説明

脱穀装置

【課題】本発明は、脱穀装置の選別部で選別された二番物が還元揚送装置で揚送されて選別部に還元される放出部の構造を改良して、二番物の籾の脱ぷや破損をさせないようにすることを目的とする。
【解決手段】二番還元揚送装置37の回転羽根40および吐出口41において、回転羽根40が吐出口41に臨んでいるときに、スクリュー軸39aの回転軸心aに対して開口51側を通って選別部26の下手側から上手側に向う方向に、回転羽根40を回転させる。連通部材52aを、平面視で開口51における選別部26の上手側の開口縁51aと、回転羽根40を覆うケース部分48の外端よりも選別部26側の位置とを結ぶ直線L上に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に関し、詳しくは、脱穀した二番物を二番還元揚送装置で選別部に還元する放出部の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の脱穀装置として、特許文献1に示されているように、刈取り前処理部20で刈り取られた穀稈を脱穀部Aで脱穀され、選別部Bで選別された処理物のうち、一番スクリューコンベヤ33で回収された一番物は穀粒タンク11に貯留され、二番スクリューコンベヤ34で回収された二番物は、還元搬送装置50を介して、選別室BRの揺動選別装置32に還元されるように構成したものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載された発明では、前記還元搬送装置50は、脱穀機Dの機体横外側壁60の外面に沿ってスクリュー52を内蔵した処理物揚送筒51が立設され、スクリュー52の上端部に回転羽根57を備えて構成されている。還元搬送装置50の上端部の排出口53は前方に向けて開口され、脱穀機体の機体横側壁60に、前記排出口53より前方に向けて開口(吐出口54)を形成し、開口54と前記排出口53を連通させるように、排出口53の外端と開口54の前端とに亘って連通部材55で覆い、連通部材55の内面側を傾斜ガイド面56に形成して、回転羽根57で前方に飛ばされた二番物を傾斜ガイド面56に沿って案内され、揺動選別装置32の前側に落下するように構成されている(以上の符号は特許文献1のものである)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−14708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の図6に示された還元搬送装置50の回転羽根57を反時計周りに回転させると、還元搬送装置50で揚送された二番物は、回転羽根57で放てきされ、傾斜ガイド面56に沿って前方に放出される。二番物がかたまって放出されると、ガイド面56に摺接して放出された二番物がガイド面56との摺接により脱ぷすることがあり損傷を受けることがある(以上の符号は特許文献1のものである)。
【0006】
機種の都合や品種によっては、還元搬送装置50のスクリュー軸52aを特許文献1の図6において時計周りに回転させた方が、都合がよい場合がある。特許文献1の図6に示されているものにおいて、スクリュー軸52aを時計周りに回転させて二番物を揚送し、回転羽根57で二番物を放てきするように構成すると、吐出口から放てきされた二番物の多くは、直接揺動選別装置上に落下させやすくなる。しかし、回転羽根57の回転に伴って、二番物の放てき方向が変更され、二番物がだんだんと連通部材55に当たるようになる。二番物が連通部材55に当たる位置が、回転羽根57側に移動し回転羽根57側に近づくほど二番物が連通部材55に衝突する衝撃力が強くなるので、二番物の籾が脱ぷしたり破砕したりして、品質が低下する虞が大きくなる(以上の符号は特許文献1のものである)。
【0007】
本発明は、選別された二番物が還元揚送装置で揚送されて選別部に還元放出される放出部の構造を改良することにより、二番物をできるだけ連通部材に正面から当たることのないようにして二番物の籾が脱ぷさせたり、破損させないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔第1発明の構成〕
第1発明は、以下のように構成することを特徴とする。
