説明

自動包装装置

【課題】段ボールシートの片面に接着層を有する包装シートを用いて、被包装物を自動包装するに際し、包装シートにシワなど発生させることなく良好に包装できるようにする。
【解決手段】一対のシートロール10,11から、接着面を対向させた状態で各々供出される包装シート13,13の前端部どうしを予め押圧して接着し、各包装シート間に被包装物としての出版物2を挿入し、出版物の上下を覆う包装シートの端縁部13aを押圧して接着し、更に後端部を接着する包装シートを切断して、出版物2を内包する包装体7を形成するに際し、投入テーブル14に対して、受けテーブル17を所定の高さだけ下方に配置し、押圧部材18〜23の押圧面が受けテーブルよりも上方になるように設定することにより、押圧部材による包装シートの両側部及び後端部の押圧が、被包装物の厚さを超えない範囲で、被包装物の下面よりも高い位置でなされるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートの片面に接着層を有する包装シートを用いて被包装物を自動包装する自動包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、書籍や雑誌を代表とする出版物、及びCDケース等を配送する場合、配送中の衝撃による損傷防止のためにシートで包装した状態で配送する。この種の包装シートとしては、エアパッキンのような気泡含有シートが知られているが、最近では、薄型のクラフトシートや段ボールシートを用いる場合が多い。
【0003】
段ボールシートは、断面が凹凸をなすコルゲート状の芯シートの片面又は両面に、ライナと呼ばれる平板状の表面シートを接着して形成されている。
【0004】
このような段ボールシートの1つとして、下記特許文献1には、裏面にライナを貼着したコルゲート状の芯シートの表面に接着剤を塗布した段ボールシートが開示されている。この段ボールシートによれば、書籍等を段ボールシート上に配置して、この段ボールシートを折り曲げ、書籍等を段ボールシートで挟んだ後、段ボールシートの重ね合わさった周縁部を押圧することにより接着されて、書籍等が梱包されるようになっている。
【0005】
また、近年、蛇行状のコルゲート条列を有する芯シートの片面に表面シートを接着し、芯シートの表面に、接着層同士でしか接着性が得られない自着性接着層を塗布したものが使用されるようになってきた。この段ボールシートは、蛇行状のコルゲート条列を有する芯シートを有することによって、段ボールシートどうしを押圧したときにコルゲート部が潰れにくくなり、接着を良好にすると共に、強度を維持できるという利点を有している。そして、このような段ボールシートを封筒形状に形成し、被梱包物を挿入した後に開口部を押圧するだけで封止できるようにした製品も市販されており、書籍やCD等の梱包に利用されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、先端部を予め溶着した上下2枚のエアキャップ付きクラフト紙の中間に被包装物をはさみ、プッシャ装置でこの被包装物を後方から水平方向に押し出すと同時にクランプ装置で前記エアキャップ付きクラフト紙の先端部をつかんで前方から引き寄せ、被包装物の移動によって引き出された上下2枚のエアキャップ付きクラフト紙が前記被包装物全体を覆った位置から所定の溶着幅の2倍以上通過したところで押し出しならびに引き寄せを停止し、押し出し方向両脇と末端部分、およびこれに続く部分を溶着装置で溶着すると同時に末端位置で上下2枚のエアキャップ付きクラフト紙を切断し、切り離された前記末端部分に続く部分の溶着された上下2枚のエアキャップ付きクラフト紙を次の被包装物の包装における先端部分として残すことを特徴とするエアキャップ付きクラフト封筒の自動包装方法およびその装置が開示されている。
【特許文献1】特開昭51−25075号公報
【特許文献2】特開2004−26160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載された自動包装装置は、エアキャップ付きクラフト紙を熱溶着によって接合するものであるため、段ボールシートの片面に接着層を有する包装シートを用いて被包装物を包装することはできなかった。
【0008】
