説明

自動水栓

【課題】複数の検知センサにおける検知優先度によって、それぞれの検知センサの検知性能を切替えることで使い勝手を損ねることなく省電力化を図ることができる最適な自動水栓を提供することを目的とする。
【解決手段】湯水を吐水する水栓本体と、前記水栓本体からの吐水、止水を切替える電磁弁と、物体を検知するために設けられた複数の検知センサと、前記複数の検知センサの検知状態に基づいて前記電磁弁の状態を切替える制御部と、を備えた自動水栓において、前記制御部は、前記複数の検知センサをそれぞれ個別に駆動させるセンサ駆動部と、前記複数の検知センサの検知状態を判断するセンサ検知状態判断部と、前記複数のセンサ検知状態判断部の判断結果に基づいて、前記電磁弁の開閉を制御する水栓駆動部と、前記複数の検知センサの優先度を判断する検知優先度判断部と、前記検知優先度判断部の判断結果に基づいて、前記複数の検知センサの検知性能を個別に制御する検知性能切替部と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に検知センサを備えた自動水栓に関し、具体的には検知センサの検知状況に応じて吐水および止水を自動的に行なう自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
検知センサを有する自動水栓において、検知センサが検知している間はセンシング周期を短くし、検知センサが非検知になってからも所定時間の間は短いセンシング周期を継続させ、所定時間経過後にセンシング周期を長くするような制御方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
検知センサが非検知となっても、非検知直後は再度使用される可能性が高い。これに対して、上述した制御方式によれば、非検知直後もセンシング周期を短い状態に保つことで、使い勝手の向上が図れる。また、所定期間経過後はセンシング周期を長くすることで、省電力化が図られる。
【0004】
一方、自動水栓の様々な使用行為を精度良く検知するため、複数の検知センサを備える自動水栓がある。例えばふたつの検知センサを設けた場合、どちらか一方の検知センサの検知により吐水を行なっている最中に、もう一方のセンサも検知することが考えられる。このような自動水栓において、自動水栓使用直後に双方の検知センサ共にセンシング周期を短く設定すると、省電力化の観点からは改善の余地が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平3−58611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、複数の検知センサにおける検知優先度によって、それぞれの検知センサの検知性能を切替えることで使い勝手を損ねることなく省電力化を図ることができる最適な自動水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、湯水を吐水する水栓本体と、前記水栓本体からの吐水、止水を切替える電磁弁と、物体を検知するために設けられた複数の検知センサと、前記複数の検知センサの検知状態に基づいて前記電磁弁の状態を切替える制御部と、を備えた自動水栓において、前記制御部は、前記複数の検知センサをそれぞれ個別に駆動させるセンサ駆動部と、前記複数の検知センサの検知状態を判断するセンサ検知状態判断部と、前記複数のセンサ検知状態判断部の判断結果に基づいて、前記電磁弁の開閉を制御する水栓駆動部と、前記複数の検知センサの優先度を判断する検知優先度判断部と、前記検知優先度判断部の判断結果に基づいて、前記複数の検知センサの検知性能を個別に制御する検知性能切替部と、を有することを特徴とする自動水栓が提供される。
【0008】
これにより、複数の検知センサのそれぞれの検知性能は、検知優先度判断部によって設定された優先度に基づいて、個別に制御することが可能となり、優先度の高いセンサについては、検知の対象である物体の状態を迅速に検知でき、一方、優先度の低いセンサは長い周期で検知することで、使い勝手を損ねることなく省電力化を図ることができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において前記検知性能切替部は、前記検知優先度判断部の判断結果に基づいて、前記複数の検知センサが物体を検知している間の検知性能をそれぞれ切替えることを特徴としている。
【0010】
これにより、検知センサが使用者の手などの物体を検知している最中の検知性能を、検知優先度判断部の判断に基づいてそれぞれ切替えているため、いずれかの検知センサの検知により吐水を行なっている最中に他の検知センサが検知した場合でも、他の検知センサの検知性能を上げることがなくなり、省電力化を図ることができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明において前記検知優先度判断部は、前記複数の検知センサの検知順序によって前記優先度を判断することを特徴としている。
【0012】
これにより、いずれかの検知センサの検知範囲のみに使用者の手などの物体がはいった場合でも、物体の状態を迅速に検知でき、もう一方の検知センサは長い周期で検知することで、省電力化を図ることができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明によれば、請求項2記載の発明において前記検知優先度判断部は、前記複数の検知センサが物体を検知する検知頻度によって前記優先度を判断することを特徴としている。
【0014】
これにより、使用者の手などがどちらかの検知センサに寄っていた状態でも、検知優先度判断部は確実に検知センサの優先度が設定でき、自動水栓としての優れた使用感を得つつも、消費電力を抑えることが実現できる。
【0015】
また、請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明において前記検知性能切替部は、前記検知優先度判断部の判断結果に基づいて、前記複数の検知センサが物体を検知しない状態の検知性能を切替えることを特徴としている。
【0016】
これにより、検知センサが使用者の手などの物体を検知するまでの待機中の消費電力を抑えつつも、最適な検知性能を設定することができる。
【0017】
また、請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明において前記検知優先度判断部は、前記複数の検知センサの過去の検知状態によって前記優先度を判断することを特徴としている。
【0018】
これにより、使用頻度の高い時間区分においては、使用者などの物体を迅速に検知でき、使用頻度の低い時間区分においては、検知センサは長い周期で検知させることで省電力化を図ることができる。
【0019】
また、請求項7記載の発明によれば、請求項5記載の発明において前記検知優先度判断部は、予め決められた優先度に基づいて前記優先度を判断することを特徴としている。
【0020】
これにより、使用者の一連の動きの中で最適な検知性能を設定することができ、且つ、省電力化を図ることが可能となる。
