脱臭装置及び銀塩写真処理装置
【課題】複雑な制御を用いることなく、処理液から発生した気体の臭気を除去するのに適した量のオゾンを生成させることができる脱臭装置を提供する。
【解決手段】オゾン生成装置４１を備え、前記オゾン生成装置４１により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部２０から生じる臭気ガスを脱臭する脱臭装置４０であって、前記臭気ガス発生部２０の温度を検出する温度検出部４２と、前記温度検出部４２による検出温度に基づいて前記オゾン生成装置４１によるオゾン生成量を切り替えるオゾン生成量制御部４３を備えている。
【解決手段】オゾン生成装置４１を備え、前記オゾン生成装置４１により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部２０から生じる臭気ガスを脱臭する脱臭装置４０であって、前記臭気ガス発生部２０の温度を検出する温度検出部４２と、前記温度検出部４２による検出温度に基づいて前記オゾン生成装置４１によるオゾン生成量を切り替えるオゾン生成量制御部４３を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、オゾン生成装置を備え、前記オゾン生成装置により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部から生じる臭気ガスを脱臭する脱臭装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
銀塩写真処理装置は、印画紙等の写真感光材料を現像、漂白、定着、水洗するための各処理液が充填された複数の処理槽を備えている。
【０００３】
前記銀塩写真処理装置の各処理槽では、処理液はメーカー等で予め決められた温度（例えば４０度前後）に調整されて使用されており、処理液が蒸発することで発生した気体は装置の外へ排気される構造となっている。
【０００４】
そして、排気された気体は、一般的に酢酸臭やアンモニア臭等の臭気があり、人がその臭いを嗅ぐと不快になる問題がある。
【０００５】
臭気対策として装置内で発生した気体を導管等を介して屋外へ排気する方法があるが、装置を設置する室内に外部へ通じる排気孔を設ける必要があり、また、室内での臭いは防止できるが、屋外の気体を排出した周囲での臭いは防止できない。
【０００６】
上述の問題を解決するために特許文献１では、処理液が充填された処理槽にて発生した気体を排出するためのガス排出路中に、オゾン発生部と、発生したオゾンと処理液から発生したガスとを反応させるための反応部と、未反応で残ったオゾンを分解するためのオゾン分解触媒部とを備えることで、発生した気体の臭気成分を除去することが可能な写真用現像装置が提案されている。
【０００７】
上述の写真用現像装置では、前記オゾン分解触媒部には分解触媒を備えておいて定期的に新しいものと交換する必要があるが、処理槽にて発生する気体の量は、使用する処理液の種類や前記処理液の温度等の要因によって異なる量となることから、前記分解触媒を新しいものと交換する時期の判断は難しい。また、過剰にオゾンを発生させると周辺環境を悪化させる問題もある。
【０００８】
そこで、特許文献２では、処理液が充填された処理槽にて発生した気体を排出するためのガス排出路中に、オゾン発生部と、発生したオゾンと処理液から発生したガスとを反応させるための反応部と、前記反応部より下流側に配置されたオゾン濃度を検出するオゾン濃度検出部と、前記オゾン濃度検出部にて検出されたオゾン濃度に基づいて前記オゾン発生部でのオゾンの発生量を制御する制御部とを備えることで、発生した気体の臭気成分を除去しつつも分解触媒を備える必要がない写真用現像装置が提案されている。
【特許文献１】特開２００３−２２２９８８号公報
【特許文献２】特開２００４−０２９１３７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかし、写真用現像装置に制御部を搭載して、前記制御部がオゾン濃度検出部にて検出されたオゾン濃度に基づいて前記オゾン発生部でのオゾンの発生量を制御する場合には制御が複雑であり、高価なオゾン濃度センサを用いる必要があるため装置のコストアップにつながる問題がある。
【００１０】
本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、複雑な制御を用いることなく、処理液から発生した気体の臭気を除去するのに適した量のオゾンを生成することができる脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上述の目的を達成するため、本発明による脱臭装置の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項１に記載した通り、オゾン生成装置を備え、前記オゾン生成装置により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部から生じる臭気ガスを脱臭する脱臭装置であって、前記臭気ガス発生部の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部による検出温度に基づいて前記オゾン生成装置によるオゾン生成量を切り替えるオゾン生成量制御部を備えている点にある。
【００１２】
化学反応は分子活動が活発になる高温で活発になることから、臭気ガス発生部の温度によって臭気ガスの発生量は変わる。よって、上述の構成によれば、オゾン生成量制御部が、温度検出部による検出温度が高い場合にオゾン生成量を多くし、前記検出温度が低い場合にオゾン生成量を少なくすることで、臭気ガス発生部から発生した気体の臭気を除去するのに適した量のオゾンを生成することができる。
【００１３】
同第二の特徴構成は、同請求項２に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記オゾン生成装置に温度調節機構が設けられ、前記オゾン生成量制御部は前記温度調節機構を制御することによりオゾンの生成量を制御する点にある。
