説明

自動二輪車

【課題】サイドカウルによりサイドラジエーターの前部の少なくとも一部が覆われている自動二輪車において、走行風のサイドラジエーターへの供給効率を向上する。
【解決手段】ラジエーター17は、風受け面17aが車幅方向外方を向くようにクランクシャフト15aの車幅方向外方に配置されている。サイドカウル20dは、ラジエーター17の前方とラジエーター17の前部の少なくとも一部の車幅方向外方とを覆っている。足載せ部材21は、サイドカウル20dの前方に配置されている。足載せ部材21には、車幅方向の一端から他端に至って延びている平坦な足載せ面21aが形成されている。足載せ部材21には、導風通路21eが形成されている。導風通路21eは、サイドカウル20dの内方の空間のラジエーター17が配置されている部分に走行風を導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動二輪車に関する。詳細には、本発明は、クランクシャフトの車幅方向外方に配置されている所謂サイドラジエーターを有する自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1などに、所謂サイドラジエーターを有する自動二輪車が開示されている。ここで、サイドラジエーターとは、クランクシャフトの車幅方向外方に配置されているラジエーターのことをいう。サイドラジエーターは、通常、自動二輪車の車幅方向寸法が大きくならないように、走行風を受ける風受け面が車幅方向外方を向くように配置されている。
【0003】
サイドラジエーターを用いた場合、冷却対象となるシリンダヘッドやシリンダボディと、ラジエーターとの間の距離が短くなる。このため、シリンダヘッドやシリンダボディとラジエーターとを接続する冷却液通路を短くすることができる。また、サイドラジエーターを用いた場合、クランクシャフトによりラジエーターファンを直接駆動することができる。従って、サイドラジエーターを用いることにより、ラジエーター周りの構成をシンプルにすることができる。さらに、サイドラジエーターを用いた場合、エンジンよりも前方にラジエーター及び冷却液通路の配置スペースを確保する必要がない。よって、サイドラジエーターは、排気量が小さい自動二輪車をはじめ、種々の自動二輪車に広く用いられるようになってきている。
【0004】
上述のように、サイドラジエーターは、風受け面が車幅方向外方を向くように配置されている。このため、平面視において前方を向いている通常のラジエーターとは異なり、サイドラジエーターは走行風を直接受けにくい。よって、通常、サイドラジエーターの車幅方向内方にラジエーターファンが設けられており、サイドラジエーターへの冷却風は、サイドラジエーターの車幅方向外方から供給される。よって、ラジエーターにおける冷却液の高い冷却効率を実現するためには、サイドラジエーターの車幅方向外方にサイドカウルを配置しないことが好ましい。そうすることにより、サイドラジエーターへの冷却風の供給効率を向上させることができるためである。
【0005】
しかしながら、例えば、タンデムフートレストを配置する場合など、サイドカウルを後方にまで延ばす必要があることもある。また、他の理由でサイドカウルを後方にまで延ばす必要がある場合もある。そのような場合においては、サイドラジエーターの前部の一部がサイドカウルにより覆われてしまう場合もある。サイドラジエーターの前部の一部がサイドカウルにより覆われている場合、サイドラジエーターへの冷却風の供給効率が低くなる傾向にある。このため、サイドラジエーターへの冷却風の供給効率を向上する何らかの方策を講じる必要がある。
【0006】
サイドラジエーターへの冷却風の供給効率を向上する方策のひとつとして、例えば特許文献1には、図13に示すように、車幅方向外方に延びるフィン101を設けることが記載されている。フィン101を設けることにより、後方に向かって流れる走行風がサイドラジエーター100側に導かれる。その結果、サイドラジエーター100への冷却風の供給効率を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−106382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年、エンジンの排気量を大きくしたいという要望などもあり、ラジエーターに要求される冷却効率も高まってきている。このため、サイドラジエーターを採用した自動二輪車においては、走行風のサイドラジエーターへのより高い供給効率が求められるようになってきている。