自動二輪車用ホイール
【課題】ホイール重量の増大、及び、ホイール回転方向の慣性モーメント増大を押さえながらホイールの剛性を高める方法を提供する。
【解決手段】車軸に支持されるハブ31と、タイヤが装着されるリム32と、前記ハブと前記リムとを結合する複数のスポークとして、前記ハブから前記リムに至るメインスポーク33と、前記ハブから前記メインスポークに至るサブスポーク34と、を備える。前記メインスポークは、該メインスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール回転中心O1と、を結ぶ直線M1に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、ホイール周方向の一方向に傾斜している。前記サブスポークは、該サブスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール回転中心と、を結ぶ直線M3に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、前記ホイール周方向の他方向に傾斜させる。
【解決手段】車軸に支持されるハブ31と、タイヤが装着されるリム32と、前記ハブと前記リムとを結合する複数のスポークとして、前記ハブから前記リムに至るメインスポーク33と、前記ハブから前記メインスポークに至るサブスポーク34と、を備える。前記メインスポークは、該メインスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール回転中心O1と、を結ぶ直線M1に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、ホイール周方向の一方向に傾斜している。前記サブスポークは、該サブスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール回転中心と、を結ぶ直線M3に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、前記ホイール周方向の他方向に傾斜させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車軸に支持されるハブと、タイヤが装着されるリムと、ハブとリムとを連結するスポークと、を一体に形成してなる自動二輪車用ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
図20は一体型ホイールの従来例を示しており、車軸の指示されるハブ211と、タイヤが装着されるリム212と、複数本のスポーク213とが一体に形成されており、総てのスポーク213は、ホイール回転中心O1と、各スポーク213とハブ211との連結部113aと、を結ぶ直線M1に対し、ハブ211からホイール径方向の外方に向かって、ホイール周方向の一方向に傾斜している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−184435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動二輪車において、タイヤのグリップ状態を的確にライダーに伝えるためには、ホイールの剛性を高めることが望まれており、ホイールの剛性を向上させる手段として、スポークの数を増加させたり、スポークのホイール周方向の寸法あるいは軸方向の厚みを増加させたりすることが考えられる。この場合、スポーク数の増加又はスポークの寸法増加により、ホイール重量が増加し、ホイールの回転方向の慣性モーメントが増大する。
【0005】
ところが、自動二輪車では、四輪自動車と異なり、旋回時(コーナリング時)に車体を傾ける必要性があり、上記のようにホイールの慣性モーメントが増大すると、車体を傾け難くなり、車体の旋回性能の向上を図ることが困難になる。
【0006】
本発明は、ホイールの重量増加を抑え、車体の旋回性能を維持しつつ、ホイールの回転中心回りの剛性を向上させることができる自動二輪車用ホイールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、車軸に支持されるハブと、タイヤが装着されるリムと、前記ハブと前記リムとを結合する複数のスポークと、を一体に備えた自動二輪車用ホイールにおいて、前記スポークとして、前記ハブから前記リムに至るメインスポークと、前記ハブから前記メインスポークに至るサブスポークと、を備え、前記メインスポークは、該メインスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール回転中心と、を結ぶ直線に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、ホイール周方向の一方向に傾斜し、前記サブスポークは、該サブスポークと前記ハブとの連結部と、前記ホイール回転中心と、を結ぶ直線に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、前記ホイール周方向の他方向に傾斜する形状に形成されている、
【0008】
本発明は、上記構成に加え、好ましくは、次の各構成を備えることができる。
【0009】
(a)前記複数のメインスポークの任意の第1のメインスポークと、該第1のメインスポークとは異なる第2のメインスポークに連結された第2のサブスポークとは、路面から前記第1のメインスポークが受けた荷重が前記第2のサブスポークに伝達されるように配設されている。
【0010】
(b)前記第2のサブスポークは、前記第1のメインスポークの長さ方向に沿って前記リムから前記ハブへ向かう線分の延長線上に配置されている。この場合、好ましくは、前記第1のメインスポークの長さ方向に沿って前記リムから前記ハブへ向かう線分の延長線上に、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部が存在し、前記延長線に沿って、前記第2のサブスポークがホイール径外方側に延びている。
【0011】
(c)前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部と、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部とは、前記ハブの外周部を介して連なっている。この場合、さらに好ましくは、前記ハブは円筒状のハブ本体と、該ハブ本体からホイール径方向の外方に突出してホイール周方向に延びる突出部と、を有し、前記突出部は、少なくとも前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部と、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部との間に亘って周方向に延びている。
【0012】
(d)前記第1のメインスポークは、ホイール周方向の前記他方向に向かって膨らむ湾曲状に形成され、かつ、前記第1のメインスポークは、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部から前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部に亘る前記ハブの円弧形外周に滑らかに接続するように湾曲している。
【0013】
(e)前記第1のメインスポークと前記第2のメインスポークとのホイール周方向間に、別の第3のメインスポークが配置されている。この場合、さらに好ましくは、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部は、前記第3のメインスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール周方向に関して重複する領域に設定されている。
【0014】
(f)前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部に対し、前記第2のメインスポークと前記ハブとの連結部は、ホイール周方向に90度以上離れている。
【0015】
(g)前記メインスポークは、ホイール径外方に進むにつれ、ホイール周方向寸法が細くなる先細状に形成されている。
【0016】
(h)前記リムの車軸方向幅の中央部には、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む凹み部が、前記リムの全周に亘って形成されている。
【発明の効果】
【0017】
(1)本発明によると、ハブからリムに至るメインスポークを、ホイール径方向の外方に向かって、ホイール周方向に一方向に傾斜させているので、曲げ方向の剛性によって荷重総てを受ける場合に比べ、メインスポークの圧縮又は引っ張り方向の剛性でも荷重を受け、それによりメインスポークの変形を抑制し、ホイールの回転方向の剛性を向上させることができるのは勿論のこと、次の効果も奏する。
【0018】
メインスポークに加え、ハブからメインスポークに至ると共にメインスポークの傾斜方向と反対方向に傾斜するサブスポークを一体に備えているので、各メインスポークの変形をサブスポークにより抑制することができ、メインスポークの数を抑えて、軽量化を図りつつ、ホイールの回転方向の剛性を高めることができる。具体的には、メインスポークを支えるサブスポークを形成することで、メインスポークのハブ側(ホイール径方向の内方側)での剛性を高めることができ、サブスポークを配置したことに起因するホイールの回転中心回りの慣性モーメントの増加よりも、十分なホイール剛性向上効果を得ることができる。さらに、サブスポークは、メインスポークの傾斜方向側からメインスポークを支えることになるので、メインスポークが曲げ荷重を受けた場合に、サブスポークは圧縮又は引っ張り荷重として前記メインスポークの曲げ荷重を受けることができ、メインスポークの曲げ変形を効率よく抑制できる。このようにして、ホイールの質量増加を抑えて、慣性モーメントの増加を抑えつつ、ホイールの回転中心回りの剛性を向上させることができるのである。
【0019】
上記のようにホイールの剛性を向上させると、走行中におけるタイヤのグリップ状態あるいはスリップ状態が、的確にライダーに伝わり、すなわち、ライダーへのフィードバックが的確に行われ、ライダーは路面の状態及び走行状態を的確に把握することができ、また、ホイールの慣性モーメントを抑制することにより、車体の旋回性能を維持できる。
【0020】
(2)構成(a)によると、路面から第1のメインスポークに伝わる荷重を、ハブの回転中心に集中させることなく、第2のサブスポークを介して第2のメインスポーク及びリムに分散させることができ、第1のメインスポークの変形を抑制できる。
【0021】
(3)構成(b)によると、路面から第1のメインスポークに伝わる荷重は、第1のメインスポークの長さ方向に沿って伝わり、第2のサブスポークに受け止められるので、第1のメインスポークが受ける荷重を、第2のサブスポークを介して第2のメインスポーク及び第2のメインスポークが接続されるリムへと分散され、第1のメインスポークの変形を抑制できる。特に、第1のメインスポークの長さ方向の延長線上に第2のサブスポークとハブとの連結部を位置させ、前記延長線に沿って、第2のサブスポークをホイール径外方側に延ばしていると、路面から第1のメインスポークにかかる荷重が、第2のサブスポークへと分散され易くなり、第1のメインスポークの変形を、さらに抑制できる。
【0022】
(4)構成(c)によると、ハブの外周部を介して第1のメインスポークの内方側の連結部と第2のサブスポークの内方側の連結部とを連結しているので、第2のサブスポークを短く形成でき、ホイールの軽量化及び第1のメインスポークのさらなる変形抑制効果を期待できる。特に、ハブ本体の外周に突出部を形成することによりハブの剛性を向上させ、ハブの変形を防ぐことにより、第1のメインスポークから第2のサブスポークへの荷重伝達効率が、さらに向上する。
【0023】
(5)構成(d)によると、第1のメインスポークを傾斜方向とは反対方向に膨らむ湾曲状に形成することにより、第1のメインスポークに伝わる荷重を、第2のサブスポークに分散し易くなり、第1のメインスポークの変形をさらに抑制することができる。
【0024】
(6)構成(e)によると、サブスポークとメインスポークとの連結部を、ハブの外周面からホイール径方向の外方に一定距離だけ離すことができ、回転中心回りのホイールの剛性を向上させることができる。特に、第2のサブスポークとハブとの連結部と、第3のメインスポークとハブとの連結部と、をホイール周方向に関して重複する領域に設定することにより、第2のサブスポークとハブとの連結部の剛性を高め、また、第3のメインスポークとハブの連結部から第2のサブスポークが延びることで、第2のサブスポークの長さを短くできる。
【0025】
(7)構成(f)によると、第1のメインスポークが受けた荷重を、車軸に対して反対側のハブ部分に伝えることができ、第2のサブスポークへと分散させ易く、第1のメインスポークの変形をさらに抑制できる。
【0026】
(8)構成(g)によると、回転中心回りの剛性を維持しつつ、ホイールの軽量化並びに慣性モーメントの増加抑制を行うことができる。