また、段ボールシートの片面に接着層を有する包装シートは、エアキャップ付きクラフト紙に比べて更に硬く曲がりにくいため、被包装物を包んでその周縁を押圧することにより接合したとき、包装シートの端縁部にずれが生じたり、しわがよったりして、包装された外観が悪くなることがあった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、段ボールシートの片面に接着層を有する包装シートを用いて、書籍、雑誌、CDケース等の被包装物を、包装シートの端縁部にずれが生じたり、しわがよったりすることなく包装できるようにした自動包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、段ボールシートの片面に感圧性接着剤が塗布された包装シートから成る一対のシートロールを上下に配設し、上記各シートロールから供出される上記包装シートで被包装物を包装する自動包装装置において、
上記被包装物が投入載置される投入部と、
該被包装物を包装する包装部と、
上記投入部と上記包装部との間に、上記各シートロールから供給される上記包装シートを供給するシート供給手段と、
上記包装シートの前側端縁部どうしが予め接着された状態で、上記投入部に投入載置された上記被包装物を上記包装部に移動させて、上下の上記包装シート間に上記被包装物を挿入するプッシャ装置と、
上記被包装物を覆う上記各包装シートの上記前側端縁部を把持し、上記被包装物が挿入されるタイミングに同期して上記包装シートを上記包装部側へ引き出すクランプ装置と、
上記各包装シートの被包装物に対する両側部及び後端部を押圧し接着する押圧部材と、
上記包装シートの被包装物に対する後端部を押圧する押圧部材によって接着された部分を切断して、既に包装された前方シートの後端部と、これらから包装が行われる後方シートの前端部とに分離するカッターと、
上記投入部に配置された投入テーブルと、
上記包装部に配置された受けテーブルとを備え、
上記投入テーブルに対して、上記受けテーブルが所定の距離だけ下方に配置され、上記押圧部材の押圧面が、被包装物の厚さを超えない範囲で、上記受けテーブルよりも上方になるように設定されていることを特徴とする自動包装装置を提供するものである。
【0011】
本発明によれば、包装シートの前側端縁部どうしが予め接着された状態で、シート供給手段により上記各シートロールから上記包装シートを供給し、プッシャ装置により、上記投入部に投入載置された上記被包装物を上記包装部に移動させて、上下の上記包装シート間に上記被包装物を挿入する。また、クランプ装置により、上記被包装物を覆う上記各包装シートの上記前側端縁部を把持し、上記被包装物が挿入されるタイミングに同期して上記包装シートを上記包装部側へ引き出す。これによって、硬くて重い、段ボールシートの片面に接着層を有する包装シートであっても、被包装物が挿入されるタイミングに同期して送り出すことができる。
【0012】
そして、被包装物を覆う上下の包装シートの両側部及び後端部を押圧部材によって押圧することにより接着し、包装シートの後端部を押圧する押圧部材によって接着された部分をカッターで切断して、既に包装された前方シートの後端部と、これらから包装が行われる後方シートの前端部とに分離することができる。
【0013】
また、上記押圧部材による接着の際に、投入テーブルに対して、受けテーブルが所定の高さだけ下方に配置され、押圧部材の押圧面は、上記受けテーブルよりも上方になるように設定されているので、押圧部材による包装シートの両側部及び後端部の押圧が、被包装物の厚さを超えない範囲で、被包装物の下面よりも高い位置でなされる。その結果、上下の包装シートの端縁がずれにくくなり、しわもよりにくくなる。
【0014】
本発明において、上記シート供給装置は、上記各シートロールから繰り出される上記包装シートの弛み状態を検出して、上記包装シートに弛みがなくなったときに上記各シートロールを回転させて上記包装シートを送り出す手段を有していることが好ましい。この態様によれば、包装シートの弛みを検出して、弛みがなくなったときにシートロールを回転させて包装シートを送り出すので、段ボールシートの片面に感圧性接着剤が塗布された包装シートからなる重いシートロールであっても、包装シートをスムーズに供給することが可能となる。
【0015】