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、サイドカウルによりサイドラジエーターの前部の少なくとも一部が覆われている自動二輪車において、走行風のサイドラジエーターへの供給効率を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る自動二輪車は、車体フレームと、ユニットスイング式のエンジンと、ラジエーターと、カウルと、足載せ部材とを備えている。エンジンは、車体フレームに揺動可能に支持されている。エンジンは、クランクシャフトを有する。クランクシャフトは、車幅方向に延びている。ラジエーターは、走行風を受ける風受け面を有する。ラジエーターは、風受け面が車幅方向外方を向くようにクランクシャフトの車幅方向外方に配置されている。カウルは、ラジエーターの前方とラジエーターの前部の少なくとも一部の車幅方向外方とを覆っている。足載せ部材は、カウルの前方に配置されている。足載せ部材には、平坦な足載せ面が形成されている。足載せ面は、車幅方向の一端から他端に至って延びている。足載せ部材には、導風通路が形成されている。導風通路は、カウルの内方の空間のラジエーターが配置されている部分に走行風を導く。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サイドカウルによりサイドラジエーターの前部の少なくとも一部が覆われている自動二輪車において、走行風のサイドラジエーターへの供給効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る自動二輪車の略図的左側面図である。
【図2】実施形態に係る自動二輪車の略図的平面図である。
【図3】エンジンの一部分を表す略図的断面図である。
【図4】エンジンの左側面図である。
【図5】実施形態に係る自動二輪車の略図的正面図である。但し、フロントフォーク、前輪、ハンドル等は描画を省略している。
【図6】図5におけるVI−VI矢視図である。
【図7】図1におけるVII−VII矢視図である。
【図8】図1におけるVIII−VIII矢視図である。
【図9】導風部材の側面図である。
【図10】導風部材の正面図である。
【図11】図9におけるXI−XI矢視図である。
【図12】図9におけるXII−XII矢視図である。
【図13】特許文献1に記載されているエンジンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について、図1及び図2に示すスクーターとしての自動二輪車1を例に挙げて説明する。但し、本発明において、自動二輪車は、スクーターに限定されない。本発明において自動二輪車とは、広義のモーターサイクルを意味する。本発明において、自動二輪車には、オンロードタイプの狭義のモーターサイクル、スクーター、モペット、オフロード車などが含まれる。また、本発明の自動二輪車には、前輪及び後輪のうちの少なくとも一方が複数の車輪により構成されているものも含まれるものとする。
【0014】
なお、以下の説明において、前後左右の方向は、シート10に着座したライダーから視たときの方向をいう。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る自動二輪車1は、車体フレーム9を備えている。車体フレーム9には、図示しないヘッドパイプが含まれている。ヘッドパイプには、図示しないステアリングシャフトが回転可能に挿入されている。ステアリングシャフトの下端部には、前輪11が回転可能に支持されている。一方、ステアリングシャフトの上端部には、ハンドル12が取り付けられている。
【0016】
また、車体フレームには、シート10が取り付けられている。シート10の下方には、図2に示す右側及び左側タンデムフートレスト18a、18bが配置されている。これら右側及び左側タンデムフートレスト18a、18bは、後述するサイドカウル20dの車幅方向の外方に配置されている。
【0017】
また、図1に示すように、シート10の下方には、ユニットスイング式のエンジン15が配置されている。エンジン15は、車体フレーム9に揺動可能に支持されている。具体的には、車体フレーム9には、ピボット軸8が取り付けられている。このピボット軸8に、エンジン15の懸架部15hが揺動可能に取り付けられている。
【0018】
