説明

自動ドア用非接触スイッチ

【課題】物体検出方向を容易に変更可能にするとともに、物体検出方向をほぼ真下方向とした場合であっても衛生面の問題などが極力生じない自動ドア用非接触スイッチを提供する。
【解決手段】筐体前面上部2Aはゆるやかな曲面で、筐体2の横幅よりは狭い横幅の略横長矩形状に形成された開口部3bを有しており、筐体前面下部の形状は平坦面に近い、その縦断面が略q字状である筐体2と、赤外線透過部7と投光素子8と受光素子9とを有する検出ユニット6と、受光素子9の受光出力に基づいて近傍における物体の存在の有無を検出し、物体の存在が検出されたときに開閉制御信号を出力するコントローラ11と、検出ユニット6が開口部3bを通して赤外線の投光および受光を行えるようにするとともに、その方向が所定範囲内で可変となるように検出ユニット6を回転および固定可能に支持するホルダー5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手指をそばにかざすだけで自動ドア開閉のための制御信号を出力する自動ドア用非接触スイッチに関し、特に、衛生面への配慮が必要となる食品工場や病院などに好適な自動ドア用非接触スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動ドアに接近する人を近赤外線反射方式などによって検出して自動ドアを開閉制御するための技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2などの装置が提案されている。
【0003】
また、店舗などの屋外に面した出入口用としては、その付近を単に通り過ぎるだけの通行人などによる誤開閉を防止するために、屋外側からは直接軽く触れることで自動ドアを開くことができるタッチセンサなども提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
一方、衛生面への配慮が必要となる食品工場の製造ラインへの出入口、病院の手術室への出入口、あるいはトイレなどへの設置用として、特許文献1や特許文献2などと同様の近赤外線反射方式を用いて、近傍にかざされた手指などの物体を検出して自動ドアを開閉制御する自動ドア用非接触スイッチ(非接触起動センサーと呼ぶこともある)も提案されている。
【0005】
この自動ドア用非接触スイッチは、壁面などへの埋め込んで正面方向近傍の手指を検出する埋込型と、壁面などにそのまま容易に取り付けられる露出型とに大きく分けられる。さらに、この露出型は、手指などの物体検出を正面方向で行うものと、ほぼ真下方向で行うものとに分けられるが、いずれにおいても検出方向は固定されている。
【特許文献1】特開2000−320243号公報
【特許文献2】特開2003−155869号公報
【特許文献3】特開2003−336447号公報 (第2頁、第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した自動ドア用非接触スイッチのうちで物体検出を正面方向で行うものでは、手指などをかざすべき位置がわかりやすく確実な検出が行いやすいものの、離れたところを横切るような通行人などによる誤検出のおそれがある。投光側の赤外線光量や受光側の検出感度を電気的に調節することによってある程度の回避はできるが、物体によっては赤外線の反射率が大きく異なるため、誤検出のほぼ完全な防止は困難である。
【0007】
一方、物体検出をほぼ真下方向で行うものでは、離れたところを横切るような通行人などによる誤検出のおそれはないものの、手指などを検出する位置が壁面などのすぐ近くとなるため、手指などをかざす際に誤って壁面などに触れてしまうことがあり、衛生面などで何らかの問題を生じる可能性がある。
【0008】
これらのうち、どちらかと言えば、離れたところを横切るような通行人などによる誤検出の方が目立ちやすい問題であることや、自動ドア用非接触スイッチを一旦設置してしまうと交換作業が面倒であることなどから、物体検出をほぼ真下方向で行う露出型が採用されることが比較的多いのが現状である。そのため、衛生面などで何らかの問題を生じる可能性も懸念される。
【0009】
