を適切に制御することができる。例えば、容器に滑りが生じても、容器の位置情報をより正確に得ることが可能であるため、シール部材や支持ローラ等を作動させるタイミングを変更して、シール部材や支持ローラ等が容器を噛み込まないようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】胴巻き包装機の一部を概略的に示す平面図である。
【図2】胴巻き包装機のフィルム支持機構を概略的に示す正面図である。
【図3】胴巻き包装機のシール機構を概略的に示す正面図である。
【図4】(a)は胴巻き包装機の一部を概略的に示す側面図であり、(b)は胴巻き包装機のコンベヤの一部を概略的に示す部分側面図であり、(c)は同じく部分平面図である。
【図5】(a)(b)(c)は夫々フィルム支持機構及びシール機構の作用を示す平面図であり、(d)は包装された蓋付き容器を示す一部切欠き正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態の胴巻き包装機は、様々な形状やサイズや重量等を有する多品種の容器(物品)に対応可能なものである。
図1に示すように、コンべヤ1は、供給コンべヤ1Aと排出コンべヤ1Bとによって容器搬送路2aが構成されており、その容器搬送路2a上に載置された容器3が容器搬送方向(前後方向)に沿う矢印の向きに搬送される。
【0020】
供給コンべヤ1Aと排出コンべヤ1Bとの境界付近には、フィルム支持機構4と、そのフィルム支持機構4より容器搬送方向の下流側でフィルム支持機構4に近接するようにシール機構5が配設されていて、フィルム支持機構4より容器搬送方向の上流側近傍で容器搬送路2aを搬送される容器3を検知する容器検知センサ6(物品検知手段)が配設されている。
【0021】
供給コンべヤ1Aの容器搬送路2aを挟む左右方向(前後方向に対し直交する横方向)の両側には、帯状の熱収縮性のフィルム7をフィルム支持機構4に供給するフィルム案内機構8が配設されている。
【0022】
排出コンべヤ1Bの容器搬送方向の下流側には、図示しないシュリンクトンネルが設置され、熱収縮性のフィルム7により胴巻き包装された容器3を通過させて、図5(d)に示すように容器3の側面3aにおける容器本体9と蓋10の合わせ目11にフィルム7が密着して封止された包装品を得ることができる。
【0023】
次に、図2に基づきフィルム支持機構4について説明する。
容器搬送路2aより下方位置で容器搬送方向に対し交差する横方向に延出するように移動台12が、図示しない本体枠に支持されている。移動台12上の横方向両側に立設された支持板13間に一対の案内棒14が上下平行に横方向へ架設されている。また、両支持板13間には両案内捧14と平行に雄螺旋棒15が回転可能に横方向へ支持されており、その雄螺旋棒15は図1に示すサーボモータ16の回転を受けて回転する。雄螺旋棒15には、コンべヤ1の容器搬送路2aを挟む横方向における一側に左螺旋15aが形成され、他方に右螺旋15bが形成されている。左螺旋15aと右螺旋15bとは夫々雌螺旋筒17と螺合している。雌螺旋筒17は、案内棒14に嵌挿された案内筒18と共に、可動板19に各々取着されている。このため、可動板19は容器搬送路2aの左右両側で雄螺旋棒15及び案内棒14に支持され、雄螺旋棒15が回転することで、可動板19及び後述する支持ローラ21は容器搬送路2aの容器搬送中心に対し互いに接近すると共にサーボモータ16の回転に応じて離間し、動作開始位置としての元の位置に復帰する。
【0024】
可動板19の一部である台板19aには、昇降台20が上下方向に移動可能に支持され、その昇降台20には、容器搬送路2aから横方向に順番に、支持ローラ21と案内ローラ22,23とが上下(鉛直)方向へ延びるように設置されている。昇降台20を上下方向に移動させることにより、支持ローラ21及び案内ローラ22,23の高さ調節が可能であって、例えば、図5(d)に示す容器3の容器本体9と蓋10とが接合する箇所だけ容器3の側面3aが包装されるように、容器3に対し支持ローラ21及び案内ローラ22,23の高さ調節が可能とされている。
【0025】
次に、図1に基づきフィルム案内機構8について説明する。