【0021】
また、請求項8記載の発明によれば、請求項1記載の発明において前記検知性能切替部は、前記検知優先度判断部の判断結果に基づいて、前記複数の検知センサが物体を検知しない状態となってから所定時間の間の検知性能を切替えることを特徴としている。
【0022】
これにより、止水直後に再度使用される場合でも、物体の状態を迅速に検知でき、もう一方の検知センサは長い周期で検知することで、省電力化を図ることができる。
【0023】
また、請求項9記載の発明によれば、請求項8記載の発明において前記検知優先度判断部は、前記複数の検知センサが物体を検知している間の検知状態によって前記優先度を判断することを特徴としている。
【0024】
これにより、吐水中の検知状態によって、検知センサの優先度を設定することで、使用者の一連の動きの中で最適な検知性能を設定することができ、且つ、省電力化を図ることが可能となる。
【0025】
また、請求項10記載の発明によれば、請求項1記載の発明において前記検知性能切替部は、前記複数の検知センサが物体を検知しない状態となってから所定時間の間の検知性能と、前記複数の検知センサが物体を検知しない状態となってからさらに所定時間経過後の検知性能を、前記検知優先度判断部のそれぞれ異なる判断結果に基づいて切替えることを特徴としている。
【0026】
これにより、検知センサが使用者の手などの物体を検知するまでの待機中の消費電力を抑えつつも、突発的に自動水栓を使用された場合であっても、使い勝手を損ねることなく省電力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、使い勝手を損ねることなくかつ省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態にかかる自動水栓を備えた洗面台を例示する斜視模式図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる自動水栓を例示するブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる操作パネルを例示する模式図である。
【図4】第1の実施の形態にかかる自動水栓の動作を示すタイムチャートである。
【図5】第2の実施の形態にかかる自動水栓の動作を示すタイムチャートである。
【図6】第3および第6の実施の形態にかかる自動水栓の動作を示すタイムチャートである。
【図7】第4の実施の形態にかかる自動水栓の動作を示すタイムチャートである。
【図8】第5の実施の形態にかかる自動水栓の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態にかかる自動水栓を備えた洗面台を例示する斜視模式図である。
図2は、本発明の実施の形態にかかる自動水栓を例示するブロック図である。
【0031】
図1に示すように、洗面台1は、本発明の実施形態に係る自動水栓2と、水栓本体3から吐水された湯水を受けるボウル部6と、を備えている。
図1および図2に示すように、自動水栓2は、水栓本体3と、電磁弁70と、給水源90と、給水ホース100と、複数の検知センサSR1、SR2、…、SRnと、モード切替スイッチ41と、制御部80と、を備えている。制御部80は、センサ駆動部81と、センサ検知状態判断部82と、検知優先度判断部83と、検知性能切替部84と、水栓駆動部85と、を有する。
【0032】
なお、図1に示した洗面台1では、自動水栓2の検知センサとして、ふたつの検知センサSR1およびSR2が設けられている。ただし、本実施形態は、3つ以上の検知センサを有するものも包含する。以下の説明では、複数の検知センサSR1、SR2、…、SRnを総称して検知センサSRということとする。
【0033】
また、図2では便宜上、制御部80と検知センサSRとが別体として表現されているが、本実施形態においては、制御部80と検知センサSRとを統合してもよく、あるいは検知センサSR側に制御部80の一部の機能を設けてもよい。
【0034】
図2に示すように、給水源90からは水または湯が供給されており、給水ホース100に接続された電磁弁70を経由して水栓本体3の吐水口から水または湯が吐水される。
なお、本実施形態においては、水栓本体3から吐水されるものは、水または湯のほか、洗浄液なども含まれるものとする。
【0035】
電磁弁70は、給水源90から送られる湯水を水栓本体3の吐水口からの吐水および止水を切替える。電磁弁70は水栓駆動部85から送られる電気信号に基づいて弁の開閉を行ない、吐水及び止水の切替えを行なう。
【0036】
検知センサSRは、水栓本体3の近傍に差し出される使用者の手などの物体の有無を検知するように検知領域AR1および検知領域AR2を有する。
なお、検知センサSRは、例えば赤外線の投光素子50と受光素子51と、を有する反射式積分型センサなどと呼ばれるセンサである。なお、センサの種類にはこれに限られるわけではなく、マイクロ波方式や超音波方式、測距式や焦電式センサなどに適宜変更してもよい。
【0037】
センサ駆動部81は、検知性能切替部84から出力される電気信号に基づいて、複数の検知センサSRの投光素子50から、光を投光させる制御を行なう。検知センサSRの投光素子50から投光された光は、例えばボウル部6や使用者の手などによって反射され、この反射光を受光素子51が受光する。
なお、検知センサSRの投光素子50から投光させる光の量は、検知センサSRの設置環境や検知センサSRの経時変化によって可変させてもよい。
【0038】
センサ検知状態判断部82は、上述したように受光素子51が受光した反射光のレベルと、予め設定された閾値と、を比較して、閾値以上であれば物体有りと判断し、閾値未満であれば物体無しと判断して、その検知結果を電気信号として水栓駆動部85と検知優先度判断部83に出力する。
【0039】
水栓駆動部85は、上述したようにセンサ検知状態判断部82から出力される電気信号に基づいて、電磁弁70の開閉を行なうほか、更にはモード切替スイッチ41から出力される電気信号に基づいても電磁弁70の開閉を行なう。
その際、モード切替スイッチ41からの電気信号と、センサ検知状態判断部82からの電気信号がおおよそ同じタイミングで水栓駆動部85へ出力された際は、モード切替スイッチ41からの電気信号を優先して制御する。
【0040】
検知優先度判断部83は、予め定められた優先度に基づいて、もしくは、センサ検知状態判断部82から出力される電気信号に基づいて、検知センサSRのそれぞれの検知状態から、予め設定された判定条件により検知センサSRのそれぞれの優先度を決定し、検知性能切替部84へ電気信号として出力する。
なお、検知優先度判断部83の優先度判定条件としては、検知センサSRのそれぞれの直近の検知状態、過去の検知状態に基づいて判定することを基本とする。
ただし、検知優先度判断部83は、モード切替スイッチ41からの出力を検知した際は、モード切替スイッチ41からの電気信号を優先する。
【0041】
検知性能切替部84は、検知優先度判断部83から出力される電気信号に基づいて、検知センサSRのそれぞれのセンシング周期と、そのセンシング周期へ切替えるタイミングと、をセンサ駆動部81へ電気信号として出力する。
