説明

脱臭装置及び銀塩写真処理装置

【課題】複雑な制御を用いることなく、処理液から発生した気体の臭気を除去するのに適した量のオゾンを生成させることができる脱臭装置を提供する。
【解決手段】オゾン生成部41と、前記オゾン生成部41により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部から生じる臭気ガスを脱臭するオゾン反応部42を備えている脱臭装置40であって、前記オゾン生成部41と前記オゾン反応部42とを隔壁40Wにより区画し、何れかに雰囲気温度を調整する温度調節機構43を備えるとともに、前記オゾン生成部41の温度が前記オゾン反応部42の温度より低くなるように制御する温度制御部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン生成部と、前記オゾン生成部により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部から生じる臭気ガスを脱臭するオゾン反応部を備えている脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀塩写真処理装置は、印画紙等の写真感光材料を現像、漂白、定着、水洗するための各処理液が充填された複数の処理槽を備えている。
【0003】
前記銀塩写真処理装置の各処理槽では、処理液はメーカー等で予め決められた温度(例えば40度前後)に調整されて使用されており、処理液が蒸発することで発生した気体は装置の外へ排気される構造となっている。
【0004】
そして、排気された気体は、一般的に酢酸臭やアンモニア臭等の臭気があり、人がその臭いを嗅ぐと不快になる問題がある。
【0005】
臭気対策として装置内で発生した気体を導管等を介して屋外へ排気する方法があるが、装置を設置する室内に外部へ通じる排気孔を設ける必要があり、また、室内での臭いは防止できるが、屋外の気体を排出した周囲での臭いは防止できない。
【0006】
上述の問題を解決するために特許文献1では、処理液が充填された処理槽にて発生した気体を排出するためのガス排出路中に、オゾン発生部と、発生したオゾンと処理液から発生したガスとを反応させるための反応部と、未反応で残ったオゾンを分解するためのオゾン分解触媒部とを備えることで、発生した気体の臭気成分を除去することが可能な写真用現像装置が提案されている。
【0007】
上述の写真用現像装置では、前記オゾン分解触媒部には分解触媒を備えておいて定期的に新しいものと交換する必要があるが、処理槽にて発生する気体の量は、使用する処理液の種類や前記処理液の温度等の要因によって異なる量となることから、前記分解触媒を新しいものと交換する時期の判断は難しい。また、過剰にオゾンを発生させると周辺環境を悪化させる問題もある。
【0008】
そこで、特許文献2では、処理液が充填された処理槽にて発生した気体を排出するためのガス排出路中に、オゾン発生部と、発生したオゾンと処理液から発生したガスとを反応させるための反応部と、前記反応部より下流側に配置されたオゾン濃度を検出するオゾン濃度検出部と、前記オゾン濃度検出部にて検出されたオゾン濃度に基づいて前記オゾン発生部でのオゾンの発生量を制御する制御部とを備えることで、発生した気体の臭気成分を除去しつつも分解触媒を備える必要がない写真用現像装置が提案されている。
【特許文献1】特開2003−222988号公報
【特許文献2】特開2004−029137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、写真用現像装置に制御部を搭載して、前記制御部がオゾン濃度検出部にて検出されたオゾン濃度に基づいて前記オゾン発生部でのオゾンの発生量を制御する場合には制御が複雑であり、高価なオゾン濃度センサを用いる必要があるため装置のコストアップにつながる問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、複雑な制御を用いることなく、処理液から発生した気体の臭気を除去するのに適した量のオゾンを生成することができる脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明による脱臭装置の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、オゾン生成部と、前記オゾン生成部により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部から生じる臭気ガスを脱臭するオゾン反応部を備えている脱臭装置であって、前記オゾン生成部と前記オゾン反応部とを隔壁により区画し、何れかに雰囲気温度を調整する温度調節機構を備えるとともに、前記オゾン生成部の温度が前記オゾン反応部の温度より低くなるように制御する温度制御部を備えている点にある。