コンベヤ1の容器搬送路2aを挟む両側の可動台24上には、フィルム供給源25として巻取軸27にフィルム巻取ロール体28が夫々回転可能に取り付けられている。フィルム巻取ロール体28から引き出されたフィルム7は、一対の案内ローラ29を介して繰出しローラ30とゴムローラ31とによって挟持された後に、案内ローラ29とテンションローラ32とに交互に掛け渡されてジグザグ状に案内されたフィルム供給経路を経て、前記フィルム支持機構4の案内ローラ23,22及び支持ローラ21に掛け渡されている。ロッド35aとその両側に平行に配設された案内棒33とにはテンション台34が容器搬送方向に対し交差する横方向へスライド可能に挿嵌されている。各テンションローラ32はテンション台34上に支持されている。テンション台34はロッド35aに沿って移動可能な押圧片36を介して圧縮コイルばね35により通常はコンベヤ1の容器搬送路2a側へ付勢されている。不図示の駆動制御手段により可動台24上のエアシリンダ37が作動すると、押圧片36がエアシリンダ37で押されることにより押圧片36が圧縮コイルばね35を押圧しながら移動し、その押圧により圧縮コイルばね35が収縮してテンション台34から離れ、圧縮コイルばね35によるテンション台34の付勢が解除されて(解除手段)フィルム7に対するテンションを緩めることができる。従って、エアシリンダ37の作動で圧縮コイルばね35の付勢力を除去することにより、テンションローラ32が支持されたテンション台34がフィルム7のテンションを低くする側にスライドする際に案内棒33に対し生じる摩擦で、フィルム7のテンションを前記低いテンションに調節し得る。また、エアシリンダ37が通常の状態に復帰すると、押圧片36に対する押圧解除により圧縮コイルばね35が伸長してテンション台34を押圧片36で付勢し、フィルム7にテンションを付与することができる。巻取軸27に巻き付けられたフィルム7は、繰出しローラ30が可動台24の下側に取着されたサーボモータ(不図示)の駆動を受けて回転することによって、巻取軸27から引き出される。各巻取軸27の外周にはブレーキバンド26が巻かれていて、その一端側がばね(不図示)を介して支持されていることにより、サーボモータ(不図示)の回転が停止すると、ブレーキバンド26によって巻取軸27にブレーキが掛けられる。
【0026】
以上のように、本実施形態では、支持ローラ21によって展張されたフィルム7に容器3を当接させて容器3にフィルム7を巻き付ける際のフィルム7のテンションを、展張されたフィルム7に容器3を当接させる前のフィルム7のテンションより低いテンションに調節し得るテンション調節手段が構成されている。
【0027】
フィルム案内機構8の各ローラ29,30,31,32及びフィルム供給源25は可動台24により上下方向に移動可能に支持されており、フィルム案内機構8の各ローラ29,30,31,32及びフィルム支持機構4の各ローラ21,22,23は、夫々、容器搬送路2aから上方に所定距離だけ離れた同じ高さ位置でフィルム7を支持するように高さ位置が調節されている。また、フィルム7の脱落を防ぐために各ローラ29,30,31,32,21,22,23の下端が鍔状に形成されている。
【0028】
次に、図3に基づきシール機構5について説明する。
移動台12上の横方向両側には、支持板38と支柱39とが上下方向に立設するように配設されており、両支持板38間に一対の案内棒40が平行に横方向へ架設され、両支柱39の間に案内棒41が各案内棒40に対し平行に架設されている。案内棒40,41には、一対の可動体42が案内捧40,41に沿って横方向にスライド可能に支持されている。可動体42には、夫々、シール部材43が対向するように配設されており、その反対側にはリンク44が揺動可能に支持されている。両可動体42及び両シール部材43が容器搬送路2aの中央を中心に対称に接近離間動作するように、サーボモータ45の回転が、支柱39に回動可能に支持されたレバー46,47,48と、連動リンク49と、リンク50と、リンク44とを介して、各可動体42に伝達されるように構成されている。なお、図示されていないが、一方のシール部材43内には他方のシール部材43内に対し進退するナイフが内蔵されている。
【0029】
図4(a)に示すように、供給コンべヤ1Aと排出コンべヤ1Bとの境界付近で、図示しない本体枠の横方向両側には容器搬送方向へ延びる案内シャフト51が取着されている。前記フィルム支持機構4及びシール機構5の移動台12が案内シャフト51に沿って往復移動可能に支持されている。図示しない本体枠に取着されたサーボモータ52が回転すると、偏心レバー53とその偏心位置に揺動可能に連結されたリンク54とを介して移動台12がフィルム支持機構4及びシール機構5と共に案内シャフト51に沿って容器搬送方向へ往復移動する。従って、フィルム支持機構4における一対の支持ローラ21とシール機構5における一対のシール部材43は、容器搬送方向における上流側の後退位置Pと下流側の前進位置Qとの間で往復移動する。