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、簡単な構成によって物体検出方向を容易に変更できるようにすることで、設置場所や用途に応じて適切な物体検出方向を設定可能にするとともに、物体検出方向をほぼ真下方向とした場合であっても衛生面の問題などが極力生じることがない自動ドア用非接触スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の自動ドア用非接触スイッチは、筐体前面上部はゆるやかな曲面でその曲面形状は側面視では前方に凸となるような曲線状であり平面視では略直線状であって、前記筐体前面上部の稜線を含む部分から逆傾斜となっている部分にわたって前記筐体の横幅よりは狭い横幅の略横長矩形状に形成された開口部を有しており、筐体前面下部の形状は平面視では左右端近傍が略直線状でその間が前方に凹となるような曲線状で側面視ではゆるやかに逆傾斜している直線状であるような、その縦断面が略q字状である筐体と、内部と外部との間で近赤外線が双方向に透過可能な赤外線透過部と、この赤外線透過部を通して近赤外光を内部から外部へ投光する投光素子と、この投光素子から投光された後に物体によって反射されて前記赤外線透過部を通して内部へ戻ってきた反射光を受光する受光素子とを有する検出ユニットと、前記受光素子の受光出力に基づいて近傍における物体の存在の有無を検出し、物体の存在が検出されたときに開閉制御信号を出力する制御器と、前記検出ユニットが前記開口部を通して赤外線の投光および受光を行えるようにするとともに、その方向が所定範囲内で可変となるように前記検出ユニットを回転および固定可能に支持する支持機構とを備えていることを特徴とする。
【0011】
このような構成の自動ドア用非接触スイッチによれば、設置場所や用途に応じて適切な物体検出方向を容易に設定することが可能になる。物体検出方向をほぼ真下方向とした場合であっても、手指をかざすべき位置がわかりやすいので確実な検出が可能になる。また、全体の形状面の特徴によって、前記筐体に誤って手指が直接触れることが極力防止され、衛生面でも大変好ましい。
【0012】
また、本発明の自動ドア用非接触スイッチにおいて、前記筐体の少なくとも前面は、抗菌性を有する材質により形成されていることを特徴としてもよい。
【0013】
このような構成の自動ドア用非接触スイッチによれば、例え、誤って手指が直接触れてしまったとしても、前記筐体の少なくとも前面は抗菌性を有する材料で形成されているので、壁面などに触れてしまった場合と比較すれば、衛生面の問題が生じることが極力回避できる。
【0014】
また、本発明の自動ドア用非接触スイッチにおいて、前記赤外線透過部の色は、前記検出ユニットにおける前記赤外線透過部以外の部分の色および前記筐体前面の色とは異なることを特徴としてもよい。
【0015】
このような構成の自動ドア用非接触スイッチによれば、前記検出ユニットを回転させたときに、前記赤外線透過部とその周囲との色の違いによってそのときの検出方向の向きが外観上でも視認できるので、手指をどの位置にかざせばよいかが容易にわかる。検出方向の向きを表示する部材などを別途設ける必要がないので、外観デザインの観点からも好ましい。
【0016】
また、本発明の自動ドア用非接触スイッチにおいて、前記検出ユニットは、前記投光素子と前記受光素子とをそれぞれの光軸が互いの方向へ傾くように保持することを特徴としてもよい。
【0017】
このような構成の自動ドア用非接触スイッチによれば、物体検出が可能な最大距離を近距離側へ光学的に制限することができる。これにより、物体の赤外線反射率にあまり依存することなく、検出距離範囲の確実な制限が可能となる。
【0018】
また、本発明の自動ドア用非接触スイッチにおいて、前記筐体は、少なくとも本体とこの本体にはめ込む前面カバーとから構成されており、この前面カバーが前記本体から外されている場合には前記検出ユニットの回転を可能にするとともに、この前面カバーが前記本体にはめ込まれている場合には前記検出ユニットの回転不可に固定するロック機構がさらに設けられていることを特徴としてもよい。
【0019】
