説明

自動ワインダの駆動方法

【目的】 空ボビンの滞留により自動ワインダが停止状態になっても、空ボビンの滞留が解消すれば運転を自動的に再開させる。
【構成】 多錘の巻取ユニットU1〜U30に沿って空ボビン搬送路2を設けた自動ワインダにおいて、空ボビン搬送路2に設けた空ボビン検出センサPHO1で空ボビンB2の滞留を検出すると共にその滞留時間に応じて巻取ユニットU1〜U30にノッティング停止を指令し、その後、空ボビンB2の滞留が検出されなくなった時点からの経過時間に応じて巻取ユニットU1〜U30にノッティング再開を指令するようにしたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空ボビン搬送路上に空ボビンが渋滞した際、巻取ユニットのノッテング停止・再開が効率良く行える自動ワインダーの駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動ワインダにおいては、巻取ユニットが多錘に設けられ、その巻取ユニットの前後に実ボビン搬送路と空ボビン搬送路とが配置され、その空ボビン搬送路と実ボビン搬送路を結んで連続自動ボビン供給装置(準備エリア)が設けられる。連続自動ボビン供給装置からの実ボビンは、トレイ起立された状態で実ボビン搬送路に搬出され、適宜巻取ユニットに取り込まれ、そこでパッケージに巻き取られて空ボビンとされて空ボビン搬送路に搬出される。空ボビン搬送路からの空ボビンは、連続自動ボビン供給装置にてトレイから抜き取られ、新たな実ボビンがトレイに装着されると共に口出しがなされて実ボビン搬送路に搬出される。
【0003】この自動ワインダにおいて、空ボビン抜取り装置や口出し装置などにトラブルがあり、空ボビン搬送路に空ボビンが渋滞し、その空ボビンの最後尾が巻取ユニットまでかかると、その位置の巻取ユニットは空ボビンを排出することができない。このため空ボビン搬送路に空ボビンを検出する空ボビン検出センサを設置し、センサが空ボビンの滞留を検出した時に所定錘の巻取ユニットをノッティング停止(ボビン交換しない)していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の自動ワインダにおいては、ノッテング停止後に空ボビンの滞留が解消されても、人為的な操作を待たなければ運転を再開させることができず、稼働効率が悪いという問題があった。
【0005】本発明は上記事情を考慮してなされたもので、空ボビンの滞留により自動ワインダが停止状態になっても、空ボビンの滞留が解消すれば運転を自動的に再開させることができる自動ワインダーの駆動方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の自動ワインダーの駆動方法においては、巻取ユニットから排出された空ボビンの滞留を検出するに際して、空ボビン搬送路に設けた空ボビン検出センサにより空ボビンの滞留を検出しその滞留時間に応じて巻取ユニットにノッティング停止を指令し、その後、空ボビンの滞留が検出されなくなった時点からの経過時間に応じて巻取ユニットにノッティング再開を指令する。
【0007】
【作用】上記の方法によれば、空ボビン検出センサで空ボビンの滞留を検出すると共にその滞留時間に応じて、例えば、滞留時間が長くなるにつれてそれぞれの巻取ユニットに順次ノッティング停止を指令するなどして、滞留発生箇所の巻取ユニットのみノッティング停止を行ない、その他の錘については運転を続行させることができる。また、ノッティング停止後は、空ボビンの滞留が検出されなくなった時点からの経過時間に応じて、例えば、この経過時間が長くなるにつれて多くの巻取ユニットに順次ノッティング再開を指令するなどして、空ボビンの滞留が解消された箇所の巻取ユニットから順次自動的に運転を再開させることができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の好適実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0009】図1は自動ワインダの平面図を示し、図において、U1〜U30は多錘に設けた巻取ユニットで、10ユニット毎に第1スパンSP1、第2スパンSP2および第2スパンSP3に分けられる。巻取ユニットU1〜U30の前後には実ボビン搬送路1と空ボビン搬送路2が設けられ、このワインダWの側部に準備エリアSが設けられている。
【0010】上記実ボビン搬送路1と空ボビン搬送路2は準備エリアSで連結されて閉ル−プを形成している。準備エリアSには空ボビンなどの抜取りステ−ション3、実ボビンの供給ステ−ション4、および実ボビンの糸端口出しステ−ション5が搬送路の途次に上記順番に設けられている。6は実ボビン搬送路1から分岐したバイパスラインで、再び空ボビン搬送路2に合流しており、このライン6には、口出し不良ボビンが一時的にストックされる。すなわち空ボビン搬送路2上を移送されるボビンには糸層を全く有しない空ボビン、わずかな糸は有するがワインダWへの再給糸が不可能な極少残糸付きボビン、および多量の糸層を有しワインダWへの再供給が可能な可能な残糸付きボビンがあり、これらが混在して搬送される。