また、上記受けテーブルが昇降装置に連設されており、該昇降装置は上記投入部に載置される上記被包装物の厚みに応じて上記受けテーブルの高さを自動調整することが好ましい。この態様によれば、書籍、雑誌等の被包装物の厚さが変わっても、受けテーブルの高さを最適な高さとなるように自動調整することができるので、包装外観をより良好にすることができると共に、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、段ボールシートの片面に感圧性接着剤が塗布された包装シートを用いて被包装物を自動包装できると共に、受けテーブルの高さを上記のように設定したことにより、上下の包装シートの端縁がずれにくくなり、しわもよりにくくなり、被包装物を良好に包装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の一形態を説明する。図1に自動包装装置側面図、図2に自動包装装置の平面図、図3に自動包装装置の正面図を示す。以下においては、被包装物として、書籍、雑誌などの出版物を例示して説明する。
【0018】
図中の符号1は自動包装装置1であり、自動包装装置1のフレーム3に、上流側から出版物2を投入する投入部4と、出版物2を包装する包装部5と、出版物2を内包する包装体7を排出する排出部8とが設けられている。
【0019】
また、図1、図3に示すように、フレーム3の包装部5付近の一側から上方へ支柱3aが延出されており、この支柱3aの上部側面に支持軸9が突設されており、この支持軸9に上方シートロール10が回動可能に支持されている。一方、投入部4の下方に、下方シートロール11が配設されている。この下方シートロール11はフレーム3の一側に突設支持されている支持軸12に回動自在に支持されている。両シートロール10,11は、段ボールシートの片面に、接着層同士でしか接着性が得られない感圧性接着剤が塗布された包装シート13を、ロール状に巻き取って形成したものである。段ボールシートとしては蛇行状のコルゲート条列を有する芯シートの片面に表面シートを接着したものが好ましく使用される。
【0020】
また、投入部4には投入テーブル14が配設されている。この投入テーブル14上に、出版物2を載置する載置面4aが設けられていると共に、この載置面4aの上流側(図1、図2の右側)にプッシャ装置15の装置本体15aが固設され、この装置本体15aの前部にプッシャヘッド16が設けられている。プッシャヘッド16は装置本体15aに内装されている、モータによって回転するボールねじ(図示せず)等を用いたスライド機構に連設されて、載置面4aに沿い包装部5の方向へ進退自在にされている。
【0021】
また、投入テーブル14の下流側に位置する包装部5に、受けテーブル17が設けられている。図2に示すように、この受けテーブル17は、投入テーブル14の延長上に配設されており、図示しない基台に対して昇降装置を介して昇降自在に支持されている。この昇降装置は手動式或いは電動式であり、図示しないハンドル或いは昇降スイッチを操作することで受けテーブル17を水平状態を維持したまま昇降させることができる。受けテーブル17は、上記昇降装置により、被包装物である出版物2の厚さ範囲内で、投入テーブル17よりも低い位置、より好ましくは、出版物2の厚さのほぼ中間位置となるように調整されている。
【0022】
また、受けテーブル17の上方で、この受けテーブル17の両側方向に上方側部押圧部材18,19が配設され、更に、受けテーブル17の後方(被包装物の移動方向に向かって後方)で且つ上方に上方後部押圧部材20が配設されている。図2に示すように、この上方側部押圧部材18,19は平面から見て長方形状をなしており、各上方側部押圧部材18,19は、その長手方向が受けテーブル17の両側面に沿って前後方向へ延出されている。更に、上方後部押圧部材20も同様に、平面から見て長方形状に形成されており、その長手方向が受けテーブル17の前端と平行に配設されている。この上方後部押圧部材20の両端が、上方側部押圧部材18,19の後端に近接する位置で直行されている。
【0023】
一方、受けテーブル17の下方で、この受けテーブル17の両側方向に下方側部押圧部材21,22が配設され、更に、受けテーブル17の後方で且つ下方に下方後部押圧部材23が配設されている。この下方側部押圧部材21,22は平面から見て長方形状をなしており、各下方側部押圧部材21,22は、その長手方向が受けテーブル17の両側面に沿って前後方向へ延出されている。更に、下方後部押圧部材23も同様に、平面から見て長方形状に形成されており、その長手方向が受けテーブル17の前端と平行に配設されている。この下方後部押圧部材23の両端が、下方側部押圧部材21,22の前端に近接する位置で直行されている。