【0012】
オゾンの生成量は低温で多くなり、脱臭のためのオゾンの化学反応は分子活動が活発になる高温で活発になることから、上述の構成によれば、オゾン生成部の温度をオゾン反応部の温度より低温にすることにより、効率よく生成したオゾンに活発な化学反応をさせて効率よく臭気ガスの脱臭を行なうことができる。
【0013】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記温度調節機構が前記オゾン反応部に設けられた加熱機構で構成されている点にある。
【0014】
上述の構成によれば、加熱機構でオゾン反応部の温度を上げることにより、オゾンの化学反応を活発化させて臭気ガスからより多くの臭気成分を除去することができる。
【0015】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽であり、前記加熱機構が前記銀塩写真処理装置に設けられた処理後の感光材料を乾燥させる加熱機構と兼用されている点にある。
【0016】
上述の構成によれば、オゾン反応部を高温にするための加熱機構を独自に設ける必要がないためコストアップを避けることができる。
【0017】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記温度調節機構が前記オゾン生成部に設けられた冷却機構で構成されている点にある。
【0018】
上述の構成によれば、冷却機構でオゾン生成部の温度を下げることにより、オゾンの発生量を増加させてオゾン生成部において臭気ガスからより多くの臭気成分を除去することができる。
【0019】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第四特徴構成に加えて、前記臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽であり、前記温度制御部は前記処理槽の液温に基づいて前記冷却機構を制御する点にある。
【0020】
処理槽の液温が高ければ臭気ガスの発生量が多くなることから、発生した臭気ガスの脱臭に必要なオゾンの量も多くなる。上述の構成によれば、温度制御部が、処理槽の液温が高い場合にオゾン生成部の温度が下がるように冷却機構を制御して、前記処理槽の液温が低い場合に前記オゾン生成部の温度が上がるように前記冷却機構を制御することにより、前記オゾン生成部において臭気ガスの発生量に応じた量のオゾンを生成させることができる。
【0021】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記オゾン生成部に湿度を調整する調湿機構を備えている点にある。
【0022】
放電によりオゾンを生成する場合、使用する空気の湿度が高いとオゾンの生成量は減少し、空気中の八割近くを占める窒素の酸化物(NOx)の生成量が増大する。よって、上述の構成によれば、調湿機構でオゾン生成部の湿度を調整することでオゾンの発生量を制御することができる。
【0023】
上述の目的を達成するため、本発明による銀塩写真処理装置の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項7に記載した通り、請求項1から6の何れかに記載の脱臭装置が組み込まれ、銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽から発生する臭気ガスを脱臭する点にある。
【0024】
一般に、銀塩写真処理装置には、印画紙等の写真感光材料を現像、漂白、定着、水洗するための各処理液が充填された複数の処理槽を備えられていることから、前記銀塩写真処理装置に請求項1から6の何れかに記載の脱臭装置を組み込むことは好適な適用例となる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した通り、本発明によれば、複雑な制御を用いることなく、処理液から発生した気体の臭気を除去するのに適した量のオゾンを生成することができる脱臭装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明による脱臭装置を、銀塩写真処理装置としてのプリント現像処理装置に適用した実施形態について説明する。
【0027】
プリント現像処理装置1は、図2に示すように、印画紙Pに対して出力画像データに基づいた露光処理を行なうと共に露光された印画紙Pを現像処理する写真プリンタ2と、現像済みの写真フィルムFから画像を読み込むフィルムスキャナ31や、デジタルスチルカメラ等で撮影された画像データが格納されたメモリカード等の画像データ記憶メディアMから画像データを読み取るメディアドライバ32や、コントローラ33としての汎用コンピュータ等を備え、入力された元画像としての写真画像に対するプリントオーダ情報を設定入力するとともに、各種の画像補正処理を行なう操作ステーション3を備えて構成され、前記操作ステーション3で元画像から編集処理されたプリントデータが前記写真プリンタ2に出力されて所望の写真プリントが生成されるように構成されている。
