説明

自動取引装置

【課題】精査を行うまでの期間が長い場合であっても現金違算の原因の追跡を容易にする。
【解決手段】それぞれの紙幣収納部に収納されている紙幣がなくなったことを検知する紙幣エンド検知手段が一の紙幣収納部に収納された紙幣がなくなったことを検知したとき、制御部は、その紙幣収納部に収納されている紙幣の枚数を記憶するカウンタが0枚でないと判定すると表示部に警告を表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の操作により現金の引出しや入金等の取引を行う自動取引装置に関し、特に紙幣収納庫に収納した紙幣の枚数を記憶する現金カウンタを有する自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引装置は、補充用の紙幣を収納する補充紙幣カセットから紙幣を計数しながら紙幣収納庫へ搬送して装填する自動補充機能を備えていない場合、係員等の操作により、予め計数された紙幣を紙幣収納庫に装填するとともに、装填した紙幣の金種毎の枚数を操作部から入力して記憶部に現金カウンタとして記憶させるようにしている。このように係員等の操作により紙幣収納庫に紙幣を装填するとき、紙幣収納庫に装填された紙幣の枚数を確認できるようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の自動取引装置は、紙幣の装填枚数を記憶した現金カウンタから引出し取引における紙幣の支払枚数を減算し、入金取引における紙幣の入金枚数を加算して紙幣収納庫の収納枚数をその現金カウンタで管理するようにしている。この現金カウンタで管理された紙幣収納庫の収納枚数と、紙幣収納庫に収納されたすべての紙幣を1枚ずつ分離、計数した紙幣の枚数とが一致することを確認する精査を行うようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−284595号公報(段落「0015」〜段落「0019」、図2)
【特許文献2】特開2001−266223号公報(段落「0024」〜段落「0027」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、紙幣押え板の位置により紙幣収納庫に装填された紙幣の枚数を検知するようにしているため、装填された紙幣の枚数を正確に検知することは困難であり、装填した紙幣の枚数と異なる紙幣の枚数を誤って入力して現金カウンタとして記憶させてしまうことがある。また、係員等の不正な行為により紙幣収納庫に装填された紙幣が抜き取られてしまうこともあり、これらの場合、精査を行うまでその誤りや不正による現金カウンタと紙幣収納庫に収納されている紙幣の枚数との不一致(以下、「現金違算」という。)を検知することができず、特に精査を行うまでの期間が長い場合、数多くの現金の引出しや入金の取引が継続して行われるため、取引履歴情報が膨大なものとなり、現金違算の原因を追跡することが困難になるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、紙幣収納庫に装填した紙幣の枚数の誤りや紙幣収納庫に装填された紙幣の抜取りを現金の引出し取引で検知し、精査を行うまでの期間が長い場合であっても現金違算の原因の追跡を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明は、装填された紙幣を収納する複数の紙幣収納部を備え、一の前記紙幣収納部に収納された紙幣がなくなったとき、他の前記紙幣収納部から紙幣を繰り出して出金を継続する自動取引装置において、それぞれの前記紙幣収納部に装填した紙幣の枚数を入力する操作を受付ける操作手段と、前記操作手段で入力された前記紙幣の枚数を前記紙幣収納部毎にカウンタとして記憶する記憶手段と、それぞれの前記紙幣収納部から繰り出された紙幣を搬送する搬送路に配置され、それぞれの前記紙幣収納部から繰り出されて搬送された紙幣の枚数を計数する計数手段と、前記計数手段で計数された紙幣の枚数を前記カウンタから減算して前記カウンタを更新するカウンタ更新手段と、それぞれの前記紙幣収納部に収納されている紙幣がなくなったことを検知する紙幣エンド検知手段とを備え、前記紙幣エンド検知手段が一の前記紙幣収納部に収納された紙幣がなくなったことを検知したとき、該紙幣収納部の前記カウンタで記憶された紙幣の枚数が0枚でないと判定すると表示部に警告を表示するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにした本発明は、精査を行うまでの期間が長い場合であっても現金違算の原因の追跡を容易にすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例における取引処理を示すフローチャート