【0027】
(9)構成(h)によると、ホイールの重量増加を抑えつつ、リムの剛性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るホイールを備えた自動二輪車の左側面図である。
【図2】図1の自動二輪車の後輪の左側面拡大図である。
【図3】図2の後輪用ホイールの前半部の左側面拡大図である。
【図4】図2の後輪用ホイールのIV-IV断面拡大図である。
【図5】図2の後輪用ホイールのV-V断面拡大図である。
【図6】図2の後輪用ホイールのVI-VI断面拡大図である。
【図7】図2の後輪用ホイールのVII-VII断面図である。
【図8】図2の後輪用ホイールのリムの正面部分図である。
【図9】図8のIX-IX断面図である。
【図10】図1の自動二輪車の前輪の左側面図である。
【図11】図10の前輪用ホイールの上半部を断面で示す正面図である。
【図12】本発明に係る後輪用ホイールの変形例を示す左側面図である。
【図13】図12の後輪用ホイールの正面図である。
【図14】本発明に係る前輪用ホイールの変形例を示す左側面図である。
【図15】図14の前輪用ホイールの正面図である。
【図16】本発明に係るホイールの別の変形例を示す左側面図である。
【図17】本発明に係るホイールの別の変形例を示す左側面図である。
【図18】本発明に係るホイールの別の変形例を示す左側面図である。
【図19】図1とは異なるホイール装着例を示す自動二輪車の左側面図である。
【図20】従来のホイールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明に係るホイールを備えた自動二輪車、特にオンロード走行やレース走行に適した自動二輪車の左側面図であり、まずこの図1により、自動二輪車全体の構成を説明する。
【0030】
メインフレーム1の前端に形成されたヘッドパイプ2には、操舵軸(図示せず)及び上下一対のブラケット3を介して左右一対のフロントフォーク4が支持され、該フロントフォーク4の下端部に固定された前車軸5に、前輪用ホイール6が回転自在に支持され、該前輪用ホイール6に前輪タイヤ7が装着されている。
【0031】
メインフレーム1の後下端部に形成されたスイングアームブラケット部1aには、後方に延びるスイングアーム13が上下揺動自在に支持され、該スイングアーム13の後端部に固着された後車軸15に、後輪用ホイール16が回転自在に支持され、該後輪用ホイール16に後輪タイヤ17が装着されている。前記スイングアーム13は、リヤショックアブソーバ18によりメインフレーム1に弾性支持されている。
【0032】
メインフレーム1の下側にはエンジン20が搭載され、該エンジン20の出力軸21は、駆動スプロケット22、駆動チェーン23及び被駆動スプロケット24を介して後輪用ホイール16に動力伝達可能に連結され、エンジン20の駆動力により、後輪用ホイール16及び後輪タイヤ17からなる後輪を、矢印R1方向に回転する。
【0033】
メインフレーム1及び後部フレーム1bの上側には、燃料タンク25及びシート26等が設置され、フロントフォーク連結用の前記上側のブラケット3には、ハンドル装置27が設けられている。
【0034】
図2は図1の後輪の左側面拡大図、図3は後輪用ホイール16の前半部の左側面拡大図、図4,図5及び図6は、図2のIV-IV、V-V及びVI-VI断面拡大図、図7は図2のVII-VII断面図、図8は後輪用リムの正面部分図、図9は図8のIX-IX断面図であり、これらの図面により、後輪用ホイール16の構造を詳細に説明する。
【0035】
図2において、後輪用ホイール16は、後車軸15に回転自在に支持される後輪用ハブ31と、前記後輪タイヤ17が装着される後輪用リム32と、前記後輪用ハブ31と前記後輪用リム32とを結合する複数のスポーク33,34と、を一体に備えている。該実施の形態では、後輪用ホイール16として、マグネシウムの鍛造成形物を切削加工したものを使用しており、これにより軽量化を図っているが、その他、量産に適するように、アルミニウム合金、ステンレス鋼あるいは鋳鉄等を利用することが可能である。
【0036】
前記複数のスポーク33,34は、ホイール周方向に等間隔を置いて配置された5本のメインスポーク33と、各メインスポーク33の途中にそれぞれ一体に連結された5本のサブスポーク34とから構成されている。
【0037】
各メインスポーク33は、後輪用ハブ31の外周面から後輪用リム32の内周面に至ると共に、ホイール径方向の外方に向かって、ホイール回転方向(前進走行時の回転方向)R1側に傾斜している。具体的に説明すると、ホイール回転中心O1と、メインスポーク33と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1と、を結ぶ直線M1に対し、メインスポーク33と後輪用ハブ31との前記連結部の中心点C1と、メインスポーク33の外周端と後輪用リム32との連結部の中心点C2と、を結ぶ直線M2が、角度θ1だけ回転方向R1側に傾斜している。前記傾斜角度θ1は、たとえば45度〜90度程度である。
【0038】
さらに、各メインスポーク33は、該メインスポーク33の径方向の内外の前記連結部の中心点C1,C2を結ぶ前記直線M2に対し、反回転方向R2側に膨らむ湾曲形状に形成されている。特に、メインスポーク33の反回転方向R2側の端縁33aの形状が、湾曲形状であることを明確に表している。ただし、サブスポーク34とメインスポーク33との連結部の中心C4よりホイール径方向外方側のメインスポーク33部分は、略直線状に形成されている。
【0039】
メインスポーク33のホイール周方向の幅(寸法)は、ホイール径方向外方に行くにつれて細くなる先細形状に形成されており、メインスポーク33のホイール径方向外周端の回転方向R1側及び反回転方向R2側の各端縁は、それぞれR面41を介して後輪用リム32の内周面に接続されている。
【0040】
各サブスポーク34は、連結されるメインスポーク33に対して回転方向R1側(メインスポークの傾斜側)に配設されており、後輪用ハブ31の外周面からメインスポーク33の長さ方向の略中間部に至ると共に、ホイール径方向の外方に向かって、メインスポーク33の傾斜側とは反対側、すなわち反回転方向R2側に傾斜している。具体的に説明すると、ホイール回転中心O1と、サブスポーク34と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3と、を結ぶ直線M3に対し、前記サブスポーク34と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3と、サブスポーク34とメインスポーク33との連結部の中心点C4と、を結ぶ直線M4が、ホイール径外方に向けて、角度θ2だけ反回転方向R2側に傾斜している。前記傾斜角度θ2は、たとえば45度〜90度程度である。
【0041】
前記メインスポーク33が湾曲状に形成されているのに対し、サブスポーク34は、略直線状に形成されており、かつ、サブスポーク34のホイール周方向の幅(寸法)は、径方向の全長に亘って略一様な寸法に形成されている。また、サブスポーク34の反回転方向R2側の端部のホイール径方向の内外端縁は、それぞれR面42を介してメインスポーク33に接続されている。なお、メインスポーク33とサブスポーク34との連結部において、メインスポーク33の反回転方向R2側の端縁33aに対するサブスポーク34の交差角度θ5は、直角又は直角に近い角度に設定されている。
【0042】
さらに、メインスポーク33のホイール径方向の内方端の反回転方向R2側の端縁と、該メインスポーク33に対して反回転方向R2側に隣合うサブスポーク34の内方端の回転方向R1側の端縁とは、後輪用ハブ31の外周端に形成されたR面43を介して滑らかに接続している。
【0043】
図4において、名メインスポーク33は、車軸方向に間隔を置いて対向配置された一対の側壁部(リブ部)33bと、両側壁部33bを一体に連結するウエブ33aとから、断面H形状に形成されている。ただし、図2のサブスポーク34との連結部よりホイール径方向の外方側部分は、図6に示すように、断面コの字形状に形成されている。このように、メインスポーク33の断面をH形状又はコの字形状とすることにより、重量増加を抑えつつ、曲剛性を高くし、かつ、後輪用ホイール16の固有振動数も高めている。
【0044】
図5において、各サブポーク34も、メインスポーク33と同様、車軸方向に間隔を置いて対向配置された一対の側壁部34bと、両側壁部34bを一体に連結するウエブ34aとから形成されている。図5の実施の形態では、サブスポーク34は断面H形状となっているが、その他、断面コの字状、T字状あるいはL字状等、径方向に突出する突出部(側壁部34b等)を有するリブ形状とすることもできる。このように、サブスポーク34の断面形状を、径方向に突出する突出部を有する形状とすることにより、メインスポーク33と同様に、曲剛性を高くし、かつ、後輪用ホイール16の固有振動数を高めている。
【0045】
図7において、後輪用ハブ31は、円筒状のハブ本体31aを有し、該ハブ本体31aの外周面の軸方向両端に、ホイール径方向の外方に突出する突出部31bが一体に形成されている。該突出部31bはハブ本体31aの略全周に亘ってフランジ状に形成されている。なお、前述のR面、すなわちメインスポーク33のホイール径方向内方端の反回転方向R2側の端縁とサブスポーク34のホイール径方向内方端の回転方向R1側の端縁とを接続するR面43は、前記突出部31bの外周端縁に形成されている。
【0046】
図8において、後輪用リム32は、車軸方向の両端に、後輪タイヤ17の車軸方向の位置を規制する環状突起32aが一体に形成されると共に、車軸方向に中央部に、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む環状凹み部32bが、リム全周に亘って形成され、これにより、重量の増加を抑えつつ、後輪用リム32の剛性及び固有振動数を向上させている。
【0047】
図9において、後輪用リム32の環状凹み部32bの底部と、メインスポーク33のホイール径方向外方端との連結部には、前記環状凹み部32bの底壁部からホイール径方向の内方にさらに凹む連結用凹部32cが形成されており、これにより、後輪用リム32のさらなる軽量化を図っている。
【0048】
ここで、任意のメインスポーク33と、該メインスポーク33から反回転方向R2側へ一つ置いて配置された別のメインスポーク33に連結されたサブスポーク34との位置関係等を、特許請求の範囲に記載した内容及び用語に対応させて説明するために、前記任意のメインスポーク33等の名称を、図3に基づき次のように仮定する。
【0049】
図3の下端部に位置しているメインスポーク及びこれに連結されるサブスポークを、第1のメインスポーク33−1及び第1のサブスポーク34−1と称し、この第1のメインスポーク33−1及び第1のサブスポーク34−1に対し、反回転方向R2側に一つ置いて配置されたメインスポーク及びサブスポークを、第2のメインスポーク33−2及び第2のサブスポーク34−2と称し、前記第1のメインスポーク33−1と前記第2のサブスポーク34−2間に配置されたメインスポーク及びサブスポークを、第3のメインスポーク33−3及び第3のサブスポーク34−3と称することとする。勿論、上記名称は、単に説明の都合上設定したものであり、いずれのメインスポーク33及びサブスポーク34も、第1のメインスポーク及び第1のサブスポークと称することができる。
【0050】
第1のメインスポーク33−1と、第2のサブスポーク34−2とは、路面から第1のメインスポーク33−1が受けた荷重(特にメインスポーク33−1の長さ方向の荷重)が、後輪用ハブ31の外周端部の一部を介して、第2のサブスポーク34−2の長さ方向の荷重として伝達されるように配設されている。具体的には、第2のサブスポーク34−2の内外周端(内外連結部の中心点C3、C4)を結ぶ前記直線M4は、第1のメインスポーク33−1の長さ方向に沿って後輪用リム32から後輪用ハブ31へ向かう湾曲状の線分の略延長線上に配置されている。すなわち、前記延長線上には、第2のサブスポーク34−2と後輪用バブ31との連結部の中心点C3と、第2のサブスポーク34−2と第2のメインスポーク33との連結部の中心点C4と、が存在しているのであって、第2のサブスポーク34−2は、前記延長線に沿って、前記中心点C3から前記中心点C4を通るように、ホイール径外方側に延びているのである。
【0051】
また、第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1と、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3とは、後輪用ハブ31の外周突出部31bを介して一体に連なっている。
【0052】
第1のメインスポーク33−1は、前述のように反回転方向R2側に膨らむように湾曲しているが、具体的には、前記第1のメインスポーク33−1は、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部から第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部に亘る後輪用ハブ31の円弧形外周に滑らかに接続するように湾曲している。
