説明

自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつ

【課題】被介護者の手を借りずに要介護者の排泄物の処理をすることができる自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつを提供する。
【解決手段】陰部と肛門部周り及び便尿排出口周りに用いるための便排水タンク7と温水洗浄タンク5及び泡水タンク8とをお尻背面側に設け、又、股間湿気部を乾燥する温風器10と、更に便排水タンク及び温水タンクに空気圧縮するコンプレッサー11を備え、これら全装置をおむつ内部に一体として形成した排泄処理おむつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつに関する。より詳細には、被介護者の手を借りずに要介護者の排泄物の処理をすることができる自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつ。
【背景技術】
【0002】
従来、寝たきり状態の要介護者に用いられるおむつは、おむつ本体と洗浄水・温風ドライ・便排水・泡水等は付属の専用装置と連動させ作動する構造であるため、被介護者は毎回専用装置の保守管理と共に、おむつと連動する配管とセンサ線のケーブル軸が股間から通すため不便を強いられることから、おむつ内部に洗浄水・温風・泡水・便排水・コンプラッサー等洗浄に必要な機能を一体に備えた全自動の排泄処理おむつに改善し、被介護者が容易に使用でくる装置を提供する必要があった。
【0003】
【特許文献1】特開2001−112803
【特許文献2】国際公開第2006/046532
【特許文献3】特開平4−288158
【特許文献4】特開2000−325258
【特許文献5】特開2002−107361
【特許文献6】特開平6−54874
【特許文献7】特開2005−103131
【特許文献8】特願2007−204231
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
寝たきり状態の要介護者に対して、被介護者が厄介とする課題に、食事・入浴・排泄物処理等があり、とりわけ排泄物処理は、糞汚物と共に臭気も伴うため、最も面倒で憂慮される介護とされている。紙おむつ等の普及で負担も軽減されているものの、毎回のおむつの交換と糞廃棄は被介護者にとって重荷となり、深刻な社会問題にもなっている。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みて案出されたものであって、交換の手間を省く自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の、陰部と肛門部周り及び便尿排出口周りに用いるための便排水タンクと温水洗浄タンク及び泡水タンクとをお尻背面側に設け、又、股間湿気部を乾燥する温風器と、更に便排水タンク及び温水タンクに空気圧縮するコンプレッサーを備え、これら全装置をおむつ内部に一体として形成した形態で、寝たきり状態の要介護者に用いることを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項2に記載の、自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつは、便排水タンクと温水洗浄タンクの空気圧縮には気圧センサで、又、洗浄水は電気温水とし温水センサで制御し、及び、各タンクには便排水パイプと洗浄水ノズル付噴射パイプ及び泡水パイプとに自動開閉弁付き機能を備え、更に、各センサと連動させた半導体素子等(超小型コンピューター)の内蔵で自動的に洗浄作動する機能を、おむつ内部に一体として形成した形態を特徴とするものである。
【0008】
本願請求項3に記載の、自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつは、前記請求項1・2記載の発明において、おむつに備えた計器表示盤は、タンク毎の注水量目盛りと、各種センサの作動状況点灯盤と、洗浄水作動と泡水作動と便排水作動有無の各点灯盤(LED使用)等を表示盤に備え、しかも、タンク内水量が減少したとき又は何れかの計器類が不具合・異常のときは点滅し音量又は音声で警告する仕組みとした構造で計器表示盤の親機から、コードレス等で親機同様の計器表示をする子機計器表示盤とで構成し、要介護者から離れた場所で被介護者が子機の計器を見て、おむつの状態を管理することのできる形態を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつは、便排水タンクと温水洗浄タンク及び泡水タンクとをお尻背面側に一体として備え、更に、便排水及び温水タンクに空気圧縮するコンプレッサーと、排便尿後の陰部又は肛門部を乾燥する温風器を備えているため、排便尿後の洗浄を自動ですることが可能であり、また、本発明の自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつによれば、半導体素子等(超小型コンピューター)の内蔵で、各タンクでの便排水パイプと泡水パイプ及び洗浄水ノズル付噴射パイプの各配管に自動開閉弁付き機能を備え、各センサと連動で制御されているので、自動的に開閉弁が作動される。これら機能のおむつと一体に形成されているため、これまでのおむつと制御装置の分離した構造よりも、効率よい効果が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつについて詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつを示した標準姿図である。前面外側被覆1と前面内側防水厚被覆2及び裏面外側被覆3には合成樹脂繊維等を用い、しかも内側面を防水製で形成する。又、お尻部背面側の腰周りから横腹部に公知の電気で沸かす洗浄温水タンク/配管自動開閉装置付6(配管は陰部と肛門部の2系統)と、普通水を使用する便排水タンク/配管自動開閉装置付7(配管は便排水パイプ1〜2系統)と、泡原液又は薄めた液を用いる泡水タンク/配管自動開閉装置付(配管は便尿排出口1〜2系統)と、公知の自動開閉装置を用い、及びタンク内補強としてタンク内補強壁9に、これら部材をプラスチック等合成樹脂製又は鋼材で形成しやや長方形等とし背面と横腹部に合う形状に組み立てる、そして裏面内側耐熱緩衝材付防水被覆/下面部防水厚被覆4でお尻部から背面部に向け防水被覆し合成樹脂繊維等で形成する。