【0024】
下方側部押圧部材21,22及び下方後部押圧部材23は、平面から見て、上方側部押圧部材18,19及び上方後部押圧部材20と整合する位置及び形状をなしている。また、上方側部押圧部材18,19の下方側部押圧部材21,22との対向面に、押圧部18a,19aが設けられている。この押圧部18a,19aは、上方側部押圧部材18,19に対し圧縮ばね(図示せず)を介して進退自在に支持されている。更に、図5(a)に示すように上方後部押圧部材20の板厚方向のほぼ中央にカッター24が進退自在に配設されている。
【0025】
各押圧部材18〜23は、フレーム3に立設されている各ガイド軸3bに対し進退自在に挿通されているホルダ25に固設されて昇降自在にされている。下方側部押圧部材21,22の側面にカム受け用ローラ26が固設されている。このカム受け用ローラ26は、フレーム3に固設されている回転軸27に軸着されているカム28に摺接されており、このカム28の回転により昇降動作される。また、この回転軸27がチェーン29を介して、図示しないモータの出力軸に軸着されているモータギヤ30に連設されている。なお、図示しないが、下方後部押圧部材23の前面にもカム受け用ローラが固設されており、このカム受け用ローラが、フレーム3に固設されている回転軸に軸着されているカムに摺接され、このカムの回転により昇降動作される。また、この場合も、回転軸がチェーンを介してモータの出力軸に軸着されているモータギヤに連設されている。
【0026】
一方、上方側部押圧部材18,19の側面にカム受け用ローラ31が固設されている。このカム受け用ローラ31は、フレーム3に支持されている回転板32に形成されたカム溝(図示せず)に係入されており、この回転板32の回転によりカム溝に支持されて昇降動作される。なお、この回転板32が図示しないモータにチェーン等を介して連設されている。
【0027】
この実施形態の場合、各押圧部材18〜23による押圧位置、すなわち上下の押圧部材が互いに当接する位置は、投入テーブル14の高さとなるように設定されている。
【0028】
また、投入テーブル14の端部に近接する位置の上方に、上方ピンチローラ33a,33bが、上方後部押圧部材20の延出方向に沿い所定間隔を開けて対向して一対配設されている。また、この上方ピンチローラ33a,33bの上方に、ガイドローラ34が配設され、上方シートロール10から繰り出される包装シート13が、ガイドローラ34を介して上方ピンチローラ33a,33bに挟持されて供給される。一方、投入テーブル14の端部に近接する位置の下方に、下方ピンチローラ35a,35bが、下方後部押圧部材23の延出方向に沿い所定間隔を開けて対向して一対配設されている。下方シートロール11から繰り出される包装シート13が下方ピンチローラ35a,35bに挟持されて供給される。
【0029】
前記上下のシートロール10,11は、回転駆動機構によって回転し、包装シート13を自動的に送り出すようになっており、その回転は、シートが弛みすぎず、かつ、引っ張られることもないような状態を保つ送り量でなされるようになっている。
【0030】
上記回転駆動機構について、上方のシートロール10を例にして、図8を参照して説明すると、支柱3aから水平方向に延出された支持軸9を、シートロール10の中心孔に挿入すると共に、フレーム3上に設置された一対の受けローラ51,51にシートロール10の下部を支持させて、シートロール10を回転可能に支持するようになっている。
【0031】
支柱3aには、モータ(図示せず)が取付けられており、その駆動軸に取付けられた駆動プーリ53と、前記支持軸9に取付けられた従動プーリ54との間にベルト55が張設されている。そして、モータにより上記駆動プーリ53が回転すると、ベルト55、従動プーリ54を介して支持軸9が回転し、シートロール10が回転して包装シート13が繰り出されるようになっている。
【0032】
支柱3aの側方には、支持軸9と直交して水平方向に伸びる支持枠56が配置され、この支持枠56には、スライドレール57と、このスライドレール57に沿って移動するスライダ58とが取付けられている。また、スライダ58には図示しないプーリが取付けられ、このプーリと、支持枠56の端部に設置された固定プーリ60との間に、ゴムベルト61が張設されている。ゴムベルト61は、スライダ58を常にストッパ62に当接位置に付勢している。そして、ストッパ62には、スライダ58の当接を検出するリミットスイッチ63が取付けられている。