【0030】
供給コンべヤ1Aの下流端側と排出コンべヤ1Bの上流端側には、各コンベヤ本体2bに対し可動枠体56,57が容器搬送方向へ延設されて夫々、往復移動可能に支持されている。可動枠体56,57には複数の従動プーリ58,59が支持されていると共に、各コンベヤ本体2bには不図示の各サーボモータから駆動力を受ける駆動プーリ60と複数の従動プーリ61とが支持されていて、駆動プーリ60と各従動プーリ58,59,61には搬送ベルト2が掛け渡されている。供給コンべヤ1Aの搬送ベルト2上と排出コンべヤ1Bの搬送ベルト2上とは同一平面内にある。
【0031】
可動枠体56の下流端側及び可動枠体57の上流端側で両側には夫々図4(b)及び図4(c)に示すようにカム板62が取着されている。各カム板62にはカム溝62aが形成されている。一方、シール部材43が配設された一対の可動体42には夫々カム腕63が取着されていて、カム腕63の両端に配設されたカムローラ63aがカム板62のカム溝62aに係入されている。このことによって、一対のシール部材43が両可動体42と共に容器搬送路2aに向けて互いに接近する際には、カム腕63のカムローラ63aがカム板62のカム溝62aに案内されて移動するため、可動枠体56と可動枠体57とが互いに容器搬送方向へ離間する。また、移動台12が移動台12上のフィルム支持機構4及びシール機構5と共に容器搬送方向へ往復移動すると、シール機構5に取着されたカム腕63が可動枠体56,57に取着されたカム板62を容器搬送方向に押す或いは引っ張ることにより、供給コンべヤ1Aの可動枠体56及び排出コンべヤ1Bの可動枠体57も各従動プーリ58,59及び搬送ベルト2と共に容器搬送方向へ往復移動する。
【0032】
次に、シール機構5等の動作タイミングについて説明する。
張設されたフィルム7に対し、搬送途中の容器3が容器搬送方向の上流側に位置する時に、容器検知センサ6によって容器3の前方が検知されると、不図示の駆動制御手段が、コンベヤ1の搬送速度に基づき、フィルム7に容器3が当接するタイミングとの関係から、繰出しローラ30を駆動するフィルム繰出し用サーボモータ(不図示)とテンション調節用のエアシリンダ37の各動作タイミングを求める。
【0033】
不図示の駆動制御手段には、両支持ローラ21を接近離間動作させるサーボモータ16と、両シール部材43を接近離間動作させるサーボモータ45と、フィルム支持機構4及びシール機構5を容器搬送方向へ往復移動させるサーボモータ52の各動作タイミング(動作開始タイミング、動作停止タイミング)や各動作速度や動作開始位置等が予め設定されており、容器検知センサ6による容器3の検知により、各サーボモータ16,45,52が各々駆動制御される。これらの設定は、容器移動速度や容器3のサイズ等に応じて、オペレータにより変更可能である。
【0034】
まず、容器検知センサ6によって容器3が検知される前の段階では、図5(a)に示すように、供給コンベヤ1Aと排出コンベヤ1Bが近接していて、移動台12に配設されたフィルム支持機構4とシール機構5は前進位置Qに置かれている。このとき、フィルム繰出し用サーボモータ(不図示)が停止していて、テンション台34が圧縮コイルばね35により押されているため、フィルム7は展張された状態(待機状態)で容器搬送路2aを横断している。また、一対の支持ローラ21が互いに最も離間する待機位置で停止しており、一対のシール部材43が更に離間する待機位置で停止している。
【0035】
容器検知センサ6によって容器3の前方が検知されると、フィルム支持機構4とシール機構5がサーボモータ52の駆動により前進位置Qから容器搬送方向の上流側の後退位置Pに向けて移動を開始する(図5(a)参照)。
【0036】
フィルム支持機構4に展張されたフィルム7に容器3が当接する直前に、フィルム繰出し用サーボモータ(不図示)とエアシリンダ37が始動する。これらの始動で、容器3がフィルム7に当接する時に、圧縮コイルばね35によるテンション台34の付勢が解除され、圧縮コイルばね35の付勢力が、その付勢力より小さな、案内棒33とテンション台34間の摩擦抵抗に変えられて、フィルム7は容器3が当接するまでの展張状態よりテンションが低い展張状態で張設される。この低い展張状態におけるフィルム7は、容器3が当接した際に容器3からずれ落ちない程度に容器3との間の摩擦によって容器3に密着する。