このような構成の自動ドア用非接触スイッチによれば、前記前面カバーを外して設置時の調整作業などを行う場合のみ前記検出ユニットの回転が自由となる。これにより、設置時の調整作業などが容易になるとともに、設置作業完了後に前記前面カバーを取り付けることでそれ以降は前記検出ユニットの不用意な回転などが防止できるので、調整がずれたりすることが極力阻止される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の自動ドア用非接触スイッチによれば、設置場所や用途に応じて適切な物体検出方向を容易に設定することが可能になる。物体検出方向をほぼ真下方向とした場合であっても、手指をかざすべき位置がわかりやすいので確実な検出が可能になる。また、全体の形状面の特徴によって、前記筐体に誤って手指が直接触れることが極力防止され、衛生面でも大変好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
<自動ドア用非接触スイッチ1の外観>
図1は、本発明の一実施形態に係る自動ドア用非接触スイッチ1の外観図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図である。図2は図1(a)のII−II断面図である。図3は図1(a)のIII−III断面図である。図4は図1(a)のIV−IV断面図である。図5は図1(a)のV−V断面図である。図6は図1(a)のVI−VI断面図である。図7は図1(a)のVII−VII断面図である。図8は、この自動ドア用非接触スイッチ1の外観を示す斜視図である。
【0023】
これらの図に示すように、自動ドア用非接触スイッチ1は、本体4を覆うように前面カバー(化粧カバー)3をはめ込むことによって構成される筐体2と、近赤外線反射方式によって近傍物体の有無を検出する検出ユニット6と、この検出ユニット6を回転および固定可能に支持することで検出方向設定を正面方向から真下方向にかけて可変とするようなホルダー5(図1では不図示)と、前記検出ユニット6の制御を行う別体のコントローラ11(図1では不図示)とを備えている。なお、本体4、ホルダー5および検出ユニット6の詳細については、図11〜図14を参照して後述する。コントローラ11については図15を参照して後述する。
【0024】
筐体2は全体として流線形状に形成されており、その縦断面は略q字状(図2および図3参照)である。これにより、例え、外部に汚れなどが付着した場合であっても、その汚れなどを容易に拭き取ることができる。なお、前面カバー3には、衛生面を考慮して抗菌性を有するとともに、汚れなどの付着の有無がわかりやすいように明るい色の材料(例えばアイボリー)が使用されている。ただし、このような色に限るわけではなく、設置場所周囲の色や使用目的などに応じて適切な色とすればよい。
【0025】
筐体2の筐体上部2Aにおいては、前面カバー3は前面方向に膨らむように形成されており、特に上面3aの方がよりゆるやかな曲面(側面視では図1(b)、図2および図3に示すように前方に凸となる曲線状であり、平面視では図4および図5に示すようにほぼ直線状)となるように傾斜が設けられている。これにより、上面3aには埃などがたまりにくくなるので、衛生面で好ましい。
【0026】
さらに、前面カバー3の曲面の稜線を含む部分から逆傾斜となっている部分にわたって、筐体2の横幅よりはやや狭い横幅の略横長矩形状の開口部3bが形成されており、検出ユニット6による物体検出はこの開口部3bを通して行われる。
【0027】
筐体2の筐体下部2Bにおいては、前面カバー3は平坦に近い形状ではあるが下側に行くほどその厚みが徐々に小さくなるように(図1(b)に示すように極めてゆるやかな逆傾斜となるように)形成されている。さらに、前面カバー3の左右両端部3dを除いた中央部分には、開口部3bとほぼ同じ幅の浅い凹部3c(側面視では図3に示すようにほぼ直線状であり、平面視では図6および図7に示すように前方に凹となるゆるやかな曲線状)が形成されている。
【0028】
検出ユニット6は横長円柱形状(全体形状については図11および図12を参照)に形成されており、その周面の一部に沿って湾曲した横長矩形状の検出窓7がはめ込まれている。この検出ユニット6においては、検出窓7以外の部分には前面カバー3と同一色の同一材料が使用されているが、検出窓7については、近赤外線を透過させる特性を有するとともに前面カバー3とは明瞭に異なる色(例えば濃い赤)の材質が使用されている。
【0029】
検出ユニット6による近傍物体の有無の検出は検出窓7を通して行われるが、検出ユニット6を回転させるとその回転に応じて検出窓7の位置も移動する。これにより、そのときの検出方向の向きが外観上でも視認できるので、自動ドアなどの開閉を行おうとする者にとって手指をどの位置にかざせばよいかが容易にわかる。また、検出方向の向きを表示する部材などを別途設ける必要がないので、外観デザインの観点からも好ましい。
