説明

脱硝装置および供給ノズル

【課題】 被処理ガス中の窒素酸化物の還元を効率的に行うことができ、脱硝剤の使用量を低減することができる脱硝装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 前記供給ノズルは、脱硝剤を流通させる脱硝剤流通管と、被処理ガスの熱を吸収する吸熱媒体を流通させる吸熱管とを備え、該吸熱管は、供給ノズルが前記流通空間に挿入された際に、前記流通空間内に位置する脱硝剤流通管の外面に沿って吸熱媒体を流通可能に構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理ガスが流通する流通空間にアンモニアを含有する脱硝剤を供給し、被処理ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置、及び、前記流通空間に脱硝剤を供給する供給ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーキルン等から排出されるガス中には、燃料中や空気中の窒素成分が酸素と反応して発生した窒素酸化物が含有されている。このようなガスが大気中に放散されると、窒素酸化物の影響によって光化学スモッグや酸性雨等が発生し、健康面、及び、環境面で甚大な被害を及ぼす虞がある。このため、大気汚染防止法によって窒素酸化物の排出量が制限されており、斯かる排出量を満たすべく、種々の方法が採られている。
【0003】
例えば、窒素酸化物を還元する成分としてアンモニアを含有する脱硝剤(アンモニアガスやアンモニア水等)を上述のようなガス(被処理ガス)に接触させることで、窒素酸化物を窒素と水とに還元して分解する方法が知られている(特許文献1参照)。被処理ガスと脱硝剤とを接触させる際には、脱硝剤を拡散する拡散ガスと脱硝剤とを噴出可能に構成された供給ノズルが用いられる。該供給ノズルは、被処理ガスが流通する流通空間に挿入されて使用されるものであり、前記流通空間に脱硝剤及び拡散ガスを噴出させることで被処理ガスに脱硝剤を接触可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−281275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように、供給ノズルを前記流通空間に挿入した場合、前記流通空間内を流通する被処理ガスが供給ノズルに接触するため、被処理ガスの熱によって供給ノズルが加熱される。これにより、供給ノズル内で脱硝剤が加熱され、脱硝剤に含有されるアンモニアが熱分解してしまう虞がある。
【0006】
上述のように、脱硝剤に含有されるアンモニアが熱分解すると、脱硝剤中のアンモニアの含有量が低下するため、脱硝剤が被処理ガスに接触した際の窒素酸化物の還元効率が低下することとなる。このため、被処理ガス中の窒素酸化物の含有量に対応した量を越える量の脱硝剤を前記流通空間に供給することが必要となり、窒素酸化物を除去する際のコストが高くなる要因となる。
【0007】
そこで、本発明は、被処理ガス中の窒素酸化物の還元を効率的に行うことができ、脱硝剤の使用量を低減することができる脱硝装置、及び、前記流通空間に脱硝剤を供給する供給ノズルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る脱硝装置は、被処理ガスが流通する流通空間にアンモニアを含有する脱硝剤を供給可能に構成された供給ノズルを備え、前記流通空間に挿入された供給ノズルから脱硝剤を前記流通空間に供給し、被処理ガスと脱硝剤とを接触させて被処理ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記供給ノズルは、脱硝剤を流通させる脱硝剤流通管と、被処理ガスの熱を吸収する吸熱媒体を流通させる吸熱管とを備え、該吸熱管は、供給ノズルが前記流通空間に挿入された際に、前記流通空間内に位置する脱硝剤流通管の外面に沿って吸熱媒体を流通可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
斯かる構成によれば、前記吸熱管は、供給ノズルが前記流通空間に挿入された際に、前記流通空間内に位置する脱硝剤流通管の外面に沿って吸熱媒体を流通可能に構成されていることで、被処理ガスの熱によって脱硝剤流通管が加熱され、脱硝剤に含有されるアンモニアが脱硝剤流通管内で熱分解してしまうのを防止することができる。
【0010】
具体的には、前記流通空間に供給ノズルが挿入されて被処理ガスが供給ノズルに接触することで、供給ノズルは、被処理ガスの熱によって加熱されることとなる。しかしながら、前記流通空間内に位置する脱硝剤流通管の外面に沿って吸熱媒体を流通可能に吸熱管が構成されていることで、吸熱管内を流通する吸熱媒体に被処理ガスの熱を吸収させることができる。このため、脱硝剤流通管が被処理ガスの熱によって加熱されるのを防止することができる。