図3は、エンジン15の一部分を表す略図的断面図である。図3に示すように、エンジン15は、クランクシャフト15aを備えている。クランクシャフト15aは、車幅方向に延びている。クランクシャフト15aには、コンロッド15bを介して、図示しないピストンが接続されている。ピストンは、シリンダボディ15cに形成されている円筒状のシリンダ15c1内に配置されている。
【0019】
クランクシャフト15aの左側端部は、変速装置15dに接続されている。この変速装置15dを介して、クランクシャフト15aの回転が出力軸15eに伝達される。その結果、出力軸15eに取り付けられている後輪16が回転する。
【0020】
一方、図3及び図4に示すように、クランクシャフト15aの車幅方向外方には、ラジエーター17が配置されている。具体的には、ラジエーター17は、クランクシャフト15aの右方に配置されている。ラジエーター17は、図4に示すシリンダボディ15cやシリンダヘッド15gなどを冷却するための冷却水などの冷却液を冷却するためのものである。
【0021】
ラジエーター17は、走行風を受ける風受け面17aを有している。ラジエーター17は、風受け面17aが車幅方向外方を向くように配置されている。すなわち、風受け面17aの法線は、車幅方向外方を向いている。換言すれば、ラジエーター17は、前後方向に沿って配置されている。本実施形態では、風受け面17aの法線は、車幅方向と平行である。
【0022】
なお、風受け面17aが車幅方向外方を向くとは、風受け面17aの法線と車幅方向外方とのなす角度が45°以下であることをいう。
【0023】
本実施形態では、クランクシャフト15aの右側端部に設けられているラジエーターファン15fが回転することにより、ラジエーター17の右側から左側への気流が形成される。この気流によって、ラジエーター17及びラジエーター17内の冷却液が冷却される。
【0024】
図1に示すように、車体フレーム9及びエンジン15は、車体カバー20によって覆われている。車体カバー20は、フロントカウル20aと、図5に示すインナーパネル20bと、図1に示すレッグシールド20cと、サイドカウル20dとを備えている。フロントカウル20aは、図示しないヘッドパイプの前方と、車両前部の一部の側方とを覆っている。図5及び図6に示すように、インナーパネル20bは、フロントカウル20aの下部の前方に取り付けられている。一方、図6に示すように、レッグシールド20cは、フロントカウル20aの後方に取り付けられている。
【0025】
図1に示すように、サイドカウル20dは、シート10の下方に配置されている。このサイドカウル20dにより、エンジン15及びラジエーター17の前方と、エンジン15及びラジエーター17の前部の少なくとも一部の車幅方向外方が覆われている。本実施形態では、エンジン15とラジエーター17との前部の一部がサイドカウル20dにより覆われている。
【0026】
車体フレームのレッグシールド20cとサイドカウル20dとの間の部分には、足載せ部材21が配置されている。足載せ部材21は、エンジン15及びラジエーター17の前方に配置されている。足載せ部材21には、足載せ面21aが形成されている。この足載せ面21aは、ライダーが走行中に足を載せるための面である。図2及び図8に示すように、足載せ面21aは、車幅方向の一端から他端に至って延びるように平坦に形成されている。
【0027】
ここで、「足載せ面が平坦である」とは、足載せ面の車幅方向中央にトンネル部を形成するための凸部がないことをいう。「足載せ面が平坦である」とは、ライダーが足載せ面のいずれの部分にも足をのせることができる程度に平坦であることを意味する。すなわち、足載せ面には、例えば滑り止めのためなどの凹凸が形成されていてもよい。
【0028】
本実施形態では、図8に示すように、足載せ部材21は、足載せ面21aが表面に形成されている天板部21bと、底壁部21cと、側壁部21d1,21d2とを備えている。これら天板部21bと、底壁部21cと、側壁部21d1,21d2とによって、足載せ部材21の内部に、導風通路21eが区画形成されている。この導風通路は、以下に詳細に説明するように、サイドカウル20dの内方の空間のラジエーター17が配置されている部分に前方からの走行風を導くための通路である。
【0029】