(タンク容量について、例えば胴回り80cmの人でタンク胴長さ55cm×縦長20cm×厚(幅)9cmとした場合=9,9リットルの水量となり、泡水1,5対温水3,5対便排水5の比率とした場合、泡水1,5リットル+温水3,5リットル+便排水4,9リットルとなり十分な水量を蓄えることができる)
【0011】
図1の説明を追加する。タンク上部(左右問わず)に温風器室(ドライヤー)10(陰部と肛門部の2系統)は35℃程度の適温に設定し、又、タンク内部を空気圧縮するためコンプレッサー室(小型モーター空気圧縮機)11は、70〜90KPa(パスカル)前後に設定し、洗浄温水タンクを低く便排水タンクを高めのパスカル値にするとよく、更に、計器表示盤12と、超小型コンピューター内蔵13と、配管/配線空路14及び注水口/ネジ込みキャップ付15と、泡注水口/ネジ込みキャップ付16によって形成されている。そして、急斜部には/洗浄ノズル・温風&泡水パイプ及び尿、便臭センサ・湿気センサ17を設け、超小型コンピューター内蔵13と連動し制御する。
【0012】
図1をさらに説明する。排便兆候時は腹筋圧の状態を感知する腹筋圧センサ22はタイム付きとし腹筋圧センサ間の連動線が腹筋で伸縮状態を腹筋圧センサで感知させ、3度目程度の腹筋圧で作動を始め同時に泡水が出るようにし、しかも排便の有無に関わらず再度断続的に腹筋圧を繰返しても作動しない設定とする。例えば1回目の作動後泡水を出し、その後は5分程度経過しなければ腹筋圧センサが2回目の作動をしないよう設定し必要以上の泡水を出させない様にする。排便尿は便尿仕切壁で区分し/電気コード差込み部、電源スイッチ19を兼ねる、従って、外部との接続は電気コード19のみとした構造としている。排便尿は便尿排出口18から排出され、便尿排水管23を経て別に設ける糞尿貯溜タンク又は下水管に接続し処理する。なお、便尿排水管23を経て糞尿貯溜タンクを用いる場合はベッドを利用し、又、畳上での布団の場合は下水管に接続するものとする。
【0013】
図2は、自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつを示した標準正面図である。洗浄温水タンク/配管自動開閉装置付6と、普通水を使用する便排水タンク/配管自動開閉装置付7と、泡原液又は適量に薄めた液を用いる泡水タンク/配管自動開閉装置付8と、及びタンク内補強としてタンク内補強壁9と、配管と/配線の空路14を設け、お尻部背面側の腰周りと横腹部等に至るように形成し体重に耐える構造とし、しかも肌に温熱が伝わらないよう裏面内側耐熱緩衝材付防水被覆/下面部防水厚被覆4で被覆し、かつ、クッション材を用い表面を防水被覆とし、寝たきり状態の被介護者の肉体的苦痛を軽減し緩和させる。また、洗浄温水タンクと便排水タンクには空気圧縮させ水圧を高めるためコンプレッサー11を設けている、しかし、泡水タンク8は自然流下として空気圧縮をしない仕組みとしている。又、各タンクの下部分に配管を施し自動開閉装置付とし、超小型コンピューター内蔵13で排便尿時に各センサの作動で洗浄までをコントロールするシステムである。
【0014】
図3は、自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつを示した標準平面図である。電気温水タンクと、便排水タンクへの補給注水は好ましくは専用の水入れ容器から手作業で行うが、注水する時はエアー抜き弁25を押さえ空気圧を吐出させ減圧させてから、注水キャップを外し注水口/ネジ込みキャップ付15から注水をする。更に、泡水を補給するときは泡注水口/ネジ込みキャップ付を外し、予め泡原液を適量に薄めたものを注水することもできる。
【0015】
図3において、計器表示盤12には各タンクの注水量目盛りと、気圧センサ・温度センサ&温度デジタル数値盤・尿臭センサ・糞臭センサ・陰部湿度センサ・肛門部湿度センサ・腹筋圧センサの作動等点灯盤と、洗浄水作動の点灯盤、泡水作動の点灯盤、便排水作動の点灯盤等(点灯はLED使用)を表示盤に設け、しかも、タンク内の水量が減少したとき又は何れかの計器装置等が不具合・異常のときは、その箇所のLEDが点滅し音量で警告する仕組みとした計器表示盤であり、しかも、計器表示盤(親機)とコードレス又はコードで連動した子機の性能をもった計器表示盤は要介護者から離れた場所で被介護者が計器による管理をできるようにした。
【0016】