【0053】
第1のメインスポーク33−1と第2のメインスポーク33−2とのホイール周方向間に、第3のメインスポーク33−3が配置されているが、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3は、第3のメインスポーク33−3と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1と、ホイール周方向に関して略重複する領域に設定されている。
【0054】
また、第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1に対し、第2のメインスポーク33−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1は、反回転方向R2側に90度以上離れて位置している。すなわち、図3に示す2つの直線M1M1間の角度θ6は、90度以上、180度未満に設定されている。
【0055】
[前輪用ホイール6の構成]
図10は前輪の左側面拡大図、図11は前輪用ホイール6の正面図(上半部は断面)を示している。図10において、前輪用ホイール6は、前記前車軸5に回転自在に支持される前輪用ハブ131と、前輪タイヤ7が装着される前輪用リム132と、前記前輪用ハブ131と前輪用リム132とを結合する複数のスポーク133,134と、を一体に備えている。前輪用ホイール6の材質も、後輪用ホイール16と同様であり、マグネシウムの鍛造成形物を切削加工したものであり、これにより軽量化を図っているが、アルミニウム合金、ステンレス鋼あるいは鋳鉄等を利用することが可能である。
【0056】
前輪用ホイール6のスポーク133,134は、後輪用ホイール16と同様、ホイール周方向に等間隔を置いて配置された5本のメインスポーク133と、各メインスポーク133にそれぞれ一体に連結された5本のサブスポーク134とから構成されている。前輪用ホイール6のメインスポーク133及びサブスポーク134が、後輪用ホイール16のメインスポーク33及びサブスポーク34と異なる構造は、ホイール周方向の傾斜方向がそれぞれ逆向きとなっていることであり、その他の構造は後輪用ホイール16と同様である。すなわち、前輪用ホイール6のメインスポーク133は、ホイール径方向の外方に向けて、反回転方向R2側に傾斜すると共に、回転方向R1側に膨らむように湾曲しており、一方、前輪用ホイール6のサブスポーク134は、ホイール径方向の外方に向けて、回転方向R1側に傾斜すると共に、直線状に形成されている。
【0057】
また、メインスポーク133の径方向の内外周端部並びにメインスポーク133とサブスポーク134との連結部には、それぞれ後輪用ホイール16と同様に、R面141,142,143等が形成されている。
【0058】
図11において、前輪用ハブ131は、後輪用ハブ31と同様、円筒状のハブ本体131aを有し、該ハブ本体31aの外周面の軸方向両端に、ホイール径方向の外方に突出する突出部131bが一体に形成されている。該突出部31bはハブ本体31aの略全周に亘ってフランジ状に形成されている。
【0059】
また、前輪用リム132も、後輪用リム32と同様、車軸方向の両端に、後輪タイヤ17の車軸方向の位置を規制する環状突起132aが一体に形成されると共に、車軸方向の中央部に、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む環状凹み部132bが、リム全周に亘って形成され、これにより、重量の増加を抑えつつ、後輪用リム32の剛性及び固有振動数を向上させている。
【0060】
さらに、前輪用リム132の環状凹み部132bの底部と、メインスポーク133のホイール径方向外方端との連結部には、前記環状凹み部132bの底壁部からホイール径方向の内方に凹む連結用凹部132cが形成されており、これにより、前輪用リム132のさらなる軽量化を図っている。
【0061】
[実施の形態の作用効果]
(1)図2において、走行中、後輪用ハブ31に対して後輪用リム32をホイール回転中心O1回りに相対変位させるような荷重(ホイール周方向のねじり荷重)が生じるが、メインスポーク33を傾斜させていることにより、メインスポーク33に対し、曲げ荷重、すなわちホイール径方向に直交する方向の荷重やメインスポーク33の長手方向に直交する方向の荷重を生じさせる他、メインスポーク33の長手方向の圧縮荷重を生じさせることができる。この場合、各スポークの曲げ方向の剛性によって荷重総てを受ける場合に比べ、圧縮方向の剛性でも荷重を受けることで、メインスポーク33の変形を抑制し、後輪用ホイール16の回転方向の剛性を向上させることができる。
【0062】
(2)図2において、後輪用ハブ31から後輪用リム32に至るメインスポーク33を、ホイール径方向の外方に向かって、回転方向R1側に傾斜させているので、ドライブ走行時、特に加速時、メインスポーク33は、曲げ荷重に加え、メインスポーク33の長さ方向の圧縮荷重を受けることができるので、メインスポーク33の変形を抑制し、ドライブ駆動時における後輪用ホイール16の回転方向の剛性を向上させることができる。
【0063】
(3)特に、メインスポーク33に加え、後輪用ハブ31からメインスポーク33の途中に至ると共にメインスポーク33の傾斜方向と反対方向に傾斜するサブスポーク34を一体に備えているので、各メインスポーク33の変形をこれに連結されたサブスポーク34により抑制することができ、メインスポークの数を抑えて、軽量化を図りつつ、ホイールの回転方向の剛性を高めることができる。また、ホイールの固有振動数も高くすることができる。
【0064】
具体的には、各メインスポーク33を支えるサブスポーク34をそれぞれ形成することで、メインスポーク33のホイール径方向の内方側での剛性を高めることができ、サブスポーク34を配置したことに起因する後輪用ホイール16のホイール回転中心回りの慣性モーメントの増加よりも、十分なホイール剛性向上効果を得ることができる。
【0065】
(4)さらに各サブスポーク34は、メインスポーク33をその傾斜方向側から支えることになるので、メインスポーク33が曲げ荷重を受けた場合に、サブスポーク34は圧縮(又は引っ張り荷重)として前記メインスポーク33の曲げ荷重を受けることができ、メインスポーク33の曲げ変形をさらに抑制できる。このようにして、ホイールの質量増加を抑え、これにより慣性モーメントの増加を抑えつつ、ホイール回転中心回りの剛性を向上させることができるのである。後輪用ホイール16の剛性を上記のように向上させると、走行中における後輪タイヤ17のグリップ状態あるいはスリップ状態が、的確にライダーに伝わり、すなわち、ライダーへのフィードバックが的確に行われ、ライダーは地面の状態及び走行状態を的確に把握することができ、また、ホイールの慣性モーメントを抑制することにより、車体の旋回性能を維持できる。
【0066】
(5)図3のように、第1のメインスポーク33−1と、該第1のメインスポーク33−1から一つ置いた第2のメインスポーク33−2に接続される第2のサブスポーク34−2とを、路面から第1のメインスポーク33−1が受けた荷重が第2のサブスポーク34−2に伝達されるように配設しているので、路面から第1のメインスポーク33−1に伝わる荷重は、後輪用ハブ31の回転中心に集中することなく、第2のサブスポーク34−2を介して第2のメインスポーク33−2及びリム32に分散させることができ、第1のメインスポーク33−1の変形を抑制できる。
【0067】
(6)図3のように、第2のサブスポーク34−2は、第1のメインスポーク33−1の長さ方向に沿ってリム32からハブ31へ向かう線分の略延長線上に配置されているので、路面から第1のメインスポーク33−1に伝わる荷重は、第1のメインスポーク33−1の長さ方向に沿って伝わり、第2のサブスポーク34−2に受け止められ、第2のメインスポーク33−2及び第2のメインスポーク33−2が接続されるリム32へと分散され、第1のメインスポーク33−1の変形を抑制できる。特に、第1のメインスポーク33−1の長さ方向に沿って後輪用リム32から後輪用ハブ31へ向かう線分の延長線上に、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3が存在し、前記延長線に沿って、第2のサブスポーク34−2がホイール径外方側に延びているので、路面から第1のメインスポーク33−1にかかる荷重が、第2のサブスポーク34−2へと分散され易くなり、第1のメインスポーク33−1の変形を、さらに抑制できる。
【0068】
(7)図3のように、第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部(中心点C1)と、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部(中心点C3)とは、後輪用ハブ31の外周部を介して連なっているので、第2のサブスポーク34−2を短く形成でき、ホイールの軽量化及び第1のメインスポーク33−1のさらなる変形抑制効果を期待できる。特に、図7のように、円筒状のハブ本体31aの外周に環状の突出部31bを形成することにより後輪用ハブ31の剛性を向上させ、後輪用ハブ31の変形を防ぐことにより、第1のメインスポーク33−1から第2のサブスポーク34−2への荷重伝達効率が、さらに向上する。
【0069】
(8)図3のように、第1のメインスポーク33−1は湾曲状に形成されており、しかも、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部から第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部に亘る後輪用ハブ31の円弧形外周に滑らかに接続するように湾曲しているので、第1のメインスポーク33−1に伝わる荷重を、第2のサブスポーク34−2に分散し易くなり、第1のメインスポーク33−1の変形をさらに抑制することができる。
【0070】
(9)第1のメインスポーク33−1と第2のメインスポーク33−2とのホイール周方向間に、別の第3のメインスポーク33−3が配置されているので、たとえば第2サブスポーク34−2と第2のメインスポーク33−1との連結部を、後輪用ハブ31からホイール径方向の外方に離すことができ、ホイール回転中心回りのホイール7等の剛性を向上させることができる。特に、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部(中心点C3)と、第3のメインスポーク33−3と後輪用ハブ31との連結部(C1)と、をホイール周方向に関して重複する領域に設定しているので、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の剛性を高め、また、第3のメインスポーク33−3と後輪用ハブ31の連結部から第2のサブスポーク34−2が延びることで、第2のサブスポーク34−2の長さを短くできる。
【0071】
(10)第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部(中心点C1)に対し、第2のメインスポーク33−2と後輪用ハブ31との連結部(中心点C1)は、ホイール周方向に90度以上離れているので、第1のメインスポーク33−1が受けた荷重を、後車軸15に対して反対側の後輪用ハブ31部分に伝えることができ、第2のサブスポーク34−2へと分散させ易く、第1のメインスポーク33−1の変形をさらに抑制できる。
【0072】
(11)図2において、メインスポーク33は、ホイール径外方に進むにつれ、ホイール周方向寸法が細くなる先細状に形成されているので、ホイール回転中心O1回りの剛性を維持しつつ、後輪用ホイール16の軽量化並びに慣性モーメントの増加抑制を行うことができる。前輪用ホイール6についても同様である。
【0073】
(12)図8のように、後輪用リム32の車軸方向幅の中央部には、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む凹み部32bが、後輪用リム32の全周に亘って形成されているので、後輪用リム32の重量を増やすことなく、後輪用リム32の剛性を向上させることができる。前輪用リム132についても同様の利点がある。
【0074】
(13)図1に示す自動二輪車では、後輪用ホイール16のメインスポーク33を、ホイール径方向の外方に向かって、回転方向R1側に傾斜させ、一方、前輪用ホイール6のメインスポーク133を、ホイール径方向の外方に向かって、反回転方向R2側に傾斜させているので、加速時等のようなドライブ走行時に路面から大きな荷重がかかる後輪では、メインスポーク33の長さ方向の荷重として前記ドライブ荷重を受けることができ、一方、ブレーキング時に路面から大きな荷重がかかる前輪では、ブレーキング時にメインスポーク133の長さ方向の荷重として前記ブレーキング荷重を受けることができる。
【0075】
