説明

脱穀機

【課題】 扱胴付きの上部構造体28を上昇揺動開き状態と下降揺動閉じ状態に上下揺動自在に設け、上部構造体28をフック35で下降揺動閉じ状態に固定する脱穀機において、フック35の操作レバー37で上部構造体28を上昇、下降操作できるようにする。
【解決手段】 操作レバー37に連動機構60で連動された揺動自在な係止部材51と、上部構造体フレーム40に支持された揺動自在なストッパー体54とによってフック35を解除姿勢に保持するフック保持機構50を設けてある。係止部材51を操作部材71によってロックや解除操作する操作機構70を設けてある。フック35が解除操作されて上部構造体28が設定高さを越えて上昇されると、操作機構70がフック保持機構50を作用状態に切換える。上部構造体28が設定高さ以下に下降されると、操作機構70がフック保持機構50を解除状態に切換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱胴が連結された上部構造体を、下部構造体に対する上昇揺動開き状態と下降揺動閉じ状態とに上下揺動自在に前記下部構造体に連結するとともに、前記上部構造体を下降揺動閉じ状態に固定するフックを、下部構造体の係止部に係合した作用姿勢と、前記係止部から外れた解除姿勢とに前記上部構造体に揺動自在に設けてある脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記脱穀機として、従来、例えば特許文献1に示されるように、扱胴8を枢支した上部ケース10(上部構造体に相当)、上部ケース10が軸芯Xまわりで揺動開閉可能に枢支された下部ケース9(下部構造体に相当)、下部ケース9に設けた係合ピン15(係止部に相当)、係合ピン15に係脱自在なフック16が遊端部に備えられた揺動アーム14(フックに相当)を備えたものがあった。
【0003】
この種の脱穀機は、上部構造体のフックによる下降揺動閉じ固定を解除して上部構造体を上昇揺動開き状態に上昇揺動させることにより、扱胴の清掃や点検などが行いやすいように扱室を開放することができるようになったものである。
【0004】
【特許文献1】特開平11−275934号公報(段落〔0012〕、〔0014〕、図3,4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の脱穀機において、例えば特許文献1に示される揺動アーム14で成る操作レバーの如く、操作レバーが上部構造体に対して上昇揺動操作されると、フックが係止部から外れるとともに上部構造体が上昇揺動するように構成して操作レバーを設けると、操作レバーを操作するだけで、上部構造体のフックによる下降閉じ固定の解除も、上部構造体の上昇開き操作も一挙に行なうことができるようになる。
この場合、操作レバーを使用して上部構造体を下降閉じ操作すると、操作レバーが上部構造体に対して下降揺動してフックが作用姿勢側に揺動操作され、フックが作用姿勢の取り付け状態になったままで上部構造体と共に下降するようになれば、上部構造体が下降揺動閉じ状態まで下降しても、フックが係止部に対して係合するべき側とは反対側に位置した状態になるなど、フックを係止部に係合させることができなくて上部構造体を下降揺動閉じ状態に固定できない事態が発生する。
すなわち、フックのための操作レバーを上部構造体の下降閉じ操作に使用することができず、上部構造体を下降閉じ操作するためのハンドルを別途設ける必要が生じる。
【0006】
本発明の目的は、フックの解除操作のための操作レバーを上部構造体の上昇開き操作にも下降閉じ操作にも使用することができる脱穀機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明にあっては、扱胴が連結された上部構造体を、下部構造体に対する上昇揺動開き状態と下降揺動閉じ状態とに上下揺動自在に前記下部構造体に連結するとともに、前記上部構造体を下降揺動閉じ状態に固定するフックを、下部構造体の係止部に係合した作用姿勢と、前記係止部から外れた解除姿勢とに前記上部構造体に揺動自在に設けてある脱穀機において、