図6及び図7に示すように、導風通路21eは、足載せ部材21を車体前後方向に貫通している。図6に示すように、導風通路21eの前端部は、インナーパネル20bとレッグシールド20cとの間の空間20eに接続されている。図5及び図6に示すように、インナーパネル20bには、2つの上部開口20b1と、2つの下部開口20b2とが形成されている。これら上部開口20b1と下部開口20b2とによってインナーパネル20bの後方の空間20eが、インナーパネル20bの前方と連通されている。従って、導風通路21eは、空間20eと、上部開口20b1及び下部開口20b2とを介してインナーパネル20bの前方と連通している。
【0030】
一方、導風通路21eの後端部は、エンジン15やラジエーター17が配置されているサイドカウル20dの内方の空間に接続されている。このため、走行風は、上部開口20b1及び下部開口20b2と空間20eと導風通路21eとを経由してサイドカウル20dの内方の空間に導かれる。その結果、走行風がエンジン15及びラジエーター17に供給される。
【0031】
図7及び図8に示すように、導風通路21eには、導風部材としての壁部21fが形成されている。この壁部21fは、導風通路21eの風受け面17aよりも車幅方向内方に位置している部分に流入した走行風をラジエーター17側に導くためのものである。
【0032】
壁部21fは、底壁部21cから上方に向かって延びている。すなわち、壁部21fは、導風通路21eの底壁から上方に向かって延びている。また、図7に示すように、壁部21fは、後方に向かって延びている。詳細には、壁部21fは、後方に向かって車幅方向の外方に延びている。
【0033】
具体的には、壁部21fには、第1及び第2の壁部21f1,21f2が含まれている。第1及び第2の壁部21f1,21f2のそれぞれは、風受け面17aよりも内側から、後方に向かって車幅方向の外方に延びている。換言すれば、第1及び第2の壁部21f1,21f2のそれぞれの前端は、風受け面17aよりも車幅方向の内方に位置している。第1及び第2の壁部21f1,21f2のそれぞれの後端は、第1及び第2の壁部21f1,21f2のそれぞれの前端よりも車幅方向外方に位置している。これら第1及び第2の壁部21f1,21f2により、導風通路21e内を通過する走行風がラジエーター17に効率的に導風される。
【0034】
なお、本実施形態では、壁部21fは、底壁部21cに対して垂直である。但し、壁部21fは、底壁部21cから斜め上方に延びていてもよい。
【0035】
また、図1及び図7に示すように、ラジエーター17の車幅方向外方には、導風部材30が配置されている。詳細には、図7に示すように、導風部材30は、ラジエーター17の車幅方向外方であって、かつサイドカウル20dの後端部よりも内方に位置している。すなわち、導風部材30は、サイドカウル20dの内方に位置する空間のラジエーター17の車幅方向外方部分に配置されている。
【0036】
導風部材30は、導風通路21eを経由してサイドカウル20dの内方の空間に流入した走行風をラジエーター17側に案内する部材である。なお、導風部材30が設けられていない場合でも、導風通路21eを通過した走行風の一部は、ラジエーター17に供給される。このため、本発明において、導風部材30は、必須の部材ではない。
【0037】
以下、図7及び図9〜図12を主として参照しながら、導風部材30の構成について詳細に説明する。導風部材30は、複数のフィン31a〜31eを備えている。これら第1〜第5のフィン31a〜31eは、図7に示すように、ラジエーター17の車幅方向外方であって、サイドカウル20dの車幅方向外側端よりも車幅方向の内方に配置されている。第1〜第5のフィン31a〜31eのそれぞれは、前方に向かって車幅方向外方に延びている。すなわち、第1〜第5のフィン31a〜31eのそれぞれは、車幅方向外方から、ラジエーター17側に向かって斜め後方に延びている。
【0038】
より詳細には、図7、図9、図11及び図12に示すように、第1〜第5のフィン31a〜31eは、車体前後方向に沿って配列されている。そして、図7〜図12に示すように、第1〜第5のフィン31a〜31eのうち、後方に配置されているフィンの車幅方向外側端は、前方に配置されているフィンの車幅方向外側端よりも車幅方向外方に位置している。
【0039】
具体的には、最も前方に配置されている第1のフィン31aの車幅方向外側端が車幅方向の最も内方に位置している。第1のフィン31aの後方に位置している第2のフィン31bの車幅方向外側端は、第1のフィン31aの車幅方向外側端よりも車幅方向外方に位置している。第2のフィン31bの後方に位置している第3のフィン31cの車幅方向外側端は、第2のフィン31bの車幅方向外側端よりも車幅方向外方に位置している。第3のフィン31cの後方に位置している第4のフィン31dの車幅方向外側端は、第3のフィン31cの車幅方向外側端よりも車幅方向外方に位置している。第4のフィン31dの後方に位置している第5のフィン31eの車幅方向外側端は、第4のフィン31dの車幅方向外側端よりも車幅方向外方に位置している。