【図2】第1の実施例における自動取引装置の構成を示すブロック図
【図3】第1の実施例における紙幣入出金機の制御系の構成を示すブロック図
【図4】第1の実施例における紙幣入出金機の機構部の構成を示す概略側面図
【図5】第1の実施例における装填処理を示すフローチャート
【図6】第2の実施例における取引処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による自動取引装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図2は実施例における自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
図2において、1は自動取引装置であり、銀行等の金融機関の店舗またはコンビニエンスストア等の店舗等に設置され、顧客の操作により現金引出しや現金入金等の取引を行うものである。
【0013】
11は操作表示部であり、タッチパネル等の操作手段としての操作部および液晶ディスプレイ等の表示手段としての表示部で構成されたものである。この操作表示部11はCRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示部上にタッチパネルを配置し顧客や係員が行う入力操作等を検知するものであり、また、取引選択画面、顧客が選択した取引に対して顧客の入力操作等の誘導を行う画面、係員の入力操作等の誘導を行う画面、および入力された情報等を表示するものである。
【0014】
12はカードリーダ部であり、カード読取り書込み機構およびカード搬送機構等を備えたものである。このカードリーダ部12は、顧客がカード挿入返却口に挿入したカードの磁気ストライプやICチップ等から口座番号等の口座情報を読取る。口座番号等の口座情報を読取ったカードはカード挿入返却口から排出して顧客に返却する。
【0015】
13は紙幣入出金機であり、現金引出し取引や現金入金取引に伴う紙幣入出金処理を行うものである。ここで、紙幣入金処理とは顧客により接客部に投入された紙幣を計数して紙幣収納部に収納することである。また、紙幣出金処理とは顧客の操作により指定された金額に相当する紙幣を紙幣収納部から繰り出して接客口に搬送して顧客に払い出すことである。なお、紙幣入出金機の構成の詳細は後述する。
【0016】
14は硬貨入出金機であり、現金引出し取引や現金入金取引に伴う硬貨入出金処理を行う。ここで、硬貨入金処理とは顧客により接客部に投入された硬貨を計数して金庫に収納することである。また、硬貨出金処理とは顧客の操作により指定された金額に相当する硬貨を金庫から繰り出して接客口に搬送して顧客に払い出すことである。なお、自動取引装置1は、硬貨入出金機14を備えない構成であってもよい。
【0017】
15は記憶部であり、半導体メモリや磁気ディスク等で構成され情報を記憶し、記憶した情報を読取ることができるものである。この記憶部15には自動取引装置1全体の動作を制御する制御プログラム(ソフトウェア)、操作表示部11に表示する画面データおよび顧客が行う取引に必要な情報や取引の履歴情報(ログ情報)等を記憶する。
【0018】
16は主制御部であり、CPU(Central Processing Unit)等の演算および制御手段等で構成されたものである。この主制御部16は操作表示部11、カードリーダ部12、紙幣入出金機13、硬貨入出金機14、記憶部15、および通信回線2を介して通信制御を行う図示しない通信部を含めて自動取引装置1全体の動作を記憶部15に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御する。
【0019】
次に、紙幣入出金機の構成を図3の実施例における紙幣入出金機の制御系の構成を示すブロック図および図4の実施例における紙幣入出金機の機構部の構成を示すブロック図に基づいて説明する。
【0020】
図4において、21は接客部で、内部に紙幣入金室21aおよび紙幣集積室21bを有している。