【0028】
前記写真プリンタ2は、図2及び図3に示すように、感光材料としての印画紙Pがロール状に収容された二系統の印画紙マガジン21と、前記印画紙マガジン21から引き出された印画紙Pを所定のプリントサイズに切断するシートカッター22と、切断後の印画紙Pの背面にコマ番号等のプリント情報を印字するバックプリント部23と、前記プリントデータに基づいて印画紙Pを露光する露光部24と、露光後の印画紙Pを現像、漂白、定着、水洗するための各処理液が充填された複数の処理槽20を備えた現像処理部25が印画紙Pの搬送経路に沿って配置されている。
【0029】
また、前記写真プリンタ2は、現像処理後の印画紙Pを乾燥させる加熱機構26と、前記加熱機構26によって乾燥処理された印画紙Pが排出口PDを介して排出される横送りコンベア27と、前記横送りコンベア27に集積された複数枚の印画紙(写真プリント)Pがオーダー単位で仕分けられるソータ28と、前記処理槽20から発生する臭気ガスを脱臭する脱臭装置40とを備えて構成される。
【0030】
さらに、前記写真プリンタ2には、前記搬送経路に沿って配置された前記露光部24や前記現像処理部25に応じたプロセス速度で印画紙Pを搬送する複数のローラ対でなる搬送機構29が配置され、前記露光部24の前後には印画紙Pを複列に搬送可能なチャッカー式搬送機構29aが設けられている。
【0031】
前記露光部24には、前記搬送機構29によって副走査方向に搬送される印画紙Pに対して、搬送方向に直交する主走査方向に前記プリントデータに基づき変調されたRGB三色の光線束を出力して露光する露光ヘッド24aが収容されている。
【0032】
前記現像処理部25は、隔壁251によって仕切られた複数の槽からなる処理槽20を備えて構成されており、各処理槽20には、現像処理液、漂白処理液、定着処理液、及び安定化処理液等が貯留されている。
【0033】
以下、脱臭装置40について詳述する。前記脱臭装置40は、図1に示すように、オゾン生成部41と、前記オゾン生成部41により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部としての前記処理槽20から生じる臭気ガスを脱臭するオゾン反応部42を備えて構成されている。なお、図1は、図3におけるY1−Y2の断面を位置Y3から矢印の方向に見た写真プリント2の断面図であり、図1では前記横送りコンベア27は省略されている。ここで、臭気ガスとは、本実施形態では、前記処理槽20から蒸発する酢酸、アンモニア、その他有機溶媒等のガスのことである。
【0034】
また、前記脱臭装置40は、前記オゾン生成部41と前記オゾン反応部42とを隔壁40Wにより区画し、何れかに雰囲気温度を調整する温度調節機構43を備えるとともに、前記オゾン生成部41の温度が前記オゾン反応部42の温度より低くなるように制御する温度制御部を備えて構成されている。なお、本実施形態では、前記温度調節機構43が前記オゾン反応部42に備えられており前記オゾン反応部42に熱風を送り込む構成について説明する。
【0035】
前記オゾン生成部41は、プラズマ放電式のオゾン発生器41aを備えて構成されており、前記オゾン発生器41aは自身に備えられた放電管を放電させることにより前記オゾン生成部41の内部にオゾンを発生させる。
【0036】
また、発生させられたオゾンは、前記隔壁40Wに複数形成されている送り孔401Hを介して前記オゾン反応部42へと送られる。なお、本実施形態では、前記オゾン生成部41に送風ファン411が取り付けられており、前記オゾン生成部41にて生成されたオゾンは、前記送風ファン411の回転駆動による前記プリント現像処理装置1の外部から送り孔402Hを介しての送風によって、前記オゾン反応部42へ送られている。
【0037】
前記オゾン反応部42では、前記オゾン生成部41から前記送り孔401Hを介して送られてきたオゾンと、前記処理槽20から蒸発することで生じて送り孔403Hを通過してきた臭気ガスとが、例えば、以下のような化学反応(酢酸についての化学式1とアンモニアについての化学式2の化学反応)をすることによって二酸化炭素、水等に分解、脱臭されて、排気ファン421によって排気口404Hから排出される。
【化1】

【化2】

【0038】
また、前記オゾン反応部42には、装置外部の光が前記排気口404Hを介して装置内部の前記現像処理部25に入ってきて、印画紙Pに露光された画像の画質を悪化させることを防止するために、前記オゾン反応部42の上部壁42Uと下部壁42Dから交互に遮光壁42Wが設けられている。これによって、臭気ガスの流れは蛇行させられるように構成されている。