【0030】
なお、図8は検出方向設定が正面方向(後述する回転角度としては90度)であったが、図9は検出方向設定が正面側斜め下方向(後述する回転角度としては45度)とされている場合の自動ドア用非接触スイッチ1の外観を示す斜視図であり、図10は検出方向設定が真下方向(後述する回転角度としては0度)とされている場合の自動ドア用非接触スイッチ1の外観を示す斜視図である。
【0031】
検出ユニット6の検出方向設定が真下方向とされているとき、自動ドアなどの開閉を行おうとする者は検出ユニット6の真下付近に手指をかざす必要があるが、前面カバー3の左右両端部3dの間に形成されている凹部3cの存在が手指をかざす位置の目安となるので、戸惑うこともあまりない。このため、手指が確実に検出されることにも貢献する。
【0032】
また、前面カバー3の極めてゆるやかな逆傾斜、凹部3cの存在、開口部3bより下側に突出部などを極力設けないなどの形状面の特徴によって、前面カバー3に誤って手指が直接触れることが極力防止され、衛生面でも大変好ましい。例え、誤って手指が直接触れてしまったとしても、前面カバー3は抗菌性を有する材料で形成されているので、壁面などに触れてしまった場合と比較すれば、衛生面の問題が生じることが極力回避できる。
【0033】
さらに、検出ユニット6の検出方向設定が真下方向とされているときでも、前面カバー3の極めてゆるやかな逆傾斜や凹部3cの存在などによって、検出ユニット6の検出視野が極力遮られないようになっている。これにより、検出ユニット6の検出方向設定に関わらず、常に必要十分な検出視野が確保される。
【0034】
<自動ドア用非接触スイッチ1の内部構造>
図11は、前面カバー3を外した状態での本体4の内部構造を示す斜視図である。図12はその状態の本体4からさらに検出ユニット6を外した分解斜視図である。図13は自動ドア用非接触スイッチ1から前面カバー3を外した状態で、前面カバー3の裏側方向から見た前面カバー3および本体4の分解斜視図である。
【0035】
この図11に示すように、検出ユニット6の回転軸の両端6aは、壁面などに取付可能な本体4の内部における中央よりやや上の両端部分から突出するように形成されるとともに可撓性を有する前方が円盤状のホルダー5、5によって、所定角度範囲内で回転および固定可能に支持されている。これにより、検出窓7が所望の方向を向くように検出ユニット6を回転させてから固定することができる。
【0036】
ホルダー5、5の具体的な構成としては、例えば、前面カバー3を外した状態では、検出ユニット6に手を触れたりしない限りは検出ユニット6が確実に固定されているものの、手を直接触れて力を加えることで検出ユニット6を回転させられるようにしておく。
【0037】
ホルダー5、5による検出ユニット6の固定方法については、例えば、図12に示すように、両者間の接触面の一方に複数の浅い溝または孔などを設けるとともに、他方に対応する形状の突出部や突起などを設けるような構成としてもよい。この場合は、検出ユニット6の回転角度は離散的になるものの、検出窓7の方向調整を簡単な操作で再現性よく行うことができる。あるいは、専ら両者間の接触面の摩擦力のみによって実現するような構成としてもよい。この場合は、検出ユニット6の回転が連続的に行えるので、検出窓7を所定角度範囲内の任意の方向に向けることができる。ただし、これらの構成に限るものではない。
【0038】
所定角度範囲としては、検出窓7が、自動ドア用非接触スイッチ1の真下方向を向く角度(この方向を回転角度の基準として0度とする)から、自動ドア用非接触スイッチ1の正面方向(回転角度としては90度)まで回転可能となるように、回転角度範囲を制限するような機構も設ける。例えば、図2や図12などに示すように、検出ユニット6の回転軸6aに周方向への突出部を形成するとともに、この突出部の可動範囲をホルダー5側の軸受け孔の形状によって制限するようにしてもよい。ただし、このような構成に限るわけではない。なお、この所定角度範囲は0〜90度に必ずしも限るわけではないが、例えば、これより広い角度範囲とする場合には、それに応じて、開口部3bを大きくしたり、前面カバー3の凹部3cを深くしたりする必要が生じ得ることに留意すべきである。