【0021】
ここで紙幣入金室21aは、顧客が入金する紙幣(現金)の投入を受け付ける部位であり、投入された紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す分離機構を有している。また紙幣集積室21bは、顧客に出金する紙幣や顧客が入金しようとした紙幣のうち後述する鑑別部で入金不可と鑑別された入金リジェクト紙幣や後述する一時保留部に一旦集積された後顧客に返却する紙幣を集積する集積機構を有する部位である。
【0022】
この紙幣入金室21aと紙幣集積室21bとは、可倒式の仕切板で仕切られ、その仕切板を倒すことにより、紙幣集積室21bに集積された紙幣を紙幣入金室21aへ移動させることができるようになっている。
【0023】
22は計数手段としての鑑別部であり、紙幣の搬送路に配置され、搬送された紙幣の真偽、正損、金種等の鑑別、重走、連鎖、斜行等の搬送異常等の検出、および計数等を行うものである。ここで、重走とは複数枚の紙幣が重なり合って搬送されることである。
【0024】
この鑑別部22は、後述するそれぞれの紙幣収納部から繰り出された紙幣およびそれぞれの紙幣収納部に収納する紙幣を搬送する搬送路に配置され、それぞれの紙幣収納部から繰り出されて搬送された紙幣の枚数を計数するとともにそれぞれの紙幣収納部に収納する紙幣の枚数を計数する。
【0025】
23は一時保留部であり、鑑別部22で入金可能な真券と鑑別された紙幣を一時保留する部位であり、入金可能と鑑別された紙幣を集積するとともに集積された紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す分離集積機構を有している。
【0026】
24a〜24dは紙幣を金種別に収納する紙幣収納部(紙幣収納庫)で、機体の下部側に左右方向に並べて配置されており、24eは入金取引時の損券等を収納する紙幣収納部(紙幣収納庫)で、この紙幣収納部24eは紙幣収納部24a〜24dに比べて上下方向の長さが短いものとなっている。
【0027】
本実施例では、4つの紙幣収納部24a〜24dを備え、例えば紙幣収納部24aおよび紙幣収納部24bに万円券、紙幣収納部24cおよび紙幣収納部24dに千円券を収納するように設定することができ、紙幣収納部24aに収納された万円券がなくなった場合、紙幣収納庫24bに収納された万円券を繰り出す代替出金を行うことができるようになっている。
【0028】
紙幣収納部24(24a〜24d、24e)は、例えば機体に着脱可能に構成されており、紙幣収納部24a〜24dに備えられた扉を開放して紙幣の装填および取り出し、幣収納部24eに備えられた扉を開放して紙幣の取り出しができるようになっている。なお、紙幣収納部24eに紙幣を装填することはない。
【0029】
また、紙幣収納部24(24a〜24d、24e)は、内部の紙幣がなくなったことを検知するための光学式センサ等による紙幣エンド検知手段を備えている。
【0030】
25は顧客が取忘れて接客部21に放置された紙幣を取込んで収納する取忘れ紙幣収納部(取忘れ紙幣収納庫)、26は出金時に出金に適さないと鑑別部22で鑑別されたリジェクト紙幣を収納するリジェクト収納部(リジェクト紙幣収納庫)で、この取忘れ紙幣収納部25およびリジェクト収納部26は紙幣収納部24eの下側に重ねて配置されている。
【0031】
27は紙幣の搬送路で、この搬送路27は、複数の搬送路(27a〜27h)で構成され、接客部21、鑑別部22、一時保留部23、紙幣収納部24a〜24e、取忘れ紙幣収納部25、リジェクト収納部26の各部の間を接続し、紙幣を挟持して搬送するように設けられている。
【0032】
搬送路27aは接客部21の紙幣入金室21aと鑑別部22とを接続するように設けられ、搬送路27bは接客部21の紙幣集積室21bと搬送路27aの途中に設けられた分岐部とを接続するように設けられている。
【0033】
搬送路27cは鑑別部22と一時保留部23とを接続するように設けられ、搬送路27dは一時保留部23と搬送路27bの途中に設けられた分岐部とを接続するように設けられている。
【0034】
搬送路27eは紙幣収納部24a〜24eのそれぞれを接続するように設けられ、搬送路27fは搬送路27cの途中に設けられた分岐部と搬送路27eの紙幣収納部24dと紙幣収納部24eの間に設けられた分岐部とを接続するように設けられている。
【0035】