【0042】
なお、センサ駆動部81、センサ検知状態判断部82、水栓駆動部85、検知優先度判断部83、検知性能切替部84は、それぞれ独立した制御回路として構成することができる。あるいは、これらの各要素の一部あるいは全部の動作を実行するためのプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行させてもよい。
【0043】
図3は、本発明の実施の形態にかかる操作パネルを例示する模式図である。
図3に示すように、モード切替えスイッチ41は、例えば操作パネル40(図1参照)に設けられている。
なお、本実施形態では、モード切替操作部として押しボタン式のモード切替スイッチ41を例示しているが、これに限られるわけではなく、スライド式スイッチ、ダイヤル式スイッチ、静電容量センサ方式スイッチなどに適宜変更してもよい。
【0044】
モード切替スイッチ41を押す毎に、水栓本体3の吐水口からの吐水モードが自動吐水モードと連続吐水モードとのあいだで交互に切替わる。
自動吐水モードとは、検知センサSRの検知状況に基づいて吐水口から吐止水可能なモードである。連続吐水モードとは、検知センサSRの検知状態に関係なく吐水口から吐止水可能なモードである。より具体的には、自動吐水モードは、上述したように検知センサSRが物体を検知すると電磁弁70を開駆動して吐水し、非検知になると電磁弁70を閉駆動して止水する。連続吐水モードは、モードに入ると電磁弁70を開駆動して吐水し、モードを抜けると電磁弁70を閉駆動して止水する。
なお、連続吐水モード中は、全ての検知センサSRは機能を停止させる。
【0045】
以下、本実施形態の具体例について図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
図4は、第1の実施形態にかかる自動水栓2の動作を示すタイムチャートである。
【0046】
図4に示すタイムチャートでは、ふたつの検知センサSR1およびSR2の検知性能を規定するセンシング周期と、検知信号、電磁弁の開閉タイミングを示している。
図4において、時間t1からt2までは、自動水栓2は待機状態にある。この状態においては、検知センサSR1、SR2ともに、センシング周期A1にて間欠的に検知動作を繰り返す。すなわち、センサ駆動部81(図2参照)は、検知センサSR1、SR2の投光素子50から投光させる制御を間欠的に実行する。センシング周期A1は、例えば、2Hz(ヘルツ)とすることができる。なお、センシング周期A1で実行されるそれぞれの投光動作は、複数の投光パルスを含むものとしてもよい。例えば、2Hzの間隔で実行される投光動作のそれぞれが3回の投光パルスを含むものとすることができる。
【0047】
再び図4に戻って説明を続けると、自動水栓2に使用者が近づき、時刻t2において使用者の手などが検知領域AR1(図1参照)にはいると、検知センサSR1がこれを検知する。すなわち、センサ検知状態判断部82(図2参照)は、検知センサSR1の受光素子51が受光した反射光のレベルを判定し、物体有りと判断する。すると、センサ検知状態判断部82からの出力に基づいて、水栓駆動部85が電磁弁70を開く制御を実行する。
【0048】
この時、検知センサSR2は、まだ検知していない。つまり、使用者の手などは、検知領域AR2には入っていない。
図4に表した具体例の場合、その後時刻t3に至るまで、使用者の手などは検知センサSR1の検知範囲AR1にある。つまり、検知センサSR1は、物体を検知している状態を維持する。
【0049】
一方、時刻t7において、使用者の手などは、検知領域AR2にも入る。つまり、使用者の手などは、ふたつの検知領域AR1、AR2の共通部分(図1参照)に入る。これは例えば、使用者が自動水栓2に対して、向かって左側(図1参照)から接近しつつ手を差し出したような場合に相当する。このとき、向かって左側の検知センサSR1が使用者の手をまず検知し、その後、使用者の手が自動水栓2の正面に近づくと、検知センサSR2も物体を検知した状態となる(時刻t7)。
【0050】
その後、時刻t8において検知センサSR2が物体を検知しない状態となり、続いて時刻t3において、検知センサSR1が物体を検知しない状態となる。これは例えば、使用者の手などが、自動水栓2の正面から向かって左側に移動したような場合に相当する。
【0051】
以上説明したように、図4に表した具体例の場合、まず時刻t2において検知センサSR1が物体を検知した状態となり、その後、時刻t7において検知センサSR2が物体を検知した状態となる。
【0052】
本実施形態においては、このようにふたつの検知センサSR1、SR2を備えた自動水栓2において、これら検知センサSR1、SR2のいずれかの優先度を高く設定する。図4に表した具体例の場合、検知優先度判断部83(図2)が、検知センサSR1の優先度を検知センサSR2の優先度よりも高く設定する。
【0053】
検知性能切替部84(図2)は、検知優先度判断部83が検知センサSR1の優先度を高く設定したことを受けて、検知センサSR1のセンシング周期を検知センサSR2のセンシング周期よりも短く設定する。センサ駆動部81(図2)は、検知性能切替部84が設定したセンシング周期に基づき、検知センサSR1、SR2をそれぞれ駆動する。
図4に表した具体例では、検知センサSR1の検知性能を優先する。優先度の高い検知センサSR1が物体を検知してから物体を非検知するまでの時間(t2〜t3)内におけるセンシング周期B1は、優先度の低い検知センサSR2が物体を検知してから物体を非検知するまでの時間(t7〜t8)内におけるセンシング周期B2よりも周期を短くしている。例えば、センシング周期B1は8Hzとし、センシング周期B2は4Hzとすることができる。
【0054】
優先度の高いセンサ(検知センサSR1)は、検知の対象である物体を短い周期で迅速に検知できるという効果が得られる。図4に表した具体例の場合、検知センサSR1が物体を検知している状態におけるセンシング周期を短く設定することにより、例えば、使用者が検知領域AR1から手をひっこめる動作をしたときに、これに対応して物体を検知しない状態に迅速に移行し、迅速に止水することができる。その結果として、良好なレスポンスと優れた使用感が得られ、また節水効果も向上する。一方、優先度の低いセンサ(検知センサSR2)は、長い周期で検知するため、消費電力を抑える効果が得られる。
【0055】
つまり、ふたつの検知センサのそれぞれの検知性能は、検知優先度判断部83によって設定された優先度に基づいて、個別に制御することが可能となり、優先度の高いセンサについては、検知の対象である物体の状態を迅速に検知でき、一方、優先度の低いセンサ(検知センサSR2)は長い周期で検知することで、使い勝手を損ねることなく省電力化を図ることができる。
【0056】
このように、検知センサが使用者の手などの物体を検知している最中の検知性能を、検知優先度判断部の判断に基づいてそれぞれ切替えているため、いずれかの検知センサの検知により吐水を行なっている最中に他の検知センサが検知した場合でも、他の検知センサの検知性能を上げることがなくなり、省電力化を図ることができる。