【0033】
また、スライダ58には、支持軸9と平行に伸びるテンションローラ64が取付けられている。シートロール10から繰り出される包装シート13は、上記テンションローラ64に張設された後、前記ガイドローラ34に張設されて上方ピンチローラ33a、33bに送られるようになっている。
【0034】
したがって、後述するクランプ装置によって包装シート13が引っ張られると、上記テンションローラ64が引っ張られて、上記ゴムベルト61が伸びてスライダ58がリミットスイッチ63から離れる。すると、図示しないモータに駆動信号が送られ、駆動プーリ53が回転して、ベルト55、従動プーリ54を介して支持軸9が回転し、シートロール10が回転して包装シート13が繰り出される。
【0035】
そして、包装シート13が繰り出されると、ゴムベルト61の付勢力によってスライダ58が引き戻されて、再びリミットスイッチ63に当接し、モータの回転が停止して、シートロール10の回転が停止する。
【0036】
なお、上記と同様なシート供給機構が下方のシートロール11に対しても設けられている。こうして、上下のシートロール10,11は、包装シート13が弛みすぎず、かつ、引っ張られることもないような状態を保つ送り量で回転し、包装シート13を供給するようになっている。
【0037】
上記シートロール10,11の回転駆動機構や、ガイドローラ34、上方ピンチローラ33a,33b、下方ピンチローラ35a,35などが、本発明におけるシート供給手段を構成している。ただし、シート供給手段としては、上方ピンチローラ33a,33b、下方ピンチローラ35a,35を回転させることにより、包装シート13を送り出す機構などを採用することもできる。
【0038】
また、上方ピンチローラ33a,33bと、下方ピンチローラ35a,35bとの間に、センサ36が配設されている。このセンサ36は、例えば出版物2の移動経路を挟むように配置した発光手段36aと受光手段36bとで構成され、発光手段36aから出射された光が出版物2で遮られて受光手段36bでの受光が遮断されたとき、出版物2の通過を検知する。
【0039】
また、排出部8には排出シュータ37が設けられており、包装部5で形成された包装体7が排出される。また、この排出シュータ37の上方に、クランプ装置38を構成する支持フレーム39が、包装部5側から延出されている。この支持フレーム39に、モータ40によって回転するベルト41が配設されており、このベルト41にスライダ42が固定されている。なお、スライダ42は、ベルト41と平行に配設されているガイドレール(図示せず)に進退自在に支持されている。
【0040】
このスライダ42の両側から包装部5の方向へ支持アーム43が延出されており、この両支持アーム43の相対向する内面の先端部にグリッパ44が固設されている。このグリッパ44は、図示しないリンク機構を介し連設する一対のフィンガ45a,45bが設けられている。この一対のフィンガ45a,45bは、図示しないアクチュエータにより閉動作、或いは開動作し、包装シート13の端縁部13aをクランプ、或いはアンクランプする。
【0041】
モータ40によりベルト41を回転させてスライダ42をガイドレール(図示せず)に沿って水平移動させ、支持アーム43の先端部に固設されているグリッパ44に設けられている一対のフィンガ45a,45bにて、上方シートロール10と下方シートロール11との互いに接合されている端縁部13aをクランプし、その後、モータ40を逆回転させて上方シートロール10と下方シートロール11とを共に包装部5を経て、排出部8の方向へ引き込む。
【0042】
次に、このような構成による自動包装装置1の動作について説明する。包装作業を開始するにあたり、先ず、上方シートロール10から包装シート13を引き出し、その端部を上方ピンチローラ33a,33bの間を通して包装部5近傍に配置する。また、下方シートロール11から包装シート13を引き出し、その端部を下方ピンチローラ35a,35bの間を通して、包装部5近傍に配置する。そして、予め、上方後部押圧部材20と下方後部押圧部材23とで、各シートロール10,11から繰り出された包装シート13,13の端縁部13aを挟着する。すると、両包装シート13,13の内面に塗布されている感圧性接着剤を介して端縁部13aが接着される。