【００１４】
オゾンの生成量は低温で多くなり高温で少なくなることから、上述の構成によれば、オゾン生成量制御部が温度調節機構でオゾン生成装置内の温度を制御することで、オゾンの生成量を変えることができる。
【００１５】
同第三の特徴構成は、同請求項３に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記温度調節機構が前記オゾン生成装置またはその雰囲気温度を調節する冷却機構で構成されている点にある。
【００１６】
上述の構成によれば、オゾン生成量制御部は、冷却機構の駆動と停止の切替、前記冷却機構としての冷却ファンの回転速度の切替、及び前記冷却ファンの回転時間の切替等によってオゾン生成装置の温度を調節することができる。
【００１７】
同第四の特徴構成は、同請求項４に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽である点にある。
【００１８】
銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽から排気される気体には、酢酸臭やアンモニア臭等の臭気があり、人がその臭いを嗅ぐと不快になる虞があることから、本発明による脱臭装置を前記処理槽から生じる臭気ガスを脱臭するために用いることは、好適な適用例となる。
【００１９】
同第五の特徴構成は、同請求項５に記載した通り、上述の第四特徴構成に加えて、前記銀塩写真処置装置の運転停止時に、前記オゾン生成量制御部は前記温度調節機構を停止した状態で前記オゾン生成装置を作動させる点にある。
【００２０】
通常、銀塩写真処理装置は、夜間等の装置不使用時であってもメインの電源は停止させない。しかし、前記銀塩写真処理装置の稼動時には、処理槽に充填された処理液は前記銀塩写真装置の現像処理部に備えられた温度調整部によって所定温度（例えば４０度前後）に温度調整されており、前記温度調整部は前記装置不使用時には停止させられる。
【００２１】
そして、前記温度調整部が停止させられている間は、前記処理液の温度が下がるので、前記処理液から発生する臭気ガスの量は、前記銀塩写真処理装置が稼動している間よりも少なくなる。しかし、前記銀塩写真処理装置における臭気ガスの発生は処理液の蒸発により生じるので、たとえ前記銀塩写真処理装置が停止して前記処理液の温度が前記銀塩写真処理装置の稼動時より低くなったとしても、発生する臭気ガスが零となる訳ではない。
【００２２】
よって、上述の構成によれば、前記オゾン生成量制御部が前記温度調節機構を停止した状態で前記オゾン生成装置を作動させることで、前記銀塩写真処理装置の停止中に生じる臭気ガスを脱臭するための最低限のオゾンの生成を維持することができる。
【００２３】
上述の目的を達成するため、本発明による銀塩写真処理装置の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項６に記載した通り、請求項１から５の何れかに記載の脱臭装置が組み込まれ、銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽から発生する臭気ガスを脱臭する点にある。
【００２４】
一般に、銀塩写真処理装置には、印画紙等の写真感光材料を現像、漂白、定着、水洗するための各処理液が充填された複数の処理槽を備えられていることから、前記銀塩写真処理装置に請求項１から５の何れかに記載の脱臭装置を組み込むことは好適な適用例となる。
【発明の効果】
【００２５】
以上説明した通り、本発明によれば、複雑な制御を用いることなく、処理液から発生した気体の臭気を除去するのに適した量のオゾンを生成することができる脱臭装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下に本発明による脱臭装置を、銀塩写真処理装置としてのプリント現像処理装置に適用した実施形態について説明する。
【００２７】
プリント現像処理装置１は、図２に示すように、印画紙Ｐに対して出力画像データに基づいた露光処理を行なうと共に露光された印画紙Ｐを現像処理する写真プリンタ２と、現像済みの写真フィルムＦから画像を読み込むフィルムスキャナ３１や、デジタルスチルカメラ等で撮影された画像データが格納されたメモリカード等の画像データ記憶メディアＭから画像データを読み取るメディアドライバ３２や、コントローラ３３としての汎用コンピュータ等を備え、入力された元画像としての写真画像に対するプリントオーダ情報を設定入力するとともに、各種の画像補正処理を行なう操作ステーション３を備えて構成され、前記操作ステーション３で元画像から編集処理されたプリントデータが前記写真プリンタ２に出力されて所望の写真プリントが生成されるように構成されている。
【００２８】
前記写真プリンタ２は、図２及び図３に示すように、感光材料としての印画紙Ｐがロール状に収容された二系統の印画紙マガジン２１と、前記印画紙マガジン２１から引き出された印画紙Ｐを所定のプリントサイズに切断するシートカッター２２と、切断後の印画紙Ｐの背面にコマ番号等のプリント情報を印字するバックプリント部２３と、前記プリントデータに基づいて印画紙Ｐを露光する露光部２４と、露光後の印画紙Ｐを現像、漂白、定着、水洗するための各処理液が充填された複数の処理槽２０を備えた現像処理部２５が印画紙Ｐの搬送経路に沿って配置されている。
【００２９】
また、前記写真プリンタ２は、現像処理後の印画紙Ｐを乾燥させる加熱機構２６と、前記加熱機構２６によって乾燥処理された印画紙Ｐが排出口ＰＤを介して排出される横送りコンベア２７と、前記横送りコンベア２７に集積された複数枚の印画紙（写真プリント）Ｐがオーダー単位で仕分けられるソータ２８と、前記処理槽２０から発生する臭気ガスを脱臭する脱臭装置４０とを備えて構成される。
【００３０】
さらに、前記写真プリンタ２には、前記搬送経路に沿って配置された前記露光部２４や前記現像処理部２５に応じたプロセス速度で印画紙Ｐを搬送する複数のローラ対でなる搬送機構２９が配置され、前記露光部２４の前後には印画紙Ｐを複列に搬送可能なチャッカー式搬送機構２９ａが設けられている。
【００３１】