なお、図4では、検知センサSR1の優先度を高くする具体例を表したが、本発明はこれには限定されず、検知センサSR2の優先度を高くしてもよい。
【0057】
また、優先度を決める方法としては、図4に表した具体例のように、ふたつの検知センサのうち、先に検知したセンサ(図4では検知センサSR1)の優先度を高くするとしてもよい。
【0058】
こうすることで、例えば、使用者の手などが左から検知領域AR1のみにはいり、左手のみを洗う行為を行なう場合、検知センサSR1が検知センサSR2よりも検知する頻度が高まるため、先に検知したセンサの優先度を高くすることで、検知の対象である物体の状態を迅速に検知でき、一方、優先度の低いセンサは長い周期で検知することで、使い勝手を損ねることなく省電力化を図ることができる。
【0059】
このように、いずれかの検知センサの検知範囲のみに使用者の手などの物体がはいった場合でも、物体の状態を迅速に検知でき、もう一方の検知センサは長い周期で検知することで、省電力化を図ることができる。
【0060】
図4に表したように、時刻t3において検知センサSR1が物体を検知しない状態となると、検知センサSR1、SR2ともに、待機状態に移行し、センシング周期A1にて間欠的に検知動作を繰り返す。
(第2の実施形態)
第2の実施形態による自動水栓2の基本構成については、図1〜3を参照しつつ説明したものと同様とすることができるので、その説明は省略する。
【0061】
図5は、第2の実施形態にかかる自動水栓の動作を示すタイムチャートである。
図5に示すタイムチャートでは、ふたつの検知センサSR1およびSR2の検知性能であるセンシング周期と、検知信号、電磁弁の開閉タイミングを示している。
【0062】
前述した第1の実施形態においては、予め定められた優先度に基づいて、あるいは、検知センサSRが使用者の手などの物体を検知する順序に基づいて、検知センサSRの検知中の検知性能を切替える。これに対して、第2の実施形態では、検知センサSRが検知してから所定時間Tの間の検知頻度に基づいて、検知センサSRの検知中の検知性能を切替えている。
【0063】
図5に例示したタイムチャートは、図4に表したタイムチャートと比較すると、吐水中(電磁弁開)におけるふたつの検知センサSR1とSR2の動作が異なる。その他の動作については、第1の実施形態と同様とすることができるので、その詳細な説明は省略する。
【0064】
時刻t2において、使用者の手などが検知領域AR1にはいると、検知センサSR1が検知することで、センサ検知状態判断部82が物体有りと判断し、水栓駆動部85が電磁弁70を開いて吐水を開始する。
同時に、センサ検知状態判断部82が物体有りと判断した時点から、検知優先度判断部83は検知センサSR1の検知時間(物体を検知し続けている時間)を計測開始する。
【0065】
その後、時刻t7の時点で検知センサSR2が使用者の手などを検知し、それと同時に、検知優先度判断部83は検知センサSR2の検知時間(物体を検知し続けている時間)を計測開始する。
そして、吐水開始(時刻t2)から所定時間Tが経過した時点で、検知優先度判断部83は検知センサSR1の検知時間と、検知センサSR2の検知時間とを比較する(時刻t3−t2、t8−t7)。比較した結果、検知センサSR1の検知時間が長いことから、検知優先度判断部83は検知センサSR1の優先度を高く設定する。つまり、ふたつの検知センサのうちで、物体を検知している延べ時間が長いほうの検知センサの優先度を高く設定する。
すると、検知性能切替部84は優先度の低い検知センサSR2のセンシング周期を8Hzから4Hzへと落とし、センサ検知状態判断部82が物体無しと判断するまで、その動作を継続する(時刻t8からt9まで)。
【0066】
この一連の中での使用者の手の動きは、第1の実施形態と同様に、自動水栓2に対して、向かって左側から手を差し出し、そのまま正面まで移動して手洗い行為などをして、左側から手を抜き出した場合に相当する。
【0067】
本実施形態においては、このようにふたつの検知センサSR1、SR2を備えた自動水栓において、検知センサが物体を検知する検知頻度に基づいて、これら検知センサSR1、SR2のいずれかの優先度を高く設定する。図5に表した具体例の場合、検知頻度の判断基準として、所定時間Tの期間での連続検知時間(物体を検知し続けている時間)を使用しているが、これに限ることはなく、他にも、所定時間Tの期間における、のべ検知時間(物体を検知している延べ時間)や検知回数を検知頻度の判断基準としてもよい。
【0068】
このように、検知頻度に基づいて優先度を設定することで、例えば使用者の手がどちらか一方の検知センサに寄っていた場合でも、正確に優先度を判断することができる。
つまり、使用者の手などの位置がどちらか一方の検知センサに寄っていた場合は、寄っている側の検知センサの検知領域範囲内だけで使用者の手などを検知することが十分可能となる。
また、使用者の手などがどちらの検知センサに寄っているかは、吐水を開始してから所定時間内で判断することができ、その判断基準として、ふたつの検知センサの検知頻度を用いることは有効である。
【0069】
このように、使用者の手などがどちらかの検知センサに寄っていた状態でも、検知優先度判断部は確実に検知センサの優先度が設定でき、自動水栓としての優れた使用感を得つつも、消費電力を抑えることが実現できる。
図5に表したように、止水後(電磁弁閉)は、検知センサSR1、SR2ともに、待機状態に移行し、センシング周期A1、A2にて間欠的に検知動作を繰り返す。
(第3の実施形態)
第3の実施形態による自動水栓2の基本構成については、図1〜3を参照しつつ説明したものと同様とすることができるので、その詳細な説明は省略する。
【0070】
図6は、第3の実施形態にかかる自動水栓の動作を示すタイムチャートである。
図6に示すタイムチャートでは、ふたつの検知センサSR1およびSR2の検知性能であるセンシング周期と、検知信号、電磁弁の開閉タイミングを示している。
【0071】
図6に例示したタイムチャートは、図4〜図5のタイムチャートと比較すると、止水後(電磁弁閉)の所定時間Tにおけるふたつの検知センサSR1とSR2の動作が異なる。その他の動作については、第1の実施形態と同様とすることができるので、その詳細な説明は省略する。
【0072】
前述した第2の実施形態においては、検知センサSRが使用者の手などの物体を検知してから所定時間Tの間の検知頻度に基づいて、検知センサSRの検知中の検知性能を切替える。これに対して、第3の実施形態では、検知センサSRの検知中の検知頻度に基づいて、止水後(電磁弁閉)の所定時間Tの間の検知センサSRの検知性能を切替える。
【0073】
図6に表したように、検知センサSR1は、時刻t2から時刻t3のあいだ、使用者の手などの物体を検知し続けている。これに対して、検知センサSR2は、時刻t7から時刻8のあいだ、使用者の手などの物体を検知し続ける。つまり、検知センサSR1のほうが、検知センサSR2よりも検知頻度が高い。すると、第2実施形態に関して前述したように、検知優先度判断部83は、検知センサSR1の優先度を高く設定する。