(14)図4及び図6のように、メインスポーク33の断面形状を、車幅方向の両端部に径方向に突出する突出部(33b)を有する形状、たとえば断面H形状又は断面コの字形状に形成しているので、重量を増やすことなく、メインスポーク33の曲剛性を向上させることができる。
【0076】
(15)図5のように、サブスポーク34の断面形状を、車幅方向の両端部に径方向に突出する突出部(34b)を有する形状、たとえば断面H形状に形成しているので、重量を増やすことなく、サブスポーク34の面外剛性を向上させることができる。
【0077】
(16)図2において、該実施の形態におけるサブスポーク34は、車軸方向に見て、直線状に形成されているので、ホイールの製造が容易である。
【0078】
(17)図2において、メインスポーク33のホイール径方向の外方端縁は、R面41を介してリム32の内周面に繋がっているので、メインスポーク33とリム32との連結部における応力集中を緩和し、ホイールの強度を向上させることができる。なお、上記R面41の代わりに、メインスポーク33のホイール径方向の外方端縁を、略直線的に「ハ」の字状に周方向に広がる形状としたり、T字状に周方向に広がる形状とすることも可能である。
【0079】
(18)図2のように、メインスポーク33が湾曲しているので、メインスポーク33が受ける曲げ荷重成分を減らして、メインスポーク33の長さ方向の圧縮又は引っ張り荷重成分を多くすることができる。好ましくは、メインスポーク33とリム32との連結部並びにメインスポーク33とハブ31との連結部において、ホイール径方向に比べてホイール周方向に延びる寸法が大きくなるようにする。
【0080】
(19)図1に示すような自動二輪車において、前輪ホイール6及び/又は後輪ホイール16を交換するだけで、レース等におけるラップタイムを変化させることができる。
【0081】
[ホイールの変形例]
(1)図12は後輪用ホイール16の変形例の左側面図、図13は図12の後輪用ホイール16の正面図である。図12において、後輪用スポークは、前記図2と同様に、メインスポーク33とこれらにそれぞれ接続されるサブスポーク34とから構成されているが、各メインスポーク33に対する各サブスポーク34の連結部(中心点C4)が、メインスポーク33のホイール径方向の外方端縁近傍に設定されている。その他の構造は図2の構造と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。勿論、図12及び図13のホイール構造を前輪用ホイール6に適用することも可能である。
【0082】
(2)図14は前輪用ホイール6の変形例の左側面図、図15は図14の前輪用ホイール6の正面図であり、前輪用スポークは、7本のメインスポーク133とこれらにそれぞれ接続される7本のサブスポーク134とから構成されている。
【0083】
湾曲状に形成された各メインスポーク133の径方向内方端部は、ホイール回転方向R1側に二つ置いたメインスポーク133に連結されたサブスポーク134に、前輪用ハブ131の外周端部を介して滑らかに接続し、路面から前記メインスポーク133の長手方向に係る荷重が、2つ置いたサブスポーク134の長さ方向の荷重となるように構成されている。その他の構造は図10の構造と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。図14のようにメインスポーク133を7本備えている場合は、メインスポーク133の傾斜角度θ1は、約45度が好ましい。
【0084】
(3)図16は後輪用ホイール16の別の変形例を示しており、前記図2と同様に、5本のメインスポーク33とこれらにそれぞれ接続される5本のサブスポーク34とから構成されているが、各メインスポーク33は直線状に形成されている。その他の構造は図2の構造と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。勿論、図12のホイール構造を前輪用ホイール6に適用することも可能である。
【0085】
(4)図17も後輪用ホイール16の別の変形例を示しており、スポークは、前記図2と同様に、5本のメインスポーク33とこれらにそれぞれ接続される5本のサブスポーク34とから構成されているが、各メインスポーク33は直線状に形成され、かつ、各メインスポーク33のホイール径方向内方端部は、隣り合うメインスポーク33に連結されたサブスポーク34に、略直線状に連結されている。その他の構造は図2の構造と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。勿論、図13のホイール構造を前輪用ホイール6に適用することも可能である。なお、該変形例において、メインスポーク33を湾曲状に形成することも可能である。
【0086】
(5)図18も後輪用ホイール16の別の変形例を示しており、スポークは、前記図2と同様に、5本のメインスポーク33とこれらにそれぞれ接続される5本のサブスポーク34とから構成されているが、各メインスポーク33は直線状に形成されている。ただし、いずれのサブスポーク34も、メインスポーク33の長さ方向の内方延長線上には配置されていない。なお、該変形例において、メインスポーク33を湾曲状に形成することも可能である。
【0087】
(6)メインスポーク33及びサブスポーク43からなる本発明のホイール構造において、メインスポーク33の剛性がサブスポーク34の剛性よりも大きくなるように、それらの断面形状並びに車軸方向に見た形状を形成することが好ましい。これにより、路面からの荷重を、主としてメインスポーク33で受けるように構成することができる。具体例としては、サブスポーク34よりもメインスポーク33の方が、ホイール径寸法の大きい部分が存在するように構成する。
【0088】
[自動二輪車への別の装着例]
図19は、自動二輪車への別の装着例であり、前輪用ホイール6として、後輪用ホイール16の各スポークと同様な方向に傾斜したメインスポーク133及びサブスポーク134を備えたホイールを使用している。その他の構成は前記実施の形態と同じである。
【0089】
[その他の実施の形態]
(1)前記各実施の形態及び変形例では、ホイールは、5本又は7本のメインスポークと5本又は7本のサブスポークを備えているが、本発明はそのようなスポーク数に限定されることはない。たとえば、メインスポークとサブスポークとを3本ずつ、あるいは9本ずつ備える構造とすることもできる。なお、メインスポークの数を奇数本とするのが好ましく、奇数本とすることで、メインスポーク同士が、ホイール径方向に180度の位相差で配置されることを避けることができ、これにより、路面からメインスポークに伝達される荷重を、効率良く、ホイール全体に亘って分散させることができる。
【0090】
(2)前記第1の実施の形態等では、前後のホイール共に、メインスポークとサブスポークとの組合せによるホイール構造を備えているが、いずれか一方のホイールのみに本発明を適用することも可能である。
【0091】
(3)前記各実施の形態では、総てのメインスポークに対してサブスポークを連結しているが、任意のメインスポークにサブスポークを連結する構造とすることも可能である。
【0092】
(4)メインスポークに対してサブスポークが連結される位置(図2の中心点C4)は、メインスポークの径方向の中央部あるいは該中央部よりも径方向の外方部分であることが好ましい。
【0093】
(5)エンジン(内燃機関)を搭載した車両のみならず、電動自動二輪車等の車両にも適用可能である。
【0094】
(6)自動二輪車以外の車両についても本発明のホイール構造を適用することは可能であり、好ましくは、鞍乗り型等の車両への適用が効果的である。
【0095】
(7)本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0096】
5 前車軸
6 前輪用ホイール
7 前輪タイヤ
15 後車軸
16 後輪用ホイール
17 後輪タイヤ
31 後輪用ハブ
31a ハブ本体
31b 突出部
32 後輪用リム
32b 凹み部
33 後輪用メインスポーク
33−1 後輪用第1のメインスポーク
33−2 後輪用第2のメインスポーク
33−3 後輪用第3のメインスポーク
34 後輪用サブスポーク
34−1 第1のサブスポーク
34−2 第2のサブスポーク
34−3 第3のサブスポーク
41,42,43 R面
131 前輪用ハブ
132 前輪用リム
133 前輪用メインスポーク
134 前輪用サブスポーク
C1,C2,C3,C4 連結部の中心点
141,142,143 R面
【技術分野】
【0001】
本発明は、車軸に支持されるハブと、タイヤが装着されるリムと、ハブとリムとを連結するスポークと、を一体に形成してなる自動二輪車用ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
図20は一体型ホイールの従来例を示しており、車軸の指示されるハブ211と、タイヤが装着されるリム212と、複数本のスポーク213とが一体に形成されており、総てのスポーク213は、ホイール回転中心O1と、各スポーク213とハブ211との連結部113aと、を結ぶ直線M1に対し、ハブ211からホイール径方向の外方に向かって、ホイール周方向の一方向に傾斜している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−184435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動二輪車において、タイヤのグリップ状態を的確にライダーに伝えるためには、ホイールの剛性を高めることが望まれており、ホイールの剛性を向上させる手段として、スポークの数を増加させたり、スポークのホイール周方向の寸法あるいは軸方向の厚みを増加させたりすることが考えられる。この場合、スポーク数の増加又はスポークの寸法増加により、ホイール重量が増加し、ホイールの回転方向の慣性モーメントが増大する。
【0005】
ところが、自動二輪車では、四輪自動車と異なり、旋回時(コーナリング時)に車体を傾ける必要性があり、上記のようにホイールの慣性モーメントが増大すると、車体を傾け難くなり、車体の旋回性能の向上を図ることが困難になる。
【0006】
本発明は、ホイールの重量増加を抑え、車体の旋回性能を維持しつつ、ホイールの回転中心回りの剛性を向上させることができる自動二輪車用ホイールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、車軸に支持されるハブと、タイヤが装着されるリムと、前記ハブと前記リムとを結合する複数のスポークと、を一体に備えた自動二輪車用ホイールにおいて、前記スポークとして、前記ハブから前記リムに至るメインスポークと、前記ハブから前記メインスポークに至るサブスポークと、を備え、前記メインスポークは、該メインスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール回転中心と、を結ぶ直線に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、ホイール周方向の一方向に傾斜し、前記サブスポークは、該サブスポークと前記ハブとの連結部と、前記ホイール回転中心と、を結ぶ直線に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、前記ホイール周方向の他方向に傾斜する形状に形成されている、
【0008】
本発明は、上記構成に加え、好ましくは、次の各構成を備えることができる。
【0009】
(a)前記複数のメインスポークの任意の第1のメインスポークと、該第1のメインスポークとは異なる第2のメインスポークに連結された第2のサブスポークとは、路面から前記第1のメインスポークが受けた荷重が前記第2のサブスポークに伝達されるように配設されている。
【0010】
(b)前記第2のサブスポークは、前記第1のメインスポークの長さ方向に沿って前記リムから前記ハブへ向かう線分の延長線上に配置されている。この場合、好ましくは、前記第1のメインスポークの長さ方向に沿って前記リムから前記ハブへ向かう線分の延長線上に、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部が存在し、前記延長線に沿って、前記第2のサブスポークがホイール径外方側に延びている。
【0011】
(c)前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部と、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部とは、前記ハブの外周部を介して連なっている。この場合、さらに好ましくは、前記ハブは円筒状のハブ本体と、該ハブ本体からホイール径方向の外方に突出してホイール周方向に延びる突出部と、を有し、前記突出部は、少なくとも前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部と、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部との間に亘って周方向に延びている。
【0012】