二番物回収部に回収された二番物を脱穀部の側壁の外側で揚送して選別部に還元する二番還元揚送装置を備え、前記二番還元揚送装置には、二番物を揚送する揚送スクリューと該揚送スクリューの上部に位置させた回転羽根とを備え、前記回転羽根を覆うケース部分に、二番物を前記選別部の上手側に向けて吐出する吐出口を形成し、前記脱穀部の側壁に前記選別部に連通する開口を形成し、前記吐出口と前記開口とを連通させる連通部材を設け、前記揚送スクリューで揚送した二番物を、前記回転羽根で前記吐出口から前記連通部材及び前記開口を介して前記選別部の上手側に向けて放てきするように構成した脱穀装置において、
前記開口を前記吐出口の近傍より前記選別部の上手側に向けて開設し、前記回転羽根が前記吐出口に臨んでいるときに、前記揚送スクリューのスクリュー軸の回転軸心に対して前記開口側を通って前記選別部の下手側から上手側に向う方向に回転して、二番物が前記選別部の上手側に向けて放てきされるように、前記スクリュー軸を回転させるように構成するとともに、
前記吐出口を囲う前記連通部材のうち、前記選別部の上手側に向かう外側の連通部材を、平面視で前記開口における前記選別部の上手側の開口縁と、前記回転羽根を覆うケース部分の外端よりも前記選別部側の位置とを結ぶ直線上に配設し、前記吐出口を、前記回転羽根を覆うケース部分における前記直線よりも選別部側に形成してある。
【0009】
〔第1発明の作用〕
第1発明の構成によれば、例えば図5に示すように、
1.回転羽根40が吐出口41に臨んでいるときに、スクリュー軸39aの回転軸心aに対して前記開口51側を通って選別部26の下手側から上手側に向う方向に回転して、二番物が選別部26の上手側に向けて放てきされるように、スクリュー軸39aを回転させるように構成してあること、
2.吐出口41を囲う連通部材52のうち、選別部26の上手側に向かう外側の連通部材52aを、平面視で開口51の選別部26の上手側の開口縁51aと、回転羽根40を覆うケース部分48の外端よりも選別部26側の位置とを結ぶ直線L上に配設し、吐出口41を直線Lよりも選別部26側に形成してあること、
の要件を備えていることによって、二番物が遠心力でケース部分48の外周部に集まった状態で、外側の連通部材52aから離れた選別部26に通ずる開口51寄りを通って前方に向けて排出される。
【0010】
これにより、吐出口から排出された二番物は外側の連通部材に対して殆ど摺接した状態で排出されることがない。又、外側の連通部材のガイド面及び吐出口の外端位置も開口の前端縁と出口ケースの外端とを結ぶ直線よりも選別部側(内側)に位置するようにしてあるので、二番物が外側の連通部材のガイド面に対して直角に近い角度で当たることもない。従って、二番物の籾の脱ぷが少なくなる。
【0011】
〔第1発明の効果〕
第1発明によれば、二番物が前記外側の連通部材に対して、塊となって摺接したり、正面から衝突することで、破砕されて品質を低下させるということもなく、良好に脱穀することができるに至った。
【0012】
〔第2発明の構成〕
第2発明は、第1発明の構成において次のように構成する。
前記吐出口の外側の開口縁を、前記直線よりも選別部側で且つ、平面視で前記開口における前記選別部の上手側の開口縁と前記スクリュー軸の軸心とを結ぶ直線よりも外側の位置に設定する。
【0013】
〔第2発明の作用効果〕
排出口を狭くすると、排出が困難になるだけでなく、摺接抵抗で二番物を損傷させることが多くなるが、第2発明によれば、吐出口を狭くし過ぎることがなく、二番物を良好に選別部の上手側に排出できる。
【0014】
〔第3発明の構成〕
第3発明は、第1発明または第2発明の構成において次のように構成する。
前記吐出口における内側の開口縁を、前記脱穀部の側壁よりも外側の位置に設定する。
【0015】
〔第3発明の作用効果〕
回転羽根を覆い吐出口を備えたケース部分を脱穀部の側壁の内外に跨る状態で配設すると、脱穀部の側板の開口の加工や二番還元揚送装置の据付けの作業行程が煩雑になるが、第3発明によれば、製作が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの全体左側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】脱穀装置を示す縦断左側面図である。
【図4】二番還元揚送装置の放出部の構造を示す一部縦断正面図である。
【図5】二番還元揚送装置の放出部の構造を示す横断部分平面図である。
【図6】脱穀装置を示す右側面図である。
【図7】チャフシーブの操作部を示す揺動選別部の部分左側面図である。