時刻t8において、検知センサSR2が使用者の手などの物体を検知しない状態となり、続いて時刻t3において、検知センサSR1が物体を検知しない状態となる。すると、センサ検知状態判断部82が物体無しと判断し、センサ検知状態判断部82からの出力に基づいて、水栓駆動部85が電磁弁70を閉じて止水する。それと同時に、センサ検知状態判断部82からの出力に基づいて、検知優先度判断部83は時間の計測を開始するとともに、検知センサSR1の優先度を高く設定する(時刻t4および時刻t9まで)。
【0074】
検知性能切替部84は、優先度の高い検知センサSR1のセンシング周期を検知センサSR2のセンシング周期よりも短く設定する。センサ駆動部81は、検知性能切替部84が設定したセンシング周期に基づき、検知センサSR1、SR2をそれぞれ駆動する。
その後、所定時間Tが経過したのち(時刻t4および時刻t9)、検知性能切替部84は優先度の高い検知センサSR1のセンシング周期A1と優先度の低い検知センサSR2のセンシング周期A2を等しく設定する。
【0075】
図6に表した具体例では、検知頻度の高い検知センサSR1の検知性能を止水後に優先する。優先度の高い検知センサSR1の、止水後(電磁弁閉)の所定時間T内におけるセンシング周期C1は、優先度の低い検知センサSR2の止水後(電磁弁閉)の所定時間T内におけるセンシング周期C2よりも、短く設定される。例えば、センシング周期C1は3Hzとし、センシング周期C2は1Hzとすることができる。また、所定時間Tが経過したのちの検知センサSR1のセンシング周期A1と検知センサSR2のセンシング周期A2は2Hzとすることができる。
【0076】
この一連の中での使用者の手の動きは、第1の実施形態と同様に、自動水栓2に対して、向かって左側から手を差し出し、そのまま正面まで移動して手洗い行為などをして、左側から手を抜き出した場合に相当する。
すなわち、優先度の高い検知センサは、止水後(電磁弁閉)であっても所定時間Tの間は検知の対象である物体を短い周期で迅速に検知できるという効果が得られる。
【0077】
図6に表した具体例の場合、検知センサSR1が止水後(電磁弁閉)に使用者の手などの物体を検知していない状態であっても、センシング周期を短く設定することにより、例えば、使用者が検知領域AR1から手をひっこめる動作をしたのち、またすぐに検知領域AR1に手をかざした場合であっても、これに対応して使用者の手を検知する状態に迅速に移行し、迅速に吐水することができる。その結果として、良好なレスポンスと優れた使用感が得ることができる。一方、優先度の低いセンサ(検知センサSR2)は、長い周期で検知するため、消費電力を抑える効果が得られる。
【0078】
このように、止水直後に再度使用される場合でも、物体の状態を迅速に検知でき、もう一方の検知センサは長い周期で検知することで、省電力化を図ることができる。
なお、図6では、検知センサSR1の優先度を高くする具体例を表したが、本発明はこれには限定されず、検知センサSR2の優先度を高くしてもよい。
【0079】
また、止水後の優先度を決める別の方法としては、図6に表した具体例のように、ふたつの検知センサのうち、先に検知したセンサ(図6では検知センサSR1)の優先度を高くするとしてもよい。
こうすることで、例えば、使用者が歯磨き行為などで、左手に持ったコップなどの容器に水を注ぎ口内をゆすぐ行為を行なう場合、すぐにまたコップに水を注ぐことがあるため、先に検知したセンサの優先度を高くすることで、検知の対象である物体の状態を迅速に検知でき、一方、優先度の低いセンサは長い周期で検知することで、使い勝手を損ねることなく省電力化を図ることができる。
【0080】
このように、吐水中の検知状態によって、検知センサの優先度を設定することで、使用者の一連の動きの中で最適な検知性能を設定することができ、且つ、省電力化を図ることが可能となる。
【0081】
図6に表したように、止水後(電磁弁閉)、所定時間Tが経過したのちは、検知センサSR1、SR2ともに、待機状態に移行し、センシング周期A1、A2にて間欠的に検知動作を繰り返す。
(第4の実施形態)
第4の実施形態による自動水栓2の基本構成については、図1〜3を参照しつつ説明したものと同様とすることができるので、その詳細な説明は省略する。
【0082】
図7は、第4の実施形態にかかる自動水栓の動作を示すタイムチャートである。
図7に示すタイムチャートでは、ふたつの検知センサSR1およびSR2の検知性能であるセンシング周期と、検知信号、電磁弁の開閉タイミングを示している。
【0083】
図7に例示したタイムチャートは、図4〜図6のタイムチャートと比較すると、ふたつの検知センサSR1とSR2が使用者の手などの物体を検知する前の動作と、ふたつの検知センサSR1とSR2が使用者の手などの物体を検知した後の動作が異なる。その他の動作については、第1の実施形態と同様とすることができるので、その詳細な説明は省略する。
【0084】
前述した第3の実施形態においては、検知センサSRが使用者の手などの物体を検知している間の検知頻度に基づいて、止水後(電磁弁閉)の所定時間Tの間の検知センサSRの検知性能を切替える。これに対して、第4の実施形態では、非検知状態あるいは待機状態の検知センサの優先度を、所定の時間ごとの過去の検知回数やのべ検知時間などの検知頻度によって切り替える。
【0085】
図7に表した具体例においては、所定時間T1、T2、Tnごとに、検知センサSR1、SR2の非検知状態あるいは待機中の優先度を切り替える。
すなわち、時刻tT1において検知優先度判断部83は、所定時間T1の計測を開始する。それと同時に、検知優先度判断部83は検知センサSR1の優先度を高く設定する。検知性能切替部84は、優先度の高い検知センサSR1のセンシング周期A1を検知センサSR2のセンシング周期A2よりも短く設定する。例えば、センシング周期A1は3Hzとし、センシング周期A2は1Hzとすることができる。
【0086】
センサ駆動部81は、検知性能切替部84が設定したセンシング周期に基づき、検知センサSR1、SR2をそれぞれ駆動する。
図7に表した具体例においては、検知優先度判断部83が所定時間T1の計測を終える(時刻tT2)前に、検知センサSR1が使用者の手などの物体を検知し、吐水(電磁弁開)される(時刻t2)。
時刻t2において、センサ検知状態判断部82は、検知センサSR1が使用者の手などの物体有りと判断し、水栓駆動部85と検知優先度判断部83に出力する。
【0087】
水栓駆動部85は、センサ検知状態判断部82からの入力に基づいて電磁弁70を開いて吐水させる。それと同時に、検知優先度判断部83は、センサ検知状態判断部82からの入力に基づいて、検知センサSR1の優先度を変更する。
検知性能切替部84は、検知優先度判断部83からの入力に基づいて、検知センサSR1のセンシング周期B1を、検知センサSR1が使用者の手などの物体を検知する前のセンシング周期A1よりも短く設定する。
【0088】