搬送路27gは搬送路27eの搬送路27fとの分岐部と紙幣収納部24eの間に設けられた分岐部と、取忘れ紙幣収納部25およびリジェクト収納部26とを接続するように設けられている。
【0036】
搬送路27hは紙幣収納部24aと紙幣収納部24bの間に設けられた分岐部と接客部21の紙幣入金室21aと搬送路27aの搬送路27bとの分岐部とを接続するように設けられている。
【0037】
なお、図示しないが搬送路27の分岐部等には紙幣の搬送方向を切替える切替えブレードが設けられている。
【0038】
28は収納部出入口であり、搬送路27と紙幣収納部24a〜24e、取忘れ紙幣収納部25、リジェクト収納部26のそれぞれとを接続する出入り口である。
【0039】
収納部出入口28a〜28dは、搬送路27eと紙幣収納部24a〜24dとを接続するように設けられ、搬送路27eから紙幣収納部24a〜24dへ集積、収納する紙幣や紙幣収納部24a〜24dから搬送路27eへ繰り出される紙幣を搬入および搬出することができるようになっている。
【0040】
収納部出入口28eは、搬送路27eと紙幣収納部24eとを接続するように設けられ、搬送路27eから紙幣収納部24eへ収納する紙幣を搬入することができるようになっている。
【0041】
収納部出入口28fは、搬送路27gと取忘れ紙幣収納部25とを接続するように設けられ、搬送路27gから取忘れ紙幣収納部25へ収納する紙幣を搬入することができるようになっている。
【0042】
収納部出入口28gは、搬送路27gとリジェクト収納部26とを接続するように設けられ、搬送路27gからリジェクト収納部26へ収納する紙幣を搬入することができるようになっている。
【0043】
29は紙幣検知センサであり、搬送路27や収納部出入口28の紙幣の通路を挟んで発光部と受光部が対向配置された光学式センサ等である。この紙幣検知センサ29は上記各部から繰り出される紙幣や各部へ搬送された紙幣の通過を検知するために各部に設けられている。
【0044】
紙幣検知センサ29aは、接客部21の紙幣入金室21aの出口の近傍の搬送路27aに配置され、紙幣入金室21aから繰り出される紙幣の通過を検知する。
【0045】
紙幣検知センサ29bは、搬送路27aの鑑別部22の出入口の近傍に配置され、また紙幣検知センサ29cは、搬送路27cの鑑別部22の出入口の近傍に配置され、鑑別部22へ搬入される紙幣、または鑑別部22から搬出される紙幣の通過を検知する。
【0046】
紙幣検知センサ29dは、搬送路27cの一時保留部23の出入口の近傍に配置され、一時保留部23から繰り出される紙幣や搬入される紙幣の通過を検知する。
【0047】
紙幣検知センサ29eは、接客部21の紙幣集積室21bの入口の近傍の搬送路27bに配置され、紙幣集積室21bへ搬入される紙幣の通過を検知する。
【0048】
紙幣検知センサ29f〜29iは、それぞれ紙幣収納部24a〜24dの紙幣の出入口である収納部出入口28a〜28dに配置され、それぞれ紙幣収納部24a〜24dから繰り出される紙幣や搬入される紙幣の通過を検知する。
【0049】
紙幣検知センサ29jは、紙幣収納部24eの入口である収納部出入口28eに配置され、紙幣収納部24eへ搬入される紙幣の通過を検知する。
【0050】
紙幣検知センサ29kは、取忘れ紙幣収納部25の入口である収納部出入口28fに配置され、取忘れ紙幣収納部25へ搬入される紙幣の通過を検知する。
【0051】
紙幣検知センサ29lは、リジェクト収納部26の入口である収納部出入口28gに配置され、リジェクト収納部26へ搬入される紙幣の通過を検知する。
【0052】
なお、紙幣入出金機は、図4に示す紙幣入出金機の機構部の構成に限られるものでなく、紙幣の入出金処理が行え、紙幣収納部へ搬入される紙幣の枚数、紙幣収納部から搬出される紙幣の枚数が計数できるものであればよい。
【0053】
図3において、30は半導体メモリ等の記憶手段としての記憶部、31はCPU等の演算および制御手段等で構成された制御部であり、この制御部31は記憶部30に格納された制御プログラムに基づいて本紙幣入出金機13全体の動作を制御する機能を有している。
【0054】
この記憶部30は、それぞれの紙幣収納部24a〜24eに装填および収納された紙幣の枚数を現金カウンタとして記憶する。
【0055】