【0011】
これにより、脱硝剤流通管内で脱硝剤が加熱され、脱硝剤に含有されるアンモニアが熱分解してしまうのを防止することができ、脱硝剤中のアンモニアの含有量が低下してしまうのを防止することができる。これにより、脱硝剤と被処理ガスとが接触した際に、アンモニアによる窒素酸化物の還元(除去)効率が低下してしまうのを抑制することができる。このため、前記流通空間へ供給する脱硝剤の供給量を低減することができる。
【0012】
前記吸熱管は、吸熱媒体を内部に供給可能に構成された吸熱媒体供給部と、該吸熱媒体供給部から供給された吸熱媒体を前記流通空間の外側に排出可能に構成された吸熱媒体排出部とを備え、吸熱媒体供給部から吸熱媒体を内部に供給しつつ、吸熱媒体排出部から吸熱媒体を排出するように構成されていることが好ましい。
【0013】
斯かる構成によれば、前記吸熱管は、吸熱媒体を内部に供給可能に構成された吸熱媒体供給部と、該吸熱媒体供給部から供給された吸熱媒体を前記流通空間の外側に排出可能に構成された吸熱媒体排出部とを備え、吸熱媒体供給部から吸熱媒体を内部に供給しつつ、吸熱媒体排出部から吸熱媒体を排出するように構成されていることで、被処理ガスの熱を吸収して加熱された吸熱媒体を吸熱媒体排出部から排出しつつ、加熱前(吸熱前)の状態の吸熱媒体を吸熱管内に供給することができる。これにより、吸熱管内に吸熱媒体が滞ってしまうのを防止することができ、吸熱管内の吸熱媒体を常に吸熱可能な状態に維持することができる。
【0014】
また、吸熱媒体供給部から供給された吸熱媒体を前記流通空間の外側へ排出するように構成されているため、前記流通空間を流通する被処理ガスや、脱硝剤によって窒素酸化物が除去された処理ガスに、吸熱媒体が混入してしまうのを防止することができる。これにより、脱硝剤、被処理ガス、及び、処理ガスが吸熱媒体と接触することがなく、脱硝剤等が吸熱媒体と反応して窒素酸化物の還元(除去)効率を低下させてしまうのを防止することができる。つまり、吸熱媒体の成分が窒素酸化物の除去効率に影響しないため、吸熱媒体の成分を任意に選択することができる。
【0015】
前記吸熱管は、吸熱媒体供給部から供給された吸熱媒体を前記流通空間の外側から内側に向かって流通させる第一流路と、該第一流路を通過した吸熱媒体を前記流通空間の内側から外側に向かって流通させると共に吸熱媒体排出部へ送る第二流路とを備え、脱硝剤流通管の外周面を覆うように第一流路が形成されると共に、該第一流路を覆うように第二流路が形成されていることが好ましい。
【0016】
斯かる構成によれば、脱硝剤流通管の外周面を覆うように第一流路が形成されることで、吸熱媒体供給部から供給された吸熱媒体が脱硝剤流通管の外周面を覆うように第一流路を流通することとなる。これにより、被処理ガスの熱によって加熱される前(即ち、低温)の吸熱媒体によって脱硝剤流通管を覆うことができる。
【0017】
また、第一流路を覆うように第二流路が形成されていることで、該第一流路を通過した吸熱媒体が第一流路を覆うように第二流路を流通することとなる。つまり、第一流路よりも第二流路が供給ノズルの外側に位置することとなる。これにより、第二流路を流通する吸熱媒体が第一流路を流通する吸熱媒体よりも先に被処理ガスの熱を吸収するため、第一流路を流通する吸熱媒体が被処理ガスの熱を吸収して直接加熱されるのを抑制することができる。つまり、被処理ガスの熱を吸収する前の吸熱媒体によって脱硝剤流通管の外周面を覆うことができるため、脱硝剤流通管が被処理ガスによって加熱されるのをより効果的に防止することができる。
【0018】
また、第一流路を流通する吸熱媒体と第二流路を流通する吸熱媒体とによって脱硝剤流通管の外周面が覆われるため、被処理ガスの熱が第一及び第二流路を流通する吸熱媒体によって吸収される。具体的には、被処理ガスの熱を吸収して加熱された第二流路を流通する吸熱媒体の熱が第一流路にも伝わる場合には、第二流路の吸熱媒体の熱が第一流路を流通する吸熱媒体によって吸収されるため、被処理ガスの熱が脱硝剤流通管に伝わるのを効果的に防止することができる。これにより、脱硝剤流通管が加熱されるのをより効果的に防止することができる。
【0019】
本発明に係る供給ノズルは、被処理ガスが流通する流通空間にアンモニアを含有する脱硝剤を供給可能に構成された供給ノズルであって、脱硝剤を流通させる脱硝剤流通管と、被処理ガスの熱を吸収する吸熱媒体を流通させる吸熱管とを備え、該吸熱管は、供給ノズルが前記流通空間に挿入された際に、前記流通空間内に位置する脱硝剤流通管の外面に沿って吸熱媒体を流通可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、被処理ガス中の窒素酸化物の還元を効率的に行うことができると共に、脱硝剤の使用量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る脱硝装置の構成を示した概略図。