同様に、時刻t7において、センサ検知状態判断部82は、検知センサSR2が検知すると、検知優先度判断部83はセンサ検知状態判断部82からの入力に基づいて、検知センサSR2の優先度を変更する。検知性能切替部84は、検知優先度判断部83からの入力に基づいて、検知センサSR2のセンシング周期B2を検知センサSR2が物体を検知する前のセンシング周期A2よりも短く設定する。
【0089】
図7に表した具体例においては、検知センサSR1が物体検知中のセンシング周期B1と検知センサSR2が物体検知中のセンシング周期B2は等しい。例えば、センシング周期B1とセンシング周期B2は、8Hzとしている。ここでは、便宜上、センシング周期B1とセンシング周期B2を等しいとしているが、先述の実施形態のように、ふたつの検知センサの内、先に検知した検知センサのセンシング周期を、あとに検知した検知センサのセンシング周期よりも短く設定するなどしてもよい。
【0090】
続いて、時刻t8において、センサ検知状態判断部82は、検知センサSR2が使用者の手などの物体無しと判断し、検知優先度判断部83に出力する。検知優先度判断部83は、時刻t8が所定時間T1内であるかを判断し、所定時間T1内であれば所定時間T1における検知センサSR2の優先度を検知性能切替部84へ出力する。つまり、所定時間T1における非検知状態(待機状態)の優先度を予め決めておき、検知優先度判断部83は、これに基づいて検知センサSR2の優先度を判断する。
【0091】
検知性能切替部84は、検知優先度判断部83からの出力に基づき、検知センサSR2が使用者の手などの物体有りと判断する前(すなわち、非検知状態あるいは待機状態)のセンシング周期A2を設定する。
【0092】
同様に、時刻t3において、センサ検知状態判断部82は、検知センサSR1が使用者の手などの物体無しと判断し、検知優先度判断部83に出力する。検知優先度判断部83は、時刻t3が所定時間T1内であるかを判断し、所定時間T1内であれば所定時間T1における検知センサSR1の優先度を検知性能切替部84へ出力する。つまり、所定時間T1における非検知状態(待機状態)の優先度を予め決めておき、検知優先度判断部83は、これに基づいて検知センサSR1の優先度を判断する。
【0093】
検知性能切替部84は、検知優先度判断部83からの出力に基づき、検知センサSR1が使用者の手などの物体有りと判断する前(すなわち、非検知状態あるいは待機状態)のセンシング周期A1を設定する。
センサ駆動部81は、検知性能切替部84が設定したセンシング周期に基づき、検知センサSR1、SR2をそれぞれ駆動する。
【0094】
その後、所定時間T1が経過したのち(時刻tT2)、検知優先度判断部83は所定時間T2の計測を開始する。それと同時に、検知優先度判断部83は検知センサSR2の優先度を高く設定する。つまり、図7に表した具体例の場合、非検知状態における優先度は、所定時間T1においては検知センサSR1のほうが高く、所定時間T2においては検知センサSR2のほうが高く設定されている。
【0095】
検知性能切替部84は、優先度の高い検知センサSR2のセンシング周期C2を検知センサSR1のセンシング周期C1よりも短く設定する。例えば、センシング周期C2は3Hzとし、センシング周期C1は1Hzとすることができる。
【0096】
センサ駆動部81は、検知性能切替部84が設定したセンシング周期に基づき、検知センサSR1、SR2をそれぞれ駆動する。
その後、所定時間T2が経過したのち(時刻tTn)、検知優先度判断部83は所定時間Tnの計測を開始する。それと同時に、検知優先度判断部83は検知センサSR1と検知センサSR2の優先度を等しく設定する。つまり、図7に表した具体例の場合、非検知状態における優先度は、所定時間Tnにおいては検知センサSR1とSR2とで同じレベルに設定されている。
【0097】
検知性能切替部84は、検知センサSR1のセンシング周期n1と検知センサSR2のセンシング周期n2を等しく設定する。例えば、センシング周期n1と、センシング周期n2と、を2Hzとすることができる。
センサ駆動部81は、検知性能切替部84が設定したセンシング周期に基づき、検知センサSR1、SR2をそれぞれ駆動する。
【0098】
なお、本実施形態においては、止水中(電磁弁閉)のふたつの検知センサSRの消費電力の和は、各所定時間区分(T1、T2、…、Tn)毎に、概ね等しくなるように検知性能を切替えている。具体的には、図7に表わすように、所定時間T1における検知センサSR1のセンシング周期A1と、検知センサSR2のセンシング周期A2の和からなる消費電力と、同じく、所定時間T2における検知センサSR1のセンシング周期C1と、検知センサSR2のセンシング周期C2の和からなる消費電力と、所定時間Tnにおける検知センサSR1のセンシング周期n1と検知センサSR2おセンシング周期n2の和からなる消費電力と、は概ね等しくなる。
【0099】
すなわち、止水中(電磁弁閉)の時間を予め定められた時間に区分し、その区分ごとで
検知センサの優先度を切替えるため、区分された時間ごとで優先度の高いセンサは、止水中(電磁弁閉)であっても検知の対象である物体を短い周期で迅速に検知できるという効果が得られる。一方、優先度の低い検知センサは、長い周期で検知するため、消費電力を抑える効果が得られる。
【0100】
つまり、ある時間区分におけるふたつの検知センサのそれぞれの検知性能は、検知優先度判断部83によって判断された結果に基づいて、個別に制御することが可能となり、優先度の高いセンサについては、検知の対象である物体の状態を迅速に検知でき、一方、優先度の低いセンサ(検知センサSR2)は長い周期で検知することで、使い勝手を損ねることなく省電力化を図ることができる。
【0101】
このように、止水中(電磁弁閉)の時間を予め定められた時間に区分し、その区分ごとで検知センサの優先度を切替えることにより、検知センサが使用者の手などの物体を検知するまでの待機中の消費電力を抑えつつも、最適な検知性能を設定することができる。
【0102】
なお、本実施形態における予め定められた区分とは、例えば、1日を概ね等しい時間で区切ったものとすることができる。具体的には、図7に示すように、所定時間T1と、所定時間T2と、所定時間Tnと、は概ね等しい時間を示す。このほか、月単位、季節単位、年単位のように1日よりも長い期間などで区分するなど、適宜変更してもよい。
【0103】
また、予め定められた区分における検知センサのそれぞれの検知優先度は、過去全てもしくは過去の所定期間における検知回数、のべ検知時間などの検知頻度の比較によって設定される。このほか、過去全てもしくは過去の所定期間における検知順序を比較するなど、適宜変更してもよい。
【0104】
このように、ふたつの検知センサのそれぞれの検知性能は、過去の検知状態によって設定されるため、例えば、家庭に自動水栓2が取付けられた場合においては、自動水栓2を使用する人物および自動水栓2の使用パターンが概ね同じであるため、検知センサが使用者の手などの物体を検知するまでの待機中の消費電力を抑え、効率よく検知センサの検知性能を制御することができる。
【0105】