ここで、係員の操作により紙幣収納部24a〜24dに紙幣を装填した場合、係員は自動取引装置1の操作表示部11からそれぞれの紙幣収納部24に装填した紙幣の枚数を入力するものとする。入力された紙幣の枚数は主制御部16により紙幣入出金機13に通知され、紙幣入出金機13の制御部31は通知された紙幣の枚数を現金カウンタとして紙幣収納部24毎に記憶部30に記憶させる。
【0056】
また、現金の引出し取引および入金取引において、紙幣入出金機13で入出金処理が行われた場合、カウンタ更新手段としての制御部31は計数手段としての鑑別部22や紙幣検知センサ29で検知された紙幣の通過に基づいて記憶部30に記憶された現金カウンタを加減算して更新する。したがって、現金カウンタには紙幣収納部24a〜24dに収納されている紙幣の枚数が記憶される。
【0057】
上述した構成の作用について説明する。
【0058】
なお、以下に説明する各実施例における各部の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶手段に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御手段により制御される。
【0059】
まず、紙幣収納部に紙幣を装填する装填処理を図5の第1の実施例における装填処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図2および図3を参照しながら説明する。なお、本実施例では、紙幣の装填が可能な紙幣収納部24a〜24dを紙幣収納部24として説明する。
【0060】
S1a:係員は、紙幣収納部24を紙幣入出金機13から外し、その紙幣収納部24の扉を開放して予め計数された紙幣を装填する。係員は、紙幣を装填した紙幣収納部24を紙幣入出金機13に装着する。
【0061】
S2a:自動取引装置1の操作表示部11は係員の操作を受付け、主制御部16は係員ユーティリティプログラムを起動する。
【0062】
S3a:係員ユーティリティプログラムが起動すると操作表示部11は、係員の操作により各紙幣収納部24に装填した紙幣の枚数の入力を受付ける。主制御部16は、操作表示部11で入力された紙幣の枚数を紙幣入出金機13へ通知する。紙幣入出金機13の制御部31は、通知された紙幣の枚数、すなわち各紙幣収納部24に装填した紙幣の枚数を現金カウンタとして記憶部30に記憶させる。
【0063】
S4a:主制御部16は、操作表示部11で係員による係員ユーティリティプログラムを終了させる操作を受付けて係員ユーティリティプログラムを終了させた後、顧客の操作による取引を行うための取引画面を操作表示部11に表示して取引処理を開始する。
【0064】
次に、顧客の操作により行う取引処理を図1の第1の実施例における取引処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図2および図3を参照しながら説明する。
【0065】
S1b:自動取引装置1の主制御部16は、操作表示部11に引出し取引や入金(預入れ)取引を選択するための取引選択画面を表示し、その操作表示部11は取引を選択する顧客の操作を受付ける。
【0066】
S2b:主制御部16は、選択された取引を判定し、入金取引の場合、処理をS3bへ移行し、引出し取引の場合、処理をS4bへ移行する。
【0067】
S3b:入金取引が選択されると主制御部16は、紙幣入出金機13へ入金処理を行う指示を通知する。その通知を受けた紙幣入出金機13の制御部31は、顧客により接客部21に投入された紙幣を計数して金種毎に紙幣収納部24に収納する入金処理を行う。このとき、制御部31は、記憶部30に記憶した現金カウンタに各紙幣収納部24に収納した紙幣の枚数を加算して更新する。入金処理を終了すると処理をS13bへ移行する。
【0068】
S4b:引出し取引が選択されると主制御部16は、操作表示部11で出金金額の入力を受付ける。
【0069】
S5b:出金金額の入力を受付けると主制御部16は、紙幣入出金機13へ入力された出金金額とともに出金処理を行う指示を通知する。その通知を受けた紙幣入出金機13の制御部31は、出金金額に相当する紙幣を紙幣収納部24から繰り出して接客部21に搬送して顧客に払い出す出金処理を行う。
【0070】
S6b:この出金処理において、制御部31が紙幣エンド検知手段によりいずれかの紙幣収納部24内の紙幣がなくなった(0枚になった)ことを検知すると処理をS8bへ移行し、紙幣収納部24内の紙幣がなくなったことを検知しなかった場合は処理をS7bへ移行する。