前記フックの操作のための操作レバーを、前記上部構造体に上下揺動操作自在に設けるとともに上昇揺動することによって前記フックを解除姿勢に切換え操作するようにフックに連動連結し、
前記フックを解除姿勢に保持する作用状態と、前記フックの作用姿勢への切り換わりを許容する解除状態とに切換え自在なフック保持機構を設け、
前記操作レバーによる前記フックの解除姿勢への切換操作に連係して前記フック保持機構を作用状態に切換え操作し、前記上部構造体の下降閉じ状態への下降に連係して前記フック保持機構を解除状態に切換え操作する操作機構を設けてある。
【0008】
すなわち、操作レバーを上昇揺動操作すると、フックが解除姿勢に切り換わり、フックの解除姿勢への切り換わりに連係して操作機構がフック保持機構を作用状態に切換え操作してフックがフック保持機構によって解除姿勢に保持され、これによって操作レバーがフックの解除姿勢に対応した操作状態に固定される。これにより、操作レバーを上昇側に揺動操作すれば、上部構造体のフックによる下降閉じ固定が解除されて上部構造体が上昇揺動する。上部構造体が上昇揺動すると、フックが解除姿勢の取り付け状態に保持されているとともに操作レバーがフックの解除姿勢に対応した操作状態に固定されており、操作レバーを上部構造体下降側に操作しても、上部構造体が下降閉じ状態まで下降してフックが係止部に係合し得る状態になるまでは、操作機構がフック保持機構を作用状態に操作していてフックが解除姿勢の取り付け状態に保持され、操作レバーを使用して上部構造体を上昇揺動開き状態から下降操作することができる。
【0009】
従って、本第1発明によれば、操作レバーを操作するだけで操作簡単にフックを解除するとともに上部構造体を上昇揺動開き状態に上昇操作して扱室を開放することができ、しかも、操作レバーを使用して上部構造体を上昇揺動開き状態から下降操作することができ、上部構造体を下降閉じ操作するための特別なハンドルが不要なように簡素化することができる。
【0010】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記操作機構を、前記上部構造体が下降揺動閉じ状態から設定高さを越えて上昇揺動されることによって前記フック保持機構を作用状態に切換え操作し、前記上部構造体が前記設定高さ以下に下降揺動されることによって前記フック保持機構を解除状態に切換え操作するように構成してある。
【0011】
すなわち、操作レバーを操作してフックが係止部から外れて上部構造体が下降揺動閉じ状態から設定高さを越えて上昇すると、操作機構がフック保持機構を作用状態に切換え操作してフックが解除姿勢の取り付け姿勢に、操作レバーがフック解除姿勢に対応した操作状態にそれぞれ保持される。上部構造体が下降操作されて前記設定高さに下降するまでは、操作機構がフック保持機構を作用状態に操作していてフックが解除姿勢の取り付け状態に保持され、上部構造体が前記設定高さ以下に下降すると、操作機構がフック保持機構を解除状態に切換え操作してフックを係止部に係合操作することができるものである。これにより、上部構造体が下降操作される際、上部構造体の上昇時にフックが解除姿勢に固定される高さよりも低い高さにまで上部構造体が下降することによってフックの解除姿勢固定が解除され、上部構造体が下降揺動閉じ状態に至る手前でフックが係止部に当接するなどして操作レバーを上部構造体の下降操作に使用できなくなる事態が発生しないようにしながら上部構造体を下降揺動閉じ状態まで下降操作することができる。
【0012】
従って、本第2発明によれば、上部構造体を下降閉じ操作するに当たり、上部構造体が下降揺動閉じ状態に下降するまで操作レバーを使用して下降閉じ操作することができるように有利な状態に得ることができる。
【0013】