【0040】
本実施形態の自動二輪車1には、図1に示すように、タンデムフートレスト18a、18bが配置されている。このため、タンデムフートレスト18a、18bの内方にサイドカウル20dを配置する必要がある。よって、本実施形態では、サイドカウル20dが比較的後方にまで延びている。その結果、ラジエーター17の前部の一部の車幅方向外方がサイドカウル20dによって覆われている。このため、ラジエーター17の風受け面17aのサイドカウル20dからの露出面積が小さい。従って、例えば、サイドカウル20dの車幅方向外方を流れる走行風をサイドカウル20dに供給する場合、ラジエーター17への走行風の供給効率が低下し、ラジエーター17における冷却液の冷却効率が低下することとなる。
【0041】
それに対して本実施形態では、足載せ部材21の内部に導風通路21eが形成されている。そして、この導風通路21eを経由して、前方からの走行風がサイドカウル20d内の空間に供給される。その結果、前方からの走行風がラジエーター17に効率的に供給される。従って、ラジエーター17における冷却液の冷却効率を高めることができる。
【0042】
なお、通常の自動二輪車においては、足載せ部材の内部空間は、電子部品や配線などの配置スペースとして用いられることが多い。これは、配置スペースが非常に小さい自動二輪車において、足載せ部材の内部に形成されるデッドスペースを有効利用することにより、自動二輪車の小型化を図るためである。
【0043】
また、一般的に、足載せ部材の内部空間に泥や水などが進入しないように、足載せ部材の内部空間は、実質的に閉鎖空間とすることが好ましいとされている。
【0044】
本実施形態では、足載せ部材21の内部空間に、あえて電子部品等を配置せず、かつ、足載せ部材21の内部空間を、閉鎖空間とせずに、導風通路21eとして利用したところが大きな特徴のひとつである。この構成を採用することにより、上述のように、ラジエーター17への走行風の高い供給効率を実現することができる。
【0045】
また、本実施形態では、導風通路からの走行風をラジエーター17に案内する導風部材30が設けられている。このため、後方に向かって流れる走行風をラジエーター17の風受け面17aに効率的に供給することができる。具体的には、本実施形態では、導風部材30は、車幅方向外方から、後方に向かってラジエーター17側に延びる複数のフィン31a〜31eを備えている。これらフィン31a〜31eによって、導風通路21eを後方に向かって流れていた走行風の向きをラジエーター17の風受け面17a側に変更することができる。従って、フィン31a〜31eを設けることにより、ラジエーター17への走行風の供給効率をより効果的に高めることができる。
【0046】
さらに、本実施形態でフィン31a〜31eのうち、後方に位置するフィンほど、車幅方向外側端が車幅方向外方に位置している。このため、第1〜第5のフィン31a〜31eの全てに走行風が当たる。よって、ラジエーター17の風受け面17aの全体に走行風を供給することができる。従って、ラジエーター17への走行風の供給効率をさらに効果的に高めることができる。
【0047】
なお、導風部材30を設けずに、サイドカウル20dによってラジエーター17の風受け面17aの車幅方向外方の全体を覆うことも考えられる。この場合であってもラジエーター17に走行風を効率的に供給することができる。
【0048】
しかしながら、この場合は、自動二輪車1の停止時や低速走行時におけるラジエーター17からの放熱がサイドカウル20dによって妨げられる。このため、自動二輪車1の停止時や低速走行時には、ラジエーター17における冷却液の冷却効率が低くなってしまう。
【0049】
それに対して、本実施形態では、ラジエーター17の前部の一部を除く部分の車幅方向外方がサイドカウル20dにより覆われていない。かつ、導風部材30のフィン31a〜31e間には開口が形成されている。従って、本実施形態の自動二輪車1では、自動二輪車1の停止時や低速走行時におけるラジエーター17からの放熱が効率的に行われる。従って、本実施形態の自動二輪車1では、走行風が豊富な高速走行時のみならず、低速走行時や停車時においてもラジエーター17における冷却液の高い冷却効率を実現することができる。