【0037】
なお、容器の形状や大きさや重量等、容器の種類によって、フィルム繰出し用サーボモータ(不図示)及びエアシリンダ37の始動タイミング等が調節され、テンションが低い展張状態が夫々得られる。
【0038】
この間もフィルム支持機構4とシール機構5は、前進位置Qから容器搬送方向の上流側の後退位置Pに向けて移動しており、この移動中に容器3がフィルム7に当接する。そして、フィルム支持機構4とシール機構5が後退位置Pに到達すると、一対のシール部材43が互いにゆっくりとした接近動作を開始し、そのタイミングから僅かに遅れて、一対の支持ローラ21が互いに接近動作を開始し、一対の支持ローラ21が容器3の横幅Sより狭い位置まで接近する。この際、テンションが低い展張状態が維持されているフィルム7に対して容器3が容器搬送方向の下流側に前進し、一対の支持ローラ21は容器3より僅かに後方で互いに最も接近して容器3の側面3a(容器本体9と蓋10との合わせ目11の部分)にフィルム7を巻き付け案内し、容器3の前方から後方に至る側面にフィルム7を密着させる(図5(b)参照)。
【0039】
そして、支持ロ−ラ21によって、容器3の側面にフィルム7を密着させながら、容器3が容器搬送方向の下流側に僅かに移動すると共に、フィルム支持機構4とシール機構5が移動する向きが前進位置Qに変わると、一対のシール部材43が容器3の後方でフィルム7を挟む(図5(c)参照)。シール機構5がフィルム7を挟んだ状態で、フィルム支持機構4とシール機構5が排出コンベヤ1Bと共に前進位置Q側に移動しながら、加熱シールし、ナイフ(不図示)によりフィルム7を切断して容器3を胴巻きする。この間、排出コンベヤ1Bの搬送ベルト2による容器3の搬送は停止しており、エアシリンダ37が戻り始めて、圧縮コイルばね35がテンション台34を付勢するようになり、フィルム7のテンションが低い展張状態から徐々に元の展張状態(待機状態)に変えていく。
【0040】
エアシリンダ37が完全に復帰すると、一対の支持ローラ21が離間し始め、この一対の支持ローラ21の離間が完了(復帰)するタイミングと略同じタイミングで、フィルム支持機構4とシール機構5が前進位置Qに到達し、一対のシール部材43が離間し始める。一対のシール部材43及び一対の支持ローラ21の離間が完了(復帰)するタイミングと略同じタイミングで、フィルム繰出し用サーボモータ(不図示)によるフィルム7の供給駆動を停止する。
【0041】
容器検知センサ6によって次の容器3が検知されなければ、前進位置Qで各駆動を停止して待機し、次の容器3が検知されると、これまでの駆動と同様の制御処理が行われる。
本実施形態は下記の効果を有する。
【0042】
* 供給コンベヤ1Aの搬送速度を無理に速くしなくても、容器搬送路2aで搬送される容器3の位置との関係に基づき、例えば、容器搬送路2aの容器3を検知する容器検知センサ6による容器3の検知に基づき、フィルム7が巻き付けられた容器3の後方へシール部材43が早く到達して、そのフィルム7にシールすることができるので、1包装あたりの処理時間を短くすることができる。また、容器検知センサ6によって実際の容器3の搬送路2aにおける搬送状態を監視しながらシール部材43を移動させるので、適正なシールを行うことができる。
【0043】
* フィルム7のテンションが高い展張状態しておく方が、後続の容器3の包装に対して早期にフィルム7のテンションを待機状態に復帰させることができるため、容器3を連続で胴巻き包装したい場合には有利である。しかし、包装する容器3が軽量の容器3に変わると、フィルム7のテンションによる抵抗で、展張状態のフィルム7に容器3が当接する際に容器搬送路2aにおける容器3の位置ずれが生じたり、倒れ易い容器3であれば、容器3が倒れてしまう問題が生じる。これを防ぐために、フィルム7に容器3が当接する際にフィルム7にテンションをかけない状態にすると、容器3が前進する間に容器3からフィルム7が外れたり、周辺の部品に絡み合ってしまう恐れがある。このため、フィルム包装されるべき容器3の形状や大きさ等が異なっても、フィルム7を容器3に巻き付ける時に、フィルム7を展張させたときよりテンションが低い展張状態に調節可能にすることよって、容器搬送方向、或いは、横方向への容器3の位置ずれを防ぎ、後続の容器3の包装に対して早期にフィルム7のテンションを待機状態に復帰させることができ、1包装あたりの処理時間を短くすることができる。
【0044】