本第3発明にあっては、本第1又は第2発明の構成において、前記フック保持機構を、前記操作レバーに連動機構を介して連動連結された状態で上部構造体に揺動自在に設けた係止部材、及び、前記係止部材を揺動不能に固定するように係止部材に係合してフックを解除姿勢に保持する作用状態と、係止部材に対する係合を解除してフックの作用姿勢への切り換わりを許容する解除状態とに切換え自在に上部構造体に支持されたストッパー体、前記ストッパー体を前記作用状態に付勢する付勢手段を備えて構成し、
前記操作機構を、上部構造体が下降閉じ状態に下降するに伴って前記ストッパー体を解除状態に切換え操作するべくストッパー体に当接するように配置して下部構造体に設けた操作部材と、前記連動機構とによって構成してある。
【0014】
すなわち、フック操作機構の係止部材を操作レバーに連動させている連動機構が操作機構を構成しているものである。
【0015】
従って、本第3発明によれば、連動機構を構成手段に利用して操作機構を得ることができて構造簡単かつ安価に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する
図1に示すように、クローラ式走行装置1、運転座席2が装備された運転部などを備えた自走機体の機体フレーム3の前部に、刈取り前処理部4の前処理部フレーム4aの基部を回動自在に連結するとともに前処理部フレーム4aにリフトシリンダ5を連動させ、前記機体フレーム3の後側に脱穀機10及び穀粒タンク7を設けるとともに脱穀機10の後部に排ワラ処理装置8を連結して、コンバインを構成してある。
【0017】
このコンバインは、稲、麦などの穀粒を収穫するものであり、リフトシリンダ5を伸縮操作すると、このリフトシリンダ5が前処理部フレーム4aを機体フレーム3に対して上下に揺動操作して刈取り前処理部4を引起し装置4bの始端部やバリカン形の刈取装置4cが地面上近くに位置した下降作業状態と、引起し装置4bや刈取装置4cが地面上から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作する。刈取り前処理部4を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り前処理部4は、引起し装置4bによって植立穀稈を引き起こし処理するとともに刈取装置4cによって刈取り処理し、刈取装置4cからの刈取穀稈を搬送装置4dによって機体後方向きに搬送して脱穀機10の脱穀フィードチェーン11の始端部に供給する。脱穀機10は、刈取穀稈を脱穀フィードチェーン11によって搬送しながら脱穀処理し、穀粒タンク7は、脱穀機6からの脱穀粒を回収して貯留していく。排ワラ処理装置8は、脱穀機10からの脱穀排ワラを細断して排出する細断処理を行なうか、あるいは長ワラ状態のままで排出する長ワラ排出処理を行なう。
【0018】
脱穀機10は、図2に示す如く構成してある。
すなわち、前記脱穀フィードチェーン11によって刈取り前処理部4からの刈取穀稈の株元側を挟持搬送し、これによって刈取穀稈の穂先側を扱室12に供給して回動する扱胴13によって脱穀処理し、脱穀排ワラを扱室12の後端部に位置する送塵口14から排出するように脱穀部を構成してある。脱穀フィードチェーン11によって扱室12から排出された脱穀排ワラを排ワラ搬送装置15によって排塵ファン16の上方を通して脱穀機体の後部に搬送して前記排ワラ処理装置8に供給するようになっている。
【0019】
扱室12の受網17から落下した脱穀処理物を駆動揺動される揺動選別装置18によって受け止めてこの揺動選別装置18によって脱穀機体後方向きに搬送しながら選別処理して、これとともに揺動選別装置18の前端部の下方に位置する唐箕19からの選別風を作用させて、精粒や未処理粒の穀粒と、ワラ屑などの塵埃とに選別処理し、精粒や未処理粒を揺動選別装置18から落下させ、塵埃を前記排塵ファン16によって選別風と共に吸引して脱穀機体外に排出したり、脱穀機体後部に位置する排塵口20から脱穀機体外に排出するように選別部を構成してある。揺動選別装置18から落下した精粒などの一番処理物は、一番スクリューコンベヤ21によって脱穀機体の横外側に搬出して一番スクリューコンベヤ21の終端部から前記穀粒タンク7に供給する。揺動選別装置18から落下した未処理粒などの二番処理物は、二番スクリューコンベヤ22によって脱穀機体の横外側に搬出して二番スクリューコンベヤ22の終端部から揚送搬送装置23に送り込み、この揚送搬送装置23によって脱穀機体の還元口24に揚送してこの還元口24から脱穀機体内に投入して揺動選別装置18の前端部に還元するようになっている。