【図8】チャフシーブの操作部を示す揺動選別部の一部縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1はコンバインの全体左側面図、図2はコンバインの全体平面図である。これらの図に示すように、本実施形態で例示するコンバインは、走行車体1の前部右側に搭乗運転部2を形成してある。走行車体1の前部左側には、作業走行時に水稲や麦などの作物の穀稈を刈り取って搬送する刈取搬送部3を昇降揺動可能に連結してある。走行車体1の左半部には、刈取搬送部3が搬送する刈り取り後の穀稈を受け取り、その刈り取り後の穀稈に脱穀処理を施し、この脱穀処理で得た処理物に選別処理を施す脱穀装置4を搭載してある。脱穀装置4の後部には、脱穀処理後の穀稈である排ワラを車外に排出する排ワラ処理装置5を連結してある。走行車体1の後部右側には、脱穀装置4からの単粒化穀粒を一番揚送装置6で搬送して貯留し、貯留した単粒化穀粒の袋詰めを可能にする袋詰め装置7を搭載してある。
【0018】
図1、図2に示すように、搭乗運転部2は、車体フレーム8の前部右側に、フロントパネル9、サイドパネル10、およびエンジンカバー11などを配備して、車体右側からの乗降が可能となるように形成してある。フロントパネル9には、十字揺動式で中立復帰型の操縦レバー12などを装備してある。サイドパネル10には、揺動式で位置保持型の変速レバー13などを装備してある。エンジンカバー11には運転座席14を装備してある。
【0019】
刈取搬送部3は、車体フレーム8の前部左側に昇降揺動可能に連結した刈取フレーム15に、3つの分草部材16、左右一対の引起し装置17、バリカン型の刈取り装置18、および供給搬送装置19などを備えて構成してある。供給搬送装置19は、受け取った穀稈を、姿勢変更しながら脱穀装置4に向けて供給搬送する。
【0020】
図1に示すように、刈取搬送部3は、車体フレーム8と刈取フレーム15とにわたって架設した昇降シリンダ20の作動により昇降揺動する。昇降シリンダ20には単動型の油圧シリンダを採用してある。
【0021】
図示は省略するが、操縦レバー12は、その前後方向への揺動操作に基づいて昇降シリンダ20の作動が制御されるように、昇降用の油圧制御系を介して昇降シリンダ20に連係してある。これにより、操縦レバー12を前後方向に揺動操作することにより、刈取搬送部3を、下限側の作業領域と上限側の非作業位置とにわたって昇降揺動させることができる。そして、その作業領域では、刈取搬送部3の昇降揺動により、収穫する作物に対する刈取り装置18の高さ位置を調節する刈り高さ調節を行なうことができる。
【0022】
また、操縦レバー12は、その左右方向への揺動操作に基づいて、その操作方向に応じた左右のサイドクラッチ(図示せず)およびサイドブレーキ(図示せず)の作動が制御されるように、操舵用の油圧制御系を介して左右のサイドクラッチおよびサイドブレーキに連係してある。変速レバー13は、その揺動操作に基づいて静油圧式無段変速装置(図示せず)が作動するように、静油圧式無段変速装置の変速操作軸に連係機構(図示せず)を介して連係してある。これにより、変速レバー13を揺動操作することにより、左右のクローラ21を、停止状態と前進駆動状態と後進駆動状態とに無段階に切り換えることができる。また、前進駆動状態と後進駆動状態のそれぞれにおいては、左右のクローラ21の駆動速度を無段階に変更することができる。そして、前進駆動状態または後進駆動状態において、操縦レバー12を左右方向に揺動操作することにより、走行状態を、左右のクローラ21を等速駆動させる直進状態と、クラッチ操作で左右のクローラ21を差動させる緩旋回状態と、左右一方(旋回内側)のクローラ21を制動する急旋回状態とに切り換えることができる。
【0023】
次に、脱穀装置4の構成について説明する。図3に示すように、脱穀装置4は、脱穀フィードチェーン22に挾持されて扱室23内に搬送されてくる刈取搬送穀稈に対して扱ぎ処理を加える扱胴24、扱胴24で処理された処理物を下方に漏下する受網25、受網25の下方に選別部26を備えて構成されている。選別部26は、受網25から漏下される穀粒を含む処理物を受けて後方に送りながら比重選別を行うグレンパン27と、このグレンパン27から送られる処理物と扱室23の後半部より受網25を通して漏下する処理物を受けて穀粒を落下させるチャフシーブ28と、チャフシーブ28の下方に穀粒を主として選別して下方に漏下させるグレンシーブ29とを備えた揺動選別棚35と、揺動選別棚35のチャフシーブ28やグレンシーブ29へ落下する処理物に対して選別風を作用させる唐箕30とを設けて、揺動選別作用に加えて風選別作用を加えるべく構成されている。
【0024】