前記露光部２４には、前記搬送機構２９によって副走査方向に搬送される印画紙Ｐに対して、搬送方向に直交する主走査方向に前記プリントデータに基づき変調されたＲＧＢ三色の光線束を出力して露光する露光ヘッド２４ａが収容されている。
【００３２】
前記現像処理部２５は、隔壁２５１によって仕切られた複数の槽からなる処理槽２０を備えて構成されており、各処理槽２０には、現像処理液、漂白処理液、定着処理液、及び安定化処理液等が貯留されている。
【００３３】
以下、脱臭装置４０について詳述する。前記脱臭装置４０は、図１及び図４に示すように、オゾン生成装置４１と、前記オゾン生成装置４１により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部としての前記処理槽２０から生じる臭気ガスを脱臭するように構成されている。なお、図１は、図３におけるＹ１−Ｙ２の断面を位置Ｙ３から矢印の方向に見た写真プリント２の断面図であり、図１では前記横送りコンベア２７は省略されている。ここで、臭気ガスとは、本実施形態では、前記処理槽２０から蒸発する酢酸、アンモニア、その他有機溶媒等のガスのことである。
【００３４】
前記オゾン生成装置４１は、プラズマ放電式のオゾン発生器４１ａを備えて構成されており、前記オゾン発生器４１ａは自身に備えられた放電管を放電させることにより前記オゾン生成装置４１の内部にオゾンを発生させる。
【００３５】
そして、発生させられたオゾンは、前記処理槽２０から蒸発することで生じて臭気ガス排気ファン２０１と送り孔４０１Ｈを通過してきた臭気ガスと、例えば、以下のような化学反応（酢酸についての化学式１とアンモニアについての化学式２の化学反応）をすることによって二酸化炭素、水等に分解、脱臭されて、排気ファン４１１によって排気口４０２Ｈから排出される。
【化１】
【化２】
【００３６】
なお、前記オゾン生成装置４１には、装置外部の光が前記排気口４０２Ｈを介して装置内部の前記現像処理部２５に入ってきて、印画紙Ｐに露光された画像の画質を悪化させることを防止するために、前記オゾン生成装置４１の下部壁４１Ｄから遮光壁４１Ｗが設けられている。
【００３７】
また、前記脱臭装置４０は、前記処理槽２０の温度を検出する温度検出部４２と、前記温度検出部４２による検出温度に基づいて前記オゾン生成装置４１によるオゾン生成量を切り替えるオゾン生成量制御部４３とを備えて構成されている。
【００３８】
前記温度検出部４２は、前記処理槽２０の近傍または前記処理槽２０に貯留されている処理液に浸される位置に備えられたサーミスタ等の温度センサとして構成されており、前記温度センサは、前記処理槽２０の周辺温度または前記処理槽２０に貯留されている処理液の温度を検出して、検出されたデータは、前記オゾン生成量制御部４３に送られる。
【００３９】
前記オゾン生成量制御部４３は、前記プリント現像処理装置１の内部の何れかの場所に、ＣＰＵと、前記ＣＰＵにより実行される制御プログラム等が格納されたＲＯＭと、制御データを格納するＲＡＭと、周辺回路等で構成されており、前記オゾン生成量制御部４３の機能は、前記ＣＰＵにより実行されるオゾン生成量制御用の制御プログラム及び関連するハードウェアとしての前記脱臭装置４０により実現される。
【００４０】
前記オゾン生成量制御部４３の機能について以下に説明する。前記オゾン生成量制御部４３に備えられているＲＯＭには、前記温度検出部４２によって検出された前記処理槽２０の温度と、前記温度に対するオゾン生成量とが示されたテーブルデータが記憶されており、前記オゾン生成量制御部４３は、前記温度の値を前記テーブルデータに適用することで、前記オゾン生成装置４１において生成するオゾンの量を導出し、前記オゾン生成装置４１が生成するオゾンの量が導出したオゾンの量と同じになるように前記オゾン生成装置４１を制御するのである。
【００４１】
なお、前記テーブルデータは、前記処理槽２０が様々な温度の場合毎に脱臭装置４０を作動させ、温度毎に発生する臭気ガスの濃度および前記脱臭装置４０より排出される気体のオゾン濃度を測定したデータを統計処理することで得られる。
【００４２】
前記オゾン生成量制御部４３による前記オゾン生成装置４１の制御方法としては、前記オゾン生成装置４１には温度調節機構４４が設けられ、前記オゾン生成量制御部４３は前記温度調節機構４４を制御することによりオゾンの生成量を制御する方法がある。
【００４３】
例えば、図４に示すように、前記温度調節機構４４が前記オゾン生成装置４１またはその雰囲気温度を調節する冷却機構としての冷却ファン４４で構成されている。本構成では、前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度が高い場合には、前記オゾン生成量制御部４３が前記冷却ファン４４を駆動させて送風することによって前記雰囲気温度を下げる。
【００４４】
また、前記オゾン生成装置４１の内部温度は低い場合には、前記冷却ファン４４の近傍に冷却水を循環させている流水管を設けておくことで、前記冷却ファン４４から冷風を送ることができる。
【００４５】
第二の例として、前記温度調節機構４４が第一の例で用いたものと同様の流水管である構成がある。つまり、前記流水管を前記オゾン生成装置４１の内部に設けておき、前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度が高い場合には、前記温度制御部が前記流水管に冷却水を流すことで前記雰囲気温度を下げる。
【００４６】
第三の例として、前記温度調節機構４４が、電流を流すと一方の面が低温となり他方の面が高温となる性質を有するペルチェ素子である構成がある。具体的には、前記ペルチェ素子を、一方の面が前記オゾン生成装置４１の内部となり、他方の面が前記オゾン生成装置４１の外部となるように配置しておく。
【００４７】
前記オゾン生成量制御部４３は、前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度が高い場合には、前記ペルチェ素子に電流を流して前記ペルチェ素子の一方の面、つまりう前記オゾン生成部４１の内部に面した側を低温にすることで前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度を下げる。