【0020】
図3,4に示すように、脱穀機体のうちの扱室12の前側壁25や後側壁26、この前側壁25と後側壁26に回動自在に連結された扱胴13、脱穀機天板27などを備えた上部構造体28に、前記前側壁25及び後側壁25から延出した連結アーム29を設けるとともに、この前後一対の連結アーム29は、脱穀機体のうちの受網17、揺動選別装置18などを備えた下部構造体30の横一端側での上端部に設けた支持ブラケット31に連結軸32を介して回動自在に連結されており、上部構造体28は、前記連結軸32の扱胴回動軸芯13aに平行な軸芯32aまわりで上下揺動するように下部構造体30に連結されている。
これにより、上部構造体28は、図5に示す如く扱胴13が受網17から上方に離間して扱室12が開放するように下部構造体30に対して上昇揺動したメンテナンス用の上昇揺動開き状態と、図4などに示す如く扱胴13が受網17に近接するように、かつ、前側壁25や後側壁26が下部構造体30の支持壁33に当接して支持されるように下部構造体30に対して下降揺動した作業用の下降揺動閉じ状態とに揺動切換えすることができるようになっている。
【0021】
図3,4などに示すように、前記前側壁25の外面側、及び前記後側壁26の外面側に連結ピン34を介して連結されたフック35を、連結ピン34の軸芯まわりで前側壁25や後側壁26に対して揺動して、下部構造体30の前記支持壁33に固定されたピン形の係止部36に係合した作用姿勢と、前記係止部36から外れた解除姿勢とに切り換わるように構成して上部構造体28に設けてある。前記フック35の基端側から延出した状態にフック35と一体成形してあることによって、連結ピン34の軸芯まわりでフック35と共に揺動するようにフック35に連動された状態になった操作レバー37を上部構造体28に設け、各操作レバー37に連結されたスプリング38によって操作レバー37を揺動付勢することによってフック35を作用姿勢に揺動付勢してある。
【0022】
すなわち、操作レバー37がスプリング38によって上部構造体28に対して下降揺動する側に揺動操作されると、フック35が係止部36に係合した作用姿勢になって上部構造体28を下降揺動閉じ状態に固定するようになり、操作レバー37がスプリング38に抗して上部構造体28に対して上昇揺動する側に揺動操作されると、フック35がレバー操作力のために係止部36から外れた解除姿勢になって上部構造体28の下降閉じ固定を解除するようになっている。一対の操作レバー37を連動させる連動杆に兼用した一本の操作グリップ39を操作レバー37に連結してあり、一対の操作レバー37,37は、操作グリップ39によって一挙に同じ揺動方向に操作することができるようになっている。
図3などに示すガススプリングSPは、上部構造体28を上昇付勢して上部構造体28の上昇操作に必要な人為操作力を軽くするものである。
【0023】
図6,9などに示すように、前記後側壁26よりも脱穀機体後方側に突出して前記排ワラ搬送装置15などを支持するように上部構造体28に備えた上部構造体フレーム40の後端部に、係止部材51などを備えたフック保持機構50を設けてある。
【0024】
図7,10に示すように、フック保持機構50は、前記上部構造体フレーム40に固定のブラケット41に回転支軸52を介して揺動自在に支持された前記係止部材51、この係止部材51よりも脱穀機体後方側で前記上部構造体フレーム40に支軸53を介して揺動自在に支持されたストッパー体54、このストッパー体54が有するばね連結片54aに連結された付勢手段としての付勢ばね55、係止部材51の前記回転支軸52に基端側が一体回動自在に連結された操作アーム61などによって係止部材51を前記一対のフック35,35のうちの脱穀機体後方側に位置するフック35の操作レバー37に連動連結している連動機構60を備えて構成してある。