【0039】
前記温度調節機構43は、前記オゾン反応部42に設けられた加熱機構で構成されている。本実施形態では、前記加熱機構は、前記写真プリンタ2に設けられた処理後の印画紙Pを乾燥させる加熱機構26と兼用されている。
【0040】
詳述すると、前記加熱機構26は、図3に示すように、温度を上げるためのヒータ261と、二つの熱風ファンとを備えて構成されている。つまり、前記加熱機構26は、前記ヒータ261を真ん中にして、温度が上がった空気を熱風として現像処理後の印画紙Pの搬送経路に送るための第一熱風ファン262を一方の側(搬送経路側)に備え、温度が上がった空気を熱風として前記脱臭装置40の前記オゾン反応部42に送るための第二熱風ファン263を他方の側(前記脱臭装置40側)に備えて構成されている。
【0041】
そして、図1に示すように、前記第二熱風ファン263によって前記オゾン反応部42に向けられた熱風は、前記オゾン反応部42に設けられた送り孔405Hを介して前記オゾン反応部42へと送られる。
【0042】
前記温度制御部は、前記プリント現像処理装置1の内部の何れかの場所に、CPUと、前記CPUにより実行される制御プログラム等が格納されたROMと、制御データを格納するRAMと、周辺回路等で構成されており、前記温度制御部の機能は、前記CPUにより実行される温度制御用の制御プログラム及び関連するハードウェアとしての前記脱臭装置40により実現される。
【0043】
前記温度制御部の機能について詳述する。前記温度制御部は、前記第二熱風ファン263の回転速度を切り替える。つまり、前記オゾン反応部42の温度を上げるために送りこまれる熱風を増加させるように前記回転速度を速くし、前記オゾン反応部42の雰囲気温度を下げるために前記回転速度を遅くする又は前記第二熱風ファン263の駆動を停止する。
【0044】
また、前記オゾン生成部41と前記オゾン反応部42には夫々サーミスタ等の温度センサが備えられており、前記温度制御部は、前記温度センサの値を一定周期で読み取って前記オゾン生成部41と前記オゾン反応部42の雰囲気温度を比較し、前記オゾン生成部41の雰囲気温度が前記オゾン反応部42の雰囲気温度より高い場合には、前記第二熱風ファン263の回転速度をより速くして前記オゾン反応部42の雰囲気温度を上げることで、前記オゾン生成部41の雰囲気温度が前記オゾン反応部42の雰囲気温度より低くなるように制御する。
【0045】
一方、前記温度制御部は、前記オゾン反応部42の雰囲気温度が前記オゾン生成部41の雰囲気温度よりも高い場合には、前記オゾン反応部42の雰囲気温度が過剰に高くなるのを防止するために、前記オゾン反応部42の雰囲気温度が前記オゾン生成部41の雰囲気温度よりも所定値以上高くなったときに、前記第二熱風ファン263の回転速度をより遅くして又は前記第二熱風ファン263の駆動を停止する制御を行なう。
【0046】
なお、以上の説明では、前記温度制御部は、前記第二熱風ファン263の回転速度を制御して前記オゾン反応部42の雰囲気温度を制御する構成について説明したが、前記温度制御部は、図1において複数設けられている前記送り孔405Hの各々にスライド式の遮蔽板を設けて、前記遮蔽板によって遮蔽される前記送り孔405Hの数を制御することで前記オゾン反応部42の雰囲気温度を制御する構成であってもよい。また、前記温度制御部は、前記オゾン反応部42に少なくとも一つ設けられた送り孔405Hが前記遮蔽板によって塞がれる面積を制御することで前記オゾン反応部42の雰囲気温度を制御する構成であってもよい。
【0047】
また、本実施形態では、図1に示すように、前記オゾン生成部41に湿度を調整する調湿機構412が備えられており、前記調湿機構412は、前記オゾン生成部41の内部の湿度を調整することによって、前記オゾン生成部41におけるオゾン生成量を調整するように構成されている。
【0048】
以下に詳述する。前記調湿機構412は、湿度センサと、湿度調整部材と、前記湿度調整部材が収納されている開閉式の収納部と、前記収納部の開閉を制御する調湿制御部とを備えて構成されている。
【0049】
前記湿度センサとしては、水分に感応する多孔質シリコン層で構成されたセンサ等がある。また、前記湿度調整部材としては、シリカゲルや塩化カルシウム等の吸湿部材、または、給水ポリマーをシート状に形成して吸湿のみならず吸収した水分を排出できる部材等がある。
【0050】
前記調湿制御部は、前記温度制御部と同様に、前記プリント現像処理装置1の内部の何れかの場所に、CPU、ROM、RAM、周辺回路等で構成されており、以下で説明する前記調湿制御部の機能は、前記CPUにより実行される湿度調整用の制御プログラム等により実現される。
【0051】