【図2】同実施形態における供給ノズルの断面図であって、該供給ノズルが配管設備に挿入された状態を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図1及び2を参照しながら説明する。
【0023】
本実施形態に係る脱硝装置1は、窒素酸化物を含有するガス(以下、被処理ガスとも記す)から窒素酸化物を除去する際に用いられるものである。例えば、セメント材料を製造する際に用いられるロータリーキルン等から排出されるガス(被処理ガス)中から窒素酸化物を除去する際に用いられるものである。
【0024】
脱硝装置1は、アンモニアを含有する脱硝剤を被処理ガスに接触させることで、被処理ガス中の窒素酸化物をアンモニアによって還元して分解し、除去するように構成されている。具体的には、脱硝装置1は、図1に示すように、被処理ガスが流通する流通空間(以下、脱硝空間とも記す)Rに脱硝剤を供給可能に構成された供給ノズル2を備えている。また、脱硝装置1は、供給ノズル2に脱硝剤を供給する脱硝剤供給設備3と、脱硝空間Rに脱硝剤を拡散させる拡散ガスを供給ノズル2に供給する拡散ガス供給設備4と、被処理ガスの熱を吸収する吸熱媒体を供給ノズル2に供給する吸熱媒体供給設備5とを備えている。
【0025】
なお、本実施形態では、脱硝空間Rは、配管設備Aの内側に形成されている。また、脱硝空間Rにおける脱硝剤を供給する位置の被処理ガスの温度としては、アンモニアガスによる窒素酸化物の還元が効果的に生じる温度、具体的には、800℃以上1000℃以下であることが好ましい。
【0026】
脱硝剤供給設備3は、脱硝剤としてアンモニアガスを供給可能に構成されている。具体的には、脱硝剤供給設備3は、液体アンモニアを貯蔵する脱硝剤貯蔵設備3aと、液体アンモニアを加熱して気化することでアンモニアガスを発生させる脱硝剤加熱設備3bと、供給ノズル2へ送るアンモニアガスの流量を均一化するサージタンク3cとを備えている。そして、各設備が配管を介して連結されると共に、サージタンク3cが配管を介して供給ノズル2に連結されている。
【0027】
供給ノズル2内に供給されるアンモニアガスの温度としては、アンモニアの臨界温度(132.4℃)以上であることが好ましく、アンモニアの熱分解が生じる温度未満であることが好ましい。具体的には、アンモニアガスの温度としては、132.4℃以上400℃以下であることが好ましく、150℃以上250℃以下であることがより好ましい。アンモニアガスの温度をこのような温度に調節することで、供給ノズル2内でアンモニアが液化してしまうのを防止することができる。
【0028】
また、脱硝剤供給設備3は、被処理ガス中の窒素酸化物の濃度に応じて、アンモニアガスの供給量を調節可能に構成されている。例えば、被処理ガス中の窒素酸化物の濃度が変動する場合には、その変動量に応じてアンモニアガスの供給量を調節可能に構成されている。これにより、窒素酸化物の濃度に対してアンモニアガスの供給量が過剰、又は、過少になってしまうのを防止することができる。
【0029】
拡散ガス供給設備4は、実質的に酸素を含有しない不活性ガスを拡散ガスとして供給可能に構成されている。具体的には、拡散ガス供給設備4は、不活性ガスを貯蔵する不活性ガス貯蔵設備4aと、不活性ガスを供給ノズル2に送るコンプレッサ4bとから構成されている。そして、各設備が配管を介して連結されると共に、脱硝剤供給設備3(具体的には、サージタンク3c)と供給ノズル2とを連結する配管にコンプレッサ4bが連結されている。これにより、アンモニアガスと不活性ガスとが供給ノズル2に流入する前に混合されて混合ガスが形成される。つまり、アンモニアガス及び拡散ガスは、混合ガスの状態で供給ノズル2へ供給される。不活性ガスの温度としては、50℃以上400℃以下であることが好ましく、100℃以上200℃以下であることがより好ましい。
【0030】
不活性ガスとしては、酸素の含有量が好ましくは4.0wt%以下、より好ましくは1wt%以下であるものを用いることができる。また、不活性ガスの酸素分圧としては、不活性ガス投入圧力が0.4MPaの場合、0.02MPa以下であることが好ましく、0.005MPa以下であることがより好ましい。不活性ガスの成分としては、水蒸気、窒素、アルゴン等を用いることができる。
【0031】
また、拡散ガス供給設備4は、脱硝剤(アンモニアガス)の供給量に応じて、拡散ガス(不活性ガス)の供給量を調節可能に構成されている。例えば、アンモニアガスの供給量が変動する場合には、その変動量に応じて不活性ガスの供給量を調節可能に構成されている。これにより、アンモニアガスの供給量が変動した際にも、脱硝空間Rに供給される混合ガスの供給量を一定に維持することができる。
【0032】