【0025】
図7−10に示すように、連動機構60は、前記操作アーム61、この操作アーム61の遊端側に位置する長孔61aに先端側が係入した伝動ピン62を上端側に有した昇降リンク63、この昇降リンク63が上部構造体フレーム40に対して平行昇降するように昇降リンク63の下端側と、上部構造体フレーム40に固定のブラケット42とにわたって連結された上下一対の揺動リンク64,64、この一対の揺動リンク64,64の一方に後端部が一体回動自在に連結している回転伝動軸65、この回転伝動軸65の前端部から一体回動自在に延出された揺動アーム66、この揺動アーム66を前記操作レバー37の揺動支点と操作グリップ39の間に連動連結している連動杆67を備えて構成してある。
前記揺動リンク64は、前記回転伝動軸65を取り付け軸にして前記ブラケット42に揺動自在に連結されている。前記揺動アーム66は、前記回転伝動軸65を取り付け軸にして、上部構造体フレーム40に固定のブラケット43に回動自在に連結されている。
【0026】
一対のフック35が解除姿勢に切換え操作されると、連動機構60がフック切換えに伴う操作レバー37の揺動を係止部材51の回転支軸52に伝達して係止部材51を図8(ロ)に示すロック姿勢に回転操作し、係止部材51がロック姿勢に回転すると、ストッパー体54が付勢ばね55による回動付勢によって図8(イ)に示す作用状態に切り換わる。ストッパー体54が作用状態になると、ストッパー体54の先端部54bが係止部材51のカム部51aに係合してストップ作用し、ストッパー体54の被操作片部54cが上部構造体フレーム40の上面に当接して受け止め支持されることにより、ストッパー体54は、係止部材51をフック35のスプリング38による揺動操作が不能なようにロックして一対のフック35,35を解除姿勢に保持する。図8(イ)に示すように、ストッパー体54が作用状態から付勢ばね55に抗して回動操作されてストッパー体54の先端部54bの係止部材51のカム部51aに対する係合を解除した解除状態に操作されると、係止部材51は、フック35のスプリング38によって回動操作されて一対のフック35,35をスプリング38によって作用姿勢に操作させる。
【0027】
これにより、係止部材51がロック姿勢に回動操作され、ストッパー体54が作用状態に切換え操作されると、フック保持機構50は、ストッパー体54による係止部材51の揺動ロックによって一対のフック35,35を係止部材36から外れた解除姿勢にスプリング38に抗して保持するように作用状態になる。ストッパー体54が解除状態に切換え操作されると、フック保持機構50は、係止部材51がフック35のスプリング38によって回動操作されることを許容して一対のフック35がスプリング38によって作用姿勢に切換え操作されることを許容するように解除状態になる。
【0028】
尚、図8などに示す如く下部構造体フレーム45に支持された係止ピン48は、係止部材51を解除姿勢に係止するものである。
【0029】
図8,10などに示すように、下部構造体30に前記上部構造体フレーム40を受け止め支持するように設けられた下部構造体フレーム45に固設した脱穀機体上下向きのピン形の操作部材71と、前記係止部材51を操作レバー37に連動させている前記連動機構60とによって、フック保持機構50のための操作機構70を構成してある。
【0030】
操作部材71は、前記ストッパー体54に対して次の如く作用するように配置してある。すなわち、図8に示すように、上部構造体28が上昇揺動開き状態から下降揺動閉じ状態に下降操作される際、フック35が解除状態から作用状態に切換えられてもフック35の先端側が係止部材36に当接するなどして、フック35が上部構造体28の下降障害になることがないものとして設定した設定高さ位置Hまで上部構造体28が下降すると、操作部材71の先端が前記ストッパー体54の被操作片部54cに下方から当接し、上部構造体28がその設定高さ位置Hからさらに下降するに伴って操作部材71の先端が前記被操作片部54cを押し上げ操作することによって操作部材71がストッパー体54を付勢ばね55に抗して解除状態に切換え操作するように配置してある。