図4は、自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつを示した標準断面図である。本おむつを装着させる場合は裏面内側耐熱緩衝材付防水被覆/下部面防水厚被覆4を下にし広げ被介護者のお尻を乗せ、両足の股間から前面内側防水厚被覆を腹側に被せマジックテープ(登録商標)継手部5で止める。しかし、継手摺付部26は各種タンクの厚さ分にし形成させ、前面内側防水厚被覆2を伸縮性として、ある程度の異なる体形にも対応できるようにし、マジックテープ(登録商標)継手部5で締める。そして、電気コードを差込み、電源スイッチを入れ操作開始となる。排便尿時は各種センサの作動で感知し、しかも排便又は排尿に際しタンクの高さに合わせた急斜部の厚さにより排便と共に便尿流出が容易になり、かつ男女兼用の構造である。しかも内部に配管・配線する洗浄ノズル・温風&泡水パイプ及び尿、便臭センサ・湿気センサ17により、次のような手順で洗浄される。つまり排便の兆候で腹筋圧センサが作動し、泡水が流れ出し、排便(尿)後温水洗浄(陰部と肛門部)され、便排水が流れ出すと同時に、湿気センサの作動で温風(陰部と肛門部)がでてドライされ終了する仕組みで排泄物を処理するものであり、これらの手順は既に公開等(特許文献7及び8)されているシステムであることから詳細な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、超高齢化社会に伴い痴呆症等で寝たきり状態の要介護者に提供する自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつであり、これ以外にも、交通事故や手術等で一時的に歩行困難となった患者或いは離乳児のあかちゃんにも利用できることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の好ましい実施の形態の自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつを示した姿図である。
【図2】自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつを示した正面図である。
【図3】自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつを示した平面図である。
【図4】自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつを示した断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 前面外側被覆
2 前面内側防水厚被覆
3 裏面外側被覆
4 裏面内側耐熱緩衝材付防水被覆/下部面防水厚被覆
5 マジックテープ継手部(「マジックテープ」は登録商標)
6 洗浄温水タンク/配管自動開閉装置付(配管2系統)
7 便排水タンク/配管自動開閉装置付(配管1〜2系統
8 泡水タンク/配管自動開閉装置付(配管1〜2系統)
9 タンク内補強壁
10 小型温風器室(ドライヤー)
11 小型コンプレッサー室
12 計器表示盤
13 超小型コンピューター内蔵
14 配管/配線空路
15 注水口/ネジ込みキャップ付
16 泡注水口/ネジ込みキャップ付
17 急斜部/洗浄ノズル・温風&泡水パイプ及び尿、便臭センサ・湿気センサ
18 便尿排出口
19 便尿仕切壁/電気コード差込み部、電源スイッチ
20 各種パイプ/洗浄・温風・泡水各パイプ
21 各種センサ/陰部と肛門部湿気センサ・温水センサ・気圧センサ
22 腹筋圧センサ
23 便尿排水管
24 便排水パイプ
25 エアー抜き弁
26 継手摺付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰部と肛門部周り及び便尿排出口周りに用いるための便排水タンクと温水洗浄タンク及び泡水タンクとをお尻背面側に設け、又、股間湿気部を乾燥する温風器と、更に便排水タンク及び温水タンクに空気圧縮するコンプレッサーを備え、これら全装置をおむつ内部に一体として形成した形態で、寝たきり状態の要介護者に用いることを特徴とする自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつ。
【請求項2】
便排水タンクと温水洗浄タンクの空気圧縮には気圧センサで、又、洗浄水は電気温水とし温水センサで制御し、及び、各タンクには便排水パイプと洗浄水パイプ及び泡水パイプとに自動開閉弁付き機能を備え、更に、各センサと連動させた半導体素子等(超小型コンピューター)の内蔵で自動的に洗浄作動する機能を、おむつ内部に一体として形成した形態を特徴とする請求項1に記載の自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつ。
【請求項3】
前記請求項1・2記載の発明において、おむつに備えた計器表示盤は、タンク毎の注水量目盛りと、各種センサの作動状況点灯盤と、洗浄水作動と泡水作動と便排水作動用有無の各点灯盤(LED使用)等を表示盤に備え、しかも、タンク内水量が減少し、又は何れかの計器類が不具合・異常のときは点滅し音量又は音声で警告する仕組みとした構造で計器表示盤の親機から、コードレス等で親機同様の計器表示する子機計器表示盤とで構成し、離れた場所から被介護者が子機の計器を見て、おむつの状態を管理することのできる形態を特徴とする自動洗浄装置を備えた排泄処理おむつ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−57576(P2010−57576A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224282(P2008−224282)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【特許番号】特許第4345990号(P4345990)
【特許公報発行日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(596059691)
【Fターム(参考)】