【００４８】
また、他方の面が前記オゾン生成装置４１の内部となるように配置した別のペルチェ素子を用いることで、前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度が低い場合に、前記オゾン生成量制御部４３が前記ペルチェ素子に電流を流して前記ペルチェ素子の他方の面を高温にすることで前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度を上げる制御も可能となる。
【００４９】
また、前記オゾン生成量制御部４３は、前記プリント現像処理装置１の運転停止時に、前記温度調節機構４４を停止した状態で前記オゾン生成装置４１を作動させるように構成されている。
【００５０】
以下に詳述する。前記プリント現像処理装置１は、夜間等の装置の運転停止時には、前記現像処理部２５への給電は停止させるが、メインの電源は停止させないように構成されており、前記プリント現像処理装置１は、運転停止時であっても、前記オゾン生成装置４１への給電を維持させるように構成されている。但し、前記プリント現像処理装置１は、前記オゾン生成装置４１に備えられた温度調整機構４４への給電は停止するように構成されている。
【００５１】
そして、給電を維持されている前記オゾン生成量制御部４３は、同様に給電を維持されている前記オゾン発生器４１によるオゾン生成を継続させる。つまり、前記プリント現像処理装置１の運転停止時は、前記温度調整機構４４による前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度の強制的な上昇や下降を生じさせてのオゾンの生成量の調整を行なうことはしないで、そのときの前記オゾン生成装置４１の自然の雰囲気温度に基づいた量のオゾンの生成が継続されるように構成されている。
【００５２】
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、オゾン生成量制御部４３によるオゾン生成装置４１の制御方法として、前記オゾン生成装置４１に温度調節機構４４が設けられ、前記オゾン生成量制御部４３は前記温度調節機構４４を制御することによりオゾンの生成量を制御する方法について説明したが、オゾン生成量の制御方法はこれに限らない。例えば、前記オゾン生成量制御部４３が、オゾン発生器４１ａへの電圧印加のオンオフを切り替えて前記オゾン発生器４１ａの放電時間を調整することによってオゾンの生成量を調整する制御方法であってもよい。
【００５３】
上述の実施形態では、臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽である構成について説明したが、前記臭気ガス発生部は前記処理槽２０に限らない。つまり、前記臭気ガス発生部は、酢酸やアンモニア等の臭気ガスの発生源となるものであれば、前記処理槽２０のように処理液からの蒸発気体が臭気ガスである構成でなくてもよい。
【００５４】
上述の実施形態では、オゾン生成装置４１に備えられるオゾン発生器４１ａとしてプラズマ放電式のものを使用している構成について説明したが、前記放電式の種類としては、無声放電式や沿面放電式等の多種の放電式のオゾン発生器を使用する構成であってもよい。また、前記オゾン発生器として放電式以外のものを使用することができ、例えば、紫外線方式や水電界方式のオゾン発生器を使用する構成であってもよい。
【００５５】
上述の実施形態では、本発明による脱臭装置を、銀塩写真処理装置としてのプリント現像処理装置に適用した構成について説明したが、本発明による脱臭装置の適用対象は、前記銀塩写真処理装置であれば前記プリント現像処理装置に限らず、例えば、撮影済みのフィルムを現像するフィルム現像処理装置に適用した構成であってもよい。また、本発明による脱臭装置の適用対象は、前記銀塩写真処理装置に限らず、例えば、室内や車内等の脱臭に用いる脱臭装置や食品加工や厨房で用いる脱臭殺菌洗浄器等に適用した構成であってもよい。
【００５６】
尚、上述した各実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において、各ブロックの具体的構成を適宜変更設計できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００５７】
【図１】本発明による脱臭装置の機能ブロック構成図
【図２】プリント現像処理装置の外観説明図
【図３】写真プリンタのブロック構成図
【図４】本発明による脱臭装置の説明図
【符号の説明】
【００５８】
１：プリント現像処理装置（銀塩写真処理装置）
２０：処理槽
４０：脱臭装置
４１：オゾン生成装置
４２：温度検出部
４３：オゾン生成量制御部
４４：温度調整機構
【技術分野】
【０００１】
本発明は、オゾン生成装置を備え、前記オゾン生成装置により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部から生じる臭気ガスを脱臭する脱臭装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
銀塩写真処理装置は、印画紙等の写真感光材料を現像、漂白、定着、水洗するための各処理液が充填された複数の処理槽を備えている。
【０００３】
前記銀塩写真処理装置の各処理槽では、処理液はメーカー等で予め決められた温度（例えば４０度前後）に調整されて使用されており、処理液が蒸発することで発生した気体は装置の外へ排気される構造となっている。
【０００４】
そして、排気された気体は、一般的に酢酸臭やアンモニア臭等の臭気があり、人がその臭いを嗅ぐと不快になる問題がある。
【０００５】
臭気対策として装置内で発生した気体を導管等を介して屋外へ排気する方法があるが、装置を設置する室内に外部へ通じる排気孔を設ける必要があり、また、室内での臭いは防止できるが、屋外の気体を排出した周囲での臭いは防止できない。
【０００６】