【0011】空ボビン搬送路2には、スパンSP1の下流側に光電管などの空ボビン検出センサPHO1が設けられている。このセンサPHO1は各スパンSP1〜3毎に各巻取ユニットU1〜U30の駆動を制御するワインダ制御装置10に接続されている。このワインダ制御装置10は、本発明の制御方法に基いてワインダWを制御する制御回路を備えている。
【0012】以上において、準備エリアSからの実ボビンBは、トレイに起立された状態で、実ボビン搬送路1に搬出され、その実ボビン搬送路1から各巻取ユニットU1〜U30に取り込まれ巻取パッケージに巻き取られる。この際、図示しない定長制御装置によって、巻取ユニットU1〜U30の巻取パッケージが満巻かどうかが検出され、またワインダ制御装置10によって、各巻取ユニットU1〜U30の巻取操作、すなわちドラムの回転・停止,巻取糸の欠陥の検出,糸継装置によるノッティング動作などが制御される。
【0013】巻取ユニットU1〜U30で空となった空ボビンB2は空ボビン搬送路2に排出され、空ボビン搬送路2より準備エリアSに戻され、その抜取りステ−ション3にて空ボビンがトレーから抜き取られ、供給ステ−ション4にて空のトレイに実ボビンが装着され、糸端口出しステ−ション5にて実ボビンの糸端の口出しがなされ、実ボビン搬送路1に搬出される。
【0014】この準備エリアSにおいてトラブルなどが生じると、空ボビンB2が空ボビン搬送路2上に詰まって滞留し、その長さが増大してくる。
【0015】空ボビン検出センサPHO1は、この空ボビンB2の詰まり具合を検出する。そして、空ボビン検出センサPHO1の検出信号がワインダ制御装置10に入力され、ワインダ制御装置10は、空ボビンB2の通常の通過と区別すべく例えば約1秒間空ボビンを検出した時に詰まりと判断する。そして、この空ボビンB2の滞留が生じたとき、ワインダ制御装置10は、滞留時間が例えば2秒経過する毎に、上流側のスパンSP3から順次下流側のスパンSP2,SP1へ出力ライン11を介してノッティング停止指令を出力する。スパンにノッティング停止がなされると巻取が行われている巻取ユニットは、各々そのボビンの糸が無くなるか又は、糸欠点で糸がカットされるまでは巻取を続けるが新たに実ボビンを取り込むことも空ボビンを排出ることもなく順次停止する。このように空ボビンの滞留に応じてノッティング停止を行うことで極力稼動できる巻取ユニット数を残すことができ効率のよい運転が行われる。
【0016】空ボビン検出センサPHO1は、ノッティング停止後もひき続き空ボビンの検出を行なう。そして、ワインダ制御装置10は、ノッティング停止の指令を出した後において空ボビンが検出されなくなると、その時点からの経過時間に応じて各スパンSP1〜3にノッティング再開指令を出力する。
【0017】ノッティング再開指令は、例えば、全スパンSP1〜3がノッティング停止の状態において、空ボビン検出センサPHO1が空ボビンを検出しなくなった時点から2秒間経過したときには、スパンSP3のみをノッティング再開させ、さらに2秒間経過する毎にスパンSP2,SP1の順にノッティング再開させる。これにより、空ボビンが搬送されて行くに連れて、スパンSP3〜1の順にノッティング再開を行うことができる。
【0018】上記の他に、ワインダ制御装置10は、空ボビン検出センサPHO1によって20秒間空ボビンが検出されなければ、空ボビンの滞留が完全に解消されたとして、全スパンSP1〜3にノッティング再開を指令し、ワインダW全体の駆動を再開させる。このワインダW全体の駆動再開は、オペレータによるリセットスイッチの操作によっても実行される。
【0019】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、空ボビン検出センサで空ボビンの滞留を検出すると共にその滞留時間に応じて巻取ユニットにノッティング停止を指令することで、滞留発生箇所の巻取ユニットのみノッティングを停止させ、また、ノッティング停止後は、空ボビンの滞留が検出されなくなった時点からの経過時間に応じて巻取ユニットにノッティング再開を指令することで、空ボビンの滞留が解消された箇所の巻取ユニットから順次自動的に運転を再開させることができるので、自動ワインダの稼働効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
2 空ボビン搬送路
U1〜U30 巻取ユニット
PHO1 空ボビン検出センサ
B2 空ボビン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 多錘の巻取ユニットに沿って空ボビン搬送路を設けた自動ワインダにおいて、空ボビン搬送路に設けた空ボビン検出センサで空ボビンの滞留を検出すると共にその滞留時間に応じて巻取ユニットにノッティング停止を指令し、その後、空ボビンの滞留が検出されなくなった時点からの経過時間に応じて巻取ユニットにノッティング再開を指令するようにしたことを特徴とする自動ワインダーの駆動方法。

【図1】
image rotate