(d)前記第1のメインスポークは、ホイール周方向の前記他方向に向かって膨らむ湾曲状に形成され、かつ、前記第1のメインスポークは、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部から前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部に亘る前記ハブの円弧形外周に滑らかに接続するように湾曲している。
【0013】
(e)前記第1のメインスポークと前記第2のメインスポークとのホイール周方向間に、別の第3のメインスポークが配置されている。この場合、さらに好ましくは、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部は、前記第3のメインスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール周方向に関して重複する領域に設定されている。
【0014】
(f)前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部に対し、前記第2のメインスポークと前記ハブとの連結部は、ホイール周方向に90度以上離れている。
【0015】
(g)前記メインスポークは、ホイール径外方に進むにつれ、ホイール周方向寸法が細くなる先細状に形成されている。
【0016】
(h)前記リムの車軸方向幅の中央部には、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む凹み部が、前記リムの全周に亘って形成されている。
【発明の効果】
【0017】
(1)本発明によると、ハブからリムに至るメインスポークを、ホイール径方向の外方に向かって、ホイール周方向に一方向に傾斜させているので、曲げ方向の剛性によって荷重総てを受ける場合に比べ、メインスポークの圧縮又は引っ張り方向の剛性でも荷重を受け、それによりメインスポークの変形を抑制し、ホイールの回転方向の剛性を向上させることができるのは勿論のこと、次の効果も奏する。
【0018】
メインスポークに加え、ハブからメインスポークに至ると共にメインスポークの傾斜方向と反対方向に傾斜するサブスポークを一体に備えているので、各メインスポークの変形をサブスポークにより抑制することができ、メインスポークの数を抑えて、軽量化を図りつつ、ホイールの回転方向の剛性を高めることができる。具体的には、メインスポークを支えるサブスポークを形成することで、メインスポークのハブ側(ホイール径方向の内方側)での剛性を高めることができ、サブスポークを配置したことに起因するホイールの回転中心回りの慣性モーメントの増加よりも、十分なホイール剛性向上効果を得ることができる。さらに、サブスポークは、メインスポークの傾斜方向側からメインスポークを支えることになるので、メインスポークが曲げ荷重を受けた場合に、サブスポークは圧縮又は引っ張り荷重として前記メインスポークの曲げ荷重を受けることができ、メインスポークの曲げ変形を効率よく抑制できる。このようにして、ホイールの質量増加を抑えて、慣性モーメントの増加を抑えつつ、ホイールの回転中心回りの剛性を向上させることができるのである。
【0019】
上記のようにホイールの剛性を向上させると、走行中におけるタイヤのグリップ状態あるいはスリップ状態が、的確にライダーに伝わり、すなわち、ライダーへのフィードバックが的確に行われ、ライダーは路面の状態及び走行状態を的確に把握することができ、また、ホイールの慣性モーメントを抑制することにより、車体の旋回性能を維持できる。
【0020】
(2)構成(a)によると、路面から第1のメインスポークに伝わる荷重を、ハブの回転中心に集中させることなく、第2のサブスポークを介して第2のメインスポーク及びリムに分散させることができ、第1のメインスポークの変形を抑制できる。
【0021】
(3)構成(b)によると、路面から第1のメインスポークに伝わる荷重は、第1のメインスポークの長さ方向に沿って伝わり、第2のサブスポークに受け止められるので、第1のメインスポークが受ける荷重を、第2のサブスポークを介して第2のメインスポーク及び第2のメインスポークが接続されるリムへと分散され、第1のメインスポークの変形を抑制できる。特に、第1のメインスポークの長さ方向の延長線上に第2のサブスポークとハブとの連結部を位置させ、前記延長線に沿って、第2のサブスポークをホイール径外方側に延ばしていると、路面から第1のメインスポークにかかる荷重が、第2のサブスポークへと分散され易くなり、第1のメインスポークの変形を、さらに抑制できる。
【0022】
(4)構成(c)によると、ハブの外周部を介して第1のメインスポークの内方側の連結部と第2のサブスポークの内方側の連結部とを連結しているので、第2のサブスポークを短く形成でき、ホイールの軽量化及び第1のメインスポークのさらなる変形抑制効果を期待できる。特に、ハブ本体の外周に突出部を形成することによりハブの剛性を向上させ、ハブの変形を防ぐことにより、第1のメインスポークから第2のサブスポークへの荷重伝達効率が、さらに向上する。
【0023】
(5)構成(d)によると、第1のメインスポークを傾斜方向とは反対方向に膨らむ湾曲状に形成することにより、第1のメインスポークに伝わる荷重を、第2のサブスポークに分散し易くなり、第1のメインスポークの変形をさらに抑制することができる。
【0024】
(6)構成(e)によると、サブスポークとメインスポークとの連結部を、ハブの外周面からホイール径方向の外方に一定距離だけ離すことができ、回転中心回りのホイールの剛性を向上させることができる。特に、第2のサブスポークとハブとの連結部と、第3のメインスポークとハブとの連結部と、をホイール周方向に関して重複する領域に設定することにより、第2のサブスポークとハブとの連結部の剛性を高め、また、第3のメインスポークとハブの連結部から第2のサブスポークが延びることで、第2のサブスポークの長さを短くできる。
【0025】
(7)構成(f)によると、第1のメインスポークが受けた荷重を、車軸に対して反対側のハブ部分に伝えることができ、第2のサブスポークへと分散させ易く、第1のメインスポークの変形をさらに抑制できる。
【0026】
(8)構成(g)によると、回転中心回りの剛性を維持しつつ、ホイールの軽量化並びに慣性モーメントの増加抑制を行うことができる。
【0027】
(9)構成(h)によると、ホイールの重量増加を抑えつつ、リムの剛性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るホイールを備えた自動二輪車の左側面図である。
【図2】図1の自動二輪車の後輪の左側面拡大図である。
【図3】図2の後輪用ホイールの前半部の左側面拡大図である。
【図4】図2の後輪用ホイールのIV-IV断面拡大図である。
【図5】図2の後輪用ホイールのV-V断面拡大図である。
【図6】図2の後輪用ホイールのVI-VI断面拡大図である。
【図7】図2の後輪用ホイールのVII-VII断面図である。
【図8】図2の後輪用ホイールのリムの正面部分図である。
【図9】図8のIX-IX断面図である。
【図10】図1の自動二輪車の前輪の左側面図である。
【図11】図10の前輪用ホイールの上半部を断面で示す正面図である。
【図12】本発明に係る後輪用ホイールの変形例を示す左側面図である。
【図13】図12の後輪用ホイールの正面図である。
【図14】本発明に係る前輪用ホイールの変形例を示す左側面図である。
【図15】図14の前輪用ホイールの正面図である。
【図16】本発明に係るホイールの別の変形例を示す左側面図である。
【図17】本発明に係るホイールの別の変形例を示す左側面図である。
【図18】本発明に係るホイールの別の変形例を示す左側面図である。
【図19】図1とは異なるホイール装着例を示す自動二輪車の左側面図である。
【図20】従来のホイールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明に係るホイールを備えた自動二輪車、特にオンロード走行やレース走行に適した自動二輪車の左側面図であり、まずこの図1により、自動二輪車全体の構成を説明する。
【0030】
メインフレーム1の前端に形成されたヘッドパイプ2には、操舵軸(図示せず)及び上下一対のブラケット3を介して左右一対のフロントフォーク4が支持され、該フロントフォーク4の下端部に固定された前車軸5に、前輪用ホイール6が回転自在に支持され、該前輪用ホイール6に前輪タイヤ7が装着されている。
【0031】
メインフレーム1の後下端部に形成されたスイングアームブラケット部1aには、後方に延びるスイングアーム13が上下揺動自在に支持され、該スイングアーム13の後端部に固着された後車軸15に、後輪用ホイール16が回転自在に支持され、該後輪用ホイール16に後輪タイヤ17が装着されている。前記スイングアーム13は、リヤショックアブソーバ18によりメインフレーム1に弾性支持されている。
【0032】
メインフレーム1の下側にはエンジン20が搭載され、該エンジン20の出力軸21は、駆動スプロケット22、駆動チェーン23及び被駆動スプロケット24を介して後輪用ホイール16に動力伝達可能に連結され、エンジン20の駆動力により、後輪用ホイール16及び後輪タイヤ17からなる後輪を、矢印R1方向に回転する。
【0033】
メインフレーム1及び後部フレーム1bの上側には、燃料タンク25及びシート26等が設置され、フロントフォーク連結用の前記上側のブラケット3には、ハンドル装置27が設けられている。
【0034】
図2は図1の後輪の左側面拡大図、図3は後輪用ホイール16の前半部の左側面拡大図、図4,図5及び図6は、図2のIV-IV、V-V及びVI-VI断面拡大図、図7は図2のVII-VII断面図、図8は後輪用リムの正面部分図、図9は図8のIX-IX断面図であり、これらの図面により、後輪用ホイール16の構造を詳細に説明する。
【0035】
図2において、後輪用ホイール16は、後車軸15に回転自在に支持される後輪用ハブ31と、前記後輪タイヤ17が装着される後輪用リム32と、前記後輪用ハブ31と前記後輪用リム32とを結合する複数のスポーク33,34と、を一体に備えている。該実施の形態では、後輪用ホイール16として、マグネシウムの鍛造成形物を切削加工したものを使用しており、これにより軽量化を図っているが、その他、量産に適するように、アルミニウム合金、ステンレス鋼あるいは鋳鉄等を利用することが可能である。
【0036】
前記複数のスポーク33,34は、ホイール周方向に等間隔を置いて配置された5本のメインスポーク33と、各メインスポーク33の途中にそれぞれ一体に連結された5本のサブスポーク34とから構成されている。
【0037】
各メインスポーク33は、後輪用ハブ31の外周面から後輪用リム32の内周面に至ると共に、ホイール径方向の外方に向かって、ホイール回転方向(前進走行時の回転方向)R1側に傾斜している。具体的に説明すると、ホイール回転中心O1と、メインスポーク33と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1と、を結ぶ直線M1に対し、メインスポーク33と後輪用ハブ31との前記連結部の中心点C1と、メインスポーク33の外周端と後輪用リム32との連結部の中心点C2と、を結ぶ直線M2が、角度θ1だけ回転方向R1側に傾斜している。前記傾斜角度θ1は、たとえば45度〜90度程度である。
【0038】
さらに、各メインスポーク33は、該メインスポーク33の径方向の内外の前記連結部の中心点C1,C2を結ぶ前記直線M2に対し、反回転方向R2側に膨らむ湾曲形状に形成されている。特に、メインスポーク33の反回転方向R2側の端縁33aの形状が、湾曲形状であることを明確に表している。ただし、サブスポーク34とメインスポーク33との連結部の中心C4よりホイール径方向外方側のメインスポーク33部分は、略直線状に形成されている。
【0039】
メインスポーク33のホイール周方向の幅(寸法)は、ホイール径方向外方に行くにつれて細くなる先細形状に形成されており、メインスポーク33のホイール径方向外周端の回転方向R1側及び反回転方向R2側の各端縁は、それぞれR面41を介して後輪用リム32の内周面に接続されている。
【0040】
各サブスポーク34は、連結されるメインスポーク33に対して回転方向R1側(メインスポークの傾斜側)に配設されており、後輪用ハブ31の外周面からメインスポーク33の長さ方向の略中間部に至ると共に、ホイール径方向の外方に向かって、メインスポーク33の傾斜側とは反対側、すなわち反回転方向R2側に傾斜している。具体的に説明すると、ホイール回転中心O1と、サブスポーク34と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3と、を結ぶ直線M3に対し、前記サブスポーク34と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3と、サブスポーク34とメインスポーク33との連結部の中心点C4と、を結ぶ直線M4が、ホイール径外方に向けて、角度θ2だけ反回転方向R2側に傾斜している。前記傾斜角度θ2は、たとえば45度〜90度程度である。
【0041】