つまり、過去の検知状態によって検知センサの優先度を設定することで、使用頻度の高い時間区分においては、使用者などの物体を迅速に検知でき、使用頻度の低い時間区分においては、検知センサは長い周期で検知させることで省電力化を図ることができる。
【0106】
(第5の実施形態)
第5の実施形態による自動水栓2の基本構成については、図1〜3を参照しつつ説明したものと同様とすることができるので、その詳細な説明は省略する。
【0107】
図8は、第5の実施形態にかかる自動水栓の動作を示すタイムチャートである。
図8に示すタイムチャートでは、ふたつの検知センサSR1およびSR2の検知性能であるセンシング周期と、検知信号、電磁弁の開閉タイミングをモード切替スイッチ41の操作によって切替えることを示している。
【0108】
前述した第4の実施形態においては、非検知状態あるいは待機状態の検知センサの優先度を所定の時間ごとに切り替える。これに対して、第5の実施形態では、非検知状態の検知センサの優先度は予め決められた優先度に切り替える。そして、その具体例として、モード切替スイッチ41と検知センサSRとの位置関係によって優先度を決めている。
【0109】
図8に表した具体例においては、時刻t1から時刻t11までの時間は、自動水栓2は自動吐水モードとして動作しており、検知センサSR1とSR2は所定のセンシング周期(2Hz)で動作している。
ここで、モード切替スイッチ41をON操作すると(時刻t11)、自動水栓2は連続吐水モードとなり、その最中は、ふたつの検知センサのセンシングは停止して消費電力を抑えている(時間t11から時間t2まで)。
【0110】
続いて、再びモード切替スイッチ41をON操作すると(時刻t2)、自動水栓2は再び自動吐水モードへと戻る。
このとき、検知優先度判断部83は、モード切替スイッチ41に近い側の検知センサである検知センサSR2(図1参照)の優先度を高く設定する。
【0111】
その後、検知性能切替部84は優先度の高い検知センサSR2のセンシング周期を3Hzに上げ、優先度の低い検知センサSR1のセンシング周期を1Hzに下げる(時刻t2とt7以降)。
【0112】
それぞれの検知センサSRは、所定時間Tが経過するまでセンシング周期を維持するが、所定時間Tが経過する前に使用者の手などを検知すると、その時点でセンシング周期を8Hzへと上げる(時刻t3と時刻t8)。
そして、それぞれの検知センサSRは、使用者の手などの物体を検知しない状態になると、センシング周期を初期設定の2Hzへと戻す(時刻t4と時刻t9)。
【0113】
すなわち、モード切替スイッチ41によって吐水モードが自動吐水モードに切り替えられてから所定時間Tの間は、モード切替スイッチ41に近い側の検知センサSR2の検知性能を高め、遠い側の検知センサSR1の検知性能を下げている。これは、モード切替スイッチ41の操作と使用者の手の動きとの関係から設定された優先度に基づく。
例えば、使用者がモード切替スイッチ41を操作して自動吐水モードに変更した後、その操作をした手は、手洗い行為などをするために、そのまま水栓本体2の吐水口へと向かっていく場合が多いとする。このようなとき、モード切替スイッチ41に近い側の検知センサSR2の検知範囲AR2に使用者の手が入るため、検知センサSR2のセンシング周期を高く設定しておくことで、より迅速に使用者の手を検知することが可能となる。
【0114】
一方、検知センサSR1はモード切替スイッチ41から遠い位置にあり、自動吐水モードに切り替えられてから直ぐに使用者の手が検知領域に入ってくる可能性は低いので、センシング周期を低く設定しても使用感を損なうことがなく、消費電力を抑えることができる。
【0115】
本実施形態では、モード切替スイッチ41の位置関係から優先度を決める例を説明したが、これに限らず、他の構成要素の位置関係によっても優先度を決めてよい。
例えば、水栓本体2の吐水口から吐水される湯水の温度調整を行う操作部がある場合は、その操作部に近い側の検知センサSRの優先度を高く設定してもよい。
こうすれば、温度調整した後の吐水が迅速に開始できるので、使用者は調整した温度の具合をいち早く確認することができる。
【0116】
他にも、吐水形態や吐水流量を切り替える操作部がある場合は、その操作部に近い側の検知センサの優先度を高く設定してもよい。
こうすれば、使用者は吐水形態や吐水流量を変えた後の吐水状態を迅速に確認することができる。
このように、自動水栓2の備える機能に応じて検知センサの優先度を予め決めておくことで、使用者の一連の動きの中で最適な検知性能を設定することができ、且つ、省電力化を図ることが可能となる。
【0117】
(第6の実施形態)
第6の実施形態による自動水栓2の基本構成については、図1〜3を参照しつつ説明したものと同様とすることができるので、その詳細な説明は省略する。また、第6の実施形態にかかる自動水栓の動作を示すタイムチャートは、第3の実施形態の説明で用いた、図6を使用して説明する。
【0118】
前述した第3の実施形態においては、検知センサSRが使用者の手などの物体を検知している間の検知頻度に基づいて、止水後(電磁弁閉)の所定時間Tの間の検知センサSRの検知性能を切替える。また、前述した第4の実施形態においては、止水中(電磁弁閉)における検知センサSRの検知性能を切替える。これに対して、第6の実施形態では、止水後(電磁弁閉)の所定時間Tと、その所定時間T以外の止水中(電磁弁閉)と、で検知センサSRの優先度の判断を切替える。
【0119】
図6では、第3の実施形態に関して説明したように、時刻t8において検知センサSR2が物体を検知しない状態となり、続いて時刻t3において、検知センサSR1が物体を検知しない状態となる。すると、センサ検知状態判断部82が物体無しと判断し、センサ検知状態判断部82からの出力に基づいて、水栓駆動部85が電磁弁70を閉じて止水する。それと同時に、センサ検知状態判断部82からの出力に基づいて、検知優先度判断部83は所定時間Tの計測を開始するとともに、検知センサSR1の優先度を高く設定する(時刻t4まで)。
【0120】
検知性能切替部84は、優先度の高い検知センサSR1のセンシング周期を検知センサSR2のセンシング周期よりも短く設定する。
センサ駆動部81は、検知性能切替部84が設定したセンシング周期に基づき、検知センサSR1、SR2をそれぞれ駆動する。例えば、センシング周期C1を3Hz、センシング周期C2を1Hzとすることができる。
その後、所定時間Tが経過したのち、検知優先度判断部83は検知センサSR1と検知センサSR2の優先度を等しく設定する(時刻t4および時刻t9)。
【0121】
検知性能切替部84は、検知センサSR1のセンシング周期A1と検知センサSR2のセンシング周期A2を等しく設定する。
センサ駆動部81は、検知性能切替部84が設定したセンシング周期に基づき、検知センサSR1、SR2をそれぞれ駆動する。例えば、センシング周期A1と、センシング周期A2と、をいずれも2Hzとすることができる。
【0122】