上述の問題を解決するために特許文献１では、処理液が充填された処理槽にて発生した気体を排出するためのガス排出路中に、オゾン発生部と、発生したオゾンと処理液から発生したガスとを反応させるための反応部と、未反応で残ったオゾンを分解するためのオゾン分解触媒部とを備えることで、発生した気体の臭気成分を除去することが可能な写真用現像装置が提案されている。
【０００７】
上述の写真用現像装置では、前記オゾン分解触媒部には分解触媒を備えておいて定期的に新しいものと交換する必要があるが、処理槽にて発生する気体の量は、使用する処理液の種類や前記処理液の温度等の要因によって異なる量となることから、前記分解触媒を新しいものと交換する時期の判断は難しい。また、過剰にオゾンを発生させると周辺環境を悪化させる問題もある。
【０００８】
そこで、特許文献２では、処理液が充填された処理槽にて発生した気体を排出するためのガス排出路中に、オゾン発生部と、発生したオゾンと処理液から発生したガスとを反応させるための反応部と、前記反応部より下流側に配置されたオゾン濃度を検出するオゾン濃度検出部と、前記オゾン濃度検出部にて検出されたオゾン濃度に基づいて前記オゾン発生部でのオゾンの発生量を制御する制御部とを備えることで、発生した気体の臭気成分を除去しつつも分解触媒を備える必要がない写真用現像装置が提案されている。
【特許文献１】特開２００３−２２２９８８号公報
【特許文献２】特開２００４−０２９１３７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかし、写真用現像装置に制御部を搭載して、前記制御部がオゾン濃度検出部にて検出されたオゾン濃度に基づいて前記オゾン発生部でのオゾンの発生量を制御する場合には制御が複雑であり、高価なオゾン濃度センサを用いる必要があるため装置のコストアップにつながる問題がある。
【００１０】
本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、複雑な制御を用いることなく、処理液から発生した気体の臭気を除去するのに適した量のオゾンを生成することができる脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上述の目的を達成するため、本発明による脱臭装置の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項１に記載した通り、オゾン生成装置を備え、前記オゾン生成装置により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部から生じる臭気ガスを脱臭する脱臭装置であって、前記臭気ガス発生部の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部による検出温度に基づいて前記オゾン生成装置によるオゾン生成量を切り替えるオゾン生成量制御部を備えている点にある。
【００１２】
化学反応は分子活動が活発になる高温で活発になることから、臭気ガス発生部の温度によって臭気ガスの発生量は変わる。よって、上述の構成によれば、オゾン生成量制御部が、温度検出部による検出温度が高い場合にオゾン生成量を多くし、前記検出温度が低い場合にオゾン生成量を少なくすることで、臭気ガス発生部から発生した気体の臭気を除去するのに適した量のオゾンを生成することができる。
【００１３】
同第二の特徴構成は、同請求項２に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記オゾン生成装置に温度調節機構が設けられ、前記オゾン生成量制御部は前記温度調節機構を制御することによりオゾンの生成量を制御する点にある。
【００１４】
オゾンの生成量は低温で多くなり高温で少なくなることから、上述の構成によれば、オゾン生成量制御部が温度調節機構でオゾン生成装置内の温度を制御することで、オゾンの生成量を変えることができる。
【００１５】
同第三の特徴構成は、同請求項３に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記温度調節機構が前記オゾン生成装置またはその雰囲気温度を調節する冷却機構で構成されている点にある。
【００１６】
上述の構成によれば、オゾン生成量制御部は、冷却機構の駆動と停止の切替、前記冷却機構としての冷却ファンの回転速度の切替、及び前記冷却ファンの回転時間の切替等によってオゾン生成装置の温度を調節することができる。
【００１７】
同第四の特徴構成は、同請求項４に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽である点にある。
【００１８】
銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽から排気される気体には、酢酸臭やアンモニア臭等の臭気があり、人がその臭いを嗅ぐと不快になる虞があることから、本発明による脱臭装置を前記処理槽から生じる臭気ガスを脱臭するために用いることは、好適な適用例となる。
【００１９】
同第五の特徴構成は、同請求項５に記載した通り、上述の第四特徴構成に加えて、前記銀塩写真処置装置の運転停止時に、前記オゾン生成量制御部は前記温度調節機構を停止した状態で前記オゾン生成装置を作動させる点にある。
【００２０】
通常、銀塩写真処理装置は、夜間等の装置不使用時であってもメインの電源は停止させない。しかし、前記銀塩写真処理装置の稼動時には、処理槽に充填された処理液は前記銀塩写真装置の現像処理部に備えられた温度調整部によって所定温度（例えば４０度前後）に温度調整されており、前記温度調整部は前記装置不使用時には停止させられる。
【００２１】
そして、前記温度調整部が停止させられている間は、前記処理液の温度が下がるので、前記処理液から発生する臭気ガスの量は、前記銀塩写真処理装置が稼動している間よりも少なくなる。しかし、前記銀塩写真処理装置における臭気ガスの発生は処理液の蒸発により生じるので、たとえ前記銀塩写真処理装置が停止して前記処理液の温度が前記銀塩写真処理装置の稼動時より低くなったとしても、発生する臭気ガスが零となる訳ではない。
【００２２】