吸熱媒体供給設備5は、供給ノズル2に吸熱媒体を供給可能に構成されており、配管を介して供給ノズル2(具体的には、後述する吸熱媒体供給部2e)に連結されている。吸熱媒体としては、特に限定されるものではないが、被処理ガスの温度に応じて適宜選択することができ、例えば空気や水等の流体が用いられる。また、吸熱媒体としては、被処理ガスの熱を吸収した際に状態変化を生じない流体、例えば、被処理ガスの温度が上記のような温度である場合には、空気を用いることが好ましい。吸熱媒体の温度としては、アンモニアの臨界温度以上であることが好ましい。具体的には、吸熱媒体として空気を用いた場合、空気の温度がアンモニア分解温度の400℃未満である事が好ましく、132.4℃以上200℃以下であることがより好ましい。
【0033】
供給ノズル2は、配管設備Aの壁部を貫通した状態で配管設備A内(即ち、脱硝空間R内)に挿入されている。そして、供給ノズル2は、配管設備Aに挿入された状態で、脱硝空間R内に位置する先端部からアンモニアガスと不活性ガスとからなる混合ガスを噴出可能に構成されている。混合ガスの噴出速度としては、特に限定されるものではなく、被処理ガスの流速よりも10m/sを越える速度であることが好ましい。
【0034】
また、供給ノズル2は、被処理ガスの流通方向に対して交差する方向(本実施形態では、略直交する方向)に混合ガスを噴出するように配置されている。また、供給ノズル2は、脱硝空間Rの外側(具体的には、配管設備Aの外側)に位置する基端部に、脱硝剤供給設備3(具体的には、サージタンク3c)と拡散ガス供給設備4(具体的には、コンプレッサ4b)とが連結された配管が連結されると共に、吸熱媒体供給設備5が配管を介して連結されている。
【0035】
供給ノズル2は、図2に示すように、脱硝剤(具体的には、前記混合ガス)を流通させる脱硝剤流通管2aと、非処理ガスの熱を吸収する吸熱媒体を流通させる吸熱管2bとを備えている。
【0036】
脱硝剤流通管2aは、一方向に沿って直線状に形成されており、脱硝空間R内に位置する先端部からアンモニアガスと不活性ガスとからなる混合ガスを噴出可能に構成されている。そして、脱硝剤流通管2aの基端部(脱硝空間Rの外側に位置する端部)に脱硝剤供給設備3(具体的には、サージタンク3c)と拡散ガス供給設備4(具体的には、コンプレッサ4b)とが連結された配管が連結されている。つまり、脱硝剤流通管2aは、基端部から先端部に向かって混合ガスが流通するように構成されている。
【0037】
また、脱硝剤流通管2aは、吸熱管2bの軸方向に沿って吸熱管2bの内側に配置されている。また、脱硝剤流通管2aは、吸熱管2bとの間に間隔が形成されるように、吸熱管2bの内側に配置されている。また、脱硝剤流通管2aが吸熱管2bの内側に配置された状態で、脱硝剤流通管2a及び吸熱管2bの軸方向に直行する断面形状が同心円状となっている。また、脱硝剤流通管2aが吸熱管2bの内側に配置された状態で、脱硝剤流通管2aの軸方向の両端部は、吸熱管2bの軸方向の両端部よりも突出した状態となっている。つまり、脱硝剤流通管2aの軸方向の両端部よりも内側の領域に吸熱管2bが備えられている。
【0038】
吸熱管2bは、一方向(具体的には、脱硝剤流通管2aの軸方向)に沿って直線状に形成されている。そして、吸熱管2bの内側には、吸熱管2bの軸方向に沿って脱硝剤流通管2aが配置されている。また、吸熱管2bの内側に脱硝剤流通管2aが配置された状態で、吸熱管2bと脱硝剤流通管2aとの間に間隔が形成されている。これにより、吸熱管2bの内周面と脱硝剤流通管2aの外周面との間を吸熱媒体が流通可能となっている。
【0039】
また、吸熱管2bは、脱硝剤流通管2aの軸方向の両端間の領域に配置されている。また、吸熱管2bの軸方向の両端部は、脱硝剤流通管2aの外周面に連結されて密閉されている。また、吸熱管2bは、供給ノズル2が脱硝空間Rに挿入された状態で、脱硝空間Rの内外(即ち、配管設備Aの内外)に亘って形成されている。つまり、供給ノズル2が脱硝空間Rに挿入された状態で、吸熱管2bの軸方向の一端部が脱硝空間Rの外側(即ち、配管設備Aの外側)位置し、軸方向の他端部が脱硝空間Rの内側(即ち、配管設備Aの内側)に位置するように構成されている。
【0040】
また、吸熱管2bは、供給ノズル2が脱硝空間Rに挿入された状態で、脱硝空間R内に位置する脱硝剤流通管2aの外面に沿って吸熱媒体を流通可能に構成されている。また、吸熱管2bは、吸熱媒体を内部に供給可能に構成された吸熱媒体供給部2eと、該吸熱媒体供給部2eから供給された吸熱媒体を排出可能に構成された吸熱媒体排出部2fとを備えている。
【0041】