【0031】
従って、各操作レバー37が上昇揺動操作されて各フック35が解除状態に切換え操作され、この後もさらに操作レバー37が持ち上げ操作されると、スプリング38が操作レバー37と上部構造体28を連結していることなどによって上部構造体28が操作レバー37によって上昇操作されることになるが、上部構造体28が前記設定高さ位置Hを越えて上昇操作されると、図8(ロ)の如くストッパー体54が前記操作部材71から離れて付勢ばね55によって作用状態に切換え操作される。これにより、上部構造体28が下降揺動閉じ状態から上昇揺動開き状態に上昇操作される際、各フック35が操作レバー34によって解除状態に切換え操作されて、上部構造体28が前記設定高さ位置Hを越えて上昇揺動されるに連係して、操作機構60がフック保持機構50を作用状態に切換え操作する。上部構造体28が上昇揺動開き状態から下降揺動閉じ状態に下降操作される際、上部構造体28が前記設定高さ位置H以下に下降されるに連係して、図8(イ)の如く操作機構60がフック保持機構50を解除状態に切換え操作する。
【0032】
つまり、扱室12や扱胴13を清掃や点検するなどのメンテナンス作業を行なうに当たり、操作グリップ39によって一対の操作レバー37,37を上昇揺動操作して各フック35を係止部材36から外れた解除状態に切換え操作し、各フック35が解除状態に切り換わってからも各操作レバー37を持ち上げ操作する。すると、スプリング38による操作レバー37と上部構造体28の連結などのために上部構造体28が上昇して上昇揺動開き状態になり、扱室12や扱胴13をメンテナンス作業が行ないやすいように開放することができる。
【0033】
上部構造体28が上昇揺動開き状態になった状態において、操作機構70がフック保持機構50を作用状態に切換え操作しており、各フック35が解除姿勢の取り付け状態に、各操作レバー37がフック解除に対応した操作状態にそれぞれフック保持機構50によって保持されていて、各操作レバー37に下げ操作力を加えても各フック35が作用姿勢の取り付け状態に切り換わらなくなっており、上部構造体28を下降揺動閉じ状態に戻すに当たり、操作グリップ39によって一対の操作レバー37を下げ操作すると、上部構造体28が下降して下降揺動閉じ状態になる。上部構造体28が下降揺動閉じ状態になった際、操作機構70がフック保持機構50を解除状態に切換え操作していてフック保持機構50が各フック35の作用状態への切り換わりを可能にしており、各フック35をスプリング38によって作用状態に切換えて上部構造体28を下降揺動閉じ状態に固定することができる。
【0034】
図11に示すように、前記排ワラ搬送装置15の株元側挟持搬送装置15aと穂先側係止搬送装置15bのうちの株元側挟持搬送装置15aの搬送始端側を、前記上部構造体フレーム40から延出された支持杆44に支持させ、前記株元側挟持搬送装置15aの搬送終端側を、下部構造体30の前記下部構造体フレーム45と支柱フレーム46に架設された支持枠47に入力軸芯に合致した回動支点Pまわりで回動自在に支持させてある。
【0035】
前記支持枠47を、前記支柱フレーム46に連結された支柱側支持枠47aと、この支柱側支持枠47aと前記下部構造体フレーム45にわたって架設された架設支持枠47bとによって構成し、前記支柱側支持枠47aは、平面視で株元挟持搬送装置15aよりも脱穀機体前方側に位置するように配置し、前記架設支持枠47bは、一端部47cが株元挟持搬送装置15aの前記回動支点Pの上方近くに位置し、その一端部47c以外の部分が平面視で株元挟持搬送装置15aよりも脱穀機体後方側に位置するように配置してある。
【0036】