前記メインスポーク33が湾曲状に形成されているのに対し、サブスポーク34は、略直線状に形成されており、かつ、サブスポーク34のホイール周方向の幅(寸法)は、径方向の全長に亘って略一様な寸法に形成されている。また、サブスポーク34の反回転方向R2側の端部のホイール径方向の内外端縁は、それぞれR面42を介してメインスポーク33に接続されている。なお、メインスポーク33とサブスポーク34との連結部において、メインスポーク33の反回転方向R2側の端縁33aに対するサブスポーク34の交差角度θ5は、直角又は直角に近い角度に設定されている。
【0042】
さらに、メインスポーク33のホイール径方向の内方端の反回転方向R2側の端縁と、該メインスポーク33に対して反回転方向R2側に隣合うサブスポーク34の内方端の回転方向R1側の端縁とは、後輪用ハブ31の外周端に形成されたR面43を介して滑らかに接続している。
【0043】
図4において、名メインスポーク33は、車軸方向に間隔を置いて対向配置された一対の側壁部(リブ部)33bと、両側壁部33bを一体に連結するウエブ33aとから、断面H形状に形成されている。ただし、図2のサブスポーク34との連結部よりホイール径方向の外方側部分は、図6に示すように、断面コの字形状に形成されている。このように、メインスポーク33の断面をH形状又はコの字形状とすることにより、重量増加を抑えつつ、曲剛性を高くし、かつ、後輪用ホイール16の固有振動数も高めている。
【0044】
図5において、各サブポーク34も、メインスポーク33と同様、車軸方向に間隔を置いて対向配置された一対の側壁部34bと、両側壁部34bを一体に連結するウエブ34aとから形成されている。図5の実施の形態では、サブスポーク34は断面H形状となっているが、その他、断面コの字状、T字状あるいはL字状等、径方向に突出する突出部(側壁部34b等)を有するリブ形状とすることもできる。このように、サブスポーク34の断面形状を、径方向に突出する突出部を有する形状とすることにより、メインスポーク33と同様に、曲剛性を高くし、かつ、後輪用ホイール16の固有振動数を高めている。
【0045】
図7において、後輪用ハブ31は、円筒状のハブ本体31aを有し、該ハブ本体31aの外周面の軸方向両端に、ホイール径方向の外方に突出する突出部31bが一体に形成されている。該突出部31bはハブ本体31aの略全周に亘ってフランジ状に形成されている。なお、前述のR面、すなわちメインスポーク33のホイール径方向内方端の反回転方向R2側の端縁とサブスポーク34のホイール径方向内方端の回転方向R1側の端縁とを接続するR面43は、前記突出部31bの外周端縁に形成されている。
【0046】
図8において、後輪用リム32は、車軸方向の両端に、後輪タイヤ17の車軸方向の位置を規制する環状突起32aが一体に形成されると共に、車軸方向に中央部に、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む環状凹み部32bが、リム全周に亘って形成され、これにより、重量の増加を抑えつつ、後輪用リム32の剛性及び固有振動数を向上させている。
【0047】
図9において、後輪用リム32の環状凹み部32bの底部と、メインスポーク33のホイール径方向外方端との連結部には、前記環状凹み部32bの底壁部からホイール径方向の内方にさらに凹む連結用凹部32cが形成されており、これにより、後輪用リム32のさらなる軽量化を図っている。
【0048】
ここで、任意のメインスポーク33と、該メインスポーク33から反回転方向R2側へ一つ置いて配置された別のメインスポーク33に連結されたサブスポーク34との位置関係等を、特許請求の範囲に記載した内容及び用語に対応させて説明するために、前記任意のメインスポーク33等の名称を、図3に基づき次のように仮定する。
【0049】
図3の下端部に位置しているメインスポーク及びこれに連結されるサブスポークを、第1のメインスポーク33−1及び第1のサブスポーク34−1と称し、この第1のメインスポーク33−1及び第1のサブスポーク34−1に対し、反回転方向R2側に一つ置いて配置されたメインスポーク及びサブスポークを、第2のメインスポーク33−2及び第2のサブスポーク34−2と称し、前記第1のメインスポーク33−1と前記第2のサブスポーク34−2間に配置されたメインスポーク及びサブスポークを、第3のメインスポーク33−3及び第3のサブスポーク34−3と称することとする。勿論、上記名称は、単に説明の都合上設定したものであり、いずれのメインスポーク33及びサブスポーク34も、第1のメインスポーク及び第1のサブスポークと称することができる。
【0050】
第1のメインスポーク33−1と、第2のサブスポーク34−2とは、路面から第1のメインスポーク33−1が受けた荷重(特にメインスポーク33−1の長さ方向の荷重)が、後輪用ハブ31の外周端部の一部を介して、第2のサブスポーク34−2の長さ方向の荷重として伝達されるように配設されている。具体的には、第2のサブスポーク34−2の内外周端(内外連結部の中心点C3、C4)を結ぶ前記直線M4は、第1のメインスポーク33−1の長さ方向に沿って後輪用リム32から後輪用ハブ31へ向かう湾曲状の線分の略延長線上に配置されている。すなわち、前記延長線上には、第2のサブスポーク34−2と後輪用バブ31との連結部の中心点C3と、第2のサブスポーク34−2と第2のメインスポーク33との連結部の中心点C4と、が存在しているのであって、第2のサブスポーク34−2は、前記延長線に沿って、前記中心点C3から前記中心点C4を通るように、ホイール径外方側に延びているのである。
【0051】
また、第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1と、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3とは、後輪用ハブ31の外周突出部31bを介して一体に連なっている。
【0052】
第1のメインスポーク33−1は、前述のように反回転方向R2側に膨らむように湾曲しているが、具体的には、前記第1のメインスポーク33−1は、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部から第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部に亘る後輪用ハブ31の円弧形外周に滑らかに接続するように湾曲している。
【0053】
第1のメインスポーク33−1と第2のメインスポーク33−2とのホイール周方向間に、第3のメインスポーク33−3が配置されているが、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3は、第3のメインスポーク33−3と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1と、ホイール周方向に関して略重複する領域に設定されている。
【0054】
また、第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1に対し、第2のメインスポーク33−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1は、反回転方向R2側に90度以上離れて位置している。すなわち、図3に示す2つの直線M1M1間の角度θ6は、90度以上、180度未満に設定されている。
【0055】
[前輪用ホイール6の構成]
図10は前輪の左側面拡大図、図11は前輪用ホイール6の正面図(上半部は断面)を示している。図10において、前輪用ホイール6は、前記前車軸5に回転自在に支持される前輪用ハブ131と、前輪タイヤ7が装着される前輪用リム132と、前記前輪用ハブ131と前輪用リム132とを結合する複数のスポーク133,134と、を一体に備えている。前輪用ホイール6の材質も、後輪用ホイール16と同様であり、マグネシウムの鍛造成形物を切削加工したものであり、これにより軽量化を図っているが、アルミニウム合金、ステンレス鋼あるいは鋳鉄等を利用することが可能である。
【0056】
前輪用ホイール6のスポーク133,134は、後輪用ホイール16と同様、ホイール周方向に等間隔を置いて配置された5本のメインスポーク133と、各メインスポーク133にそれぞれ一体に連結された5本のサブスポーク134とから構成されている。前輪用ホイール6のメインスポーク133及びサブスポーク134が、後輪用ホイール16のメインスポーク33及びサブスポーク34と異なる構造は、ホイール周方向の傾斜方向がそれぞれ逆向きとなっていることであり、その他の構造は後輪用ホイール16と同様である。すなわち、前輪用ホイール6のメインスポーク133は、ホイール径方向の外方に向けて、反回転方向R2側に傾斜すると共に、回転方向R1側に膨らむように湾曲しており、一方、前輪用ホイール6のサブスポーク134は、ホイール径方向の外方に向けて、回転方向R1側に傾斜すると共に、直線状に形成されている。
【0057】
また、メインスポーク133の径方向の内外周端部並びにメインスポーク133とサブスポーク134との連結部には、それぞれ後輪用ホイール16と同様に、R面141,142,143等が形成されている。
【0058】
図11において、前輪用ハブ131は、後輪用ハブ31と同様、円筒状のハブ本体131aを有し、該ハブ本体31aの外周面の軸方向両端に、ホイール径方向の外方に突出する突出部131bが一体に形成されている。該突出部31bはハブ本体31aの略全周に亘ってフランジ状に形成されている。
【0059】
また、前輪用リム132も、後輪用リム32と同様、車軸方向の両端に、後輪タイヤ17の車軸方向の位置を規制する環状突起132aが一体に形成されると共に、車軸方向の中央部に、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む環状凹み部132bが、リム全周に亘って形成され、これにより、重量の増加を抑えつつ、後輪用リム32の剛性及び固有振動数を向上させている。
【0060】
さらに、前輪用リム132の環状凹み部132bの底部と、メインスポーク133のホイール径方向外方端との連結部には、前記環状凹み部132bの底壁部からホイール径方向の内方に凹む連結用凹部132cが形成されており、これにより、前輪用リム132のさらなる軽量化を図っている。
【0061】
[実施の形態の作用効果]
(1)図2において、走行中、後輪用ハブ31に対して後輪用リム32をホイール回転中心O1回りに相対変位させるような荷重(ホイール周方向のねじり荷重)が生じるが、メインスポーク33を傾斜させていることにより、メインスポーク33に対し、曲げ荷重、すなわちホイール径方向に直交する方向の荷重やメインスポーク33の長手方向に直交する方向の荷重を生じさせる他、メインスポーク33の長手方向の圧縮荷重を生じさせることができる。この場合、各スポークの曲げ方向の剛性によって荷重総てを受ける場合に比べ、圧縮方向の剛性でも荷重を受けることで、メインスポーク33の変形を抑制し、後輪用ホイール16の回転方向の剛性を向上させることができる。
【0062】
(2)図2において、後輪用ハブ31から後輪用リム32に至るメインスポーク33を、ホイール径方向の外方に向かって、回転方向R1側に傾斜させているので、ドライブ走行時、特に加速時、メインスポーク33は、曲げ荷重に加え、メインスポーク33の長さ方向の圧縮荷重を受けることができるので、メインスポーク33の変形を抑制し、ドライブ駆動時における後輪用ホイール16の回転方向の剛性を向上させることができる。
【0063】
(3)特に、メインスポーク33に加え、後輪用ハブ31からメインスポーク33の途中に至ると共にメインスポーク33の傾斜方向と反対方向に傾斜するサブスポーク34を一体に備えているので、各メインスポーク33の変形をこれに連結されたサブスポーク34により抑制することができ、メインスポークの数を抑えて、軽量化を図りつつ、ホイールの回転方向の剛性を高めることができる。また、ホイールの固有振動数も高くすることができる。
【0064】
具体的には、各メインスポーク33を支えるサブスポーク34をそれぞれ形成することで、メインスポーク33のホイール径方向の内方側での剛性を高めることができ、サブスポーク34を配置したことに起因する後輪用ホイール16のホイール回転中心回りの慣性モーメントの増加よりも、十分なホイール剛性向上効果を得ることができる。
【0065】
(4)さらに各サブスポーク34は、メインスポーク33をその傾斜方向側から支えることになるので、メインスポーク33が曲げ荷重を受けた場合に、サブスポーク34は圧縮(又は引っ張り荷重)として前記メインスポーク33の曲げ荷重を受けることができ、メインスポーク33の曲げ変形をさらに抑制できる。このようにして、ホイールの質量増加を抑え、これにより慣性モーメントの増加を抑えつつ、ホイール回転中心回りの剛性を向上させることができるのである。後輪用ホイール16の剛性を上記のように向上させると、走行中における後輪タイヤ17のグリップ状態あるいはスリップ状態が、的確にライダーに伝わり、すなわち、ライダーへのフィードバックが的確に行われ、ライダーは地面の状態及び走行状態を的確に把握することができ、また、ホイールの慣性モーメントを抑制することにより、車体の旋回性能を維持できる。