【0039】
さらに、前面カバー3を取り付けた状態では検出ユニット6が完全に固定されるロック機構なども併せて設けておく。例えば、図13に示すように、前面カバー3の裏側においてホルダー5、5に対応する位置にリブ3eをそれぞれ形成し、前面カバー3を取り付けた状態ではホルダー5、5が外側へ撓むのを阻止するような構成としてもよい。そうすると、前面カバー3を外して設置時の調整作業などを行う場合のみ検出ユニット6の回転が自由となる。これにより、設置時の調整作業などが容易になるとともに、設置作業完了後に前面カバー3を取り付けることでそれ以降は検出ユニット6の不用意な回転などが防止できるので、調整がずれたりすることが極力阻止される。
【0040】
図14は、検出窓7を取り外した状態の検出ユニット6の内部およびその周辺を拡大して示す斜視図である。
【0041】
この図14に示すように、検出ユニット6の内部には、近赤外光を投光する投光素子8と、この投光素子8から投光されて検出窓7を透過した後に近傍の物体で反射されて再び検出窓7を透過して戻ってきた反射光を受光する受光素子9とが配置されている。投光素子8と受光素子9との間には、投光素子8から投光された近赤外の一部が検出ユニット6内を通して直接受光素子9に達することを防止するための隔壁10が設けられている。
【0042】
また、投光素子8と受光素子9とは、それぞれの光軸が互いの方向へ等しい角度で少し傾けられるように配置されている。これにより、物体検出が可能な最大距離を近距離側へ光学的に制限することができる。この結果、例えば、検出ユニット6の検出窓7が正面方向に向けられている場合であっても、離れたところを単に横切るような人などを誤検出することが極力防止される。また、検出窓7が真下方向に向けられている場合には、床面の変化や人以外の小物体などの接近などに伴う誤検出が極力防止される。
【0043】
投光素子8と受光素子9との互いの方向への傾き角について、連動した角度調整が可能となるような調整機構をさらに設けてもよい。これにより、例えば、それぞれの傾き角を正面方向に対して大きくすれば、物体検出が可能な最大距離をより近距離側へ光学的に制限できるので、検出可能最大距離を必要に応じてきめ細かく調整することが可能となる。
【0044】
また、投光素子8から投光される赤外線光量や受光素子9の検出感度の電気的調節によるものではないので、物体の赤外線反射率にあまり依存することなく、検出距離範囲の確実な制限が行える。ただし、上述した光学的な制限と電気的な調整を併用してもよい。
【0045】
図15は、検出ユニット6とコントローラ11との電気的な概略構成を示すブロック図である。
【0046】
このコントローラ11は、投光素子8による近赤外光の投光を制御するとともに、受光素子9の動作も制御し、この受光素子9の受光出力に基づいて近傍における物体の存在の有無を検出する。具体的には、例えば、受光素子9の受光出力が所定レベル以上であるときは、近傍に人の手指などの物体が存在している可能性が高いので、物体を検出したものと判断して、自動ドア用の開閉制御信号S11が出力される。
【0047】
コントローラ11は、上述したように筐体2と別体にしておけば、他の自動ドア用非接触スイッチなどとの共通化によって自動ドア用非接触スイッチ全体としてのコストダウンなどを図ることができ、筐体2をより小型化することも可能になる。
【0048】
ただし、そのような構成に限るわけではなく、コントローラ11を筐体2内部に組み込むような構成としてもよい。この場合は、筐体2とは別にコントローラ11を設置する必要がなく、これらの間の配線も不要となるので、自動ドア用非接触スイッチの設置作業などが容易になる。
【0049】
なお、本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動ドア用非接触スイッチ1の外観図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図である。
【図2】図1(a)のII−II断面図である。
【図3】図1(a)のIII−III断面図である。
【図4】図1(a)のIV−IV断面図である。
【図5】図1(a)のV−V断面図である。
【図6】図1(a)のVI−VI断面図である。
【図7】図1(a)のVII−VII断面図である。
【図8】自動ドア用非接触スイッチ1の外観を示す斜視図である(検出方向設定が正面方向)。