【0071】
S7b:紙幣収納部24内の紙幣がなくなったことを検知しなかった場合、制御部31は、各紙幣収納部24から繰り出して搬送した紙幣の枚数を記憶部30に記憶した現金カウンタから減算して更新し、処理をS13bへ移行する。
【0072】
S8b:いずれかの紙幣収納部24内の紙幣がなくなったことを検知すると制御部31は、紙幣収納部24内の紙幣がなくなったことを検知するまでの間に各紙幣収納部24から繰り出して搬送した紙幣の枚数を記憶部30に記憶した現金カウンタから減算して更新する。
【0073】
S9b:現金カウンタを更新すると制御部31は、代替出金の可否を判定し、可能と判定した場合は処理をS11bへ移行し、不可能と判定した場合は処理をS10bへ移行する。
【0074】
ここで、代替出金とは、紙幣がなくなったことを検知した紙幣収納部24以外の紙幣収納部24から紙幣を繰り出して搬送することにより出金処理を継続することであり、例えば紙幣収納部24aおよび紙幣収納部24bに万円券を収納し、紙幣収納部24cおよび紙幣収納部24dに千円券を収納する設定とした場合において、紙幣収納部24aで万円券がなくなったことを検知したとき、紙幣収納部24bに収納されている万円券を繰り出して搬送することにより出金処理を継続することである。なお、紙幣収納部24aで万円券がなくなったことを検知したとき、紙幣収納部24bからも万円券を繰り出して搬送することができないときは代替出金が不可能となる。
【0075】
S10b:代替出金が不可能と判定された場合、制御部31は出金処理が完結しないことによる引出し取引を異常終了(エラー終了)させて処理をS12bへ移行する。
【0076】
S11b:一方、代替出金が可能と判定された場合、制御部31は代替可能な紙幣収納部24から紙幣を繰り出して搬送することにより出金処理を継続し、その出金処理が終了すると処理をS12bへ移行する。
【0077】
S12b:制御部31は、紙幣がなくなった(0枚になった)ことを検知した紙幣収納部24の現金カウンタを記憶部30から読出し、その現金カウンタが0枚か否かを判定し、0枚でないと判定すると現金違算が発生したものとして現金違算が発生した旨とともにそのときの日付や時刻、現金カウンタ等の履歴情報を主制御部16へ通知する。
【0078】
その通知を受けた主制御部16は、現金違算が発生したことの警告を操作表示部11に表示し、係員に現金違算が発生したことを報知する。それとともに主制御部16は、通知された履歴情報を記憶部15にログ情報として記憶させる。
【0079】
なお、操作表示部11に表示する警告は、顧客に現金違算が発生したことを知らせないように係員だけが現金違算が発生したことを知ることができる記号やイラスト等を表示するようにしても良い。
【0080】
また、主制御部16は、当該取引が終了した後、操作表示部11に警告を表示するようにしても良い。
【0081】
さらに、主制御部16は、操作表示部11に警告を表示するとともに自動取引装置1と通信可能に接続され、自動取引装置1の状態を遠隔から監視する監視端末へ現金違算が発生した旨を通知して係員に報知するようにしても良く、操作表示部11に警告を表示することに替えてその監視端末へ現金違算が発生した旨を通知するようにしても良い。
【0082】
S13b:主制御部16は、取引が異常終了していない場合は次の取引を行うための取引選択画面を操作表示部11に表示する。
【0083】
このように顧客の操作により行う取引において、紙幣がなくなった紙幣収納部24の現金カウンタが0枚でないことを検知して紙幣入出金機13が現金違算の発生を検知すると、主制御部16は、現金違算が発生したことの警告を操作表示部11に表示し、係員に現金違算が発生したことを報知する。その報知を受けた係員は、記憶部15に記憶されたログ情報に基づいて現金カウンタと紙幣収納部内の紙幣の枚数とのズレを確認して現金違算の原因の追跡が容易に行えるようになる。
【0084】
以上説明したように、第1の実施例では、顧客の操作により行う取引において、紙幣がなくなった紙幣収納部の現金カウンタが0枚でないことを検知して紙幣入出金機が現金違算の発生を検知すると操作表示部に現金違算が発生したことの警告を表示し、係員に現金違算が発生したことを報知するようにしたことにより、係員は精査を行う前に現金違算が発生したことを知ることができその原因の追跡を早期に開始することができるため、精査を行うまでの期間が長い場合であっても現金違算の原因の追跡が容易に行えるようになるという効果が得られる。