【0043】
また、包装部5に配設されている受けテーブル17の高さを、図示しない昇降装置を介して、投入部4に配設されている投入テーブル14に対し、包装対象となる出版物2の厚さのおおよそ半分程度まで下げて、投入テーブル14と受けテーブル17との間に段差を設ける。なお、この段差は、出版物2の厚さのおおよそ半分とすることが好ましいが、出版物2の厚さの範囲内であればよい。
【0044】
次いで、投入部4の投入テーブル14に設けられている載置面4a上に出版物2をセットし、図示しないスイッチをONする。すると、プッシャ装置15の装置本体15aに内装されているスライド機構が駆動し、装置本体15aの前部に設けられているプッシャヘッド16が突出される。その結果、載置面4aに載置されている出版物2がプッシャヘッド16に押されて包装部5方向へ移動され、その先端が両シートロール10,11から繰り出されている包装シート13,13間に挿入される。
【0045】
また、このプッシャ装置15の動作に同期して、排出部8側に設けられているクランプ装置38が駆動する。クランプ装置38は、このクランプ装置38に設けられているモータ40がベルト41を回転させ、このベルト41に螺合されているスライダ42を包装部5の方向へ移動させる。スライダ42には支持アーム43を介してグリッパ44が固設されており、このグリッパ44に設けられているフィンガ45a,45bにて、包装シート13,13の端縁部13aを把持する(図4(a))。
【0046】
そして、図1に示すように、上方ピンチローラ33a,33bと下方ピンチローラ35a,35bが臨まされている部位に配設されているセンサ36が出版物2の通過を検知すると、上下のシートロール10,11とが同期回転し、包装シート13,13を包装部5方向へ、出版物2の移動速度と同速度のタイミングで送り出す。同時に、クランプ装置38のモータが逆回転し、スライダ42を出版物2の移動速度と同速度で後退させる。
【0047】
このように、クランプ装置38のモータによりスライダ42を後退させ、このスライダ42に設けられているグリッパ44にて把持されている包装シート13,13の端縁部13aを、出版物2の移動速度と同速度で引っ張ると共に、両シートロール10,11を回転させて、包装シート13,13を、出版物2の移動速度に同期して送り出すようにしたので、包装シート13,13を、比較的重量のあるシートロール10,11から無理なく引き出すことができる。その結果、両シートロール10,11から繰り出される包装シート13,13は、出版物2を内包した状態で、この出版物2と同方向へ同速度で無理なく送り出される(図4(b))。
【0048】
その後、出版物2が、包装部5に配設されている受けテーブル17側へ移動し、この受けテーブル17に載置される。受けテーブル17は、前述したように、投入テーブル14よりも、出版物2の厚さのおおよそ半分くらい低い位置にある。
【0049】
そして、センサ36が出版物2の後端の通過を検知すると、図示しないディレータイマが作動し、所定時間経過後、グリッパ44の後退動作を停止させる(図4(d))。このディレイ時間は、出版物2全体が受けテーブル17に載置されるまでの時間であり、予め実験により求めて設定されている。
【0050】
続いて、フレーム3の上方に配設されている回転板32がモータ駆動により回転し、この回転板32に形成されているカム溝に係入されているカム受け用ローラ31を介して上方側部押圧部材18,19が下降する。また、これに同期してフレーム3の下方に配設されているモータギヤ30がモータ駆動により回転し、チェーン29を介して回転軸27が回転する。すると、この回転軸27に軸着されているカム28が、カム受け用ローラ26を介して下方側部押圧部材21,22を上昇させる。
【0051】
そして、上方側部押圧部材18,19に設けられている押圧部18a,19aと下方側部押圧部材21,22とで、包装シート13,13の幅方向の端縁部13aを押圧する。すると、この端縁部13aが、両包装シート13,13の内面に塗布されている感圧性接着剤を介して接着される(図5(a))。このとき、両包装シート13,13の後方部分はまだ接着されていないので、包装シート13,13の間に介在する空気が後方部分の開口から逃げることができ、両シート13,13間に介在する空気によって、接着が不十分となったり、包装形状がくずれたりすることを防止できる。
【0052】