よって、上述の構成によれば、前記オゾン生成量制御部が前記温度調節機構を停止した状態で前記オゾン生成装置を作動させることで、前記銀塩写真処理装置の停止中に生じる臭気ガスを脱臭するための最低限のオゾンの生成を維持することができる。
【００２３】
上述の目的を達成するため、本発明による銀塩写真処理装置の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項６に記載した通り、請求項１から５の何れかに記載の脱臭装置が組み込まれ、銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽から発生する臭気ガスを脱臭する点にある。
【００２４】
一般に、銀塩写真処理装置には、印画紙等の写真感光材料を現像、漂白、定着、水洗するための各処理液が充填された複数の処理槽を備えられていることから、前記銀塩写真処理装置に請求項１から５の何れかに記載の脱臭装置を組み込むことは好適な適用例となる。
【発明の効果】
【００２５】
以上説明した通り、本発明によれば、複雑な制御を用いることなく、処理液から発生した気体の臭気を除去するのに適した量のオゾンを生成することができる脱臭装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下に本発明による脱臭装置を、銀塩写真処理装置としてのプリント現像処理装置に適用した実施形態について説明する。
【００２７】
プリント現像処理装置１は、図２に示すように、印画紙Ｐに対して出力画像データに基づいた露光処理を行なうと共に露光された印画紙Ｐを現像処理する写真プリンタ２と、現像済みの写真フィルムＦから画像を読み込むフィルムスキャナ３１や、デジタルスチルカメラ等で撮影された画像データが格納されたメモリカード等の画像データ記憶メディアＭから画像データを読み取るメディアドライバ３２や、コントローラ３３としての汎用コンピュータ等を備え、入力された元画像としての写真画像に対するプリントオーダ情報を設定入力するとともに、各種の画像補正処理を行なう操作ステーション３を備えて構成され、前記操作ステーション３で元画像から編集処理されたプリントデータが前記写真プリンタ２に出力されて所望の写真プリントが生成されるように構成されている。
【００２８】
前記写真プリンタ２は、図２及び図３に示すように、感光材料としての印画紙Ｐがロール状に収容された二系統の印画紙マガジン２１と、前記印画紙マガジン２１から引き出された印画紙Ｐを所定のプリントサイズに切断するシートカッター２２と、切断後の印画紙Ｐの背面にコマ番号等のプリント情報を印字するバックプリント部２３と、前記プリントデータに基づいて印画紙Ｐを露光する露光部２４と、露光後の印画紙Ｐを現像、漂白、定着、水洗するための各処理液が充填された複数の処理槽２０を備えた現像処理部２５が印画紙Ｐの搬送経路に沿って配置されている。
【００２９】
また、前記写真プリンタ２は、現像処理後の印画紙Ｐを乾燥させる加熱機構２６と、前記加熱機構２６によって乾燥処理された印画紙Ｐが排出口ＰＤを介して排出される横送りコンベア２７と、前記横送りコンベア２７に集積された複数枚の印画紙（写真プリント）Ｐがオーダー単位で仕分けられるソータ２８と、前記処理槽２０から発生する臭気ガスを脱臭する脱臭装置４０とを備えて構成される。
【００３０】
さらに、前記写真プリンタ２には、前記搬送経路に沿って配置された前記露光部２４や前記現像処理部２５に応じたプロセス速度で印画紙Ｐを搬送する複数のローラ対でなる搬送機構２９が配置され、前記露光部２４の前後には印画紙Ｐを複列に搬送可能なチャッカー式搬送機構２９ａが設けられている。
【００３１】
前記露光部２４には、前記搬送機構２９によって副走査方向に搬送される印画紙Ｐに対して、搬送方向に直交する主走査方向に前記プリントデータに基づき変調されたＲＧＢ三色の光線束を出力して露光する露光ヘッド２４ａが収容されている。
【００３２】
前記現像処理部２５は、隔壁２５１によって仕切られた複数の槽からなる処理槽２０を備えて構成されており、各処理槽２０には、現像処理液、漂白処理液、定着処理液、及び安定化処理液等が貯留されている。
【００３３】
以下、脱臭装置４０について詳述する。前記脱臭装置４０は、図１及び図４に示すように、オゾン生成装置４１と、前記オゾン生成装置４１により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部としての前記処理槽２０から生じる臭気ガスを脱臭するように構成されている。なお、図１は、図３におけるＹ１−Ｙ２の断面を位置Ｙ３から矢印の方向に見た写真プリント２の断面図であり、図１では前記横送りコンベア２７は省略されている。ここで、臭気ガスとは、本実施形態では、前記処理槽２０から蒸発する酢酸、アンモニア、その他有機溶媒等のガスのことである。
【００３４】
前記オゾン生成装置４１は、プラズマ放電式のオゾン発生器４１ａを備えて構成されており、前記オゾン発生器４１ａは自身に備えられた放電管を放電させることにより前記オゾン生成装置４１の内部にオゾンを発生させる。
【００３５】
そして、発生させられたオゾンは、前記処理槽２０から蒸発することで生じて臭気ガス排気ファン２０１と送り孔４０１Ｈを通過してきた臭気ガスと、例えば、以下のような化学反応（酢酸についての化学式１とアンモニアについての化学式２の化学反応）をすることによって二酸化炭素、水等に分解、脱臭されて、排気ファン４１１によって排気口４０２Ｈから排出される。
【化１】
【化２】
【００３６】
なお、前記オゾン生成装置４１には、装置外部の光が前記排気口４０２Ｈを介して装置内部の前記現像処理部２５に入ってきて、印画紙Ｐに露光された画像の画質を悪化させることを防止するために、前記オゾン生成装置４１の下部壁４１Ｄから遮光壁４１Ｗが設けられている。
【００３７】
また、前記脱臭装置４０は、前記処理槽２０の温度を検出する温度検出部４２と、前記温度検出部４２による検出温度に基づいて前記オゾン生成装置４１によるオゾン生成量を切り替えるオゾン生成量制御部４３とを備えて構成されている。
【００３８】