* エアシリンダ37により圧縮コイルばね35の力を除去するだけで、容器3を当接させる前のフィルム7のテンションより低いテンションに調節し得ることから、簡素な構造でテンションを切り替えることができる。
【0045】
* シール部材43がフィルム7を挟持した状態で容器3と共に容器搬送方向の下流側に容器3と同じ速度で移動することによって、後続の容器3の包装に対して早期にシール部材43を前記前進位置Qに復帰させることができる。
【0046】
* シール部材43が互いに離間する際に、容器搬送路2aは、シール部材43を挟んで容器搬送方向の上流側と下流側とが互いに接近することによって、上流側から下流側へ容器3を良好に渡すことができるため、容器3に対するフィルム7の巻き付け位置のずれが発生しない。
【0047】
* 容器検知センサ6による容器3の検知に基づき、容器3がフィルム7に当接するタイミング等を得ることができるため、シール部材43等の動作を適切に制御することができる。例えば、容器3に滑りが生じても、容器3の位置情報をより正確に得ることが可能であるため、シール部材43や支持ローラ21等を作動させるタイミングを変更して、シール部材43や支持ローラ21等が容器3を噛み込まないようにすることもできる。
【0048】
* 容器搬送方向の上流側に支持ローラ21が移動することによって、容器搬送路2aを横断するフィルム7を容器3に対しより早く巻き付けることができると共に、シール部材43を容器3の後方へ早く到達させてフィルム7にシールすることができるので、1包装あたりの処理時間を短くすることができる。
【0049】
* 容器3に対する搬送方向上流側でシール部材43が互いに離間した際に各コンベヤ1A,1Bの端部が互いに近接するので、シール部材43とコンベヤ1との干渉を避けるべく、シール部材43と容器搬送路2aとの高さ位置とに注意を払うことなく、容器3の側面3aに巻かれたフィルム7をシールすることができる。
【0050】
* 容器搬送路2aを横断するフィルム7は、容器搬送路2aから上方に離れた位置で、支持ローラ21に支持されて、そのフィルム7によって、容器搬送路2aを搬送される容器3の容器本体9と蓋10との合わせ目11に対して巻き付けて、容器3の側面3aを部分的に包装する。このことから、容器3の容器本体9と蓋10との合わせ目11に対して熱収縮性のフィルム7を巻き付けて、容器3の側面3aを部分的に包装することによって、容器3内に異物が混入することを防止することができる。また、必要最小限のフィルム7で包装することから、包装コストを抑制することができ、ごみ等を削減することができる。
【0051】
* 一対のシール部材43がフィルム7を挟持して加熱シールする際に、排出コンベヤ1Bの搬送ベルト2による容器3の搬送を一時的に停止させながら、シール部材43と排出コンベヤ1Bを同じ速度で容器搬送方向の下流側に移動させるため、シール部材43とフィルム7との位置ずれを抑制することができる。
【0052】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 本実施形態では、エアシリンダ37の作動で圧縮コイルばね35の付勢力を解除したが、エアシリンダ37に代えて電動モータ等の別の駆動手段で解除するようにしてもよい。また、圧縮コイルばね35を用いてテンションローラ32を付勢したが、例えば、板ばねやゴム等の弾性体(ばね)等に変更してテンションローラ32が案内ローラ29に接近し難い状態に設定してもよい。
【0053】
・ 本実施形態では、容器検知センサ6による容器3の前方検知に基づき、不図示の駆動制御手段により、シール部材43等の動作を制御しているが、搬送中の容器3の後方、或いは、容器3の前方及び後方の検知に基づき、シール部材43や支持ローラ21等、夫々、或いは、何れか特定の動作制御を行うようにしてもよい。容器3の前方及び後方の両方を検知する場合には、容器3の長さを求めることも可能であるため、予め作業者が容器3の長さ寸法を設定入力しなくても、自動的に胴巻き包装することができる。また、容器検知センサ6は、1つに限定されない。例えば、複数個の容器検知センサ6を容器搬送方向に間隔をあけて配設し、同様の制御処理を行ってもよい。この場合、容器搬送路2a上で容器3が滑っても、容器3の位置情報をより正確に得ることができるため、シール部材43や支持ローラ21等による容器3の噛み込みを防ぐことが可能になる。
【0054】
・ 本実施形態では、移動台12の容器搬送方向における移動範囲を一定にしたが、例えば、移動台12に駆動力を伝達するリンク機構等の取付け位置を調節可能にする等の構成によって、移動台12の移動範囲を可変にすることができる。