なお、図6においては、止水後(電磁弁閉)の所定時間T経過後の検知センサSR1と検知センサSR2の検知優先度は等しいとしているが、第4の実施形態にて説明したように、所定時間T経過後の止水中(電磁弁閉)の時間(時刻t4およびt9以降)は、予め定められた時間に区分し、その区分ごとで検知センサの優先度を切替えるため、必ずしも検知優先度が等しいとは限らない。
【0123】
また、本実施形態においては、第3の実施形態と第4の実施形態に関して説明したように、止水後(電磁弁閉)の所定時間Tにおけるふたつの検知センサSRの消費電力の和と、所定時間T経過後の止水中(電磁弁閉)の各時間区分におけるふたつの検知センサSRの消費電力の和と、は概ね等しくなるように検知性能を切替えている。
同じく、本実施形態における、止水後(電磁弁閉)の所定時間Tにおける検知センサの優先度を決める方法は、第3の実施形態に関して前述したとおりであり、止水後(電磁弁閉)の所定時間T経過後の検知センサの優先度を決める方法は、第4の実施形態に関して前述したとおりである。
【0124】
なお、本実施形態においては、第3の実施形態と第4の実施形態に関して前述した効果のほか、以下の効果を得ることもできる。すなわち、止水後(電磁弁閉)の所定時間Tにおける検知センサの優先度と、止水後(電磁弁閉)の所定時間T経過後の検知センサの優先度と、で検知センサSRの優先度の判断を切替えて制御することで、例えば、家庭に自動水栓2が取付けられた場合においては、自動水栓2を使用する人物および自動水栓2の使用パターンが概ね同じであるため、検知センサが使用者の手などの物体を検知するまでの待機中の消費電力を抑え、効率よく検知センサの検知性能を制御することができるが、普段と異なるパターンで自動水栓2を使用した際であっても、使い勝手を損ねることなく省電力化を図ることができる。
【0125】
具体的には、止水中(電磁弁閉)のある時間区分における、普段の検知センサの優先度は等しいとする。ここで、普段とは違うパターンで使用者の手を検知センサSR1が検知したとする。続いて、使用者が検知領域AR1から手をひっこめる動作をしたのち、すぐに検知領域AR1に手をかざした場合であっても、これに対応して物体を検知する状態に迅速に移行し、迅速に吐水することができる。
【0126】
すなわち、止水中(電磁弁閉)のある時間区分における検知センサの優先度は、過去の検知状態によって設定されているが、突発的に優先度の低い検知センサが検知した場合であっても、使い勝手を損ねることなく省電力化を図ることができる。
【0127】
このように、ふたつの検知センサのそれぞれの検知性能は、止水後(電磁弁閉)の所定時間Tと、止水後(電磁弁閉)の所定時間T経過後と、で異なった優先度によって設定されるため、検知センサが使用者の手などの物体を検知するまでの待機中の消費電力を抑え、効率よく検知センサの検知性能を制御することができる。
【符号の説明】
【0128】
1…洗面台
2…自動水栓
3…水栓本体
6…ボウル部
40…操作パネル
41…モード切替スイッチ
50…投光素子
51…受光素子
70…電磁弁
80…制御部
81…センサ駆動部
82…センサ検知状態判断部
83…検知優先度判断部
84…検知性能切替部
85…水栓駆動部
90…給水源
100…給水ホース
A1…センシング周期
A2…センシング周期
B1…センシング周期
B2…センシング周期
B11…センシング周期
B22…センシング周期
C1…センシング周期
C2…センシング周期
n1…センシング周期
n2…センシング周期
AR1…検知領域
AR2…検知領域
SR1…検知センサ
SR2…検知センサ
SRn…検知センサ
t1…タイミング
t2…タイミング
t3…タイミング
t4…タイミング
t5…タイミング
t6…タイミング
t7…タイミング
t8…タイミング
t9…タイミング
t10…タイミング
t11…タイミング
tT1…タイミング
tT2…タイミング
tTn…タイミング
T…所定時間
T1…所定時間
T2…所定時間
Tn…所定時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を吐水する水栓本体と、
前記水栓本体からの吐水、止水を切替える電磁弁と、
物体を検知するために設けられた複数の検知センサと、
前記複数の検知センサの検知状態に基づいて前記電磁弁の状態を切替える制御部と、
を備えた自動水栓において、
前記制御部は、
前記複数の検知センサをそれぞれ個別に駆動させるセンサ駆動部と、
前記複数の検知センサの検知状態を判断するセンサ検知状態判断部と、
前記複数のセンサ検知状態判断部の判断結果に基づいて、前記電磁弁の開閉を制御
する水栓駆動部と、
前記複数の検知センサの優先度を判断する検知優先度判断部と、
前記検知優先度判断部の判断結果に基づいて、前記複数の検知センサの検知性能を個別に制御する検知性能切替部と、
を有することを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
前記検知性能切替部は、前記検知優先度判断部の判断結果に基づいて、前記複数の検知センサが物体を検知している間の検知性能をそれぞれ切替えることを特徴とした請求項1記載の自動水栓。
【請求項3】
前記検知優先度判断部は、前記複数の検知センサの検知順序によって前記優先度を判断することを特徴とした請求項2記載の自動水栓。
【請求項4】
前記検知優先度判断部は、前記複数の検知センサが物体を検知する検知頻度によって前記優先度を判断することを特徴とした請求項2記載の自動水栓。
【請求項5】
前記検知性能切替部は、前記検知優先度判断部の判断結果に基づいて、前記複数の検知センサが物体を検知しない状態の検知性能を切替えることを特徴とした請求項1記載の自動水栓。
【請求項6】
前記検知優先度判断部は、前記複数の検知センサの過去の検知状態によって前記優先度を判断することを特徴とした請求項5記載の自動水栓。
【請求項7】
前記検知優先度判断部は、予め決められた優先度に基づいて前記優先度を判断することを特徴とした請求項5記載の自動水栓。
【請求項8】
前記検知性能切替部は、前記検知優先度判断部の判断結果に基づいて、前記複数の検知センサが物体を検知しない状態となってから所定時間の間の検知性能を切替えることを特徴とした請求項1記載の自動水栓。
【請求項9】
前記検知優先度判断部は、前記複数の検知センサが物体を検知している間の検知状態によって前記優先度を判断することを特徴とした請求項8記載の自動水栓。
【請求項10】
前記検知性能切替部は、前記複数の検知センサが物体を検知しない状態となってから所定時間の間の検知性能と、前記複数の検知センサが物体を検知しない状態となってからさらに所定時間経過後の検知性能を、前記検知優先度判断部のそれぞれ異なる判断結果に基づいて切替えることを特徴とした請求項1記載の自動水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−211485(P2012−211485A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78165(P2011−78165)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】