前記温度検出部４２は、前記処理槽２０の近傍または前記処理槽２０に貯留されている処理液に浸される位置に備えられたサーミスタ等の温度センサとして構成されており、前記温度センサは、前記処理槽２０の周辺温度または前記処理槽２０に貯留されている処理液の温度を検出して、検出されたデータは、前記オゾン生成量制御部４３に送られる。
【００３９】
前記オゾン生成量制御部４３は、前記プリント現像処理装置１の内部の何れかの場所に、ＣＰＵと、前記ＣＰＵにより実行される制御プログラム等が格納されたＲＯＭと、制御データを格納するＲＡＭと、周辺回路等で構成されており、前記オゾン生成量制御部４３の機能は、前記ＣＰＵにより実行されるオゾン生成量制御用の制御プログラム及び関連するハードウェアとしての前記脱臭装置４０により実現される。
【００４０】
前記オゾン生成量制御部４３の機能について以下に説明する。前記オゾン生成量制御部４３に備えられているＲＯＭには、前記温度検出部４２によって検出された前記処理槽２０の温度と、前記温度に対するオゾン生成量とが示されたテーブルデータが記憶されており、前記オゾン生成量制御部４３は、前記温度の値を前記テーブルデータに適用することで、前記オゾン生成装置４１において生成するオゾンの量を導出し、前記オゾン生成装置４１が生成するオゾンの量が導出したオゾンの量と同じになるように前記オゾン生成装置４１を制御するのである。
【００４１】
なお、前記テーブルデータは、前記処理槽２０が様々な温度の場合毎に脱臭装置４０を作動させ、温度毎に発生する臭気ガスの濃度および前記脱臭装置４０より排出される気体のオゾン濃度を測定したデータを統計処理することで得られる。
【００４２】
前記オゾン生成量制御部４３による前記オゾン生成装置４１の制御方法としては、前記オゾン生成装置４１には温度調節機構４４が設けられ、前記オゾン生成量制御部４３は前記温度調節機構４４を制御することによりオゾンの生成量を制御する方法がある。
【００４３】
例えば、図４に示すように、前記温度調節機構４４が前記オゾン生成装置４１またはその雰囲気温度を調節する冷却機構としての冷却ファン４４で構成されている。本構成では、前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度が高い場合には、前記オゾン生成量制御部４３が前記冷却ファン４４を駆動させて送風することによって前記雰囲気温度を下げる。
【００４４】
また、前記オゾン生成装置４１の内部温度は低い場合には、前記冷却ファン４４の近傍に冷却水を循環させている流水管を設けておくことで、前記冷却ファン４４から冷風を送ることができる。
【００４５】
第二の例として、前記温度調節機構４４が第一の例で用いたものと同様の流水管である構成がある。つまり、前記流水管を前記オゾン生成装置４１の内部に設けておき、前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度が高い場合には、前記温度制御部が前記流水管に冷却水を流すことで前記雰囲気温度を下げる。
【００４６】
第三の例として、前記温度調節機構４４が、電流を流すと一方の面が低温となり他方の面が高温となる性質を有するペルチェ素子である構成がある。具体的には、前記ペルチェ素子を、一方の面が前記オゾン生成装置４１の内部となり、他方の面が前記オゾン生成装置４１の外部となるように配置しておく。
【００４７】
前記オゾン生成量制御部４３は、前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度が高い場合には、前記ペルチェ素子に電流を流して前記ペルチェ素子の一方の面、つまりう前記オゾン生成部４１の内部に面した側を低温にすることで前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度を下げる。
【００４８】
また、他方の面が前記オゾン生成装置４１の内部となるように配置した別のペルチェ素子を用いることで、前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度が低い場合に、前記オゾン生成量制御部４３が前記ペルチェ素子に電流を流して前記ペルチェ素子の他方の面を高温にすることで前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度を上げる制御も可能となる。
【００４９】
また、前記オゾン生成量制御部４３は、前記プリント現像処理装置１の運転停止時に、前記温度調節機構４４を停止した状態で前記オゾン生成装置４１を作動させるように構成されている。
【００５０】
以下に詳述する。前記プリント現像処理装置１は、夜間等の装置の運転停止時には、前記現像処理部２５への給電は停止させるが、メインの電源は停止させないように構成されており、前記プリント現像処理装置１は、運転停止時であっても、前記オゾン生成装置４１への給電を維持させるように構成されている。但し、前記プリント現像処理装置１は、前記オゾン生成装置４１に備えられた温度調整機構４４への給電は停止するように構成されている。
【００５１】
そして、給電を維持されている前記オゾン生成量制御部４３は、同様に給電を維持されている前記オゾン発生器４１によるオゾン生成を継続させる。つまり、前記プリント現像処理装置１の運転停止時は、前記温度調整機構４４による前記オゾン生成装置４１の雰囲気温度の強制的な上昇や下降を生じさせてのオゾンの生成量の調整を行なうことはしないで、そのときの前記オゾン生成装置４１の自然の雰囲気温度に基づいた量のオゾンの生成が継続されるように構成されている。
【００５２】
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、オゾン生成量制御部４３によるオゾン生成装置４１の制御方法として、前記オゾン生成装置４１に温度調節機構４４が設けられ、前記オゾン生成量制御部４３は前記温度調節機構４４を制御することによりオゾンの生成量を制御する方法について説明したが、オゾン生成量の制御方法はこれに限らない。例えば、前記オゾン生成量制御部４３が、オゾン発生器４１ａへの電圧印加のオンオフを切り替えて前記オゾン発生器４１ａの放電時間を調整することによってオゾンの生成量を調整する制御方法であってもよい。