上記構成に加えて、選別部26には、グレンシーブ29より漏下する穀粒を回収する一番回収部31と、一番回収部31の機体後方側で選別風によって送られる穂切粒と枝梗付粒とを混在した二番物を回収する二番回収部32と、機体後端に藁屑等を機外に排出する排塵ファン33とが配置構成されている。
【0025】
一番回収部31には、左右横方向に沿って配設された一番横送りスクリュー34を備えている。一番回収部31の右側には、一番横送りスクリュー34で横送りされた一番物を受取り、グレンタンク7aの上部に向けて揚送する一番揚送装置6が接続されている。
【0026】
次に、籾から枝梗等の表面突起物を取り除く二番回収部32の構造について説明する。図3及び図4に示すように、二番回収部32には、左右横方向に沿って配設された二番横送りスクリュー36を備えている。二番回収部32の右側には、二番横送りスクリュー36で横送りされた二番物を受取り、選別部26の前部寄りの揺動選別棚35に還元させる二番還元揚送装置37が接続されている。二番還元揚送装置37は、二番揚送ケース38と、二番揚送ケース38に内蔵した揚送スクリュー39及びその上端部に設けた回転羽根40と、回転羽根40に対向して二番揚送ケース38の上端部に形成された吐出口41とで構成されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、二番横送りスクリュー36が脱穀側壁42から突出する揚送スクリュー39との接続部位に、ベベルギヤ機構43からなる動力伝達部と、二番物横送りスクリュー36で横一側に寄せられた二番物を二番還元揚送装置37に送り込むための二番物送り込み部44を設けてある。前記接続部位に、二番横送りスクリュー36と揚送スクリュー39とのスクリュー軸36a、39aを直交する状態で近接配置し、両スクリュー軸36a,39aとに亘って装着した前記ベベルギヤ機構43で動力伝達可能に構成してある。二番横送りスクリュー36の前記接続部位に臨む部分には、大径の羽根45が装着されており、この大径の羽根45と、二番回収部32と二番還元揚送装置37とを連通させる連通路46により前記二番物送り込み部44を構成してあり、これによって揚送スクリュー39に処理物を効率よく送り込めるようになっている。二番物送り込み部44と同様の構成が、一番回収部31と一番揚送装置6との接続部位にも備えられている。
【0028】
ベベルギヤ機構43は、中継伝動ケース47によって支持されている。揚送スクリュー39を収納する二番揚送ケース38の上端には、回転羽根40を回転自在に収容する出口ケース48が一体形成されており、この出口ケース48が支持部材50を介して、脱穀側壁42に取り付けられている。出口ケース48は二番揚送ケース38の一部として、回転羽根40を覆うケース部分を構成している。
【0029】
図4、図5に示すように、前記出口ケース48に形成した吐出口41は、二番物を揺動選別棚35の上手側に向けて吐出するように形成されている。すなわち、脱穀側壁42に、吐出口41から選別室26に連通する開口51を形成し、前記吐出口41と開口51とを連通させる連通部材52を設け、揚送スクリュー39で揚送した二番物を、揚送スクリュー39とともに回転する回転羽根40で吐出口41から連通部材52及び開口51を介して選別部26の揺動選別棚35上の上手側部分に向けて放てきするように構成してある。
【0030】
前記出口ケース48は、吐出口41を形成するケース部分41aの外周を囲う状態で、平面視L字状に形成された支持部材50の長辺部分50aに保持され、短辺部分50bを脱穀側壁42に取り付けることで、支持部材50に支持されている。
【0031】
前記開口51は、吐出口41のケース部分41aを保持している支持部材50の前面である吐出口41の近傍より、選別部26の上手側である前方に向けて開設してある。
【0032】
前記回転羽根40は、図5に示す平面視で時計周りに回転する。したがって、回転羽根40が吐出口41に臨んでいるとき(吐出口41に向って回転しているとき)は、スクリュー軸39aの回転軸心aに対して前記開口51側を通って選別部26の下手側から上手側に向う方向に回転して、二番物が選別部26の上手側に向けて放てきされるように、スクリュー軸39aを回転させるように構成されている。
【0033】
図5に示すように、前記吐出口41を囲う連通部材52のうち、選別部26の上手側(機体前方)に向かう外側の連通部材52aは、平面視で開口51における選別部26の上手側の開口縁51aと、回転羽根40を覆う出口ケース48の外端(図5の紙面上側端)よりも選別部26側(内側)の位置とを結ぶ直線L上に配設してある。吐出口41は、前記外側の連通部材52aの位置(直線L)よりも選別部26側に位置させてある。