吸熱媒体供給部2eは、管状に形成されて吸熱管2bの内部と連通するように構成されている。また、吸熱媒体供給部2eは、供給ノズル2が配管設備Aに挿入された状態で、脱硝空間Rの外側(即ち、配管設備Aの外側)に位置するように構成されており、吸熱媒体供給設備5と配管を介して連結されている。一方、吸熱媒体排出部2fは、管状に形成されて吸熱管2bの内部と連通するように構成されている。また、吸熱媒体排出部2fは、供給ノズル2が配管設備Aに挿入された状態で、脱硝空間Rの外側(即ち、配管設備Aの外側)に位置すると共に、脱硝空間Rの外側に吸熱媒体を排出可能に構成されている。
【0042】
また、吸熱管2bは、吸熱媒体供給部2eから供給された吸熱媒体を脱硝空間Rの外側から内側に向かって流通させると共に、脱硝空間Rの内側から外側に向かって吸熱媒体を流通させるように構成されている。具体的には、吸熱管2bは、吸熱媒体供給部2eから供給された吸熱媒体を脱硝空間Rの外側から内側に向かって流通させる第一流路2gと、該第一流路2gを通過した吸熱媒体を脱硝空間Rの内側から外側に向かって流通させる第二流路2hとを備えている。より詳しくは、吸熱管2bは、脱硝剤流通管2aとの間に第一流路2gを形成する内管2cと、該内管2cとの間に第二流路2hを形成する外管2dとから構成されている。
【0043】
内管2cは、一方向(脱硝剤流通管2aの軸方向)に沿って直線状に形成されている。そして、内管2cの軸方向に沿って内管2cの内側に脱硝剤流通管2aが配置された状態で、内管2cと脱硝剤流通管2aとの間に間隔が形成されている。これにより、内管2cの内周面と脱硝剤流通管2aの外周面との間に第一流路2gが形成されている。
【0044】
また、内管2cは、脱硝剤流通管2aが内側に配置された状態で、軸方向の両端部のうち供給ノズル2の基端側に位置する端部が脱硝剤流通管2aの外周面に連結されて密閉されている。また、内管2cは、供給ノズル2の基端側に位置する端部に吸熱媒体供給部2eを備えており、該吸熱媒体供給部2eと第一流路2gが連通した状態となっている。また、内管2cは、軸方向の両端部のうち供給ノズル2の先端側に位置する端部が外管2dの内側に位置しており、斯かる端部が脱硝剤流通管2a及び外管2dの内面と離間した状態となっている。
【0045】
外管2dは、一方向(脱硝剤流通管2aの軸方向)に沿って直線状に形成されている。そして、外管2dの軸方向に沿って外管2dの内側に脱硝剤流通管2a及び内管2cが配置されている。具体的には、内管2cの内側に脱硝剤流通管2aが配置された状態で、内管2cが外管2dの内側に配置されており、外管2dと内管2cとの間に間隔が形成されている。これにより、外管2dの内周面と内管2cの外周面との間に第二流路2hが形成されている。
【0046】
また、外管2dの内側に脱硝剤流通管2a及び内管2cが配置された状態で、脱硝剤流通管2aの軸方向の両端部が外管2dの軸方向の両端部よりも突出した状態となっている。また、供給ノズル2の先端側に位置する内管2cの端部が外管2dの内側に位置している。更に、供給ノズル2の基端側においては、内管2cの端部が外管2dの端部よりも突出した状態となっている。
【0047】
また、外管2dは、脱硝剤流通管2a及び内管2cが内側に配置された状態で、軸方向の両端部のうち供給ノズル2の基端側に位置する端部が内管2cの外周面に連結されて密閉されている。また、外管2dは、軸方向の両端部のうち供給ノズル2の先端側に位置する端部が脱硝剤流通管2aの外周面に連結されて密閉されている。また、外管2dは、供給ノズル2の基端側に位置する端部に、吸熱媒体排出部2fを備えており、該吸熱媒体排出部2fと第二流路2hが連通した状態となっている。
【0048】
上記のように、吸熱管2bが構成されることで、脱硝剤流通管2aの外周面を覆うように第一流路2gが形成されると共に、該第一流路2gを覆うように第二流路2hが形成される。つまり、供給ノズル2は、中心部に脱硝剤流通管2aが位置すると共に、該脱硝剤流通管2aの外周面を覆うように内管2cが形成され、該内管2cを覆うように外管2dが形成された三重管構造となっている。
【0049】
また、第一流路2gと第二流路2hとは、供給ノズル2の先端側で連通した状態となっている。これにより、吸熱媒体供給部2eから第一流路2gに供給された吸熱媒体が脱硝空間Rの外側から内側に向かって第一流路2gを流通して第二流路2hに流入し、脱硝空間Rの内側から外側に向かって第二流路2hを流通して吸熱媒体排出部2fから排出されることとなる。
【0050】
供給ノズル2は、脱硝空間Rへの挿入量Xを調節可能に構成されている。具体的には、供給ノズル2は、挿入量Xを調節する挿入量調節手段2iを備えている。該挿入量調節手段2iは、吸熱管2b(具体的には、外管2d)の外周面から突出するように(具体的には、フランジ状に)備えられており、配管設備Aの外側から配管設備Aに当接するように構成されている。また、挿入量調節手段2iは、脱硝剤流通管2aの軸方向(即ち、吸熱管2bの軸方向)に沿って、脱硝剤流通管2aの先端部に対して相対移動可能となるように構成されている。