つまり、前記調湿制御部は、前記湿度センサによって検出された前記オゾン生成部41の内部湿度が高い場合には、前記収納部を開いて前記湿度調整部材に吸湿させることで前記内部湿度を低くし、前記オゾン生成部41の内部湿度が低い場合には、開いていた前記収納部を閉じることで、または、前記収納部を閉じることなく十分に吸湿した前記湿度調整部材に水分を排出させることで、前記オゾン生成部41の内部湿度を調整する。
【0052】
なお、前記調湿機構としては、前記送風ファン411により低湿度の空気を前記オゾン生成部41に送りこむことで前記オゾン生成部41の内部湿度を低くするような構成であってもよい。
【0053】
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、オゾン反応部42に設けられた加熱機構は、写真プリンタ2に設けられた処理後の印画紙Pを乾燥させる加熱機構26と兼用されている構成について説明したが、前記加熱機構は兼用でなく前記オゾン反応部42に独自のものを備えた構成であってもよい。
【0054】
例えば、図4に示すように、前記オゾン反応部42は、その上部壁42Dに、ヒータ422と、前記ヒータ422によって温められた熱風を前記オゾン反応部42に送りこむ熱風ファン423とを、前記加熱機構26とは別に備えている構成であってもよい。
【0055】
上述の実施形態では、温度制御部は、オゾン生成部の温度がオゾン反応部の温度より低くなるように制御する構成について説明したが、前記温度制御部は、前記オゾン反応部の目標雰囲気温度(例えば70度)を予め設定しておき、前記オゾン反応部の雰囲気温度が前記目標雰囲気温度となるように温度調整機構を制御する構成であってもよい。
【0056】
上述の実施形態では、温度調節機構43がオゾン反応部42に設けられた加熱機構である構成について説明したが、前記温度調節機構43がオゾン生成部41に設けられた冷却機構である構成であってもよい。なお、前記冷却機構は、上述の実施形態の温度制御部によって制御される。
【0057】
以下に前記冷却機構とその制御について詳述する。第一の例として、前記冷却機構は、上述の実施形態で用いた送風ファン411を冷却ファンとして使用する構成がある。本構成では、前記オゾン生成部41の雰囲気温度が高い場合には、前記温度制御部が前記送風ファン411を駆動させて送風することによって雰囲気温度を下げる。
【0058】
また、前記オゾン生成部41の内部温度は低いが更に冷却したい場合には、前記送風ファン411の近傍に冷却水を循環させている流水管を設けておくことで、前記送風ファン411から冷風を送ることができる。
【0059】
第二の例として、前記冷却機構が第一の例で用いたものと同様の流水管である構成がある。つまり、前記流水管を前記オゾン生成部41の内部に設けておき、前記オゾン生成部41の雰囲気温度が高い場合には、前記温度制御部が前記流水管に冷却水を流すことで前記内部温度を下げる。
【0060】
第三の例として、前記冷却機構が、電流を流すと一方の面が低温となり他方の面が高温となる性質を有するペルチェ素子である構成がある。具体的には、前記ペルチェ素子を、一方の面が前記オゾン生成部41の内部となり、他方の面が前記オゾン生成部41の外部となるように配置しておく。
【0061】
前記温度制御部は、前記オゾン生成部41の内部温度が高い場合には、前記ペルチェ素子に電流を流して前記ペルチェ素子の一方の面、つまり前記オゾン生成部41の内部に面した側を低温にすることで前記オゾン生成部41の雰囲気温度を下げる。
【0062】
また、他方の面が前記オゾン生成部41の内部となるように配置した別のペルチェ素子を用いることで、前記オゾン生成部41の雰囲気温度が低い場合に、前記温度制御部が前記ペルチェ素子に電流を流して前記ペルチェ素子の他方の面を高温にすることで前記オゾン生成部41の雰囲気温度を上げる制御も可能となる。
【0063】
以上説明した冷却機構を用いる構成において、前記温度制御部は前記処理槽20の液温に基づいて前記冷却機構を制御する構成であってもよい。
【0064】
詳述すると、前記処理槽20には前記処理槽20の液温を検出するサーミスタ等の温度センサが備えられ、また、前記オゾン生成部41には前記オゾン生成部41の雰囲気温度を検出するサーミスタ等の温度センサが備えられ、さらに、温度制御部に備えられたROMには、前記処理槽20の液温に対する前記オゾン生成部41の雰囲気温度が示されたテーブルデータが記憶されている。なお、前記テーブルデータは、様々な液温の処理液にて脱臭装置40を作動させ、液温毎に排出される気体のオゾン濃度を測定したデータを統計処理することで得られる。
【0065】
そして、前記温度制御部は、前記温度センサの検出値を前記テーブルデータに適用することで、前記オゾン生成部41の目標雰囲気温度を導出し、前記オゾン生成部41の雰囲気温度が前記目標雰囲気温度となるように前記冷却機構を制御するのである。