つまり、図12に示すように、上部構造体28が上昇揺動開き状態に上昇操作されると、株元挟持搬送装置15aの搬送始端側が、前記回動支点Pを揺動支点にして、支持枠47の支柱側支持枠47aと架設支持枠47bとの間を通って支持枠47よりも脱穀機体上方側に位置した配置高さまで上部構造体フレーム40と共に上昇して、株元挟持搬送装置15aが点検や清掃などのメンテナンス作業を行いやすいように上昇開放した状態になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】コンバイン全体の側面図
【図2】脱穀機の縦断側面図
【図3】脱穀機の扱室前側のフック配設部の正面図
【図4】脱穀機の扱室後側のフック配設部の後面図
【図5】上部構造体の上昇開き状態での正面図
【図6】フック、フック保持機構の斜視図
【図7】(イ)は、フック保持機構の解除状態での正面図、(ロ)は、フック保持機構の作用状態での正面図
【図8】(イ)は、フック保持機構の解除状態での側面図、(ロ)は、フック保持機構の作用状態での側面図
【図9】連動機構、フック保持機構の側面図
【図10】連動機構、フック保持機構の平面図
【図11】排ワラ搬送装置の配設部の平面図
【図12】排ワラ搬送装置の上昇状態での後面図
【符号の説明】
【0038】
13 扱胴
28 上部構造体
30 下部構造体
35 フック
36 係止部
37 操作レバー
50 フック保持機構
51 係止部材
54 ストッパー体
55 付勢手段
60 連動機構
70 操作機構
71 操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴が連結された上部構造体を、下部構造体に対する上昇揺動開き状態と下降揺動閉じ状態とに上下揺動自在に前記下部構造体に連結するとともに、前記上部構造体を下降揺動閉じ状態に固定するフックを、下部構造体の係止部に係合した作用姿勢と、前記係止部から外れた解除姿勢とに前記上部構造体に揺動自在に設けてある脱穀機であって、
前記フックの操作のための操作レバーを、前記上部構造体に上下揺動操作自在に設けるとともに上昇揺動することによって前記フックを解除姿勢に切換え操作するようにフックに連動連結し、
前記フックを解除姿勢に保持する作用状態と、前記フックの作用姿勢への切り換わりを許容する解除状態とに切換え自在なフック保持機構を設け、
前記操作レバーによる前記フックの解除姿勢への切換操作に連係して前記フック保持機構を作用状態に切換え操作し、前記上部構造体の下降閉じ状態への下降に連係して前記フック保持機構を解除状態に切換え操作する操作機構を設けてある脱穀機。
【請求項2】
前記操作機構を、前記上部構造体が下降揺動閉じ状態から設定高さを越えて上昇揺動されることによって前記フック保持機構を作用状態に切換え操作し、前記上部構造体が前記設定高さ以下に下降揺動されることによって前記フック保持機構を解除状態に切換え操作するように構成してある請求項1記載の脱穀機。
【請求項3】
前記フック保持機構を、前記操作レバーに連動機構を介して連動連結された状態で上部構造体に揺動自在に設けた係止部材、及び、前記係止部材を揺動不能に固定するように係止部材に係合してフックを解除姿勢に保持する作用状態と、係止部材に対する係合を解除してフックの作用姿勢への切り換わりを許容する解除状態とに切換え自在に上部構造体に支持されたストッパー体、前記ストッパー体を前記作用状態に付勢する付勢手段を備えて構成し、
前記操作機構を、上部構造体が下降閉じ状態に下降するに伴って前記ストッパー体を解除状態に切換え操作するべくストッパー体に当接するように配置して下部構造体に設けた操作部材と、前記連動機構とによって構成してある請求項1又は2記載の脱穀機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−197853(P2006−197853A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−13008(P2005−13008)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】