【0034】
前記吐出口41の外側の開口縁41bは、前記直線L上、又は直線Lよりも選別部26側に位置している。又、吐出口41の外側の開口縁41bは、平面視で開口51における選別部26の上手側(前側)の開口縁51aと、スクリュー軸39aの回転軸心aとを結ぶ直線Kよりも外側の位置に設定してある。吐出口41における内側の開口縁41cを、脱穀側壁42よりも外側の位置に設定してある。
【0035】
前記開口51は、吐出口41と開口51とを連通するように、連通部材52で覆われている。前記支持部材50は開口51を覆う連通部材52の一部を兼ねており、後端の連通部材を構成している。上下方向に鉛直の外側の連通部材52aは、図6に示すように、前方側ほど上下丈を長く形成してあり、前方ほど内側となる傾斜状(後方ほど外側に張り出した形状)で、前端が開口51の前端の開口縁51aに接続されている。つまり、外側の連通部材52aは、上端側ほど且つ後方側ほど外側に張り出している。外側の連通部材52aの下側に開口51の下縁51bに連なる傾斜壁52bを備えている。傾斜壁52bは側面視三角形で前方側ほど幅狭になっている。
【0036】
図4、図5に示すように、扱室23は、脱穀装置4の脱穀機体の左右方向左側に偏倚して配設されており、扱室23の右側の仕切り壁59乃至側部の受網25と、右側の前記脱穀側壁42との間には、選別部26に通じる上方処理空間60が形成されている。処理空間60の下方は、選別部26に連通していて、唐箕30から選別部26に供給された選別風が流入し得るようになっている。前記開口51は、処理空間60に臨んでいる。
【0037】
従って、二番還元揚送装置37は、揚送スクリュー39を平面視時計方向に回動駆動し、選別部26から二番回収部32によって搬出された処理物を、揚送スクリュー39によって揚送し、揚送終端部において、スクリュー軸39aに一体回転自在に連結されている回転羽根40の放てき作用によって、外側の連通部材52aに沿って前方に向く吐出口41から脱穀機体前方向きに排出され、開口51から揺動選別棚35上に向けて放出され、処理空間60を通って自然落下させて揺動選別部26に還元する。処理物を吐出口41から排出して開口51から放出する際、処理物が連通部材52bの傾斜ガイド面53に沿う方向に流動しながら開口51から脱穀機体内に吐出されることにより、処理物を傾斜ガイド面53による案内によって脱穀機体前後方向に分散させてその分散状態で開口51から放出する。
【0038】
これにより、選別部26から二番還元揚送装置37によって選別部26の揺動選別棚35に還元される処理物は、図5の平面視時計周りで回転する回転羽根40で前方に向けて放てきされるので、二番物が吐出口41から吐出される際、二番物が遠心力で出口ケース48の外周部に集まった状態で吐出される。すなわち、外側の連通部材52bの案内面53から離れた選別部26寄りの位置から外側の連通部材52aに沿った前方に向けて排出される。
【0039】
これにより、図4及び図5に示すように、吐出口41から排出された二番物は外側の連通部材52aに対して殆ど摺接した状態で排出されることがなく、又、外側の連通部材52bのガイド面53も開口51の開口縁51aと出口ケース48の外端とを結ぶ直線よりも選別部26側(内側)に位置するようにしてあるので、二番物が連通部材52bのガイド面53に対して直角に当たることもない。これによって、処理物が連通部材52に衝突することにより、破砕されて品質を低下させるということもなく、処理物を図5の紙面時計周りに放出させることで、処理物を破砕することなく、良好に脱穀することができる。
【0040】
図7、図8はチャフシーブ28の角度を変更する操作部の構造を示す。
前記揺動選別棚35に設けたチャフシーブ28には、多数の選別板61が所定ピッチで前後に並列配備されている。選別板61の開度は、操作具62により設定変更できるようになっている。図7、図8に示すように、複数の選別板61の上部は、シーブケース63に固定の左右の支持杆64の上支点ピン65で横軸心b周りに前後揺動可能に枢支連結されており、選別板61の下部は、下支点ピン66を介してリンク67に枢支連結されていている。
【0041】