【0050】
また、本実施形態では、導風通路21e内に、壁部21f1,21f2が配置されている。これら壁部21f1,21f2は、風受け面17aよりも車幅方向内方から、後方に向かって車幅方向外方に延びている。このため、これら壁部21f1,21f2により、導風通路21eの風受け面17aよりも車幅方向内方に位置している部分に流入した走行風もラジエーター17側に導くことができる。従って、より多くの走行風をラジエーター17に導くことができる。その結果、ラジエーター17における冷却液の冷却効率をより高めることができる。
【0051】
なお、壁部21f1,21f2は、底壁部21cなどと一体に形成されていてもよいし、他の部材と別体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 自動二輪車
9 車体フレーム
15 ユニットスイング式のエンジン
15a クランクシャフト
17 ラジエーター
17a ラジエーターの風受け面
18a、18b タンデムフートレスト
20b インナーパネル
20b1 上部開口
20b2 下部開口
20d サイドカウル
21 足載せ部材
21a 足載せ面
21e 導風通路
21f 壁部
30 導風部材
31a 第1のフィン
31b 第2のフィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに揺動可能に支持されており、車幅方向に延びるクランクシャフトを有するユニットスイング式のエンジンと、
走行風を受ける風受け面を有し、前記風受け面が車幅方向外方を向くように前記クランクシャフトの車幅方向外方に配置されているラジエーターと、
前記ラジエーターの前方と、前記ラジエーターの前部の少なくとも一部の車幅方向外方とを覆うカウルと、
前記カウルの前方に配置されており、車幅方向の一端から他端に至って延びる平坦な足載せ面が形成されている足載せ部材と、
を備え、
前記足載せ部材には、カウルの内方の空間の前記ラジエーターが配置されている部分に走行風を導く導風通路が形成されている自動二輪車。
【請求項2】
導風通路からの走行風を前記ラジエーターに案内する導風部材をさらに備え、
前記導風部材は、前記ラジエーターの車幅方向外方であって、かつ前記カウルよりも内方に位置している請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項3】
前記導風部材は、第1のフィンと、前記第1のフィンの後方に配置されている第2のフィンとを有し、
前記第1及び第2のフィンとのそれぞれは、車幅方向外方から、後方に向かって前記ラジエーター側に延びており、
前記第2のフィンの車幅方向外側端は、前記第1のフィンの車幅方向外側端よりも車幅方向外方に位置している請求項2に記載の自動二輪車。
【請求項4】
前記足載せ部材は、前記導風通路に配置されている導風部材を有し、
前記導風部材は、前記導風通路の前記風受け面よりも車幅方向内方に位置している部分に流入した走行風を前記ラジエーター側に導く請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項5】
前記導風部材は、前記導風通路の底壁から上方に向かって延びる壁部であり、
前記壁部の前端は、前記風受け面よりも車幅方向内方に位置しており、前記壁部の後端は、前記壁部の前端よりも車幅方向外方に位置している請求項4に記載の自動二輪車。
【請求項6】
前記足載せ部材の前方に配置されているインナーパネルをさらに備え、
前記インナーパネルには、前記導風通路に開口する開口が形成されている請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項7】
前記エンジンは、前記足載せ部材よりも後方に配置されている請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項8】
前記カウルの外方に配置されているフートレストをさらに備える請求項1に記載の自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−245795(P2012−245795A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220839(P2009−220839)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)