【0051】
挿入量調節手段2iが上述のように構成されることで、脱硝剤流通管2aの先端部と挿入量調節手段2iとの間の距離を任意に変更することができる。これにより、脱硝空間Rにおける脱硝剤流通管2aの先端部の位置を所望する位置に固定することができる。具体的には、供給ノズル2を配管設備Aに挿入した際に、挿入量調節手段2iが配管設備Aに当接するため、脱硝剤流通管2aの先端部と挿入量調節手段2iとの間の距離を調節することで、供給ノズル2の挿入量Xを調節することができる。これにより、脱硝空間Rにおける脱硝剤流通管2aの先端部の位置を所望する位置に固定することができる。
【0052】
挿入量Xは、供給ノズル2から噴出される混合ガスと被処理ガスとの接触が効果的に行われるように設定される。例えば、配管設備Aにおける供給ノズル2の挿入位置の内面と、該挿入位置の内面に対向する位置の内面との間の距離(例えば、脱硝空間Rの直径)に応じて、挿入量Xを設定することができる。なお、挿入量Xは、配管設備Aにおける供給ノズル2の挿入位置の内面から供給ノズル2の先端部(即ち、脱硝剤流通管2aの先端部)までの供給ノズル2の軸方向に沿った直線距離をいう。
【0053】
上記のように構成された脱硝装置1を用いて、被処理ガスから窒素酸化物を除去する際には、まず始めに、所望する挿入量Xとなるように挿入量調節手段2iを調節する。そして、供給ノズル2を配管設備Aに挿入して固定する。この際、供給ノズル2は、脱硝空間R内の領域において被処理ガスと接触した状態となる。
【0054】
また、吸熱管2bには、吸熱媒体供給部2eから吸熱媒体を継続的に供給しつつ吸熱媒体排出部2fから吸熱媒体を排出させる。これにより、第一及び第二流路2g,2hを吸熱媒体が流通した状態、即ち、脱硝空間R内に位置する脱硝剤流通管2aの外面に沿って吸熱媒体が流通した状態となる。そして、脱硝空間R内において供給ノズル2に接触する被処理ガスの熱が吸熱媒体によって吸収されると共に、吸熱媒体と共に脱硝空間Rの外側に排出される。このため、脱硝剤流通管2aが被処理ガスの熱によって加熱されるのが防止される。
【0055】
そして、脱硝剤供給設備3からアンモニアガスを供給ノズル2(具体的には、脱硝剤流通管2a)へ送り出すると共に、拡散ガス供給設備4から不活性ガスを供給ノズル2(具体的には、脱硝剤流通管2a)へ送り出す。供給ノズル2へ流通するアンモニアガス及び不活性ガスは、供給ノズル2に流入する前に混合されて混合ガスとなり、該混合ガスが供給ノズル2に流入する。供給ノズル2へ流入した混合ガス(具体的には、アンモニアガス)は、上述のように脱硝剤流通管2aが加熱されていないため、脱硝剤流通管2a内においても、窒素酸化物を還元するのに適した温度が維持される。
【0056】
そして、供給ノズル2(具体的には、脱硝剤流通管2a)の先端部から脱硝空間Rに混合ガスを噴出させる。噴出された混合ガス中のアンモニアガスは、不活性ガスと共に脱硝空間R内に拡散し、被処理ガスと接触して窒素酸化物を還元して分解する。これにより、被処理ガスから窒素酸化物を除去することができ、窒素酸化物が除去された処理ガスを得ることができる。
【0057】
以上のように、本発明に係る脱硝装置によれば、被処理ガス中の窒素酸化物の還元を効率的に行うことができると共に、脱硝剤の使用量を低減することができる。
【0058】
即ち、脱硝装置1は、脱硝空間Rに供給ノズル2が挿入されて被処理ガスが供給ノズル2に接触することで、供給ノズル2が被処理ガスの熱によって加熱されることとなる。しかしながら、脱硝空間R内に位置する脱硝剤流通管2aの外面に沿って吸熱媒体を流通可能に吸熱管2bが構成されていることで、吸熱管2b内を流通する吸熱媒体に被処理ガスの熱を吸収させることができる。このため、脱硝剤流通管2aが被処理ガスの熱によって加熱されるのを防止することができる。
【0059】
これにより、脱硝剤流通管2a内で脱硝剤が加熱されることによって脱硝剤に含有されるアンモニアが熱分解してしまうのを防止することができる。従って、脱硝剤中のアンモニアの含有量が低下してしまうのを防止することができる。これにより、脱硝剤と被処理ガスとが接触した際に生じる窒素酸化物のアンモニアによる還元(除去)効率が低下してしまうのを防止することができる。このため、脱硝空間Rへ供給する脱硝剤の供給量を低減することができる。
【0060】
また、被処理ガスの熱を吸収して加熱された吸熱媒体を吸熱媒体排出部2fから排出しつつ、加熱前(吸熱前)の状態の吸熱媒体を吸熱管2b内に供給することができる。これにより、吸熱管2b内に吸熱媒体が滞ってしまうのを防止することができ、吸熱管2b内の吸熱媒体を常に吸熱可能な状態に維持することができる。
【0061】