【0066】
また、以上で説明した加熱機構と冷却機構の両方が設けられている構成であってもよい。つまり、本構成では、前記オゾン生成部41に前記冷却機構が備えられており、前記オゾン反応部42に前記加熱機構が備えられている。
【0067】
上述の実施形態では、臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽である構成について説明したが、前記臭気ガス発生部は前記処理槽20に限らない。つまり、前記臭気ガス発生部は、酢酸やアンモニア等の臭気ガスの発生源となるものであれば、前記処理槽20のように処理液からの蒸発気体が臭気ガスである構成でなくてもよい。
【0068】
上述の実施形態では、オゾン生成部41に備えられるオゾン発生器41aとしてプラズマ放電式のものを使用している構成について説明したが、前記放電式の種類としては、無声放電式や沿面放電式等の多種の放電式のオゾン発生器を使用する構成であってもよい。また、前記オゾン発生器として放電式以外のものを使用することができ、例えば、紫外線方式や水電界方式のオゾン発生器を使用する構成であってもよい。
【0069】
上述の実施形態では、本発明による脱臭装置を、銀塩写真処理装置としてのプリント現像処理装置に適用した構成について説明したが、本発明による脱臭装置の適用対象は、前記プリント現像処理装置に限らず、例えば、撮影済みのフィルムを現像するフィルム現像処理装置に適用した構成であってもよい。また、本発明による脱臭装置の適用対象は、前記銀塩写真処理装置に限らず、例えば、室内や車内等の脱臭に用いる脱臭装置や食品加工や厨房で用いる脱臭殺菌洗浄器等に適用した構成であってもよい。
【0070】
尚、上述した各実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において、各ブロックの具体的構成を適宜変更設計できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による脱臭装置の説明図
【図2】プリント現像処理装置の外観説明図
【図3】写真プリンタのブロック構成図
【図4】加熱機構を兼用しない構成の脱臭装置の説明図
【符号の説明】
【0072】
1:プリント現像処理装置(銀塩写真処理装置)
20:処理槽
26:加熱機構
40:脱臭装置
40W:隔壁
41:オゾン生成部
412:調湿機構
42:オゾン反応部
43:温度調節機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン生成部と、前記オゾン生成部により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部から生じる臭気ガスを脱臭するオゾン反応部を備えている脱臭装置であって、
前記オゾン生成部と前記オゾン反応部とを隔壁により区画し、何れかに雰囲気温度を調整する温度調節機構を備えるとともに、前記オゾン生成部の温度が前記オゾン反応部の温度より低くなるように制御する温度制御部を備えている脱臭装置。
【請求項2】
前記温度調節機構が前記オゾン反応部に設けられた加熱機構で構成されている請求項1記載の脱臭装置。
【請求項3】
前記臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽であり、前記加熱機構が前記銀塩写真処理装置に設けられた処理後の感光材料を乾燥させる加熱機構と兼用されている請求項2記載の脱臭装置。
【請求項4】
前記温度調節機構が前記オゾン生成部に設けられた冷却機構で構成されている請求項1記載の脱臭装置。
【請求項5】
前記臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽であり、前記温度制御部は前記処理槽の液温に基づいて前記冷却機構を制御する請求項4記載の脱臭装置。
【請求項6】
前記オゾン生成部に湿度を調整する調湿機構を備えている請求項1から5の何れかに記載の脱臭装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載の脱臭装置が組み込まれ、銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽から発生する臭気ガスを脱臭する銀塩写真処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−216584(P2008−216584A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53230(P2007−53230)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】