前記シーブケース63は樹脂で形成されており、シーブケース63の左側板63aには操作具62を取り付けるための板金製の保持板68がボルト69で固定されている。保持板68には、選別板61のうちの前後中間部の一つの選別板61aにおける上支点ピン65の横軸心bと同心上に支持ピン70を植設してある。又、保持板68の下部には、操作具62を所定角度で固定するための5個の保持ピン71を所定間隔で固定してある。前後中間部の選別板61a以外の選別板61の下部の下支点ピン66はリンク67に連結されているだけで、それらの下支点ピン66は左右の側板63aから外方には突出していない。前後中間部の選別板61aの下部の下支点ピン66aは側板63a及び保持板68に形成された長孔72,73を介してシーブケース63の外方に突設されている。長孔72,73は選別板61が全開状態から全閉状態まで揺動できるように横軸心bを中心とした円弧状に形成してある。
【0042】
操作具62には、3つのピン孔74,75,76を形成してある。上のピン孔74は支持ピン70に挿通し、ワッシャ77を嵌めてベータピン78で抜け止めをする。中央のピン孔75には下支点ピン66を挿通し、ベータピン78で止めておく。下部のピン孔76は、選別板61の開度を設定するために選択した保持ピン71に挿通してベータピン78で抜け止めをする。開度を変更するときは、ピン71のベータピン78を外して、操作具62を他の保持ピン71に挿通し、ベータピン78で抜け止めを施す。これにより、操作部62によりリンク67が前方又は後方に移動して複数の選別板61が一度に揺動して、チャフシーブ28(選別板61)の開度を変更することができる。
【0043】
〔別実施の形態〕
上記実施の形態では、二番還元揚送装置を脱穀装置の右側に設けたが、二番還元揚送装置を左側に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、定置型の脱穀機や刈取装置を備えていない移動式のハーベスタにも適用できる。
【符号の説明】
【0045】
4 脱穀部
26 選別部
31 一番物回収部
32 二番物回収部
37 二番還元揚送装置
39 揚送スクリュー
39a スクリュー軸
40 回転羽根
41 吐出口
41b 開口縁
41c 開口縁
48 ケース部分
42 側壁
51 開口
51a 開口縁
52 連通部材
52a 連通部材
a 回転軸心
L,K 直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二番物回収部に回収された二番物を脱穀部の側壁の外側で揚送して選別部に還元する二番還元揚送装置を備え、前記二番還元揚送装置には、二番物を揚送する揚送スクリューと該揚送スクリューの上部に位置させた回転羽根とを備え、前記回転羽根を覆うケース部分に、二番物を前記選別部の上手側に向けて吐出する吐出口を形成し、前記脱穀部の側壁に前記選別部に連通する開口を形成し、前記吐出口と前記開口とを連通させる連通部材を設け、前記揚送スクリューで揚送した二番物を、前記回転羽根で前記吐出口から前記連通部材及び前記開口を介して前記選別部の上手側に向けて放てきするように構成した脱穀装置において、
前記開口を前記吐出口の近傍より前記選別部の上手側に向けて開設し、前記回転羽根が前記吐出口に臨んでいるときに、前記揚送スクリューのスクリュー軸の回転軸心に対して前記開口側を通って前記選別部の下手側から上手側に向う方向に回転して、二番物が前記選別部の上手側に向けて放てきされるように、前記スクリュー軸を回転させるように構成するとともに、
前記吐出口を囲う前記連通部材のうち、前記選別部の上手側に向かう外側の連通部材を、平面視で前記開口における前記選別部の上手側の開口縁と、前記回転羽根を覆うケース部分の外端よりも前記選別部側の位置とを結ぶ直線上に配設し、前記吐出口を、前記回転羽根を覆うケース部分における前記直線よりも選別部側に形成してあることを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記吐出口の外側の開口縁を、前記直線よりも選別部側で且つ、平面視で前記開口における前記選別部の上手側の開口縁と前記スクリュー軸の軸心とを結ぶ直線よりも外側の位置に設定してある請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記吐出口における内側の開口縁を、前記脱穀部の側壁よりも外側の位置に設定してある請求項1または2に記載の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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