【００５３】
上述の実施形態では、臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽である構成について説明したが、前記臭気ガス発生部は前記処理槽２０に限らない。つまり、前記臭気ガス発生部は、酢酸やアンモニア等の臭気ガスの発生源となるものであれば、前記処理槽２０のように処理液からの蒸発気体が臭気ガスである構成でなくてもよい。
【００５４】
上述の実施形態では、オゾン生成装置４１に備えられるオゾン発生器４１ａとしてプラズマ放電式のものを使用している構成について説明したが、前記放電式の種類としては、無声放電式や沿面放電式等の多種の放電式のオゾン発生器を使用する構成であってもよい。また、前記オゾン発生器として放電式以外のものを使用することができ、例えば、紫外線方式や水電界方式のオゾン発生器を使用する構成であってもよい。
【００５５】
上述の実施形態では、本発明による脱臭装置を、銀塩写真処理装置としてのプリント現像処理装置に適用した構成について説明したが、本発明による脱臭装置の適用対象は、前記銀塩写真処理装置であれば前記プリント現像処理装置に限らず、例えば、撮影済みのフィルムを現像するフィルム現像処理装置に適用した構成であってもよい。また、本発明による脱臭装置の適用対象は、前記銀塩写真処理装置に限らず、例えば、室内や車内等の脱臭に用いる脱臭装置や食品加工や厨房で用いる脱臭殺菌洗浄器等に適用した構成であってもよい。
【００５６】
尚、上述した各実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において、各ブロックの具体的構成を適宜変更設計できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００５７】
【図１】本発明による脱臭装置の機能ブロック構成図
【図２】プリント現像処理装置の外観説明図
【図３】写真プリンタのブロック構成図
【図４】本発明による脱臭装置の説明図
【符号の説明】
【００５８】
１：プリント現像処理装置（銀塩写真処理装置）
２０：処理槽
４０：脱臭装置
４１：オゾン生成装置
４２：温度検出部
４３：オゾン生成量制御部
４４：温度調整機構
【特許請求の範囲】
【請求項１】
オゾン生成装置を備え、前記オゾン生成装置により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部から生じる臭気ガスを脱臭する脱臭装置であって、
前記臭気ガス発生部の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部による検出温度に基づいて前記オゾン生成装置によるオゾン生成量を切り替えるオゾン生成量制御部を備えている脱臭装置。
【請求項２】
前記オゾン生成装置に温度調節機構が設けられ、前記オゾン生成量制御部は前記温度調節機構を制御することによりオゾンの生成量を制御する請求項１記載の脱臭装置。
【請求項３】
前記温度調節機構が前記オゾン生成装置またはその雰囲気温度を調節する冷却機構で構成されている請求項２記載の脱臭装置。
【請求項４】
前記臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽である請求項１から３の何れかに記載の脱臭装置。
【請求項５】
前記銀塩写真処置装置の運転停止時に、前記オゾン生成量制御部は前記温度調節機構を停止した状態で前記オゾン生成装置を作動させる請求項４記載の脱臭装置。
【請求項６】
請求項１から５の何れかに記載の脱臭装置が組み込まれ、銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽から発生する臭気ガスを脱臭する銀塩写真処理装置。
【請求項１】
オゾン生成装置を備え、前記オゾン生成装置により生成されたオゾンにより臭気ガス発生部から生じる臭気ガスを脱臭する脱臭装置であって、
前記臭気ガス発生部の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部による検出温度に基づいて前記オゾン生成装置によるオゾン生成量を切り替えるオゾン生成量制御部を備えている脱臭装置。
【請求項２】
前記オゾン生成装置に温度調節機構が設けられ、前記オゾン生成量制御部は前記温度調節機構を制御することによりオゾンの生成量を制御する請求項１記載の脱臭装置。
【請求項３】
前記温度調節機構が前記オゾン生成装置またはその雰囲気温度を調節する冷却機構で構成されている請求項２記載の脱臭装置。
【請求項４】
前記臭気ガス発生部が銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽である請求項１から３の何れかに記載の脱臭装置。
【請求項５】
前記銀塩写真処置装置の運転停止時に、前記オゾン生成量制御部は前記温度調節機構を停止した状態で前記オゾン生成装置を作動させる請求項４記載の脱臭装置。
【請求項６】
請求項１から５の何れかに記載の脱臭装置が組み込まれ、銀塩写真処理装置の処理液が充填された処理槽から発生する臭気ガスを脱臭する銀塩写真処理装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００８−２１６５８５（Ｐ２００８−２１６５８５Ａ）
【公開日】平成２０年９月１８日（２００８．９．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−５３２３１（Ｐ２００７−５３２３１）
【出願日】平成１９年３月２日（２００７．３．２）
【出願人】（０００１３５３１３）ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年９月１８日（２００８．９．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年３月２日（２００７．３．２）
【出願人】（０００１３５３１３）ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]