【0066】
(5)図3のように、第1のメインスポーク33−1と、該第1のメインスポーク33−1から一つ置いた第2のメインスポーク33−2に接続される第2のサブスポーク34−2とを、路面から第1のメインスポーク33−1が受けた荷重が第2のサブスポーク34−2に伝達されるように配設しているので、路面から第1のメインスポーク33−1に伝わる荷重は、後輪用ハブ31の回転中心に集中することなく、第2のサブスポーク34−2を介して第2のメインスポーク33−2及びリム32に分散させることができ、第1のメインスポーク33−1の変形を抑制できる。
【0067】
(6)図3のように、第2のサブスポーク34−2は、第1のメインスポーク33−1の長さ方向に沿ってリム32からハブ31へ向かう線分の略延長線上に配置されているので、路面から第1のメインスポーク33−1に伝わる荷重は、第1のメインスポーク33−1の長さ方向に沿って伝わり、第2のサブスポーク34−2に受け止められ、第2のメインスポーク33−2及び第2のメインスポーク33−2が接続されるリム32へと分散され、第1のメインスポーク33−1の変形を抑制できる。特に、第1のメインスポーク33−1の長さ方向に沿って後輪用リム32から後輪用ハブ31へ向かう線分の延長線上に、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3が存在し、前記延長線に沿って、第2のサブスポーク34−2がホイール径外方側に延びているので、路面から第1のメインスポーク33−1にかかる荷重が、第2のサブスポーク34−2へと分散され易くなり、第1のメインスポーク33−1の変形を、さらに抑制できる。
【0068】
(7)図3のように、第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部(中心点C1)と、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部(中心点C3)とは、後輪用ハブ31の外周部を介して連なっているので、第2のサブスポーク34−2を短く形成でき、ホイールの軽量化及び第1のメインスポーク33−1のさらなる変形抑制効果を期待できる。特に、図7のように、円筒状のハブ本体31aの外周に環状の突出部31bを形成することにより後輪用ハブ31の剛性を向上させ、後輪用ハブ31の変形を防ぐことにより、第1のメインスポーク33−1から第2のサブスポーク34−2への荷重伝達効率が、さらに向上する。
【0069】
(8)図3のように、第1のメインスポーク33−1は湾曲状に形成されており、しかも、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部から第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部に亘る後輪用ハブ31の円弧形外周に滑らかに接続するように湾曲しているので、第1のメインスポーク33−1に伝わる荷重を、第2のサブスポーク34−2に分散し易くなり、第1のメインスポーク33−1の変形をさらに抑制することができる。
【0070】
(9)第1のメインスポーク33−1と第2のメインスポーク33−2とのホイール周方向間に、別の第3のメインスポーク33−3が配置されているので、たとえば第2サブスポーク34−2と第2のメインスポーク33−1との連結部を、後輪用ハブ31からホイール径方向の外方に離すことができ、ホイール回転中心回りのホイール7等の剛性を向上させることができる。特に、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部(中心点C3)と、第3のメインスポーク33−3と後輪用ハブ31との連結部(C1)と、をホイール周方向に関して重複する領域に設定しているので、第2のサブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の剛性を高め、また、第3のメインスポーク33−3と後輪用ハブ31の連結部から第2のサブスポーク34−2が延びることで、第2のサブスポーク34−2の長さを短くできる。
【0071】
(10)第1のメインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部(中心点C1)に対し、第2のメインスポーク33−2と後輪用ハブ31との連結部(中心点C1)は、ホイール周方向に90度以上離れているので、第1のメインスポーク33−1が受けた荷重を、後車軸15に対して反対側の後輪用ハブ31部分に伝えることができ、第2のサブスポーク34−2へと分散させ易く、第1のメインスポーク33−1の変形をさらに抑制できる。
【0072】
(11)図2において、メインスポーク33は、ホイール径外方に進むにつれ、ホイール周方向寸法が細くなる先細状に形成されているので、ホイール回転中心O1回りの剛性を維持しつつ、後輪用ホイール16の軽量化並びに慣性モーメントの増加抑制を行うことができる。前輪用ホイール6についても同様である。
【0073】
(12)図8のように、後輪用リム32の車軸方向幅の中央部には、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む凹み部32bが、後輪用リム32の全周に亘って形成されているので、後輪用リム32の重量を増やすことなく、後輪用リム32の剛性を向上させることができる。前輪用リム132についても同様の利点がある。
【0074】
(13)図1に示す自動二輪車では、後輪用ホイール16のメインスポーク33を、ホイール径方向の外方に向かって、回転方向R1側に傾斜させ、一方、前輪用ホイール6のメインスポーク133を、ホイール径方向の外方に向かって、反回転方向R2側に傾斜させているので、加速時等のようなドライブ走行時に路面から大きな荷重がかかる後輪では、メインスポーク33の長さ方向の荷重として前記ドライブ荷重を受けることができ、一方、ブレーキング時に路面から大きな荷重がかかる前輪では、ブレーキング時にメインスポーク133の長さ方向の荷重として前記ブレーキング荷重を受けることができる。
【0075】
(14)図4及び図6のように、メインスポーク33の断面形状を、車幅方向の両端部に径方向に突出する突出部(33b)を有する形状、たとえば断面H形状又は断面コの字形状に形成しているので、重量を増やすことなく、メインスポーク33の曲剛性を向上させることができる。
【0076】
(15)図5のように、サブスポーク34の断面形状を、車幅方向の両端部に径方向に突出する突出部(34b)を有する形状、たとえば断面H形状に形成しているので、重量を増やすことなく、サブスポーク34の面外剛性を向上させることができる。
【0077】
(16)図2において、該実施の形態におけるサブスポーク34は、車軸方向に見て、直線状に形成されているので、ホイールの製造が容易である。
【0078】
(17)図2において、メインスポーク33のホイール径方向の外方端縁は、R面41を介してリム32の内周面に繋がっているので、メインスポーク33とリム32との連結部における応力集中を緩和し、ホイールの強度を向上させることができる。なお、上記R面41の代わりに、メインスポーク33のホイール径方向の外方端縁を、略直線的に「ハ」の字状に周方向に広がる形状としたり、T字状に周方向に広がる形状とすることも可能である。
【0079】
(18)図2のように、メインスポーク33が湾曲しているので、メインスポーク33が受ける曲げ荷重成分を減らして、メインスポーク33の長さ方向の圧縮又は引っ張り荷重成分を多くすることができる。好ましくは、メインスポーク33とリム32との連結部並びにメインスポーク33とハブ31との連結部において、ホイール径方向に比べてホイール周方向に延びる寸法が大きくなるようにする。
【0080】
(19)図1に示すような自動二輪車において、前輪ホイール6及び/又は後輪ホイール16を交換するだけで、レース等におけるラップタイムを変化させることができる。
【0081】
[ホイールの変形例]
(1)図12は後輪用ホイール16の変形例の左側面図、図13は図12の後輪用ホイール16の正面図である。図12において、後輪用スポークは、前記図2と同様に、メインスポーク33とこれらにそれぞれ接続されるサブスポーク34とから構成されているが、各メインスポーク33に対する各サブスポーク34の連結部(中心点C4)が、メインスポーク33のホイール径方向の外方端縁近傍に設定されている。その他の構造は図2の構造と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。勿論、図12及び図13のホイール構造を前輪用ホイール6に適用することも可能である。
【0082】
(2)図14は前輪用ホイール6の変形例の左側面図、図15は図14の前輪用ホイール6の正面図であり、前輪用スポークは、7本のメインスポーク133とこれらにそれぞれ接続される7本のサブスポーク134とから構成されている。
【0083】
湾曲状に形成された各メインスポーク133の径方向内方端部は、ホイール回転方向R1側に二つ置いたメインスポーク133に連結されたサブスポーク134に、前輪用ハブ131の外周端部を介して滑らかに接続し、路面から前記メインスポーク133の長手方向に係る荷重が、2つ置いたサブスポーク134の長さ方向の荷重となるように構成されている。その他の構造は図10の構造と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。図14のようにメインスポーク133を7本備えている場合は、メインスポーク133の傾斜角度θ1は、約45度が好ましい。
【0084】
(3)図16は後輪用ホイール16の別の変形例を示しており、前記図2と同様に、5本のメインスポーク33とこれらにそれぞれ接続される5本のサブスポーク34とから構成されているが、各メインスポーク33は直線状に形成されている。その他の構造は図2の構造と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。勿論、図12のホイール構造を前輪用ホイール6に適用することも可能である。
【0085】
(4)図17も後輪用ホイール16の別の変形例を示しており、スポークは、前記図2と同様に、5本のメインスポーク33とこれらにそれぞれ接続される5本のサブスポーク34とから構成されているが、各メインスポーク33は直線状に形成され、かつ、各メインスポーク33のホイール径方向内方端部は、隣り合うメインスポーク33に連結されたサブスポーク34に、略直線状に連結されている。その他の構造は図2の構造と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。勿論、図13のホイール構造を前輪用ホイール6に適用することも可能である。なお、該変形例において、メインスポーク33を湾曲状に形成することも可能である。
【0086】
(5)図18も後輪用ホイール16の別の変形例を示しており、スポークは、前記図2と同様に、5本のメインスポーク33とこれらにそれぞれ接続される5本のサブスポーク34とから構成されているが、各メインスポーク33は直線状に形成されている。ただし、いずれのサブスポーク34も、メインスポーク33の長さ方向の内方延長線上には配置されていない。なお、該変形例において、メインスポーク33を湾曲状に形成することも可能である。
【0087】
(6)メインスポーク33及びサブスポーク43からなる本発明のホイール構造において、メインスポーク33の剛性がサブスポーク34の剛性よりも大きくなるように、それらの断面形状並びに車軸方向に見た形状を形成することが好ましい。これにより、路面からの荷重を、主としてメインスポーク33で受けるように構成することができる。具体例としては、サブスポーク34よりもメインスポーク33の方が、ホイール径寸法の大きい部分が存在するように構成する。
【0088】
[自動二輪車への別の装着例]
図19は、自動二輪車への別の装着例であり、前輪用ホイール6として、後輪用ホイール16の各スポークと同様な方向に傾斜したメインスポーク133及びサブスポーク134を備えたホイールを使用している。その他の構成は前記実施の形態と同じである。
【0089】
[その他の実施の形態]
(1)前記各実施の形態及び変形例では、ホイールは、5本又は7本のメインスポークと5本又は7本のサブスポークを備えているが、本発明はそのようなスポーク数に限定されることはない。たとえば、メインスポークとサブスポークとを3本ずつ、あるいは9本ずつ備える構造とすることもできる。なお、メインスポークの数を奇数本とするのが好ましく、奇数本とすることで、メインスポーク同士が、ホイール径方向に180度の位相差で配置されることを避けることができ、これにより、路面からメインスポークに伝達される荷重を、効率良く、ホイール全体に亘って分散させることができる。
【0090】
(2)前記第1の実施の形態等では、前後のホイール共に、メインスポークとサブスポークとの組合せによるホイール構造を備えているが、いずれか一方のホイールのみに本発明を適用することも可能である。