次に、図示しない駆動機構によって、上記側方押圧部材18,19,21,22による押圧から、例えば0.5秒程度の遅れで、上方後部押圧部材20が下降すると共に下方後部押圧部材23が上昇し、互いの対向面にて、出版物2の後端側に位置する包装シート13,13の端縁部13aを挟着する。すると、この端縁部13aが、両包装シート13,13の内面に塗布されている感圧性接着剤を介して接着される。
【0053】
そして、この端縁部13aが所定に接着された後、又はそれと同時に、上方後部押圧部材20に配設されているカッター24が下降し、接着された端縁部13aのほぼ真ん中を切断する(図5(b))。その結果、包装シート13,13は、その前端側の端縁部13aと後端側の端縁部13aとが接着される。その後、側方押圧部材18,19,21,22、カッター24及び押圧部材20,23は初期位置に戻される。
【0054】
この場合、前述したように、各押圧部材18〜23による押圧位置、すなわち上下の押圧部材が互いに当接する位置は、投入テーブル14の高さとなるように設定されているので、図7に示すように、上記押圧位置Pは、受けテーブル17に対して出版物2の厚さのおおよそ半分くらい高い位置(図7中Aの高さ)となる。その結果、硬くて曲がりにくい上記材質の包装シート13であっても、端縁部13aにずれが生じることなく、しわが発生することもなく、良好な外観で包装することができる。
【0055】
なお、受けテーブル17に対する押圧位置Pの高さAは、出版物2の厚さ部分が位置する範囲、すなわち、下記式(1)の範囲内にあればよい。ただし、下記式(2)の範囲内とすることがより好ましい。
【0056】
t1<A<T+t1…(1)
0.2T+t1<A<0.8T+t2…(2)
ただし、上記式(1)、(2)中、Tは出版物2の厚さ、t1は1枚の包装シート13の厚さを意味する。
【0057】
また、押圧位置P自体を変更するのではなく、受けテーブル17の高さを変更することによって、出版物2に対する押圧位置Pを調整するようにした理由は、押圧位置Pを変更するとなると、前述したようなカム機構等の変更が必要となり、出版物2の厚さの変更に迅速に対応できないからである。
【0058】
こうして、図6、図7に示すように、上下の包装シート13,13の外周の端縁部13aが全て接着されると共に、出版物2を内包する包装体7が形成される。この包装体7は、その前部の端縁部13aを把持するグリッパ44にて、排出部8に設けられている排出シュータ37上へ移動されて、排出される(図4(c))。
【0059】
また、図4(c)に示すように、上方ピンチローラ33a,33bと下方ピンチローラ35a,35bとにより、上方シートロール10と下方シートロール11から各々供出されている包装シート13の前端は、接着された状態にあり、次の出版物2を包装する開始状態で待機している。従って、この状態で、載置面4aに次の出版物2を載置し、上述した操作を繰返すことにより連続的に自動包装することができる。
【0060】
このように、本発明では、クランプ装置38のグリッパ44により包装シート13,13の端縁部13aを、出版物2の移動速度と同速度で引っ張ると共に、両シートロール10,11を回転させて、包装シート13,13を、出版物2の移動速度に同期して送り出すようにしたので、包装シート13,13を、比較的重量のあるシートロール10,11から無理なく引き出すことができる。
【0061】
また、出版物2を載置する投入テーブル14と包装部5に配設される受けテーブル17との間に段差を設け、出版物2が受けテーブル17に載置されたとき、各押圧部材18〜23による押圧位置が、出版物2の厚さ範囲内となるように設定したので、包装シート13の端縁部13aにずれが生じることなく、しわが発生することもなく、良好な外観で包装することができる。
【0062】
なお、本発明は上述した形態に限るものではなく、例えば受けテーブル17を昇降させる昇降装置は、投入テーブル14の載置面4aに載置された出版物2の厚さを検知し、この厚さに応じて受けテーブル17の高さを自動的に調整できるようにしても良い。
【0063】