【0055】
・ 本実施形態では、移動台12に供給コンベヤ1Aと排出コンベヤ1Bとを連結することで、移動台12が容器搬送方向に移動する際に、各コンベヤ1A,1Bが共に容器搬送方向に移動するように構成したが、各コンベヤ1A,1Bにモータ等を設置して、各コンベヤ1A,1Bが共に或いはいずれか一方が移動するように構成してもよい。
【0056】
・ シール部材43が互いに接近する時に、供給コンベヤ1Aと排出コンベヤ1Bとが互いに離間する動きについても、同様に、各コンベヤ1A,1Bにモータ等を設置して、各コンベヤ1A,1Bが離間するようにしてもよい。
【0057】
・ 本実施形態では、支持ローラ21とシール部材43を移動台12と共に容器搬送方向に移動するように構成したが、シール部材43だけを容器搬送方向に移動させるように構成してもよい。
【0058】
・ 本実施形態では、胴巻き包装機で蓋付き容器3の容器本体9と蓋10との合わせ目11に対してフィルム7を巻き付けたが、このような容器に限定されることなく、種々の物品の側面を胴巻き包装してもよい。
【0059】
・ 加熱シールすると共にナイフにより切断するシール部材43に代えて、適切な温度に加熱した刃を使用することによりフィルムを溶かしてシールしつつ切断する溶断シールであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1A…供給コンベヤ、1B…排出コンベヤ、2a…容器搬送路(物品搬送路)、3…容器(物品)、3a…容器の側面、6…容器検知センサ(物品検知手段)、7…フィルム、21…支持ローラ、29…案内ローラ、32…テンションローラ、35…圧縮コイルばね、37…エアシリンダ、43…シール部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の側面を熱収縮性のフィルムで胴巻き包装する胴巻き包装機であって、物品搬送路を横断するように展張されたフィルムが巻き付けられる物品の位置との関係に基づき、シール部材が物品搬送方向の上流側に移動すると共に物品の後方で互いに接近して前記フィルムを挟持し得ることを特徴とする胴巻き包装機。
【請求項2】
物品搬送路を挟む両側には一対の支持ローラが配設されていて、該支持ローラによって物品にフィルムを巻き付け案内する際に、展張されたフィルムに物品を当接させる前のフィルムのテンションより低いテンションに調節し得るテンション調節手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の胴巻き包装機。
【請求項3】
前記テンション調節手段は、物品搬送路に展張されたフィルムの物品搬送路の両側のフィルム供給経路で、該フィルムが巻き掛けられた案内ローラと、該案内ローラに対し接近離間し得るテンションローラと、案内ローラから離間させる向きにテンションローラを付勢するばねと、該ばねの付勢力を解除する解除手段を備え、該解除手段でばねの付勢力を解除して、フィルムのテンションを該付勢力で得るテンションより低い前記低いテンションに調節し得ることを特徴とする請求項2に記載の胴巻き包装機。
【請求項4】
前記シール部材はフィルムを挟持して物品搬送方向に向けて物品の移動速度と同じ速度で移動することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の胴巻き包装機。
【請求項5】
前記シール部材を挟んで物品搬送方向の上流側と下流側とにある物品搬送路は該シール部材が互いに離間する際に互いに接近することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の胴巻き包装機。
【請求項6】
前記物品搬送路におけるフィルムの展張位置の上流側近傍において搬送される物品を検知する物品検知手段を備え、該物品検知手段による物品の検知に基づき、前記シール部材の動作を制御することを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の胴巻き包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−6136(P2011−6136A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154136(P2009−154136)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】