【図9】自動ドア用非接触スイッチ1の外観を示す斜視図である(検出方向設定が正面側斜め下方向)。
【図10】自動ドア用非接触スイッチ1の外観を示す斜視図である(検出方向設定が真下方向)。
【図11】前面カバー3を外した状態での本体4の内部構造を示す斜視図である。
【図12】図11の状態の本体4からさらに検出ユニット6を外した分解斜視図である。
【図13】自動ドア用非接触スイッチ1から前面カバー3を外した状態で、前面カバー3の裏側方向から見た前面カバー3および本体4の分解斜視図である。
【図14】検出窓7を取り外した状態の検出ユニット6の内部およびその周辺を拡大して示す斜視図である。
【図15】検出ユニット6とコントローラ11との電気的な概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1 自動ドア用非接触スイッチ
2 筐体
2A 筐体上部
2B 筐体下部
3 前面カバー(化粧カバー)
4 本体
5 ホルダー
6 検出ユニット
7 検出窓
8 投光素子
9 受光素子
10 隔壁
11 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体前面上部はゆるやかな曲面でその曲面形状は側面視では前方に凸となるような曲線状であり平面視では略直線状であって、前記筐体前面上部の稜線を含む部分から逆傾斜となっている部分にわたって前記筐体の横幅よりは狭い横幅の略横長矩形状に形成された開口部を有しており、筐体前面下部の形状は平面視では左右端近傍が略直線状でその間が前方に凹となるような曲線状で側面視ではゆるやかに逆傾斜している直線状であるような、その縦断面が略q字状である筐体と、
内部と外部との間で近赤外線が双方向に透過可能な赤外線透過部と、この赤外線透過部を通して近赤外光を内部から外部へ投光する投光素子と、この投光素子から投光された後に物体によって反射されて前記赤外線透過部を通して内部へ戻ってきた反射光を受光する受光素子とを有する検出ユニットと、
前記受光素子の受光出力に基づいて近傍における物体の存在の有無を検出し、物体の存在が検出されたときに開閉制御信号を出力する制御器と、
前記検出ユニットが前記開口部を通して赤外線の投光および受光を行えるようにするとともに、その方向が所定範囲内で可変となるように前記検出ユニットを回転および固定可能に支持する支持機構と
を備えていることを特徴とする自動ドア用非接触スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の自動ドア用非接触スイッチにおいて、
前記筐体の少なくとも前面は、抗菌性を有する材質により形成されていることを特徴とする自動ドア用非接触スイッチ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動ドア用非接触スイッチにおいて、
前記赤外線透過部の色は、前記検出ユニットにおける前記赤外線透過部以外の部分の色および前記筐体前面の色とは異なることを特徴とする自動ドア用非接触スイッチ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動ドア用非接触スイッチにおいて、
前記検出ユニットは、前記投光素子と前記受光素子とをそれぞれの光軸が互いの方向へ傾くように保持することを特徴とする自動ドア用非接触スイッチ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動ドア用非接触スイッチにおいて、
前記筐体は、少なくとも本体とこの本体にはめ込む前面カバーとから構成されており、
この前面カバーが前記本体から外されている場合には前記検出ユニットの回転を可能にするとともに、この前面カバーが前記本体にはめ込まれている場合には前記検出ユニットの回転不可に固定するロック機構がさらに設けられていることを特徴とする自動ドア用非接触スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−159293(P2008−159293A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343971(P2006−343971)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】