また、吸熱媒体供給部2eから供給された吸熱媒体を脱硝空間Rの外側へ排出するように構成されているため、脱硝空間Rを流通する被処理ガスや、脱硝剤によって窒素酸化物が除去された処理ガスに吸熱媒体が混入してしまうのを防止することができる。これにより、脱硝剤、被処理ガス、及び、処理ガスが吸熱媒体と接触することがなく、脱硝剤等が吸熱媒体と反応して窒素酸化物の還元(除去)効率を低減させてしまうのを防止することができる。つまり、吸熱媒体の成分が窒素酸化物の除去効率に影響しないため、吸熱媒体の成分を任意に選択することができる。
【0062】
脱硝剤流通管2aの外周面を覆うように第一流路2gが形成されることで、吸熱媒体供給部2eから供給された吸熱媒体が脱硝剤流通管2aの外周面を覆うように第一流路2gを流通することとなる。これにより、被処理ガスの熱によって加熱される前(即ち、低温)の吸熱媒体によって脱硝剤流通管2aを覆うことができる。
【0063】
また、第一流路2gを覆うように第二流路2hが形成されていることで、該第一流路2gを通過した吸熱媒体が第一流路2gを覆うように第二流路2hを流通することとなる。つまり、第一流路2gよりも第二流路2hが供給ノズルの外側に位置することとなる。これにより、第二流路2hを流通する吸熱媒体が第一流路2gを流通する吸熱媒体よりも先に被処理ガスの熱を吸収するため、第一流路2gを流通する吸熱媒体が被処理ガスの熱を吸収して直接加熱されるのを抑制することができる。つまり、被処理ガスの熱を吸収する前の吸熱媒体によって脱硝剤流通管2aの外周面を覆うことができるため、脱硝剤流通管2aが被処理ガスによって加熱されるのをより効果的に防止することができる。
【0064】
また、第一流路2gを流通する吸熱媒体と第二流路2hを流通する吸熱媒体とによって脱硝剤流通管2aの外周面が覆われるため、被処理ガスの熱が第一及び第二流路2g,2hを流通する吸熱媒体によって吸収される。具体的には、被処理ガスの熱を吸収して加熱された第二流路2hを流通する吸熱媒体の熱が第一流路2gにも伝わる場合には、第二流路2hの吸熱媒体の熱が第一流路2gを流通する吸熱媒体によって吸収されるため、被処理ガスの熱が脱硝剤流通管2aに伝わるのを効果的に防止することができる。これにより、脱硝剤流通管2aが加熱されるのをより効果的に防止することができる。
【0065】
なお、本発明に係る脱硝装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0066】
例えば、上記実施形態では、脱硝剤として、アンモニアガスを用いているが、これに限定されるものではなく、アンモニアガス以外の流体を用いることができる。例えば、液体アンモニアやアンモニア水のような液体、又は、アンモニアを含有する粉体等を用いることができる。
【0067】
また、上記実施形態では、脱硝剤としてアンモニアガスのみを含有するものを用いているが、これに限定されるものではなく、アンモニア成分以外の成分を含有する脱硝剤を用いることができる。
【0068】
また、上記実施形態では、脱硝剤(アンモニアガス)の供給量に応じて拡散ガス(不活性ガス)の供給量が調節されるように構成されているが、これに限定されるものではなく、拡散ガスの供給量を一定に維持した状態で、脱硝剤の供給量が変動するように構成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、拡散ガスとして不活性ガスを用いているが、これに限定されるものではなく、空気等のように酸素を含有するガスを拡散ガスとして用いてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、脱硝剤流通管2aと吸熱管2b(具体的には、内管2c)との間に第一流路2gが形成されているが、これに限定されるものではなく、脱硝剤流通管2aの外周面に密着するように脱硝剤流通管2aに沿って他の管を形成し、斯かる管の外周面に内管2c及び外管2dが連結されて密閉されてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、吸熱管2bが内管2c及び外管2dから構成されているが、これに限定されるものではなく、吸熱媒体供給部2eと吸熱媒体排出部2fとを備えた単一の管のみから構成されてもよい。例えば、単一の管の内側に脱硝剤流通管2aが配置されるように供給ノズルが構成されてもよく、脱硝剤流通管2aの外周面に沿って螺旋状に単一の管が形成されてもよい。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0073】
<実施例及び比較例>
1.脱硝
下記表1に示す流量、温度、及び、窒素酸化物(NOx)の含有量となる被処理ガスを配管設備内に流通させた。そして、上記実施形態に示す供給ノズルを用いて脱硝剤及び拡散ガスを配管設備内に供給(噴出)した。なお、配管設備内の酸素濃度は、下記表1に示す通りである。
【0074】