【実施例2】
【0085】
第1の実施例では、紙幣入出金機13の制御部31は、紙幣がなくなったことを検知した紙幣収納部24の現金カウンタを記憶部30から読出し、その現金カウンタが0枚か否かを判定し、0枚でないと判定すると現金違算が発生したものとしたが、このような事象は係員の誤入力操作や不正以外にも発生する場合がある。
【0086】
例えば、紙幣収納部24から複数枚の紙幣が重なり合って繰り出される重走が発生した場合、鑑別部22ではその紙幣の枚数を正確に計数することができず、紙幣がなくなったことを検知した紙幣収納部24の現金カウンタが0枚でなくなり、現金違算が発生したものと判定される。このような場合は、係員の誤入力操作や不正でないため、現金違算が発生した旨を係員へ報知する必要がない。
【0087】
したがって、第2の実施例では、閾値を予め記憶部30に記憶しておき、紙幣がなくなったことを検知した紙幣収納部24の現金カウンタがその閾値以下であるとき、現金違算が発生した旨の係員へ報知を抑制する。この閾値は、係員等の操作を操作表示部11で受付けた主制御部16が紙幣入出金機13の制御部31へ通知し、その制御部31が記憶部30に記憶させるものとする。
【0088】
なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0089】
上述した構成の作用について説明する。
【0090】
紙幣収納部に紙幣を装填する装填処理は、第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0091】
次に、顧客の操作により行う取引処理を図6の第2の実施例における取引処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図2および図3を参照しながら説明する。
【0092】
S1c〜S11c:図1におけるS1b〜S11bと同様の処理なのでその説明を省略する。
【0093】
S12c:制御部31は、紙幣がなくなった(0枚になった)ことを検知した紙幣収納部24の現金カウンタを記憶部30から読出し、その現金カウンタと記憶部30に予め記憶された閾値とを比較し、現金カウンタの値が閾値を超えているか否かを判定する。現金カウンタの値が閾値を超えていないと判定すると処理をS13cへ移行し、超えていると判定すると処理をS14cへ移行する。
【0094】
S13c:現金カウンタの値が閾値を超えていないと判定すると現金違算は発生していないものとして現金違算が発生したことの報知やログ情報の取得は行わず処理をS15cへ移行して取引処理を継続する。
【0095】
S14c:一方、現金カウンタの値が閾値を超えていると判定すると現金違算が発生したものとして現金違算が発生した旨とともにそのときの日付や時刻等の履歴情報を主制御部16へ通知する。
【0096】
その通知を受けた主制御部16は、現金違算が発生したことの警告を操作表示部11に表示し、係員に現金違算が発生したことを報知する。それとともに主制御部16は、通知された履歴情報を記憶部15にログ情報として記憶させる。
【0097】
なお、第1の実施例と同様に、操作表示部11に表示する警告は、顧客に現金違算が発生したことを知らせないように係員だけが現金違算が発生したこと知ることができる記号やイラスト等を表示するようにしても良い。
【0098】
また、主制御部16は、当該取引が終了した後、操作表示部11に警告を表示するようにしても良い。
【0099】
さらに、主制御部16は、操作表示部11に警告を表示するとともに自動取引装置1と通信可能に接続され、自動取引装置1の状態を遠隔から監視する監視端末へ現金違算が発生した旨を通知して係員に報知するようにするようにしても良く、操作表示部11に警告を表示することに替えてその監視端末へ現金違算が発生した旨を通知するようにしても良い。
【0100】
S15c:主制御部16は、取引が異常終了していない場合は次の取引を行うための取引選択画面を操作表示部11に表示する。
【0101】
なお、紙幣入出金機13の鑑別部22が通過する紙幣の計数が不能になることは極めて少ないため閾値は小さい値であるものとする。
【0102】