【0091】
(3)前記各実施の形態では、総てのメインスポークに対してサブスポークを連結しているが、任意のメインスポークにサブスポークを連結する構造とすることも可能である。
【0092】
(4)メインスポークに対してサブスポークが連結される位置(図2の中心点C4)は、メインスポークの径方向の中央部あるいは該中央部よりも径方向の外方部分であることが好ましい。
【0093】
(5)エンジン(内燃機関)を搭載した車両のみならず、電動自動二輪車等の車両にも適用可能である。
【0094】
(6)自動二輪車以外の車両についても本発明のホイール構造を適用することは可能であり、好ましくは、鞍乗り型等の車両への適用が効果的である。
【0095】
(7)本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0096】
5 前車軸
6 前輪用ホイール
7 前輪タイヤ
15 後車軸
16 後輪用ホイール
17 後輪タイヤ
31 後輪用ハブ
31a ハブ本体
31b 突出部
32 後輪用リム
32b 凹み部
33 後輪用メインスポーク
33−1 後輪用第1のメインスポーク
33−2 後輪用第2のメインスポーク
33−3 後輪用第3のメインスポーク
34 後輪用サブスポーク
34−1 第1のサブスポーク
34−2 第2のサブスポーク
34−3 第3のサブスポーク
41,42,43 R面
131 前輪用ハブ
132 前輪用リム
133 前輪用メインスポーク
134 前輪用サブスポーク
C1,C2,C3,C4 連結部の中心点
141,142,143 R面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸に支持されるハブと、タイヤが装着されるリムと、前記ハブと前記リムとを結合する複数のスポークと、を一体に備えた自動二輪車用ホイールにおいて、
前記スポークとして、前記ハブから前記リムに至るメインスポークと、前記ハブから前記メインスポークに至るサブスポークと、を備え、
前記メインスポークは、該メインスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール回転中心と、を結ぶ直線に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、ホイール周方向の一方向に傾斜し、
前記サブスポークは、該サブスポークと前記ハブとの連結部と、前記ホイール回転中心と、を結ぶ直線に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、前記ホイール周方向の他方向に傾斜する形状に形成されている、
ことを特徴とする自動二輪車用ホイール。
【請求項2】
前記複数のメインスポークの任意の第1のメインスポークと、該第1のメインスポークとは異なる第2のメインスポークに連結された第2のサブスポークとは、路面から前記第1のメインスポークが受けた荷重が前記第2のサブスポークに伝達されるように配設されている、請求項1に記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項3】
前記第2のサブスポークは、前記第1のメインスポークの長さ方向に沿って前記リムから前記ハブへ向かう線分の略延長線上に配置されている、請求項2に記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項4】
前記第1のメインスポークの長さ方向に沿って前記リムから前記ハブへ向かう前記線分の延長線上に、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部が存在し、前記延長線に沿って、前記第2のサブスポークがホイール径方向の外方に延びている、請求項3に記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項5】
前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部と、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部とは、前記ハブの外周部を介して連なっている、請求項4に記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項6】
前記ハブは円筒状のハブ本体と、該ハブ本体からホイール径方向の外方に突出してホイール周方向に延びる突出部と、を有し、
前記突出部は、少なくとも前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部と、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部との間に亘って周方向に延びている、請求項3乃至5のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項7】
前記第1のメインスポークは、ホイール周方向の前記他方向に向かって膨らむ湾曲状に形成され、
かつ、前記第1のメインスポークは、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部から前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部に亘る前記ハブの円弧形外周に滑らかに接続するように湾曲している、請求項3乃至6のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項8】
前記第1のメインスポークと前記第2のメインスポークとのホイール周方向間に、別の第3のメインスポークが配置されている、請求項2乃至7のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項9】
前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部は、前記第3のメインスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール周方向に関して重複する領域に設定されている、請求項8に記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項10】
前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部に対し、前記第2のメインスポークと前記ハブとの連結部は、ホイール周方向に90度以上離れている、請求項2乃至9のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項11】
前記メインスポークは、ホイール径外方に進むにつれ、ホイール周方向寸法が細くなる先細状に形成されている、請求項1乃至10のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項12】
前記リムの車軸方向幅の中央部には、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む凹み部が、前記リムの全周に亘って形成されている、請求項1乃至11のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項1】
車軸に支持されるハブと、タイヤが装着されるリムと、前記ハブと前記リムとを結合する複数のスポークと、を一体に備えた自動二輪車用ホイールにおいて、
前記スポークとして、前記ハブから前記リムに至るメインスポークと、前記ハブから前記メインスポークに至るサブスポークと、を備え、
前記メインスポークは、該メインスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール回転中心と、を結ぶ直線に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、ホイール周方向の一方向に傾斜し、
前記サブスポークは、該サブスポークと前記ハブとの連結部と、前記ホイール回転中心と、を結ぶ直線に対し、前記ハブからホイール径方向の外方に向けて、前記ホイール周方向の他方向に傾斜する形状に形成されている、
ことを特徴とする自動二輪車用ホイール。
【請求項2】
前記複数のメインスポークの任意の第1のメインスポークと、該第1のメインスポークとは異なる第2のメインスポークに連結された第2のサブスポークとは、路面から前記第1のメインスポークが受けた荷重が前記第2のサブスポークに伝達されるように配設されている、請求項1に記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項3】
前記第2のサブスポークは、前記第1のメインスポークの長さ方向に沿って前記リムから前記ハブへ向かう線分の略延長線上に配置されている、請求項2に記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項4】
前記第1のメインスポークの長さ方向に沿って前記リムから前記ハブへ向かう前記線分の延長線上に、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部が存在し、前記延長線に沿って、前記第2のサブスポークがホイール径方向の外方に延びている、請求項3に記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項5】
前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部と、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部とは、前記ハブの外周部を介して連なっている、請求項4に記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項6】
前記ハブは円筒状のハブ本体と、該ハブ本体からホイール径方向の外方に突出してホイール周方向に延びる突出部と、を有し、
前記突出部は、少なくとも前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部と、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部との間に亘って周方向に延びている、請求項3乃至5のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項7】
前記第1のメインスポークは、ホイール周方向の前記他方向に向かって膨らむ湾曲状に形成され、
かつ、前記第1のメインスポークは、前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部から前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部に亘る前記ハブの円弧形外周に滑らかに接続するように湾曲している、請求項3乃至6のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項8】
前記第1のメインスポークと前記第2のメインスポークとのホイール周方向間に、別の第3のメインスポークが配置されている、請求項2乃至7のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項9】
前記第2のサブスポークと前記ハブとの連結部は、前記第3のメインスポークと前記ハブとの連結部と、ホイール周方向に関して重複する領域に設定されている、請求項8に記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項10】
前記第1のメインスポークと前記ハブとの連結部に対し、前記第2のメインスポークと前記ハブとの連結部は、ホイール周方向に90度以上離れている、請求項2乃至9のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項11】
前記メインスポークは、ホイール径外方に進むにつれ、ホイール周方向寸法が細くなる先細状に形成されている、請求項1乃至10のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【請求項12】
前記リムの車軸方向幅の中央部には、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む凹み部が、前記リムの全周に亘って形成されている、請求項1乃至11のいずれか一つに記載の自動二輪車用ホイール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−67267(P2013−67267A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207377(P2011−207377)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
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