脱硝剤としては、アンモニアガスを用いた。また、アンモニアガスの供給流量及び供給モル量は、下記表2に示す通りである。また、拡散ガスの成分、及び、供給流量は、下記表2に示す通りである。また、吸熱媒体の成分、及び、供給流量は、下記表2に示す通りである。なお、アンモニアガス及び拡散ガスの混合ガスが供給ノズルから噴出される際の噴出圧力、及び、供給ノズルの温度は、下記表2に示す通りである。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
2.測定及び評価
供給ノズルから脱硝剤及び拡散ガスを配管設備に供給した後、配管設備から排出される処理ガスに対し、JIS K 0104:2011(排ガス中の窒素酸化物分析法)に規定する「8 自動計測法−化学発行方式」を用いてNOx濃度(脱硝剤供給後のNOx濃度)の測定を行った。そして、脱硝剤が配管設備内に供給される前の被処理ガスのNOx濃度と脱硝剤供給後のNOx濃度との差からNOx濃度の減少量を算出し、該減少量に対応したNOxのモル量(NOxの減少モル量)を算出した。また、表2に示す脱硝剤の供給モル量に対するNOxの減少モル量の割合を算出し、脱硝効率とした。脱硝剤供給後のNOx濃度、NOx濃度の減少量、NOxの減少モル量、及び、脱硝効率については、下記表3に示す通りである。
【0078】
【表3】

【0079】
3.まとめ
実施例1〜4と比較例1とを比較すると、実施例1〜4の方が供給ノズルの温度が低い数値となることが認められる。そして、実施例1〜4の方が脱硝剤の供給流量(供給モル量)が少ないにもかかわらず脱硝効率が高いことが認められる。つまり、吸熱管に吸熱媒体を流通させることで、被処理ガスが供給ノズルと接触した際にも、被処理ガスの熱が吸熱媒体に吸収されて、吸熱媒体と共に脱硝空間の外側に排出されるため、供給ノズルの温度上昇が抑制されることが認められる。これにより、アンモニアガスが供給ノズル内で熱分解してしまうのを抑制することができ、被処理ガス中の窒素酸化物の還元を効率的に行うことができるため、脱硝剤の供給量を低減することが可能となっている。
【符号の説明】
【0080】
1…脱硝装置、2…供給ノズル、2a…脱硝剤流通管、2b…吸熱管、2c…内管、2d…外管、2e…吸熱媒体供給部、2f…吸熱媒体排出部、2g…第一流路、2h…第二流路、3…脱硝剤供給設備、4…拡散ガス供給設備、4a…不活性ガス貯蔵設備、4b…コンプレッサ、5…吸熱媒体供給設備、A…配管設備、R…脱硝空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理ガスが流通する流通空間にアンモニアを含有する脱硝剤を供給可能に構成された供給ノズルを備え、前記流通空間に挿入された供給ノズルから脱硝剤を前記流通空間に供給し、被処理ガスと脱硝剤とを接触させて被処理ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、
前記供給ノズルは、脱硝剤を流通させる脱硝剤流通管と、被処理ガスの熱を吸収する吸熱媒体を流通させる吸熱管とを備え、該吸熱管は、供給ノズルが前記流通空間に挿入された際に、前記流通空間内に位置する脱硝剤流通管の外面に沿って吸熱媒体を流通可能に構成されていることを特徴とする脱硝装置。
【請求項2】
前記吸熱管は、吸熱媒体を内部に供給可能に構成された吸熱媒体供給部と、該吸熱媒体供給部から供給された吸熱媒体を前記流通空間の外側に排出可能に構成された吸熱媒体排出部とを備え、吸熱媒体供給部から吸熱媒体を内部に供給しつつ、吸熱媒体排出部から吸熱媒体を排出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の脱硝装置。
【請求項3】
前記吸熱管は、吸熱媒体供給部から供給された吸熱媒体を前記流通空間の外側から内側に向かって流通させる第一流路と、該第一流路を通過した吸熱媒体を前記流通空間の内側から外側に向かって流通させると共に吸熱媒体排出部へ送る第二流路とを備え、脱硝剤流通管の外周面を覆うように第一流路が形成されると共に、該第一流路を覆うように第二流路が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の脱硝装置。
【請求項4】
被処理ガスが流通する流通空間にアンモニアを含有する脱硝剤を供給可能に構成された供給ノズルであって、
脱硝剤を流通させる脱硝剤流通管と、被処理ガスの熱を吸収する吸熱媒体を流通させる吸熱管とを備え、該吸熱管は、供給ノズルが前記流通空間に挿入された際に、前記流通空間内に位置する脱硝剤流通管の外面に沿って吸熱媒体を流通可能に構成されていることを特徴とする供給ノズル。

【図1】
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【図2】
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