また、紙幣入出金機13の記憶部30に予め記憶させる閾値は、紙幣収納部24毎に鑑別部22で検知される重走の回数に対応させた複数の閾値としても良い。この場合、S12cにおいて制御部31は、鑑別部22で検知した重走の回数に対応させた閾値と現金カウンタとを比較するものとする。
【0103】
このように、紙幣がなくなったことを検知した紙幣収納部24の現金カウンタの値が閾値を超えていないと判定すると現金違算は発生していないものとすることにより、係員の誤入力操作や不正に起因しない場合の係員への誤報知を抑制することができる。
【0104】
したがって、誤った報知による係員の無駄な追跡作業を減少させることができる。
【0105】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、紙幣がなくなったことを検知した紙幣収納部の現金カウンタの値が閾値を超えていないと判定すると現金違算は発生していないものとすることにより、係員の誤入力操作や不正に起因しない場合の係員への誤報知を抑制することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 自動取引装置
2 通信回線
11 操作表示部
12 カードリーダ部
13 紙幣入出金機
14 硬貨入出金機
15 記憶部
16 主制御部
21 接客部
22 鑑別部
23 一時保留部
24a〜24e 紙幣収納部
25 取忘れ紙幣収納部
26 リジェクト収納部
27 搬送路
28a〜28g 収納部出入口
29a〜29l 紙幣検知センサ
30 記憶部
31 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装填された紙幣を収納する複数の紙幣収納部を備え、一の前記紙幣収納部に収納された紙幣がなくなったとき、他の前記紙幣収納部から紙幣を繰り出して出金を継続する自動取引装置において、
それぞれの前記紙幣収納部に装填した紙幣の枚数を入力する操作を受付ける操作手段と、
前記操作手段で入力された前記紙幣の枚数を前記紙幣収納部毎にカウンタとして記憶する記憶手段と、
それぞれの前記紙幣収納部から繰り出された紙幣を搬送する搬送路に配置され、それぞれの前記紙幣収納部から繰り出されて搬送された紙幣の枚数を計数する計数手段と、
前記計数手段で計数された紙幣の枚数を前記カウンタから減算して前記カウンタを更新するカウンタ更新手段と、
それぞれの前記紙幣収納部に収納されている紙幣がなくなったことを検知する紙幣エンド検知手段とを備え、
前記紙幣エンド検知手段が一の前記紙幣収納部に収納された紙幣がなくなったことを検知したとき、該紙幣収納部の前記カウンタで記憶された紙幣の枚数が0枚でないと判定すると表示部に警告を表示するようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1の自動取引装置において、
前記紙幣エンド検知手段が一の前記紙幣収納部に収納された紙幣がなくなったことを検知したとき、該紙幣収納部の前記カウンタで記憶された紙幣の枚数が予め記憶手段に記憶された閾値以下と判定すると表示部への警告表示を抑制するようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の自動取引装置において、
それぞれの前記紙幣収納部に搬送路から搬送された紙幣を収納する収納手段を備え、
前記計数手段を、それぞれの前記紙幣収納部から繰り出された紙幣およびそれぞれの前記紙幣収納部に収納する紙幣を搬送する搬送路に配置され、それぞれの前記紙幣収納部から繰り出されて搬送された紙幣の枚数を計数するとともにそれぞれの前記紙幣収納部に収納する紙幣の枚数を計数する計数手段とし、
前記カウンタ更新手段を、前記計数手段で計数されたそれぞれの前記紙幣収納部から繰り出されて搬送された紙幣の枚数を前記カウンタから減算し、前記計数手段で計数されたそれぞれの前記紙幣収納部に収納する紙幣の枚数を前記カウンタに加算して前記カウンタを更新するカウンタ更新手段としたことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−287000(P2010−287000A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139669(P2009−139669)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】