また、上方側部押圧部材18,19及び下方側部押圧部材21,22の代わりに、包装シート13,13の両側部を挟む、上下1対のローラを設けて、ローラで圧着することによって接着する構造を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明が対象とする被包装物は、書籍等の出版物等のように厚みのある略立方体状のものに限らず、CDケース等のように比較的薄型のもの、或いは比較的薄型の略立方体を複数枚積層したもの、又は化粧品のサンプル等のように円筒形や直方体状のものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の自動包装装置の側面図である。
【図2】同自動包装装置の平面図である。
【図3】同自動包装装置の正面図である。
【図4】同自動包装装置を用いた包装方法を時系列で示す説明図(その1)である。
【図5】同自動包装装置を用いた包装方法を時系列で示す説明図(その2)である。
【図6】同自動包装装置を用いて形成された包装体の斜視図である。
【図7】同自動包装装置を用いて形成された包装体の断面図である。
【図8】同自動包装装置のシートロールの回転駆動機構を示す平面図である。
【図9】同自動包装装置のシートロールの回転駆動機構を示す正面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 自動包装装置
2 出版物
4 投入部
4a 載置面
5 包装部
7 包装体
8 排出部
10 上方シートロール
11 下方シートロール
13 包装シート
14 テーブル
15 プッシャ装置
15a 装置本体
16 プッシャヘッド
17 受けテーブル
18,19 上方側部押圧部材
18a,19a 押圧部
20 上方後部押圧部材
21,22 下方側部押圧部材
23 下方後部押圧部材
24 カッター
33a,33b 上方ピンチローラ
34 ガイドローラ
35a,35b 下方ピンチローラ
36 センサ
38 クランプ装置
44 グリッパ
45a,45b フィンガ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールシートの片面に感圧性接着剤が塗布された包装シートから成る一対のシートロールを上下に配設し、上記各シートロールから供出される上記包装シートで被包装物を包装する自動包装装置において、
上記被包装物が投入載置される投入部と、
該被包装物を包装する包装部と、
上記投入部と上記包装部との間に、上記各シートロールから供給される上記包装シートを供給するシート供給手段と、
上記包装シートの前側端縁部どうしが予め接着された状態で、上記投入部に投入載置された上記被包装物を上記包装部に移動させて、上下の上記包装シート間に上記被包装物を挿入するプッシャ装置と、
上記被包装物を覆う上記各包装シートの上記前側端縁部を把持し、上記被包装物が挿入されるタイミングに同期して上記包装シートを上記包装部側へ引き出すクランプ装置と、
上記各包装シートの被包装物に対する両側部及び後端部を押圧し接着する押圧部材と、
上記包装シートの被包装物に対する後端部を押圧する押圧部材によって接着された部分を切断して、既に包装された前方シートの後端部と、これらから包装が行われる後方シートの前端部とに分離するカッターと、
上記投入部に配置された投入テーブルと、
上記包装部に配置された受けテーブルとを備え、
上記投入テーブルに対して、上記受けテーブルが所定の距離だけ下方に配置され、上記押圧部材の押圧面が、被包装物の厚さを超えない範囲で、上記受けテーブルよりも上方になるように設定されていることを特徴とする自動包装装置。
【請求項2】
上記シート供給装置は、上記各シートロールから繰り出される上記包装シートの弛み状態を検出して、上記包装シートに弛みがなくなったときに上記各シートロールを回転させて上記包装シートを送り出す手段を有している請求項1記載の自動包装装置。
【請求項3】
上記受けテーブルが昇降装置に連設されており、該昇降装置は上記投入部に載置される上記被包装物の厚みに応じて上記受けテーブルの高さを自動調整する請求項1又は2記載の自動包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−103722(P2006−103722A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290976(P2004−290976)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(594129530)福見産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】